【解決手段】燃料タンク31と、漏洩する燃料を溜める受水容器30と、受水容器30の両側に配設される側板3aを有するベースと、を備えるエンジン駆動作業機とする。受水容器30は上方が開放され、受水容器30の上方を横断するように燃料タンク固定板35が側板3aに固定され、燃料タンク固定板35には、燃料タンク31から漏洩する燃料を受け入れる燃料受入容器31aが固定される。燃料タンク31は燃料受入容器31aに収容されて固定され、燃料受入容器31aの底面31a1と燃料タンク固定板35に、互いに連通して受水容器30の上方で開口する第1排油孔31a3及び第2排油孔35aが形成されていることを特徴とする。
固定された前記燃料受入容器と前記上部排水孔との間には、前記側板と対向する仕切板が前記燃料タンク固定板に立設していることを特徴とする請求項3に記載のエンジン駆動作業機。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1はエンジン駆動作業機の外観図である。
図1に示すように、本実施形態のエンジン駆動作業機1は、ベース3と、ベース3上に取り付けられた防音ケース2と、を含んで筐体が構成されている。
防音ケース2は、前方(Fr)側の面(前面)を形成するフロントパネル2Fと、上方(Up)側の面(天井面)を形成するアッパパネル2Uと、前面から見た両側面を形成する2枚のサイドパネル2Sと、後方(Re)側の面(背面)を形成するリアパネル2Rと、を含んで構成され、フロントパネル2Fにはサブパネル2Faが取り付けられている。また、ベース3は防音ケース2の下方(Dn)に配置される。ベース3は受水容器30を具備する。
【0019】
フロントパネル2Fに取り付けられるサブパネル2Faには、空気を防音ケース2の内側に取り込む吸気口(前方吸気口20)が開口し、アッパパネル2Uには、防音ケース2から空気を排気するための排気口(前方排気口21a,中央排気口21b)が開口している。
また、サイドパネル2Sの後方には、空気を防音ケース2の内側に取り込む後方吸気口22が開口している。
【0020】
さらに、サイドパネル2Sに、メンテナンス用のサイド扉200が開閉可能に備わっている。サイド扉200は、第1開閉部200aと第2開閉部200bを有する。本実施形態において、第1開閉部200aは第2開閉部200bよりも前方の側に配置される。第1開閉部200aと第2開閉部200bは互いに観音開きになっている。第1開閉部200aは、ベース3の位置から防音ケース2を開閉する。第2開閉部200bは、ベース3の位置よりも高い位置(上方の位置)で防音ケース2を開閉する。
【0021】
図2は、防音ケースの内側に形成される、マフラ室、ラジエータ室、エンジン室を示す図である。
図2に示すように、防音ケース2の内側には、マフラ室40、エンジン室50、およびラジエータ室60が形成されている。
マフラ室40は、防音ケース2の前方(フロントパネル2Fの側)に、フロントパネル2Fと、アッパパネル2Uと、2枚のサイドパネル2Sと、隔壁(前方隔壁2a)と、で囲まれて形成されている。
【0022】
前方隔壁2aは、防音ケース2を全幅及び全高に亘って区切る隔壁であり、これによって防音ケース2内が前方と後方に区切られ、前方にマフラ室40が形成される。なお、ここでいう全幅は、前方(Fr)から後方(Re)に向かう方向及び上方(Up)から下方(Dn)に向かう方向と直交する幅方向の全域を示す。また、全高は、上方(Up)から下方(Dn)までの高さ方向の全域を示す。
【0023】
また、エンジン室50は、防音ケース2の後方(リアパネル2Rの側)に、リアパネル2Rと、アッパパネル2Uと、2枚のサイドパネル2Sと、前方隔壁2aと、で囲まれて形成される。つまり、マフラ室40とエンジン室50は前方隔壁2aで仕切られている。
【0024】
さらに、前方隔壁2aのエンジン室50側には、上方部分を仕切る隔壁(上部隔壁2b)が取り付けられている。上部隔壁2bは、前方隔壁2aから後方(リアパネル2Rの側)および上方(アッパパネル2Uの側)に向かって傾斜する傾斜面2b1と、その両側方に上方に向かって形成される側面2b2と、を有し、傾斜面2b1と側面2b2の上端がアッパパネル2Uに当接するように構成される。また、傾斜面2b1と側面2b2の前方の端部が前方隔壁2aに当接し、上部隔壁2bと、前方隔壁2aと、アッパパネル2Uと、で囲まれた領域とエンジン室50が仕切られる。そして、上部隔壁2bでエンジン室50と仕切られる領域がラジエータ室60になる。つまり、ラジエータ室60は上部隔壁2bでエンジン室50と仕切られ、前方隔壁2aでマフラ室40と仕切られる。
なお、アッパパネル2Uの前方排気口21aはマフラ室40の位置に開口し、中央排気口21bはラジエータ室60の位置に開口している。また、サイドパネル2Sの後方吸気口22は、エンジン室50の位置に開口している。
【0025】
上部隔壁2bの側面2b2には、サイド扉200の第1開閉部200aが開扉したときに防音ケース2の外部を臨む位置にメンテナンス用の作業口2b3が開口しており、防音ケース2の外部からラジエータ室60のメンテナンスが可能に構成される。なお、作業口2b3は、蓋部材2b4で気密に閉塞されることが好ましい。蓋部材2b4は、例えば、図示しないネジ部材で側面2b2に着脱可能に締結固定され、必要に応じて取り外し可能であることが好ましい。
【0026】
エンジン室50には、エンジンファン51aが付設されるエンジン51と、エンジン51で駆動する作業機52(発電機,圧縮機,ポンプなど)が収容されている。エンジン51および作業機52は、防音ケース2で覆われている。エンジン51および作業機52は、サイド扉200の第1開閉部200aおよび第2開閉部200bが開扉したときに、防音ケース2の外部に露出するように配設されている。
【0027】
また、マフラ室40には、エンジン51から排気される排気ガスの温度を下げるとともに圧力を低下させるマフラ41が配設される。マフラ41は、エンジンファン51aの前方に配設される。そして、前方隔壁2aには、エンジンファン51aとマフラ41の間に通風孔2a2が開口している。さらに、エンジン室50には、エンジンファン51aが送風する空気を前方隔壁2aの通風孔2a2まで導風する排気ダクト51bが備わっている。このような排気ダクト51bが備わることによって、エンジンファン51aが送風する空気を全て通風孔2a2に送風することができる。なお、マフラ41は、前方隔壁2aに形成されているマフラ取付部46に取り付けられる。
また、
図2に示すように、前方隔壁2aの下方側端部がフロントパネル2Fの側に折れ曲がって延出部2a3が形成され、延出部2a3の上面にマフラ41が配設される。
【0028】
そして、本実施形態のエンジン駆動作業機1は、前方隔壁2aの延出部2a3の下方に燃料タンク31が配設されている。燃料タンク31は防音ケース2の内側に配設され、エンジン51に供給される燃料が貯留される。
【0029】
また、マフラ室40には電動ファン42が配設される。電動ファン42は前方隔壁2aに取り付けられ、駆動するとフロントパネル2Fに開口している前方吸気口20(
図1参照)を介して空気を吸い込むように構成されている。そして、電動ファン42は、ラジエータ室60に配設されて前方隔壁2aに取り付けられるラジエータ61に吸い込んだ空気を送風する。
【0030】
図3はベースの分解斜視図である。
図4は燃料受入容器の斜視図である。
図5は燃料タンク及び受水容器が取り付けられたベースの斜視図である。
図3に示すように、ベース3は受水容器30と側板3aを有する。受水容器30は上方(Up)が開放された容器であり、液体(燃料,潤滑油等)を貯留可能な液密構造になっている。側板3aは、前後方向に延びる受水容器30の側方に固定される。側板3aは上下の端辺及び前後の端辺が外方に屈曲している。このような側板3aが受水容器30の両側に取り付けられている。
側板3aの上方の端辺が外方に屈曲した平面(上端面3aU)に防音ケース2(
図1参照)が取り付けられる。
【0031】
側板3aには、ボルト(第1ボルトBL1)が挿通するボルト孔(第1ボルト孔HL1)が適宜開口している。また、受水容器30において第1ボルト孔HL1に対応する位置には第2ボルト孔HL2が開口している。そして、側板3aの第1ボルト孔HL1と受水容器30の第2ボルト孔HL2を挿通した第1ボルトBL1に受水容器30の内側から第1ナットNT1が締め込まれて側板3aが受水容器30に取り付けられる。側板3aが受水容器30に取り付けられる構造の詳細は後記する。
【0032】
ベース3の前方(Fr)には上方から燃料タンク31が取り付けられている。燃料タンク31は燃料受入容器31aに収容されて側板3aに取り付けられる。燃料受入容器31aは、燃料タンク31から漏洩する燃料を受け入れ、燃料が周囲に拡散することを防止する。燃料タンク31には燃料ドレン管310と給油口(燃料給油口311)が取り付けられている。燃料給油口311は給油パイプ311aの先端に開口している。燃料タンク31に貯留される燃料は燃料供給管(図示せず)から燃料ホース(図示せず)で取り出されてエンジン51(
図2参照)に供給される。燃料ドレン管310にはドレンホース(図示せず)が接続される。例えば、ドレンホースは側板3aに向かって延設される。そして、ドレンホースに備わるドレンボルト(図示せず)を緩めることで燃料タンク31の燃料を側板3aの側から抜き取ることができる。
また、燃料給油口311の給油パイプ311aは、燃料タンク31に対して幅方向に延設されている。つまり、燃料給油口311は防音ケース2(
図1参照)に向かって延設され、燃料タンク31に対して幅方向に突出している。
【0033】
なお、エンジン51(
図2参照)がディーゼルエンジンの場合、燃焼されなかった燃料を燃料タンク31に戻すための燃料戻し管(図示せず)が配管される。
【0034】
図4に示すように、燃料受入容器31aは、上方を向く平面状の底面31a1の端辺(4辺)に壁面31a2が立設された箱形(容器形状)を呈する。底面31a1には排油孔(第1排油孔31a3)が開口している。
図3に示す燃料タンク31は、燃料受入容器31aの底面31a1に載置されて壁面31a2に囲まれた状態で固定される。
【0035】
前方(Fr)の壁面31a2には、タンクバンド用ブラケット31a4が取り付けられている。タンクバンド用ブラケット31a4は、平面状のブラケットが前方に延設されて形成される。タンクバンド用ブラケット31a4には、燃料タンク31を固定するタンクバンド31bの一端がねじ止め等によって係止される。
後方(Re)の壁面31a2には、バンド固定孔31a6が形成されている。バンド固定孔31a6には、タンクバンド31bの他端がねじ止め等によって係止される。バンド固定孔31a6は、壁面31a2に形成される貫通孔にナット部材NT3が固着されて構成されている。
【0036】
また、後方の壁面31a2には燃料ドレン管取出口31a7が開口している。燃料タンク31の燃料ドレン管310(
図3参照)は燃料ドレン管取出口31a7を挿通して燃料受入容器31aから突出する。
【0037】
燃料受入容器31aの側方に形成される壁面31a2(前方から後方に向かう壁面31a2)には、取付用孔31a5が形成されている。取付用孔31a5は、壁面31a2に形成される貫通孔にナット部材NT2が固着されて構成される。燃料受入容器31aは、取付用孔31a5に締め込まれる第2ボルトBL2(
図3参照)で側板3a(
図3参照)に取り付けられる。
【0038】
図3に示すように、側板3aにおいて燃料受入容器31aの取付用孔31a5(
図4参照)に対応する位置にはボルト孔(第3ボルト孔HL3)が開口している。第2ボルトBL2は側板3aの側から第3ボルト孔HL3を挿通して燃料受入容器31aの取付用孔31a5に締め込まれる。
【0039】
また、
図3に示すように、ベース3には、エンジン51(
図2参照)を固定するエンジン取付部32aと、作業機52(
図2参照)を固定する作業機取付部32bが備わっている。
エンジン取付部32aは、2つの側板3aに横架される第1ベース32a1に固定されている。作業機取付部32bは、2つの側板3aに横架される第2ベース32b1に固定されている。
【0040】
第1ベース32a1と第2ベース32b1の間は空間となっている。このため、エンジン取付部32aに取り付けられたエンジン51(
図2参照)からの漏洩物(燃料,潤滑油等)は第1ベース32a1と第2ベース32b1の間に落下する。また、作業機取付部32bに取り付けられた作業機52(
図2参照)からの漏洩物は第1ベース32a1と第2ベース32b1の間に落下する。なお、エンジン取付部32a及び作業機取付部32bの形状や取り付け位置は、ベース3に搭載されるエンジン51及び作業機52の形状や大きさに応じて適宜変更可能である。
【0041】
本実施形態のベース3において、作業機取付部32bはエンジン取付部32aよりも後方(Re)に配置される。作業機取付部32bの後方には排水板33が備わっている。排水板33は上方に平面を向ける板部材であり、後方ほど下方に向かうように傾斜している。排水板33は2つの側板3aに液密に固定されている。例えば、排水板33は2つの側板3aに溶接されている。
そして、燃料受入容器31a、エンジン取付部32a、作業機取付部32b、及び排水板33の下方に受水容器30が配置される。このため、エンジン51(
図2参照)及び作業機52(
図2参照)からの漏洩物は第1ベース32a1と第2ベース32b1の間に落下して受水容器30に流入する。
【0042】
また、排水板33は受水容器30の上方(開口部)を覆うように配設される。排水板33には防音ケース2(
図1参照)内に浸入した雨水が落下するように構成されている。そして、排水板33に落下した雨水は受水容器30に流入することなくベース3から排水される。
【0043】
図5に示すように、燃料タンク31は燃料受入容器31aに収容されてタンクバンド31bで固定される。また、本実施形態において燃料受入容器31aは燃料タンク固定板35に取り付けられている。
燃料タンク31の燃料ドレン管310は、燃料受入容器31aの燃料ドレン管取出口31a7及び燃料タンク固定板35の燃料ドレン管取出口35c1を挿通して燃料タンク固定板35の後方に突出する。
【0044】
燃料ドレン管310に接続されるドレンホース(図示せず)が外れた場合、燃料タンク31の燃料が燃料ドレン管310から漏洩する。燃料ドレン管310を通った燃料は燃料タンク固定板35の後方に落下する。この位置には受水容器30が配置されている。したがって、燃料ドレン管310を通って燃料タンク31から漏洩する燃料は受水容器30に流入する。
また、燃料タンク31から漏洩する燃料は燃料受入容器31aに流れ込む。燃料受入容器31aに流れ込んだ燃料の一部は、燃料受入容器31aの燃料ドレン管取出口31a7及び燃料タンク固定板35の燃料ドレン管取出口35c1を通って受水容器30に流入する。
【0045】
サイド扉200の第1開閉部200a(
図1参照)が備わる側の側板3aには、上端面3aUに扉係止部3cが形成されている。扉係止部3cは、第1開閉部200aの前後方向の長さと等しい長さに形成される。扉係止部3cは、平面部3c1と壁状部3c2と折返し部3c3を有する。平面部3c1は、側板3aの上端面3aUに面接触する。壁状部3c2は、平面部3c1が起立して形成されている。折返し部3c3は、壁状部3c2の上方の端辺が外方に屈曲して形成されている。また、側板3aの外方において平面部3c1の端辺が下方に屈曲し下垂部3c4が形成されている。
扉係止部3cには、
図1に示す第1開閉部200aが係合し、防音ケース2(
図1参照)の内側への雨水の浸入を抑制している。扉係止部3cの構造の詳細は後記する。
【0046】
また、
図5に示すように、側板3aの上端面3aUには複数のボルト孔(第4ボルト孔HL4)が開口している。第4ボルト孔HL4には下方から第3ボルトBL3が挿通する。第3ボルトBL3は、側板3aの上端面3aUに防音ケース2(
図1参照)を締結固定するボルトである。
【0047】
図6は燃料受入容器の取付構造を示す斜視図である。
図6に示すように、ベース3において燃料受入容器31aが備わる位置には燃料タンク固定板35が備わっている。燃料タンク固定板35は上方に平面を向ける板状の部材である。燃料タンク固定板35は、受水容器30の上方を横断するように備わっている。燃料タンク固定板35は後方の端辺が上方に向かって壁状に起立して後壁部35cが形成されている。後壁部35cにおいて、燃料受入容器31aの燃料ドレン管取出口31a7に対応する位置には燃料ドレン管取出口35c1が開口している。燃料受入容器31aが燃料タンク固定板35に固定されたとき、燃料タンク固定板35の燃料ドレン管取出口35c1と燃料受入容器31aの燃料ドレン管取出口31a7が互いに連通する。燃料ドレン管取出口35c1は、後壁部35cから上方を向いた平面にかけて形成される。
【0048】
燃料タンク固定板35は2つの側板3aに溶接等で固定されている。燃料タンク固定板35は上端面3aUよりも下方に取り付けられる。燃料タンク固定板35において燃料受入容器31aの第1排油孔31a3に対応する位置には排油孔(第2排油孔35a)が開口している。第1排油孔31a3と第2排油孔35aは互いに連通し、受水容器30の上方で開口している。受水容器30は上方が開放されている。したがって、第1排油孔31a3と第2排油孔35aは、開放された受水容器30の上方を臨むように形成されている。
なお、第2排油孔35aは燃料受入容器31aの第1排油孔31a3よりも開口面積が大きくなっている。つまり、第2排油孔35aの前後方向及び幅方向の長さは第1排油孔31a3の前後方向及び幅方向の長さよりも長くなっている。
【0049】
燃料タンク固定板35の上方には、側板3aと平行に仕切板(雨水仕切板36)が立設している。燃料タンク固定板35には、2つの側板3aとそれぞれ対向するように2つの雨水仕切板36が備わっている。雨水仕切板36は燃料タンク固定板35に溶接等で固定される。雨水仕切板36は燃料タンク固定板35に対して液密に固定されている。
燃料受入容器31aは2つの雨水仕切板36の間に配設される。換言すると、雨水仕切板36は燃料受入容器31aの外側で側板3aと対向するように燃料タンク固定板35に立設している。そして、雨水仕切板36と側板3aの間には間隙(排水溝36a)が形成されている。つまり、側板3aと燃料受入容器31aの間に雨水仕切板36と排水溝36aが介在している。
【0050】
側板3aと雨水仕切板36の間に形成される排水溝36aにおいて、燃料タンク固定板35に排水孔(上部排水孔35b)が形成されている。上部排水孔35bは、側板3aの側において燃料タンク固定板35の端辺が切り欠かれて形成される。つまり、上部排水孔35bは側板3aの側に形成される。なお、
図6には1つの排水溝36aに1つの上部排水孔35bが図示されているが、上部排水孔35bの数は限定されない。
【0051】
雨水仕切板36において、燃料受入容器31aの取付用孔31a5に対応する位置には、スペーサ部材36bが固着されている。スペーサ部材36bは雨水仕切板36と燃料受入容器31a(壁面31a2)の間に介在する。スペーサ部材36bには貫通孔36hが貫通している。なお、スペーサ部材36bは、燃料受入容器31aに固着されていてもよい。
また、側板3aにおいて第3ボルト孔HL3が形成される位置には、側板3aと雨水仕切板36の間にスペーサ部材3bが配設される。スペーサ部材3bは側板3aに溶接等で固着されている。スペーサ部材3bには第2ボルトBL2が挿通する貫通孔(図示せず)が開口している。
【0052】
側板3aの第3ボルト孔HL3を挿通した第2ボルトBL2は、スペーサ部材3bの貫通孔及びスペーサ部材36bの貫通孔36hを挿通して燃料受入容器31aの取付用孔31a5に締め込まれる。
側板3aと雨水仕切板36の間にスペーサ部材3bが配設されることによって、第2ボルトBL2が取付用孔31a5に締め込まれたときの雨水仕切板36や燃料受入容器31aの変形が抑制される。
【0053】
なお、
図6に示すように受水容器30には前方にドレン管300が備わっている。ドレン管300は図示しないドレンコックで開閉される。ドレンコックによってドレン管300が開放されると、受水容器30に貯留されている液体(漏洩物等)が排出される。ドレン管300の周囲にはドレンブラケット300aが配設される。ドレンブラケット300aは、ドレン管300の周囲を囲うように前方に向かって立設している。ドレン管300から漏洩する漏洩物はドレンブラケット300aで受け止められる。
【0054】
図7の(a)はベースに取り付けられる集水板を示す斜視図、(b)は集水板に形成される下部排水孔を示す斜視図である。
図7の(a)に示すように、受水容器30と側板3aの間には所定の間隙(雨水落下溝30a)が形成される。雨水落下溝30aにおいて側板3aには集水板37が取り付けられている。集水板37は受水容器30に沿って延設されている。集水板37は受水容器30の長さ(前方から後方までの長さ)以上の長さを有することが好ましい。集水板37は基部37aと集水部37bを有する。
基部37aは平面状に形成されて側板3aに面接触する。基部37aは溶接等で側板3aに固定される。集水部37bは、側板3aに固定された基部37aの上方の端辺が受水容器30の側に折れ曲がって形成される。集水部37bは基部37aの側から上方に向かって受水容器30の側に傾斜している。
【0055】
図7の(b)に示すように、集水板37には複数の排水孔(下部排水孔37c)が形成されている。下部排水孔37cは、基部37aに対して集水部37bが折れ曲がっている部分で基部37aと集水部37bを貫通するように形成される。下部排水孔37cは、所定の間隔で並んで開口している。
なお、
図7の(b)の符号3dは、第1開閉部200a(
図1参照)に当接するトリムシールである。トリムシール3dの詳細は後記する。
図7の(b)に示すように、集水部37bは側板3aの側に向かって傾斜している。したがって、下部排水孔37cは集水部37bの下方に形成される。
なお、
図7の(b)には等しい間隔で開口する同じ形状の下部排水孔37cが図示されている。しかしながら下部排水孔37cの配置や形状は限定されない。異なった形状の下部排水孔37cが異なった間隔で配置される集水板37であってもよい。
【0056】
図8は
図7の(b)におけるSec1−Sec1での断面図である。
図8に示すように、集水板37の集水部37bは受水容器30の側に向かって上方が開くように折れ曲がっている。集水部37bは、側板3aと雨水仕切板36の間に形成される排水溝36aの下方に配置される。つまり、集水板37の集水部37bは雨水仕切板36よりも内側(燃料受入容器31aが配置される側)まで折れ曲がっている。
図3に示す第1ボルト孔HL1は、側板3aと基部37aが重なった部分に形成されている。また、
図8に示すように、基部37aと受水容器30の間にはスペーサ30bが配設される。第1ボルトBL1は、側板3aと基部37aとスペーサ30bを貫通する第1ボルト孔HL1(
図3参照)及び受水容器30を貫通する第2ボルト孔HL2(
図3参照)を挿通する。そして、第1ボルトBL1には、受水容器30の内側から第1ナットNT1が締め込まれる。このように、第1ボルトBL1によって側板3aと受水容器30が締結固定される。
【0057】
なお、
図8に示す雨水仕切板36の高さ(燃料タンク固定板35からの雨水仕切板36の高さ)は、燃料タンク固定板35から上端面3aUまでの高さと同じ高さになっている。この構成に限定されず、雨水仕切板36の高さが燃料タンク固定板35から上端面3aUまでの高さより高い構成であってもよい。つまり、燃料タンク固定板35からの雨水仕切板36の高さが燃料タンク固定板35から上端面3aUまでの高さ以上であればよい。
また、燃料タンク固定板35からの雨水仕切板36の高さは、燃料受入容器31aの壁面31a2の高さよりも低くなっている。
【0058】
図8に示すように、燃料タンク31は燃料受入容器31aに形成される壁面31a2の内側に固定される。つまり、燃料タンク31は燃料受入容器31aに収容される。また、燃料受入容器31aの底面31a1には第1排油孔31a3が開口している。よって、燃料タンク31から漏洩する燃料は壁面31a2よりも外側に漏出することなく第1排油孔31a3から排出される。したがって、燃料タンク31から漏洩する燃料の拡散が燃料受入容器31aで抑制される。
また、燃料受入容器31aは燃料タンク固定板35の上方に固定される。燃料タンク固定板35において燃料受入容器31aの第1排油孔31a3に対する位置には第2排油孔35aが開口している。つまり、第1排油孔31a3と第2排油孔35aが互いに連通している。第2排油孔35aは受水容器30の上方でのみ開口している。したがって、第1排油孔31a3を通って燃料受入容器31aから排出される燃料は第2排油孔35aを通って上方(開放された側)から受水容器30に流入する。
【0059】
なお、前記したように、燃料タンク31から漏洩する燃料の一部は燃料ドレン管取出口31a7(
図5参照)及び燃料タンク固定板35の燃料ドレン管取出口35c1(
図5参照)を通って受水容器30に流入する。
【0060】
燃料タンク固定板35には2枚の雨水仕切板36が立設している(
図6参照)。雨水仕切板36は燃料タンク固定板35に対して液密に固定される。燃料受入容器31aは2枚の雨水仕切板36の間に配置される。したがって、第1排油孔31a3を通って燃料受入容器31aから排出される燃料は、雨水仕切板36と側板3aの間に形成される排水溝36aに流入しない。
【0061】
また、防音ケース2の外側に降った雨水W1が防音ケース2と側板3aの間に形成される微小な隙間から防音ケース2の内側に浸入する場合がある。
このように浸入した雨水W1は排水溝36aに流れ込む。排水溝36aを形成する雨水仕切板36は燃料タンク固定板35に対して液密に固定されている。したがって、排水溝36aに流れ込んだ雨水W1は、燃料受入容器31aの側に流れ込まない。
排水溝36aには上部排水孔35bが形成されている。このため排水溝36aに流れ込んだ雨水W1は上部排水孔35bから落下する。
【0062】
また、合わせ面等から防音ケース2の内側に浸入した雨水W2は排水溝36aに流入する。排水溝36aに流入した雨水W2は、燃料受入容器31aの側に流れ込むことなく上部排水孔35bから落下する。
【0063】
排水溝36aの下方には集水板37の集水部37bが形成されている。したがって、上部排水孔35bから落下した雨水W1,W2は集水部37bで受け止められる。集水板37には下部排水孔37cが形成されている。下部排水孔37cは集水部37bの下方に形成されている。したがって、集水部37bで受け止められた雨水W1,W2は下部排水孔37cから落下する。
図8に示すように下部排水孔37cは、受水容器30と側板3aの間に形成される雨水落下溝30aの上方に開口している。このため、下部排水孔37cから落下する雨水W1,W2は受水容器30に流入することなく雨水落下溝30aに落下する。
【0064】
なお、
図8に示すように、受水容器30の上端辺が内側に折れ曲がり、下部排水孔37cから落下する雨水W1,W2の受水容器30への浸入を効果的に防止する構造であってもよい。
【0065】
このように、燃料タンク31から漏洩する燃料は受水容器30に流入する。また、防音ケース2と側板3aの間から浸入した雨水W1及び合わせ面等から防音ケース2の内側に浸入した雨水W2は受水容器30に流入することなく雨水落下溝30aに落下する。つまり、本実施形態のエンジン駆動作業機1(
図1参照)に備わるベース3は、燃料タンク31等から漏洩する燃料等と、防音ケース2の内側に浸入した雨水と、を分離可能に構成されている。そして、燃料タンク31等から漏洩する燃料等は受水容器30に貯留され、防音ケース2の内側に浸入した雨水は受水容器30に流入することなく排水される。このような構成によって、受水容器30において燃料タンク31から漏洩する燃料やエンジン51(
図2参照)及び作業機52(
図2参照)からの漏洩物を貯留可能な容量が雨水W1,W2によって減らされることがない。
したがって、燃料タンク31から漏洩する燃料やエンジン51及び作業機52からの漏洩物で受水容器30が満たされるまでの時間が十分に確保され、エンジン駆動作業機1(
図1参照)の連続運転時間を長くすることが可能になる。
【0066】
図9は
図7の(b)におけるSec2−Sec2での断面図である。
図9に示すように、扉係止部3cの折返し部3c3には、端辺に弾性部材(トリムシール3d)が取り付けられている。トリムシール3dはゴムなど柔軟かつ防水性を有する素材からなる。トリムシール3dは、扉係止部3cの折返し部3c3を挟持する取付部3d1の先端に、中空円形の断面形状からなる先端部3d2が備わった長尺部材である。
第1開閉部200aが閉じられたとき、トリムシール3dの先端部3d2が第1開閉部200aの内側に当接して第1開閉部200aを係止する。
トリムシール3dは柔軟な素材で形成されることから、第1開閉部200aと当接したとき、先端部3d2は弾性変形して第1開閉部200aに圧接した状態になり、第1開閉部200aと扉係止部3cの間が液密にシールされる。
【0067】
第1開閉部200aの外側に降った雨水W1は、防音ケース2(
図1参照)の内側に浸入することなく落下する。また、防音ケース2の合わせ面等から第1開閉部200aに沿って浸入した雨水W2はトリムシール3dによってせき止められる。トリムシール3dでせき止められた雨水W2は側板3aの内側(
図8に示す受水容器30の側)に流れ込む。側板3aの内側で雨水W2は集水板37の集水部37bで受け止められる。集水部37bで受け止められた雨水W2は下部排水孔37cから雨水落下溝30a(
図7の(b)参照)に落下する。
【0068】
このように、本実施形態のエンジン駆動作業機1のベース3(
図1参照)には、第1開閉部200aが備わる位置にも集水板37が取り付けられている。そして、第1開閉部200aが備わる位置でも合わせ面等から防音ケース2の内側に浸入した雨水W2を受水容器30(
図7の(a)参照)に流入させることなく雨水落下溝30a(
図7の(b)参照)に落下させることができる。
したがって、第1開閉部200aが備わる位置から雨水W1,W2が受水容器30に流入することが効果的に抑制される。
【0069】
図10は、防音ケースに備わる燃料ガイド板を示す断面図である。
図10に示すように、防音ケース2において燃料タンク31の燃料給油口311に対応する位置には燃料ガイド板320が備わっている。燃料ガイド板320は、平面部320aとガイド部320bと側壁部320cとを有する。平面部320aは防音ケース2の内側においてサイドパネル2Sに面接触する。平面部320aはサイドパネル2Sに溶接等で固着される。ガイド部320bは平面部320aの下方の端部が防音ケース2の内側に向かって折れ曲がって形成される。ガイド部320bは燃料給油口311の下方まで張り出し、さらに、燃料受入容器31aの上方まで延設される。つまり、ガイド部320bの端辺が燃料受入容器31aの壁面31a2と燃料タンク31の間の上方に配置される。また、ガイド部320bの両端(前後方向の端部)は上方に向かって屈曲して側壁部320cが形成されている。
なお、サイドパネル2Sには、燃料給油口311に給油用のホース(図示せず)等を接続するための開口部2S1が開口している。そして、開口部2S1を開閉可能な給油扉(図示せず)が備わる構成であってもよい。
【0070】
例えば、給油中に燃料給油口311から漏洩する燃料F1は、燃料ガイド板320のガイド部320bに落下する。ガイド部320bに落下した燃料F1は、壁面31a2と燃料タンク31の間まで流れ、燃料受入容器31aの内側(燃料タンク31が配設される側)に落下する。燃料受入容器31aの内側に落下した燃料F1は、第1排油孔31a3及び第2排油孔35aを通って受水容器30に落下する。
そして、給油中に燃料給油口311から漏洩する燃料F1は、受水容器30と側板3aの間に形成される雨水落下溝30aに落下しない。
このように、本実施形態のエンジン駆動作業機1(
図1参照)は、防音ケース2のサイドパネル2Sの内側に燃料ガイド板320が備わっている。そして、燃料タンク31への給油中等に燃料給油口311から漏洩する燃料F1を雨水落下溝30aに落下させることなく受水容器30に流入させることができる。
【0071】
なお、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、下部排水孔37c(
図7の(b)参照)の形状は限定されない。集水板37(
図7の(b)参照)に沿って長く開口する下部排水孔(図示せず)であってもよい。また、排水溝36aに形成される上部排水孔35b(
図7の(b)参照)の形状も限定されない。例えば、複数の丸孔や角孔からなる上部排水孔(図示せず)であってもよい。