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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-21622(P2015-21622A)
(43)【公開日】2015年2月2日
(54)【発明の名称】除湿システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20150106BHJP
【FI】
   F24F7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-147323(P2013-147323)
(22)【出願日】2013年7月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108890
【氏名又は名称】株式会社ダイキンアプライドシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑名 孝一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】眞田 明典
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳穂里
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BF03
3L058BF04
(57)【要約】
【課題】除湿乾燥室(S)へ室外からアクセスするためのアクセス室(71,72)を備えた除湿システムにおいて、アクセス室(71,72)へ供給するために専用の除湿空気を生成する必要をなくし、装置の構成も簡素化できるようにする。
【解決手段】除湿乾燥室(S)から流出した除湿空気(リターン空気や排出空気)をアクセス室(71,72)へ供給する空気供給通路(73)と、空気供給通路(73)を開閉する供給側開閉機構(74)とを設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を除湿する除湿機(20,30,60)と、除湿機(20,30,60)から空気通路(40,50)を介して除湿空気が供給される除湿乾燥室(S)と、該除湿乾燥室(S)へ室外からアクセスするためのアクセス室(71,72)とを備えた除湿システムであって、
除湿乾燥室(S)から流出した除湿空気をアクセス室(71,72)へ供給する空気供給通路(73)と、該空気供給通路(73)を開閉する供給側開閉機構(74)とを備えていることを特徴とする除湿システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記アクセス室(71,72)から除湿空気を流出させる空気流出通路(75)と、該空気流出通路(75)を開閉する流出側開閉機構(76)とを備えていることを特徴とする除湿システム。
【請求項3】
請求項2において、
上記空気供給通路(73)は、上記除湿乾燥室(S)から上記空気通路(40,50)へ戻すリターン空気の一部が流れる通路であって該除湿乾燥室(S)と上記アクセス室(71,72)に接続され、上記空気流出通路(75)は、上記アクセス室(71,72)のリターン空気を上記空気通路(40,50)へ戻す通路であって該アクセス室(71,72)と上記空気通路(40,50)に接続されていることを特徴とする除湿システム。
【請求項4】
請求項2において、
上記空気供給通路(73)は、上記除湿乾燥室(S)から室外へ排出する排出空気の一部が流れる通路であって該除湿乾燥室(S)と上記アクセス室(71,72)に接続され、上記空気流出通路(75)は、上記アクセス室(71,72)の排出空気を室外へ排出する通路であって該アクセス室(71,72)と室外排出口(75a)の間に設けられていることを特徴とする除湿システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つにおいて、
上記アクセス室(71,72)が、除湿乾燥室(S)と外部との間で品物を搬送するパスボックス(71)であることを特徴とする除湿システム。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1つにおいて、
上記アクセス室(71,72)が、除湿乾燥室(S)と外部との間で出入りする人をエアシャワーで処理するエアシャワー室(72)であることを特徴とする除湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を除湿する除湿機から空気通路を介して除湿空気が供給される除湿乾燥室へ室外からアクセスするためのアクセス室を備えた除湿システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気を除湿する除湿機と、除湿機から空気通路を介して除湿空気が供給される除湿乾燥室と、該除湿乾燥室へ室外からアクセスするためのアクセス室とを備えた除湿システムが知られている。例えば、特許文献1には、除湿機であるクリーンドライエア供給装置と、空気通路であるメインダクトを介して除湿空気が供給されるドライブース(除湿乾燥室)と、ドライブースにアクセスするための乾燥パスボックス(アクセス室)とが設けられた除湿システムが開示されている。
【0003】
特許文献1のシステムでは、メインダクトからパスボックスに除湿空気(低露点空気)を供給する分岐ダクトが設けられている。この構成においてパスボックスを用いて物品をドライブースに搬入する際には、パスボックスの外部側の扉からパスボックスに物品を入れてから、クリーンドライエア供給装置から低露点空気をパスボックスに供給して内部を低露点にし、物品を乾燥させる。その後、パスボックスのドライブース側の扉を開いて物品をドライブース内に搬入する。このことにより、ドライブースの湿度が高くなるのを防止している。なお、物品を搬出するときは、逆の手順で作業が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−61719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムでは、除湿機で生成した低露点空気をメインダクトと分岐ダクトを用いてドライブースとパスボックスに振り分ける構成を採用している。したがって、除湿機ではドライブースに供給する低露点空気に加えてパスボックスに供給する低露点空気も生成する必要がある。また、低露点空気をメインダクトと分岐ダクトを用いてドライブーストパスボックスに振り分けるには、装置の構成が複雑になりやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、除湿乾燥室へ室外からアクセスするためのアクセス室を備えた除湿システムにおいて、アクセス室へ供給するために専用の除湿空気を生成する必要をなくし、同時に装置の構成も簡素化できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、空気を除湿する除湿機(20,30,60)と、除湿機(20,30,60)から空気通路(40,50)を介して除湿空気が供給される除湿乾燥室(S)と、該除湿乾燥室(S)へ室外からアクセスするためのアクセス室(71,72)とを備えた除湿システムを前提としている。
【0008】
そして、この除湿システムは、除湿乾燥室(S)から流出した除湿空気をアクセス室(71,72)へ供給する空気供給通路(73)と、該空気供給通路(73)を開閉する供給側開閉機構(74)とを備えていることを特徴としている。
【0009】
この第1の発明では、アクセス室(71,72)の中へ物品などを入れた状態で、供給側開閉機構(74)を開いて除湿乾燥室(S)の除湿空気を空気供給通路(73)からアクセス室(71,72)へ供給すると、アクセス室(71,72)の中が除湿乾燥室(S)とほぼ同じ状態の低湿の空気で満たされる。このことにより、物品などを乾燥させることができる。その後、除湿乾燥室(S)からアクセス室(71,72)の扉を開き、物品などを除湿乾燥室(S)に取り入れる。このようにすると、除湿乾燥室(S)の湿度が上昇することはない。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記アクセス室(71,72)から除湿空気を流出させる空気流出通路(75)と、該空気流出通路(75)を開閉する流出側開閉機構(76)とを備えていることを特徴としている。
【0011】
この第2の発明では、除湿乾燥室(S)からアクセス室(71,72)に除湿空気を供給するときには流出側開閉機構(76)を閉じておき、流出側開閉機構(76)を開くとアクセス室(71,72)から除湿空気を流出させることができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、上記空気供給通路(73)が、上記除湿乾燥室(S)から上記空気通路(40,50)へ戻すリターン空気の一部が流れる通路であって該除湿乾燥室(S)と上記アクセス室(71,72)に接続され、上記空気流出通路(75)が、上記アクセス室(71,72)のリターン空気を上記空気通路(40,50)へ戻す通路であって該アクセス室(71,72)と上記空気通路(40,50)に接続されていることを特徴としている。
【0013】
この第3の発明では、除湿乾燥室(S)から空気通路(40,50)へリターン空気を戻す構成を採用しているシステムにおいて、そのリターン空気を用いてアクセス室(71,72)を低湿の空気で満たすことができる。このことにより、アクセス室(71,72)に入れた物品などを乾燥させて除湿乾燥室(S)に取り入れることができるから、除湿乾燥室(S)の湿度が上昇するのを防止できる。
【0014】
第4の発明は、第2の発明において、上記空気供給通路(73)が、上記除湿乾燥室(S)から室外へ排出する排出空気の一部が流れる通路であって該除湿乾燥室(S)と上記アクセス室(71,72)に接続され、上記空気流出通路(75)が、上記アクセス室(71,72)の排出空気を室外へ排出する通路であって該アクセス室(71,72)と室外排出口(75a)の間に設けられていることを特徴としている。
【0015】
この第4の発明では、除湿乾燥室(S)から室外へ排出する空気を用いてアクセス室(71,72)を低湿の空気で満たすことができる。このことにより、アクセス室(71,72)に入れた物品などを乾燥させて除湿乾燥室(S)に取り入れることができるから、除湿乾燥室(S)の湿度が上昇するのを防止できる。
【0016】
第5の発明は、第1から第4の発明の何れか1つにおいて、上記アクセス室(71,72)が、除湿乾燥室(S)と外部との間で品物を搬送するパスボックス(71)であることを特徴としている。
【0017】
第6の発明は、第1から第5の発明の何れか1つにおいて、上記アクセス室(71,72)が、除湿乾燥室(S)と外部との間で出入りする人をエアシャワーで処理するエアシャワー室(72)であることを特徴としている。
【0018】
上記第5,第6の発明では、パスボックス(71)を用いて物品を除湿乾燥室(S)に搬入する構成や、エアシャワー室(72)を介して人が除湿乾燥室(S)に入る構成において、パスボックス(71)やエアシャワー室(72)に除湿乾燥室(S)からのリターン空気や排出空気を用いることにより、除湿乾燥室(S)の湿度が上昇するのを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、除湿乾燥室(S)から流出した除湿空気をアクセス室(71,72)へ供給する空気供給通路(73)と、該空気供給通路(73)を開閉する供給側開閉機構(74)とを設けたことにより、除湿乾燥室(S)から流出する空気を使用してアクセス室(71,72)の中を除湿乾燥室(S)とほぼ同じ条件にすることができるから、アクセス室(71,72)へ供給するために専用の除湿空気を生成することが不要になる。また、除湿乾燥室(S)から流出する空気を利用し、専用の空気を生成しなくてもよいようにしているので、装置の構成も簡素化できるし、省エネルギ化を実現できる。
【0020】
上記第2の発明によれば、除湿乾燥室(S)から流出した除湿空気をアクセス室(71,72)へ供給するのに加えて、アクセス室(71,72)の除湿空気を必要に応じて排出することも可能になる。
【0021】
上記第3の発明によれば、除湿乾燥室(S)から空気通路(40,50)へリターン空気を戻す構成を採用しているシステムにおいて、そのリターン空気を用いてアクセス室(71,72)を低湿の空気で満たせるようにしたことにより、アクセス室(71,72)へ供給するために専用の除湿空気を生成することが不要になり、装置構成も簡素化できる。
【0022】
上記第4の発明によれば、除湿乾燥室(S)から室外へ排出する空気を用いてアクセス室(71,72)を低湿の空気で満たせるようにしたことにより、アクセス室(71,72)へ供給するために専用の除湿空気を生成することが不要になり、装置構成も簡素化できる。
【0023】
上記第5,第6の発明によれば、パスボックス(71)を用いて物品を除湿乾燥室(S)に搬入する構成や、エアシャワー室(72)を用いて人が除湿乾燥室(S)に入る構成において、パスボックス(71)やエアシャワー室(72)に除湿乾燥室(S)からのリターン空気や排出空気を用いることにより、パスボックス(71)やエアシャワー室(72)に供給するために専用の除湿空気を生成することが不要になり、装置構成を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態の除湿システムの全体を示す概略の構成図であり、除湿ユニットが第1動作中の状態を示している。
図2図2は、実施形態の除湿システムの全体を示す概略の構成図であり、除湿ユニットが第2動作中の状態を示している。
図3図3は、除湿乾燥室を外から見た斜視図である。
図4図4(A)〜図4(D)は、アクセス室の空気の流れを示す図である。
図5図5は、変形例に係る除湿システムの全体を示す概略の構成図であり、除湿ユニットが第1動作中の状態を示している。
図6図6は、変形例に係る除湿システムの全体を示す概略の構成図であり、除湿ユニットが第2動作中の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
本発明の実施形態は、除湿乾燥室の室内空間(S)を除湿する除湿システム(10)に関するものである。この除湿システム(10)は、室外空気(OA)を除湿し、この空気を給気(SA)として室内へ供給する。除湿対象となる除湿乾燥室(S)は、低露点空気(一般に露点温度がマイナス10℃以下の空気を言う)が求められるリチウム電池の製造ラインのドライクリーンエリアであり、図1図2の除湿システム(10)はリチウムイオン電池の製造ラインの一部を構成するものである。
【0027】
図1図2に示すように、除湿システム(10)は、第1除湿ユニット(60)と、第2除湿ユニット(20)と、第3除湿ユニット(30)とを備えている。これらの除湿ユニット(60,20,30)により、本発明の除湿機が構成されている。
【0028】
この除湿システム(10)は、室外空気(OA)を除湿して給気(SA)として室内へ供給するための給気通路(40)を備えている。給気通路(40)は、第1から第3までの給気路(41,42,43)を有している。第1給気路(41)は、第2除湿ユニット(20)の上流側に形成されている。第2給気路(42)は、第2除湿ユニット(20)と第3除湿ユニット(30)の間に形成され、第2除湿ユニット(20)と第3除湿ユニット(30)を直接に接続している。第3給気路(43)は、第3除湿ユニット(30)の下流側に形成されている。
【0029】
また、除湿システム(10)は、給気通路(40)の一部の空気を排気(EA)として室外へ排出するための排気通路(50)を備えている。排気通路(50)は、第1から第4までの排気路(51,52,53,54)を備えている。排気通路(50)は、流入端が第2給気路(42)に接続し、流出端が室外に開口している。
【0030】
上記給気通路(40)は除湿乾燥室(S)へ供給される空気が通過する通路であり、排気通路(50)は室外へ排出される空気が通過する通路であって、この給気通路(40)と排気通路(50)により、空気通路(40,50)が構成されている。そして、この空気通路(40,50)には、上記第1除湿ユニット(60)と第2除湿ユニット(20)と第3除湿ユニット(30)が、室内へ供給される空気である室外空気の入口側から順に配置されている。
【0031】
第1除湿ユニット(60)は、上記室外空気を冷却して除湿する外気冷却熱交換器(61)と、外気冷却熱交換器(61)で凝縮した水を回収するドレンパン(62)とを備え、外気冷却熱交換器(61)が第1給気路(41)に設けられている。また、第2給気路(42)には、空気を室内へ搬送するための給気ファン(63)が設けられている。第3給気路(43)には、空気を加熱する再熱熱交換器(64)が設けられている。
【0032】
第2除湿ユニット(20)は、圧縮機(21)、第1吸着熱交換器(22)、膨張弁(23)、第2吸着熱交換器(24)、及び四方切換弁(25)が接続された冷媒回路(20a)を備え、図示していないケーシング内に機器が収納されている。各吸着熱交換器(22,24)はフィンアンドチューブ式の熱交換器の表面に吸着剤が担持されたものであり、ケーシング内には、第1吸着熱交換器(22)を収納する収容室(図示せず)と、第2吸着熱交換器(24)を収納する収容室(図示せず)が設けられている。
【0033】
四方切換弁(25)は、第1から第4までのポートを有し、第1ポートが圧縮機(21)の吐出側と、第2ポートが圧縮機(21)の吸入側と、第3ポートが第1吸着熱交換器(22)の端部と、第4ポートが第2吸着熱交換器(24)の端部とそれぞれ接続されている。四方切換弁(25)は、第1ポートと第3ポートとが連通するとともに第2ポートと第4ポートとが連通する第1状態(図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとが連通するとともに第2ポートと第3ポートとが連通する第2状態(図1の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
【0034】
第2除湿ユニット(20)は、2つの吸着熱交換器(22,24)へ流入する空気の流れを変更する第1流路切換部(26)と、2つの吸着熱交換器(22,24)を流出した空気の流れを変更する第2流路切換部(27)とを備えている。各流路切換部(26,27)は、開閉式の複数のダンパによって構成されている。各流路切換部(26,27)は、図1の実線で示す状態と、第2の実線で示す状態とに、空気の流路を切換可能に構成されている。
【0035】
以上のように、第2除湿ユニット(20)は、冷媒回路(20a)に設けられた2つの吸着熱交換器(22,24)を除湿側と再生側に交互に切り換える四方切換弁を冷媒流路切換機構(25)として有し、蒸発器となる吸着熱交換器を給気通路(40)に接続して凝縮器となる吸着熱交換器を排気通路(50)に接続するように切り換える第1流路切換部(26)と第2流路切換部(27)を空気通路切換機構(26,27)として有する除湿ユニットである。
【0036】
第3除湿ユニット(30)は、吸着ロータ(31)と再生熱交換器(空気加熱器)(65)とを有している。吸着ロータ(31)は、円板状の多孔性の基材の表面に吸着剤が担持されることにより構成されている。吸着ロータ(31)は、給気通路(40)と排気通路(50)に跨って配置されるとともに、駆動機構(図示省略)によって駆動されて、両通路(40,50)の間の軸心を中心として回転するように構成されている。
【0037】
吸着ロータ(31)には、給気通路(40)の第3給気路(43)を流れる空気が通過する第1吸着部(32)と、排気通路(50)の第1排気路(51)を流れる空気が通過する第2吸着部(33)と、排気通路(50)の第2排気路(52)を流れる空気が通過する再生部(34)とが形成されている。第1吸着部(32)と第2吸着部(33)とでは、空気中の水分が吸着され、再生部(34)では、吸着剤中の水分が空気中へ放出される。
【0038】
上記第1排気路(51)は、吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)の上流側に形成されている。第2排気路(52)は、吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)と、該吸着ロータ(31)の再生部(34)との間に形成されている。第3排気路(53)は、吸着ロータ(31)の再生部(34)と第2除湿ユニット(20)の間に形成されている。また、第4排気路(54)は、第2除湿ユニット(20)の下流側に形成されている。
【0039】
第2排気路(52)には、吸着ロータ(31)を再生するために空気を加熱する上記再生熱交換器(65)が、吸着ロータ(31)への再生空気の入口側に設けられている。第4排気路(54)には、空気を室外へ放出するための排気ファン(66)が設けられる。また、第3排気路(53)は、第1給気路(41)から分岐した分岐路(55)と接続されている。
【0040】
除湿システム(10)は、室内空気(RA)を給気通路(40)へ返送する還気通路(58)を備えている。還気通路(58)は、流入端が除湿乾燥室(S)に連通する還気口(58a)に接続され、流出端が第2給気路(42)に接続している。つまり、還気通路(58)の流出端は、給気通路(40)における第2除湿ユニット(20)と吸着ロータ(31)との間に接続されている。また、還気通路(58)の流出端は、排気通路(50)の流入端よりも上流側に位置している。還気通路(58)には、室内空気を給気通路(40)へ送り出す換気ファン(59)と、空気冷却部を構成する還気冷却熱交換器(67)が設けられている。
【0041】
図3は、除湿乾燥室(S)を外から見た斜視図である。図において、除湿乾燥室(S)の室外には第1〜第3の除湿ユニットで構成される除湿機(20,30,60)が配置されていて、除湿空気がダクト(80)を介して室内に供給されるようになっている。また、除湿乾燥室(S)には、室内と室外とで物品を搬送するためのパスボックス(71)が第1のアクセス室として設けられている。除湿乾燥室(S)には、室外から人が入室するときに塵や埃を落とすためのエアシャワー室(72)が第2のアクセス室として設けられている。
【0042】
図1図2に示すように、この実施形態の除湿システム(10)には、除湿乾燥室(S)から流出した除湿空気をアクセス室(71,72)へ供給するための空気供給通路(73)と、該空気供給通路(73)を開閉する供給側開閉弁(供給側開閉機構)(74)が設けられている。さらに、この実施形態では、アクセス室(71,72)から除湿空気を流出させる空気流出通路(75)と、該空気流出通路(75)を開閉する流出側開閉弁(流出側開閉機構)(76)とが設けられている。
【0043】
空気供給通路(73)と空気流出通路(75)は、それぞれ、還気通路(58)の一部である。具体的には、空気供給通路(73)は、上記除湿乾燥室(S)から上記空気通路(40)へ戻すリターン空気の一部が流れる通路であって該除湿乾燥室(S)と上記アクセス室(71,72)に接続され、上記空気流出通路(75)は、上記アクセス室(71,72)のリターン空気を上記空気通路(40)へ戻す通路であって該アクセス室(71,72)と上記空気通路(40)に接続されている。このように、空気供給通路(73)と空気流出通路(75)は、上記還気通路(58)により構成され、還気通路(58)の途中にアクセス室(71,72)が位置している。
【0044】
−運転動作−
除湿システム(10)の運転動作について説明する。
【0045】
〈第2除湿ユニットの基本動作〉
除湿システム(10)の運転時には、第2除湿ユニット(20)が図1に示す第1動作と図2に示す第2動作とを所定時間おきに(例えば5分間隔で)交互に行う。
【0046】
第1動作では、第2吸着熱交換器(24)で空気を除湿すると同時に、第1吸着熱交換器(22)の吸着剤を再生する。
【0047】
具体的に、第1動作中の除湿側冷媒回路(20a)では、四方切換弁(25)が図1の状態となり、膨張弁(23)が所定開度に制御される。第1流路切換部(26)は、第1給気路(41)と第2吸着熱交換器(24)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ第3排気路(53)と第1吸着熱交換器(22)の収容室(図示省略)とを連通させる。また、第2流路切換部(27)は、第2吸着熱交換器(24)の収容室と第2給気路(42)とを連通させ、且つ第1吸着熱交換器(22)の収容室と第4排気路(54)とを連通させる。
【0048】
第1動作において、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(25)を通過して、第1吸着熱交換器(22)を流れる。第1吸着熱交換器(22)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される。第1吸着熱交換器(22)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、第2吸着熱交換器(24)を流れる。第2吸着熱交換器(24)では、空気中の水分が吸着剤に吸着され、この際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第2吸着熱交換器(24)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。
【0049】
第2動作では、第1吸着熱交換器(22)で空気を除湿すると同時に、第2吸着熱交換器(24)の吸着剤を再生する。
【0050】
第2動作中の除湿側冷媒回路(20a)では、四方切換弁(25)が図2の状態となり、膨張弁(23)が所定開度に制御される。第1流路切換部(26)は、第1給気路(41)と第1吸着熱交換器(22)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ第3排気路(53)と第2吸着熱交換器(24)の収容室(図示省略)とを連通させる。また、第2流路切換部(27)は、第1吸着熱交換器(22)の収容室と第2給気路(42)とを連通させ、且つ第2吸着熱交換器(24)の収容室と第4排気路(54)とを連通させる。
【0051】
第2動作において、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(25)を通過して、第2吸着熱交換器(24)を流れる。第2吸着熱交換器(24)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される。第2吸着熱交換器(24)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、第1吸着熱交換器(22)を流れる。第1吸着熱交換器(22)では、空気中の水分が吸着剤に吸着され、この際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第1吸着熱交換器(22)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。
【0052】
〈除湿システムの運転動作〉
次いで、除湿システム(10)の運転動作について説明する。除湿システム(10)の運転時には、第2除湿ユニット(20)が第1動作と第2動作とを交互に行う。また、給気ファン(63)と排気ファン(66)と還気ファン(59)とが運転される。
【0053】
室外空気(OA)は、給気通路(40)の第1給気路(41)に流入する。この空気は、比較的高温高湿の空気である。第1給気路(41)を流れる空気は、第1除湿ユニット(60)の外気冷却熱交換器(61)によって冷却される。冷却時に空気中から発生した凝縮水は、ドレンパン(62)に回収される。第1動作では、外気冷却熱交換器(61)で冷却及び除湿された空気は、第2除湿ユニット(20)の第2吸着熱交換器(24)を通過する。第2吸着熱交換器(24)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される。また、第2動作では、外気冷却熱交換器(61)で冷却及び除湿された空気は、第2除湿ユニット(20)の第1吸着熱交換器(22)で除湿される。
【0054】
各吸着熱交換器(22,24)で吸着剤に水分が吸着されるときに発生する吸着熱は、吸着熱交換器(22,24)を流れる冷媒に与えられる。また、給気通路(40)を流れる空気は冷媒による冷却作用を受けるので、除湿されて湿度が低下するとともに冷却されて温度も低下する。
【0055】
第2除湿ユニット(20)で除湿された空気は、第2給気路(42)を流れ、吸着ロータ(31)の第1吸着部(32)を通過する。その結果、この空気中の水分が吸着ロータ(31)の吸着剤に吸着される。吸着ロータ(31)で除湿された空気は、再熱熱交換器(64)で温度が調整された後、給気(SA)として室内へ供給される。
【0056】
第2給気路(42)を流れる空気の一部は、排気通路(50)に流入し、吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)を通過する。その結果、この空気中の水分が吸着ロータ(31)の吸着剤に吸着される。第2吸着部(33)は高温の再生空気が通過した再生部(34)が第1吸着部(32)へ移動する途中の段階であり、第2吸着部(33)に第2給気路(42)の空気が流れることにより、第2吸着部(33)が冷やされる作用も生じることになる。
【0057】
吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)で除湿された空気は、第2排気路(52)を流れて再生熱交換器(65)で加熱される。加熱された空気は、吸着ロータ(31)の再生部(34)を通過する。その結果、吸着ロータ(31)の吸着剤から空気中へ水分が脱離し、吸着剤が再生される。吸着ロータ(31)の再生に利用された空気は、第3排気路(53)を流れ、分岐路(55)から送られてくる空気と混合される。
【0058】
第1動作において、この空気は、第2除湿ユニット(20)の第1吸着熱交換器(22)を通過する。第1吸着熱交換器(22)では、吸着剤から空気中へ水分が脱離し、吸着剤が再生される。第1吸着熱交換器(22)の吸着剤の再生に利用された空気は、第4排気路(54)を流れ、排気(EA)として室外へ排出される。また、第2動作では、空気が第2吸着熱交換器(22)の吸着剤を再生した後、排気(EA)として室外へ排出される。このように、本実施形態では、吸着ロータ(31)を再生した後の空気が吸着熱交換器(22,24)の再生にも用いられる。
【0059】
除湿乾燥室(S)の空気の一部は、排気(EA)として室外へ排出される。また、除湿乾燥室(S)の空気の一部は、還気通路(58)に流入する。還気通路(58)を流れる空気は、還気冷却熱交換器(67)によって冷却された後、第2給気路(42)へ返送される。このリターン空気は、第2除湿ユニット(20)で除湿された空気と混合される。第2除湿ユニット(20)で除湿された空気と、除湿乾燥室(S)から返送されたリターン空気とでは、リターン空気の方が低温、低湿となっている。このため、第2除湿ユニット(20)で除湿された空気は、リターン空気と混合されることで、更に低温低湿となる。これにより、吸着ロータ(31)での水分の吸着能力が向上する。
【0060】
図4(A)〜図4(D)は、アクセス室(71,72)における空気の流れを示す図である。図4(A)は、還気通路(58)の途中に位置しているアクセス室(71,72)を介して除湿乾燥室(S)のリターン空気を給気通路(40)に戻す状態を示している。この状態では、アクセス室(S)の室外側の扉(77)と室内側の扉(78)の両方が閉じられ、低露点空気であるリターン空気はアクセス室(S)を通過して還気通路(58)を流れていく。
【0061】
図4(B)は、アクセス室(71,72)であるパスボックス(71)に物品を入れたりエアシャワー室(72)人が入ったりする状態を示している。このとき、室外側の扉(77)が開かれるとともに、空気供給通路(73)の供給側開閉弁(74)と空気流出通路(75)の流出側開閉弁(76)が閉じられて、リターン空気の流れが停止する。
【0062】
図4(C)は、アクセス室(71)に物品や人が入って室外側の扉を閉じた状態を示し、この状態では空気供給通路(73)の供給側開閉弁(74)と空気流出通路(75)の流出側開閉弁(76)が開かれて、リターン空気が、空気供給通路(73)、アクセス室(71,72)及び空気流出通路(75)を流れていく。このことにより、アクセス室(71,72)の中は低露点空気で満たされて低湿になり、物品や人が放湿する。
【0063】
低露点の環境で物品や人の水分が放出されると、図4(D)に示すように、室内側の扉(78)が開かれて、物品の搬入ないし人の入室が行われる。その後、室内側の扉(78)が閉じられて、図4(A)の状態に戻り、リターン空気が還気通路(58)を流れることになる。
【0064】
なお、アクセス室(71,72)がエアシャワー室(72)である場合、エアシャワー室(72)にはファンやフィルタ(図示せず)が設けられており、除去された塵や埃が捕集される。
【0065】
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、除湿乾燥室(S)から流出した除湿空気(リターン空気)をアクセス室(71,72)へ供給する空気供給通路(73)と、該空気供給通路(73)を開閉する供給側開閉弁(74)と、上記アクセス室(71,72)から除湿空気(リターン空気)を流出させる空気流出通路(75)と、該空気流出通路(75)を開閉する流出側開閉弁(76)とを設けたことにより、除湿乾燥室(S)から流出する空気を使用してアクセス室(71,72)の中を除湿乾燥室(S)とほぼ同じ低露点温度の条件にすることができるから、アクセス室(71,72)へ供給するために専用の除湿空気を生成することが不要になる。このように除湿乾燥室(71,72)から流出するリターン空気を利用して専用の空気を生成しなくてもよいようにしているので、装置の構成も簡素化できるし、省エネルギ化も実現できる。
【0066】
−実施形態1の変形例−
上記実施形態1では、還気通路(58)を流れるリターン空気をアクセス室(71,72)に供給するようにしているが、図5図6に示すように、除湿乾燥室(S)から室外へ排出する排出空気の一部をアクセス室(71,72)に供給するようにしてもよい。
【0067】
図5図6において、空気供給通路(73)は、上記除湿乾燥室(S)から室外へ排出する排出空気の一部が流れる通路であって該除湿乾燥室(S)と上記アクセス室(71,72)に接続され、空気流出通路は、上記アクセス室(S)の排出空気を室外へ排出する通路であって該アクセス室(71,72)と室外排出口(75a)の間に設けられている。
【0068】
このように構成しても、除湿乾燥室(S)から流出する空気を使用してアクセス室(71,72)の中を除湿乾燥室(S)とほぼ同じ低露点温度条件にすることができるから、アクセス室(71,72)へ供給するために専用の除湿空気を生成することが不要になり、装置構成も簡素化できる。
【0069】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0070】
例えば、上記実施形態において、除湿システム(10)の回路構成や各除湿ユニットの装置構成などは適宜変更してもよい。その一つの例として、上記実施形態では、第1除湿ユニット(60)と第2除湿ユニット(20)と第3除湿ユニット(30)を含む複数段構成の除湿機を用いているが、その段数は適宜変更してもよいし、単段にしてもよい。
【0071】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明は、空気を除湿する除湿機から空気通路を介して除湿空気が供給される除湿乾燥室へ室外からアクセスするためのアクセス室を備えた除湿システムについて有用である。
【符号の説明】
【0073】
10 除湿システム
20 第2除湿ユニット(除湿機)
30 第3除湿ユニット(除湿機)
40 給気通路(空気通路)
50 排気通路(空気通路)
60 第1除湿ユニット(除湿機)
71 パスボックス(アクセス室)
72 エアシャワー(アクセス室)
73 空気供給通路
74 供給側開閉弁(供給側開閉機構)
75 空気流出通路
75a 室外排出口
76 流出側開閉弁(流出側開閉機構)
S ドライクリーンエリア(除湿乾燥室)
図1
図2
図3
図4
図5
図6