【解決手段】各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4の間を直結することにより、直列接続される。直列接続された最後のコンデンサマイクロホンユニットU1を除く1のコンデンサマイクロホンユニットによる音声信号を、隣接する後段のコンデンサマイクロホンユニットに伝達すると共に、直列接続された最初のコンデンサマイクロホンユニットU1および最後のコンデンサマイクロホンユニットU4には、能動素子(アクティブエレメント)を用いた第1および第2インピーダンス変換器3a,3bがそれぞれ接続される。第1および第2インピーダンス変換器の各出力端子3a,3bより、前記各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4による加算された音声信号が平衡出力される。
固定極に対峙して振動板が配置された複数のコンデンサマイクロホンユニットが具備され、各コンデンサマイクロホンユニットの前記固定極と振動板が直列に接続されることで、前記各コンデンサマイクロホンユニットによる音声信号が、同相で加算されて出力されるコンデンサマイクロホンであって、
直列接続された各コンデンサマイクロホンユニット間を直結して接続することで、最後のコンデンサマイクロホンユニットを除く1のコンデンサマイクロホンユニットによる音声信号を、隣接する後段のコンデンサマイクロホンユニットに伝達すると共に、直列接続された最初のコンデンサマイクロホンユニットおよび最後のコンデンサマイクロホンユニットには、能動素子(アクティブエレメント)を用いた第1および第2インピーダンス変換器がそれぞれ接続され、前記第1および第2インピーダンス変換器の各出力端子より、前記各コンデンサマイクロホンユニットによる加算された音声信号を平衡出力することを特徴とするコンデンサマイクロホン。
前記各コンデンサマイクロホンユニットは、前記固定極もしくは振動板のいずれか一方に、エレクトレット誘電体膜を備えたエレクトレット型コンデンサマイクロホンユニットであることを特徴とする請求項1に記載されたコンデンサマイクロホン。
【背景技術】
【0002】
コンデンサマイクロホンは、対向する振動板と固定極との間の静電容量の変化に基づいて音声信号が生成される。
この場合、固定極に対峙して振動板が配置されてなるコンデンサマイクロホンユニットは、その静電容量が数十pF前後であり、出力インピーダンスが極めて高いために、例えばFET(電界効果トランジスタ)などによるインピーダンス変換器を用いて音声信号が取り出される。
【0003】
前記したコンデンサマイクロホンとしての出力感度を向上させる手段については、従来から種々の提案がなされているが、複数のコンデンサマイクロホンユニットを用いてこれを直列に接続することで、出力感度を向上させたコンデンサマイクロホンについて、本件出願人がすでに提案をしており、これは特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5201598号公報
【0005】
図5は、特許文献1に開示されたコンデンサマイクロホンの構成をブロック図で示したものである。
この
図5に示す構成は、第1〜第4のコンデンサマイクロホンユニットU1〜U4が備えられ、これらのコンデンサマイクロホンユニットU1〜U4は、いずれも固定極もしくは振動板の一方に、エレクトレット誘電体膜を備えたエレクトレット型コンデンサマイクロホンユニットを構成している。
【0006】
そして、
図5に示すコンデンサマイクロホンは、第1と第2のコンデンサマイクロホンユニットU1,U2による音声信号がそれぞれ同位相で直列に加わるように構成され、また第3と第4のコンデンサマイクロホンユニットU3,U4による音声信号もそれぞれ同位相で直列に加わるように構成されている。
【0007】
すなわち、第1のコンデンサマイクロホンユニットU1における振動板1aは回路の基準電位点となるグランドラインに接続され、振動板1aに対峙する固定極2aは第1のインピーダンス変換器3aに接続されている。これによりインピーダンス変換器3aによって、コンデンサマイクロホンユニットU1における振動板1aと固定極2aとの間の静電容量の変化に基づく音声信号が生成される。
【0008】
第1のインピーダンス変換器3aによって生成される第1のコンデンサマイクロホンユニットU1による音声信号は、第2のコンデンサマイクロホンユニットU2を構成する振動板1bに供給される。この振動板1bに対峙する固定極2bは第2のインピーダンス変換器3bに接続されて、第2のインピーダンス変換器3bによってコンデンサマイクロホンユニットU2における振動板1bと固定極2bとの間の静電容量の変化に基づく音声信号が生成される。
【0009】
この場合、第2のコンデンサマイクロホンユニットU2は、第1のコンデンサマイクロホンユニットU1による音声信号が、その振動板1bに印加されるので、結果として第2のインピーダンス変換器3bの出力端子Out(+)には、第1と第2のコンデンサマイクロホンユニットU1,U2による音声信号がそれぞれ同位相で加算された状態で出力される。
これにより、コンデンサマイクロホンとしての出力感度を倍増させることができる。
【0010】
一方、第3と第4のコンデンサマイクロホンユニットU3,U4においても、第3のインピーダンス変換器3c、第4のインピーダンス変換器3dを備え、第3と第4のコンデンサマイクロホンユニットU3,U4による音声信号を同位相で加算するように動作し、この点においては前記した第1と第2のコンデンサマイクロホンユニットU1,U2を含む動作と同様である。
ただし、第3のコンデンサマイクロホンユニットU3は、固定極2cがグランドラインに接続され、振動板1cが第3のインピーダンス変換器3cに接続されている。また第3のインピーダンス変換器3cの出力は、第4のコンデンサマイクロホンユニットU4の固定極2dに供給され、その振動板1dは第4のインピーダンス変換器3dに接続されている。
【0011】
したがって、前記第2のインピーダンス変換器3bの出力端子Out(+)と、第4のインピーダンス変換器3dの出力端子Out(−)には、互いに逆位相の音声信号が平衡出力されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、特許文献1に開示されたコンデンサマイクロホンにおいては、前記したとおり直列接続される各コンデンサマイクロホンユニットに対応して、それぞれにインピーダンス変換器を備えることになる。
このインピーダンス変換器には、FETなどの能動素子が用いられており、したがってそれぞれに能動素子を駆動する回路構成を必要とし、さらにそれぞれの能動素子に対して動作電源(直流電源Vcc)を供給する構成が必要である。したがって、コンデンサマイクロホン全体の回路構成が繁雑になり、コストの高騰は免れないものとなる。
【0013】
また前記動作電源は、周知のファントム電源や電池などの限られた電源を利用するものとなり、FETなどの能動素子を利用したインピーダンス変換器を複数用いる場合には、それぞれに駆動電流を要することになる。したがって例えばファントム電源を用いた場合であっても、インピーダンス変換器に供給される動作電源の電圧のドロップ量が大きく、このためにコンデンサマイクロホンの最大出力レベルも制限を受けて、ダイナミックレンジを大きくすることが困難になるなどの課題も抱えることになる。
【0014】
さらに、平衡となる正負の音声信号を得るためには、コンデンサマイクロホンユニットを正相側と逆相側の二系統に分割する必要があり、正相側と逆相側で同じ数のコンデンサマイクロホンユニットが必要となる。加えてコンデンサマイクロホンユニットが正相側と逆相側に二系統に分かれているために、複数段のインピーダンス変換器を含むそれぞれの信号伝送路の総合感度にずれが生じた場合には、正相側と逆相側のレベルがアンバランスになされたまま出力され、音声信号の品質の低下は免れない。
【0015】
この発明は、従来のコンデンサマイクロホンの前記した問題点に着目してなされたものであり、各コンデンサマイクロホンユニット毎に備える能動素子によるインピーダンス変換器を削減して構成を簡素化させると共に、平衡出力となる正負の音声信号を、二系統の信号伝送路に分割することなく取り出すことが可能なコンデンサマイクロホンを提供することを課題とするものである。
【0016】
この場合、直列接続される各コンデンサマイクロホンユニット間を直結して接続することで、前段のコンデンサマイクロホンユニットによる音声信号を、後段のコンデンサマイクロホンユニットによる音声信号に加算して伝達することが可能であることを検証しており、この検証結果に基づいて、全体の回路構成を簡素化させたコンデンサマイクロホンを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るコンデンサマイクロホンは、固定極に対峙して振動板が配置された複数のコンデンサマイクロホンユニットが具備され、各コンデンサマイクロホンユニットの前記固定極と振動板が直列に接続されることで、前記各コンデンサマイクロホンユニットによる音声信号が、同相で加算されて出力されるコンデンサマイクロホンであって、直列接続された各コンデンサマイクロホンユニット間を直結して接続することで、最後のコンデンサマイクロホンユニットを除く1のコンデンサマイクロホンユニットによる音声信号を、隣接する後段のコンデンサマイクロホンユニットに伝達すると共に、直列接続された最初のコンデンサマイクロホンユニットおよび最後のコンデンサマイクロホンユニットには、能動素子(アクティブエレメント)を用いた第1および第2インピーダンス変換器がそれぞれ接続され、前記第1および第2インピーダンス変換器の各出力端子より、前記各コンデンサマイクロホンユニットによる加算された音声信号を平衡出力することを特徴とする。
【0018】
この場合、好ましくは前記各コンデンサマイクロホンユニットは、前記固定極もしくは振動板のいずれか一方に、エレクトレット誘電体膜を備えたエレクトレット型コンデンサマイクロホンユニットが用いられる。
【0019】
また、前記複数のコンデンサマイクロホンユニットは、奇数個備えることで構成することもできる。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係る前記したコンデンサマイクロホンによると、直列接続された最初のコンデンサマイクロホンユニットおよび最後のコンデンサマイクロホンユニットに接続される第1と第2のインピーダンス変換器を除いて、他のコンデンサマイクロホンユニットの間は直結されることで、それぞれのコンデンサマイクロホンユニットによる音声信号が同相で順次加算される。
【0021】
そして、直列接続された各コンデンサマイクロホンユニットによる加算された音声信号は、前記第1および第2のインピーダンス変換器によって、互いに逆相の音声信号として平衡出力される。したがって、各コンデンサマイクロホンユニット毎に能動素子によるインピーダンス変換器を備える従来のコンデンサマイクロホンに比較して、全体の回路構成を簡素化させたコンデンサマイクロホンを提供することができる。
【0022】
さらに、複数のコンデンサマイクロホンユニットによる加算された音声信号は、前記第1および第2のインピーダンス変換器によって、コンデンサマイクロホンユニットの直後において平衡出力されるので、前記インピーダンス変換器を含む後段の回路において、たとえ外来ノイズが重畳しても、前記平衡出力から音声信号を得る際に、外来ノイズ成分を効果的に相殺(キャンセル)することができる。したがって、コンデンサマイクロホンのS/Nの向上に貢献することができる。
【0023】
そして、直列接続された最初のコンデンサマイクロホンユニットおよび最後のコンデンサマイクロホンユニットに接続される第1と第2のインピーダンス変換器より、それぞれ平衡となる正負の音声信号を引き出すように構成されるので、前記した従来例で示すように平衡となる正負の音声信号を得るために、二系統に分割した直列接続経路を備える必要はなく、奇数個を含む任意の数のコンデンサマイクロホンユニットを備えたコンデンサマイクロホンを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明に係るコンデンサマイクロホンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
なお、以下に説明する各実施の形態においては、同一部分もしくは同一の機能を果たす部分を同一符号で示しており、したがってその詳細な説明は適宜省略する。
【0026】
図1は、第1の実施の形態をブロック図により示したものであり、この実施の形態においては、第1〜第4のコンデンサマイクロホンユニットを直列接続して、第1と第4のコンデンサマイクロホンユニットから、互いに逆相の正負の音声信号を平衡出力させる例を示している。
【0027】
そして、
図1に示す第1〜第4のコンデンサマイクロホンユニットU1〜U4の各振動板1a〜1dは互いに同一平面上に配置されている。
また
図1に示す実施の形態においては、第1〜第4のコンデンサマイクロホンユニットU1〜U4は、いずれも固定極2a〜2dにおける振動板に対峙する面には、エレクトレット誘電体膜4a〜4dが備えられたバックエレクトレット方式が採用されている。
なお前記エレクトレット誘電体膜を、振動板側に備えた膜エレクトレット方式を用いた場合においても、以下に説明する作用効果は同一である。
【0028】
図1に示すように、第1のコンデンサマイクロホンユニットU1の振動板1aは、第2のコンデンサマイクロホンユニットU2の固定極2bに接続され、第2のコンデンサマイクロホンユニットU2の振動板1bは、第3のコンデンサマイクロホンユニットU3の固定極2cに接続されている。さらに第3のコンデンサマイクロホンユニットU3の振動板1cは、第4のコンデンサマイクロホンユニットU4の固定極2dに接続されている。
【0029】
すなわち、第1〜第4のコンデンサマイクロホンユニットU1〜U4は、第1のコンデンサマイクロホンユニットU1における固定極2aと、第4のコンデンサマイクロホンユニットU4における振動板1dの間で、各コンデンサマイクロホンユニットの固定極と振動板が直列に直結された状態で接続されており、これにより各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4による音声信号が、同相で加算されるように作用する。
【0030】
前記したように、直列接続される各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4の間には、格別にインピーダンス変換器を備えなくても、各コンデンサマイクロホンユニットによる音声信号が、それぞれ同位相で直列に加わった状態で抽出されることを発明者によって検証されている。
【0031】
これは、各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4におけるそれぞれの振動板と固定極との間は、それぞれ音声波に応じて端子間電圧が変化するコンデンサ素子として考えることができる。そして、各コンデンサ素子が直列接続された場合と等価の作用により、各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4による音声信号が同位相で加算された状態で出力されるものと考えることができる。
【0032】
前記各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4による音声信号の加算出力は、直列接続された最初のコンデンサマイクロホンユニットU1の固定極2aと、直列接続された最後のコンデンサマイクロホンユニットU4の振動板1dとの間にもたらされる。
この場合、最初のコンデンサマイクロホンユニットU1の固定極2aと、最後のコンデンサマイクロホンユニットU4の振動板1dには、互いに逆相となる電圧値が発生する。
【0033】
すなわち、音声波を受けて各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4の振動板が共に同一方向に移動した時に、音声波に基づいて変動する各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4による端子間電圧が直列に加算される。
そして、直列接続された最初のコンデンサマイクロホンユニットU1の固定極2aと、直列接続された最後のコンデンサマイクロホンユニットU4の振動板1dのそれぞれに、高い値の入力インピーダンスを有する第1のインピーダンス変換回路3aおよび第2のインピーダンス変換回路3bがそれぞれ接続されることで、互いに逆相(正負)の電圧信号が、音声信号としてもたらされる。
【0034】
したがって、前記した
図1に示す構成によると、第1のインピーダンス変換回路3aの出力端子Out(+)と、第2のインピーダンス変換回路3bの出力端子Out(−)には、前記した各コンデンサマイクロホンユニットU1〜U4による加算された音声信号が平衡出力されることになる。
【0035】
図2は、
図1に示した第1の実施の形態の具体例を示した回路結線図であり、
図2は特に第1と第2のインピーダンス変換器3a,3bの具体的な一例を示している。
第1のインピーダンス変換器3aには、符号Q1aで示す能動素子として機能するnチャンネル型FETが搭載されており、このFETQ1aのゲート電極には第1コンデンサマイクロホンユニットU1の固定極2aが接続されている。
そして、直流電源VccとグランドラインGNDとの間には電圧分割抵抗R1a,R2aが接続され、これらの接続点と前記ゲート電極との間にはバイアス抵抗R3aが接続され、前記ゲート電極に対して所定のバイアス電圧が供給されるように構成されている。
【0036】
また前記FETQ1aのドレイン電極には直流電源Vccが供給され、FETQ1aのソース電極とグランドラインGNDとの間には抵抗素子(ソースフォロアー抵抗)R4aが接続されて、ソース電極が正相の出力端子Out(+)になされている。すなわち
図2に示すインピーダンス変換器3aは、周知のソースフォロアー回路を構成している。
また、第2のインピーダンス変換器3bは、前記した第1のインピーダンス変換器3aと同一の回路構成にされており、第1のインピーダンス変換器3aにおける各回路素子の末尾の符号“a”を“b”に代えて示しており、その詳細な説明は省略する。
【0037】
前記した第1のインピーダンス変換器3aの正相の出力端子Out(+)、および第2のインピーダンス変換器3bの逆相の出力端子Out(−)から平衡出力される正負の音声信号は、図に示していないが、ミキサー回路などの外部機器に搭載された周知のファントム給電装置からの動作電流を受けるバッファ回路などに供給され、前記バッファ回路に接続される平衡シールドケーブルを介して、外部機器に供給されるように構成される。
【0038】
なお、
図2に示したインピーダンス変換器3a,3bの構成は、
図3および
図4において説明するインピーダンス変換器3a,3bとして採用することができる。
【0039】
図3は、第2の実施の形態をブロック図で示したものであり、これは3つのコンデンサマイクロホンユニットU1〜U3を直列に接続した例を示しており、これらのコンデンサマイクロホンユニットU1〜U3におけるそれぞれの振動板1a〜1cは、同一平面上に配置される。
【0040】
すでに説明した
図1に示す構成が、4つのコンデンサマイクロホンユニットU1〜U4を直列に接続した例であるのに対して、この
図3に示す構成は第4のコンデンサマイクロホンユニットが削除されている。
そして、第1のコンデンサマイクロホンユニットU1の固定極2aに、第1のインピーダンス変換器3aが接続されると共に、第3のコンデンサマイクロホンユニットU3の振動板1cに、第2のインピーダンス変換器3bが接続されている。
【0041】
前記した構成によると、第1のコンデンサマイクロホンユニットU1における固定極2aと、第3のコンデンサマイクロホンユニットU3における振動板1cの間で、第1〜第3のコンデンサマイクロホンユニットU1〜U3による音声信号が、同相で加算されるように作用する。
そして、第1のインピーダンス変換回路3aの出力端子Out(+)と、第2のインピーダンス変換回路3bの出力端子Out(−)には、第1〜第3のコンデンサマイクロホンユニットU1〜U3による加算された正負の音声信号が平衡出力される。
【0042】
この発明に係るコンデンサマイクロホンによると、奇数個のコンデンサマイクロホンユニットU1〜U3を用いて、これらの加算出力を正負の音声信号として平衡出力することができる。
すなわち、冒頭において説明したとおり、複数のコンデンサマイクロホンユニットを用いて感度を向上させると共に、正負の音声信号を平衡出力させるこの種のコンデンサマイクロホンにおいては、同じ数のコンデンサマイクロホンユニットを正相側と逆相側の二系統に分割する必要がある。
しかしながら、この発明を利用することで、前記した制約を無くすことができ、しかも平衡出力される正負の音声信号レベルを同一にすることができる。
【0043】
図4は、第3の実施の形態をブロック図で示したものであり、これは2つのコンデンサマイクロホンユニットU1,U2を直列に接続して、正負の音声信号を平衡出力させる例を示している。そして、すでに説明した実施の形態と同様に、2つのコンデンサマイクロホンユニットU1,U2におけるそれぞれの振動板1a,1bは、同一平面上に配置される。
【0044】
図4に示すように、第1のコンデンサマイクロホンユニットU1の振動板1aと、第2のコンデンサマイクロホンユニットU2の固定極2bが直結されている。そして、第1のコンデンサマイクロホンユニットU1の固定極2aに、第1のインピーダンス変換器3aが接続されると共に、第2のコンデンサマイクロホンユニットU2の振動板1bに、第2のインピーダンス変換器3bが接続されている。
【0045】
この構成により、第1のインピーダンス変換回路3aの出力端子Out(+)と、第2のインピーダンス変換回路3bの出力端子Out(−)には、第1と第2のコンデンサマイクロホンユニットU1,U2による加算された正負の音声信号が平衡出力される。
【0046】
図4に示すコンデンサマイクロホンによると、2つのコンデンサマイクロホンユニットU1,U2を用いるのみで、4つのコンデンサマイクロホンユニットを備えた
図5に示した従来の平衡出力型コンデンサマイクロホンと同等の出力を有するコンデンサマイクロホンを実現することができる。
しかも、
図4に示すこの発明に係るコンデンサマイクロホンによると、平衡出力される正負の音声信号レベルを同一にすることが可能であり、この点において
図5に示した従来のコンデンサマイクロホンにおいては期待することができない独自の作用効果を発揮することができる。
【0047】
以上の説明で明らかなとおり、この発明に係るコンデンサマイクロホンによると、第1と第2のインピーダンス変換器を除いて、各コンデンサマイクロホンマユニット間に備える能動素子を含むインピーダンス変換器を削減して構成を簡素化させることができる。
しかも、平衡となる正負の音声信号を二系統の信号伝送路に分割することなく取り出すことが可能であるなど、前記した発明の効果の欄に記載したとおりの作用効果を得ることができる。