特開2015-21529(P2015-21529A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-21529(P2015-21529A)
(43)【公開日】2015年2月2日
(54)【発明の名称】電磁ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/06 20060101AFI20150106BHJP
   F16D 65/14 20060101ALI20150106BHJP
   F16D 65/22 20060101ALI20150106BHJP
   B66B 11/08 20060101ALI20150106BHJP
   F16D 49/00 20060101ALI20150106BHJP
   F16F 1/38 20060101ALN20150106BHJP
【FI】
   F16D65/06 H
   F16D65/14 122
   F16D65/22
   B66B11/08 G
   F16D49/00 A
   F16F1/38 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-148453(P2013-148453)
(22)【出願日】2013年7月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 清弥
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正信
(72)【発明者】
【氏名】小野 哲志
(72)【発明者】
【氏名】早川 智久
(72)【発明者】
【氏名】森内 明
【テーマコード(参考)】
3F306
3J058
3J059
【Fターム(参考)】
3F306BA09
3J058AA06
3J058AA13
3J058AA17
3J058AA23
3J058AA29
3J058AA30
3J058AA38
3J058BA01
3J058CA08
3J058CC07
3J058CC13
3J058CC72
3J058CC77
3J058DD02
3J058EA15
3J058FA37
3J059AE01
3J059BA42
3J059BA54
3J059BB01
3J059BC06
3J059BD05
3J059CB03
3J059DA12
3J059GA50
(57)【要約】
【課題】電磁ブレーキ装置の動作を安定化させ得る電磁ブレーキ装置を提案する。
【解決手段】制動面に摺接可能なブレーキシューと、ブレーキシューを支持するアマチュアと、アマチュアを押圧してブレーキシューを制動方向に付勢する制動ばねと、アマチュアを制動ばねの付勢力に抗して吸引し、ブレーキシューを制動面から離間させる電磁マグネットとを備えた電磁ブレーキ装置において、電磁マグネットのブレーキシュー側端部に着脱可能に固定される段付ボルトと、段付ボルトとアマチュアとの間に設けられる弾性体とを備えることを特徴とする電磁ブレーキ装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制動面に摺接可能なブレーキシューと、前記ブレーキシューを支持するアマチュアと、前記アマチュアを押圧して前記ブレーキシューを制動方向に付勢する制動ばねと、前記アマチュアを前記制動ばねの付勢力に抗して吸引し、前記ブレーキシューを前記制動面から離間させる電磁マグネットとを備えた電磁ブレーキ装置において、
前記電磁マグネットのブレーキシュー側端部に突出するように着脱可能に固定される段付ボルトと、
前記アマチュアの前記ブレーキシュー側の前記段付ボルトの突出部分に設けられる弾性体とを備える
ことを特徴とする電磁ブレーキ装置。
【請求項2】
前記弾性体は、
円筒形状の内筒部材と、
半径方向に離隔した位置で前記内筒部材を取り囲む外筒部材と、
前記内筒部材と前記外筒部材とを半径方向に弾性連結する円筒形状のゴム弾性体と
を有することを特徴とする請求項1に記載の電磁ブレーキ装置。
【請求項3】
前記弾性体は、
前記内筒部材の内径面と、前記段付ボルトの外径面とが嵌合するように形成され、
前記外筒部材の外径面と、前記段付ボルトを挿入するために前記アマチュアに形成されている座ぐりの内径面とが嵌合するように形成され、
前記ゴム弾性体は、
軸方向のばね定数よりも径方向のばね定数の方が高い
ことを特徴とする請求項2に記載の電磁ブレーキ装置。
【請求項4】
前記アマチュアは、
前記段付ボルトを挿入するための座ぐりが形成され、
前記電磁マグネットは、
前記段付ボルトのねじ部を固定するためのねじ穴が形成されており、
前記段付ボルトは、
第1のカラー、前記弾性体及び第2のカラーとともに前記座ぐりに挿入され、前記ねじ部が前記ねじ穴にねじ込まれることにより、前記電磁マグネットに固定される
ことを特徴とする請求項3に記載の電磁ブレーキ装置。
【請求項5】
前記第1のカラーは、
前記内筒部材に接触する一方で前記外筒部材には接触しないように形成され、
前記第2のカラーは、
前記外筒部材に接触する一方で前記内筒部材には接触しないように形成される
ことを特徴とする請求項4に記載の電磁ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制動面に摺接可能なブレーキシューと、このブレーキシューを支持するアマチュアと、このアマチュアを押圧してブレーキシューを制動方向に付勢する制動ばねと、アマチュアを制動ばねの付勢力に抗して吸引し、ブレーキシューを制動面から離間させる電磁マグネットとを備えた電磁ブレーキ装置がある。
【0003】
例えば特許文献1には、電磁マグネットに固定したガイドピンの先端部近傍の溝にゴムリング(弾性体)を嵌め、アマチュアが弾性体の外周部と摺動して案内されるように構成した電磁ブレーキ装置が開示されている。この電磁ブレーキ装置によれば、弾性体の保持力によりアマチュアの移動を緩慢にして動作の静音化を実現しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011−004543号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の電磁ブレーキ装置では、電磁ブレーキ装置の動的な性能と動作の静音化とを両立することを目的としてアマチュア動作方向の弾性体の保持力を設定すると、アマチュア動作方向に対して垂直方向の弾性体の保持力が不足する。この場合、電磁マグネット磁極面に対してアマチュアが動作した際に倒れが発生し、アマチュアの動作が不安定になるという問題が生じる。
【0006】
またアマチュアと弾性体との間の摩擦力に対して、弾性体の変形により発生するせん断力が上回った場合、アマチュアと弾性体とが滑って摺動する。この場合、弾性体が摩耗するという問題が生じる。よってアマチュアの動作が不安定になり、また弾性体が摩耗する場合あることから、結果として電磁ブレーキ装置の動作が不安定になるという問題が生じる。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、電磁ブレーキ装置の動作を安定化させ得る電磁ブレーキ装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、本発明における電磁ブレーキ装置は、制動面に摺接可能なブレーキシューと、ブレーキシューを支持するアマチュアと、アマチュアを押圧してブレーキシューを制動方向に付勢する制動ばねと、アマチュアを制動ばねの付勢力に抗して吸引し、ブレーキシューを制動面から離間させる電磁マグネットを備えた電磁ブレーキ装置において、電磁マグネットのブレーキシュー側端部に突出するように着脱可能に固定する段付ボルトと、前記アマチュアの前記ブレーキシュー側の前記段付ボルトの突出部分に設けられる弾性体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電磁ブレーキ装置の動作を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態における電磁ブレーキ装置の全体構成図である。
図2A】弾性体の断面構成図である。
図2B】弾性体の斜視構成図である。
図3】段付ボルト及び弾性体の接続関係を示す構成図である。
図4】段付ボルト及び弾性体の接続状態を示す構成図である。
図5】他の実施の形態の段付ボルト及び弾性体の接続関係を示す構成図である。
図6】段付ボルト及び弾性体の接続状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0012】
図1は、本実施の形態における電磁ブレーキ装置1の全体構成を示す。
電磁ブレーキ装置1は、例えばエレベータの昇降体を制動するために設けられる装置であり、ブレーキシュー2、アマチュア3、制動ばね4、電磁コイル5、電磁マグネット6、段付ボルト7及び弾性体8から構成される。
【0013】
ブレーキシュー2は、図示しないドラムの制動面に摺接可能に設置される部材であり、アマチュア3は、ブレーキシュー2を支持するための部材である。また制動ばね4は、アマチュア3を押圧してブレーキシュー2を制動方向に付勢するための部材であり、電磁コイル5及び電磁マグネット6は、アマチュア3を制動ばね4の付勢力に抗して吸引方向に吸引し、ブレーキシュー2を制動面から離間させるための部材である。
【0014】
さらに本実施の形態における電磁ブレーキ装置1は、アマチュア3の動作を静かにかつ安定して動作させるための工夫が施されており、具体的には電磁マグネット6のブレーキシュー2側端部に突出するように着脱可能に固定する段付ボルト7及びアマチュア3のブレーキシュー2側の段付ボルト7の突出部分に設けられた弾性体8を備え、段付ボルト7とアマチュア3との隙間に弾性体8が設けられている。
【0015】
図2Aは、弾性体8の断面構成を示す。また図2Bは、弾性体8の斜視構成を示す。
弾性体8は、円筒形状の内筒部材11と、半径方向に離隔した位置で内筒部材11を取り囲む外筒部材12と、これら内筒部材11及び外筒部材12を半径方向に弾性連結する状態で一体に加硫接着した円筒形状のゴム弾性体13とから構成され、ゴム弾性体13のばね定数は、軸方向よりも半径方向の方が高いことを特徴とする。
【0016】
図3は、段付ボルト7及び弾性体8の接続関係を示す。また図4は、段付ボルト7及び弾性体8の接続状態を示す。段付ボルト7は、カラー9、10及び弾性体8とともにアマチュア3に設けられた座ぐり14に挿入され、先端部のねじ部17が電磁マグネット6のねじ穴にねじ込まれて固定される構造を有する。
【0017】
段付ボルト7の外径部15と、内筒部材11の内径面とは、ガタの小さい嵌め合いとなるように形成される。また座ぐり14の内径面と、外筒部材12の外径面とについても同様に、ガタの小さい嵌め合いとなるように形成される。弾性体8の半径方向のばね定数は軸方向のばね定数よりも高い構造とし、内外径にガタの小さい構造とすることで、アマチュア3動作時の電磁マグネット6の磁極面16に対するアマチュア3の倒れを抑制して、アマチュア3の動作の安定化を図ることができる。
【0018】
またカラー9は、弾性体8の内筒部材11に接触し、外筒部材12には接触しないような構造を有する。一方でカラー10は、弾性体8の外筒部材12に接触し、内筒部材11には接触しない構造を有する。このようなカラー9及び10の構造により、カラー9及び10の厚み調整を行うことで、ブレーキシュー2の吸引時(アマチュア3が電磁マグネット6に引き付けられた状態)及び制動時(アマチュア3及びブレーキシュー2が制動面に押付けられた状態)における弾性体8に発生するゴムのせん断力(弾性体8のアマチュア3の保持力)を自由に調整することが可能となる。
【0019】
電磁ブレーキ装置1は、制動ばね4のばね定数の公差や部品の寸法公差によって、動作性能上許容できる範囲でも荷重関係にばらつきが発生するため、吸引時と制動時の動作音は製品個体で異なる場合がある。よって本実施の形態によれば、カラー9及び10の厚みのみを調整して電磁ブレーキ装置1の個々の能力に合わせて動作音をより静かにすることが可能となる。
【0020】
以上のように本実施の形態によれば、段付ボルト7を電磁マグネット6に着脱可能に固定するとともに、この段付ボルト7とアマチュア3との間に弾性体8を設けるようにしたので、電磁ブレーキ装置1の動的な性能と動作の静音化とを両立しつつ、アマチュア3の動作の安定化を図ることができるとともに、弾性体8自体の摩耗が発生しない構造を実現することができる。またカラー9及び10の厚みを調整することで弾性体8のアマチュア3の保持力を調整し、静音化を実現することができる。
【0021】
段付ボルト7のねじ部17の寸法が寸法制約上極端に小さくなってしまい、強度や加工性の観点において懸案がある場合には、以下の図5及び図6に示す形態を採用し得る。
【0022】
図5は、他の実施の形態における段付ボルト18及び弾性体8の接続関係を示す。また図6は、段付ボルト18及び弾性体8の接続状態を示す。図5及び図6に示す他の実施の形態では、電磁マグネット6のブレーキシュー2側端部に突出するように着脱可能に固定する段付ボルト7及びアマチュア3のブレーキシュー2側の段付ボルト7の突出部分に設けられた弾性体8を備え、図1における電磁マグネット6のブレーキシュー2側端部に着脱可能に固定する段付ボルト7に代えて、電磁マグネット6に新たに設けた穴21と、穴21の内径より僅かに小さい径の段付ボルト18が用いられる。
【0023】
段付ボルト18は、電磁マグネット6のブレーキシュー2とは反対側の端部から挿入され、ねじ部20が電磁マグネット6のねじ穴22にねじ込まれて固定され、先端部分がブレーキシュー2側端部に突出する構造を有する。カラー9、10及び弾性体8をアマチュア3に設けられた座ぐり14に挿入する構造は図1に示した構造と共通である。一方でこれらカラー9、10及び弾性体8を固定ナット19にて固定する構造を有する点で、図1に示した構造と異なる。この場合、ねじ部20の外径寸法を図1と比較して相対的に容易に確保することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 電磁ブレーキ装置
2 ブレーキシュー
3 アマチュア
4 制動ばね
5 電磁コイル
6 電磁マグネット
7 段付ボルト
8 弾性体
9 カラー小
10 カラー大
11 内筒部材
12 外筒部材
13 円筒形状のゴム弾性体
14 座ぐり
15 段付ボルトの内筒部材との接触部
16 電磁マグネットの磁極面
17 段付ボルトのねじ部
18 段付ボルト
19 固定ナット
20 段付ボルトのねじ部
21 電磁マグネットの穴
22 電磁マグネットねじ部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6