【課題】一対の結合体の両端部を一対のホルダによって結合するようにして、極数が変更された場合であってもホルダを変更する必要がなく、一対の結合体を確実に結合することができ、部品点数を削減することができ、製造コストを低減することができるようにする。
【解決手段】一対の結合体と、結合体に装填(てん)され、電線に接続される端子と、結合体の幅方向の両端部を結合する一対のホルダとを備え、結合体の各々は、その幅方向に1列に並んで配列された複数の端子収容凹部を含み、端子の各々は各端子収容凹部内に収容され、端子に接続された電線の各々は各端子収容凹部から後方に延出し、ホルダは、各々別個の部材であり、一対の結合体の幅方向の両端部がホルダによって結合されると、電線は、結合体の幅方向に2列に並んで配列される。
前記ホルダは、前記保持溝部内に向けて突出する保持突条部を含み、前記結合部は補助突条部を含み、前記結合部が前記保持溝部内に挿入されると、前記保持突条部と補助突条部とが噛合った状態となる請求項2に記載のコネクタ。
一面が開放された嵌合空間を含むハウジングと、前記端子と接触する接触部を含み、前記ハウジングに装填された複数の相手方端子とを備える相手方コネクタであって、前記相手方端子は、前記接触部が前記嵌合空間内において前記ハウジングの幅方向に2列に並んで配列される相手方コネクタと嵌合する請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。
前記ハウジングは、底板部から突出し、前記ハウジングの幅方向に延在する隔壁部を含み、前記コネクタが相手方コネクタと嵌合すると、前記コネクタは前記嵌合空間内に挿入され、前記隔壁部は前記一対の結合体同士の間に形成された間隙に進入する請求項4に記載のコネクタ。
前記ハウジングは、側板部から突出し、各相手方端子に沿って延在する突条部を含み、前記コネクタが相手方コネクタと嵌合すると、前記コネクタは前記嵌合空間内に挿入され、各相手方端子及び各突条部は、前記一対の結合体の各端子収容凹部に進入する請求項4又は5に記載のコネクタ。
前記結合体の一方は極性用凸部を含み、前記ハウジングは、一方の側板部に形成された極性用溝部を含み、前記コネクタが正規の姿勢で相手方コネクタと嵌合すると、前記コネクタは前記嵌合空間内に挿入され、前記極性用凸部は前記極性用溝部に進入する請求項4〜6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態における電線コネクタと基板コネクタとが嵌合した状態を示す斜視図、
図2は本発明の実施の形態における電線コネクタと基板コネクタとが嵌合する前の状態を示す斜視図、
図3は本発明の実施の形態における電線コネクタと基板コネクタとが嵌合した状態を示す断面図であって
図1におけるA−A矢視断面図、
図4は本発明の実施の形態における電線コネクタと基板コネクタとが嵌合する前の状態を示す断面図であって
図3に示される部分の断面図である。
【0022】
図において、1は本実施の形態におけるコネクタとしての電線コネクタであり、複数の電線91を備えるケーブルの終端に接続されるものである。また、101は本実施の形態における相手方コネクタとしての基板コネクタであり、図示されない基板としての回路基板に実装されるものである。なお、前記基板コネクタ101は、いわゆるストレートタイプのコネクタであり、回路基板に対して立設された状態で、すなわち、上を向いて開口した状態で実装される。そして、前記電線コネクタ1は、基板コネクタ101に垂直嵌合され、これにより電線91は回路基板に対して垂直に引出された状態となる。
【0023】
また、本実施の形態において、電線コネクタ1及び基板コネクタ101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、電線コネクタ1及び基板コネクタ101が図に示される姿勢である場合に適切であるが、電線コネクタ1及び基板コネクタ101の姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0024】
ここで、前記基板コネクタ101は、レセプタクルコネクタであって、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成され、前記電線コネクタ1と嵌合するコネクタ本体としてのハウジング111と、該ハウジング111の底板部112を貫通するように取付けられた金属製の棒状部材から成る相手方端子としての基板側端子161とを有する。前記ハウジング111は、電線コネクタ1との嵌合方向に対して直交する方向であって前記基板側端子161の配列方向、すなわち、基板コネクタ101の幅方向に延在する概略直方体の箱状の部材である。
【0025】
前記底板部112には該底板部112を貫通する端子嵌入孔(こう)116が形成され、前記基板側端子161は、端子嵌入孔116に嵌(はめ)込まれることによって、前記底板部112に取付けられている。なお、前記基板側端子161は、前記底板部112から下方に延出し、回路基板に形成されたスルーホールに挿入されてはんだ付等によって電気的に接続されるソルダーテール部162と、前記端子嵌入孔116に嵌込まれて保持される本体部163と、前記底板部112から上方に延出し、前記電線コネクタ1の電線側端子61と接触する接触部164とを含んでいる。
【0026】
また、図に示される例において、基板側端子161は、合計40本がピッチ2.0〔mm〕で2列となるように配列されているが、基板側端子161の数、すなわち、極数、及び、基板側端子161のピッチは任意に変更することができる。なお、必ずしもすべての端子嵌入孔116に基板側端子161が嵌込まれる必要はなく、電線コネクタ1の電線91の配列に対応させて、基板側端子161を適宜省略することができる。
【0027】
そして、前記ハウジング111は、略矩(く)形の平板状の前記底板部112と、該底板部112の長辺に沿って延在し、底板部112から立設する一対の側板部113と、底板部112の短辺に沿って延在し、底板部112から立設する一対の端板部114と、前記底板部112、側板部113及び端板部114によって5面が画定され、底板部112に対向する上面が開放された嵌合空間115を備える。該嵌合空間115には、電線コネクタ1が挿入されて嵌合される。
【0028】
また、
図1及び2において、手前側に位置する側板部113、すなわち、前側板部113aには、ロック用開口121が形成されている。該ロック用開口121には、電線コネクタ1が備えるロック用突起21が進入して係合される。また、前記前側板部113aには、極性用膨出部122が形成され、該極性用膨出部122の裏側、すなわち、嵌合空間115側には、極性用溝部122aが形成されている。そして、該極性用溝部122aには、電線コネクタ1が備える極性用凸部22が進入して係合される。
【0029】
なお、
図1及び2において、奥側に位置する側板部113、すなわち、後側板部113bは、前記ロック用開口121、極性用膨出部122及び極性用溝部122aを備えていないが、その他の点においては、前記前側板部113aと同様の構成を備える。そして、前記前側板部113a及び後側板部113bを統合的に説明する場合には、側板部113として説明する。
【0030】
さらに、前記前側板部113a及び後側板部113bの嵌合空間115側には、後側板部113b及び前側板部113aに向けて突出するとともに、上下方向、すなわち、電線コネクタ1との嵌合方向に延在する突条部118が形成されている。該突条部118の各々は、基板側端子161の接触部164の各々に対応する位置に形成され、前記接触部164の各々に沿って延在する。つまり、
図2〜4に示されるように、各接触部164の側面に突条部118が位置する。
【0031】
また、該突条部118の側端、すなわち、突条部118の峰部と接触部164の側面との間隙は、極めて微小であることが望ましく、ゼロにしてもよい。つまり、突条部118の峰部と接触部164とは極めて接近していることが望ましく、場合によっては、当接していてもよい。これにより、電線コネクタ1と基板コネクタ101との嵌合の際に、電線コネクタ1の部材が突条部118と接触部164との間に進入することが防止され、接触部164が損傷を受けることがない。また、電線コネクタ1の部材が突条部118と反対の方向から接触部164に当接した場合には、突条部118が接触部164をその背後から支持することとなるので、電線コネクタ1の部材から力を受けても、接触部164が変形することがない。したがって、基板側端子161の接触部164の破損を確実に防止することができる。
【0032】
さらに、前記突条部118の上端面は、接触部164の上端よりも上方、すなわち、ハウジング111の嵌合面寄りに位置することが望ましい。これにより、電線コネクタ1と基板コネクタ101との嵌合の際に、電線コネクタ1の部材が接触部164の上端に当接することが防止され、基板側端子161の接触部164が損傷を受けることがない。
【0033】
また、前記底板部112の上面には、上方に向けて突出するとともに、底板部112の長手方向に延在する隔壁部117が形成されている。該隔壁部117は、前記前側板部113aと後側板部113bとの中間に位置し、前記前側板部113a及び後側板部113bと平行に延在する。したがって、前記嵌合空間115は、隔壁部117によって底板部112の短手方向(
図3及び4における左右方向)に2分される。そして、電線コネクタ1と基板コネクタ101とが嵌合された状態において、前記隔壁部117は、電線コネクタ1の中央空間17に進入する。また、前記底板部112の上面は、電線コネクタ1の結合体11の下面と当接又は近接する。
【0034】
なお、図に示される例において、前記隔壁部117は、底板部112の長手方向の全範囲でなく一部の範囲のみに存在し、かつ、前側板部113a及び後側板部113bよりも低くなるように形成されているが、その底板部112の長手方向及び高さ方向の寸法は、適宜変更することができる。
【0035】
一方、前記電線コネクタ1は、プラグコネクタであって、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された一対の結合体11と、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成され、前記結合体11の幅方向の両端部を結合するための互いに同一形状の一対のホルダ31と、前記結合体11に装填され、前記電線91の終端近傍が接続される端子としての電線側端子61とを有する。一対の結合体11は、基板コネクタ101との嵌合方向に対して直交する方向であって前記電線91の配列方向、すなわち、電線コネクタ1の幅方向(結合体11の幅方向)に延在する部材であり、
図1及び2において手前側に位置する前方結合体11aと、
図1及び2において奥側に位置する後方結合体11bとから成る。
【0036】
そして、前記前方結合体11aの外側板部16には、前記基板コネクタ101のロック用開口121に進入して係合されるロック用突起21、前記ロック用開口121とロック用突起21との係合を解除してロック解除するための操作用突起23、及び、前記基板コネクタ101の極性用溝部122aに進入して係合される極性用凸部22が形成されている。なお、前記後方結合体11bは、前記ロック用突起21、操作用突起23及び極性用凸部22を備えていないが、その他の点においては、前記前方結合体11aと同様の構成を備える。そして、前記前方結合体11a及び後方結合体11bを統合的に説明する場合には、結合体11として説明する。
【0037】
各結合体11は、その幅方向、すなわち、電線コネクタ1の幅方向に延在する本体部12と、該本体部12に接続された外側板部16と、前記電線側端子61を収容する複数の端子収容凹部13を備える。図に示される例において、電線側端子61は、20個ずつがピッチ2.0〔mm〕で結合体11の幅方向に1列に並んで配列されているが、電線側端子61の数、すなわち、極数、及び、電線側端子61のピッチは任意に変更することができる。なお、必ずしもすべての端子収容凹部13に電線側端子61が収容される必要はなく、電線コネクタ1の電線91の配列に対応させて、電線側端子61を適宜省略することができる。
【0038】
前記端子収容凹部13は、外側板部16の表面に開口する相手方端子収容部13aと、本体部12の表面に開口する電線収容部13bとを備える。前記相手方端子収容部13aは、その内部に前記電線側端子61の接触部64を収容し、前記外側板部16の表面及び下面に連続して開口するスリット状の開口を含んでいる。そして、電線コネクタ1と基板コネクタ101とが嵌合すると、基板側端子161の接触部164及びハウジング111の突条部118の一部が前記相手方端子収容部13a内に進入し、前記基板側端子161の接触部164が電線側端子61の接触部64と係合して接触し、前記突条部118の一部が相手方端子収容部13aと係合する。
【0039】
また、前記電線収容部13bは、その内部に前記電線側端子61の接続部65を収容し、前記本体部12の表面に開口する上下方向、すなわち、基板コネクタ101との嵌合方向に延在する細長いスリット状の開口を含んでいる。そして、各電線91は、その終端から所定の範囲が前記電線収容部13b内に収容され、かつ、前記範囲のうちの終端近傍の部分が前記接続部65に接続され、前記電線収容部13bから結合体11の後方、すなわち、反嵌合方向に延出した状態となっている。
【0040】
前記ホルダ31によって両端部が結合された前方結合体11aと後方結合体11bとの間には、基板コネクタ101との嵌合方向及び電線コネクタ1の幅方向に延在する扁(へん)平な中央空間17が形成される。該中央空間17は、前方結合体11aの本体部12の表面と後方結合体11bの本体部12の表面との間に形成される間隙であって、電線コネクタ1と基板コネクタ101とが嵌合された状態において、ハウジング111の隔壁部117が進入する間隙である。該隔壁部117が中央空間17に進入することにより、前方結合体11aと後方結合体11bとの間隔が一定に保持され、嵌合空間115内における前記前方結合体11a及び後方結合体11bの基板コネクタ101の厚さ方向に関する位置決めが確実に行われる。
【0041】
また、結合体11の外側板部16における電線コネクタ1の幅方向両端近傍には、突出片16aが形成されている。該突出片16aは、電線コネクタ1と基板コネクタ101とが嵌合された状態において、ハウジング111の前側板部113a及び後側板部113bの上端と係合する。さらに、前記外側板部16における電線コネクタ1の幅方向中央近傍には、スリットによって他の部分から部分的に分離された柔軟部16bが形成されている。該柔軟部16bは、電線コネクタ1の厚さ方向に容易に弾性変形することができる。
【0042】
次に、前記電線コネクタ1の構成についてより詳細に説明する。
【0043】
図5は本発明の実施の形態における電線コネクタの分解図、
図6は本発明の実施の形態における電線コネクタの上面図、
図7は本発明の実施の形態における電線コネクタの前方結合体の斜視図、
図8は本発明の実施の形態における電線コネクタの前方結合体の五面図、
図9は本発明の実施の形態における電線コネクタの前方結合体の第1の要部拡大図であって
図8におけるC部拡大図、
図10は本発明の実施の形態における電線コネクタの前方結合体の第2の要部拡大図であって
図8におけるD部拡大図、
図11は本発明の実施の形態における電線コネクタの電線側端子の斜視図、
図12は本発明の実施の形態における電線コネクタの一対のホルダの斜視図、
図13は本発明の実施の形態における電線コネクタのホルダの四面図である。なお、
図6において、(a)は全体図、(b)は(a)におけるB部拡大図であり、
図8において、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は側面図、(e)は背面図であり、
図13において、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図、(d)は下面図である。
【0044】
図に示されるように、本体部12の表面に開口する各電線収容部13bの下端部には電線側端子61が収容され、また、各電線収容部13bの上端部の両側壁には電線係止部14が形成されている。そして、各電線収容部13b内に収容された電線91は、その終端近傍、すなわち、下端近傍が電線側端子61の接続部65に接続され、かつ、電線収容部13bの上端に相当する部分が前記電線係止部14によって係止されているので、電線収容部13bから離脱することが防止される。
【0045】
前記電線側端子61は、導電性の金属板から成る一体的に形成された部材であって、
図11に示されるように、本体部62と、該本体部62の上端に接続された連結部63と、該連結部63の両側に接続された接触部64と、前記本体部62の下端及び前記連結部63の上端に接続された接続部65とを備える。前記本体部62は、上下方向、すなわち、基板コネクタ101との嵌合方向に延在する略矩形の平板状部材であって、電線収容部13b内において本体部12に保持される。
【0046】
また、前記接触部64は、中間でほぼ直角に曲がった細長い帯状の一対の部材であり、互いに対向して上下方向、すなわち、基板コネクタ101との嵌合方向に延在する細長い板状の接触腕部64aと、該接触腕部64aの先端、すなわち、下端に形成された接触凸部64bとを含んでいる。前記接触腕部64aは弾性的に変形可能であり、互いに対向する接触腕部64a及び接触凸部64bの間隔は弾性的に伸張可能である。したがって、電線コネクタ1と基板コネクタ101とが嵌合する際に相手方端子収容部13a内に進入した基板側端子161の接触部164は、互いに対向する接触凸部64b及び接触腕部64aの間に進入し、接触凸部64b及び接触腕部64aの間隔を押広げることとなるので、前記接触凸部64b及び接触腕部64aによって両側から弾性的に挟持される。これにより、基板側端子161の接触部164と電線側端子61の接触部64との接触が安定的に維持され、基板側端子161と電線側端子61との導通状態が安定的に維持される。
【0047】
前記接続部65は、基板コネクタ101の厚さ方向、具体的には、本体部12の表面に向かうようにほぼ直角に湾曲させられた一対の平板状部材であって、各々がフォーク状乃至音叉(さ)状の形状を有する。そして、各接続部65は、一対の接続腕部65aと、対向する接続腕部65aの間に形成されたスリット状の接続溝部65bと、各接続腕部65aの先端に形成された先鋭な先鋭端部65cとを含んでいる。そして、電線91が本体部12の表面側から電線収容部13bの奥に向けて該電線収容部13b内に押込まれると、前記電線91の下端近傍の2箇所は、
図11における右側から左側に向けて変位させられ、各接続部65の接続溝部65b内に押し込まれる。ここで、該接続溝部65bの幅は、電線91の外径よりも小さく、前記電線91の芯(しん)金部91aの外径と同等又はそれ以下の寸法に設定されている。したがって、電線91が接続溝部65b内に押込まれる際には、芯金部91aの周囲を覆う絶縁被覆91bが先鋭端部65cによって破断され、これによって露出した芯金部91aが、前記接続溝部65bの両側の接続腕部65aに食込むようにして当接する。これにより、芯金部91aが接続腕部65aと直接接触して確実に導通するとともに、電線91が接続腕部65aによって強固に保持される。
【0048】
また、外側板部16の表面に開口する相手方端子収容部13aの下端には、
図9に示されるように、傾斜した誘込み部13dが形成され、前記相手方端子収容部13aの下端は、テーパ状に広げられた形状を有する。したがって、電線コネクタ1と基板コネクタ101とが嵌合する際に、基板側端子161の接触部164及びハウジング111の突条部118は、相手方端子収容部13a内にスムーズに進入することができ、損傷を受けることがない。
【0049】
前記結合体11の両端部の各々には、ホルダ31と結合するための結合部25が電線コネクタ1の幅方向外側に突出するように形成されている。前記結合部25は、本体部12の表面側から外側板部16の表面側に向けて凹入し、上下方向、すなわち、基板コネクタ101との嵌合方向に延在する結合溝部25aと、前記結合部25から電線コネクタ1の幅方向外側に更に突出し、基板コネクタ101との嵌合方向に延在する結合突条部25bと、該結合突条部25bの途中から本体部12の表面側に向けて延出する停止部25cと、前記結合溝部25aの電線コネクタ1の幅方向外側端を画定して基板コネクタ101との嵌合方向に延在する補助突条部25dとを含んでいる。
【0050】
一方、一対のホルダ31は、互いに同一形状を有する各々別個の部材である。そして、各ホルダ31は、概略矩形の平板状の背板部31aと、該背板部31aの両側縁に沿って延在し、前記背板部31aから立設する一対の側板部31bと、前記背板部31aの下側縁に沿って延在し、前記背板部31aから立設する底板部31cとを備え、前記背板部31a、側板部31b及び底板部31cによって周囲四面を画定された略直方体状の空間は、その中央を上下方向、すなわち、基板コネクタ101との嵌合方向に延在する仕切壁部33によって仕切られ、一対の保持溝部32となっている。各保持溝部32は、ホルダ31の正面に開口し、上下方向に延在する溝であり、その内部に、仕切壁部33の幅方向中心に向けて凹入して上下方向に延在する保持補助溝部32aを含んでいる。
【0051】
また、前記仕切壁部33は、前記背板部31aから立設する壁体部33aと、該壁体部33aの先端から両側の側板部31bの方向に向けて延出する庇(ひさし)部33bと含んでいる。該庇部33bは、保持溝部32内に向けて突出するような保持突条部であって、前記保持溝部32におけるホルダ31正面側の開口の一部を覆うように形成される。また、前記保持補助溝部32aは、前記壁体部33aにおける庇部33bとの境界部分に形成される。さらに、前記保持溝部32内の途中には、ホルダ31の正面に向って突出する停止凸部32cが形成されている。なお、前記ホルダ31の上端には、外側に向って延出するフランジ部34が形成されている。
【0052】
そして、各ホルダ31の保持溝部32には、結合体11の一端に形成された結合部25が挿入される。具体的には、ホルダ31の上面に結合体11の下端が向いた姿勢で、結合体11がホルダに31に対して相対的に下降させられて、前記結合部25は、その下端から保持溝部32内に挿入される。この場合、
図6(b)に示されるように、補助突条部25dが保持補助溝部32a内に進入し、結合溝部25a内に庇部33bが進入するので、結合部25と仕切壁部33とが互い違いに入込んで噛合った状態となり、結合体11の端部は、ホルダ31と確実に結合して保持される。そして、結合部25が保持溝部32内を下方向に所定距離だけ進行すると、停止部25cが停止凸部32cに当接して、前記結合部25の進行が停止させられ、結合体11の端部とホルダ31との結合が完了する。この状態で、結合体11の本体部12の上面とホルダ31の上面とは、ほぼ面一となる。
【0053】
このようにして、一対の結合体11の両端部がホルダ31によって保持されて結合されることにより、電線コネクタ1は、基板コネクタ101に嵌合可能となる。また、一対の結合体11の両端部がホルダ31によって結合された状態では、
図6(b)に示されるように、両方の結合体11の電線係止部14同士の間隔は、極めて狭く、例えば、電線91の外径以下の寸法となる。そのため、電線91に中央空間17の中心方向に向かう外力が付与され、それによって、電線係止部14が中央空間17の中心方向に変形したとしても、わずかに変形しただけで、対向する電線係止部14に当接してそれ以上の変形が阻止されるので、電線91が電線係止部14から外れてしまうことがない。
【0054】
なお、本実施の形態においては、一対のホルダ31が互いに同一形状を有する例についてのみ説明したが、前記ホルダ31は、必ずしも互いに同一形状を有するものである必要はなく、互いに異なる形状を有するものであってもよい。
【0055】
電線コネクタ1を回路基板に実装された基板コネクタ101に嵌合する場合には、電線コネクタ1をオペレータが手指等によって操作して、
図2に示されるように、電線コネクタ1の下端が真下を向くような姿勢にして、基板コネクタ101の真上に位置させる。なお、ロック用突起21、操作用突起23及び極性用凸部22の形成された面が基板コネクタ101におけるロック用開口121及び極性用膨出部122の形成された面と同一方向を向くように、すなわち、前方結合体11aが
図2における手前側になるように、電線コネクタ1の姿勢が調整される。つまり、電線コネクタ1が正規の姿勢となるように調整される。そして、電線コネクタ1を真下方向に移動させて基板コネクタ101のハウジング111の上面が開放された嵌合空間115に挿入し、
図1に示されるように、電線コネクタ1を基板コネクタ101に嵌合させる。
【0056】
そして、電線コネクタ1と基板コネクタ101との嵌合が完了すると、ロック用突起21がロック用開口121と係合し、電線コネクタ1と基板コネクタ101とがロックされるので、不必要に電線コネクタ1と基板コネクタ101との嵌合が解除されてしまうことがない。なお、電線コネクタ1と基板コネクタ101との嵌合を解除する必要がある場合には、オペレータが手指等によって操作用突起23を操作することにより、容易にロック用突起21とロック用開口121との係合が解除され、ロックが解除される。
【0057】
また、仮に、オペレータが誤って、電線コネクタ1の姿勢を、後方結合体11bが
図2における手前側になるような正規でない姿勢とした場合には、極性用凸部22がハウジング111におけるロック用開口121及び極性用膨出部122の形成された面と反対側の面の上端に当接してしまうことになるので、嵌合空間115に電線コネクタ1を挿入することが不可能となる。すなわち、極性用凸部22及び極性用膨出部122によって、電線コネクタ1の誤挿入乃至誤嵌合が防止される。
【0058】
さらに、電線コネクタ1と基板コネクタ101との嵌合が完了すると、
図3に示されるように、前方結合体11aと後方結合体11bとの間の中央空間17にハウジング111の隔壁部117が進入するとともに、前方結合体11aの外側板部16及び後方結合体11bの外側板部16に形成された相手方端子収容部13aにハウジング111の側板部113に形成された突条部118が係合する。したがって、前方結合体11a及び後方結合体11bは、その両端部のみがホルダに31よって結合されただけの状態であっても、変形することがない。つまり、一対の結合体11の両端部を一対のホルダ31によって結合することによって構成された電線コネクタ1は、基板コネクタ101と嵌合すれば、ハウジング111と係合することによって、剛性が高く、変形しにくい状態となる。したがって、電線コネクタ1の剛性を高めるための補助部材、例えば、周囲を取囲む枠体、ホルダ31同士を連結する棒状部材等、を採用する必要がない。
【0059】
このように、本実施の形態において、電線コネクタ1は、一対の結合体11と、結合体11に装填され、電線91に接続される電線側端子61と、結合体11の幅方向の両端部を結合する一対のホルダ31とを備え、結合体11の各々は、その幅方向に1列に並んで配列された複数の端子収容凹部13を含み、電線側端子61の各々は各端子収容凹部13内に収容され、電線側端子61に接続された電線91の各々は各端子収容凹部13から後方に延出し、ホルダ31は、各々別個の部材であり、一対の結合体11の幅方向の両端部がホルダ31によって結合されると、電線91は、結合体11の幅方向に2列に並んで配列される。
【0060】
これにより、極数が変更された場合であっても、ホルダ31を変更する必要がなく、結合体11のみを変更すれば、同じ種類のホルダ31によって一対の結合体11を結合することにより、極数に対応した電線コネクタ1を提供することができる。したがって、極数に対応した種類のホルダ31を用意する必要がなく、部品点数を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【0061】
また、ホルダ31の各々は一対の保持溝部32を含み、結合体11の各々は、両端部の各々に形成された結合部25を含み、結合体11の両端部は、結合部25が保持溝部32内に挿入されてホルダ31によって結合される。これにより、一対の結合体11の両端部は、ホルダ31によって確実に結合される。
【0062】
さらに、ホルダ31は、保持溝部32内に向けて突出する庇部33bを含み、結合部25は補助突条部25dを含み、結合部25が保持溝部32内に挿入されると、庇部33bと補助突条部25dとが噛合った状態となる。これにより、一対の結合体11の両端部は、ホルダ31によってより確実に結合される。
【0063】
さらに、一面が開放された嵌合空間115を含むハウジング111と、電線側端子61と接触する接触部164を含み、ハウジング111に装填された複数の基板側端子161とを備える基板コネクタ101であって、基板側端子161は、接触部164が嵌合空間115内においてハウジング111の幅方向に2列に並んで配列される基板コネクタ101と嵌合する。これにより、2列に並んで配列された電線91は、電線側端子61を介して、基板側端子161に電気的に接続される。
【0064】
さらに、ハウジング111は、底板部112から突出し、ハウジング111の幅方向に延在する隔壁部117を含み、電線コネクタ1が基板コネクタ101と嵌合すると、電線コネクタ1は嵌合空間115内に挿入され、隔壁部117は一対の結合体11同士の間に形成された中央空間17に進入する。これにより、電線コネクタ1は、剛性が高く、変形しにくい状態となる。
【0065】
さらに、ハウジング111は、側板部113から突出し、各基板側端子161に沿って延在する突条部118を含み、電線コネクタ1が基板コネクタ101と嵌合すると、電線コネクタ1は嵌合空間115内に挿入され、各基板側端子161及び各突条部118は、一対の結合体11の各端子収容凹部13に進入する。これにより、電線コネクタ1は、より剛性が高く、より変形しにくい状態となる。
【0066】
さらに、結合体11の一方は極性用凸部22を含み、ハウジング111は、一方の側板部113に形成された極性用溝部122aを含み、電線コネクタ1が正規の姿勢で基板コネクタ101と嵌合すると、電線コネクタ1は嵌合空間115内に挿入され、極性用凸部22は極性用溝部122aに進入する。これにより、電線コネクタ1の誤嵌合が防止される。
【0067】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。