特開2015-216720(P2015-216720A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-216720(P2015-216720A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】スイッチング装置の起動シーケンス
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20151106BHJP
【FI】
   H02M3/28 W
   H02M3/28 Q
   H02M3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-96641(P2014-96641)
(22)【出願日】2014年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】足利 亨
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA01
5H730AA20
5H730AS13
5H730BB61
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE03
5H730EE07
5H730FG05
5H730VV01
5H730XC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のLLCコンバータの起動シーケンスを設定して、電源起動時の負荷装置に流れるピーク電流を抑制する。
【解決手段】LLCコンバータAは、ハイサイドスイッチ(Q1)とローサイドスイッチ(Q2)の直列接続回路と、ローサイドスイッチ(Q2)の両端子間にトランスT1の1次巻線P1と共振コンデンサCri1の直列接続回路と、ハイサイドスイッチ(Q1)を駆動するためのハイサイドドライバー(Z1)、ブートストラップ回路(D1,R1,C1)を備える。LLCコンバータBも同様の回路を備え、LLCコンバータの制御回路(Z2)が双方のコンバータに共用されている。ここで、LLCコンバータBのブートストラップ回路(D2,R2,C2)の時定数は、LLCコンバータAの時定数と異なる小さい値に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧とグランドとの間に、直列接続されたハイサイドスイッチとローサイドスイッチからなるブリッジ回路を接続し、
前記ハイサイドスイッチを駆動するためのブートストラップ回路を備えた前記ブリッジ回路を少なくとも2以上有するスイッチング装置において、
前記複数のブートストラップ回路の抵抗とコンデンサの時定数が異なる値に設定されていることを特徴とするスイッチング装置。
【請求項2】
前記ブートストラップ回路の時定数は、前記ブリッジ回路毎の起動開始が重ならない値であることを特徴とする請求項1項記載のスイッチング装置。
【請求項3】
前記ブートストラップ回路は低電圧保護機能を備えたことを特徴とする請求項1項乃至2項記載のスイッチング装置。
【請求項4】
前記数台の並列接続されたスイッチング装置はインターリーブ方式のLLCコンバータであることを特徴とする請求項1項乃至3項記載のスイッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源の両端を、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチとの直列回路に接続し、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチが交互にオン・オフするブリッジ回路を用いた装置において、特に複数のブリッジ回路を用いたスイッチング装置の起動シーケンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブリッジ回路を用いた装置の一例として、図10は、スイッチング電源のLLCコンバータの基本回路図である。この基本回路図は図11に示すようにスイッチング素子Q1とQ2を交互にオン、オフさせて共振回路(コンデンサCri1、トランスT1の1次巻線P1及び1次巻線P1の励磁インダクタンスと図示しないリーケージインダクタンス)とトランスT1を介して2次側に電力を伝達するコンバータである。Q1、Q2を駆動するオン・オフ時には、厳密にはデッドタイムを設けるが、デッドタイムの比率は小さいので、それぞれのデューティーは約50%でオン・オフさせている。
図10の例ではスイッチング素子としてMOSFETを用いている(以下、スイッチング素子はMOSFETとして説明する)。また、出力電圧Voutの電圧制御は、周波数を変化させて制御を行う。この制御は、軽負荷時には周波数を上げることにより2次側に伝達する電力を減らすことができ、負荷が重くなると周波数を下げることにより2次側に伝達する電力を増やすことができる。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−21758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LLCコンバータは、起動時に周波数を高い周波数から低い周波数に移行することによってソフトスタートをかけることができるが、LLCコンバータは、その回路構成および素子特性などから、起動時の出力電圧の立ち上がり時間を自由にコントロールすること、すなわち自由にソフトスタートをかけることが困難である。以下にそれを説明する。
【0005】
一般的に、LLCコンバータは周波数の高い状態で起動することによって2次側に伝達する電力を絞った状態で起動させる。
ここで、トランスにはリーケージインダクタンスが存在する。このため、図12に示すように、トランスT1を理想トランスとリーケージインダクタンスとに分けて考えることができる。
この場合、理想トランスの2次巻線出力(図12のAおよびB)は、巻数比(P1:S1またはP1:S2)で決まる電圧がクロック状で出力される。その電圧が、リーケージインダクタンスLr1、Lr2とコンデンサCoの容量で構成されるLCローパスフィルタを通って出力される。
【0006】
ここで、図13にリーケージインダクタンス(Lr1、Lr2)が小さい場合のVout電圧波形を示す。また、図14にリーケージインダクタンス(Lr1、Lr2)が大きい場合のVout電圧波形を示す。
リーケージインダクタンス(Lr1、Lr2)を大きくできれば出力電圧の立ち上がり時間を長くできるが、一般的にLLCコンバータの設計ではリーケージインダクタンスはさまざまな設計要因により決定されるため自由に大きくはできないことが多い。特にLLCコンバータの電力変換効率を上げたい場合には、リーケージインダクタンスを小さく設計しなければならないことも多く、その場合は出力電圧の立ち上がり時間が短くなってしまう。
【0007】
また、LLCコンバータの出力電圧Voutの立ち上がり時間が短い場合の不具合のケースを図15に示す。
図15に示すように、ヒューズF1とコンデンサCLを備えた負荷Loadが接続されている。出力電圧Voutの立ち上がりが急峻な場合には、図16(a)に示すように負荷のコンデンサ成分CLの充電のために負荷電流Ioutは大きなピーク値をもった電流となる。これによりLLCコンバータ側の配線パターンや部品にも負担がかかることに加えて、負荷側の部品や配線パターンにも負担がかかる。たとえば、図15のヒューズF1に大きなピーク値をもった電流が流れるので、起動時にヒューズF1が切れてしまうなどの不具合も考えられる。対策としてヒューズの溶断耐量を大きくしなければならないなど、信頼性、コスト面で不利になる。
また、大きな電流が流れることから、配線パターンでの電圧ドロップによる負荷側の起動電圧の低下や負荷へのノイズの影響が問題になることも考えられる。
このため、図16(b)に示すように、出力電圧の立ち上がりを緩やかにしたい。
特に、大きな電力を消費するシステムでは、1つのコンバータでは部品の発熱や大きさ等の限界があるので、二つ以上のコンバータを並列に接続する方式が採用される場合が多い。図5に、上述したLLCコンバータの並列接続図の一例として示す。
しかし、複数台を接続した並列運転の電源ということは、起動時の電流供給能力も複数倍に大きくなり、起動時のピーク電流問題等もより顕著になる。すなわち、出力電力が大きくなるほど、起動時の出力電圧を細かに制御させるか、或いは複数のコンバータの起動シーケンスを行うことで、起動時の電流供給能力を個々の起動時間をずらして分散させる必要が出てくる。
【0008】
上記問題に鑑み、本発明は、複数台の並列接続されたブリッジ回路を備えるコンバータ(スイッチング装置)の起動において、起動シーケンスを簡単な構成で設定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るスイッチング装置は、電源電圧とグランドとの間に、直列接続されたハイサイドスイッチとローサイドスイッチからなるブリッジ回路を接続し、前記ハイサイドスイッチを駆動するためのブートストラップ回路を備えた前記ブリッジ回路を少なくとも2以上有するスイッチング装置において、前記複数のブートストラップ回路の抵抗とコンデンサの時定数が異なる値に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、ブリッジ回路を備える複数のコンバータのブートストラップ回路の時定数を各々異なる値にすることで、新たな回路を設けることなく、起動シーケンスを簡単に設定することが可能になる。一例として、LLCコンバータの並列運転を行った場合、起動時の負荷装置へ流れる電流を時系列で分散することができるので、負荷装置に流れる電流のピーク値を抑制することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係るインターリーブ方式のLLCコンバータの構成図である。
図2図2は、図1の実施形態1のMOSFET Q1,Q2、Q3、Q4のゲート信号波形である。
図3図3は、従来技術及び実施形態1に係るMOSFET Q1,Q2、Q3、Q4のゲート信号波形を示す。
図4図4は、実施形態1に係る起動時の出力電圧、出力電流の波形を示す。
図5図5は、実施形態1の応用例に係るLLCコンバータの構成図を示す。
図6図6は、実施形態1の応用例に係るPWM方式DC−DCコンバータの構成図を示す。
図7図7は、図6のMOSFET Q1〜Q8のゲート信号波形である。
図8図8は、実施形態2に係る三相モーター用インバータ装置の構成図を示す。
図9図9は、図8のMOSFET Q1〜Q12のゲート信号波形である。
図10図10は、従来のLLCコンバータの構成図である。
図11図11は、従来のLLCコンバータのMOSFET Q1,Q2の駆動波形である。
図12図12は、トランスT1のリーケージインダクタンスを示した説明図である。
図13図13は、リーケージインダクタンスが小さい場合に係る出力電圧立ち上り特性を示した図である。
図14図14は、リーケージインダクタンスが大きい場合に係る出力電圧立ち上り特性を示した図である。
図15図15は、従来のLLCコンバータに負荷装置が接続された場合の構成図である。
図16図16は、図15の出力電圧波形と出力電流波形の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
実施形態1の事例として、スイッチング装置としてスイッチング電源装置をもとに説明する。
スイッチング電源装置の出力電力の大きなシステムの場合、前述したように図5に示す個々のLLCコンバータを2台以上並列接続して使用する場合が多い。または、図1のように2台のLLCコンバータをインターリーブ接続して使用する場合もある。ここで、図1は、実施形態1に係るインターリーブ方式のLLCコンバータの構成図である。
図1は2台並列接続のインターリーブ方式の回路構成図を示したものであるが、3台の並列以上の構成も可能である。
図1に示すように、LLCコンバータA及びBが入力電源Eに並列接続され、LLCコンバータA及びBの2次側整流ダイオードD3〜D6のカソードが出力端子の正極に接続され、トランスT1、T2の2次巻線のセンタータップは出力端子の負極に接続されている。また、平滑コンデンサCoは出力端子間に接続されており、LLCコンバータA及びBの平滑コンデンサとして共用されている。
LLC制御回路Z3は、LLCコンバータA及びBのハイサイドドライバーZ1、Z2に接続され、各コンバータのハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチQ1〜Q4のゲート信号を送出している。図2に示すように、各LLCコンバータのハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチのゲート信号は相補的なオン・オフ信号とし、かつ、点線で示されているように各LLCコンバータ間のスイッチングの位相はずらされている。
各LLCコンバータ間のスイッチングの位相をずらすことにより、大きな出力電力が得ながら出力電流のリプル成分を抑えることができる、スイッチングのタイミングが同期しないのでノイズが分散されて小さくなるなどのさまざまなメリットがある。
図示しないが、3台以上の並列接続によるインターリーブ構成は、図1と同じ構成で、LLC制御回路が3台以上の並列接続される各LLCコンバータのハイサイドドライバーに接続される。ここで、共有されるLLC制御回路の動作は、並列接続される台数分の位相差を持ったゲート信号を各LLCコンバータへ送出する。
本発明である実施形態1は、LLCコンバータの並列接続方式、あるいはLLCコンバータのインターリーブ方式において、起動時に起動のタイミングを同時立ち上げではなく、コンバータ毎に順次起動させることによって出力電圧の立ち上がる時間を制御し、負荷装置側に流れる電流のピーク値を平均化して抑制するものである。
【0013】
LLCコンバータには、ハイサイドドライバZ1、Z2が使用され、ハイサイド側の駆動電源として、ブートストラップ回路を用いることが多い。ブートストラップ回路とは、ハイサイドスイッチQ1、Q3の駆動電源電圧を得るためのものである。
図1のLLCコンバータAの制御電源Vcc1、抵抗R1、ダイオードD1、コンデンサC1の組み合わせ、またはLLCコンバータBの制御電源VCC2、抵抗R2、ダイオードD2、コンデンサC2の組み合わせをブートストラップ回路と呼んでいる。前者の組み合わせで説明すると、ローサイドスイッチQ2がオンした状態で制御電源Vcc1から抵抗R1、ダイオードD1を介してコンデンサC1が充電される。ローサイドスイッチQ2がオフしてハイサイドスイッチQ1をオンさせるときに、コンデンサC1に充電された電圧を用いてハイサイドスイッチQ1をオンさせるものである。つまり、コンデンサC1の電圧値がハイサイドスイッチQ1のゲート駆動電圧値になる。
【0014】
通常、ブートストラップ回路の抵抗R1、R2とコンデンサC1、C2には同じ値を用いる。つまり、R1=R2、C1=C2に設定する。
図3(a)に前述の従来の条件での各LLCコンバータのゲート信号波形を示す。ゲート信号電圧がハイサイドスイッチQ1、Q2、及びローサイドスイッチQ3、Q4のゲート閾値を超えた時点からスイッチングが開始される。ハイサイドスイッチQ1、Q2、及びローサイドスイッチQ3、Q4の各ゲート閾値のばらつきはあるにせよ、ほぼ同時にスイッチングが開始される。すなわち、図1のLLCコンバータA、LLCコンバータBは、ほぼ同時に電力供給を開始する。
次に、図3(b)に示すゲート信号波形は、本発明の実施形態を示す。ブートストラップ回路の抵抗R1、R2とコンデンサC1、C2の関係をC1>C2、あるいはR1>R2、あるいはC1>C2かつR1>R2、に設定する。
この場合のハイサイドスイッチQ1のゲート信号は、コンデンサC1の充電に時間がかかるため、ハイサイドスイッチQ1のゲート信号電圧も緩やかに上昇する。そして、ハイサイドスイッチQ1のゲート信号電圧が閾値以上になった時点taでハイサイドスイッチQ1のスイッチングが開始される。それまでの間はローサイドスイッチQ2のみスイッチングすることになるが、ハイサイドスイッチQ1がスイッチングしていないのでLLCコンバータAは電力を送出しない状態にある。
これに対して、ハイサイドスイッチQ3のゲート信号は、コンデンサC2の充電にコンデンサC1ほど時間はかからないため、ハイサイドスイッチQ3のゲート信号電圧は早い段階で上昇する。そして、ハイサイドスイッチQ3のゲート信号電圧が閾値以上になった時点tbでハイサイドスイッチQ3のスイッチングが開始され、LLCコンバータBは電力を送出する。
このようにしてLLCコンバータAとLLCコンバータBの起動開始時間の時間差を得ることができる。起動開始時間の時間差はコンデンサC1とC2の比、あるいは抵抗R1とR2の比、あるいはその両方の定数で自由に設定できる。
また、ハイサイドドライバZ1、Z2にハイサイド側の駆動電圧の低電圧保護機能が備えられている場合のハイサイドスイッチQ1、Q3、及びローサイドスイッチQ2、Q4のゲート信号波形を図3(c)に示す。ハイサイドスイッチQ1、Q3のゲート信号波形は、ゲート閾値を越える条件より発生する。ブートストラップ回路の抵抗R1、R2とコンデンサC1、C2の関係は、図3(b)と同条件であるが、ゲート閾値を超えるまでの時間分だけ遅延していることが分かる。
ハイサイドスイッチQ1、Q3のスイッチングをハイサイド側の駆動電圧が低電圧状態時にスイッチングさせないため、起動時のスイッチング損失を低減でき、信頼性の面からも好ましい。
【0015】
次に、図4に本実施形態の出力電圧Vout、出力電流Ioutの波形を示す。図4に示すように、起動時、2つのLLCコンバータが2回に分けて電力を供給するので、LLCコンバータ全体として出力電圧の立ち上り時間を延長することができ、その結果として出力電流のピーク値も減らせることが可能になる。
【0016】
以上、本発明の実施形態によれば、各LLCコンバータのブリッジ回路のブートストラップ回路の時定数だけを変えることで、ブートストラップ回路の時定数が大きいコンバータほど起動時間が遅延するシーケンスとなる。従って、出力電圧の立ち上り時間を容易に制御することが可能になる。これにより、起動時に負荷装置へ流れる電流のピーク値を抑制できるという利点を得られる。
【0017】
(実施形態1の応用例)
実施形態1では、ハーフブリッジ構成のLLCコンバータを例にして説明したが、実施形態1の応用例としてフルブリッジ構成のスイッチング電源装置でも同様に行える。
図6にフルブリッジ構成のPWM方式DC−DCコンバータの並列接続回路図を示す。図6において、コンバータC部のブートストラップ回路の時定数とコンバータD部のブートストラップ回路の時定数は異なる値に設定されている。ここでは、コンバータC部の抵抗R11、R12とコンバータD部の抵抗R21、R22の関係を(R11=R12)>(R21=R22)とする。また、コンバータC部のコンデンサC11、C12とコンバータD部のコンデンサC21,C22の容量の関係を(C11=C12)>(C21=C22)に設定したとする。従って、コンバータC部内またはコンバータD部内のブートストラップ回路の時定数は同じ設定値とする。
図7図6のハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチQ1〜Q8のゲート信号波形を示す。実施形態1の図3(b)または(c)に示したゲート信号波形のように、本実施形態の応用例においても、上述したブートストラップ回路の時定数を設定することにより、コンバータCの起動時間をコンバータDよりも遅れて起動させることができる。
【0018】
(実施形態2)
実施形態2では、スイッチング装置として三相モーターを負荷とするインバータ装置の一例をあげる。図8に三相モーターを負荷とするインバータ装置の構成図を示す。
三相モーターを起動する時に大きな励磁電流が流れるため、複数のモーターを起動するにはシーケンスを持たせて順次起動させる必要がある。三相モーターを駆動・制御するインバータ装置の制御回路間でシーケンスを構築させる方法があるが、シーケンスをやり取りするための回路及び配線が増設となる。これに対して本発明では、図8に示すようにインバータE及びインバータFのブートストラップ回路の時定数を各々設定することにより、インバータEのハイサイドスイッチの起動時間をコンバータFよりも遅らせて起動させることができる。
このように本実施形態2においても、インバータEとインバータFとの起動シーケンスを設定することができ、起動時の励磁電流を簡単に分散させることができる。
【0019】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための例示であって、個々の構成、組合せ等を上記のものに特定するものではない。本発明は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように、本発明に係るスイッチング装置は、起動時に負荷装置へ流れる電流のピーク値を抑制でき、大容量電源に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0021】
C1〜C3、C11〜C13、C21〜C23、Co1、Co2、CL コンデンサ
Cri1、Cri2 共振コンデンサ
D1〜D3、D11〜D13、D21〜D23 ダイオード
E 入力電源
Q1、Q3、Q5、Q7、Q9、Q11 ハイサイドスイッチ
Q2、Q4、Q6、Q8、Q10、Q12 ローサイドスイッチ
R1、R2、R11〜R12、R21〜R23 抵抗
T1、T2 トランス
Vcc1、Vcc2 制御電源
Z1、Z2、Z4、Z6 ハイサイドドライバー
Z3 LLC制御回路
Z5 PWM制御回路
Z7 モーター制御回路
M モーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16