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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-215746(P2015-215746A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】接近車両検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20151106BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20151106BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
   G06T1/00 330B
   G08G1/16 C
   B60R21/00 621C
   B60R21/00 622F
   B60R21/00 622J
   B60R21/00 626B
   B60R21/00 626D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-97894(P2014-97894)
(22)【出願日】2014年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】清水 直樹
【テーマコード(参考)】
5B057
5H181
【Fターム(参考)】
5B057AA16
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CC03
5B057DA06
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC16
5B057DC23
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF27
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】2本隣の車線の他車両の影響を受けずに、隣接車線の他車両を検出する。
【解決手段】リアカメラ50(撮像部)で撮像した画像Iの中から、レーンマーカ検出部80が、少なくとも隣接車線22の境界を示すレーンマーカL2,L3を検出して、ウインドウ設定部84が、レーンマーカL2,L3を横切る位置に、車両10から距離が異なるウインドウAi,Bi(i=1,2,…)をそれぞれ設定し、輝度分布算出部85が算出した各ウインドウAi,Biに対応する画像Iの輝度評価値EV(Ai),EV(Bi)に基づいて、領域判定部88が、車両10から遠方側のレーンマーカL3を横切る位置に、車両10から見て隣接車線22の遠方側に隣接する2本隣の車線24を走行する他車両14の前照灯が映り込んでいると判定したときには、接近車両検出部92が、隣接車線22を走行している他車両12を無効化時間Tn(所定時間)に亘って検出しない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片側3車線以上の車線を有する道路の走行車線を走行中の車両に適用される、前記走行車線の隣接車線上を、前照灯を点灯させた状態で前記車両の後方から接近する他車両を検出する接近車両検出装置であって、
前記車両の後方の道路を含む画像を撮像する撮像部と、
前記画像の中から、少なくとも前記隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカをそれぞれ検出するレーンマーカ検出部と、
前記画像の中に、前記車両からの距離が異なる複数の位置に、前記レーンマーカ検出部で検出された各レーンマーカを横切るウインドウをそれぞれ設定するウインドウ設定部と、
前記画像の中の、前記各ウインドウに対応する領域の輝度分布に基づく輝度評価値をそれぞれ算出する輝度分布算出部と、
前記輝度評価値に基づいて、前記隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカのうち、前記車両から見て遠方側のレーンマーカを横切る位置に、前記隣接車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいるか、または、前記車両から見て前記隣接車線の遠方側に隣接する2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいるか、を判定する領域判定部と、
前記車両の後方から接近する、前記隣接車線上の他車両を検出する接近車両検出部と、を有して、前記領域判定部が、前記隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカのうち、前記車両から見て遠方側のレーンマーカを横切る位置に、前記2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいると判定したときには、前記接近車両検出部は、所定時間に亘って、前記隣接車線上の他車両を検出しないことを特徴とする接近車両検出装置。
【請求項2】
前記輝度評価値は、前記画像の中で前記各ウインドウに対応する領域の中の、少なくとも一部の領域の平均輝度値であることを特徴とする請求項1に記載の接近車両検出装置。
【請求項3】
前記領域判定部は、前記隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカのうち、前記車両から見て遠方側のレーンマーカを横切る位置に設定されたウインドウに対応する領域の前記輝度評価値から、前記ウインドウと等距離にある、前記隣接車線の前記車両に近接した側のレーンマーカを横切る位置に設定されたウインドウに対応する領域の前記輝度評価値を差し引いた値が正の輝度差しきい値よりも大きいときに、前記遠方側のレーンマーカを横切る位置には、2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接近車両検出装置。
【請求項4】
前記領域判定部は、前記隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカのうち、前記車両から見て遠方側のレーンマーカを横切る位置に設定されたウインドウに対応する領域の前記輝度評価値から、前記ウインドウと等距離にある、前記隣接車線の前記車両に近接した側のレーンマーカを横切る位置に設定されたウインドウに対応する領域の前記輝度評価値を差し引いた値が正の輝度差しきい値よりも大きく、なおかつ、前記遠方側のレーンマーカを横切る位置に設定された各ウインドウに対して、前記車両から見て後方遠方のウインドウから前記車両直近のウインドウに向かって、前記輝度評価値が時間を追って輝度しきい値を超える方向に変化するときに、前記遠方側のレーンマーカを横切る位置には、2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接近車両検出装置。
【請求項5】
前記領域判定部は、前記車両から見て隣接車線の遠方側のレーンマーカを横切る位置に設定された各ウインドウに対応する領域の輝度評価値が、互いに隣接するウインドウにおいてそれぞれ前記輝度しきい値を超えたときに、隣接する前記各ウインドウにおいて輝度しきい値を超えた各時間差が、いずれも所定の時間範囲内にあるときには、前記車両から見て後方遠方のウインドウから前記車両直近のウインドウに向かって、前記輝度評価値が時間を追って前記輝度しきい値を超える方向に変化したと判断することを特徴とする請求項4に記載の接近車両検出装置。
【請求項6】
前記領域判定部が、前記車両から見て隣接車線の遠方側のレーンマーカを横切る位置に、2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいると判定したときには、所定時間に亘って、前記接近車両検出部における、隣接車線を走行する他車両の検出結果を無効にすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接近車両検出装置。
【請求項7】
前記領域判定部が、前記車両から見て隣接車線の遠方側のレーンマーカを横切る位置に、2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいると判定したときには、所定時間に亘って、前記接近車両検出部における、隣接車線を走行する他車両の検出を中断することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接近車両検出装置。
【請求項8】
前記所定時間は、前記車両と、前記前照灯が映り込んだ領域と、の移動速度差に基づいて設定されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の接近車両検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設置され、車線変更時等において車線を逸脱する可能性があるときに、逸脱する側の隣接車線を走行している接近車両の存在を検出して、その警報を行う接近車両検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両にカメラを設置し、運転者に対して死角になる車両の後側方を撮像した画像の中から接近車両を検出してこれを警報する、後側方監視装置(BSW(Blind Spot Warning))に関する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された後側方車両の報知装置では、車両が走行している走行車線に隣接した隣接車線に存在する移動物体と、隣接車線の中の、車両から遠方側のレーンマーカと、を検出して、これらの検出結果に基づいて、隣接車線を走行している他車両を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−240397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の後側方車両の報知装置にあっては、例えば夜間において、2本隣の車線を走行している他車両の前照灯の光が路面に映り込むと、あたかも隣接車線に他車両が存在しているかのような画像が撮像される。そのため、隣接車線を走行している他車両が存在するものと誤検出してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、車両が走行している走行車線の2本隣の車線を走行している他車両を、誤って、走行車線に隣接する隣接車線を走行している他車両として検出することのない接近車両検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る接近車両検出装置は、夜間において、前照灯を点灯させた状態で隣接車線を走行している接近車両(他車両)を、前照灯を点灯させた状態で2本隣の車線を走行している他車両と間違えることなく、確実に検出するものである。
【0008】
すなわち、本発明に係る接近車両検出装置は、片側3車線以上の車線を有する道路の走行車線を走行中の車両に適用される、前記走行車線の隣接車線上を、前照灯を点灯させた状態で前記車両の後方から接近する他車両を検出する接近車両検出装置であって、前記車両の後方の道路を含む画像を撮像する撮像部と、前記画像の中から、少なくとも前記隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカをそれぞれ検出するレーンマーカ検出部と、前記画像の中に、前記車両からの距離が異なる複数の位置に、前記レーンマーカ検出部で検出された各レーンマーカを横切るウインドウをそれぞれ設定するウインドウ設定部と、前記画像の中の、前記各ウインドウに対応する領域の輝度分布に基づく輝度評価値をそれぞれ算出する輝度分布算出部と、前記輝度評価値に基づいて、前記隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカのうち、前記車両から見て遠方側のレーンマーカを横切る位置に、前記隣接車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいるか、または、前記車両から見て前記隣接車線の遠方側に隣接する2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいるか、を判定する領域判定部と、前記車両の後方から接近する、前記隣接車線上の他車両を検出する接近車両検出部と、を有して、前記領域判定部が、前記隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカのうち、前記車両から見て遠方側のレーンマーカを横切る位置に、前記2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいると判定したときには、前記接近車両検出部は、所定時間に亘って、前記隣接車線上の他車両を検出しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように構成された本発明に係る接近車両検出装置によれば、片側3車線以上の車線を有する道路の走行車線を走行中に、撮像部で撮像された車両後方の画像の中から、レーンマーカ検出部が検出した、少なくとも車両の隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカの位置に、ウインドウ設定部が、車両からの距離が異なる複数の位置に、レーンマーカ検出部で検出された各レーンマーカを横切るウインドウをそれぞれ設定して、輝度分布算出部が、画像の中の各ウインドウに対応する領域の輝度分布に基づく輝度評価値をそれぞれ算出し、領域判定部が、輝度評価値に基づいて、隣接車線の左右の境界を示すレーンマーカのうち、車両から見て遠方側のレーンマーカを横切る位置に、隣接車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいるか、または、車両から見て隣接車線の遠方側に隣接する2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいるか、を判定して、2本隣の車線を走行する他車両の前照灯が映り込んでいると判定されたときには、接近車両検出部が、隣接車線を走行している他車両を所定時間に亘って検出しないため、前照灯を点灯して2本隣の車線を走行する他車両を、前照灯を点灯して隣接車線を走行する他車両であると誤って判断することがない。これによって、隣接車線を走行している接近車両(他車両)の検出を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明に係る接近車両検出装置が適用される道路環境について説明する第1の図である。
図1B】本発明に係る接近車両検出装置が適用される道路環境について説明する第2の図である。
図2】本発明の1実施形態である実施例1に係る車線逸脱および後側方監視装置のハードウェア構成を示すシステム構成図である。
図3】本発明の1実施形態である実施例1に係る車線逸脱および後側方監視装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図4】実施例1におけるレーンマーカ検出処理の概要について説明する図であり、(a)は、撮像された画像上に、レーンマーカを検出するための輝度評価用領域を設定した例である。(b)は、レーンマーカの位置を特定するために、設定された輝度評価用領域の内部の輝度分布を算出する様子を説明する図である。(c)は、レーンマーカの位置を特定した状態を示す図である。
図5】領域判定処理(2本隣の車線の車両の有無判断処理)の概要を説明する図であり、(a)は、隣接車線に前照灯を点灯した車両が存在するときの輝度評価値の時間推移の一例を示す図である。(b)は、2本隣の車線に前照灯を点灯した車両が存在するときの輝度評価値の時間推移の一例を示す図である。(c)は、図5(a),(b)が得られたときの、輝度差の時間推移の一例を示す図である。
図6】実施例1における接近車両検出部の機能について説明する図である。
図7】実施例1において実行される処理の全体の流れを示すフローチャートである。
図8図7のフローチャートの中で実行される、2本隣の車線の車両の有無を判断する処理の流れを示すフローチャートである。
図9図7のフローチャートの中で実行される、隣接車線の車両検出無効化処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の1実施形態である実施例2に係る車線逸脱および後側方監視装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図11】実施例2で行う領域判定処理(2本隣の車線の車両の有無判断処理)の概要について説明する図である。
図12】実施例2において実行される、2本隣の車線の車両の有無を判断する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る接近車両検出装置の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
本実施例1は、本発明を、走行中の車両の後側方の道路を監視して、隣接車線の後側方の所定の距離範囲に接近車両があるときに運転者が車線変更を行う意図を示したとき、または、運転者が車線変更の意図をもたないときに車両が車線を逸脱する虞があるとき、に警報を出力して注意喚起を行うとともに、車両が後退するときには、車両後方の映像を表示して、運転者の後退操作を支援する車線逸脱および後側方監視装置に適用したものである。なお、接近車両に対する警報機能を、以下BSW機能と呼ぶ。また、車線逸脱に対する警報機能をLDW(Lane Departure Warning)機能と呼ぶ。
(車線逸脱および後側方監視装置のシステム構成の説明)
【0013】
まず、図1A図1Bを用いて、車線逸脱および後側方監視装置100aの概要と、車線逸脱および後側方監視装置100aが適用される道路環境について説明する。この車線逸脱および後側方監視装置100aは、片側3車線以上の車線数を有する道路を走行中に動作する。なお、車線逸脱および後側方監視装置100aは、昼夜を問わず動作するが、特に、本発明を適用することによって、夜間においてより一層効果的に動作する。
【0014】
図1Aは、車線逸脱および後側方監視装置100aが適用される道路30の一例を示す図である。道路30は、車線逸脱および後側方監視装置100aが搭載された車両10が走行している走行車線20と、走行車線20の右方に隣接した隣接車線22と、隣接車線22のさらに右方に隣接した2本隣の車線24と、の3車線からなる。走行車線20の左右端はそれぞれレーンマーカL1,L2で区画されており、隣接車線22の左右端はそれぞれレーンマーカL2,L3で区画されており、2本隣の車線24の左右端はそれぞれレーンマーカL3,L4で区画されている。
【0015】
今、車両10は道路30の走行車線20を図面の左向き(矢印10dの方向)に走行している。車両10の後端に後ろ向きに設置されたリアカメラ50は、少なくとも、走行車線20と隣接車線22を含む撮像範囲ωを撮像する。そして、撮像された画像の中から、隣接車線22上の、車両10から所定の距離範囲にあって、車両10に接近している他車両12(矢印12dの方向に進行)を検出する。そして、車両10に接近している他車両12が検出されたときに、車両10の運転者が車両10を隣接車線22側に車線変更しようとすると、後述するように警報を出して注意喚起を行う。
【0016】
さらに、車線逸脱および後側方監視装置100aは、リアカメラ50で撮像された画像の中から、走行車線20の左右端のレーンマーカL1,L2の位置を検出して、車両10が走行車線20を逸脱する虞があるか否かを判断する。そして、車両10が走行車線20を逸脱する虞があると判断されたときには、後述するように警報を出力して注意喚起を行う。
【0017】
なお、このとき、他車両12は前照灯12h,12hを点灯して照射範囲12rを照明しているものとする。また、2本隣の車線24を矢印14dの方向に進行している他車両14は、前照灯14h,14hを点灯して照射範囲14rを照明しているものとする。
【0018】
図1Aは、車両10の右後側方の領域のみを図示したものであるが、車線逸脱および後側方監視装置100aは、車両10の左後側方の領域に対しても同様に作用する。すなわち、図1Bに示すように、車両10が走行車線20を走行しているときには、リアカメラ50は、少なくともレーンマーカL1,L2をそれぞれ左右端とする走行車線20と、レーンマーカL5,L1をそれぞれ左右端とする隣接車線26を含む撮像範囲ωを撮像する。そして、撮像された画像の中から、隣接車線26上の、車両10から後側方の所定の距離範囲にあって、車両10に接近している他車両16(矢印16dの方向に進行)を検出する。そして、車両10に接近している他車両16が検出されたときに、車両10の運転者が車両10を隣接車線26側に車線変更しようとすると、後述するように警報を出して注意喚起を行う。
【0019】
さらに、車線逸脱および後側方監視装置100aは、リアカメラ50で撮像された画像の中から、レーンマーカL1,L2の位置を検出して、車両10が走行車線20を逸脱する虞があるか否かを判断する。そして、車両10が走行車線20を逸脱する虞があると判断されたときには、後述するように警報を出して注意喚起を行う。
【0020】
なお、このとき、他車両16は前照灯16h,16hを点灯して照射範囲16rを照明しているものとする。また、レーンマーカL6,L5をそれぞれ左右端とする2本隣の車線28を矢印18dの方向に進行している他車両18は、前照灯18h,18hを点灯して照射範囲18rを照明しているものとする。
【0021】
次に、図2を用いて、車線逸脱および後側方監視装置100aのシステム構成について説明する。図2は、車線逸脱および後側方監視装置100aのハードウェア構成を示すシステム構成図である。
【0022】
車線逸脱および後側方監視装置100aは、車両10に設置されて、車両10の後部ライセンスプレート付近に後方に向けて設置された、車両10の後側方を監視するリアカメラ50と、リアカメラ50の撮像動作の制御と、撮像された画像の処理を行うカメラECU(Electronic Control Unit)52aと、カメラECU52aと車両10に設置されて、車両10の車速を検出する車速センサ54,車両10の運転者が操作する非図示の方向指示器(ウインカーレバー)と連動して、ウインカー操作が行われたことと、指示されたウインカーの方向を出力するウインカースイッチ56と、を接続して、カメラECU52aにおいて車両10の車速v、およびウインカーの動作状態をモニタするCAN(Controller Area Network)通信線58と、車線逸脱監視機能、および後側方監視機能を動作させる車線逸脱/後側方監視スイッチ60と、車線逸脱監視機能、および後側方監視機能の動作状態を表示する監視状態インジケータ62と、車線逸脱警報、および接近車両警報を出力するブザー64と、車両10の車室内の左ドアミラー近傍に設置された、車両10の左後側方に接近車両があることを知らせる、LED等からなる左後側方接近車両インジケータ66aと、車両10の車室内の右ドアミラー近傍に設置された、車両10の右後側方に接近車両があることを知らせる、LED等からなる右後側方接近車両インジケータ66bと、リアカメラ50で撮像された画像を表示するモニタ70と、車両10のシフトポジションを後退位置に設定したことを検出するリバーススイッチ72と、リバーススイッチ72が投入されたときに点灯する、車両10の後端に設けられたリバースランプ74と、を備える。
【0023】
なお、リアカメラ50は、周囲の明るさに応じて、自動的に映像信号のゲインを調整する自動ゲイン制御機能を有している。そして、この自動ゲイン制御機能によって調整された輝度ゲイン値を、映像信号とともに出力する機能を有している。
(車線逸脱および後側方監視装置の機能構成の説明)
【0024】
次に、図3を用いて、車線逸脱および後側方監視装置100aの機能構成について説明する。図3は、車線逸脱および後側方監視装置100aの機能構成を示す機能ブロック図である。
【0025】
車線逸脱および後側方監視装置100aは、図3に示すように、車両10に搭載された、前述したリアカメラ50と、前述したカメラECU52aと、前述した車線逸脱/後側方監視スイッチ60と、前述した車速センサ54と、前述したリバーススイッチ72と、前述したモニタ70と、前述したブザー64と、隣接車線に、車両10に接近する他車両が存在していることを示す接近車両インジケータ66と、からなる。なお、接近車両インジケータ66は、前述した左後側方接近車両インジケータ66aと右後側方接近車両インジケータ66bとからなる。
【0026】
ここで、カメラECU52aは、リアカメラ50で撮像された画像Iの中からレーンマーカ(図1AのL1,L2,L3、または、図1BのL1,L2,L5)を検出するレーンマーカ検出部80と、周囲環境の明るさに基づいて、夜間であるか否かを判定する夜間判定部82と、レーンマーカ検出部80で検出されたレーンマーカ(図1AのL1,L2,L3、または、図1BのL1,L2,L5)を横切る位置に、車両10からの距離が異なる複数のウインドウを設定するウインドウ設定部84と、ウインドウ設定部84で設定された各ウインドウにそれぞれ対応する画像Iの領域の輝度分布に基づいて、輝度の平均値を輝度評価値EVとして算出する輝度分布算出部85と、輝度分布算出部85で算出された各ウインドウの内部の輝度評価値EVに基づいて、画像Iの中で、隣接車線22(26)の左右のレーンマーカL3,L2(L5,L1)を横切る位置に、車両10から等距離の位置に設定された2つのウインドウに対応する各領域の輝度評価値EVの差分値を算出する輝度差算出部86と、輝度差算出部86の算出結果に基づいて、車両10が走行している走行車線20に隣接する隣接車線22(26)上の輝度が高い領域が、車両10から見て、隣接車線22(26)の遠方側に隣接する2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯が映り込んだ領域、または、隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)の前照灯が映り込んだ領域、のいずれであるかを判定する領域判定部88と、車両10と2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の相対速度を算出する移動速度差算出部90と、隣接車線22(26)上で車両10に接近している他車両12(16)を検出する接近車両検出部92と、車両10が走行車線20から逸脱する可能性があるか否かを判断する車線逸脱判断部94と、からなる。なお、各部の詳細な作用については後述する。
【0027】
そして、前述した、レーンマーカ検出部80と、夜間判定部82と、ウインドウ設定部84と、輝度分布算出部85と、輝度差算出部86と、領域判定部88と、移動速度差算出部90と、接近車両検出部92と、が、接近車両検出装置95aを構成している。
(前進走行中の後側方監視機能(BSW機能)の説明)
【0028】
車線逸脱および後側方監視装置100aにおける、車両10が前進走行中の後側方監視機能は、車両10が所定の範囲の車速v(例えば30km/h以上)で走行しているときに起動する。なお、前述した車線逸脱/後側方監視スイッチ60が操作されたときに起動するようにしてもよい。後側方監視機能が動作しているときは、監視状態インジケータ62に、その旨が表示される。
【0029】
後側方監視機能が起動した後で、車両10の後側方の所定の距離範囲に、車両10に接近している他車両12が検出されたときには、左右のドアミラー近傍に設置した、左後側方接近車両インジケータ66a、または、右後側方接近車両インジケータ66bを点灯させることによって、他車両12の存在を視覚情報によって運転者に伝達し、車線変更を行う際の注意喚起を行う(1次警報)。
【0030】
さらに、運転者がこの1次警報に気づかずに、他車両12が存在する隣接車線側にウインカーを出して車線変更を行おうとすると、ウインカースイッチ56の状態を検出して、左後側方接近車両インジケータ66a、または、右後側方接近車両インジケータ66bを点滅させて強調された視覚情報を出力し、さらに、ブザー64を吹鳴させて、運転者に対して他車両12の存在をより明確に伝達し、車線変更動作の中断を促す(2次警報)。
【0031】
なお、この後側方監視機能は、車両10の車速が所定値(例えば20km/h)を下回ったとき、または、前述した車線逸脱/後側方監視スイッチ60が操作されたときに解除される。
(後退走行中の後側方監視機能(バックモニタ機能)の説明)
【0032】
車線逸脱および後側方監視装置100aにおける、車両10が後退走行中の後側方監視機能は、車両10のシフトポジションが後退位置に設定されてリバースランプ74が点灯した状態にあるときには、シフトポジションが後退位置にあることをリバーススイッチ72で検出して、リアカメラ50で撮像した車両10の後側方の映像をモニタ70に表示し、車両10の後退操作を支援するものである。そして、車両10のシフトポジションが後退位置から抜けたときに、この機能は動作を停止する。なお、この機能は、昨今リアビューモニタシステムとして多数の車両に実装されているため、詳細な説明は省略する。
(車線逸脱監視機能(LDW機能)の説明)
【0033】
車線逸脱および後側方監視装置100aの車線逸脱監視機能は、車線逸脱/後側方監視スイッチ60が操作されたときに起動して、車両10が前進走行中に、ウインカー操作を行わずに、走行車線20の左右のレーンマーカL1,L2(図1A図1B参照)を逸脱する虞があるときに、これを検出して警告するものである。なお、この車線逸脱監視機能は、車両10が所定の範囲の車速v(例えば30km/h以上)で走行しているときに自動的に起動するようにしてもよい。なお、この車線逸脱監視機能は、車両10の車速が所定値(例えば20km/h)を下回ったときに解除される。なお、車線逸脱監視機能が動作しているときは、監視状態インジケータ62に、その旨が表示される。
【0034】
以下、車線逸脱および後側方監視装置100aで行われる主要な処理の内容について、順を追って説明する。
(レーンマーカ検出処理の説明)
【0035】
レーンマーカ検出部80(図3)は、リアカメラ50で撮像された画像Iの中から、走行車線20の左右のレーンマーカL1,L2と、隣接車線(22または26)の左右のレーンマーカ(L2,L3、または、L1,L5)を検出する。なお、図1A図1Bにおいて、各レーンマーカ(L1,L2,L3,L5)は実線で記載しているが、これは、破線で描かれている場合であっても、同じ処理で検出可能である。
【0036】
図4を用いてレーンマーカ検出処理の概要を示す。図4(a)は、車両10が、図1Aに示す道路30の走行車線20を走行しているときに、リアカメラ50で撮像した車両10の後方の画像Iの一例を示すものである。画像Iの中には、走行車線20の一方の端を示すレーンマーカL2を検出するための輝度評価用領域(ウインドウ)A1,A2,…,A5と、走行車線20の他方の端を示すレーンマーカL1を検出するための輝度評価用領域(ウインドウ)C1,C2,…,C5と、隣接車線22の車両10から見て遠方側の端を示すレーンマーカL3を検出するための輝度評価用領域(ウインドウ)B1,B2,…,B5、および、隣接車線26の車両10から見て遠方側の端を示すレーンマーカL5(図1B)を検出するための輝度評価用領域(ウインドウ)D1,D2,…,D5が、それぞれ設定される。ここで、車両10が走行している走行車線20が、図1Aの状態にあるか、図1Bの状態にあるかは、一般には特定できないため、図4(a)に示すように、輝度評価用領域(ウインドウ)は、走行車線20の両側に設定する。
【0037】
リアカメラ50には広角レンズが装着されて車両10の後端(例えばトランクリッドの下端付近)に設置されており、図4(a)に示す例では、画像Iの中に車両10の車体の一部が映り込んでいる。
【0038】
ここで、輝度評価用領域(ウインドウ)A1,A2,…は、ウインドウ設定部84(図3)の作用によって、レーンマーカL2が観測されると想定される、予め設定された初期位置に設置される。各輝度評価用領域A1,A2,…は、全て同じ大きさを有しており、例えば、横1m,縦80cm程度の大きさで、5m程度の等しい間隔をおいて、5個程度設置される。したがって、図4(a)に示すように、各輝度評価用領域A1,A2,…,A5は、遠方ほど小さく設定される。なお、輝度評価用領域A1,A2,…,A5の設置個数は、5個に限定されるものではなく、適宜決められた個数の輝度評価用領域が設定される。
【0039】
その他の輝度評価用領域(ウインドウ)B1,B2,…,C1,C2,…,D1,D2,…についても同様である。
【0040】
次に、図4(b)を用いて、輝度評価用領域(ウインドウ)A3を例にあげて、レーンマーカL2の位置を検出する方法について説明する。なお、ウインドウA3は、横方向p3画素、縦方向q3画素のサイズを有するものとする。
【0041】
レーンマーカ検出部80(図3)の作用によって、画像Iのうち、輝度評価用領域(ウインドウ)A3が設定された位置の明るさ(輝度値)を、輝度評価用領域A3の縦方向に累積する処理を行う。すなわち、輝度評価用領域A3の縦方向q3画素分の輝度値が累積されて、輝度値の総和Qが得られる。同様の累積処理を、輝度評価用領域A3の横方向p3画素分について繰り返し行うと、図4(b)に示す輝度値の累積曲線が得られる。そして、輝度評価用領域A3の位置にレーンマーカL2が存在したときには、レーンマーカL2は、路面に対して明るく観測されるため、レーンマーカL2に対応する位置において突出した累積値が得られる。
【0042】
こうして得られた輝度値の累積曲線を累積輝度しきい値Qthと比較して、累積輝度しきい値Qthを超えた領域にレーンマーカL2が存在していると判断し、累積輝度しきい値Qthを超えた範囲の中点を、レーンマーカ位置x3とする。そして、ウインドウ設定部84(図3)の作用によって、輝度評価用領域(ウインドウ)A3の位置が、左右方向の中心がレーンマーカ位置x3に合致するように変更される。
【0043】
なお、車両10の走行位置によっては、輝度評価用領域(ウインドウ)A3がレーンマーカL2から外れた位置に設定される可能性がある。そのため、前記した処理を行ってレーンマーカL2が見つからないときには、輝度評価用領域A3の位置を左右に数画素ずつずらしながら、レーンマーカL2の探索を繰り返して行う。
【0044】
同様の処理を、全ての輝度評価用領域(ウインドウ)A1,A2,…,A5に対して行うことによって、レーンマーカL2を構成すると考えられるレーンマーカ位置x1,x2,…,x5が算出される。そして、このようにして算出されたレーンマーカ位置x1,x2,…,x5を左右方向の中心とするように輝度評価用領域A1,A2,…,A5の位置が変更されるとともに、レーンマーカ位置x1,x2,…,x5を直線または曲線で結んだ線がレーンマーカL2の検出結果とされる。
【0045】
そして、その他の輝度評価用領域(ウインドウ)B1,B2,…,C1,C2,…,D1,D2,…についても同様の処理が行われる。
【0046】
このとき、図4(a)の例では、輝度評価用領域D1,D2,…を設定した領域にレーンマーカが存在しないため、輝度値の累積曲線が累積輝度しきい値Qthを超えない。したがって、レーンマーカが存在しないものと判断される。すなわち、図4(a)の例では、画像Iの中から、3本のレーンマーカL1,L2,L3がそれぞれ検出される。
【0047】
このレーンマーカ検出処理はレーンマーカ検出部80(図3)、および、ウインドウ設定部84(図3)において繰り返し実行されて、道路30の形状変化や車両10の進路の変化に伴って、レーンマーカ位置x1,x2,…,x5、および、輝度評価用領域(ウインドウ)A1,A2,…,A5の位置が随時変化する。
【0048】
そして、レーンマーカ位置x1,x2,…,x5にあてはめられた輝度評価用領域(ウインドウ)A1,A2,…,A5は、以後の輝度評価値算出処理において活用される。
(ウインドウ設定処理の説明)
【0049】
前記したレーンマーカ検出処理によって、図1A図1Bに示す走行車線20の左右のレーンマーカL1,L2と、隣接車線22(26)の左右のレーンマーカL2,L3(L1,L5)の検出を行い、そのときに検出されたレーンマーカの位置に、輝度評価用領域(ウインドウ)の左右方向の中心を合致させて配置する。このようにして、ウインドウ設定処理が行われる。
【0050】
以後、前記したレーンマーカ検出処理とウインドウ設定処理が繰り返して実行されるため、画像Iの中で観測されるレーンマーカの位置に応じて、輝度評価用領域(ウインドウ)A1,A2,…,A5の位置が逐次修正される。そして、図4(a)に示すその他の輝度評価用領域(ウインドウ)B1,B2,…,C1,C2,…についても、同様にして、レーンマーカ検出処理とウインドウ設定処理が繰り返し行われる。
(車線逸脱判断処理の説明)
【0051】
車線逸脱判断部94は、レーンマーカ検出処理によって検出された走行車線20の左右のレーンマーカL1,L2の位置に基づいて、車両10が車線逸脱する虞があるか否かを判断する。具体的には、図4(c)に示す、例えば輝度評価用領域A5,C5に対して、車両10の中心位置EからレーンマーカL1までの距離d1と、車両10の中心位置EからレーンマーカL2までの距離d2と、を算出して、距離d1と距離d2の大小関係によって、車線逸脱の虞があるか否かを判断する。
【0052】
例えば、図4(c)において、車両10がレーンマーカL1側に逸れると、距離d1>距離d2となり、逆に、車両10がレーンマーカL2側に逸れると、距離d1<距離d2となる。
【0053】
すなわち、距離d1または距離d2のいずれか一方が所定値よりも小さくなったときには、車両10が走行車線を逸脱する可能性が高いと判断することができる。
(夜間判定処理の説明)
【0054】
次に、車両10の周囲が暗い環境にあるか否かを判定する夜間判定処理の内容について説明する。この夜間判定処理は、夜間判定部82において行われる。なお、ここでいう「夜間」とは、例えば、トンネル内部のように周囲環境の明るさが低い場面も含んでおり、多くの車両が前照灯を点灯する明るさを想定している。
【0055】
夜間判定部82は、リアカメラ50から出力された輝度ゲイン値をモニタする。そして、輝度ゲイン値が所定値よりも高いときには、周囲の明るさが低い、すなわち、夜間であると判定する。以降、夜間と判定されたか否かに応じて、処理内容が変更されるが、詳細は後述するフローチャートで説明する。
(輝度評価値算出処理の説明)
【0056】
夜間判定処理において、夜間であると判定されたときには、輝度分布算出部85(図3)において、ウインドウ設定処理により、車両10が図1Aの状態にあるときの隣接車線22のレーンマーカ(図4(c)に示すL2,L3)の位置に当てはめられた各輝度評価用領域(ウインドウ)A1,A2,…,B1,B2,…に対して、輝度評価値EVとして、各ウインドウの位置に対応する画像Iの領域の全ての画素の輝度値を平均して輝度平均値を算出する。
【0057】
なお、車両10は、図1Bの状態におかれている可能性もあるため、隣接車線26のレーンマーカ(図4(a)に示すL1)の位置、および、図1Bに示すレーンマーカL5が観測されると予想される位置にも、それぞれ輝度評価用領域(ウインドウ)、すなわち、図4(a)に示すC1,C2,…,D1,D2,…を当てはめる。そして、輝度評価値EVとして、各ウインドウの位置に対応する画像Iの領域の全ての画素の輝度値を平均して輝度平均値を算出する。
【0058】
ここで、説明を簡単にするため、ウインドウAi(i=1,2,…)に対して算出された輝度評価値EVを、EV(Ai)で表し、ウインドウBi(i=1,2,…)に対して算出された輝度評価値EVを、EV(Bi)で表すものとする。また、車両10は図1Aの状態にあるものとする。
【0059】
輝度評価値EV(Ai),EV(Bi)は、画像Iの中で、ウインドウAi,Biに対応する領域の全ての画素の輝度値を平均することによって算出するが、これは、画像Iの中で、ウインドウAi,Biの一部に対応する領域の画素の輝度値を平均することによって算出してもよい。例えば、画像Iの、ウインドウAi,Biに対応する領域の中で、検出されたレーンマーカL2,L3(L1,L5)と重複する領域のみの輝度値を平均化してもよい。このように、ウインドウAi,Biに対応する領域の一部のみの輝度値を評価することによって、路面の明るさに影響されることなく、レーンマーカ部分の明るさのみによって路面の輝度分布を正確に評価することができる。
(輝度差算出処理の説明)
【0060】
次に、輝度差算出部86(図3)において、隣接車線22(図4(c)の場合)のレーンマーカL2,L3を横切る位置に設定された各ウインドウの中で、車両10から等距離の位置に左右に並んだウインドウ、例えば、ウインドウA3に対して算出された輝度評価値EV(A3)と、ウインドウB3に対して算出された輝度評価値EV(B3)の差分値を算出する。
【0061】
具体的には、隣接車線22の、車両10から見て隣接車線22の遠方側のレーンマーカL3を横切る位置の輝度評価値EV(B3)から、隣接車線22の車両10に近い側のレーンマーカL2を横切る位置の輝度評価値EV(A3)を差し引く。すなわち、差分値EV(Bi)−EV(Ai)を演算する。
【0062】
この輝度差算出処理は、ウインドウA3,B3のみならず、車両10の後方のいずれの距離の位置にあるウインドウAi,Bi(i=1〜5)に対して行ってもよい。
(領域判定処理の説明)
【0063】
次に、領域判定部88(図3)において、輝度差算出処理の結果を用いて、隣接車線22(図4(c)の場合)の車両10から見て遠方側のレーンマーカL3を横切る位置が、車両10に近い側のレーンマーカL2を横切る位置に対して所定値以上明るくなっているか否かを判断する。
【0064】
この処理は、2本隣の車線(図1Aの24)に前照灯を点灯した他車両が存在するか否かを判断するために行う処理である。
【0065】
以下、この領域判定処理の概要について、図5(a)〜(c)を用いて説明する。図5(a)は、図4(c)の状態において、隣接車線22上を、前照灯を点灯させた他車両12(図1A)が、車両10に接近しているときに、隣接車線22の左右端における輝度評価値EV(Ai)と輝度評価値EV(Bi)の時間推移の一例を示す図である。
【0066】
この場合は、図5(a)に示すように、輝度評価値EV(Ai)と輝度評価値EV(Bi)は、時間の推移とともに増加する。そして、車両10からみて隣接車線22に近いレーンマーカL2側の輝度評価値EV(Ai)の方が、若干大きくなる。
【0067】
一方、図5(b)は、図4(c)の状態において、2本隣の車線(図4(c)には非図示、図1Aの24)上を、前照灯を点灯させた他車両14(図1A)が、車両10に接近しているときに、隣接車線22の左右端をそれぞれ横切る位置における輝度評価値EV(Ai)と輝度評価値EV(Bi)の時間推移の一例を示す図である。
【0068】
この場合は、図5(b)に示すように、輝度評価値EV(Ai)と輝度評価値EV(Bi)は、時間の推移とともに増加する。そして、車両10から見て2本隣の車線(図1Aの24)に近いレーンマーカL3を横切る位置の輝度評価値EV(Bi)の方が、より大きく増加する。
【0069】
したがって、前述した輝度差算出処理で算出された差分値EV(Bi)−EV(Ai)の時間推移は、図5(c)のようになる。ここで、差分値EV(Bi)−EV(Ai)が、予め設定した輝度差しきい値ΔEVthを超えたことを検出して、レーンマーカL3を横切る位置には、2本隣の車線(図1Aの24)を走行している他車両14(図1A)の前照灯が映り込んでいるものと判断する。そして、この判断によって、2本隣の車線(図1Aの24)に、前照灯を点灯させた他車両14が存在するものと判断する。
【0070】
なお、輝度差しきい値ΔEVthは、実験等によって求めた値を設定すればよい。例えば、画像Iが8ビットに量子化された輝度値、すなわち、0〜255の輝度値を有するときに、実験によって、他車両14の前照灯によって照らされたレーンマーカL3が輝度値150で観測されたとすると、輝度差しきい値ΔEVthとして、余裕代20%を加味して、ΔEVth=120に設定すればよい。
(接近車両検出処理の説明)
【0071】
次に、接近車両検出部92(図3)において行う接近車両検出処理について、図6を用いて説明する。
【0072】
接近車両検出処理は、画像Iの中で、隣接車線(図1Aの22、または、図1Bの26)の位置に、図6に示すような接近車両検出枠Tを設定して、この接近車両検出枠T内部の輝度分布を分析することによって行う。この接近車両検出枠Tは、隣接車線22(26)の内部に、車線に沿う矩形状の領域として設定される。なお、接近車両検出枠Tのサイズと接近車両検出枠Tを設定する位置は、実験等によって予め決められているものとする。
【0073】
具体的には、接近車両検出枠T内の輝度値を縦方向に累積して、算出された累積値を、累積した画素数で除算する。これによって、図6に示す平均輝度値の分布が生成される。なお、累積した画素数で除算するのは、設定した接近車両検出枠Tが遠方に行くほど小さくなっているため、輝度値の累積値を正規化するためである。ここで、図6に示すように、隣接車線22に設定した接近車両検出枠T内に接近車両(他車両12)が存在したときには、接近車両(他車両12)の領域は、路面と輝度差を有しているため、平均輝度値の分布の中に、平均輝度値が大きく変化する位置が生じる。特に、接近車両(他車両12)が前照灯12h,12hを点灯しているときには、平均輝度値が顕著に変化する。接近車両検出部92は、この平均輝度値が大きく変化する位置(平均輝度値変化位置)を検出する。なお、場合によっては、平均輝度値変化位置が複数検出される。そのときは、検出された複数の平均輝度値変化位置の重心位置を検出する。このようにして、平均輝度値変化位置、もしくはその重心位置を検出することよって、隣接車線22に接近車両(他車両12)が存在することを検出することができる。
(接近車両検出の中断時間設定処理の説明)
【0074】
前述した領域判定処理によって、2本隣の車線(図1Aの24)に、前照灯を点灯させた他車両14が存在すると判断されたときには、隣接車線(図1Aの22)における接近車両検出処理を一時的に中断する。
【0075】
接近車両検出処理の中断時間は、移動速度差算出部90(図3)において、車両10と他車両14の相対速度に基づいて設定される。すなわち、他車両14が車両10に近づく方向の相対速度が大きいときには、他車両14の前照灯の照射範囲14r(図1A)が短時間しかウインドウBi内に留まらないため、接近車両検出処理の中断時間を短く設定する。一方、車両10と他車両14の相対速度が、他車両14が車両10に近づく方向に小さいときには、他車両14の前照灯の照射範囲14r(図1A)がより長い時間に亘ってウインドウBi内に留まるため、接近車両検出処理の中断時間を長く設定する。
【0076】
なお、前述した中断時間の間に亘って、接近車両検出処理によって検出された隣接車線22を走行している他車両12は無効とするため、以後、中断時間のことを無効化時間Tnと呼ぶ。
【0077】
ここで、車両10と他車両14の相対速度は、移動速度差算出部90(図3)において算出される。具体的には、図5(c)に示した差分値EV(Bi)−EV(Ai)の時間推移に対する傾きが、車両10と他車両14の相対速度を表しているため、その傾きの値に応じて無効化時間Tnを設定すればよい。すなわち、差分値EV(Bi)−EV(Ai)の時間推移に対する傾きが大きいときは、車両10と他車両14の相対速度が大きいため、他車両14の前照灯の照射範囲14rは短時間でウインドウBiを通り過ぎる。したがって、無効化時間Tnを短く設定する。逆に、差分値EV(Bi)−EV(Ai)の時間推移に対する傾きが小さいときは、車両10と他車両14の相対速度が小さいため、無効化時間Tnを長く設定する。なお、具体的な無効化時間Tnの値は、実験等によって設定される。
【0078】
また、接近車両検出処理を中断する方法は、接近車両検出処理そのものを中止することによって実現してもよいし、接近車両検出処理は継続するが、そこで算出された結果を全て無効とすることによって実現してもよい。
(実施例1の処理の流れの説明)
【0079】
次に、実施例1で行われる処理の全体の流れについて、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0080】
(ステップS100)LDWおよびBSWの開始判断を行う。具体的には、車両10の車速を検出して、所定の車速(例えば30km/h)を超えたときに、LDWとBSWによる監視を開始する。
【0081】
(ステップS102)リアカメラ50で車両10の後方の画像を撮像する。
【0082】
(ステップS104)レーンマーカ検出部80において、レーンマーカ検出処理を行う。具体的な処理の内容は、前述したとおりである。
【0083】
(ステップS106)ウインドウ設定部84において、検出したレーンマーカを横切る位置に複数のウインドウを設定する。具体的な処理の内容は、前述したとおりである。
【0084】
(ステップS108)車線逸脱警報が必要か否か、すなわち、車両10が走行車線20を逸脱する虞があるか否かを判断する。走行車線20を逸脱する虞があるときにはステップS110に進み、それ以外のときはステップS116に進む。
【0085】
(ステップS110)ブザー64を吹鳴させて、車線逸脱警報を出力する。
【0086】
(ステップS112)車線逸脱警報解除条件を満たすか否かを判断する。車線逸脱警報解除条件を満たすときはステップS114に進み、それ以外のときはステップS112を繰り返す。なお、LDW機能は、例えば、車線逸脱/後側方監視スイッチ60が操作されたときに解除される。
【0087】
(ステップS114)ブザー64の吹鳴を止めて、車線逸脱警報を解除する。
【0088】
(ステップS116)夜間判定部82において、車両10の周囲が暗いか否かを判断する。具体的には、リアカメラ50から出力された輝度ゲイン値が所定値以上であるときには、周囲が暗い環境であると判断してステップS118に進む。それ以外のとき、例えば昼間に明るい道路を走行しているときはステップS126に進む。
【0089】
(ステップS118)領域判定部88において、2本隣の車線24(28)の他車両の有無を判断する。
【0090】
(ステップS120)2本隣の車線24(28)に他車両14(18)が存在すると判断されたときはステップS122に進み、それ以外のときはステップS126に進む。
【0091】
(ステップS122)移動速度差算出部90において、車両10に対する他車両14(または18)の相対速度を算出する。具体的な算出方法は前述した通りである。
【0092】
(ステップS124)ステップS122で算出した相対速度に応じた時間に亘って、隣接車線22(26)で検出された他車両12(16)を無効にする車両検出無効化処理を行う。具体的な処理の内容は後述する。
【0093】
(ステップS126)接近車両検出部92において、隣接車線22(26)で他車両12(16)を検出する。具体的な検出方法は前述した通りである。
【0094】
(ステップS128)接近車両警報が必要か否かを判断する。具体的には、隣接車線22(26)の車両10の後方の所定の距離範囲に接近車両である他車両12(16)が検出されたか否かを判断する。接近車両が検出されたときにはステップS130に進み、それ以外のときはステップS136に進む。
【0095】
(ステップS130)接近車両が検出された方向に対応する、左後側方接近車両インジケータ66aまたは右後側方接近車両インジケータ66bを点灯させて、接近車両の存在を報知する。さらに、左後側方接近車両インジケータ66aまたは右後側方接近車両インジケータ66bが点灯している状態であるときに、点灯しているインジケータ側にウインカー操作が行われたときには、ブザー64を吹鳴させて、接近車両警報を出力する。
【0096】
(ステップS132)接近車両警報解除条件を満たすか否かを判断する。接近車両警報解除条件を満たすときはステップS134に進み、それ以外のときはステップS132を繰り返す。なお、BSW機能は、例えば、ウインカー操作を解除したとき、あるいは、車両10の車速が所定値(例えば20km/h)を下回ったときに解除される。
【0097】
(ステップS134)点灯していた左後側方接近車両インジケータ66aまたは右後側方接近車両インジケータ66bを消灯し、ブザー64の吹鳴を止めて、接近車両警報を解除する。
【0098】
(ステップS136)LDWおよびBSWの終了判断を行う。具体的には、車両10の車速を検出して、所定値(例えば20km/h)を下回ったときに、LDWとBSWによる監視を終了する。
【0099】
なお、図7のフローチャートには記載しないが、車両10のシフトポジションが後退位置に入ったときには、リアカメラ50で撮像された映像がモニタ70に表示される。そして、車両10の運転者は、モニタ70に表示された車両10の後方の映像を確認して車両10の後退操作を行う。
【0100】
続いて、図7のステップS118で行う、2本隣の車線の車両有無判断処理の流れについて、図8を用いて説明する。
【0101】
(ステップS200)2本隣の車線24(28)における他車両の有無を示す車両有無フラグV2_fを0にして、2本隣の車線24(28)に他車両14(18)がいない状態であるとする。
【0102】
(ステップS202)ウインドウBi(i=1〜5のいずれか)の輝度評価値EV(Bi)が輝度しきい値EVthを超えているか否かを判断する。EV(Bi)>EVthのときはステップS204に進み、それ以外のときはメインルーチン(図7)に戻る。
【0103】
(ステップS204)EV(Bi)−EV(Ai)が輝度差しきい値ΔEVthを超えて、なおかつ、車両有無フラグV2_fが0であるか否かを判断する。条件を満足しているときはステップS206に進み、それ以外のときはメインルーチン(図7)に戻る。
【0104】
(ステップS206)車両有無フラグV2_fを1にして、2本隣の車線24(28)に他車両14(18)がいると判断した状態であるとするとともに、そのときの時刻t0を記憶する。その後、メインルーチン(図7)に戻る。
【0105】
次に、図7のステップS124で行う、隣接車線の車両検出無効化処理の流れについて、図9を用いて説明する。
【0106】
(ステップS300)前述したステップS122で算出した、車両10に対する他車両14(18)の相対速度に基づいて、隣接車線22(26)で検出された他車両12(16)を無効にする車両検出無効化処理を実行する時間間隔である無効化時間Tnを設定する。
【0107】
(ステップS302)車両有無フラグV2_fが1になった時刻t0から、ステップS300で設定した無効化時間Tnが経過したか否かを判断する。無効化時間Tnが経過したときはステップS304に進み、それ以外のときはステップS306に進む。
【0108】
(ステップS304)車両有無フラグV2_fを0にして、2本隣の車線24(28)に他車両14(18)がいないと判断した状態とする。その後メインルーチン(図7)に戻る。
【0109】
(ステップS306)隣接車線22(26)で他車両12(16)の検出を行い、他車両12(16)の検出結果を無効とする。その後、ステップS302に戻る。
【0110】
次に、本発明に係る接近車両検出装置の具体的な第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
【実施例2】
【0111】
本実施例2は、本発明を、実施例1と同様の機能を有する車線逸脱および後側方監視装置100bに適用したものである。まず、図10を用いて、車線逸脱および後側方監視装置100bの機能構成について説明する。
【0112】
車線逸脱および後側方監視装置100bは、図10に示すように、隣接車線22(26)の左右のレーンマーカL3,L2(L1,L5)のうち、車両10から見て遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に設定されたウインドウBi(Di)に対して、車両10から見て後方遠方から車両10の直近側に向かって、輝度評価値EV(Bi)(EV(Di))の変化を検出する輝度変化算出部87を備える点が、前述した車線逸脱および後側方監視装置100a(図3)と異なっている。そして、この車線逸脱および後側方監視装置100bと、車線逸脱判断部94と、でカメラECU52bが構成される。
【0113】
車線逸脱および後側方監視装置100bの作用は、領域判定部88において、走行車線20に隣接する隣接車線22(26)上の輝度が高い領域が、車両10から見て、隣接車線22(26)の遠方側に隣接する2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯が映り込んだ領域であるか、または、隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)の前照灯が映り込んだ領域であるか、を判定する判定方法が、車線逸脱および後側方監視装置100aと異なっている。
【0114】
以下、車線逸脱および後側方監視装置100bの領域判定部88で行われる領域判定方法について説明する。
【0115】
車線逸脱および後側方監視装置100bの領域判定部88では、輝度差算出部86で算出された輝度評価値EVの差分値が、前述したように輝度差しきい値ΔEVthよりも大きく、なおかつ、遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に設定された各ウインドウBi(Di)に対して、車両10から見て後方遠方のウインドウ(例えばB1(D1))から車両10直近のウインドウ(例えばB5(D5))に向かって、輝度評価値EV(Bi)(EV(Di))が時間を追って輝度しきい値EVthを超える方向に変化するときに、レーンマーカL3(L5)を横切る位置に、2本隣の車線24(28)を走行している他車両14(18)の前照灯が映り込んでいると判断する。
【0116】
図11は、図4Cに示したようにレーンマーカL3を横切る位置にウインドウBi(i=1〜5)を設定して、図1Aに示すように、2本隣の車線24上を、前照灯を点灯した他車両14が車両10の後方から接近しているときに、各ウインドウBi内部の輝度評価値EV(Bi)の時間推移を計測した図である。
【0117】
図11に示すように、各ウインドウBi(i=1〜5)の輝度評価値EV(Bi)は、時間の推移とともに、それぞれ単調に増加する。そして、他車両14が車両10に接近するにつれて、図1Aに示す他車両14の前照灯14h,14hの照射範囲14rが、徐々に車両10に接近するため、車両10から見て後方遠方のウインドウ(例えばB1)で観測された輝度評価値EV(B1)の変化が、時間の推移に伴って、より車両10に近接したウインドウB2,B3,B4,B5で、順に観測される。
【0118】
ここで、図11において、輝度評価値EV(Bi)が輝度しきい値EVthを超える時刻を計測すると、車両10から見て遠方のウインドウB1から直近のウインドウB5の順に、時刻t1,t2,t3,t4,t5が計測される。
【0119】
そして、互いに隣接した2つのウインドウ(例えば、B1とB2,B2とB3,…)について、輝度評価値EV(Bi)が輝度しきい値EVthを超える時刻差Δti(i=1〜4)をそれぞれ求めると、車両10に近づく順に、Δt1=t2−t1,Δt2=t3−t2,Δt3=t4−t3,Δt4=t5−t4となる。
【0120】
このとき、2本隣の車線24を走行する他車両14が、車両10に対して一定の相対速度で接近していると仮定すると、図1Aに示した他車両14の前照灯14h,14hの照射範囲14rは、一定速度で車両10に接近する。すなわち、図11において、輝度評価値EV(Bi)の傾きは全て等しくなる。そして、複数のウインドウBiは、前述したように、レーンマーカL3を横切る位置に等間隔で置かれているため、輝度評価値EV(Bi)が輝度しきい値EVthを超える時刻差Δtiは全て等しくなる。
【0121】
そこで、輝度変化算出部87では、図11に示した時刻差Δtiを算出し、それらの値を比較する。そして、時刻差Δti(i=1〜4)が全て所定の時間範囲内であると判断されたときには、実施例1で説明した、輝度評価値EV(Bi)が輝度しきい値EVthよりも大きく、なおかつ差分値EV(Bi)−EV(Ai)が輝度差しきい値ΔEVthよりも大きく、さらに、車両有無フラグV2_fが0であることと併せて、レーンマーカL3を横切る位置には、2本隣の車線24を走行する他車両14の前照灯が映り込んでいると判断する。
【0122】
次に、車線逸脱および後側方監視装置100bで行われる処理の流れについて説明する。車線逸脱および後側方監視装置100bで行われる処理の流れは、図7で示した車線逸脱および後側方監視装置100aで行われる処理の流れとほぼ等しいものであるため、相違点についてのみ説明する。
【0123】
両者で異なるのは、図7のステップS118に示した、2本隣の車線の車両の有無を判断する処理の内容である。すなわち、車線逸脱および後側方監視装置100aでは、図8に示す処理が行われるのに対して、車線逸脱および後側方監視装置100bでは、図12に示す処理が行われる。以下、図12の処理の流れについて説明する。
【0124】
(ステップS400)2本隣の車線24(28)における他車両の有無を示す車両有無フラグV2_fを0にして、2本隣の車線24(28)に他車両14(18)がいない状態であるとする。
【0125】
(ステップS402)ウインドウBi(i=1〜5のいずれか)の輝度評価値EV(Bi)が輝度しきい値EVthよりも大きいか否かを判断する。EV(Bi)>EVthのときはステップS404に進み、それ以外のときはメインルーチン(図7)に戻る。
【0126】
(ステップS404)差分値EV(Bi)−EV(Ai)が輝度差しきい値ΔEVthよりも大きく、なおかつ、車両有無フラグV2_fが0であるか否かを判断する。条件を満足しているときはステップS406に進み、それ以外のときはメインルーチン(図7)に戻る。
【0127】
(ステップS406)差分値EV(Bi)−EV(Ai)が輝度差しきい値ΔEVthを超える時刻差Δti(i=1〜4)が、全て所定の時間範囲内にあるか否かを判断する。条件を満足するときはステップS408に進み、それ以外のときはメインルーチン(図7)に戻る。
【0128】
(ステップS408)車両有無フラグV2_fを1にして、2本隣の車線24(28)に他車両がいる状態であるとするとともに、そのときの時刻t0を記憶する。その後、メインルーチン(図7)に戻る。
【0129】
以上説明したように、このように構成された本発明に係る接近車両検出装置95aを用いた車線逸脱および後側方監視装置100aによれば、片側3車線以上の車線を有する道路30の走行車線20を走行中に、リアカメラ50(撮像部)で撮像された車両10後方の画像Iの中から、レーンマーカ検出部80が検出した、少なくとも隣接車線22(26)の境界を示すレーンマーカL2,L3(L1,L5)の位置に、ウインドウ設定部84が、車両10からの距離が異なる複数の位置に、レーンマーカ検出部80で検出されたレーンマーカL2(L1)を横切るウインドウAiとレーンマーカL3(L5)を横切るウインドウBiをそれぞれ設定して、輝度分布算出部85が、画像Iの中の各ウインドウAi,Biに対応する領域の輝度分布に基づく輝度評価値EV(Ai),EV(Bi)をそれぞれ算出し、領域判定部88が、輝度評価値EV(Ai),EV(Bi)に基づいて、隣接車線22(26)の左右の境界を示すレーンマーカL2,L3(L1,L5)のうち、車両10から見て遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に、隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)の前照灯が映り込んでいるか、または、車両10から見て隣接車線22(26)の遠方側に隣接する2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯が映り込んでいるか、を判定して、2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯が映り込んでいると判定されたときには、接近車両検出部92が、隣接車線22(26)を走行している他車両12(16)を無効化時間Tn(所定時間)に亘って検出しないため、前照灯を点灯して2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)を、前照灯を点灯して隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)であると誤って判断することがない。これによって、隣接車線22(26)を走行している接近車両(他車両12(16))の検出を確実に行うことができる。
【0130】
また、このように構成された本発明に係る接近車両検出装置95aを用いた車線逸脱および後側方監視装置100aによれば、輝度評価値EV(Ai),EV(Bi)を、画像Iの中に設定した各ウインドウAi,Biに対応する領域のうち、少なくとも、隣接車線22(26)の左右の境界を示すレーンマーカL2,L3(L1,L5)のうち、車両10から見て遠方側のレーンマーカL3(L5)と重複する領域の平均輝度値としたため、路面上の明るさの分布を簡便に定量化することができ、これによって、レーンマーカL3(L5)を横切る位置の輝度値が、隣接車線22(26)の他車両12(16)によるものか、2本隣の車線24(28)の他車両14(18)によるものかの判定を効率的に行うことができる。
【0131】
さらに、このように構成された本発明に係る接近車両検出装置95aを用いた車線逸脱および後側方監視装置100aによれば、領域判定部88は、隣接車線22(26)の左右の境界を示すレーンマーカL2,L3(L1,L5)のうち、車両10から見て遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に設定されたウインドウBi(Di)に対応する領域の輝度評価値EV(Bi)(EV(Di))から、ウインドウBi(Di)と等距離にある、隣接車線の車両10に近接した側のレーンマーカL2(L1)を横切る位置に設定されたウインドウAi(Ci)に対応する領域の輝度評価値EV(Ai)(EV(Ci))を差し引いた値が、正の輝度差しきい値ΔEVthよりも大きいときに、遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置には、2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯が映り込んでいると判定するため、路面上の明るさの分布を容易に判定することができる。
【0132】
そして、このように構成された本発明に係る接近車両検出装置95bを用いた車線逸脱および後側方監視装置100bによれば、領域判定部88は、隣接車線22(26)の左右の境界を示すレーンマーカL2,L3(L1,L5)のうち、車両10から見て遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に設定されたウインドウBi(Di)に対応する領域の輝度評価値EV(Bi)(EV(Di))から、ウインドウBi(Di)と等距離にある、隣接車線の車両10に近接した側のレーンマーカL2(L1)を横切る位置に設定されたウインドウAi(Ci)に対応する領域の輝度評価値EV(Ai)(EV(Ci))を差し引いた値が正の輝度差しきい値ΔEVthよりも大きく、なおかつ、遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に設定された各ウインドウBi(Di)に対して、車両10から見て後方遠方のウインドウから車両10直近のウインドウに向かって、輝度評価値EV(Bi)(EV(Di))が時間を追って輝度しきい値EVthを超える方向に変化するときに、遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置には、2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯が映り込んでいると判定するため、路面上の明るさの分布の判定をより確実に行うことができる。
【0133】
また、このように構成された本発明に係る接近車両検出装置95bを用いた車線逸脱および後側方監視装置100bによれば、車両10から見て隣接車線22(26)の遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に設定された各ウインドウBi(Di)に対応する領域の輝度評価値EV(Bi)(EV(Di))が、互いに隣接するウインドウにおいて、それぞれ輝度しきい値EVthを超えたときに、隣接する各ウインドウBi(Di)において輝度しきい値EVthを超えた各時刻差Δtiが、いずれも所定の時間範囲内にあるときには、車両10から見て後方遠方のウインドウから車両10直近のウインドウに向かって、輝度評価値EV(Bi)(EV(Di))が時間を追って輝度しきい値EVthを超える方向に変化したと判断するため、遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置の輝度変化を、容易かつ確実に検出することができる。そして、これによって、遠方側のレーンマーカL3(L5)を照射する2本隣の車線24(28)を走行している他車両14(18)の前照灯の照射範囲の動きを容易かつ確実に判断することができる。
【0134】
さらに、このように構成された本発明に係る接近車両検出装置95aを用いた車線逸脱および後側方監視装置100aによれば、領域判定部88が、車両10から見て隣接車線22(26)の遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に、2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯が映り込んでいると判定したときには、無効化時間Tn(所定時間)に亘って、接近車両検出部92における、隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)の検出結果を無効にするため、前照灯を点灯して2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)を、前照灯を点灯して隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)であると誤って判断することがない。
【0135】
そして、このように構成された本発明に係る接近車両検出装置95aを用いた車線逸脱および後側方監視装置100aによれば、領域判定部88が、車両10から見て隣接車線22(26)の遠方側のレーンマーカL3(L5)を横切る位置に、2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯が映り込んでいると判定したときには、無効化時間Tn(所定時間)に亘って、接近車両検出部92における、隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)の検出を中断するため、前照灯を点灯して2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)を、前照灯を点灯して隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)であると誤って判断することがない。
【0136】
また、このように構成された本発明に係る接近車両検出装置95aを用いた車線逸脱および後側方監視装置100aによれば、無効化時間Tn(所定時間)は、車両10と、前照灯が映り込んだ領域と、の移動速度差に基づいて設定されるため、2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の前照灯の映り込みによる、隣接車線22(26)を走行する他車両12(16)の誤検出を確実に防止することができる。
【0137】
なお、実施例1において、輝度差算出処理は、車両10の後方のいずれか1組のウインドウAi,Bi(i=1〜5)に対して行ったが、これは、複数組のウインドウに対して行っても構わない。すなわち、車両10から距離が異なる複数組のウインドウAi,BiとAj,Bjに対して、それぞれ輝度差算出処理を行い、差分値EV(Bi)−EV(Ai)と差分値EV(Bj)−EV(Aj)がともに輝度差しきい値ΔEVthよりも大きいときに、左右のレーンマーカL3,L2に輝度差が生じたと判断するため、突発的なノイズ等に左右されずに、レーンマーカを横切る位置の輝度分布を安定して評価することができる。
【0138】
また、実施例1において、接近車両検出部92は、接近車両検出枠Tの内部の輝度分布に基づいて他車両12(接近車両)を検出したが、他車両12(接近車両)の検出は、この方法に限定されるものではない。すなわち、車両10の後側方を撮像した画像Iに対して、時間的に連続して撮像された画像同士の差分演算(フレーム差分)を行って、画像間で動きのあった領域を検出してもよいし、また、車両の形状を模したテンプレートを用いてテンプレートマッチングを行ってもよい。
【0139】
また、実施例1にあっては、リアカメラ50を1台のみ用いて、車両10の後方の画像Iを撮像したが、これは、車両10の右ドアミラー、および左ドアミラー近傍に、それぞれカメラを設置して、リアカメラ50と合わせた3台のカメラで車両10の後側方を広く監視する構成にしてもよい。これにより、より広い視野で車両10の後側方を監視することができる。
【0140】
また、実施例1にあっては、車両10の車速によってBSW機能を起動したが、これは、車両10に搭載されたカーナビゲーションシステムが有する地図情報の中に、道路30の車線数情報を格納して、現在走行している道路30が片側2車線以上の道路であるときにのみBSW機能を起動させて、特に、片側3車線以上の道路30を走行中であると認識したときに限って、周囲環境が暗いとき(夜間,トンネル内部など)には、実施例1,実施例2で説明したように2本隣の車線24(28)を走行する他車両14(18)の誤検出を防止する策をとって、接近車両の検出を行うようにしてもよい。
【0141】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0142】
10 車両
50 リアカメラ
52a カメラECU
54 車速センサ
56 ウインカースイッチ
60 車線逸脱/後側方監視スイッチ
64 ブザー
66 接近車両インジケータ
70 モニタ
72 リバーススイッチ
80 レーンマーカ検出部
82 夜間判定部
84 ウインドウ設定部
85 輝度分布算出部
86 輝度差算出部
88 領域判定部
90 移動速度差算出部
92 接近車両検出部
94 車線逸脱判断部
95a 接近車両検出装置
100a 車線逸脱および後側方監視装置
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12