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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-214847(P2015-214847A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】支線打込アンカ
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/80 20060101AFI20151106BHJP
   E02D 27/42 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
   E02D5/80 103
   E02D27/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-98578(P2014-98578)
(22)【出願日】2014年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592157076
【氏名又は名称】イワブチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】新留 裕也
(72)【発明者】
【氏名】桑原 光広
【テーマコード(参考)】
2D041
2D046
【Fターム(参考)】
2D041GA04
2D041GB01
2D041GC02
2D046DA33
(57)【要約】
【課題】第1には、埋設穴の切削面積が少ない場合でも従来のものより簡単かつ確実に地表面に対し鋭角に打ち込むことができ、第2には、さらに抵抗板とは別に安定板の打込みを不要にして作業性を向上させつつより高い耐張力を得ることができる支線打込アンカを提供すること。
【解決手段】ロッド部11は、一端部が支線に連結される一方、他端部はアンカ本体部12の基部と回動可能に連結され、アンカ本体部12は、抵抗板本体12aと、内側補強板12bと、外側補強板12cとを備え、第1打撃部12c11を外側補強板12cに設ける一方、第1打撃部12c11の次に打撃される第2打撃部12b11を第1打撃部12c11よりも高い位置に設けた。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱等の地上起立体の倒伏を防止するため、地上起立体と地面とを支線によって連結する場合に打込工具によって打込まれ、地中に埋設される支線打込アンカであって、
ロッド部と、アンカ本体部とを有し、
前記ロッド部は、
前記支線に連結される上部連結部と、
前記アンカ本体部に連結される下部連結部とを有する一方、
前記アンカ本体部は、
外側が凸形状となるように湾曲した抵抗板本体と、
その抵抗板本体の内側から起立して設けられ、前記ロッド部の他端部が回転可能に支持された内側補強板と、
その抵抗板本体の外側から起立して設けられた外側補強板とを有し、
打込工具によって先に打撃される第1打撃部を前記外側補強板に設ける一方、
前記第1打撃部の次に打撃される第2打撃部を前記第1打撃部よりも高い位置に設けたことを特徴とする支線打込アンカ。
【請求項2】
請求項1記載の支線打込アンカにおいて、
前記第2打撃部は、
前記内側補強板の上端部に設けたことを特徴とする支線打込アンカ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の支線打込アンカにおいて、
前記アンカ本体部には、さらに、
地中への打込み時には前記アンカ本体部に近接して閉じ状態にあり、
地中に埋設され地中から抜ける方向に引っ張られた場合には地中の土砂等が抵抗になって開く可動式抵抗板が設けられていることを特徴とする支線打込アンカ。
【請求項4】
請求項3に記載の支線打込アンカにおいて、
前記アンカ本体部の外側補強板には、
前記抵抗板本体の外側面と前記外側補強板との接合点を中心とし、かつ、円弧側が上部側となる扇形状の扇形開口部が形成されており、
前記可動式抵抗板は、
その中央にスリットが形成されており、前記扇形開口部に装着した際にはそのスリットが外側補強板に遊嵌して前記扇形開口部に可動式に嵌め付けられており、地中への打込み時には前記アンカ本体部に近接して閉じ、地中に埋設され地中から抜ける方向に引っ張られた場合には地中の土砂等が抵抗になって開くことを特徴とする支線打込アンカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電柱等の地上起立体の倒伏を防止するため、地上起立体と地面とを支線によって連結する場合に打込工具によって打込まれ、地中に埋設される支線打込アンカに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱等の地上起立体の倒伏を防止するため、地上起立体と地面とを支線によって連結する場合に打込工具によって打込まれ、地中に埋設される支線打込アンカとして、例えば、埋設穴の試掘後に湾曲状抵抗板本体と湾曲状安定板とを夫々別個に打設すると共に、所定の地中深度においてこれら抵抗板本体と安定板とを交叉結合させて耐張力を得るようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−30746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載の従来の支線打込アンカでは、抵抗板は地中に打ち込んだ際に十分な抵抗力(耐張力)を得られるよう湾曲させており、その湾曲形状に沿って土中に進入していく。
【0005】
そのため、特に、埋設穴の切削面積が少ない狭隘部での実施の際は、単一の打撃面(加撃面)への打設作業が次第に困難となり、抵抗板本体を地表面に対して鋭角に打ち込めず、抵抗板本体と安定板とを展開状態に結合しなければ、十分な抵抗力を得られないという問題がある。
【0006】
また、十分な抵抗力を発揮させるため、抵抗板の曲率を大きくした場合には、抵抗板が地中に大きな曲率で曲がって地表面に対し鋭角に進入していくため、打撃面が一箇所のみで、かつ、切削面積が少ない場合には、この問題が顕著になる。
【0007】
なお、上述の特許文献1に記載の従来の支線打込アンカでは、湾曲状抵抗板本体と湾曲状安定板とを夫々別個に打設する必要があるため、作業性が悪いという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、第1には、埋設穴の切削面積が少ない場合でも従来のものより簡単かつ確実にアンカ本体部を地表面に対し鋭角に打ち込むことができ、第2には、さらに抵抗板とは別に安定板の打込みを不要にして作業性を向上させつつより高い耐張力を得ることができる支線打込アンカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る実施形態の支線打込アンカは、電柱等の地上起立体の倒伏を防止するため、地上起立体と地面とを支線によって連結する場合に打込工具によって打込まれ、地中に埋設される支線打込アンカであって、ロッド部と、アンカ本体部とを有し、前記ロッド部は、前記支線に連結される上部連結部と、前記アンカ本体部に連結される下部連結部とを有する一方、前記アンカ本体部は、外側が凸形状となるように湾曲した抵抗板本体と、その抵抗板本体の内側から起立して設けられ、前記ロッド部の他端部が回転可能に支持された内側補強板と、その抵抗板本体の外側から起立して設けられた外側補強板とを有し、打込工具によって先に打撃される第1打撃部を前記外側補強板に設ける一方、前記第1打撃部の次に打撃される第2打撃部を前記第1打撃部よりも高い位置に設けたことを特徴とする。
ここで、前記第2打撃部は、前記内側補強板の上端部に設けると良い。
また、前記アンカ本体部には、さらに、地中への打込み時には前記アンカ本体部に近接して閉じ状態にあり、地中に埋設され地中から抜ける方向に引っ張られた場合には地中の土砂等が抵抗になって開く可動式抵抗板が設けられていると良い。
また、前記アンカ本体部の外側補強板には、前記抵抗板本体の外側面と前記外側補強板との接合点を中心とし、かつ、円弧側が上部側となる扇形状の扇形開口部が形成されており、前記可動式抵抗板は、その中央にスリットが形成されており、前記扇形開口部に装着した際にはそのスリットが外側補強板に遊嵌して前記扇形開口部に可動式に嵌め付けられており、地中への打込み時には前記アンカ本体部に近接して閉じ、地中に埋設され地中から抜ける方向に引っ張られた場合には地中の土砂等が抵抗になって開くようにするとさらに良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明の支線打込アンカによれば、アンカ本体部には、抵抗板本体と、その抵抗板本体の内側から起立して設けられ、ロッド部の他端部が回転可能に支持された内側補強板と、その抵抗板本体の外側から起立して設けられた外側補強板とを有し、打込工具によって先に打撃される第1打撃部を前記外側補強板に設ける一方、第1打撃部の次に打撃される第2打撃部を第1打撃部よりも高い位置に設けたため、埋設穴の切削面積が少ない場合やアンカ本体部の曲率が大きい場合でも従来のものより簡単かつ確実にアンカ本体部を地表面に対し鋭角に打ち込むことができる。
また、アンカ本体部に地中への打込み時にはアンカ本体部に近接して閉じる一方、地中に埋設され地中から抜ける方向に引っ張られた時には地中の土砂等が抵抗になって開く可動式抵抗板を設けると、抵抗板とは別に安定板の打込みが不要になるので、作業性を向上させつつより高い耐張力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る支線打込アンカの使用状態を示す正面図である。
図2】本発明に係る支線打込アンカの斜め上前方から見た斜視図である。
図3】本発明に係る実施形態の支線打込アンカの斜め上後方から見た斜視図である。
図4】本発明に係る実施形態の支線打込アンカの斜め下後方から見た斜視図である。
図5】(a)〜(d)それぞれ、本発明に係る実施形態の支線打込アンカの平面図、正面図、右側面図と、可動式抵抗板の平面図である。
図6】本発明に係る実施形態の支線打込アンカの使用方法の第1段階(埋設穴に挿入した段階)を示す説明図である。
図7】本発明に係る実施形態の支線打込アンカの使用方法の第2段階(第1打撃部を打撃して地中に打ち込んだ段階)を示す説明図である。
図8】本発明に係る実施形態の支線打込アンカの使用方法の第3段階(第2打撃部を打撃して地中に打ち込む段階)を示す説明図である。
図9】本発明に係る実施形態の支線打込アンカの使用方法の第4段階(第2打撃部を打撃して地中に打ち込んだ段階)を示す説明図である。
図10】本発明に係る実施形態の支線打込アンカの使用方法の第5段階(埋設穴における地上起立体側の地面を削った段階)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態の支線打込アンカ1について、図面を参照して説明する。
【0013】
(支線打込アンカの構成)
支線打込アンカ1は、図1に示すように電柱等の地上起立体(地上樹立体)2の倒伏を防止するため、地上起立体2と地面3とを支線4によって連結する場合に打込工具5(図5参照。)によって打込まれて地中に埋設されるもので、図2図5に示すように、ロッド部11と、アンカ本体部12と、ロッド部11とアンカ本体部12との連結を中継するU字状中継板部13と、ボルト14aおよびナット14bと、可動式抵抗板15とを備える。
【0014】
ロッド部11は、一端部が支線4に連結される一方、他端部はアンカ本体部12の基部と回動可能に連結される。そのため、ロッド部11の一端部(上端部)が折り返されて上部連結部11aが形成されている一方、ロッド部11の他端部(下端部)が折り返されてU字状中継板部13が連結される下部連結部11bが形成されている。
【0015】
アンカ本体部12は、ロッド部11の長手方向に対しほぼ垂直な面をなす抵抗板本体12aと、その抵抗板本体12aの内側に設けられてU字状中継板部13を介しロッド部11を回転可能に支持してロッド部11の長手方向に対しほぼ並行な面をなす内側補強板12bと、その抵抗板本体12aの外側に設けられ、ロッド部11の長手方向に対しほぼ並行な面をなす外側補強板12cとを備える。
【0016】
抵抗板本体12aは、ロッド部11に対しU字状中継板部13を介してロッド部11を半径とする円周方向に回動可能に連結されている。
【0017】
抵抗板本体12aは、地面3中に打ち込まれて埋設された際、支線4の抵抗を最も受ける部分であるため、ロッド部11の長手方向に対しほぼ垂直な面を有すると共に、その面は、ほぼロッド部11を半径とする円周方向に沿って外側に凸形状に突出するように湾曲しており、ロッド部11の長手方向に対しほぼ垂直な方向で、地面3に対し斜め方向に進入するように構成されている。
【0018】
内側補強板12bは、外側補強板12cよりも長く、ほぼ抵抗板本体12aの先端部から上端部まで延びる長さに形成されて抵抗板本体12aに対し垂直に溶接等されて接合されている。
【0019】
また、内側補強板12bは、先端部は鋭角である一方、上端部にいくほど幅広になりU字状中継板部13がボルト14aおよびナット14bにより連結される基部12b1が形成されており、その基部12b1に、打込工具5によって打撃される第2打撃部12b11を設けている。
【0020】
また、外側補強板12cは、抵抗板本体12aの外側、つまり内側補強板12bとは反対側の側面に設けられるもので、図5(b)等に示すように、抵抗板本体12aの先端側の第1外側補強板部12c1と、その後端側の第2外側補強板部12c2とからなる2段の鋸刃形状(波形状またはギザギザ形状)で構成されており、先端側の第1外側補強板部12c1の上端部に、打込工具5によって打撃される第1打撃部12c11を設けている。
【0021】
そのため、外側補強板12cに設けられた第1打撃部12c11は、内側補強板12bに設けられた第2打撃部12b11よりも、抵抗板本体12aの先端側に近い位置に設けられることになる。
【0022】
ここで、第1打撃部12c11および第2打撃部12b11は、打込工具5の先端部に設けられたプラス形状の溝やマイナス形状の溝が確実に嵌って、かつ、打撃時に外れ(ズレ)ないように凹形状に切欠いて設けているが、本発明では、第1打撃部12c11および第2打撃部12b11を凹形状に切欠く必要はなく、直線状でも、あるいは直線状でストッパを設けたり、さらには補強板を溶接する等、適宜変更可能であり、要は、第2打撃部が外側補強板12cに設けた第1打撃部12c11の位置よりも高い位置に設けられていれば良い。
【0023】
また、外側補強板12cの第1外側補強板部12c1には、中心を抵抗板本体12aの外側面と外側補強板12cとの接合点を中心とし、かつ、円弧側が上部側(上端部)となる扇形状の扇形開口部12c12が設けられており、この扇形開口部12c12に可動式抵抗板15を取り付けている。なお、後述するように扇形開口部12c12および可動式抵抗板15は、本発明に必須のものではなく、省略することもできる。
【0024】
可動式抵抗板15は、図5(d)に示すようにその中央にスリット15aが形成されており、扇形開口部12c12に装着した際にはそのスリット15aが外側補強板12cの第1外側補強板部12c1に遊嵌して扇形開口部12c12に可動式に嵌め付けられる。
【0025】
そのため、可動式抵抗板15は地中への打込み時にはアンカ本体部12に近接して閉じ、地面3中に埋設され地面3中から抜ける方向に引っ張られた場合には、地面3中の土砂等が抵抗になって開くように動作する。
【0026】
(支線打込アンカの使用方法)
次に、以上のように構成された本実施形態の支線打込アンカ1の使用方法について説明する。
【0027】
まず、図6に示すように支線打込アンカ1を埋設するため、支線打込アンカ1のアンカ本体部12を収める埋設穴32を地面3に掘り、その後、その埋設穴32に支線打込アンカ1のアンカ本体部12を挿入する。
【0028】
次いで、図6に示すようにアンカ本体部12の外側補強板12cに設けられた第1打撃部12c11に対し打込工具5の先端部を合わせて、打込工具5により第1打撃部12c11を打撃して、アンカ本体部12を半分ほど地面3に打ち込む。
【0029】
すると、アンカ本体部12は外側が凸形状になるように湾曲しているため、図7に示すようにその先端から地表面31に対し傾斜した状態で進入していく。
【0030】
そのため、外側補強板12cの第1外側補強板部12c1の上端部に設けられた第1打撃部12c11も、鉛直方向ではなく斜め方向に進んで、抵抗板本体12aの上端部よりもロッド部11に近い方へ移動していく。
【0031】
すると、図7に示すように支線打込アンカ1のアンカ本体部12が半分ほど地面3に打ち込まれ段階で、打込工具5がアンカ本体部12の抵抗板本体12aに当たって打込工具5の先端部によって第1打撃部12c11を打撃することが困難になる。
【0032】
そのため、作業者は図7の実線で示すように打込工具5の先端部を第1打撃部12c11から離して、図7の2点鎖線および図8に示すように第1打撃部12c11よりも高い位置である内側補強板12bの上端部(上端部)に設けられた第2打撃部12b11に打込工具5の先端部を当接して打撃を継続する。
【0033】
すると、図8に示すように、第1外側補強板部12c1上端部に設けられた第1打撃部12c11とは異なり、内側補強板12bの上端部(上端部)に設けられた第2打撃部12b11は、打込工具5による打撃を邪魔するものがないため、打込工具5の先端部で第2打撃部12b11を打撃して、図9に示すように地面3中に支線打込アンカ1のアンカ本体部12を打ち込むことができる。
【0034】
そして、この支線打込アンカ1と地上起立体2とを図1に示すように支線4によって連結して地上起立体2を支持する場合には、支線打込アンカ1のロッド部11は地上起立体2側に傾斜させる必要があるため、図10に示すようにロッド部11が斜めに傾斜できるよう、ロッド部11が当たる埋設穴32の部分を筋掘りする。その後、この埋設穴32を埋めて完了する。
【0035】
従って、本実施形態の支線打込アンカ1によれば、第1打撃部12c11を外側補強板12cに設ける一方、第1打撃部12c11の次に打撃される第2打撃部12b11を第1打撃部12c11よりも高い位置に設けたため、埋設穴32の切削面積が少ない場合やアンカ本体部12の曲率が大きい場合でも、従来のものよりも簡単かつ確実にアンカ本体部12を地表面31に対し鋭角に打ち込むことができる。
【0036】
特に、本実施形態の支線打込アンカ1では、第2打撃部12b11を第1打撃部12c11よりも高い位置である内側補強板12bの上端部である基部12b1に設けたため、先に第1外側補強板部12c1の第1打撃部12c11を打込工具5によって打撃する一方、その後に内側補強板12bの第2打撃部12b11を打撃することにより、埋設穴32の内径が小さい場合でも、アンカ本体部12を地表面31に対しより鋭角に打ち込むことができる。
【0037】
その結果、アンカ本体部12の抵抗板本体12a等の曲率も大きくして、地表面31に対しより鋭角に打ち込むことが可能になり、より十分な抵抗力(耐張力)を得ることができる。
【0038】
また、本実施形態の支線打込アンカ1では、アンカ本体部12に地面3中への打込み時には可動式抵抗板15がアンカ本体部12に近接して閉じる一方、地面3中に埋設され地面3から抜ける方向に引っ張られた時には地面3中の土砂等が抵抗になって可動式抵抗板15が開くため、抵抗板とは別に安定板の打込みが不要になり、作業性を向上させつつより高い耐張力を得ることができる。
【0039】
なお、上記実施形態の説明では、外側補強板12cの第1外側補強板部12c1に扇形状の扇形開口部12c12を設け、この扇形開口部12c12に可動式抵抗板15を取り付けて説明したが、本発明では、これに限らず、抜け易くなるものの、可動式抵抗板15と扇形開口部12c12を省略しても良い。
【0040】
また、上記実施形態の説明では、可動式抵抗板15を、外側補強板12cの第1外側補強板部12c1に形成した扇形開口部12c12に回動可能に設けて説明したが、本発明では、これに限らず、第2外側補強板部12c2に扇形開口部を設けて同様に可動式抵抗板15を回動可能に設けても良いし、さらには、扇形開口部12c12を設けずに回転ピン等により外側補強板12cに回動可能に設けても良いし、外側補強板12cでなく内側補強板12bや、さらには、上述のように可動式抵抗板15が抵抗板本体12aに対し開閉するのではなく、外側補強板12cまたは内側補強板12bに対し開閉するように開口部やピン、回転軸などを介して取り付けても勿論良い。
【0041】
また、上記実施形態の説明では、第1外側補強板部12c1の上端部に第1打撃部12c11を設ける一方、内側補強板12bの基部12b1に第2打撃部12b11を設けて説明したが、本発明ではこれに限らず、例えば、第2外側補強板部12c2やアンカ本体部12の上端部に第2打撃部12b11を設けても良い。つまり、本発明では、第1打撃部12c11を外側補強板12cに設ける一方、第1打撃部12c11の次に打撃される第2打撃部12b11を第1打撃部12c11よりも高い位置に設ければ十分であり、打撃部の数も第1打撃部と第2打撃部の2つに限らず、3つ以上の打撃部を設けることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 支線打込アンカ
11 ロッド部
11a 上部連結部
11b 下部連結部
12 アンカ本体部
12a 抵抗板本体
12b 内側補強板
12b1 基部
12b11 第2打撃部
12c 外側補強板
12c1 第1外側補強板部
12c11 第1打撃部12c11
12c12 扇形開口部
12c2 第2外側補強板部
12c2 扇形開口部
13 U字状中継板部
14a ボルト
14b ナット
15 可動式抵抗板
3 地面
31 地表面
32 埋設穴
4 支線
5 打込工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10