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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-216265(P2015-216265A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】調芯装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20151106BHJP
【FI】
   H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-98856(P2014-98856)
(22)【出願日】2014年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋己
(72)【発明者】
【氏名】西川 武志
(72)【発明者】
【氏名】石辺 二朗
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047FA07
(57)【要約】
【課題】簡単で合理的な設計構造を有する回転規制機構を備えた調芯装置を提供する。
【解決手段】回転規制機構5が、調芯部材2の回りを取り囲むジョイントフレーム28と、該ジョイントフレーム28のX軸方向の相対する位置に形成された一対の第1嵌合部29及びY軸方向の相対する位置に形成された一対の第2嵌合部30と、装置本体1にX軸方向に形成され、前記一対の第1嵌合部29に個別に嵌合する一対のX軸ピン6と、前記調芯部材2にY軸方向に形成され、前記一対の第2嵌合部30に個別に嵌合する一対のY軸ピン7とを有し、前記ピン6,7は円柱状のピンであり、前記嵌合部29,30の内壁33は、前記ピン6,7の先端部側に向けて次第に横幅が拡大する傾斜面33aを有すると共に、該傾斜面33aの端部に前記ピン6,7が当接する当接部33bを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹球面を有する装置本体と、前記凹球面に嵌合する凸球面を有する調芯部材とを備え、前記凹球面と凸球面との間にエアを供給することにより該凹球面と凸球面とを非接触状態にし、その状態で前記調芯部材を揺動させてワークを対象部位に平行に押し付けるようにした調芯装置において、
前記調芯装置が、前記凹球面の中心を通るZ軸の回りの前記調芯部材の回転を規制する回転規制機構を有し、
前記回転規制機構は、前記調芯部材の回りを取り囲むジョイントフレームと、該ジョイントフレームに、前記Z軸を挟んで該Z軸と直交するX軸方向の相対する位置を占めるように形成された孔状又は溝状をなす一対の第1嵌合部と、前記ジョイントフレームに、前記Z軸を挟んで該Z軸及び前記X軸と直交するY軸方向の相対する位置を占めるように形成された孔状又は溝状をなす一対の第2嵌合部と、前記装置本体の前記Z軸を挟んで相対する位置に前記X軸方向に形成され、前記一対の第1嵌合部に個別に嵌合する一対のX軸ピンと、前記調芯部材の前記Z軸を挟んで相対する位置に前記Y軸方向に形成され、前記一対の第2嵌合部に個別に嵌合する一対のY軸ピンとを有し、
前記X軸ピン及びY軸ピンは、均一直径を有する円柱状のピンであり、
前記第1嵌合部及び第2嵌合部の内壁は、前記X軸ピン及びY軸ピンの先端部側に向けて次第に横幅が拡大する方向に傾斜する傾斜面を有すると共に、該傾斜面の端部に、前記X軸ピン及びY軸ピンが当接する当接部を有する、
ことを特徴とする調芯装置。
【請求項2】
前記X軸ピンは、前記第1嵌合部に前記ジョイントフレームの外側から嵌合し、前記Y軸ピンは、前記第2嵌合部に前記ジョイントフレームの内側から嵌合し、前記第1嵌合部の前記傾斜面は、前記ジョイントフレームの外側から内側に向けて該第1嵌合部の横幅が次第に拡大する方向に傾斜し、前記第2嵌合部の前記傾斜面は、前記ジョイントフレームの内側から外側に向けて該第2嵌合部の横幅が次第に拡大する方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の調芯装置。
【請求項3】
前記X軸ピンは、前記第1嵌合部のZ軸方向の端部に接触することによって前記ジョイントフレームを支持しており、前記Y軸ピンは、前記第2嵌合部のZ軸方向の端部と非接触であることを特徴する請求項1又は2に記載の調芯装置。
【請求項4】
前記第1嵌合部及び第2嵌合部の前記傾斜面は、前記横幅が拡大する方向に直線状に傾斜していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の調芯装置。
【請求項5】
前記第1嵌合部及び第2嵌合部はZ軸方向に延びる溝であり、前記第2嵌合部は、前記ジョイントフレームの前記装置本体側を向く後端面に開口し、前記第1嵌合部は、前記ジョイントフレームの前記後端面と反対側の前端面に開口していることを特徴する請求項1から4の何れかに記載の調芯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ等のワークを装着対象部位に平行に倣わせて配置するための調芯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等のワークをプリント基板などの装着対象部位に平行に倣わせて配置するための調芯装置(倣い装置)は、例えば特許文献1に開示されているように公知である。この特許文献1に開示された調芯装置は、凹状半球面を備えた固定部材と、前記凹状半球面に揺動自在に嵌合する凸状半球面を備えた可動部材とを有していて、該可動部材は、互いに直交するX軸方向及びY軸方向に設けられたピンにより、X軸及びY軸を中心に回動自在なるように支持されている。そして、前記凹状半球面と凸状半球面との間にエアを供給することにより前記固定部材と可動部材とを非接触状態にし、その状態で前記可動部材を前記X軸及びY軸を中心に揺動させることにより、該可動部材でワークを対象部位に平行に倣わせて押し付けるものである。
【0003】
前記調芯装置は、前記可動部材が前記X軸及びY軸と直交するZ軸の回りに回転することによる位置決め精度の低下を防止するため、該可動部材の回転を規制するための回り止め装置を有している。この回り止め装置は、前記ピンと、該ピンが嵌合するピン挿入溝とにより形成されていて、該ピン挿入溝によって前記ピンのZ軸回りの変位を規制することにより、前記可動部材のZ軸回りの回転を規制するようにしたものである。
【0004】
この場合、前記ピンの外面と前記ピン挿入溝の内面との間の隙間を、前記ピンの回動が可能な範囲内でできるだけ小さくすれば、前記可動部材のZ軸回りの変位を最小限にして位置決め精度を高めることができる。しかし、前記ピンを前記固定部材や可動部材にX軸方向及びY軸方向に取り付ける際の取り付け精度の維持には限界があり、加工公差や組立公差等によるピンとピン挿入溝との位置関係の誤差等が必ず発生する。このため、前記ピンとピン挿入溝との隙間を小さくすると、倣い動作時に両者の間でこじりが発生し、前記可動部材の揺動が円滑に行われなくなるなどの問題が発生する。
【0005】
そこで、前記特許文献1に開示された前記調芯装置においては、前記ピンを樽形に形成したり、あるいは、前記ピンは一定直径の円筒形に形成して、前記ピン挿入溝の側壁の中間位置に、溝幅を局部的に狭めるための細く且つ一定の厚みを持ったリブ状の突条部を形成するなどの工夫を施すことにより、加工公差や組立公差等によるピンとピン挿入溝との位置関係の誤差等がある場合でも、倣い動作時に前記ピンの先端部がピン挿入孔の孔壁に接触するのを防止して、こじりの問題を解消するようにしている。
【0006】
しかし、前記従来の調芯装置が採用しているこじり解消のための構成は、ピン又はピン挿入溝が特殊で複雑な形状あるいは構造を有しているため、それらの加工が面倒で加工及び製造コストも高くなる。このため、より構成が簡単で低コストの回り止め装置の提供が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4713966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来装置に比べてより簡単で合理的な設計構造を有する回り止め装置を備えた調芯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明によれば、凹球面を有する装置本体と、前記凹球面に嵌合する凸球面を有する調芯部材とを備え、前記凹球面と凸球面との間にエアを供給することにより該凹球面と凸球面とを非接触状態にし、その状態で前記調芯部材を揺動させてワークを対象部位に平行に押し付けるようにした調芯装置が提供される。
前記調芯装置は、前記凹球面の中心を通るZ軸の回りの前記調芯部材の回転を規制する回転規制機構を有していて、該回転規制機構は、前記調芯部材の回りを取り囲むジョイントフレームと、該ジョイントフレームに、前記Z軸を挟んで該Z軸と直交するX軸方向の相対する位置を占めるように形成された孔状又は溝状をなす一対の第1嵌合部と、前記ジョイントフレームに、前記Z軸を挟んで該Z軸及び前記X軸と直交するY軸方向の相対する位置を占めるように形成された孔状又は溝状をなす一対の第2嵌合部と、前記装置本体の前記Z軸を挟んで相対する位置に前記X軸方向に形成され、前記一対の第1嵌合部に個別に嵌合する一対のX軸ピンと、前記調芯部材の前記Z軸を挟んで相対する位置に前記Y軸方向に形成され、前記一対の第2嵌合部に個別に嵌合する一対のY軸ピンとを有し、前記X軸ピン及びY軸ピンは、均一直径を有する円柱状のピンであり、前記第1嵌合部及び第2嵌合部の内壁は、前記X軸ピン及びY軸ピンの先端部側に向けて次第に横幅が拡大する方向に傾斜する傾斜面を有すると共に、該傾斜面の端部に、前記X軸ピン及びY軸ピンが当接する当接部を有する。
【0010】
本発明において好ましくは、前記X軸ピンが、前記第1嵌合部に前記ジョイントフレームの外側から嵌合し、前記Y軸ピンは、前記第2嵌合部に前記ジョイントフレームの内側から嵌合し、前記第1嵌合部の前記傾斜面は、前記ジョイントフレームの外側から内側に向けて該第1嵌合部の横幅が次第に拡大する方向に傾斜し、前記第2嵌合部の前記傾斜面は、前記ジョイントフレームの内側から外側に向けて該第2嵌合部の横幅が次第に拡大する方向に傾斜していることである。
【0011】
本発明においては、前記X軸ピンが、前記第1嵌合部のZ軸方向の端部に接触することによって前記ジョイントフレームを支持しており、前記Y軸ピンは、前記第2嵌合部のZ軸方向の端部と非接触であっても良い。
また、本発明において、前記第1嵌合部及び第2嵌合部の前記傾斜面は、前記横幅が拡大する方向に直線状に傾斜していることが望ましい。
本発明の好ましい具体的な構成態様によれば、前記第1嵌合部及び第2嵌合部はZ軸方向に延びる溝であり、前記第2嵌合部は、前記ジョイントフレームの前記装置本体側を向く後端面に開口し、前記第1嵌合部は、前記ジョイントフレームの前記後端面と反対側の前端面に開口している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転規制機構におけるX軸ピン及びY軸ピンを均一直径を有する円柱状に形成すると共に、前記第1嵌合部及び第2嵌合部の内壁を、前記X軸ピン及びY軸ピンの先端部側に向けて次第に横幅が拡大する方向に傾斜する傾斜面に形成して、該傾斜面の端部に、前記X軸ピン及びY軸ピンが当接する当接部を形成したので、従来装置の回転規制機構に比べ、前記X軸ピン及びY軸ピンと前記第1嵌合部及び第2嵌合部との構成が非常に簡単且つ合理的なものとなり、この結果、前記X軸ピン及びY軸ピンと前記第1嵌合部及び第2嵌合部の加工及び製造が容易になって低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る調芯装置を斜め下方から見た斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1の下面図である。
図4図3のIV−IV線での断面図である。
図5図3のV−V線での要部断面図である。
図6図3の要部拡大断面図である。
図7図3の要部拡大断面図である。
図8】回転規制機構の変形例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図は本発明に係る調芯装置の一実施形態を示すもので、この調芯装置は、図1図5に示すように、凹球面3を有する装置本体1と、前記凹球面3に揺動自在に嵌合する凸球面4を有する調芯部材2とを備えていて、前記凹球面3と凸球面4との間にエアを供給することにより該凹球面3と凸球面4とを非接触状態にし、その状態で、前記調芯部材2の下面(前面)に取り付けた不図示のボンダーヘッドを介して半導体チップ等のワークを、プリント基板などの装着対象部位に押し付けることにより、前記装着対象部位に平行に倣わせて配置するものである。
前記凹球面3の曲率半径と凸球面4の曲率半径とは互いに等しく、前記凸球面4の曲率中心は、前記ボンダーヘッドのワーク押圧面の中心に設定されている。
【0015】
また、前記調芯部材2は、回転規制機構5の互いに直交するX軸ピン6及びY軸ピン7を中心にしたX軸回り及びY軸回りの回転を複合することにより、任意の方向に揺動することができるように構成されたもので、前記回転規制機構5の構成については後で詳細に説明する。
【0016】
前記装置本体1は、ロボットアーム等の作業機器に取り付けるための部材で、第1部材1aと第2部材1bとをボルト1cで連結することにより矩形のブロック形に形成され、該装置本体1の上面が前記作業機器に取り付けるための取付面とされ、該装置本体1の下面に、Z軸を中心軸線とする前記凹球面3が形成されている。該凹球面3は、前記装置本体1に固定された多孔質のエア軸受8の下面に形成されたもので、該エア軸受8は、ステンレス等の非磁性材によってリング状に形成され、前記装置本体1に形成された環状の軸受取付溝8a内に、前記Z軸を取り囲むように固定されている。
【0017】
また、前記装置本体1の内部の、前記エア軸受8の背後の位置には、環状の磁石取付溝9aが形成され、該磁石取付溝9a内に、リング状をした永久磁石9が取り付けられている。
前記磁石取付溝9aの内周と前記永久磁石9の外周との間、及び、前記永久磁石9の前端面と前記エア軸受8の後端面との間には、互いに連通するエア通路10b,10cが形成され、このエア通路10b,10cが、前記装置本体1の側面に形成されたエア供給ポート11にエア供給路10aを通じて連通している。
【0018】
そして、前記エア供給ポート11から圧縮エアが、前記エア供給路10a及びエア通路10b,10cを通じて前記エア軸受8に供給され、前記凹球面3から噴出されると、該凹球面3から前記凸球面4が離間し、エア圧力により前記凸球面4が前記凹球面3から離間する力と、前記永久磁石9によって磁性材製の前記調芯部材2が装置本体1側に吸引される力とが釣り合うことで、前記凹球面3と凸球面4とが、微少な隙間を介して非接触状態を維持するように構成されている。
【0019】
前記凹球面3と凸球面4との間に供給されたエアが調芯装置の前方に向けて噴出されないようにする場合は、前記装置本体1の側面にエア回収ポートを設けて、このエア回収ポートを、前記装置本体1と調芯部材2との間に形成さる隙間を通じて前記凹球面3と凸球面4との間の空隙部に連通させ、前記隙間からこのエア回収ポートを通じて前記エアを回収するように構成すれば良い。
【0020】
前記調芯部材2は、鉄等の磁性材で形成されていて、前記ボンダーヘッドを取り付けるための本体部2aと、前記凸球面4を有する球面形成部2bとからなっている。
前記本体部2aは、下面視外形状が略正方形をなす部材で、外周面の4つの角部は円弧状に面取りされ、該本体部2aの中心に、後述するロック機構13のロッド14が挿通するロッド挿通孔15が形成され、該本体部2aの上面に前記球面形成部2bが連結され、該本体部2aの下面即ち前面に、前記ボンダーヘッドを取り付けるための螺子孔16が形成されている。
一方、前記球面形成部2bは、平面視形状が円形の部材で、前記本体部2aに連結された面とは反対側の面即ち上面に、前記凸球面4が形成されている。該球面形成部2bの直径は前記本体部2aの対角方向の寸法より大きい。
【0021】
また、前記装置本体1の内部には、前記調芯部材2を調芯位置にロックするための前記ロック機構13が設けられている。このロック機構13は、図4から明らかなように、前記装置本体1の第1部材1aと第2部材1bとの間に形成されたピストン室19と、該ピストン室19内にピストンパッキン20aを介して気密状態でZ軸方向に変位自在に収容されたピストン20と、該ピストン20に螺子17で基端部を連結されて前記Z軸に沿って延びる前記ロッド14とを有している。
【0022】
図中の符号1dは、前記装置本体1の第1部材1aと第2部材1bとの間をシールするOリング、符号14aは、前記ロッド14の外周と装置本体1の内周との間をシールするOリング、符号17aは、前記螺子17の頭部の外周をシールするOリングである。
【0023】
前記ロッド14の先端部分は、前記調芯部材2の中心に形成された前記ロッド挿通孔15に遊動状態に挿通されていて、その先端に大径化されたロック用頭部21を有し、該ロック用頭部21が、前記ロッド挿通孔15の端部の大径化された拡大孔部22内に、該拡大孔部22から外部に突出しないように嵌合している。
前記拡大孔部22の頂面22aは凹球面状に形成され、該凹球面の曲率中心は、前記凸球面4の曲率中心と同じ位置にある。これに対し、前記ロッド14の前記ロック用頭部21の上端面21aは、平面状に形成されているが、前記拡大孔部22の頂面22aに合わせて凸球面状に形成しても良い。
【0024】
また、前記ピストン20の両側には、第1圧力室23aと第2圧力室23bとが形成され、該第1圧力室23a及び第2圧力室23bが、前記装置本体1の側面に形成された第1エアポート24a及び第2エアポート24bに、エア通孔25a,25bを通じて個別に連通している。
そして、調芯動作時に、前記エア供給ポート11から前記凹球面3と凸球面4との間にエアを供給している状態で、前記第1エアポート24aから前記第1圧力室23a内に圧力エアを供給すると共に、前記第2圧力室23b内のエアを第2エアポート24bから排出すると、前記ロッド14が図4において下降するため、前記調芯部材2のロックが解除され、該調芯部材2によるワークの調芯動作が可能になる。このとき、前記第1圧力室23a内に圧力エアを供給することなく、該第1圧力室23aと前記第2圧力室23bとを共に大気に開放した状態にしても良い。
【0025】
前記調芯部材2によるワークの調芯が行われた後に、前記第1圧力室23a内のエアを第1エアポート24aから排出すると共に、前記第2圧力室23b内に前記第2エアポート24bから圧力エアを供給すると、前記ロッド14が上昇し、該ロッド14のロック用頭部21が前記調芯部材2の拡大孔部22の頂面22aに当接して該調芯部材2を上昇させ、該調芯部材2の凸球面4を装置本体1の凹球面3に圧接させて該調芯部材2と装置本体1とを一体化させるので、該調芯部材2は調芯位置にロックされる。
【0026】
前記調芯装置は、前記調芯部材2がZ軸回りに回転するのを規制するための前記回転規制機構5を有している。この回転規制機構5は、特に図1図3から明らかなように、前記調芯部材2の外周を取り囲むジョイントフレーム28と、該ジョイントフレーム28に、前記Z軸を挟んで該Z軸と直交するX軸方向の相対する位置を占めるように形成された一対の第1嵌合部29と、前記ジョイントフレーム28に、前記Z軸を挟んで該Z軸及び前記X軸と直交するY軸方向の相対する位置を占めるように形成された一対の第2嵌合部30と、前記装置本体1の前記Z軸を挟んで相対する位置に前記X軸方向に形成され、前記一対の第1嵌合部29に個別に嵌合する一対の前記X軸ピン6と、前記調芯部材2の前記Z軸を挟んで相対する位置に前記Y軸方向に形成され、前記一対の第2嵌合部30に個別に嵌合する一対の前記Y軸ピン7とを有している。前記X軸とY軸とは、前記Z軸方向の同じ高さにあることが望ましいが、若干高さが異なっていても良い。
【0027】
前記ジョイントフレーム28は、平面視形状が略正方形をなす部材で、外周面の4つの角部は直線状に面取りされ、内周面の4つの角部は円弧状に形成されている。
該ジョイントフレーム28の4つの枠辺のうち、前記X軸と交差する2つの相対する枠辺28aの各々の中央位置には、Z軸方向の前端面28cに開口する溝状をした前記第1嵌合部29が、前記Z軸と平行に形成され、前記Y軸と交差する2つの相対する枠辺28bの各々の中央位置には、Z軸方向の後端面28dに開口する溝状をした前記第2嵌合部30が、前記Z軸と平行に形成されている。前記後端面28dは、前記ジョイントフレーム28の前記装置本体1側を向く端面であり、前記前端面28cは、該後端面28dの反対側の端面で、調芯装置の前方を向く面である。
【0028】
前記X軸ピン6は、前記装置本体1に固定された一対のピン取付ブロック31にそれぞれ取り付けられている。このピン取付ブロック31は、正面視形状が凸字形をした部材であって、前記ジョイントフレーム28の外側の位置で、前記装置本体1に形成されたブロック取付部1eに螺子32で固定され、各ピン取付ブロック31にそれぞれ1つの前記X軸ピン6が、前記X軸に沿うように取り付けられ、該X軸ピン6が、前記第1嵌合部29内に、前記ジョイントフレーム28の外側から嵌合している。図中の符号32aは、前記ブロック取付部1eに形成された螺子孔である。
【0029】
また、前記Y軸ピン7は、前記調芯部材2の4つの側辺のうち、前記Y軸と交差する2つの相対する側辺2cの中央位置に、Y軸に沿うように取り付けられ、前記第2嵌合部30内に、前記ジョイントフレーム28の内側から嵌合している。
【0030】
前記回転規制機構5を調芯装置に組み付けるときは、前記一対のピン取付ブロック31を前記装置本体1から取り外した状態で、前記ジョイントフレーム28を、前記第2嵌合部30に前記調芯部材2のY軸ピン7を嵌合させた状態で該調芯部材2の外周を取り囲むように配置し、続いて、前記一対のピン取付ブロック31を、前記X軸ピン6を第1嵌合部29に嵌合させた状態で装置本体1に固定する。
【0031】
これにより、前記装置本体1に固定されたX軸ピン6が、前記ジョイントフレーム28の前記第1嵌合部29に嵌合、係止することによって、該ジョイントフレーム28のZ軸回りの回転が規制され、また、該ジョイントフレーム28の前記第2嵌合部30に、前記調芯部材2に固定されたY軸ピン7が嵌合、係止することによって、該調芯部材2のZ軸回りの回転が規制されるため、該調芯部材2の前記装置本体1に対するZ軸回りの回転が規制されることになる。その一方で該調芯部材2は、前記X軸回り及びY軸回りの揺動が可能である。
【0032】
このとき、前記ジョイントフレーム28は、前記X軸ピン6が前記第1嵌合部29のZ軸方向の端部(溝の上端部)に接触することにより、該X軸ピン6によって吊り下げられた状態に支持されており、これに対して前記Y軸ピン7は、前記第2嵌合部30のZ軸方向の端部(溝の下端部)と非接触の状態になる。
【0033】
従って、前記ジョイントフレーム28は、前記Y軸ピン7と第2嵌合部30の内壁との間に介在する隙間分だけX軸方向に可動であるが、前記X軸ピン6が前記第1嵌合部29のZ軸方向の端部に接触しているため、Y軸回りに揺動することはできない。一方、前記調芯部材2は、前記Y軸ピン7が第2嵌合部30のZ軸方向の端部と非接触の状態にあるため、X軸回りに揺動しても前記ジョイントフレーム28に接触しない。
【0034】
前記X軸ピン6及びY軸ピン7は、全長にわたって均一直径を有する円柱状のピンである。前記X軸ピン6とY軸ピン7の直径は、互いに等しくても異なっていても良く、互いに異なる場合には、それに合わせて前記第1嵌合部と第2嵌合部の横幅も互いに異なることになる。
【0035】
また、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の溝幅即ち横幅は、該第1嵌合部29及び第2嵌合部30の深さ方向(Z軸方向)には一定であるが、奥行き方向(X軸及びY軸方向)には一定ではなく、図6に一対の第1嵌合部29のうち一方の第1嵌合部29について示し、また、図7に一対の第2嵌合部30のうち一方の第2嵌合部30について示すように、前記横幅は、前記X軸ピン6及びY軸ピン7の先端部6a,7a側(自由端側)に向けて次第に拡大し、該X軸ピン6及びY軸ピン7の基端部6b,7b側(固定端側)の部分で最小になっており、この横幅が最小の部分で、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の内壁33に前記X軸ピン6及びY軸ピン7が当接することにより、前記調芯部材2の回転が規制されるように構成されている。
【0036】
即ち、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の内壁33は、前記X軸ピン6及びY軸ピン7の先端部6a,7a側に向けて次第に横幅が拡大する方向に直線的に傾斜する傾斜面33aを有すると共に、該傾斜面33aの端部の前記横幅が最小の部分に、前記X軸ピン6及びY軸ピン7が当接する当接部33bを有している。そして、前記第1嵌合部29の傾斜面33aは、図6に示すように、前記ジョイントフレーム28の外側から内側に向けて次第に横幅が拡大する方向に傾斜していて、該ジョイントフレーム28の外側端に前記当接部33bを有し、また、前記第2嵌合部30の傾斜面33aは、図7に示すように、前記ジョイントフレーム28の内側から外側に向けて次第に横幅が拡大する方向に傾斜していて、該ジョイントフレーム28の内側端に前記当接部33bを有している。
【0037】
この構成により、図6及び図7に鎖線で示すように、前記X軸ピン6及びY軸ピン7に、加工公差や組立公差等に基づく微少な位置ずれや傾き等があったとしても、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の、前記傾斜面33aによって横幅の拡大した部分が逃げとなり、調芯動作時に、前記X軸ピン6及びY軸ピン7の先端部6a,7aと前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の内壁33との接触によるこじりが防止される。
【0038】
前記傾斜面33aは、前記内壁33全体に形成されていても良いが、その場合に前記当接部33bは、前記ジョイントフレーム28の外周端又は内周端の位置に形成されて先端が尖った形になる。そこで、このように当接部33bの先端が尖った形になるのを避けたい場合には、図6及び図7に示すように、前記当接部33bの突端の当接面33cを、X軸及びY軸と平行をなす平面に形成するか、あるいは円弧状の凸曲面に形成すれば良い。前記当接面33cを平面に形成する場合に、この当接面33cの幅Hは、できるだけ小さいことが望ましく、例えば0.5−2mm程度であることが望ましい。しかし、Z軸回りの位置決め精度やX軸ピン6及びY軸ピン7の取付精度等に応じてそれより大きくすることも可能であり、例えば、前記当接面33cの幅Hを、前記枠辺28a,28bの厚さTの1/4以下や1/2以下というような範囲まで広げることも可能である。このとき、前記当接面33cのX軸方向及びY軸方向の両端部、特に前記X軸ピン6及びY軸ピン7の基端部6b,7b側の端部は、直線状または円弧状に面取りしても良い。
【0039】
前記構成を有する調芯装置でワークを装着対象部位に装着するときは、前記ロック装置による前記調芯部材2のロックは解除される。そして、前記装置本体1のエア供給ポート11から前記凹球面3と凸球面4との間に圧縮エアが供給されると、前記凹球面3と凸球面4即ち前記装置本体1と調芯装置とが非接触状態になり、その状態で、前記調芯部材2に取り付けられた不図示のボンダーヘッドを介して半導体チップ等のワークが、プリント基板などの装着対象部位に押し付けられることにより、該ワークが、前記装着対象部位に対して平行に倣った状態に配置される。このとき、前記装着対象部位とワークとが相対的に傾斜している場合には、前記調芯部材2が、その傾斜に応じて前記X軸ピン6及びY軸ピン7を中心にしてX軸回り及びY軸回りに複合的に揺動し、前記ワークを前記装着対象部位に対して平行に倣わせるように調芯動作する。
【0040】
前記調芯動作終了後に、前記ロック装置の第2圧力室23b内に前記第2エアポート24bから圧力エアを供給すると共に、前記第1圧力室23a内のエアを第1エアポート24aから排出することにより、前記ロッド14を上昇させて前記調芯部材2の凸球面4を装置本体1の凹球面3に圧接させることで、該調芯部材2を調芯位置にロックすることができる。
【0041】
一方、前記回転規制機構5においては、前記装置本体1に固定されたX軸ピン6が、前記ジョイントフレーム28の前記第1嵌合部29の当接部33bに当接して係止することにより、該ジョイントフレーム28のZ軸回りの回転が規制され、また、該ジョイントフレーム28の前記第2嵌合部30の当接部33bに、前記調芯部材2に固定されたY軸ピン7が当接して係止することにより、該調芯部材2のZ軸回りの回転が規制されるため、該調芯部材2の前記装置本体1に対するZ軸回りの回転は規制される。
【0042】
このとき、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の内壁33は、前記X軸ピン6及びY軸ピン7の先端部6a,7a側に向けて次第に横幅が拡大する方向に傾斜する傾斜面33aを有しているため、前記X軸ピン6及びY軸ピン7に、加工公差や組立公差等による微少な位置ずれや傾き等があったとしても、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の横幅の拡大した部分が逃げとなり、前記X軸ピン6及びY軸ピン7の先端部6a,7aと前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の内壁33との接触によるこじりが防止される。
【0043】
かくして、前記X軸ピン6及びY軸ピン7を全長にわたって均一直径を有する円柱状に形成し、また、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30は、その内壁33に前記X軸ピン6及びY軸ピン7の先端側に向けて次第に横幅が拡大する方向に傾斜する傾斜面33aを形成して、該傾斜面33aの端部の横幅が最小になる部分に、前記X軸ピン6及びY軸ピン7に当接して回転を規制する当接部33bを形成したことにより、従来装置の回転規制機構5に比べ、前記X軸ピン6及びY軸ピン7と前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30との構成が非常に簡単且つ合理的なものとなり、この結果、前記X軸ピン6及びY軸ピン7と前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の加工及び製造が容易になって、低コスト化を図ることができる。
【0044】
なお、図示した実施形態では、前記傾斜面33aが直線状をしているが、該傾斜面33aは、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の内部に向けて凸曲面状に湾曲していても良い。この場合、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の内壁33には、凸曲面状をした前記傾斜面33aの端部に、X軸及びY軸と平行な平面状の前記当接面33cが形成されていても、あるいは、前記傾斜面33aの凸曲面の延長をなすように凸曲面状をした前記当接面33cが形成されていても良い。
【0045】
また、図示した実施形態では、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30が、Z軸方向に深さを有する溝の形をしているが、この第1嵌合部29及び第2嵌合部30は、円形の孔であっても良く、あるいはZ軸方向に長い楕円形あるいは長円形の孔であっても良い。この場合、該孔の内壁にも、前記溝の場合ような傾斜面33aや当接面33c等が形成されることは言うまでもない。
更に、前記ジョイントフレーム28の平面視形状は、図示したような正方形に限定されず、長方形であっても、円形であっても構わない。
【0046】
また、前記実施形態では、前記第1嵌合部29及び第2嵌合部30の前記当接部33bが、前記ジョイントフレーム28の外周端及び内周端に形成されているが、図8に示す変形例のように、前記当接部33bを、内壁33のX軸方向及びY軸方向の中間位置に形成し、該内壁33の前記当接部33bを挟んで前記傾斜面33aと反対側の部分に、該傾斜面33aと逆方向に傾斜する第2傾斜面33dを形成することもできる。この場合、前記当接部33bは、前記内壁33の中央に対してX軸ピン6及びY軸ピン7の基端部6b,7b側に寄った位置に形成することが望ましい。
【符号の説明】
【0047】
1 装置本体
2 調芯部材
3 凹球面
4 凸球面
5 回転規制機構
6 X軸ピン
6a 先端部
7 Y軸ピン
7a 先端部
28 ジョイントフレーム
28c 前端面
28d 後端面
29 第1嵌合部
30 第2嵌合部
33 内壁
33a 傾斜面
33b 当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8