(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-215967(P2015-215967A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】コネクタ構造
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20151106BHJP
【FI】
H01R24/38
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-96778(P2014-96778)
(22)【出願日】2014年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】國枝 宏則
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 拓
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 渉
(72)【発明者】
【氏名】鹿嶋 真義
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AA16
5E123AB21
5E123AB31
5E123BA12
5E123BA15
5E123BA17
5E123CA13
5E123CC09
5E123CD01
5E123EC07
5E123EC32
5E123EC63
5E123GA08
5E123GA11
5E123GA14
5E123GA19
5E123GA42
5E123GA44
5E123GA72
5E123GA74
5E123GA83
(57)【要約】
【課題】レセプタクルが固定される第1の部材とプラグが固定される第2の部材とのコネクタ軸方向への組み付け公差が大きくても、レセプタクルとプラグとを確実に電気的に接続できるコネクタ構造を提供する。
【解決手段】第1のケース6に固定されるレセプタクル3は、中心導体部3aと、中心導体部3aを同軸に取り囲む外側導体部3bとを有して、外側導体部3bの先端部にコネクタ周方向に延びるレセプタクル側凸部3dを形成し、第2のケース8に固定されるプラグ4は、レセプタクル3に嵌合したときに中心導体部3aの外周面に接触する複数の内側接片部4aと、レセプタクル3に嵌合したときに外側導体部3bの外周面に間隙を隔ててコネクタ軸方向に延びる複数の外側接片部4bと有して、外側接片部4bに外側導体部3bの外周面に面接触した状態でコネクタ軸方向に変位自在なプラグ側凸部4eを形成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材に対して固定されたレセプタクルと、前記第1の部材に組み付けられる第2の部材に対して固定され、かつ前記レセプタクルに嵌合するプラグと、を備えたコネクタ構造であって、
前記レセプタクルは、中心導体部と、前記中心導体部を同軸に取り囲む筒状の外側導体部とを有して、前記外側導体部の先端部にコネクタ周方向に延びるレセプタクル側凸部を形成し、
前記プラグは、前記レセプタクルに嵌合したときに前記中心導体部の外周面に接触する複数の内側接片部と、前記レセプタクルに嵌合したときに前記外側導体部の外周面に間隙を隔ててコネクタ軸方向に延びる複数の外側接片部と有して、前記外側接片部に前記外側導体部の外周面に面接触した状態でコネクタ軸方向に変位自在なプラグ側凸部を形成し、
前記第1の部材と前記第2の部材との間には、前記レセプタクルの軸線に対して直交する方向にクリアランスが形成され、
前記第1の部材に前記第2の部材がコネクタ軸方向に変位自在な範囲内において組み付けられることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
レセプタクルにプラグを同軸な状態で嵌合させたうえ、その状態を維持したまま、第1の部材と第2の部材とを相互に固定したことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一端部にレンズ部材が取り付けられ、他端部に開口部を有する第1のケースと、撮像素子と電気的に接続された雌端子を有し、第1のケースに収納される基板と、開口部を閉止するよう第1のケースに組み付けられる第2のケースと、第2のケースを第1のケースに組み付けたときに雌端子に電気的に接続されるよう第2のケースに取り付けた雄端子とを有し、雄端子と雌端子とによりコネクタを構成した撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、撮像装置内部のレンズユニットから撮像装置外部の画像処理ユニットへのデータ伝送速度を向上させるために、1本の同軸ケーブルで画像処理ユニットからレンズユニットに作動電源と制御信号とを送るとともに、レンズユニットから画像処理ユニットに画像信号を送る電源重畳を適用することが検討されている。
【0004】
同軸ケーブルとレンズユニットとの電気的な接続に用いるコネクタとしては、
図5に示すSMBコネクタが公知である。
図5におけるSMBコネクタ101は、基板102に取り付けたレセプタクル103と、図示しない同軸ケーブルに電気的に装着され、レセプタクル103に嵌合するプラグ104とを有している。
【0005】
レセプタクル103は、針状の中心導体部103aと、中心導体部103aを同軸に取り囲む筒状の外側導体部103bと、中心導体部103aと外側導体部103bとを電気的に絶縁する絶縁体103cと、有しており、外側導体部103bの外周面にコネクタ周方向に延びる溝部103dを形成している。
【0006】
プラグ104は、レセプタクル103に嵌合したときに、中心導体部103aの外周面に接触する複数の内側接片部104aと、レセプタクル103に嵌合したときに、外側導体部103bの外周面に沿ってコネクタ軸方向に延びる複数の外側接片部104bと、内側接片部104aと外側接片部104bとを電気的に絶縁する絶縁体104cと、複数の外側接片部104bを周方向に取り囲む筒状のハウジング部104dと、有しており、外側接片部104bに外側導体部103bの溝部103dに嵌まり込む屈曲部104eを形成している。
【0007】
プラグ104は、内側接片部104aに図示しない同軸ケーブルの内部導体が電気的に接続され、外側接片部104bに図示しない同軸ケーブルの外部導体が電気的に接続されており、レセプタクル103に嵌合させると、同軸ケーブルの内部導体が内側接片部104aを介して中心導体部103aに導通し、同軸ケーブルの外部導体が外側接片部104bおよび屈曲部104eを介して外側導体部103bに導通するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−210480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したSMBコネクタ101は、例えば、図示しない第1の部材に対してレセプタクル103を固定し、第1の部材に組み付けられる図示しない第2の部材に対してプラグ104を固定する構成を採った場合に、第1の部材と第2の部材とのコネクタ軸方向への組み付け公差が大きいと、外側導体部103bの溝部103dに外側接片部104bの屈曲部104eが嵌まり込まない状態になって、レセプタクル103とプラグ104との間の電気的な接続が不確実になるという問題があった。
【0010】
また、第1の部材に第2の部材を組み付ける部分において、コネクタ軸方向に対して直交する方向へのクリアランスが設けられていない場合には、レセプタクル103とプラグ104の嵌合よりも優先して第1の部材に対する第2の部材の相対位置が定まる。このため、第1の部材と第2の部材のコネクタ軸線方向に対して直交する方向への公差が大きい場合には、レセプタクル103の軸線とプラグ104の軸線が上述した公差の分だけずれた状態、すなわち、相互に同軸ではない状態で嵌合することとなり、これに起因して本来のインピーダンス特性が損なわれ、良好な信号伝達特性を得ることができなくなるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、レセプタクルが固定される第1の部材とプラグが固定される第2の部材とのコネクタ軸方向、およびコネクタ軸方向に対して直交する方向への組み付け公差が大きくても、レセプタクルとプラグとを確実に電気的に接続でき、良好な信号伝達特性を得られるコネクタ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るコネクタ構造は、上記目的を達成するため、第1の部材に対して固定されたレセプタクルと、前記第1の部材に組み付けられる第2の部材に対して固定され、かつ前記レセプタクルに嵌合するプラグと、を備えたコネクタ構造であって、前記レセプタクルは、中心導体部と、前記中心導体部を同軸に取り囲む筒状の外側導体部とを有して、前記外側導体部の先端部にコネクタ周方向に延びるレセプタクル側凸部を形成し、前記プラグは、前記レセプタクルに嵌合したときに前記中心導体部の外周面に接触する複数の内側接片部と、前記レセプタクルに嵌合したときに前記外側導体部の外周面に間隙を隔ててコネクタ軸方向に延びる複数の外側接片部と有して、前記外側接片部に前記外側導体部の外周面に面接触した状態でコネクタ軸方向に変位自在なプラグ側凸部を形成し、前記第1の部材と前記第2の部材との間には、前記レセプタクルの軸線に対して直交する方向にクリアランスが形成され、前記第1の部材に前記第2の部材がコネクタ軸方向に変位自在な範囲内において組み付けられる構成である。
【0013】
この構成により、本発明に係るコネクタ構造は、レセプタクルにプラグを嵌合させるときに、外側接片部のプラグ側凸部が外側導体部の外周面に面接触した状態を保持しながらコネクタ軸方向に移動し、第1の部材と第2の部材とのコネクタ軸方向への組み付け公差の大きさに応じて、外側導体部のコネクタ軸方向に対するプラグ側凸部の相対位置が定まる。よって、本発明に係るコネクタ構造は、第1の部材と第2の部材とのコネクタ軸方向への組み付け公差が大きくても、レセプタクルとプラグとを確実に電気的に接続でき、良好な信号伝達特性を得ることができる。
【0014】
また、本発明に係るコネクタ構造は、作業者が手作業によってレセプタクルにプラグを押し込んで嵌合させるときに、外側接片部のプラグ側凸部が外側導体部のレセプタクル側凸部を乗り越えるまでの間に作業者に伝わる反力に比べて、プラグ側凸部がレセプタクル側凸部を乗り越えた後に作業者に伝わる反力が小さくなる。よって、本発明に係るコネクタ構造は、作業者がレセプタクルとプラグとの電気的な接続が確実になされたか否かを判断できる。
【0015】
上述した構成のコネクタ構造において、レセプタクルにプラグを同軸な状態で嵌合させたうえ、その状態を維持したまま、第1の部材と第2の部材とを相互に固定した構成であることが好ましい。
【0016】
この構成により、本発明に係るコネクタ構造は、レセプタクルとプラグとが嵌合して同軸になった状態で、第1の部材と第2の部材とのコネクタ軸線に対して直交する方向への相対位置が定まっている。よって、本発明に係るコネクタ構造は、レセプタクルとプラグとに芯ずれに起因したインピーダンスの増大が生じることがなく、良好な信号伝達特性を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レセプタクルが固定される第1の部材とプラグが固定される第2の部材とのコネクタ軸方向への組み付け公差が大きくても、レセプタクルとプラグとを確実に電気的に接続でき、良好な信号伝達特性を得られるコネクタ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係るコネクタ構造を適用した車載カメラの要部断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るコネクタ構造を適用した車載カメラ全体の斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るコネクタ構造を適用した車載カメラの第1のケースおよびレンズユニットの斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るコネクタ構造を適用した車載カメラの第2のケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るコネクタ構造について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係るコネクタ構造は、車載カメラ1に適用されており、電子回路を構成する基板2に取り付けたレセプタクル3と、レセプタクル3に嵌合するプラグ4とを有している。
【0021】
レセプタクル3は、基板2に対して直角に突出する針状の中心導体部3aと、中心導体部3aを同軸に取り囲む筒状の外側導体部3bと、中心導体部3aと外側導体部3bとを電気的に絶縁する絶縁体3cと、有しており、外側導体部3bの先端部にコネクタ周方向に延びるレセプタクル側凸部3dを形成している。レセプタクル側凸部3dは、先端部から基板2側へ向けて緩やかに外径が拡大する截頭円錐面形状を有し、基板2側で急に外径が縮小するようになっている。
【0022】
プラグ4は、レセプタクル3に嵌合したときに中心導体部3aを径方向に挟んで中心導体部3aの外周面に接触する2つ内側接片部4aと、レセプタクル3に嵌合したときに外側導体部3bの外周面に間隙を隔てて外側導体部3bを周方向に取り囲むとともに、コネクタ軸方向に延びる4つの外側接片部4bと、内側接片部4aと外側接片部4bとを電気的に絶縁する絶縁体4cと、4つの外側接片部4bを周方向に取り囲む筒状のハウジング部4dと、有しており、外側接片部4bに外側導体部3bの外周面に面接触した状態でコネクタ軸方向に変位自在なプラグ側凸部4eを形成している。
【0023】
プラグ4は、内側接片部4aに同軸ケーブル5の内部導体5aが電気的に接続され、外側接片部4bに図示しない同軸ケーブル5の外部導体5bが電気的に接続されており、レセプタクル3に嵌合させると、同軸ケーブル5の内部導体5aが内側接片部4aを介して中心導体部3aに導通し、同軸ケーブル5の外部導体5bが外側接片部4bおよびプラグ側凸部4eを介して外側導体部3bに導通するようになっている。
【0024】
車載カメラ1は、
図2〜
図4に示すように、一端にレンズ用窓部6aを有し、他端にユニット挿入用開口部6bを有する第1のケース6と、ユニット挿入用開口部6bから第1のケース6に収容されるレンズユニット7と、ユニット挿入用開口部6bに嵌まり込むガイド部8aを有してユニット挿入用開口部6bを閉止する第2のケース8と、を有している。ここで、第1のケース6は、本発明に係るコネクタ構造における第1の部材に相当し、第2のケース8は、本発明に係るコネクタ構造における第2の部材に相当する。
【0025】
レンズユニット7は、
図1、
図3に示すように、金属板によりなるシールド筐体7aを有し、シールド筐体7aに基板2を収容している。前述したレセプタクル3の中心導体部3aおよび外側導体部3bは、シールド筐体7aに形成したレセプタクル突出用開口部7bからシールド筐体7aの外部に突出している。さらに、レンズユニット7は、レセプタクル3の中心導体部3aおよび外側導体部3bがユニット挿入用開口部6bから第1のケース6の外部に突出するよう第1のケース6に嵌入されている。よって、レセプタクル3は、基板2およびレンズユニット7を介して第1の部材である第1のケース6に固定されている。
【0026】
第2のケース8は、
図1、
図4に示すように、前述したプラグ4の内側接片部4a、外側接片部4bおよびハウジング部4dを除いた部分と、同軸ケーブル5の先端部分を一体に包含している。よって、プラグ4は、第2の部材である第2のケース8に固定されている。
【0027】
第1のケース6および第2のケース8は、
図1に示すように、レセプタクル3にプラグ4を嵌合させると、第1のケース6のユニット挿入用開口部6bに第2のケース8のガイド部8aが嵌まり込んで、第2のケース8によりユニット挿入用開口部6bが閉止される。ここで、第1のケース6と第2のケース8との嵌め合わせ部分には、コネクタ軸線に対して直交する方向に向けたクリアランスが形成されており、このクリアランスの範囲で、第1のケース6と第2のケース8との間の相対位置の変動を許容できるようになっている。第1のケース6と第2のケース8とは、レセプタクル3にプラグ4を嵌合させた後に、嵌合部分が全周にわたって超音波接合や接着剤により水密性を保つよう相互に固定され、レセプタクル3にプラグ4とが同軸な状態で嵌合した状態を維持しながら、コネクタ軸線に対して直交する方向への相対位置が定まるようになっている。
【0028】
本実施の形態に係るコネクタ構造は、レセプタクル3にプラグ4を嵌合させるときに、
外側接片部4bのプラグ側凸部4eが外側導体部3bの外周面に面接触した状態を保持しながらコネクタ軸方向に移動し、第1のケース6と第2のケース8とのコネクタ軸方向への組み付け公差の大きさに応じて、外側導体部3bのコネクタ軸方向に対するプラグ側凸部4eの相対位置が定まる。よって、本実施の形態に係るコネクタ構造は、第1のケース6と第2のケース8とのコネクタ軸方向への組み付け公差が大きくても、レセプタクル3とプラグ4とを確実に電気的に接続できる。
【0029】
本発明の形態に係るコネクタ構造は、作業者が手作業によってレセプタクル3にプラグ4を押し込んで嵌合させるときに、外側接片部4bのプラグ側凸部4eが外側導体部3bのレセプタクル側凸部3dを乗り越えるまでの間に作業者に伝わる反力に比べて、プラグ側凸部4eがレセプタクル側凸部3dを乗り越えた後に作業者に伝わる反力が小さくなる。よって、本実施の形態に係るコネクタ構造は、作業者がレセプタクル3とプラグ4との電気的な接続が確実になされたか否かを判断できる。
【0030】
本実施の形態に係るコネクタ構造は、レセプタクル3とプラグ4とが嵌合して同軸になった状態で、第1のケース6と第2のケース8とのコネクタ軸線に対して直交する方向への相対位置が定まっている。よって、本実施の形態に係るコネクタ構造は、レセプタクル3とプラグ4とに芯ずれに起因したインピーダンスの増大が生じない。
【0031】
以上のように、本発明に係るコネクタ構造は、レセプタクルが固定される第1の部材とプラグが固定される第2の部材とのコネクタ軸方向への組み付け公差が大きくても、レセプタクルとプラグとを確実に電気的に接続できるという効果を奏するもので、各種の基板アッセンブリ等に有用である。
【符号の説明】
【0032】
3 レセプタクル
3a 中心導体部
3b 外側導体部
3d レセプタクル側凸部
4 プラグ
4a 内側接片部
4b 外側接片部
4e プラグ側凸部
6 第1のケース(第1の部材)
8 第2のケース(第2の部材)