特開2015-216750(P2015-216750A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-216750(P2015-216750A)
(43)【公開日】2015年12月3日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20151106BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20151106BHJP
【FI】
   H02G3/16 A
   H05K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-97608(P2014-97608)
(22)【出願日】2014年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大井 智裕
(72)【発明者】
【氏名】山根 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 健人
(72)【発明者】
【氏名】北 幸功
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慶一
【テーマコード(参考)】
5E348
5G361
【Fターム(参考)】
5E348AA08
5E348AA40
5G361BA01
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】電気接続箱の必須構成部品であるフレームによって回路構成体を保持することができ、回路基板の取り扱いが容易になる。
【解決手段】電気接続箱10は、回路基板20と導電板30を有する回路構成体40と、係止部品(端子台50)と、係止部品が装着される装着部63を有するフレーム60と、を備え、回路構成体40の一端側41に第1係止部(第1バスバー31)が形成され、回路構成体40の他端側42に第2係止部(第2バスバー32)が形成され、フレーム60は、第1係止部と係止して回路構成体40の一端側41を受ける第1被係止部(受け部64)を有し、係止部品は、第2係止部と係止して回路構成体40の他端側42を受ける第2被係止部(補助受け部69)を有する構成とした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と導電板を有する回路構成体と、
係止部品と、
前記係止部品が装着される装着部を有するフレームと、を備え、
前記回路構成体の一端側に第1係止部が形成され、前記回路構成体の他端側に第2係止部が形成され、
前記フレームは、前記第1係止部と係止して前記回路構成体の一端側を受ける第1被係止部を有し、
前記係止部品は、前記第2係止部と係止して前記回路構成体の他端側を受ける第2被係止部を有する電気接続箱。
【請求項2】
前記第1係止部と前記第2係止部は、前記導電板に形成されたバスバーである請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記係止部品は、樹脂製のハウジングと、このハウジングに埋設されたナットとを備えた端子台である請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記第2被係止部は、前記第2係止部を受ける前記ナットの座面である請求項3に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共通の車載電源から各電子ユニットに電力を分配する手段として、複数本のバスバーにより配電用回路を構成し、これにスイッチ素子等を組み込んだ電気接続箱が一般に知られている。この種の電気接続箱として、例えば特開2005−151624号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。この電気接続箱の回路構成体は、回路体と、この回路体が接着される接着面を有する放熱部材と、回路体を収容するケースと、このケースの開口部に装着されるカバーとを備えて構成されている。
【0003】
仮に回路体を放熱部材に接着する前に回路体に電子部品を実装すると、電子部品を実装した後から放熱部材に接着するまでの間の回路体の取り扱いについて、回路体がその薄板状の形状により変形し易く、その変形により電子部品の実装部分を破損させるおそれがあるため、その取り扱いに留意しなければならない。その点、上記の回路構成体では、放熱部材に接着された後の回路体に対して電子部品を実装することで、回路体を構成してから放熱部材に取り付けるまでの間には、上記のような留意を要せず回路体を取り扱うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−151624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の回路構成体は、放熱部材への取り付けを前提としたものであり、放熱部材がない回路構成体においては問題を解決することができない。また、電子部品の実装前に必ず回路体を放熱部材に取り付ける必要があるため、製造方法の制約を受けることになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される電気接続箱は、回路基板と導電板を有する回路構成体と、係止部品と、前記係止部品が装着される装着部を有するフレームと、を備え、前記回路構成体の一端側に第1係止部が形成され、前記回路構成体の他端側に第2係止部が形成され、前記フレームは、前記第1係止部と係止して前記回路構成体の一端側を受ける第1被係止部を有し、前記係止部品は、前記第2係止部と係止して前記回路構成体の他端側を受ける第2被係止部を有する構成とした。
【0007】
このような構成によると、電気接続箱の必須構成部品であるフレームによって回路構成体を保持することができるため、回路基板が薄板状の形状により変形し易い場合でも回路基板の変形を抑制することができ、回路基板の取り扱いが容易になる。また、回路基板に電子部品を実装する際に回路構成体を保持する治具としてフレームを利用できるため、回路構成体を保持する治具が別途不要になる。
【0008】
本明細書によって開示される電気接続箱として、以下の構成としてもよい。
前記第1係止部と前記第2係止部は、前記導電板に形成されたバスバーである構成としてもよい。
このような構成によると、バスバーを利用して第1係止部と第2係止部を形成することができる。
【0009】
前記係止部品は、樹脂製のハウジングと、このハウジングに埋設されたナットとを備えた端子台である構成としてもよい。
このような構成によると、端子台を利用して回路構成体の他端側を受けることができる。
【0010】
前記第2被係止部は、前記第2係止部を受ける前記ナットの座面である構成としてもよい。
このような構成によると、バスバーによって構成された第2係止部がボルト締結されるナットの座面を第2被係止部とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本明細書によって開示される電気接続箱によれば、電気接続箱の必須構成部品であるフレームによって回路構成体を保持することができ、回路基板の取り扱いが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電気接続箱の平面図
図2図1におけるA−A線断面図
図3図1におけるB−B線断面図
図4図1におけるC−C線断面図
図5】端子台の平面図
図6】端子台の底面図
図7】端子台の側面図
図8】回路構成体の平面図
図9】回路構成体の底面図
図10】回路構成体の側面図
図11】回路構成体の正面図
図12】フレームの平面図
図13】フレームの底面図
図14】フレームに回路構成体を装着した状態を示す平面図
図15】フレームに回路構成体を装着した状態を示す底面図
図16】フレームに回路構成体を装着した後、端子台を組み付けた状態を示す底面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
実施形態を図1ないし図16の図面を参照しながら説明する。本実施形態の電気接続箱10は、回路基板20と導電板30を有する回路構成体40と、端子台50と、フレーム60とを備えて構成されている。回路基板20と導電板30はいずれも平板状をなし、ほぼ同形状とされている。回路構成体40は、図8から図11に示すように、回路基板20と導電板30を互いに接着することで構成され、側面視で略平板状をなすとともに、平面視で略方形状とされている。
【0014】
回路基板20には、図示はしないものの、半導体スイッチング素子が実装され、この半導体スイッチング素子の駆動を制御する制御回路が形成されている。導電板30は、図8に示すように、回路構成体40の一端側41に配された第1バスバー31、回路構成体40の他端側42に配された第2バスバー32などを備えて構成されている。図1に示すように、第1バスバー31は、フレーム60に対する取付部とされ、第2バスバー32は、電源側の丸端子に接続される電源端子とされている。
【0015】
第1バスバー31は、図8に示すように、平面視で回路構成体40の一端側41に切り欠かれて形成された第1切欠部33の範囲内に配設されている。また、第1バスバー31は、第1切欠部33の端縁から上方に延出された後、その延出端から水平方向に延出されることで段付き形状とされている。一方、第2バスバー32は、平面視で回路構成体40の他端側42に切り欠かれて形成された第2切欠部34の端縁から上方に延出された後、その延出端から水平方向に延出されることで段付き形状とされている。第1バスバー31と第2バスバー32は、平面視で互いに直交する配置とされている。
【0016】
端子台50は、図5から図7に示すように、全体として略方形のブロック状をなし、樹脂製のハウジング51と、このハウジング51に埋設されたナット52とを備えて構成された端子台とされている。ナット52は、平面視で四角形状をなし、ハウジング51に圧入もしくはインサート成形によって固定されている。ナット52の締結座面53は、ハウジング51の上面58に露出している。この締結座面53には、ねじ孔54が開設されている。
【0017】
ハウジング51の左右両側面59には、左右一対の係止片55が形成されている。この係止片55は、図6に示すように、ハウジング51の内部側に撓み空間57を有する片持ち状の弾性片とされている。また、係止片55は、ハウジング51の左右両側面59よりも突出する係止突起56を有している。したがって、係止突起56を押し込むと、係止片55が弾性的に撓み変形して撓み空間57内に収容される。
【0018】
フレーム60は、図12から図13に示すように、平面視で略方形の枠状をなしている。フレーム60は合成樹脂製であって、端子台50が装着される装着部63と、導電板30のうち第1バスバー31と第2バスバー32を除く平板形状の本体部35を主に収容する収容部67とを有している。
【0019】
装着部63は、フレーム60の一端側61に配されている。一方、フレーム60の一端側61と対角をなす他端側62には、受け部64が形成されている。この受け部64には、図14に示すように、回路構成体40の第1バスバー31が上方から引っ掛かって受けられるようになっている。これにより、回路構成体40の一端側41がフレーム60の一端側61によって支持される。
【0020】
フレーム60の装着部63の側壁65には、第2バスバー32を挿通させる挿通溝66が形成されている。この挿通溝66は、装着部63の内部空間と収容部67の内部空間とを連通させる形状とされており、収容部67側から装着部63側に第2バスバー32を挿通させることができるようになっている。挿通溝66を挿通して収容部67に配設された第2バスバー32は、図15に示すように、下方に臨んでおり、図2に示すように、端子台50を装着部63に下方から装着することで締結座面53によって受けられるようになっている。これにより、回路構成体40の他端側42が、フレーム60の他端側62に配設された端子台50によって支持される。
【0021】
フレーム60の四隅部のうち一端側61と他端側62を除く一対の対角部68には、一対の補助受け部69が形成されている。この補助受け部69には、図14に示すように、回路構成体40の四隅部のうち一端側41と他端側42を除く一対の対角部43が下方から当接するようになっている。すなわち、第1バスバー31は、フレーム60の受け部64に上方から当接し、第2バスバー32は、端子台50の締結座面53に上方から当接するのに対して、回路構成体40の一対の対角部43は、一対の補助受け部69に下方から当接する点で異なっている。このようにすると、回路構成体40が、第1バスバー31と第2バスバー32を通る軸線を中心として回転することを抑制できる。なお、回路構成体40の一対の対角部43には、導電板30が露出されており、この露出された導電板30に補助受け部69が当接することになる。
【0022】
図4に示すように、装着部63の内壁には、端子台50の一対の係止片55が係止する一対の係止段部70が形成されている。この係止段部70は、装着部63の下端側に位置している。端子台50を装着部63に対して下方から装着すると、係止片55の係止突起56が装着部63の内壁に押し込まれて係止片55が撓み空間57に進入し、端子台50が装着部63に正規に装着されると、係止突起56が係止段部70に嵌まり込んで係止片55が弾性的に復帰する。これにより、係止突起56が係止段部70に上方から引っ掛かって係止した状態となり、端子台50が装着部63に保持される。
【0023】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。まず、回路基板20と導電板30を互いに接着させて図8に示す回路構成体40を形成する。この回路構成体40の第2バスバー32をフレーム60の挿通溝66に挿通させつつ、第1バスバー31を受け部64に支持させる。この状態では、第2バスバー32が端子台50によって支持されていないため、図15に示すように、フレーム60を上下逆にした状態で回路構成体40を組み付けるようにすればよい。このようにすれば、回路構成体40の一対の対角部43が、フレーム60の一対の補助受け部69によって支持されるため、回路構成体40をフレーム60に組み付ける作業が容易になる。
【0024】
次に、端子台50をフレーム60の装着部63に組み付ける。すると、端子台50の一対の係止突起56が装着部63の一対の係止段部70に係止することで端子台50が装着部63に保持される。この後、フレーム60を上下逆にすると、第1バスバー31がフレーム60の受け部64に支持され、第2バスバー32が端子台50の締結座面53に支持された状態になる。したがって、回路構成体40がフレーム60によって保持される。例えば、回路基板20が薄板状の形状でかつ導電板30にスリット(図示せず)が形成されているために回路構成体40が変形し易い場合であっても、フレーム60によって回路構成体40の変形を抑制できる。これにより、回路構成体40の取り扱いが容易になる。
【0025】
また、回路基板20に電子部品を実装する際に用いる治具としてフレーム60をそのまま使用することができるため、従来より用いられていた実装用の治具を廃止することができる。このようにして、フレーム60に保持された回路構成体40の回路基板20に半田ペーストを塗布して電子部品を所定の位置に載置し、リフローを行う等して電子部品を回路基板20に実装する。その後、フレーム60の上側開口部にカバーを装着する等して、電気接続箱が構成される。そして、電源に接続された丸端子(図示せず)を第2バスバー32の上面に載置し、ボルトをねじ孔54に締め込んでいくと、端子台50と第2バスバー32が丸端子側に引き寄せられて持ち上がる。この結果、図2に示すように、第2バスバー32が、端子台50の上面58と装着部63の内壁上面71との間に挟み込まれた状態となり、回路構成体40が上下方向にがたつきなくフレーム60に保持される。
【0026】
以上のように本実施形態では、電気接続箱10の必須構成部品であるフレーム60によって回路構成体40を保持することができるため、回路基板20が薄板状の形状により変形し易い場合でも回路基板20の変形を抑制することができ、回路基板20の取り扱いが容易になる。また、回路基板20に電子部品を実装する際に回路構成体40を保持する治具としてフレーム60を利用できるため、回路構成体40を保持する治具が別途不要になる。
【0027】
第1係止部と第2係止部は、導電板30に形成されたバスバー(第1バスバー31、第2バスバー32)である構成としてもよい。
このような構成によると、バスバーを利用して第1係止部と第2係止部を形成することができる。
【0028】
係止部品は、樹脂製のハウジング51と、このハウジング51に埋設されたナット52とを備えた端子台50である構成としてもよい。
このような構成によると、端子台50を利用して回路構成体40の他端側42を受けることができる。
【0029】
第2被係止部は、第2係止部(第2バスバー32)を受けるナット52の座面(締結座面53)である構成としてもよい。
このような構成によると、バスバーによって構成された第2係止部(第2バスバー32)がボルト締結されるナット52の座面(締結座面53)を第2被係止部とすることができる。
【0030】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では第1バスバー31と第2バスバー32がいずれも段付き形状とされているものの、第1バスバーと第2バスバーをフラットな平面形状にしてもよい。
【0031】
(2)上記実施形態では第1係止部と第2係止部が導電板30に形成されているものの、第1係止部と第2係止部を回路基板に形成してもよい。
【0032】
(3)上記実施形態では係止部品として端子台50を例示しているものの、樹脂製のハウジングのみからなる係止部品としてもよい。この場合、第2被係止部は、ハウジングの上面となる。また、係止部品の他の例として、金属部品の表面に樹脂コーティングしたような係止部品も適用可能である。要するに、フレーム60との間で第2バスバー32を挟んで固定し、フレーム60とは別体構造の係止部品であればよく、材質は特に限定されない。
【0033】
(4)上記実施形態では放熱部材を用いていないものの、導電板30の下面に放熱部材を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10…電気接続箱
20…回路基板
30…導電板
31…第1バスバー(第1係止部)
32…第2バスバー(第2係止部)
40…回路構成体
41…一端側
42…他端側
50…端子台(係止部品)
51…ハウジング
52…ナット
53…締結座面(第2被係止部)
60…フレーム
63…装着部
64…受け部(第1被係止部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16