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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-215990(P2015-215990A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/684 20110101AFI20151106BHJP
【FI】
   H01R13/684
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-97431(P2014-97431)
(22)【出願日】2014年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 詩朗
(72)【発明者】
【氏名】前川 文隆
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA08
5E021FA14
5E021FB14
5E021FC36
(57)【要約】
【課題】小型化を図りながら、ヒューズとの良好な導通を確保できる接続装置を提供すること。
【解決手段】接続装置1は、軸状に延伸し、延伸方向から視た断面が円形とされたヒューズ40と、ヒューズ40の両端部の周壁を弾性的に付勢することで周壁にそれぞれ取り付けられた円筒状の円筒部を有する一対の端子50と、内部に第1収容空間12Aが設けられ、第1収容空間12A内に一対の端子50の円筒部がそれぞれ嵌め込まれるとともにヒューズ40が収容された第1ハウジング部12と、を備える。接続装置1が過度な振動環境下に晒された場合であっても、ヒューズ40と一対の端子50との間で円筒部の弾性力によって振動が吸収され、ヒューズ40と一対の端子50との間の良好な導通を確保することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状に延伸し、延伸方向から視た断面が円形とされたヒューズと、
前記ヒューズの両端部の周壁を弾性的に付勢することで該周壁にそれぞれ取り付けられた円筒状の円筒部を有する一対の端子と、
内部に収容空間が設けられ、該収容空間内に前記一対の端子の前記円筒部がそれぞれ嵌め込まれるとともに前記ヒューズが収容されたハウジングと、
を備える接続装置。
【請求項2】
前記一対の端子の少なくとも一方から前記ヒューズの延伸方向に沿って前記収容空間の外側に伸びるとともに電気機器と接続される機器側接続部を備える、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記一対の端子のいずれか一方から前記ヒューズの延伸方向に沿って前記収容空間の外側に伸びるとともに電線と接続される電線側接続部を備える、請求項1または請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記一対の端子の少なくとも一方に、前記ヒューズの端面と対向する対向部が設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源側と電気機器側の電線等との間を接続する接続装置において、電気機器側に過電流が流れることを防止するため、内部にヒューズが配されたものが知られている。このような接続装置の一例として、例えば特許文献1に記載のコネクタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−222398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるコネクタでは、その内部においてヒューズがボルト締結によって取り付けられる。このようにヒューズがボルト締結によって取り付けられる構成では、コネクタの内部にボルトが収容されるスペースを設ける必要があり、コネクタが全体として大型化することが懸念される。
【0005】
そこで、例えば内部に断面略U字状の溝からなるホルダが設けられ、そのホルダにヒューズが保持される接続装置も知られている。しかしながら、このような接続装置では、接続装置が過度な振動環境下に晒された場合、ヒューズの一部がホルダの溝の開口側から外れることがあり、ホルダとヒューズとの間が接触不良となることがある。その結果、ヒューズとの良好な導通を確保できない虞がある。
【0006】
本明細書で開示される技術は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、小型化を図りながら、ヒューズとの良好な導通を確保できる接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示される技術は、軸状に延伸し、延伸方向から視た断面が円形とされたヒューズと、前記ヒューズの両端部の周壁を弾性的に付勢することで該周壁にそれぞれ取り付けられた円筒状の円筒部を有する一対の端子と、内部に収容空間が設けられ、該収容空間内に前記一対の端子の前記円筒部がそれぞれ嵌め込まれるとともに前記ヒューズが収容されたハウジングと、を備える接続装置に関する。
【0008】
上記の接続装置では、ハウジングの収容空間内に一対の端子の円筒部がそれぞれ嵌め込まれ、各円筒部がヒューズの両端部の周壁をそれぞれ弾性的に付勢する。このため、振動環境下において、ヒューズと一対の端子との間では、円筒部の弾性力によって振動が吸収される。しかもヒューズの両端部の周壁を付勢する各端子の円筒部は円筒状であるので、ヒューズの両端部の周壁が各端子の円筒部によって囲まれる形となり、接続装置が過度な振動環境下に晒された場合であっても、ヒューズの両端部が各端子から外れ難いものとなっている。その結果、ヒューズと一対の端子との間で良好な導通を確保することができる。また、ヒューズは、ボルト締結等によらず、その両端部にハウジングの収容空間内に嵌め込まれた一対の端子が取り付けられた状態で当該収容空間内に収容されるので、ヒューズがボルト締結等される従来の構成と比べて接続装置の小型化を図ることができる。このように上記の接続装置では、小型化を図りながら、ヒューズとの良好な導通を確保することができる。
【0009】
上記の接続装置において、前記一対の端子の少なくとも一方から前記ヒューズの延伸方向に沿って前記収容空間の外側に伸びるとともに電気機器と接続される機器側接続部を備えてもよい。または、上記の接続装置において、前記一対の端子のいずれか一方から前記ヒューズの延伸方向に沿って前記収容空間の外側に伸びるとともに電線と接続される電線側接続部を備えてもよい。
【0010】
これらの構成によると、機器側接続部によって電気機器との接続を容易にすることができ、電線接続部によって電線との接続を容易にすることができる。
【0011】
上記の接続装置において、前記一対の端子の少なくとも一方に、前記ヒューズの端面と対向する対向部が設けられていてもよい。
【0012】
この構成によると、ヒューズがその延伸方向に沿って位置ずれした場合、ヒューズの端面が対向部と干渉するため、ヒューズがその延伸方向に沿ってそれ以上位置ずれすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書で開示される技術によれば、小型化を図りながら、ヒューズとの良好な導通を確保できる接続装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る接続装置の斜視図
図2】接続装置の平断面を示す斜視図
図3】接続装置に収容されたヒューズ及び一対の端子を示す斜視図
図4】接続装置の分解斜視図
図5】ヒューズ及び一対の端子を示す斜視図
図6】ヒューズ及び一対の端子の側面図
図7】ヒューズ及び一対の端子の正面図
図8】ヒューズ及び一対の端子の断面図
図9】ハウジング内にヒューズ及び一対の端子を収容する工程を示す断面図
図10】ハウジング内にヒューズ及び一対の端子を収容する工程を示す断面図
図11】ハウジング内にヒューズ及び一対の端子を収容する工程を示す断面図
図12】実施形態2に係る接続装置の斜視図
図13】接続装置の平断面を示す斜視図
図14】接続装置に収容されたヒューズ及び一対の端子を示す斜視図
図15】接続装置の分解斜視図
図16】ヒューズ及び一対の端子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
図1から図11を参照して実施形態1を説明する。本実施形態では、インバータ(不図示)側のコネクタとエアコン側の電線(不図示)との間を接続する接続装置1を例示する。この接続装置1は、その内部に後述するヒューズ40が収容されており、インバータ側からエアコン側に過電流が流れることを防止する。以下では、インバータとの接続側、即ち図1から図5における図面左下側を前方とし、電線との接続側、即ち図1から図5における図面右上側を後方とする。また、図1から図5において、図面右下側を右方とし、図面左上側を左方とする。
【0016】
接続装置1は、図1から図3に示すように、ハウジング10と、インバータに接続される一対の平板状(タブ状)の機器側接続部20,21と、電線に接続される円柱状(ピン状)の一対の電線側接続部30,31と、前後方向に沿って軸状に伸びる形で配されたヒューズ40と、ヒューズ40の前後方向における両端部に取り付けられた一対の端子50とを備えている。
【0017】
ハウジング10は、図1及び図2に示すように、略円筒状の第1ハウジング部12と、第1ハウジング部12の左隣に設けられ、前後方向の寸法、及び左右方向の寸法が第1ハウジング部12よりも小さな略円筒状の第2ハウジング部14と、第1ハウジング部12及び第2ハウジング部14から前方に向かって横長の筒状に伸びるフード部16と、からなっている。
【0018】
第1ハウジング部12の内部には、図2及び図3に示すように、略円筒状の第1収容空間(収容空間の一例)12Aが設けられている。この第1収容空間12Aには、ヒューズ40及び一対の端子50がそれぞれ収容されている。ヒューズ40及び一対の端子50の構成、ヒューズ40及び一対の端子50の第1収容空間12A内への収容態様については、後で詳しく説明する。第2ハウジング部14の内部には、略円筒状の第2収容空間14Aが設けられている。フード部16は、一対の機器側接続部20,21の前側部分を、所定の間隔を空けつつ取り囲む形で設けられている。
【0019】
図2及び図4に示すように、第1ハウジング部12の第1収容空間12Aとフード部16の内側に形成された空間との間には、両空間を連通する矩形状の第1連通孔12Bが設けられている。また、第2ハウジング部14の第2収容空間14Aとフード部16の内側に形成された空間との間には、両空間を連通する矩形状の第2連通孔14Bが設けられている。
【0020】
接続装置1では、図2に示すように、一方の機器側接続部20と一方の電線側接続部30とが、ヒューズ40及び一対の端子50を介して互いに接続されている。即ち、一方の機器側接続部20は、その後側部分が第1連通孔12Bを貫通して第1収容空間12A内まで伸びており、その後端部がヒューズ40の前端部40Aに取り付けられた端子50と接続されている。そして、一方の電線側接続部30は、その前側部分が第1収容空間12A内においてヒューズ40の後端部40Aに取り付けられた端子50と接続され、その後側部分が第1ハウジング部12の後端からハウジング10の外側に露出して後方側に伸びている。
【0021】
一方、接続装置1では、図2に示すように、他方の機器側接続部21の後側部分と他方の電線側接続部31とが直接接続されている。即ち、他方の機器側接続部21は、その後側部分が第2連通孔14Bを貫通して第2収容空間14A内まで伸びており、その後端部が第2収容空間14A内において他方の電線側接続部31の前端部と接続されている。他方の電線側接続部31は、その後側部分が第2ハウジング部14の後端からハウジング10の外側に露出して後方側に伸びている。
【0022】
続いてヒューズ40及び一対の端子50の構成について説明する。ヒューズ40は、内部に消弧砂が充填された公知のもの(例えば限流ヒューズ)であり、前後方向に沿って軸状に延伸しており、図8に示すように、その延伸方向(前後方向)から視た断面が円形とされている。ヒューズ40は、その両端部40Aが各端子50との接触部とされている。ヒューズ40は、その両端部40Aに一対の端子50が取り付けられることで、一対の端子50の間を電気的に接続している。
【0023】
一対の端子50は、いずれも同様の形状及び構成とされている。図4及び図6に示すように、一対の端子50のうちヒューズ40の前端部40Aに取り付けられる端子50には、一方の機器側接続部20の後端部が抵抗溶接によって接続されており、これにより、当該端子50と一方の機器側接続部20とが一体となっている。また、図4及び図6に示すように、一対の端子50のうちヒューズ40の後端部40Aに取り付けられる端子50には、一方の電線側接続部30の前端部が抵抗溶接によって接続されており、これにより、当該端子50と一方の電線側接続部30とが一体となっている。
【0024】
各端子50は、図4に示すように、ヒューズ40の両端部40Aに直接取り付けられる円筒状の円筒部52と、ヒューズ40の端面と対向状に配される対向部54と、を有している。端子50を構成する円筒部52は、略長方形状の平坦な金属板を円筒状に曲げ加工することによって形成されている。円筒部52が円筒状とされることで、ヒューズ40の両端部40Aに円筒部52が取り付けられた状態では、ヒューズ40の両端部40Aの周壁が各端子50の円筒部52によって囲まれる形となる。略円筒状に曲げ加工された円筒部52の内径は、図7及び図8に示すように、ヒューズ40の両端部40Aにそれぞれ取り付けられた状態で、ヒューズ40の両端部40Aの外径とほぼ同等となっている。
【0025】
図5及び図6に示すように、曲げ加工された円筒部52の曲げ方向の両端部のうち一方の端部には2本のスリットが形成されている。これにより、当該一方の端部には、当該一方の端部から円筒部52の曲げ方向に沿って延出する一対の第1押さえ片52A1と、前後方向において一対の第1押さえ片52A1の間に配されるとともに当該一方の端部から円筒部52の曲げ方向に沿って延出する第1受け片52A2と、が設けられている。また、一対の第1押さえ片52A1の先端部には、図8に示すように、内側(ヒューズ40の端部の周壁側)に向かって爪状に屈曲されてなる係合片52A3がそれぞれ設けられている。
【0026】
一方、図5及び図6に示すように、曲げ加工された円筒部52の曲げ方向の両端部のうち他方の端部には、上記一方の端部に設けられた2本のスリットと重なり合う位置に、それぞれスリットが設けられており、これにより、当該他方の端部には3つの片が設けられている。このうち2本のスリットの間に設けられた片が、第1受け片52A2に対応する第2押さえ片52B1とされている。また、上記2本のスリットの両側に設けられた片が、上記一対の第1押さえ片52A1に対応する一対の第2受け片52B2とされている。この一対の第2受け片52B2には、図8に示すように、矩形状の係合孔52B3がそれぞれ設けられている。
【0027】
円筒部52は、上述したように、金属板を略円筒状に曲げ加工することにより、前後方向において第2押さえ片52B1が一対の第1押さえ片52A1の間に位置した状態となっている。具体的には、一対の第1押さえ片52A1が一対の第2受け片52B2の外周面に重ね合わせられ、第2押さえ片2B1が第1受け片52A2の外周面に重ね合わされている。そして、一対の第1押さえ片52A1に設けられた係合片52A3が一対の第2受け片52B2に設けられた係合孔52B3にそれぞれ係合されている。これにより、円筒部52は、金属板が円筒状に曲げ加工された状態で開き止めされている。
【0028】
対向部54は、図5及び図7に示すように、一つの端子50に対して一対設けられている。対向部54は、ヒューズ40の前端部40Aに取り付けられた端子50については円筒部52の前端から、ヒューズ40の後端部40Aに取り付けられた端子50については円筒部52の後端から、内側に向かって張り出す形で延出している。円筒部52から延出する一対の対向部54は、それぞれヒューズ40の端面に近接して対向している。このため、両端部に端子50が取り付けられた状態のヒューズ40が当該端子50に対して前後方向に相対移動すると、ヒューズ40の前端面又は後端面が一対の対向部54と即座に干渉し、端子50に対してヒューズ40がそれ以上相対移動することが抑制されるようになっている。
【0029】
続いて第1収容空間12A内へのヒューズ40及び一対の端子50の収容態様について説明する。本実施形態では、ヒューズ40及び一対の端子50を第1収容空間12A内に収容する前に、予め、一方の端子50の前端に一方の機器側接続部20を抵抗溶接によって接続し、他方の端子50の後端に一方の電線側接続部30を抵抗溶接によって接続しておく。本実施形態では、第1収容空間12A内にヒューズ40及び一対の端子50を収容するに前の状態では、図9に示すように、第1収容空間12Aの後方側が開放されている。そして、この開放された第1収容空間12Aの後方側から、まず一方の端子50を収容し、次にヒューズ40を収容した後、他方の端子50を収容する。
【0030】
具体的には、まず、図9に示すように、第1収容空間12Aの後方側から一方の端子50を収容し、上記一方の端子50と接続された一方の機器側接続部20を第1挿通孔12Bに挿通させ、第1収容空間12A内の前方側に一方の端子50の円筒部52を嵌め込む。これにより、一方の機器側接続部20の前側部分がフード部16の内側の空間に配置される。なお、図9に示すように、第1収容空間12Aの内径は、金属板が曲げ加工されて開き止めされることによって形成された各端子50の円筒部52の外径よりわずかに大きくなっている。
【0031】
次に、第1収容空間12A内に嵌め込まれた一方の端子50の円筒部52にヒューズ40の前端部40Aを取り付ける。ここで、金属板が円筒状に曲げ加工されることによって形成された各端子50の円筒部52は、ヒューズ40の両端部40Aに取り付けられる前の状態において、その内径がヒューズ40の両端部40Aの外径よりもわずかに小さくされている。そこで、本実施形態では、図10に示すように、第1収容空間12A内に嵌め込まれた一方の端子50の円筒部52にヒューズ40の前端部40Aを圧入することで、当該一方の端子50の円筒部52の内側にヒューズ40の前端部40Aを、その前端面が一対の対向部54と近接するまで嵌め込む。これにより、一方の端子50の円筒部52にヒューズ40の前端部40Aを取り付けることができる。なお、端子50の円筒部52は円筒状であるので、その内部にヒューズ40を圧入したとしても、変形し難いものとなっている。
【0032】
次に、第1収容空間12A内に収容されたヒューズ40の後端部40Aに他方の端子50の円筒部52を取り付ける。この場合も上記と同様に、図11に示すように、第1収容空間12A内に収容されたヒューズ40の後端部40Aに他方の端子50の円筒部52を圧入することで、ヒューズ40の後端部40Aに当該他方の端子50の円筒部52を、ヒューズ40の後端面が一対の対向部54と近接するまで嵌め込む。これにより、ヒューズ40の後端部40Aに他方の端子50の円筒部52を取り付けることができる。
【0033】
次に、第1収容空間12Aの後方側から、貫通孔60A,62Aをそれぞれ有するシール部材60及び蓋体62(図4参照)を順に嵌め込み、第1収容空間12Aの後方側を当該蓋体62によって塞ぐ。またこのとき、シール部材60及び蓋体62の貫通孔60A,62Aに上記他方の端子50と接続された一方の電線側接続部30を挿通させることで、一方の電線側接続部30の後側部分をハウジング10の外側に露出させる。以上のようにして、第1収容空間12A内にヒューズ40及び一対の端子50が収容される。
【0034】
このように本実施形態では、各端子50の円筒部52がヒューズ40の両端部40Aに圧入されることで取り付けられる。このため、各端子50の円筒部52は、ヒューズ40の両端部40Aに圧入される際、その内径がヒューズ40の両端部40Aの外径と略等しくなるまで弾性的に拡径され、ヒューズ40の両端部40Aに嵌め込まれる。その結果、ヒューズ40の両端部40Aに取り付けられた状態の各端子50の円筒部52は、当該円筒部52が縮径する向きに働く弾性復帰力によって、ヒューズ40の両端部の周壁を略全周に亘って弾性的に付勢する。
【0035】
以上説明したように本実施形態の接続装置1では、第1ハウジング部12の第1収容空間12A内に一対の端子50の円筒部52がそれぞれ嵌め込まれ、各円筒部52がヒューズ40の両端部40Aの周壁をそれぞれ弾性的に付勢する。このため、振動環境下において、ヒューズ40と一対の端子50との間では、円筒部52の弾性力によって振動が吸収される。しかもヒューズ40の両端部40Aの周壁を付勢する各端子50の円筒部52は円筒状であるので、ヒューズ40の両端部の周壁が各端子50の円筒部52によって囲まれる形となり、接続装置1が過度な振動環境下に晒された場合であっても、ヒューズ40の両端部40Aが各端子50から外れ難いものとなっている。その結果、ヒューズ40と一対の端子50との間で良好な導通を確保することができる。
【0036】
また本実施形態において、ヒューズ40は、ボルト締結等によらず、その両端部に第1ハウジング部12の第1収容空間12A内に嵌め込まれた一対の端子50が取り付けられた状態で当該第1収容空間12A内に収容されるので、ヒューズ40がボルト締結等される従来の構成と比べて接続装置1の小型化を図ることができる。以上のように本実施形態の接続装置1では、小型化を図りながら、ヒューズ40との良好な導通を確保することができる。
【0037】
また本実施形態では、一方の端子50の対向部54からインバータ側に接続される機器側接続部20が伸びており、他方の端子50の対向部54から電線側に接続される電線側接続部30が伸びている。このため、インバータと電線との間を接続するための接続装置を、ヒューズ40を収容するための部材として兼用することができ、ヒューズ40を収容するための部材を別途配する必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【0038】
また本実施形態では、一対の端子50の各々に、ヒューズ40の端面と対向する対向部54が設けられている。このような構成とされていることで、ヒューズ40がその延伸方向(前後方向)に沿って位置ずれした場合、ヒューズ40の端面がいずれかの対向部54と干渉するため、ヒューズ40がその延伸方向(前後方向)に沿ってそれ以上位置ずれすることを抑制することができる。その結果、ヒューズ40の両端部40Aと一対の端子50との間で良好な接触を維持することができる。
【0039】
ここで例えば、端子が弾性片等を有し、その弾性片がヒューズの端面をヒューズの延伸方向に沿って弾性的に付勢することでヒューズと端子との間の接触を図る構成では、接続装置が過度な振動環境下に晒されることでヒューズがその延伸方向に位置ずれした場合、ヒューズの端面が弾性片から離れる虞があり、ヒューズと端子との間が接触不良となることが懸念される。これに対し本実施形態の接続装置1では、一対の端子50の円筒部52が、ヒューズ40の両端部40Aの周壁を押圧する方向、即ちヒューズ40の延伸方向と直交する方向にヒューズ40の両端部を付勢するので、ヒューズ40がその延伸方向に位置ずれした場合であっても、ヒューズ40の端部が端子50の円筒部52から離れ難いものとなっている。その結果、ヒューズ40の端部40Aと端子50との間で良好な接触を維持することができる。
【0040】
さらに本実施形態では、一対の端子50の円筒部52がヒューズ40の両端部40Aの周壁をその略全周に亘って付勢する構成とされている。このため、接続装置1が過度な振動環境下に晒されることでヒューズ40がその延伸方向と直交する方向に位置ずれした場合であっても、一対の端子50の円筒部52とヒューズ40の両端部40Aとの間の接触が維持され、ヒューズ40と一対の端子50との間で良好な導通を確保することができる。
【0041】
また、仮にヒューズがインバータの内部に配される構成である場合、ヒューズを交換する度にインバータを分解する必要があり、インバータの内部に塵等が入り込むことが懸念される。この点、本実施形態では、インバータ側とエアコン側の電線との間を接続する接続装置1の内部にヒューズ40が収容されるため、上記のような問題が生じることなく、ヒューズ40を容易に交換することができる。
【0042】
<実施形態2>
次に、図12から図16を参照して実施形態2を説明する。本実施形態は、ハウジング110の形状、一対の機器側接続部120,121の形状、及び各端子150の円筒部152の形状が実施形態1のものと異なっている。その他の構成については、上記実施形態のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、図12から図16において、それぞれ図1から図5の参照符号にそれぞれ数字100を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0043】
本実施形態では、図12及び図13に示すように、接続装置101のハウジング110におけるフード部116の内側に、略円筒状の空間を有する2つのキャビティ116Aが左右方向に並んで設けられている。2つのキャビティ116Aは、それぞれ機器側接続部120,121の前側部分を、所定の間隔を空けつつ取り囲む形で設けられている。また、図12及び図13に示すように、一対の機器側接続部120,121が、それぞれ円柱状(ピン状)とされている。さらに、図12及び図13に示すように、第2ハウジング部114の前後方向の寸法が第1ハウジング部112の前後方向の寸法とほぼ同等とされている。
【0044】
図14及び図15に示すように、本実施形態において、ヒューズ140の両端部140Aに取り付けられる各端子150は、その対向部154がそれぞれ円板状とされている。そして、対向部154の外周縁から前後方向に伸びる形で円筒部152が設けられている。対向部154から伸びる円筒部152は、複数のスリットによって略等しい幅で複数に分割されている。また各端子の円筒部152は、対向部154からその先端部に向かうにつれてわずかに縮径するように設けられている。このような端子150は、例えば鍛造によって形成することができる。
【0045】
また、一対の端子150のうち、ヒューズ140の前端部140Aに取り付けられる端子150(一方の端子)では、その対向部154の略中央位置から円筒部152が設けられた側とは反対側に向かって一方の機器側接続部120が伸びている。即ち本実施形態では、ヒューズ140の前端部140Aに取り付けられる端子150と一方の機器側接続部120とが一体的に形成されている。
【0046】
一方、一対の端子150のうち、ヒューズ140の後端部140Aに取り付けられる端子150(他方の端子)は、その対向部154から伸びる嵌合部156を有している。この嵌合部156は、対向部154の略中央位置から円筒部152が設けられた側とは反対側に向かって円柱状に伸びるとともに、その内部に凹部156A(図13参照)を有している。本実施形態では、この嵌合部156の凹部156Aに一方の電線側接続部130の前端部が挿入されることで、ヒューズ140の後端部140Aに取り付けられる端子150に対して一方の電線側接続部130が接続されるようになっている。
【0047】
さらに、本実施形態では、図14及び図15に示すように、第1ハウジング部112の第1収容空間112A内に、ヒューズ140及び一対の端子150に加え、前後に開口する筒状の筒状部材170が収容される。この筒状部材170は、その前後方向の寸法が、ヒューズ140の前後方向の寸法より大きく、第1収容空間112Aの前後方向の寸法よりも小さくなっている。筒状部材170のうち後側部分は、その内径が他方の端子150の嵌合部156の外径とほぼ等しい厚肉部170Aとされている。そして、筒状部材170のうち厚肉部170Aを除く部位は、その内壁が厚肉部170Aと比べて相対的に薄く、その内径が各端子150の円筒部152の外径とほぼ等しい薄肉部170Bとされている。
【0048】
続いて第1収容空間112A内へのヒューズ140及び一対の端子150の収容態様について説明する。本実施形態では、ヒューズ140及び一対の端子150を第1収容空間112A内に収容する前に、予め、他方の端子150の嵌合部156に一方の電線側接続部130を嵌め込んで接続するとともに、筒状部材170の前方側の開口から一方の電線側接続部130に接続された他方の端子150を筒状部材170内に収容する。これにより、筒状部材170の厚肉部170Aの内側に嵌合部156が収容されるとともに、対向部154が厚肉部170Aと干渉し、筒状部材170の後方側の開口から端子150が抜けることが防止される。
【0049】
本実施形態では、実施形態1と同様に、第1収容空間112A内にヒューズ140及び一対の端子150を収容するに前の状態では、第1収容空間112Aの後方側が開放されている。そして、この開放された第1収容空間112Aの後方側から、まず一方の端子150を収容し、次にヒューズ410を収容した後、他方の端子150が収容された筒状部材170を収容する。
【0050】
具体的には、まず、実施形態1と同様に、第1収容空間112Aの後方側から一方の端子150を収容し、一方の端子150と接続された一方の機器側接続部120を第1挿通孔112Bに挿通させ、第1収容空間112A内の前方側に一方の端子150の円筒部152を嵌め込む。次に、第1収容空間112A内に嵌め込まれた一方の端子150の円筒部152にヒューズ140の前端部140Aを取り付ける。ここで、各端子150において、対向部154から伸びる円筒部152は、ヒューズ140の両端部140Aに取り付けられる前の状態において、その先端部の内径がヒューズ140の両端部140Aの外径よりもわずかに小さくされている。
【0051】
そこで、本実施形態では、実施形態1と同様に、第1収容空間112A内に嵌め込まれた一方の端子150の円筒部152にヒューズ140の前端部140Aを圧入することで、当該円筒部152の内側にヒューズ140の前端部140Aを嵌め込む。次に、第1収容空間112A内に収容されたヒューズ140の後端部に、筒状部材170に収容された他方の端子150を当該筒状部材170と共に第1収容空間112A内に収容し、ヒューズ140の後端部140Aに他方の端子150の円筒部152を圧入する。
【0052】
このように、各端子150の円筒部152がヒューズ140の両端部140Aに圧入されることで、実施形態1と同様に、各端子150の円筒部152の内径が弾性的に拡径され、ヒューズ140の両端部140Aに各端子150の円筒部152が嵌め込まれる。その結果、各端子150の円筒部152は、当該円筒部152が縮径する向きに働く弾性復帰力によって、ヒューズ140の両端部140Aの周壁を略全周に亘って弾性的に付勢する。
【0053】
また、ヒューズ140の後端部140Aに他方の端子150の円筒部152を圧入する際、他方の端子150と共に第1収容空間112A内に収容される筒状部材170は、図13及び図14に示すように、その先端部が一方の端子150における対向部154の端縁部と当接する。これにより、ヒューズ140と第1収容空間112Aとの間に筒状部材170が介在することとなるため、接続装置1が過度な振動環境下に晒された場合であっても、ヒューズ140の延伸方向(前後方向)と直交する方向にがたつくことを抑制することができる。その結果、ヒューズ140の両端部140Aと一対の端子150との間で良好な接触を維持することができる。
【0054】
その後、実施形態1と同様に、第1収容空間112Aの後方側から、シール部材160及び蓋体162を順に嵌め込み、第1収容空間112Aの後方側を当該蓋体162によって塞ぐ。以上のようにして、第1収容空間112A内にヒューズ140及び一対の端子150が収容される。
【0055】
上記の実施形態の他の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施形態では、各端子の円筒部がヒューズの両端部に圧入されることで、各端子の円筒部がヒューズの両端部の周壁を弾性的に付勢するものとされた例を示したが、ヒューズの両端部に対する各端子の円筒部の取付態様については限定されない。ヒューズの両端部に取り付けられた状態の各端子の円筒部がヒューズの両端部の周壁を弾性的に付勢するように、ヒューズの両端部に各端子の円筒部が取り付けられればよい。
【0056】
(2)上記の各実施形態では、接続装置の一例としてインバータとインバータからエアコン側に伸びる電線との間を接続するための接続装置を例示したが、これに限定されない。本明細書で開示される接続装置は、様々な接続装置として適用することができる。
【0057】
(3)上記の各実施形態では、円筒部が開き止めされた構成又は円筒部が複数のスリットによって分割された構成を例示したが、円筒部はヒューズの両端部の周壁を弾性的に付勢する円筒状のものであればよく、その構成については限定されない。
【0058】
(4)上記の各実施形態では、両端子から伸びる機器側接続部と電線側接続部の少なくとも一方が円柱状(ピン状)とされた構成を例示したが、機器側接続部及び電線接続部の形状については限定されない。例えば機器側接続部と電線側接続部の両者が平板状(タブ状)とされた構成であってもよい。
【0059】
(5)上記の各実施形態では、一方の端子から機器側接続部が伸びており、他方の端子から電線側接続部が伸びている構成を例示したが、両端子からそれぞれ機器側接続部が伸びる構成であってもよい。
【0060】
(6)上記の各実施形態では、ハウジングの収容空間内に一方の端子を先に嵌め込んだ後、その一方の端子にヒューズの一端部を圧入する例を示したが、収容空間内へのヒューズ及び一対の端子の収容手順については限定されない。例えばヒューズの両端部に各端子を先に圧入した後、両端子が取り付けられたヒューズをハウジングの収容空間内に収容してもよい。
【0061】
(7)上記の実施形態1では、機器側接続部及び電線側接続部が一対の端子に対してそれぞれ抵抗溶接によって接続された構成を例示したが、一対の端子に対する機器側接続部及び電線側接続部の接続態様については限定されない。例えば、一対の端子に対して機器側接続部及び電線側接続部を圧着によって接続してもよい。
【0062】
(8)上記の実施形態1では、端子の円筒部の内面の略全域がヒューズの端部の周壁と接触する構成を例示したが、実施形態1において端子の円筒部の内面に内向きに突出する複数の凸部が設けられ、それらの凸部がヒューズの端部の周壁と接触する、いわゆるディンプル接触とされた構成であってもよい。このような構成とされていると、端子の円筒部とヒューズの端部との接点における接圧を高めることができる。
【0063】
以上、各実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1,101…接続装置
10,110…ハウジング
12,112…第1ハウジング
12A,112A…第1収容空間
14,114…第2ハウジング
14A,114A…第2収容空間
16,116…フード部
20,120…(一方の)機器側接続部
21,121…(他方の)機器側接続部
30,130…(一方の)電線側接続部
31,131…(他方の)電線側接続部
40,140…ヒューズ
40A,140A…(ヒューズの)端部
50,150…端子
52,152…円筒部
54,154…対向部
116A…キャビティ
156…嵌合部
156A…凹部
170…筒状部材
図1
図2
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