【解決手段】積層して構成されたポールアセンブリ(4)と、該ポールアセンブリ(4)の周囲に配置された少なくとも1つの巻線(6)と、前記ポールアセンブリ(4)の少なくとも1つの端部に、前記ポールアセンブリ(4)と前記巻線(6)との間で当該ポールアセンブリの長手方向(A)に配置された少なくとも1つの端部材(1)と、を有するポールシューであって、前記端部材(1)は丸められたエッジを有し、これにより前記端部材(1)と前記ポールアセンブリ(4)との間にエッジのない移行部を、前記巻線に対して形成する。
前記端部材(1)ないし側部材(5)、または前記端部材(1)と側部材(5)は凹形に構成されており、これにより前記巻線を凹面の窪みに収容する、請求項1に記載のポールシュー。
前記端部材(1)ないし側部材(5)、または前記端部材(1)と側部材(5)は、突き出た少なくとも1つの端縁部を有し、該端縁部は前記巻線(6)に対して平行に延在する、請求項1または2に記載のポールシュー。
前記ポールシューが組み立てられた状態で、前記積層されたポールアセンブリ(4)を長手方向に貫通する本体(7)が、当該ポールアセンブリ(4)の両端部において該ポールアセンブリのプレートを超えて突き出ており、前記端部材(1)の少なくとも1つに係合している、請求項1から7のいずれか一項に記載のポールシュー。
前記本体(7)は、前記ポールアセンブリ(4)の最外側のプレートと、両端部または少なくとも1つの端部において面一に終端するように構成されている、請求項8または9に記載のポールシュー。
【実施例】
【0027】
図1は、組み立てられた状態でのポールシューの斜視図を示す。この図にはポールアセンブリ4の上方領域が示されており、この上方領域は1つの巻線6または多数の巻線6により取り囲まれる。ポールアセンブリ4の両端部には、それぞれの端部材1の上方端部が示されている。ポールシューは支持体9の上に固定して図示されている。支持体9は、例えば発電機のロータまたはステータとすることができる。
【0028】
図2は、展開図の形態のポールシューの斜視図を示す。
図3は、展開図の形態のポールシューの斜視断面図を示す。
図4は、組み立てられた状態でのポールシューの斜視断面図を示す。
【0029】
ポールシューの内部は多数のプレートによって(積層)形成され、これらのプレートはポールアセンブリ4の形のポールシューの鉄心(ないしシート)をともに形成する。ポールシューの積層構成によってポールシュー内部の渦電流を回避し、または少なくとも低減することができる。ここで複数のプレートは長手方向Aに順次接合され、これによりポールアセンブリ4を形成する。ポールアセンブリの上方端縁部、すなわち支持体9と反対の側ではポールアセンブリ4に突起が形成されている。この突起は巻線6を超えて側方に突き出ており、これにより巻線を支持体9に関して半径方向に保持する。
【0030】
さらに
図2には、U字形の側(サイド)部材5が示されており、この側部材はポールアセンブリ4と巻線6との間に設けることができる。側部材5はU字形である。すなわち上部と下部で折曲げられた2つのエッジにより形成されており、これにより同様に巻線6を超えて側方に突き出て、支持体9に関して巻線を半径方向に保持する。ここで半径方向の遠心力に対抗作用するためにはU字形側部材5の上方端縁部だけが必要である。したがってU字形側部材5はL字形に、すなわち上部で折曲げられた1つの端縁部(ないしエッジ)により形成することもできよう。
【0031】
したがって巻線6を超えて突き出る突起は、ポールアセンブリ4の上方端縁部によって、もしくはU字形側部材5の上方端縁部によって構成することができ、または2つのエレメント4,5に対応の突起を共通に設けることもできる。
【0032】
積層されたポールアセンブリ4の周囲には絶縁材料が設けられている。絶縁材料の周囲には巻線6が配置される。絶縁材料は、ポールアセンブリ4と巻線6とを電気的に互いに絶縁する。さらに絶縁材料は、電流の流れる巻線6からポールアセンブリ4への良好な熱伝導に寄与し、粘着性の絶縁材料としてポールアセンブリ4に対する巻線6の安定性を支援する。すなわちポールアセンブリ4の上方エッジおよび/または側部材5の上方端縁部に加えてまたはその代わりに、半径方向の力に対抗作用する。
【0033】
絶縁材料は
図2には図示されていない。しかしその構成および形態はU字形側部材5の構成および形態に対応する。これにより、巻線6を支持体9およびポールアセンブリ4に対して完全に絶縁し、巻線6から支持体9およびポールアセンブリ4への熱伝達を保証し、ポールアセンブリ4に対する巻線6の安定性を改善する。
【0034】
ポールアセンブリ4の長手方向Aでの両端部には、すなわちポールアセンブリの端面には、種々のエレメント1,2,3がそれぞれ1つ配置されており、これらについては
図5から11dを参照して詳細に考察し、説明する。ここでエレメント1,2,3は、ポールアセンブリ4のそれぞれの端部において巻線を受け止め、案内するために用いられる。
【0035】
さらにポールシューは、例えば円筒状のピン(ないしロッド)7として構成することのできる本体7を有する。このピン7は、長手方向Aにポールアセンブリ4のプレートを貫通し、プレートをともに保持する。ここでピン7はポールアセンブリ4の両端部においてプレートを超えて突き出ており、これによりエレメント1,2,3の少なくとも1つに係合する。
図5から11dを参照のこと。とりわけピン7は、ポールアセンブリ4の最外側のプレートと、両端部または少なくとも1つの端部において面一に終端するようにも構成することができる。したがってピン7は以下では、長手ピン7と称するべきである。
【0036】
ポールシューを横切る方向には支持体9の方向に、係合個所(複数)が長手ピン7に設けられている。このためにポールアセンブリ4の対応のプレートが開口部(ないし切欠き、Aussparung)を有する。長手ピン7のこれら係合個所には、ネジまたはボルト8がポールアセンブリ4の開口部を通って係合することができる。この開口部はまた支持体9に設けられている。したがって長手方向Aに対して横方向(直交方向)に係合するこれらのボルト8は横ボルト8と称するべきである。支持体9が例えば発電機のロータの外側ベルト9(ベルト9)であれば、ポールシューを横ボルト8によってこれに固定することができる。
【0037】
本発明によれば、図示のポールシューは横方向に配向された最大で3つの係合個所を有する。ここでは例えば2つの係合個所をポールシューの両端部の近傍に、2つの係合個所が互いにできるだけ広く離間し、横ボルト8がしっかり確保されて長手ピン7に係合できるように配置することができる。場合により第3の横ボルト8が、長手方向Aで長手ピン7の略中央に設けられた第3の係合個所に係合することができる。このようにして可及的に大きな間隔を横ボルト8の間に取ることが可能になる。これらの中間空間の間でポールシューは、ポールアセンブリ4の対応する側部を介して支持体9と直接接触し、これによりポールシューから支持体9への直接的な熱伝導が行われる。
【0038】
この熱は例えば電流の流れる巻線6によって引き起こされ得るものであり、ポールシューの過熱および損傷を回避するために、この熱はできるだけ良好に排出しなければならない程度にまで達することもある。このために熱を支持体9に排出(消散)するためには、可及的に多数で一貫した接触面がポールアセンブリ4と支持体9との間に存在するのが有利である。ここでは例えば冷却部を支持体9内に設けることができ、この冷却部は好ましくは接触領域の直下に延在する。すなわち横ボルト8の間に延在する。
【0039】
したがって、ポールシューを可及的に少数の横ボルト8により支持体9に固定できると有利であり、望ましいことである。なぜならこれにより、支持体9内の冷却部を、ポールアセンブリ4と支持体9との間の接触面に直接設けることのできる領域が拡大するからである。例えばポールシューはこれまでの風力発電装置の発電機の場合、横ボルト8としての10個のM12ネジによりロータに固定されていたが、本発明では横ボルトとしての例えば3つのネジだけにより固定が行われる。しかしこれらのネジは同じ固定確実性を達成するためにM24ネジとして構成することができる。しかし横ボルト8の低減は、それにより固定の安定性が変わらない場合にだけ可能であるが、ポールアセンブリ4のプレートが長手ピン7により長手方向Aにともに保持されるから可能である。
【0040】
このような長手に延在するピン7はこれまで使用されていなかった。なぜなら横ボルト8としての多数の小さなM12ネジによって、支持体9上でポールアセンブリ4を安定して固定することができたからである。しかし支持体9上でのポールアセンブリ4の固定が比較的少数の横ボルト8により実施される場合、このことはポールアセンブリ4の個々のプレート間の安定性を低減するので、この安定性が長手ピン7により補償される。このことは、長手ピン7と最大で3つの横ボルト8を配置することにより、これまでポールアセンブリ4の全長に亘って分布配置された例えば10個の小さな横ボルト8よるのと同等の安定性が、支持体9に対するポールアセンブリ4の安定性において達成できることを意味する。しかしこれにより拡大された個々の少数の横ボルト間の自由空間は支持体9への良好な熱伝達を可能にし、これによりポールアセンブリ4の冷却性、ひいては巻線6の冷却性が改善される。
【0041】
ポールアセンブリ4と支持体9との間のこの熱伝導を改善するために、ポールアセンブリ4と支持体9との間に熱伝導改善手段、例えば伝熱ペーストを設けることができる。
【0042】
さらに従来では、ポールアセンブリ4のプレートが支持体において、すなわちポールアセンブリ4の支持体9に当接する側において溶接継ぎ目を介して互いに結合されることに注意すべきである。このためにプレートには対応の切欠き(ないし開孔部、Aussparung)が設けられるか、またはポールアセンブリ4の組み立てられたプレートに埋設される。次にこの切欠きには溶接材料が導入される、すなわち盛り付けられる。この溶接継ぎ目(シーム)が本発明の長手ピン7に加えて使用されると、この切欠き内で溶接材料と支持体9との間に空気の充たされた中間空間が形成されることがある。このような中間空間は、ポールアセンブリ4と支持体9との間の熱伝導性を悪化させる。したがってとりわけこの中間空間には熱伝導改善手段、例えば伝熱ペーストを充填して、切欠きに封鎖された空気の熱絶縁作用を回避する。
【0043】
本発明によれば、ポールシューにおける絶縁材料として、繊維複合材料またはガラス繊維強化プラスチック(GFK)を有する材料が使用される。この材料には接着材を施し、ポールアセンブリ4と巻線6との間にこのようにして接着結合を形成することができる。ここで絶縁材料は、1つにはポールアセンブリ4と巻線6との間の電気絶縁並びに良好な熱伝導性が保証されるように設けるべきである。もう1つには、ポールアセンブリ4と巻線6との間で、巻線6がポールアセンブリ4に対して運動しないような接着作用を達成すべきである。この種の相対運動は、例えばポールシューを発電機のロータに使用する場合、遠心力によって引き起こされ得る。これにより最悪の場合、巻線6が少なくとも部分的にポールアセンブリ4から半径方向に、すなわち支持体9に対して直角に解離することがあり、これによりポールシューはその作用を失い、ないしはその作用が少なくとも低減され、解離した巻線6によって周囲が損傷することがある。
【0044】
運転中にこのような解離を回避するために、さらなる機械的対策の他に絶縁材料による接着結合を形成することができ、これによりこの解離の状況を、遠心力が強力で継続的な運転でも確実に回避し、または少なくともその発生確率を低減することができる。
【0045】
本発明によれば、良好な熱伝導性を有する絶縁材料を使用するのがさらに有利である。これにより、励磁電流によって惹起される巻線6の熱を、可能な限り絶縁材料を介してポールアセンブリ4に伝達し、さらに熱をそこから例えば支持体9とその冷却部を介してポールシューから排出することができる。このために伝熱ペースト等をポールアセンブリ4と絶縁材料との間に、および/または絶縁材料と巻線6との間に設けることができる。
【0046】
本発明によれば絶縁材料として、例えばアラミド繊維から成る繊維複合材料が使用される。アラミド繊維は、アラミドまたは芳香族ポリアミド(ポリアラミド)から成る繊維である。これらは例えば商品名「ノーメックス(登録商標)」および「ケブラー(登録商標)」で普及している。これらの繊維には、防炎のために特別に使用されるメタアラミド繊維も含まれる。
【0047】
このアラミド繊維のアラミド紙としての一適用は、例えば電気モータでの電気絶縁としての使用、またはトランスでの相絶縁としての使用である。この紙は非常に薄く、同時に非常に安定している。その紙特性に基づき、例えばエポキシ樹脂のような樹脂を含浸し、または接着剤を被覆することができ、これにより粘着性の表面を得ることができる。
【0048】
このようにしてアラミド紙により絶縁材料を形成することができる。この絶縁材料は厚さが薄く、重量が小さくても高い機械的負荷に耐えることができ、同時に粘着性を付与することができる。ここでは、異なる発電機回転速度の際に巻線6に作用することのある変動遠心力によってせん断応力が発生することがあり、このせん断応力は絶縁材料によって吸収できなければならない。
【0049】
ここでは、製造工程によってポールアセンブリ4に溶接突起(Schweisspickel )が発生し得ることにも注意すべきである。これらの溶接突起は絶縁材料を貫通し、これによりポールアセンブリ4と巻線6との間に導電接続を形成することがある。このような僅かな導電接続は、ポールアセンブリ4と巻線6との間にフラッシュオーバを引き起こすことがある。このようなフラッシュオーバは接続部を拡張することとなり、そのため絶縁がもはや存在しないこととなる。したがって絶縁材料は、例えばアラミド紙のような材料が有利である。アラミド紙の機械的安定性は、絶縁材料の厚さが適当であっても溶接突起のような点状で尖った負荷にも耐えることができる。
【0050】
樹脂を含浸した、または接着剤が被覆されたアラミド紙を有する絶縁材料によるポールシューの製造は、次のように行うことができる。
【0051】
まずポールシューのポールアセンブリ4がプレートから作製される。ここでこれらのプレートは長手ピン7により、または別の措置と手段(ないし材料)を介してともに保持することができる。さらなる工程として、アライド紙が切断され、ポールアセンブリ4と巻線6の幾何形状に適合される。次にアラミド紙が樹脂により含浸され、または接着剤により被覆され、場合により乾燥され、これにより樹脂ないし接着剤が紙内に、ないし紙に付着して留まる。このために含浸されたアラミド紙を加熱下で圧縮して、所望の幾何形状を得ることができる。この場合、圧縮によってアラミド紙の厚さを薄くすることもできる。これによりアラミド紙に、例えば長手方向Aに折曲げられたエッジを有する安定した幾何形状を付与することができ、これにより絶縁材料のU字形プロフィールが達成される。このようにして巻線6をU字形の絶縁材料内に収容することができ、したがってポールアセンブリ4と側部材5の対応する幾何形状、すなわち巻線6を収容するための突き出たエッジを有する対応の幾何形状を部分的にまたは完全に省略することができる。
【0052】
次にアラミド紙を絶縁材料としてポールアセンブリ4の側面部の周囲に配置する。ポールアセンブリ4の端部ではエレメント1によって絶縁を行うことができる。次に巻線6が粘着性のアラミド紙の周囲に巻回され、これにより巻線がアラミド紙に付着し、アラミド紙はさらにポールアセンブリ4に付着する。
【0053】
図5は、ポールシューの端部の詳細斜視図を示す。長手方向Aに延在する切欠き(開孔部)を有するポールアセンブリ4が図示されており、この切欠きには長手ピン7(図示せず)を嵌め込むことができる。ポールアセンブリ4の端部には、付加的アセンブリ3と称するべき第1のエレメント3が配設されている。付加的アセンブリ3はポールアセンブリ4の幾何形状に適合して構成されており、ポールアセンブリ4の最外側のプレートを成す。しかし付加的アセンブリ3は同時にその側方に切欠き(凹部)を有し、エレメント1、すなわちエッジ丸め部1(
図8から11dを参照)はこの付加的アセンブリ3のエッジの上に被さることができる。言い替えると、付加的アセンブリ3はポールアセンブリ4の矢形形状(Pfeilung)に適合して構成されていない。
【0054】
図6は、ポールシューの端部の第2詳細斜視図を示す。付加的アセンブリ3には、押圧部材2と称するべき第2のエレメント2が配設されている。押圧部材2は、付加的アセンブリ3の幾何形状に適合されており、押圧部材2は上方領域においては付加的アセンブリ3より短く構成されている。したがって付加的アセンブリ3は押圧部材2を超えて突き出て図示されている。これにより押圧部材2は上方領域においてその下方(図示右手奥)にある付加的アセンブリ3から隆起しており、エッジ丸め部1は側方にも、上方領域においても押圧部材2の上に被さることができる。
【0055】
図7は、ポールシューの端部の第3詳細斜視図を示す。この図では長手ピン7が切欠き(開孔部)に嵌め込まれており、長手ピンはポールアセンブリ4のプレートも、付加的アセンブリ3および押圧部材2も同じように貫通する。このようにしてポールアセンブリ4のプレート、付加的アセンブリ3および押圧部材2は長手ピン7によってともに保持される。ここで長手ピン7は付加的アセンブリ3と押圧部材2を芯合わせする。構造を確保するために押圧部材2は長手ピン7と溶接される。
【0056】
図8は、ポールシューの端部の第4詳細斜視図を示す。この図では端部が、エッジ丸め部1と称するべき第3のエレメント1によって閉鎖されている。エッジ丸め部1によるこの閉鎖によって、ポールアセンブリ4の表面は平坦で滑らかに形成され、したがって巻線6はポールアセンブリ4の両端部においても滑らかに確実に当接することができる。別の言い方で表現すれば、エッジ丸め部1は、巻線6の下方、すなわちポールアセンブリ4の端部側のエレメント1,2,3において、支持体にある鋭いエッジまたは折れ曲がり部によって発生し得る巻線6の損傷を阻止する。ここで例えば押圧部材2と長手ピン7との間の溶接結合部は、エッジ丸め部1によって覆われる。
【0057】
絶縁材料はポールアセンブリ4の端部の周囲に、すなわちエッジ丸め部1の上方に形成することもでき、これにより絶縁材料の損傷も滑らかなエッジ丸め部1によって回避することができる。その代わりにまたはそれに加えて、エッジ丸め部1自体を絶縁性材料から形成することができ、これにより、この領域においては場合により絶縁材料を省略することができ、製造時の材料および時間を節約することができる。
【0058】
図9は、第1実施形態を前方から見たエッジ丸め部1の詳細斜視図を示す。
図10は、第1実施形態を後方から見たエッジ丸め部1の詳細斜視図を示す。
【0059】
ここではエッジ丸め部1が、付加的アセンブリ3と押圧部材2を側方で完全に取り囲むことができるように構成されていることが分かる。これにより絶縁材料と巻線6に対して平坦で滑らかな表面が形成される。さらにエッジ丸め部1は上部および下部において突き出た端縁部を有し、これにより巻線6をこれらの方向に、例えば回転運転時に発生する遠心力に抗して保持することができる。さらにエッジ丸め部1は切欠き(凹部)1aを有し、この切欠きには巻線6の端部を調整するために帯材(Band)を案内することができる。
【0060】
ここで本発明によれば、エレメント1,2,3の組み合わせ、すなわち付加的アセンブリ3,押圧部材2およびエッジ丸め部1が設けられる。これまではヘッド部材を設けて、積層したポールアセンブリ4の端部を閉鎖することが知られていた。この場合、これまでは長手ピン7は使用されておらず、その代わりに積層したポールアセンブリ4は複数の小さな横ボルト8によって支持体9に固定されていた。
【0061】
しかし本発明によれば長手ピン7が設けられ、これによりポールアセンブリ4の複数のプレートがともに保持され、少数のしかし強固な横ボルト8に対する固定部として用いられる。そのため長手ピン7はポールアセンブリ4の最外側のプレートを超えて突き出ることができ、その場合はそこで固定されなければならない。ポールアセンブリ4のこの延長部に端部材が載置されれば、ポールシューの重量と長さが不利なことに増大する。例えば厚さ26mmの端部材がポールアセンブリ4の端部に載置されることとなる。
【0062】
したがって本発明によれば、複数のエレメント1,2,3の組み合わせが、ポールアセンブリ4の端部に端部材として設けられる。付加的アセンブリ3はポールアセンブリ4の最外側のプレートとして、例えば18mmの厚さを有する。付加的アセンブリ3は、エッジ丸め部1を収容するために側方の切欠きを備えたポールアセンブリ4のプレートに相当する。押圧部材2は例えば6mmの厚さを有し、長手ピン7の固定に用いられる。エッジ丸め部1は例えば3mmの厚さを有し、ポールアセンブリ4の端部(角)を丸くする。エッジ丸め部1を押圧部材2の上に配置することにより、ポールアセンブリ4の本発明のヘッド部材1,2は9mmの全厚を有する。
【0063】
ヘッド部材の厚さを低減することにより、従来のヘッド部材に対して材料の節約が達成される。この材料の節約は使用される銅に影響する。なぜならこれまでのヘッド部材は銅から作製されていたからである。ここで1つのポールシュー当たりで、風力発電装置の発電機の考察対象たるポールシューでは材料の節約が2.31kgに達することができる。これにより72個のポールシューでは、166.3kgの銅を節約することができる。
【0064】
図11aは、第2実施形態を前方から見たエッジ丸め部1の詳細斜視図を示す。
図11bは、第2実施形態のエッジ丸め部1の平面図を示す。
図11cは、第2実施形態のエッジ丸め部1の正面図を示す。
図11dは、第2実施形態のエッジ丸め部1の詳細図を示す。
【0065】
この第2実施形態では、エッジ丸め部1が膨らみを有する。すなわちエッジ丸め部1は、巻線6を凹面の窪みに収容できるよう凹形に構成されている。これによりエッジ丸め部1に対する巻線6の変位(ズレ)が抑制される。この変位は、ポールシューが例えば発電機のロータ上で回転する際に遠心力によって発生し得るものである。
【0066】
エッジ丸め部1の幾何形状によって、巻線6が熱により膨張して、冷却され緊張された状態よりもポールアセンブリ4の周囲に緩く配置される場合でも、巻線6は凹面の窪みに保持される。
【0067】
これに対して表面が平らであると、巻線6が例えば加熱の際に繰り返し拡大し、冷却の際に狭窄することにより、同時に遠心力が発生すると巻線6が次第にポールアセンブリ4から下方に移動することとなるおそれがある。この場合に対しては、エッジ丸め部1を凹形に構成することによって抑制することができる。ここでこの場合に対しては、粘着性の絶縁材料によるポールアセンブリ4に対する巻線6の接着と、側部材5のU字形の形態とが付加的に作用する。側部材は同様にその凹形の構成によりポールシューの側面に対して、前に説明したポールシューの端部におけるエッジ丸め部1の凹形の構成と同等の作用を有している。
【0068】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。