(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-216522(P2015-216522A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/06 20090101AFI20151106BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20151106BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20151106BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20151106BHJP
【FI】
H04W36/06
H04W28/18 110
H04W36/30
H04W24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-98656(P2014-98656)
(22)【出願日】2014年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】303013763
【氏名又は名称】NECエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小田 智康
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB21
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ01
5K067JJ35
(57)【要約】
【課題】 運用中に通信品質が劣化した場合に、第三者に影響を与えることのない、適切な周波数チャネルへ自動的に切り替えることができる無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供する。
【解決手段】 本発明の無線装置10は、周波数チャネル設定情報および設定可能な複数の周波数チャネルの使用状況を保持する保持手段20、設定可能な複数の周波数チャネルの使用状況を定期的に把握し、保持手段20に保持されている情報を更新すると共にそれを対向装置へ送信する周波数検索手段30、および、対向装置と通信中に通信品質が劣化した場合、保持手段20に保持されている周波数チャネルの使用状況を参照して切替先の周波数チャネルを決定し、決定した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替える切替手段40を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数チャネル設定情報、自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況、および、対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を保持する保持手段と、
前記自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を把握して、前記保持手段に保持されている自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を更新すると共に、前記把握した各使用状況を対向装置へ送信する周波数検索手段と、
前記対向装置と通信中に通信品質が劣化した場合、前記保持手段に保持されている周波数チャネルの使用状況を参照して切替先の周波数チャネルを決定し、決定した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替える切替手段と、
を備え、
対向装置から複数の周波数チャネルの各使用状況を受信した場合、受信した各使用状況に基づいて前記保持手段に保持されている対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を更新する無線装置。
【請求項2】
前記周波数検索手段は、自装置が設定可能な複数の周波数チャネルを検索し、検索した複数の周波数チャネルの各使用状況を把握すると共に、検索結果に基づいて前記保持手段に保持されている前記自装置が設定可能な周波数チャネルを更新する、請求項1記載の無線装置。
【請求項3】
前記切替手段は、前記決定した切替先の周波数チャネルを対向装置へ送信し、前記周波数チャネルを切り替えた後に対向装置が前記送信した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替えた時、前記保持手段に保持されている周波数チャネル設定情報を更新する、請求項1または2に記載の無線装置。
【請求項4】
前記切替手段は、対向装置において生成された切替先の周波数チャネルを受信すると共に対向装置が前記受信した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替えた場合、受信した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替えると共に、前記保持手段に保持されている周波数チャネル設定情報を更新する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項5】
前記対向装置と通信中に通信品質が劣化したか否かを監視し、通信品質が劣化した場合に前記切替手段に報知する品質監視手段をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか1項記載の無線装置。
【請求項6】
互いに無線通信する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の第1無線装置および第2無線装置を備える無線通信システム。
【請求項7】
周波数チャネル設定情報、自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況、および、対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を保持する保持手段を備えた無線装置の無線通信方法であって、
前記自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を把握し、
前記把握した各使用状況に基づいて前記保持手段に保持されている自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を更新すると共に、前記把握した各使用状況を対向装置へ送信し、
前記対向装置から複数の周波数チャネルの各使用状況を受信した場合、受信した各使用状況に基づいて前記保持手段に保持されている対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を更新し、
前記対向装置と通信中に通信品質が劣化した場合、
前記保持手段に保持されている周波数チャネルの使用状況を参照して切替先の周波数チャネルを決定し、
前記決定した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替える、
無線通信方法。
【請求項8】
自装置が設定可能な全ての周波数チャネルを検索し、
前記検索した周波数チャネルの各使用状況を把握すると共に、前記検索結果に基づいて前記保持手段に保持されている前記自装置が設定可能な複数の周波数チャネルを更新する、
請求項7記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記決定した切替先の周波数チャネルを対向装置へ送信し、
前記周波数チャネルを切り替えた後に対向装置が前記送信した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替えた時、前記保持手段に保持されている周波数チャネル設定情報を更新する、
請求項7または8に記載の無線通信方法。
【請求項10】
対向装置において生成された切替先の周波数チャネルを受信すると共に対向装置が前記受信した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替えた場合、受信した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替えると共に、前記保持手段に保持されている周波数チャネル設定情報を更新する請求項7乃至9のいずれか1項に記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法に関し、特に、運用中に通信品質が劣化した場合に周波数チャネルを切り替える無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ライセンスフリーの周波数帯を使用して、複数のチャネルの中から使用する周波数を選択する無線装置は、キャリアセンスなどの機能によって自装置が使用できる複数の周波数チャネルにおける周波数チャネルの使用状況を確認し、使用されていない周波数チャネルを自装置の使用周波数チャネルとして設定して運用を開始する。ここで、キャリアセンスなどの機能によって周波数チャネルの使用状況を確認する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
そして、一般的な無線装置においては、使用している途中で周波数チャネルの通信品質が劣化した場合、改めてキャリアサーチを実施し、手動によって別の周波数チャネルへ設定変更を行う。
【0004】
そこで、特許文献2には、無線LAN(Local Area Network)装置のネットワーク内に、周波数チャネルの切り替えを制御するための周波数チャネル切替装置を配置することによって、使用中に周波数チャネルの通信品質が劣化した場合に周波数チャネルを自動で切り替えることが技術が開示されている。特許文献2においては、周波数チャネル切替装置が、ネットワーク内の無線LAN装置の動的に変化する回線状況を集中管理することによって周波数チャネルの切替可否を判定し、動的に周波数チャネルを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−136732号公報
【特許文献2】特開2002−271336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の技術において、周波数チャネル切替装置は、切替対象である無線LAN装置に対して現在使用中である周波数チャネルの問い合わせを行うことによって、切り替える周波数チャネルが使用可能か否かを判断する。この場合、監視対象ネットワーク以外の装置や同一周波数チャネルを使用している別の機器などの第三者によって、切り替え先の周波数チャネルが使用されている場合、重複に気付かずに周波数チャネルを切替えてしまう場合がある。
【0007】
重複に気付かずに周波数チャネルを切替えた場合、切替先の周波数チャネルでは干渉による回線劣化が発生し、別の周波数チャネルへの再切替えが必要となるばかりか、先にこの周波数チャネルを使用していた装置に対して干渉などの悪影響を与える危険性がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、運用中に通信品質が劣化した場合に、第三者に影響を与えることなく、適切な周波数チャネルへ自動的に切り替えることができる無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る無線装置は、周波数チャネル設定情報、自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況、および、対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を保持する保持手段と、自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を把握して、保持手段に保持されている自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を更新すると共に、把握した各使用状況を対向装置へ送信する周波数検索手段と、対向装置と通信中に通信品質が劣化した場合、保持手段に保持されている周波数チャネルの使用状況を参照して切替先の周波数チャネルを決定し、決定した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替える切替手段と、を備え、対向装置から複数の周波数チャネルの各使用状況を受信した場合、受信した各使用状況に基づいて保持手段に保持されている対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を更新する。
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る無線通信システムは、互いに無線通信する2台の上述の無線装置から成る。
【0011】
上記目的を達成するために本発明に係る無線通信方法は、周波数チャネル設定情報、自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況、および、対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を保持する保持手段を備えた無線装置の無線通信方法であって、自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を把握し、把握した各使用状況に基づいて保持手段に保持されている自装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を更新すると共に、把握した各使用状況を対向装置へ送信し、対向装置から複数の周波数チャネルの各使用状況を受信した場合、受信した各使用状況に基づいて保持手段に保持されている対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルの各使用状況を更新し、対向装置と通信中に通信品質が劣化した場合、保持手段に保持されている周波数チャネルの使用状況を参照して切替先の周波数チャネルを決定し、決定した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替える。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明の態様によれば、運用中に通信品質が劣化した場合に、第三者に影響を与えることなく、適切な周波数チャネルへ自動的に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る無線装置10のブロック構成図である。
【
図2】第2の実施形態に係る無線装置100のブロック構成図である。
【
図3】第2の実施形態に係る周波数切替制御部700のブロック構成図である。
【
図4】第2の実施形態に係る周波数情報格納部760に格納されている、(a)自装置の周波数チャネル一覧情報の一例、(b)対向装置の周波数チャネル一覧情報の一例である。
【
図5】第2の実施形態に係る周波数切替制御部700の周波数チャネル一覧情報を更新する時の動作フロー図である。
【
図6】第2の実施形態に係る周波数情報格納部760において、周波数チャネル一覧情報を更新する手順を示す図である。
【
図7】第2の実施形態に係る周波数切替制御部700の対向装置との通信中に通信品質の劣化が生じた場合の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る無線装置のブロック構成図を
図1に示す。
図1において、無線装置10は保持手段20、周波数検索手段30および切替手段40を備える。
【0015】
保持手段20には、無線装置10(以下、自装置と記載する。)と通信相手の無線装置(以下、対向装置と記載する。)との周波数チャネル設定情報が保持されている。さらに、本実施形態に係る保持手段20には、自装置が設定可能な複数の周波数チャネルが第1周波数チャネル群として保持され、第1周波数チャネル群を構成している複数の周波数チャネルごとに、それぞれの使用状況が登録されている。また、保持手段20には、対向装置が設定可能な複数の周波数チャネルが第2周波数チャネル群として保持され、第2周波数チャネル群を構成している複数の周波数チャネルごとに、それぞれの使用状況が登録されている。
【0016】
周波数検索手段30は、定期的に自装置が設定可能な周波数チャネルを抽出して第1周波数チャネル群を更新し、新たに抽出した複数の周波数チャネルのそれぞれの最新の使用状況を取得する。そして、周波数検索手段30は、取得した最新の使用状況を用いて保持手段20に保持されている対応する使用状況を更新すると共に、取得した最新の使用状況を対向装置へ送信する。さらに、周波数検索手段30は、対向装置から第2周波数チャネル群の各周波数チャネルの最新の使用状況を受信した場合、保持手段20に保持されている対応する使用状況を更新する。
【0017】
切替手段40は、対向装置と通信中に通信品質が劣化した場合、保持手段20に保持されている自装置および対向装置の使用状況を参照して切替先の周波数チャネルを決定し、決定した切替先の周波数チャネルに基づいて周波数チャネルを切り替える。
【0018】
上記のように構成された無線装置10は、周波数検索手段30が定期的に第1周波数チャネル群を更新すると共に更新した第1周波数チャネル群を構成する複数の周波数チャネルのそれぞれの最新の使用状況を取得して保持手段20に保持されている情報を更新する。さらに、周波数検索手段30は、対向装置から第2周波数チャネル群の各周波数チャネルの最新の使用状況を受信し、保持手段20に保持されている情報を更新する。
【0019】
従って、保持手段20には常に、設定可能な周波数チャネルの最新の使用状況が保持される。また、自装置および対向装置が設定可能な全ての周波数チャネルの最新の使用状況を把握することから、自装置および対向装置が使用していないだけでなく、第三者によっても使用されていない周波数チャネルを把握することができる。
【0020】
そして、対向装置と通信中に通信品質が劣化した場合、切替手段40が保持手段20に保持されている最新の使用状況を参照して切替先の周波数チャネルを決定することから、本実施形態に係る無線装置10は、第三者に影響を与えることなく、適切な周波数チャネルへ自動的に切り替えることができる。
【0021】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る無線装置のブロック構成図を
図2に示す。
図2において、無線装置100は、ベースバンド信号処理部200、変復調部300、無線周波数部400、無線周波数部(DUP:Duplexer)500、アンテナ600および周波数切替制御部700を備える。無線装置100(以下、自装置と記載する。)は、通信相手の無線装置100’(以下、対向装置と記載する。)との間で、ライセンスフリーの周波数帯を使用した無線通信を行う。なお、ベースバンド信号処理部200、変復調部300、無線周波数部400、DUP500およびアンテナ600は、一般的な無線装置の既知の機能部位であるため、詳細な説明は省略する。また、以下、対向装置の各要素には、自装置の各要素の参照符号に「’」を付して記載する。
【0022】
周波数切替制御部700は、対向装置との通信中に通信品質が劣化した場合、自装置および対向装置の周波数チャネルを自動的に切り替える。本実施形態に係る周波数切替制御部700のブロック構成図を
図3に示す。
図3において、周波数切替制御部700は、通信品質管理部710、切替周波数選択部720、周波数制御部730、周波数検索機能部740、対向通信管理部750および周波数情報格納部760を備える。
【0023】
通信品質管理部710は、対向装置との通信中に通信品質を計測し、通信品質が劣化した場合、アラーム情報を切替周波数選択部720へ出力する。本実施形態に係る通信品質管理部710は、対向装置との通信中にビット誤り率(BER:Bit Error Rate)を計測し、計測したBERが所定の切替閾値よりも大きい場合、周波数チャネル切替を促すためのアラーム情報を生成して切替周波数選択部720へ出力する。ここで、切替閾値は、使用環境などに基づいて最適な値を設定することができる。
【0024】
切替周波数選択部720は、通信品質管理部710からアラーム情報が入力した場合、周波数情報格納部760に格納されている自装置および対向装置の周波数チャネル一覧情報を参照して、最適な切替先周波数チャネルを決定する。そして、切替周波数選択部720は、決定した切替先の周波数チャネルを周波数チャネル切替先情報として周波数制御部730へ出力する。本実施形態に係る切替周波数選択部720は、周波数情報格納部760から取得した自装置および対向装置の周波数チャネル一覧情報において、自装置の受信レベルと対向装置の受信レベルが共に所定の選択閾値未満となっている共通の周波数チャネルを切替先の周波数チャネルとして決定する。ここで、受信レベルの選択閾値は、ユーザが適宜設定することができる。
【0025】
周波数制御部730は、切替周波数選択部720から周波数チャネル切替先情報が入力した場合、入力された周波数チャネル切替先情報を対向通信管理部750を介して対向装置へ送信する。また、周波数制御部730は、入力された周波数チャネル切替先情報に基づいて自装置の周波数チャネルを切り替え、切替結果を対向通信管理部750を介して対向装置へ送信する。そして、送信した周波数チャネル切替先情報に対応する対向装置切替結果を対向通信管理部750を介して対向装置から受信した場合、自装置と対向装置の切替結果を周波数チャネル切替結果として周波数情報格納部760へ出力する。
【0026】
さらに、周波数制御部730は、対向通信管理部750を介して対向装置から周波数チャネル切替先情報を受信した場合、受信した周波数チャネル切替先情報に基づいて自装置の周波数チャネルを切り替え、自装置切替結果を対向通信管理部750を介して対向装置へ返信する。その後、受信した周波数チャネル切替先情報に対応する対向装置の切替結果が入力した場合、周波数制御部730は、自装置と対向装置の切替結果を周波数チャネル切替結果として周波数情報格納部760へ出力する。
【0027】
周波数検索機能部740は、自装置が設定可能な周波数チャネルを定期的に検索し、検索した周波数チャネルの受信レベルを計測する。周波数検索機能部740は、設定可能な全ての周波数チャネルの受信レベルを計測した後、計測結果を自装置の周波数チャネル更新情報として対向通信管理部750および周波数情報格納部760へ出力する。なお、設定可能な周波数チャネルの検索および受信レベルの計測は必ずしも定期的に実施する必要はなく、任意の周期で実施することもできるし、コマンド入力によって不定期に実施することもできる。
【0028】
対向通信管理部750は、対向装置との間で各種情報を送受信する。本実施形態に係る対向通信管理部750は、周波数制御部730から入力された周波数チャネル切替先情報、自装置の切替結果や、周波数検索機能部740から入力された自装置の周波数チャネル更新情報を、無線補助信号を用いて対向装置へ送信する。一方、対向通信管理部750は、対向装置から周波数チャネル切替先情報、対向装置の切替結果が入力した場合、それらを周波数制御部730へ転送し、対向装置から対向装置の周波数チャネル更新情報が入力した場合、それを周波数情報格納部760へ転送する。
【0029】
周波数情報格納部760は、自装置および対向装置の周波数チャネル一覧情報を格納する。周波数情報格納部760に格納されている自装置の周波数チャネル一覧情報の一例を
図4(a)に、対向装置の周波数チャネル一覧情報の一例を
図4(b)に示す。
図4(a)、(b)において、No.1〜No.5の5つの周波数チャネルについて、スロットおよび受信レベルがそれぞれ格納されている。また、現在使用されている自装置および対向装置の周波数チャネルにレ点が付されている。ここで、スロットは、自装置の送信周波数チャネル番号および対向装置の受信周波数チャネル番号の組み合わせである。
【0030】
周波数情報格納部760は、周波数制御部730から周波数チャネル切替結果が入力した時、それに基づいて現在格納している周波数チャネル一覧情報を更新する。また、周波数情報格納部760は、周波数検索機能部740から自装置の周波数チャネル更新情報が入力した時、それに基づいて現在格納している自装置の周波数チャネル一覧情報を更新する。さらに、周波数情報格納部760は、対向通信管理部750から対向装置の周波数チャネル更新情報が入力した時、それに基づいて現在格納している対向装置の周波数チャネル一覧情報を更新する。
【0031】
次に、本実施形態に係る無線装置100において、周波数検索機能部740が周波数情報格納部760に格納されている周波数チャネル一覧情報を定期的に更新する手順について説明する。周波数チャネル一覧情報を定期的に更新する時の無線装置100の動作フローを
図5に示す。
【0032】
図5において、周波数検索機能部740は、定期的に、自装置が設定可能な周波数チャネルを検索し、検索した周波数チャネルの受信レベルを計測する。周波数検索機能部740は、設定可能な全ての周波数チャネルの受信レベルを計測した後、計測結果を自装置の周波数チャネル更新情報として対向通信管理部750および周波数情報格納部760へ出力する(S101)。設定可能な全ての周波数チャネルについて受信レベルを計測することにより、その周波数チャネルにおける干渉の有無を判断する。他の装置がその周波数チャネルを使用していれば受信レベルは高くなり、使用していなければ低くなる。
【0033】
対向通信管理部750は、周波数検索機能部740から自装置の周波数チャネル更新情報が入力した場合、それを対向装置へ送信する(S102)。対向装置においては、周波数チャネル更新情報を受信することにより、周波数情報格納部760’に格納されている対向装置の周波数チャネル一覧情報の情報を更新する。
【0034】
一方、周波数情報格納部760は、周波数検索機能部740から自装置の周波数チャネル更新情報が入力した場合、それに基づいて現在格納している自装置の周波数チャネル一覧情報を更新する(S103)。具体的には、入力された自装置の周波数チャネル更新情報に、現在使用中の周波数チャネル情報を付加し、新たな自装置の周波数チャネル一覧情報として格納する。
【0035】
入力された自装置の周波数チャネル更新情報に、現在使用中の周波数チャネル情報を付加し、新たな自装置の周波数チャネル一覧情報を生成する工程の一例を
図6に示す。
図6において、周波数検索機能部740から「A.自装置の周波数チャネル更新情報」が入力されることにより、周波数情報格納部760に格納されていた「B.自装置の周波数チャネル一覧情報(更新前)」が新たな「C.自装置の周波数チャネル一覧情報(更新後)」へ更新される。
【0036】
一方、対向装置においても、周波数検索機能部740’によって定期的に自装置の周波数チャネル更新情報が生成され、対向通信管理部750、750’間で送受信される。そして、対向通信管理部750は、それを受信した場合、対向装置の周波数チャネル更新情報として周波数情報格納部760へ転送する(S104)。周波数情報格納部760は、対向通信管理部750から対向装置の周波数チャネル更新情報が入力された場合、それに基づいて現在格納している対向装置の周波数チャネル一覧情報を更新する(S105)。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る無線装置100は、自装置および対向装置の周波数検索機能部740、740’がそれぞれ定期的に周波数チャネル更新情報を生成することにより、周波数情報格納部760には常に設定可能な全ての周波数チャネルについての最新の受信レベルが格納される。
【0038】
次に、対向装置との通信中に通信品質の劣化が生じた場合の本実施形態に係る無線装置100の動作手順について説明する。通信品質の劣化が生じた場合の無線装置100の動作フローを
図7に示す。本実施形態において、通信品質管理部710は、無線装置100の運用中にBERを定期的に計測し、計測結果が所定の切替閾値よりも大きいか否か判定する。そして、BERが所定の切替閾値よりも大きい場合、通信品質管理部710は、切替周波数選択部720へアラーム情報を出力する。
【0039】
図7において、切替周波数選択部720は、通信品質管理部710からアラーム情報が入力された場合(S201)、周波数情報格納部760から周波数チャネル一覧情報を取得し(S202、S203)、取得した周波数チャネル一覧情報から自装置および対向装置で共に使用可能な周波数チャネルのペアを抽出して切替先の周波数チャネルとする。本実施形態において、切替周波数選択部720は、自装置の受信レベルと対向装置の受信レベルが共に選択閾値未満となっている共通の周波数チャネルを切替先周波数チャネルとする。選択閾値は、ユーザが所望の値を適宜設定できる。
【0040】
ここで、チャネル候補が複数ある場合、切替周波数選択部720は、より干渉量が少ない、つまり、受信レベルがより小さい周波数チャネルを選択する。さらに、受信レベルが同等である場合は、周波数チャネル順にするなど、あらかじめ決定しておいた選択基準を適用する。本実施形態では、受信レベルが同等である場合は、より上位のスロットを切替先周波数チャネルとして決定する。なお、共通の候補がない場合は、周波数チャネルを切り替えても干渉等により回線品質の向上が望めないため、条件を満たす共通の切替先周波数チャネルが現れるまで切替先周波数チャネル情報を出力しない。
【0041】
例えば、選択閾値が−90dBmであり、周波数情報格納部760から
図6の「C.自装置の周波数チャネル一覧情報(更新後)」を取得した場合、切替周波数選択部720は、スロットNo.2(TX2/RX12)すなわち、(自装置No.2、対向装置No.2)、およびスロットNo.4(TX4/RX14)、すなわち、(自装置No.4、対向装置No.4)を切替先周波数チャネルの候補とする。最も受信レベルが小さい候補が複数あることから、切替周波数選択部720は、より上位のスロット、すなわち、スロットNo.2を切替先周波数チャネルとして決定する。切替周波数選択部720は、決定したスロットの周波数チャネルを周波数チャネル切替先情報として周波数制御部730へ出力する(S204)。
【0042】
周波数制御部730は、切替周波数選択部720から周波数チャネル切替先情報が入力された場合、入力された周波数チャネル切替先情報を対向通信管理部750を介して対向装置へ送信する(S205、S206)。また、周波数制御部730は、入力された周波数チャネル切替先情報に基づいて自装置の周波数チャネルを切り替え、切替結果を対向通信管理部750を介して対向装置へ送信する(S207、S208)。
【0043】
その後、送信した周波数チャネル切替先情報に対応する対向装置の切替結果を、対向通信管理部750を介して対向装置から受信した場合(S209)、自装置と対向装置の切替結果を周波数チャネル切替結果として周波数情報格納部760へ出力する(S210)。
【0044】
周波数情報格納部760は、周波数制御部730から周波数チャネル切替結果が入力した場合、それに基づいて現在格納している周波数チャネル一覧情報を更新する(S211)。
【0045】
ここで、対向装置においては、対向通信管理部750’を介して周波数制御部730’が周波数チャネル切替先情報を受信することにより、周波数制御部730’は、それに基づいて自装置の周波数チャネルを切り替え、自装置の切替結果を対向通信管理部750’を介して返信する。さらに、受信した周波数チャネル切替先情報に対応する対向装置の切替結果が入力した場合、周波数制御部730’は、自装置と対向装置の切替結果を周波数チャネル切替結果として周波数情報格納部760’へ出力する。周波数情報格納部760’は、入力された周波数チャネル切替結果に基づいて現在格納している周波数チャネル一覧情報を更新する。
【0046】
上記の動作により、通信品質が劣化した場合、自装置および対向装置の周波数チャネルが自動的に切り替えられる。
【0047】
ここで、切替周波数選択部720が、周波数チャネル切替先情報に切替時刻の情報を付加することもできる。周波数チャネル切替先情報に切替時刻を付加する事により、自装置と対向装置の周波数チャネル切替タイミングの同期が取れるようになり、周波数チャネルの切替に伴う、無線通信の断時間を最小限に抑制することができる。
【0048】
本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10 無線装置
20 保持手段
30 周波数検索手段
40 切替手段
100 無線装置
200 ベースバンド信号処理部
300 変復調部
400 無線周波数部
500 DUP
600 アンテナ
700 周波数切替制御部
710 通信品質管理部
720 切替周波数選択部
730 周波数制御部
740 周波数検索機能部
750 対向通信管理部
760 周波数情報格納部