【解決手段】液透過性のトップシート2と、液透過性のバックシート4と、トップシートとバックシートの間に配置される吸収体6とを備えた吸収性物品20であって、周囲よりも幅方向外側に延びる幅広部を有し、幅広部は液の浸出を防止する防漏性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インナーとなるパッドタイプの吸収性物品は、アウター内に配置するために略長円状や略矩形状とする必要がある。そして、インナーの吸収能力を高めようとすると、吸収性物品の幅及び長さを大きくする必要がある。さらに、着用者の股の前後に沿うように配置して装着性、着用感を向上させるため、
図10に示したように、インナー200の股下部に相当する長手方向中央の幅に比べ、長手方向前後の幅を広げた幅広部210を設けた異形状(ワイド形状)とする必要がある。
【0006】
しかしながら、インナー200をワイド形状とすると、幅広部210がアウター100からはみ出し、インナー200が吸収した尿が幅広部210に伝わってアウター100から浸みだして横漏れが生じ易くなるという問題がある。特に、
図10に示したように、アウター100がいわゆるテープ止めタイプの紙おむつである場合、展開時にフラットになり、長手方向の両端側に配置された面ファスナ107を結合させることで、腰部の周りに装着するようになっている。このテープ止めタイプのアウター100においては、横漏れを幅方向の立体ギャザー112で防止しているため、この立体ギャザー112からインナー200の幅広部210がはみ出し易く、アウター100からの横漏れが顕著になる。
一方、特許文献1に記載された吸収性物品のように、幅広部(幅広部)を防漏シートでバックシートと一体に形成した場合には、幅広部からの尿の伝わりを防止することはできるが、そもそも両面吸収パッドとして機能しない。
従って本発明は、幅広部を設けた両面吸収タイプの吸収性物品において、吸収性能に優れると共に、幅広部からの尿等の伝わりを防止して横漏れを抑制した吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に配置される吸収体とを備えた吸収性物品であって、周囲よりも幅方向外側に延びる幅広部を有し、前記幅広部は液の浸出を防止する防漏性を有する。
このように、吸収性物品が両面吸収パッドタイプであるにも関わらず、幅広部が液の浸出を防止する防漏性を有する。このため、吸収性物品が吸収した尿等が幅広部に伝わってアウターから浸みだして横漏れが生じることを防止できる。又、幅広部を設けているので、吸収量を増大させるために吸収性物品を大型化しても、着用者の股の前後に沿うように配置したときの装着性、着用感を向上させることができる。
【0008】
前記トップシート及び前記バックシートが前記吸収体よりも狭幅であり、かつ前記トップシート及び前記バックシートの幅方向端部とそれぞれ重なるようにして前記幅方向外側に延びる防漏シートが配置され、前記各防漏シートが前記幅方向外側に延びて互いに重なって前記幅広部を構成することが好ましい。
【0009】
前記トップシート又は前記バックシートのいずれかが延長シートとして前記幅方向外側に延びて前記幅広部を構成すると共に、前記トップシート又は前記バックシートのうち、前記延長シートとならないシートが前記吸収体よりも狭幅であり、かつ該シートの幅方向端部と重なるようにして前記幅方向外側に延びる防漏シートが配置され、前記防漏シートが前記延長シートと重なって前記幅広部を構成することが好ましい。
【0010】
前記トップシート及び前記バックシートが共に延長シートとして前記幅方向外側に延びて前記幅広部を構成すると共に、前記吸収体よりも前記幅方向の内側で、前記トップシート及び前記バックシートとそれぞれ重なるようにして前記幅方向外側に延びる防漏シートが配置され、前記各防漏シートが前記各延長シートと互いに重なって前記幅広部を構成することが好ましい。
【0011】
前記幅広部が長手方向に1か所又は2か所設けられていることが好ましい。
前記幅広部の幅が250〜400mmであることが好ましい。
前記長手方向に延びつつ立設する立体ギャザーが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、幅広部を設けた両面吸収タイプの吸収性物品において、吸収性能に優れると共に、幅広部からの尿等の伝わりを防止して横漏れを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品について説明する。本発明の実施形態に係る吸収性物品は、肌着(下着)やおむつ内に装着される失禁パッド、尿取パッド、失禁ライナー等の、いわゆる「パッドタイプ」であるが、肌着(下着)やおむつ内に装着されて排せつ物や分泌物を吸収するものであれば、これらの用途に限定されない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の外観を示す斜視図である。
図1において、吸収性物品20は細長い片状をなし、液透過性のトップシート2と、液透過性のバックシート4との間に図示しない吸収体を挟み込んだ構成を有している。又、吸収性物品20の幅方向両側縁から撥水性の不織布からなるサイドシート(立体ギャザー)12がトップシートの上に立ち上がっている。吸収性物品20は、長手方向を使用者の股部の前後に渡され、トップシート2が股部に触れるようにして装着され、サイドシート12は尿等の横漏れを防止する。
さらに、トップシート2及びバックシート4は共に液透過性とされ、吸収性物品20は、いわゆる両面吸収パッドを構成している。
なお、上記各シートはホットメルト接着剤等により固定されている。又、サイドシート12は本発明の必須の構成ではない。
【0015】
又、吸収性物品20は、いわゆるインナーとして外側のアウター100内に装着され、アウター100自体も吸収能を有している。そして、インナーである吸収性物品20をこまめに交換し、さらにアウター100に尿等を何回か吸収させた段階でアウター100を交換するように使用される。
そして、吸収性物品20は両面吸収パッドであるため、吸収性物品20に吸収されなかった尿は、バックシート4を通して、アウター100に移行させることができる。
【0016】
図1の例では、アウター100は、いわゆるテープ止めタイプの紙おむつであり、展開時に長手方向中央が狭幅の略矩形状をなし、長手方向の両端側に、幅方向に延びる面ファスナ107が配置され、面ファスナ107を結合させることで、アウター100を腰部の周りに装着可能になっている。又、アウター100の幅方向両端には、長手方向に延びる立体ギャザー112が立設し、横漏れを防止している。
そして、吸収性物品20は、インナーとしてアウター100内に配置するために略長円状や略矩形状となっていると共に、吸収能力を高めるために大型化されている。この際、着用者の股の前後に沿うように配置して装着性、着用感を向上させるため、吸収性物品20の長手方向中央部の股下部に相当する幅W0(
図2参照)に比べ、長手方向の両外側に向かう部分の幅W1(
図2参照)を延ばして幅広部7A1,7A2を設けた異形状(ワイド形状)となっている。
【0017】
本発明においては、吸収性物品20が両面吸収パッドタイプであるにも関わらず、上記した幅広部が液の浸出を防止する防漏性を有することを特徴としている。
幅広部が防漏性を有しない場合、アウター100の横漏れを防止する立体ギャザー112からインナーの幅広部がはみ出し、吸収性物品20が吸収した尿が幅広部に伝わってアウター100から浸みだして横漏れが生じ易くなる。
特に、
図1に示したテープ止めタイプの紙おむつであるアウター100の場合、横漏れを立体ギャザー112で防止しているので、インナーの幅広部がはみ出し易く、幅広部が防漏性を有しない場合にアウターからの横漏れが顕著になる。但し、本発明の吸収性物品20は、テープ止めタイプのアウター100に限らず、例えばパンツ型の紙おむつであるアウターや、その他の肌着にも適用できる。
【0018】
図2は、吸収性物品20の上面図を示す。吸収性物品20は略矩形状をなし、長手方向中央部の幅W0に比べ、長手方向の両外側に向かう部分の幅W1を延ばして幅広部7A1,7A2を設けた異形状(ワイド形状)となっている。
また、吸収性物品20の表面にトップシート2が表出すると共に、トップシート2の幅方向両端を防漏シート70が囲んでいる。そして、防漏シート70の一部が幅方向外側に突出してそれぞれ幅広部7A1,7A2を形成している。
なお、防漏シート70の上面をサイドシート12から平面方向に延びる延出部12e(
図3参照)を覆っているが、説明のため、
図2ではサイドシート12を省略している。
【0019】
図3は、
図2のIII−III線(幅広部7A1)に沿う断面図である。吸収性物品20の表層となるトップシート2とバックシート4の間には吸収体6が介装され、さらに、トップシート2と吸収体6の間に尿などの流体を吸収体へ導いたり弾力性を付与するトランスファーシート8が配置されている。このような構成は、吸収性物品において一般的なものであり、例えば、特開2006-175022号公報や特開2006-181080号公報に記載されているものと同様である。
トップシート2及びバックシート4は吸収体6よりも狭幅であり、かつトップシート2及びバックシート4の幅方向両端部とそれぞれ重なるようにして幅方向外側に延びる防漏シート70が配置されている。具体的には、トップシート2の幅方向両端部の下に防漏シート70が重なり、バックシート4の幅方向両端部の下に防漏シート70が重なっている。
【0020】
そして、上下方向の各防漏シート70が互いに重なって幅広部7A1を構成している。又、図示はしないが、上下方向の各防漏シート70(幅広部7A1)の幅方向の端部がホットメルト等により接合(シール)されている。
さらに、防漏シート70(幅広部7A1)の上面、及び防漏シート70とトップシート2の重なり部分をサイドシート12の延出部12eが覆い、上記重なり部分近傍から上に向かってサイドシート12が立ち上がっている。又、各サイドシート12の最も立ち上がる先端部分には、吸収性物品20の各長手方向に沿って弾性部材16が配置されている。従って、サイドシート12は、弾性部材16の弾性力によって展張され、サイドシート12の立ち上がり部を立体形成し、横漏れを有効に防止する。
【0021】
図4は、
図2のIV−IV線(長手方向中央部)に沿う断面図である。
図4においても、
図3と同様に、トップシート2及びバックシート4は吸収体6よりも狭幅であり、かつトップシート2及びバックシート4の幅方向端部とそれぞれ重なるようにして幅方向外側に延びる防漏シート70が配置されている。そして、上下方向の各防漏シート70が互いに重なり、その幅方向の端部が接合(シール)されている。
【0022】
トップシート2及びバックシート4は、液透過性の不織布であればよい、又、トップシート2使用者の皮膚に接するため、感触が柔らかで、皮膚に刺激を与えない材料から形成されていることが好ましい。トップシート2の坪量を15〜40g/m
2(より好ましくは20〜35g/m
2)とすることが好ましい。バックシート4の坪量を15〜40 g/m
2(より好ましくは20〜35g/m
2)とすることが好ましい。
トランスファーシート8も、不織布から形成されていればよく、使用者の排せつ物や分泌物(尿等)を吸収体6へ移し、分散させ、弾力性を発現できればよい。特に、トランスファーシート8として、坪量20〜50g/m
2(好ましくは30〜40g/m
2)の親水性不織布を用いると好ましい。トップシート2、バックシート4及びトランスファーシート8としては、嵩の高いエアースルー不織布を用いると好ましい。
バックシート4の外面に、尿のアウターへの移行を妨げない程度に、吸収性物品20を下着等に固定する際のずれを防止するずれ止め(粘着剤)等を設けてもよい。
【0023】
吸収体6は、木材パルプフラッフのような、フラッフのウェブの親水性繊維マトリックスを、公知の高吸水性樹脂(SAP)の粒子と混合して形成すればよい。又、吸収体6表面にエンボスを施すと、尿等の拡散をコントロールすると共に、使用者の体型に応じて吸収体6が容易に変形するので好ましい。
フラッフとしては、木材パルプフラッフの代わりに合成繊維、ポリマー繊維などを使用してもよい。又、木材パルプフラッフとしては、嵩が低く、解繊装置の所要動力(パルプをフラッフ化する際の解繊機の消費電力)が抑えられるトリートメントパルプを用いることが好ましい。
吸収体6を薄くするためには、SAPの配合比を高くすることが一般的であるが、尿吸収の初期段階ではフラッフの役割が大きく、SAPが多過ぎてフラッフが少ないと初期吸収性が劣る。このため、吸収体6中のSAPの含有割合を50質量%未満とすることが好ましい。
SAPは、破砕タイプに比べてパールタイプ(逆相懸濁重合法により得られるもの)の方が加圧下でのダメージが少ないことから、パールタイプを用いることが好ましい。
【0024】
防漏シート70は、吸収体6内において保持している液体などが浸出しないような防漏(防水)性を有する液不透過性の材料から形成されていればよく、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等からなる薄いプラスチックフィルムとすることができるが、着用中にカサカサした音がしやすく、柔らかさを付与するよう、マイクロエンボスを施したり、プラスチックフィルムの外側に不織布を貼合わせたクロスライクバックシートを用いることもできる。特に、防漏シート70としてポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。又、防漏シート70として、通気性(透湿性)のフィルムを用いてムレを低減することが好ましい。
防漏シート1枚当たりの坪量を18〜40g/m
2(より好ましくは20〜30g/m
2)とすることが好ましい。
【0025】
サイドシート12は、防漏シート70と同様の材料から形成することができ、撥水性の不織布から形成してもよい。
弾性部材16としては、エラストマー性ポリマー材料からなるストランド、リボン、ポリウレタン、合成ゴム、天然ゴム等を用いることができるがこれらに限られない。
【0026】
このように、吸収性物品20が両面吸収パッドタイプであるにも関わらず、幅広部70A1、70A2が液の浸出を防止する防漏性を有する。このため、吸収性物品20が吸収した尿等が幅広部70A1、70A2に伝わってアウター100から浸みだして横漏れが生じることを防止できる。又、幅広部70A1、70A2を設けているので、吸収量を増大させるために吸収性物品20を大型化しても、着用者の股の前後に沿うように配置したときの装着性、着用感を向上させることができる。
さらに、第1の実施形態においては、幅広部70A1、70A2の上下面(表面側と裏面側)がいずれも防漏シート70から構成されているので、尿等が幅広部70A1、70A2に伝わることをより一層防止できる。
【0027】
次に、
図5〜
図7を参照し、本発明の第2の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、第2の実施形態に係る吸収性物品20Bにおいて、第1の実施形態に係る吸収性物品20と同一構成部分を同一符号を付して説明を省略する。
図5は、第2の実施形態に係る吸収性物品20Bの上面図を示す。吸収性物品20Bは略矩形状をなし、長手方向中央部の幅W0に比べ、長手方向の一方(
図5の下方)側に向かう部分の幅W1を延ばして幅広部7Bを設けた異形状(ワイド形状)となっている。
また、第1の実施形態に係る吸収性物品20と同様に、吸収性物品20Bの表面にトップシート2が表出すると共に、トップシート2の幅方向両端を防漏シート70Bが囲んでいる。そして、防漏シート70Bの一部が幅方向外側に突出して幅広部7Bを形成している。
なお、防漏シート70Bの上面をサイドシート12から平面方向に延びる延出部12e(
図6参照)を覆っているが、説明のため、
図5ではサイドシート12を省略している。
【0028】
図6は、
図5のVI−VI線(幅広部7B)に沿う断面図である。吸収性物品20Bの表層となるトップシート2とバックシート4の間には吸収体6が介装されている。
トップシート2は吸収体6よりも狭幅であり、バックシート4は延長シートとして幅方向外側に延びている。又、トップシート2の幅方向両端部の上に重なるようにして幅方向外側に延びる防漏シート70Bが配置されている。防漏シート70Bとバックシートの幅方向端部が一致し、防漏シート70Bとバックシート4とが上下方向に重なって幅広部7Aを構成している。又、図示はしないが、防漏シート70B(幅広部7B)とバックシート4の幅方向の端部がホットメルト等により接合(シール)されている。
さらに、防漏シート70B(幅広部7B)の上面、及び防漏シート70Bとトップシート2の重なり部分をサイドシート12の延出部12eが覆い、上記重なり部分近傍から上に向かってサイドシート12が立ち上がっている。
【0029】
図7は、
図5のVII−VII線(長手方向中央部)に沿う断面図である。
図7においても、
図6と同様に、トップシート2は吸収体6よりも狭幅であり、防漏シート70Bとバックシートの幅方向端部が一致し、防漏シート70Bとバックシート4とが上下方向に重なり、その幅方向の端部が接合(シール)されている。
【0030】
第2の実施形態においても、吸収性物品20Bが両面吸収パッドタイプであるにも関わらず、幅広部70BBが液の浸出を防止する防漏性を有する。このため、吸収性物品20Bが吸収した尿等が幅広部70BBに伝わってアウター100から浸みだして横漏れが生じることを防止できる。又、幅広部70BBを設けているので、吸収量を増大させるために吸収性物品20を大型化しても、着用者の股の前後に沿うように配置したときの装着性、着用感を向上させることができる。
さらに、第2の実施形態においては、バックシート4が幅広部70BBの下面(裏面側)を兼用しているので、部品点数を低減して生産性及び製品コストを低減することができる。
なお、第2の実施形態において、上下面を逆にする、つまりバックシート4を吸収体6よりも狭幅とし、トップシート2を延長シートとして幅方向外側に延設させてもよい。この場合、バックシート4の幅方向両端部の上に重なるようにして幅方向外側に防漏シート70Bが配置されることになる。
【0031】
次に、
図8、
図9を参照し、本発明の第3の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、第3の実施形態に係る吸収性物品20Cにおいて、第1の実施形態に係る吸収性物品20と同一構成部分を同一符号を付して説明を省略する。また、第3の実施形態に係る吸収性物品20Cは、積層構造が異なること以外は、吸収性物品20と同一の平面構造(つまり、2つの幅広部)を有している。
そして、
図8は、
図2のIII−III線に相当する幅広部7Cの断面図であり、
図9は、
図2のIV−IV線に相当する断面図である。
【0032】
図8において、吸収性物品20Cの表層となるトップシート2とバックシート4の間には吸収体6が介装されている。
トップシート2及びバックシート4は、共に延長シートとして吸収体6よりも幅方向外側に延びて幅広部7Cを構成する。又、幅方向に吸収体6の端部と重なりつつ、さらに吸収体6よりも外側に至る領域に、トップシート2及びバックシート4とそれぞれ重なるようにして幅方向外側に延びる防漏シート70Cが配置されている。
【0033】
具体的には、吸収体6の上側に吸収体6よりも狭幅のトランスファーシート8が配置され、トランスファーシート8の幅方向両端部の上に重なるようにして幅方向外側に延びる防漏シート70Cが配置されている。そして、各防漏シート70Cを覆うように防漏シート70Cの上側に、トップシート2が配置されている。
又、吸収体6の下側に吸収体6の幅方向両端部の下に重なるようにして、かつ吸収体6の両端部を除く下面が表出するようにして、幅方向外側に延びる防漏シート70Cが配置されている。そして、各防漏シート70Cを覆うように防漏シート70Cの下側にバックシート4が配置されている。
このようにして、上下の防漏シート70C、及びそれらの上下に配置されるトップシート2とバックシート4とが上下方向に重なって幅広部7Cを構成している。又、図示はしないが、防漏シート70C(幅広部7C)とトップシート2及びバックシート4の幅方向の端部がホットメルト等により接合(シール)されている。
【0034】
図9は、吸収性物品20Cの長手方向中央部(幅広部7Cを除く部分)に沿う断面図である。
図9においても、
図8と同様に、トップシート2及びバックシート4は、共に延長シートとして吸収体6よりも幅方向外側に延びている。又、吸収体6よりも幅方向の内側で、トップシート2及びバックシート4とそれぞれ重なるようにして幅方向外側に延びる防漏シート70Cが配置され、その幅方向の端部が接合(シール)されている。
【0035】
第3の実施形態においては、防漏シート70Cに防漏性に優れるが肌触りの劣るシート(例えばポリエチレンシート)を使用した場合、肌触りの良いトップシートやバックシートで防漏シート70Cを覆うことにより触感をよくすることができる。
【0036】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、吸収性物品の形状は上記に限られないし、幅広部の形状及び個数も上記に限られない。
又、吸収性物品の積層構造も上記に限られない。
又、幅広部の幅は250〜400mmであることが好ましい。
【実施例】
【0037】
<吸収性物品の製造>
実施例1として、
図5〜
図7に示す第2の実施形態に係る吸収性物品20Bを製造した。吸収体6は、木材パルプフラッフと、公知の高吸水性樹脂(SAP)の粒子とを表1に示す割合で混合して形成した。
比較例1,2として、吸収性物品20Bと同一の平面形状としつつ、防漏シート70Bの代わりにそれぞれ撥水シート及び親水性シートを配置したこと以外は、吸収性物品20Bと同様にして吸収性物品を製造した。なお、表の比較例1の「SMMS不織布」とは、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布の4層構造の複合不織布を表す。
【0038】
表1の各構成部材の坪量を、JIS P8124に基づいて測定した。
<吸収性能>
あらかじめ重量を測定した上記吸収性物品を、生理食塩水に完全に5分間浸漬させた。浸漬後、吸収性物品のトップシートを下にして金網の上に載置して30秒水切りしたときの重量を測定して吸収後の重量とした。吸収前後の重量差を総吸収量とした。
<幅広部の表面からの浸み出し量>
得られた吸収性物品を、これより大きい防水シート上に載置した。次に、
図5に示すように、吸収性物品の幅広部7Bの長手方向上端で、かつ幅方向中央の位置P1で、トップシート2の表面に規定量(表1の注水量)の0.9wt%生理食塩水を注入した。そして、その5分後、両方の幅広部7Bの中央の位置P2の上にろ紙を載置し、さらにろ紙上におもりを30秒間載置し、ろ紙が吸収した水分量(g)を測定した。おもりの質量をそれぞれ変え、表1に示す各荷重が位置P2に加わるようにした。測定は、左右の幅広部7Bについてそれぞれ行い、両方の平均値を採用した。
なお、荷重35g/cm2は、平均的な成人が寝た状態で掛かる荷重を想定している。荷重70g/cm2は、平均的な成人が座った状態で掛かる荷重を想定している。荷重105g/cm2は、平均的な成人が横向きに寝て腰骨が当たった場合等、局部的に力が集中した状態を想定している。
得られた結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から明らかなように、幅広部が防漏性を有する実施例1の場合、幅広部に荷重が掛かっても表面からの浸み出しが無く、吸収性能も優れたものとなった。
一方、幅広部が防漏性を有しない比較例1、2の場合、幅広部に荷重が掛かると表面から液が浸み出した。このことより、幅広部が撥水性を有するだけでは不十分であり、防漏性を有することが必要である。なお、「撥水性」は液体をはじくが、荷重を加えると液体が滲み出すことをいう。「防漏(防水)性」を有するとは、表1に示すように、35〜105gf/cm
2の範囲の荷重を加えても液体が滲み出さないことをいう。又、「液体が滲み出さない」とは、上述の「幅広部の表面からの浸み出し量」で評価したとおり、対象とするシートの表面に生理食塩水を注入し、更にその上にろ紙を載置し、ろ紙の上から上記荷重を加えたときに、ろ紙が吸収した水分量が0gであることをいう。