(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-214917(P2015-214917A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】圧電ファン装置
(51)【国際特許分類】
F04D 33/00 20060101AFI20151106BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
F04D33/00
H01L41/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-97680(P2014-97680)
(22)【出願日】2014年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000242633
【氏名又は名称】北陸電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100186819
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 俊尚
(72)【発明者】
【氏名】砂原 忠男
(72)【発明者】
【氏名】荻原 克行
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB56
3H130AC30
3H130BA62C
3H130BA66C
3H130CB18
3H130DF00Z
3H130EA06C
3H130EA07C
3H130EB00C
3H130EB01C
3H130EC12C
(57)【要約】
【課題】 振動体をファンブレードとして用いる場合において、風量を従来よりも増加させることができる圧電ファン装置を提供する。
【解決手段】振動板11の厚み方向及び振動板11の振動方向と直交する振動板11の幅方向寸法は、ブレード形成部9の幅方向寸法W1が圧電素子19が固定される部分の幅方向寸法W2よりも大きくなるように構成されている。そしてブレード形成部9に設ける金属箔層の部分即ち第4の金属箔部分17Dは、ブレード形成部9の幅方向の中央領域R1が該中央領域R1の両側の領域R2及びR3よりも撓みやすくなるようなパターンになるようにパターニングされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い込み口と吐き出し口とを有する筒状のハウジングと、
一端が固定され且つ他端側にブレード形成部を備えた板状の振動板と、
前記振動板の前記一端と前記ブレード形成部との間の部分に固定されて、駆動されると前記振動板を前記一端を支点として振動させる圧電素子とを備え、
前記振動板の厚み方向及び前記振動板の振動方向と直交する前記振動板の幅方向寸法は、前記ブレード形成部の幅方向寸法が前記圧電素子が固定される部分の幅方向寸法よりも大きくなるように構成されている圧電ファン装置であって、
前記振動板の少なくとも前記ブレード形成部はフレキシブル基板上に金属箔層が形成されて構成され、
前記ブレード形成部の前記金属箔層は、前記ブレード形成部の幅方向の中央領域が該中央領域の両側の領域よりも撓みやすくなるように所定のパターンにパターニングされていることを特徴とする圧電ファン装置。
【請求項2】
前記振動板全体が、前記フレキシブル基板上に前記金属箔層が形成されて構成されている請求項1に記載の圧電ファン装置。
【請求項3】
前記振動板は前記一端が固定されている部分の中心を通って長手方向に延びる仮想中心線に対して線対称形状を有している請求項2に記載の圧電ファン装置。
【請求項4】
前記所定のパターンは、前記仮想中心線との間の角度が0度になるように前記仮想中心線に沿って延びる中央骨部と、該中央骨部の前記幅方向外側に位置する複数の外側骨部とを含んでおり、前記複数の外側骨部は前記仮想中心線との間の角度が、前記仮想中心線から前記幅方向外側に離れるものほど大きくなるように定められている請求項3に記載の圧電ファン装置。
【請求項5】
前記所定のパターンは、前記中央骨部及び前記複数の外側骨部の基部を連結する連結部を更に備えており、
前記中央骨部及び前記複数の外側骨部は、前記連結部から離れるにしたがって前記幅方向の寸法が小さくなるように形状が定められている請求項4に記載の圧電ファン装置。
【請求項6】
前記中央骨部及び前記複数の外側骨部は、先端部においてそれぞれ1点に収束しており、
前記複数の外側骨部のうち前記幅方向の最も外側に位置する2つの前記外側骨部の前記基部の前記幅方向の寸法が、他の前記外側骨部及び前記中央骨部の基部の前記幅方向の寸法よりも長い請求項5に記載の圧電ファン装置。
【請求項7】
前記ブレード形成部は、前記幅方向の寸法が一定の一定幅部と、前記連結部から離れる方向に凸となるように湾曲した湾曲部とからなる請求項5または6に記載の圧電ファン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電ファン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特表2000−513070号公報(特許文献1)の
図3及び
図4には、吸い込み口と吐き出し口とを有する筒状のハウジングと、一端が固定され且つ他端側にブレード形成部を備えた板状の振動板と、振動板の一端とブレード形成部との間の部分に固定されて、駆動されると振動板を一端を支点として振動させる圧電素子とを備えた従来の圧電ファン装置が開示されている。この従来の圧電ファン装置では、振動板の厚み方向及び振動板の振動方向と直交する振動板の幅方向寸法は、ブレード形成部の幅方向寸法が圧電素子が固定される部分の幅方向寸法よりも大きくなるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−513070号公報
図3及び
図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の圧電ファン装置では、高い剛性対重量比を有するグラファイト合成樹脂で構成したファンブレードを用いている。しかしながら発明者の研究によると、ファンブレード全体を高い剛性対重量比を有する材料で形成すると、風量を増加させることに限界があった。
【0005】
本発明の目的は、振動体をファンブレードとして用いる場合において、風量を従来よりも増加させることができる圧電ファン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の圧電ファン装置は、吸い込み口と吐き出し口とを有する筒状のハウジングと、一端が固定され且つ他端側にブレード形成部を備えた板状の振動板と、振動板の一端とブレード形成部との間の部分に固定されて、駆動されると振動板を一端を支点として振動させる圧電素子とを備えている。そして振動板の厚み方向及び振動板の振動方向と直交する振動板の幅方向寸法は、ブレード形成部の幅方向寸法が圧電素子が固定される部分の幅方向寸法よりも大きくなるように構成されている。このような構成の圧電ファン装置においては、特に、本発明では、振動板の少なくともブレード形成部をフレキシブル基板上に金属箔層が形成された構成を採用する。フレキシブル基板は、ポリイミド基板等の可撓性のある基板である。金属箔層は、銅箔等の金属箔によって形成されていればよく、フレキシブル基板の片面または両面のいずれに形成されていてもよい。そしてブレード形成部の金属箔層は、ブレード形成部の幅方向の中央領域が該中央領域の両側の領域よりも撓みやすくなるように所定のパターンにパターニングされている。またこのパターンは、共振周波数の調整にも寄与している。
【0007】
本発明によれば、金属箔層が存在している部分で、ブレード形成部に必要な剛性を付与し、金属箔層が存在しない部分で、ブレード形成部に撓みやすい部分を形成する。特に、ブレード形成部の幅方向の中央領域が該中央領域の両側の領域よりも撓みやすくなるようにしておくと、振動板が振動する際に、振動板が一方の方向に変形した後、他方の方向に変形を変える際における、ブレード形成部の中央領域の加速度の変化が中央領域の幅方向の両側の領域の加速度の変化よりも大きくなる。このように中央領域の加速度の変化が、他の領域の加速度の変化よりも大きくなると、ブレード形成部から吐き出される風量が増加する。よって本発明によれば、従来よりも風量を増大させることができる。
【0008】
振動板全体が、フレキシブル基板上に金属箔層が形成されて構成されていてもよい。このようにすると金属箔層を圧電素子の駆動用電極の一部として利用することができる。別の見方をすると、駆動用電極の形成とブレード形成部の金属箔層を同じ金属箔層により形成できるので、製造が容易になる。
【0009】
振動板は一端が固定されている部分の中心を通って長手方向に延びる仮想中心線に対して線対称形状を有しているのが好ましい。このような線対象形状にすると、金属箔層の存在が振動板の振動に悪影響を与えることがない。
【0010】
ブレード形成部の金属箔層にパターンニングする所定のパターンは、仮想中心線との間の角度が0度になるように仮想中心線に沿って延びる中央骨部と、該中央骨部の幅方向外側に位置する複数の外側骨部とを含んでいるのが好ましい。そして複数の外側骨部は、仮想中心線との間の角度が、仮想中心線から幅方向外側に離れるものほど大きくなるように定められているのが好ましい。このようにするとパターンの設計が容易になるだけでなく、駆動時におけるブレード形成部の変形がスムーズになる。
【0011】
また所定のパターンは、中央骨部及び複数の外側骨部の基部を連結する連結部を更に備えているのが好ましい。そしてこの場合、中央骨部及び複数の外側骨部は、連結部から離れるにしたがって幅方向の寸法が小さくなるように形状が定められているのが好ましい。中央骨部及び複数の外側骨部をこのような形状にすると、ブレード形成部の中央領域を該中央領域の幅方向の両側の領域よりもより撓みやすくすることが可能になり、中央領域の加速度変化を更に大きなものとすることができる。
【0012】
また中央骨部及び複数の外側骨部は、先端部においてそれぞれ1点に収束しており、複数の外側骨部のうち幅方向の最も外側に位置する2つの外側骨部の基部の幅方向の寸法が、他の外側骨部及び中央骨部の基部の幅方向の寸法よりも長いものとするのが好ましい。このように構成すると、駆動時において、ブレード形成部が必要以上に変形することを防止することができる。
【0013】
またブレード形成部は、幅方向の寸法が一定の一定幅部と、連結部から離れる方向に凸となるように湾曲した湾曲部とから構成されるのが好ましい。このような湾曲部を形成すると、ブレード形成部の変形により押し出される風の多くをハウジングの吐き出し口へ吐き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態の圧電ファン装置の一部断面図である。
【
図2】本実施の形態で用いる振動板ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して、本発明の圧電ファン装置の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は本実施の形態の圧電ファン装置1の一部断面図であり、
図2は本実施の形態で用いる振動板ユニット3の平面図である。圧電ファン装置1は、吸い込み5Aと吐き出し口5Bとを有する横断面形状の輪郭が矩形状を呈する角筒状のハウジング5を備えている。ハウジング5は、絶縁樹脂により形成された厚み方向に二つ割りの構造を有している。ハウジング5の底壁部5Cには、取付台座5Dが一体に形成されており、この取付台座5Dに圧電ファン本体7が取り付けられている。圧電ファン本体7は、振動板ユニット3を備えており、この振動板ユニット3は、一端11Aが固定され且つ他端11B側にブレード形成部9を備えた板状の振動板11と、振動板の一端に一体に設けられたリード線構成部13とを備えている。振動板ユニット3は、ポリイミド等からなるフレキシブル基板15の片面(表面)上に銅箔からなる金属箔層17を備えた構造を有している。
【0016】
金属箔層17は、リード線を構成する第1及び第2の金属箔部分17A及び17Bと、後述する圧電素子19を固定する第3の金属箔部分17Cと、ブレード形成部9に所定のパターンの骨構造を形成するための第4の金属箔部分17Dを備えている。第1の金属箔部分17Aと第2の金属箔部分17Bとの間には、
図2に示すように、L字状のスリット18が形成されている。その結果、第1の金属箔部分17Aと第2の金属箔部分17Bとは電気的に絶縁されている。さらに第3の金属箔部分17Cと第4の金属箔部分17Dとの間にもスリットが形成されていて、両者は電気的に絶縁されている。
【0017】
圧電素子19は、振動板11の一端11Aとブレード形成部9との間の圧電素子取付部分11Cに固定されている。圧電素子19は、板状の圧電部の両面に第1の導電部と第2の導電部とを有している。そして第1の導電部は、圧電素子19を貫通するスルーホール導電部を介して第1の金属箔部分17Aと電気的に接続され、第2の導電部は第3の金属箔部分17Cと導電性接着剤を介して電気的に接続されている。本実施の形態では、圧電素子19の他端が第4の金属箔部分17Dと一部重なった状態に配置されている。しかしながら圧電素子19と第4の金属箔部分17Dとの間には、導電性接着剤は存在しておらず、圧電素子19と第4の金属箔部分17Dとは電気的には接続されていない。圧電素子19は、駆動されると振動板11を一端11Aを支点として
図1に示した状態で上下方向に振動するように、圧電部が分極されている。本実施の形態では、圧電素子19と対向する振動板11の裏面部に周波数調整用の真鍮等の金属箔20が貼り付けられている。なおこの金属箔には、後述するネジ22が貫通する図示しない貫通孔が形成されている。本実施の形態の場合、具体的にはフレキシブル基板15に設けられた貫通孔21及び前述の金属箔20に設けた図示しない貫通孔にネジ22を挿入し、取付台座5Dに設けた図示しないネジ孔bにネジ22をネジ込むことにより圧電ファン本体7を固定するため、台座部5Dの角部が支点になっている。本実施の形態の振動板11は一端11Aが固定されている部分の中心を通って長手方向に延びる仮想中心線CLに対して実質的に線対称形状を有している。
【0018】
振動板11の厚み方向及び振動板11の振動方向と直交する振動板11の幅方向寸法は、ブレード形成部9の幅方向寸法W1が圧電素子19が固定される部分の幅方向寸法W2よりも大きくなるように構成されている。そしてブレード形成部9に設ける金属箔層の部分即ち第4の金属箔部分17Dは、ブレード形成部9の幅方向の中央領域R1が該中央領域R1の両側の領域R2及びR3よりも撓みやすくなるようなパターンになるようにパターニングされている。なおパターンニングは、エッチングにより行う。
【0019】
このようにするとパターンの設計が容易になるだけでなく、駆動時におけるブレード形成部9の変形がスムーズになる。ブレード形成部9において、金属箔層が存在している部分で、ブレード形成部9に必要な剛性を付与し、金属箔層が存在しない部分で、ブレード形成部9に撓みやすい部分を形成する。特に、ブレード形成部9の幅方向の中央領域R1が該中央領域の両側の領域R2及びR3よりも撓みやすくなるようにしておくと、振動板11が振動する際に、振動板11が一方の方向に変形した後、他方の方向に変形を変える際における、ブレード形成部9の中央領域R1の加速度の変化が中央領域の幅方向の両側の領域R2及びR3の加速度の変化よりも大きくなる。このように中央領域R1の加速度の変化が、他の領域R2及びR3の加速度の変化よりも大きくなると、ブレード形成部9から吐き出される風量が増加する。よって本実施の形態によれば、従来よりも風量を増大させることができる。
【0020】
ブレード形成部9の金属箔層にパターンニングして形成される第4の金属箔部分17Dのパターンは、仮想中心線CLとの間の角度が0度になるように仮想中心線CLに沿って延びる中央骨部23と、該中央骨部23の幅方向外側に位置する4本の外側骨部24,25とを含んでいる。中央骨部23及び外側骨部24,25は、先端部においてそれぞれ1点に収束している。そして外側骨部24及び25のうち幅方向の最も外側に位置する2つの外側骨部25の基部の幅方向の寸法が、外側骨部24及び中央骨部23の基部の幅方向の寸法よりも長い。このように構成すると、駆動時において、ブレード形成部9が必要以上に変形することを防止することができる。外側骨部24と仮想中心線CLとの間の角度θ1と、外側骨部25と仮想中心線CLとの間の角度θ2とは、θ2>θ1となっており、仮想中心線CLから幅方向外側に離れるものほど、外が骨部と仮想中心線CLとの角度は大きくなる。
【0021】
本実施の形態の第4の金属箔部分17Dのパターンは、中央骨部23及び外側骨部24及び25の基部を連結する連結部27を更に備えている。中央骨部23及び外側骨部24及び25は、連結部27から離れるにしたがって幅方向の寸法が小さくなるように形状が定められている。中央骨部23及び複数の外側骨部24,25をこのような形状にすると、ブレード形成部9の中央領域R1を該中央領域の幅方向の両側の領域R2及びR3よりもより撓みやすくすることが可能になり、中央領域R1の加速度変化を更に大きなものとすることができる。
【0022】
また本実施の形態では、ブレード形成部9が、幅方向の寸法が一定の一定幅部9Aと、後述する連結部27から離れる方向に凸となるように湾曲した湾曲部9Bとから構成されている。このような湾曲部9Bを形成すると、ブレード形成部9の変形により押し出される風の多くをハウジングの吐き出し口5Bへ吐き出すことができる。
【0023】
なお上記の第4の金属箔部分17Dのパターンは、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
上記実施の形態における駆動周波数を103Hzとした場合により吐き出し口5Bから吐出される風量が、上記実施の形態におけるブレード形成部9の第4の金属箔部分を何もパターニングしない状態(銅箔が全体に残っている状態)にした比較例の圧電ファン装置の風量と比べて、増大することを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、従来よりも風量を増大させることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 圧電ファン装置
3 振動板ユニット
5 ハウジング
5C 壁部
7 圧電ファン本体
9 ブレード形成部
11 振動板
13 振動板ユニット
15 フレキシブル基板
17 金属箔層
19 圧電素子
20 金属箔
21 貫通孔
22 ネジ
23 中央骨部
24 外側骨部
25 外側骨部
27 連結部