(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-217701(P2015-217701A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】車内用オーナメント
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20151110BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20151110BHJP
B32B 7/02 20060101ALI20151110BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60K37/00 F
B60K37/00 G
B32B7/02 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-100411(P2014-100411)
(22)【出願日】2014年5月14日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹市 親史
【テーマコード(参考)】
3D023
3D344
4F100
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB25
3D023BD29
3D023BE11
3D344AA24
3D344AB01
3D344AC03
4F100AB10B
4F100AK01A
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AT00A
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA44D
4F100GB33
4F100HB00B
4F100JN01C
4F100JN01D
4F100JN02D
4F100JN22B
4F100JN30B
(57)【要約】
【課題】加飾部の色やインストルメントパネル等の形状の制約を受けることなく、また、ガラス板に偏光フィルムを貼るなどの作業工程も要することなく、ガラス映りを防止できる車内用オーナメントを提供する。
【解決手段】車内用オーナメントであって、加飾部24とトップコート28との間に、縞状の透明部分26aと不透明部分26bとが交互、かつ、平行に配置された構成のルーバー層26が設けられている。このルーバー層には、加飾部24を視認できる可視領域Aと、加飾部を視認できない非可視領域Bとがある。この非可視領域Bを、オーナメント本体20が映り込むガラス板の位置に対応させている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーナメント本体における基材の表面に高輝度あるいは明るい色の加飾部が設けられ、この加飾部がトップコートで被われた構成の車内用オーナメントであって、
加飾部とトップコートとの間に、縞状の透明部分と不透明部分とが交互、かつ、平行に配置された構成のルーバー層が設けられ、このルーバー層には、その表面と直角な基準線から両側の所定角度までは透明部分を通じて加飾部を視認できる可視領域と、所定角度を超えると不透明部分に遮蔽されて加飾部を視認できない非可視領域とがあり、この非可視領域を、オーナメント本体が映り込むガラス板の位置に対応させている車内用オーナメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車における車内用オーナメントに関する。詳しくは加飾部がアルミやパールといった高輝度の素材、あるいは明るい色の素材からなり、窓や計器類のガラス板に映り込みやすい種類の車内用オーナメントに関する。
【背景技術】
【0002】
窓などのガラス板に映り込む可能性のあるオーナメントについては、その生産準備段階において加飾部の色を調整し、あるいはオーナメントを装着するインストルメントパネル等の形状(意匠面の角度など)を選定している。また、フロントサイドドアのガラス板において、運転者がサイドミラーを見るときの視界内にオーナメントが映り込むと、サイドミラーに映る車外状況を把握しにくくなる。この対策として例えば特許文献1に記載されている技術では、フロントサイドドアの窓ガラスに偏光フィルムを貼ることにより、運転者がサイドミラーを見るときの視界内の窓ガラスに車内部材の像が映り込まないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−290081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加飾部の色調整やインストルメントパネル等の形状を変更することで、窓などのガラス板にオーナメントが映り込むのを防止する場合、オーナメントのデザインが制約される。また、特許文献1に記載された技術においては、窓ガラスに偏光フィルムを貼るための作業工程を要する。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、加飾部の色やインストルメントパネル等の形状の制約を受けることなく、また、ガラス板に偏光フィルムを貼るなどの作業工程も要することなく、ガラス映りを防止できる車内用オーナメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
【0007】
オーナメント本体における基材の表面に高輝度あるいは明るい色の加飾部が設けられ、この加飾部がトップコートで被われた構成の車内用オーナメントであって、加飾部とトップコートとの間に、縞状の透明部分と不透明部分とが交互、かつ、平行に配置された構成のルーバー層が設けられている。このルーバー層には、その表面と直角な基準線から両側の所定角度までは透明部分を通じて加飾部を視認できる可視領域と、所定角度を超えると不透明部分に遮蔽されて加飾部を視認できない非可視領域とがある。この非可視領域を、オーナメント本体が映り込むガラス板の位置に対応させている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オーナメント本体の加飾部が高輝度のメタリック等であっても、ルーバー層の非可視領域にある窓や計器類のガラス板にはオーナメント本体が暗い色で映り込むこととなる。これにより、例えばフロントサイドドアのガラス板において、運転者がサイドミラーを見るときの視界内ではオーナメント本体が暗い色で映り込むようにすれば、サイドミラーに映る車外状況の認識に支障をきたすことがない。この結果、フロントサイドドアのガラス板などにオーナメント本体が映り込むのを避けるための制約、すなわち加飾部の色やインストルメントパネル等の形状における制約が解消されるとともに、フロントサイドドアのガラス板に偏光フィルムを貼るなどの作業工程も不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車内における運転席側の一部を表した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
図1で示す運転席側のインストルメントパネル10には、ステアリングホイール12の右側にあるエア吹出し口13の下側においてオーナメント本体20が装着されている。このオーナメント本体20は、例えば高輝度のメタリック仕様のデザインになっている。オーナメント本体20は、これが装着されているインストルメントパネル10の傾斜角度などにより、サイドドア14のガラス板16に対して
図2で示す映り込み範囲Sで映り込むものとする。そして、この映り込み範囲Sは、運転者の視点Pからサイドミラー18を見たときの視界内に位置しているものとする(
図2)。
【0011】
オーナメント本体20は、樹脂製の基材22に対して加飾部24、ルーバー層26およびトップコート28が設けられた多層構造になっている(
図3)。
【0012】
加飾部24は、基材22の表面に設けられている。この加飾部24は、アルミやパールといった高輝度のフィルム状素材、あるいは明るい色の本木やプリント柄のフィルム状素材、さらには基材22の表面に明るい色の塗装を施すなど任意に選定することができる。なお、加飾部24がフィルム状素材の場合、基材22の表面に対して接着してもよく、または、予め金型内にセットされた加飾部24に対して基材22を射出によりインサート成形して相互を一体化してもよい。
【0013】
ルーバー層26は、加飾部24の表面に設けられている。このルーバー層26は、樹脂製の薄いフィルム(厚み100μm程度)であって、一般に「覗き見防止フィルム」と称されるものと同様の機能を有する。この機能を
図3によって説明する。
【0014】
ルーバー層26は、その表裏面に沿った一方向(
図3の紙面前後方向)に延びる縞状の透明部分26aと不透明部分26bとが交互、かつ、平行に複数配置されている。これによってルーバー層26には、その表面と直角な基準線Lから両側の所定角度までの可視領域Aと、これらの所定角度を超えた非可視領域Bとがある。可視領域Aは、各透明部分26aを通じて加飾部24を視認できる領域であり、非可視領域Bは各不透明部分26bに遮蔽されて加飾部24を視認できない領域である。なお、可視領域Aと非可視領域Bとの割合は、ルーバー層26の設計次第で調整することができる。
【0015】
トップコート28は、ルーバー層26の表面を被ったクリア層である。このトップコート28とルーバー層26とは、予め両者を一体化した二層のフィルムとしておき、それを加飾部24の表面に接着するのが基本構造である。ただ、基材22の色や材質によっては、その表面が加飾部24を兼ねる場合がある。その場合には、ルーバー層26とトップコート28とを一体化したフィルムを金型内にセットした状態で、基材22を射出によりインサート成形して相互を一体化することも可能である。
【0016】
この実施の形態では、ルーバー層26の非可視領域Bを、サイドドア14のガラス板16に対するオーナメント本体20の映り込み範囲Sに対応させている。これにより、例えば高輝度の加飾部24をもつオーナメント本体20であっても、映り込み範囲Sにおいては加飾部24がガラス板16に映り込まず、オーナメント本体20は暗い色の映り像となる。したがって、この映り込み範囲Sが運転者の視点Pからサイドミラー18を見たときの視界内に位置していても、サイドミラー18に映る車外状況の認識に支障をきたすことがない。
【0017】
なお、インストルメントパネル10の傾斜角度などによっては、オーナメント本体20が計器類のガラス板やフロント窓のガラス板に映り込む場合もある。この場合においても、それぞれの映り込み範囲をルーバー層26の非可視領域Bと対応させることで、オーナメント本体20が暗い色で映り込むこととなる。また、助手席側のオーナメント本体(図示省略)についてもオーナメント本体20と同様の対策をとることで、助手席側のサイドドアのガラス板に映り込むオーナメント本体の像が、サイドミラーの視認の妨げとならないようにできる。
【符号の説明】
【0018】
16 ガラス板
20 オーナメント本体
22 基材
24 加飾部
26 ルーバー層
26a 透明部分
26b 不透明部分
28 トップコート
A 可視領域
B 非可視領域
L 基準線