【解決手段】台車153と車体151との間に備えられるダンパ10と、ダンパ10に接続されたリザーバタンク20と、を備える制振制御装置を有した鉄道車両用の制振制御構造120において、制振制御装置は、第1制振制御装置110Aと第2制振制御装置110Bとを含み、第1制振制御装置110Aは、第1ダンパ10Aと、ヘッド側室10aとアキュムレータ60とを接続する縮みオンロード流路R1と、ロッド側室10bとヘッド側室10aとを接続する伸びオンロード流路R3と、を備え、第2制振制御装置110Bは、第1制振制御装置110Aと同様の構成を備え、第1制振制御装置110Aの有する第1ダンパ10Aと、第2制振制御装置110Bの有する第2ダンパ10Bとは、向かい合う位置に配置される。
台車と車体との間に備えられる制振制御用シリンダと、前記制振制御用シリンダのヘッド側室に接続されたリザーバタンクと、を備える制振制御装置を有した鉄道車両用の制振制御構造において、
前記制振制御装置は、第1制振制御装置と第2制振制御装置とを含み、
前記第1制振制御装置は、
第1制振制御用シリンダと、
前記第1制振制御用シリンダに備えられる前記ヘッド側室と第1アキュムレータとを接続する第1流路と、
前記第1制振制御用シリンダに備えられる前記ロッド側室と比例弁を介して前記ヘッド側室とを接続する第2流路と、を備え、
前記第2制振制御装置は、
第2制振制御用シリンダと、
前記第2制振制御用シリンダに備えられる前記ヘッド側室と第2アキュムレータとを接続する第3流路と、
前記第2制振制御用シリンダに備えられる前記ロッド側室と比例弁を介して前記ヘッド側室とを接続する第4流路と、を備え、
前記第1制振制御装置の有する第1制振制御用シリンダと、前記第2制振制御装置の有する第2制振制御用シリンダとは、向かい合う位置に配置されること、
を特徴とする鉄道車両用の制振制御構造。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に備えられるサスペンションには、制振制御装置としてフルアクティブアクチュエータやセミアクティブダンパが採用されている。フルアクティブアクチュエータは、加速度センサなどを用いて車両の揺れを検知すると、制御器が必要な圧力の大きさや向きを算出し、車体と台車の間に備えられるアクチュエータに指令を送り、車体の左右動を抑える。
【0003】
このようなフルアクティブアクチュエータは、優れた制振性能を発揮し、車両の乗り心地の改善に貢献する。が、一方で、専用の動力源を必要とする他、装置の大型化や電力消費を必要とし、設置スペースやコスト面での課題がある。このため、アクチュエータの代わりに可変減衰ダンパ等を用いたセミアクティブアダンパも普及している。セミアクティブダンパは、専用の動力源を必要としない。このため、厳密な圧力調整をすることができない一方で、設置スペースやコスト面でのメリットが得られる。
【0004】
特許文献1には、振動制御装置に関する技術が開示されている。振動制御装置は、制振制御用シリンダのヘッド側室にチェック弁を介してリザーバタンクを接続している。また、制振制御用シリンダのロッド側室に接続されるロッド側流路とヘッド側室に接続されたヘッド側流路と、リザーバタンクに接続されたリザーバ側流路とを備えている。また、ヘッド側流路とロッド側流路及びヘッド側流路とリザーバ側流路との連通・遮断を制御する切替弁を備えている。また、ロッド側流路とリザーバタンクとを接続する流路にはリリーフ弁が設けられ、ロッド側流路にはアキュムレータが接続されている。そして、アキュムレータに蓄圧することで、蓄圧形のフルアクティブアクチュエータとして機能させることが可能となる。
【0005】
特許文献2には、鉄道車両用の制振用ダンパに関する技術が開示されている。制振制御用シリンダのヘッド側室にチェック弁を介してリザーバタンクを接続している。また、制振制御用シリンダのロッド側室に接続されるロッド側流路とヘッド側室に接続されたヘッド側流路と、リザーバタンクに接続されたリザーバ側流路とを備えている。また、ロッド側流路には第1比例弁と第2比例弁とが接続されている。第1比例弁はヘッド側流路に接続され、第2比例弁はリザーバ側流路に接続され、ヘッド側流路にフェールセーフ弁とオリフィス及びリリーフ弁が接続されている。この為、オンロード制御とアンロード制御の切替が、第1比例弁と第2比例弁の何れかを作動油が通る事で行われる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の実施形態である油圧回路100を用いた鉄道車両150について、図面を用いて説明する。
【0016】
図1に、本実施形態の油圧回路図を示す。
図2に、鉄道車両150の断面図を示す。鉄道車両150は、
図2に示すように、乗客等を乗せる車体151とこれを支える台車153で構成されている。車体151と台車153の間には、ダンパ10と空気バネ152が備えられ、ダンパ10は油圧回路100によって制御されている。台車153は鉄道車両150の移動中に線路155等の影響を受けて、左右に移動する力を受ける。これらの力の発生を図示しない加速度センサで検出し、ダンパ10に作動油を送ることで、車体151の振動を積極的に抑制して、鉄道車両150の乗り心地を向上させる働きをする。詳しくは後述する。
【0017】
鉄道車両150に用いられる
図1に示すような油圧回路100は、ダンパ10、リザーバタンク20、第1開閉弁30A、第2開閉弁30B、第1チェック弁40A、第2チェック弁40B、第1フィルタ50A、第2フィルタ50B、アキュムレータ60、第1電磁比例弁70A、第2電磁比例弁70B、第1リリーフ弁75、及びパッシブ回路80を備えている。
【0018】
ダンパ10には、ヘッド側室10aとロッド側室10bが備えられ、シリンダチューブ10e内を、ピストン10dがヘッド側室10aとロッド側室10bとに隔てた一般的なシリンダ構造となっている。ピストン10dにはロッド10cが接続されている。また、ピストン10d内部には、第2チェック弁40Bが備えられており、ロッド側室10bからヘッド側室10aへの作動油の流れを規制し、ヘッド側室10aからロッド側室10bへの流れを許容する。
【0019】
図3に、鉄道車両150の側面図を示す。
図4に、鉄道車両150の上面より台車の状態を示す模式図を示す。鉄道車両150の車体151は2つの台車153、第1台車153Aと第2台車153Bで支持されており、第1台車153A及び第2台車153Bには、それぞれダンパ10が2本ずつ備えている。即ち、
図4に示すように、第1台車153Aに向かい合って備えられる第1ダンパ10A及び第2ダンパ10Bと、第2台車153Bに向かい合って備えられる第3ダンパ10C及び第4ダンパ10Dの4つで制振制御が行われている。特に断り無い場合は、第1ダンパ10A乃至第4ダンパ10Dはいずれも、或いは何れか1つを指してダンパ10と称することにする。
【0020】
このようなダンパ10は、
図1に示す油圧回路100に接続される。ダンパ10のヘッド側室10aには、第1開閉弁30Aを介してアキュムレータ60に接続される縮みオンロード流路R1と、リザーバタンク20と接続する第1リザーバ流路R6と、が接続されている。縮みオンロード流路R1には、ヘッド側室10aと第1開閉弁30Aとの間に第1フィルタ50Aが設けられている。第1リザーバ流路R6には、リザーバタンク20からダンパ10側に作動油が供給され、リザーバタンク20側に戻らないように第1チェック弁40Aが設けられている。なお、縮みオンロード流路R1と同じ流路で逆方向に流れる流路を伸びアンロード流路R2と定義する。
【0021】
ロッド側室10bよりヘッド側室10aまで接続する伸びオンロード流路R3は、第2フィルタ50Bと第1電磁比例弁70Aと第2開閉弁30Bと第1フィルタ50Aとが備えられている。このうち、第1フィルタ50Aを含む部分は、縮みオンロード流路R1及び伸びアンロード流路R2と伸びオンロード流路R3とで共通の流路となっている。第1電磁比例弁70Aは、ロッド側室10bの圧力を制御する目的で備えられている。第2開閉弁30Bは、第1開閉弁30Aと共に、パッシブ動作と制御動作とを切り替えるのに用いられる。
【0022】
伸びオンロード流路R3に備えられる第2フィルタ50Bの先より分岐してリザーバタンク20に接続するのが、リリース流路R4である。又、伸びオンロード流路R3の第1電磁比例弁70Aと第2開閉弁30Bとの間から分岐してリリース流路R4と交わって第2フィルタ50Bとロッド側室10bとの間に接続するのがリターン流路R5である。リリース流路R4には第1リリーフ弁75が設けられている。第1リリーフ弁75の働きにより所定の圧力を超えると流路を開放してリザーバタンク20に接続する構成となっている。
【0023】
リターン流路R5にはパッシブ回路80として第2リリーフ弁81と第1オリフィス82が並列に接続され、又、第2電磁比例弁70Bと第2オリフィス90を備えている。第2オリフィス90はリザーバタンク20のエア抜き用に設けられており、エアはリザーバタンク20から第2オリフィス90を通過して、ロッド側室10bに入り、ロッド側室10bより外部に抜ける構成となっている。
【0024】
そして、このような油圧回路100は、
図4に示される第1ダンパ10A乃至第4ダンパ10Dそれぞれに設けられている。このような、第1ダンパ10A乃至第4ダンパ10D及びそれぞれに備えられる油圧回路100が、鉄道車両150の制振制御構造120として機能する。第1ダンパ10Aを含む油圧回路100を第1制振制御装置110A、第2ダンパ10Bを含む油圧回路100を第2制振制御装置110Bとすると、第1制振制御装置110Aと第2制振制御装置110Bの第1ダンパ10Aと第2ダンパ10Bとは向かい合うように台車153に配置される。そして、一対の制振制御構造120を構成する。
【0025】
車体151に対して台車153は大抵2つ設けられるため、第1ダンパ10A乃至第4ダンパ10Dの都合4本のダンパ10が油圧回路100の一部として備えられ、鉄道車両150の乗り心地の向上を図っている。
【0026】
次に、本実施形態のダンパ10を含む油圧回路100の動作について説明を行う。説明は
図1と同じ油圧回路100を用いての説明となる。
【0027】
図5に、縮みオンロード動作の際の油圧回路図を示す。油圧回路100が縮みオンロード、即ちダンパ10のヘッド側室10aが狭くなる過程で、アキュムレータ60に蓄圧する段階である。ピストン10dがシリンダチューブ10eの中をヘッド側室10aが狭くなるように移動する。ヘッド側室10aから押し出された作動油は、縮みオンロード流路R1に入り、第1開閉弁30Aが開側になっていることで、第1開閉弁30Aを通過してアキュムレータ60に蓄圧される。
【0028】
図6に、伸びアンロード動作の際の油圧回路図を示す。油圧回路100が伸びアンロード、即ちダンパ10のロッド側室10bが狭くなる過程で、アキュムレータ60からの圧力供給をヘッド側室10a側に受ける段階である。蓄圧されたアキュムレータ60から、作動油が縮みオンロード流路R1を通ってヘッド側室10aに供給される。すなわち、アキュムレータ60より第1開閉弁30Aと第1フィルタ50Aを通過し、第1開閉弁30Aを通って、第1フィルタ50Aを通り、ヘッド側室10aに圧力が供給される。この結果、ロッド10cを伸び側により積極的に動かすように作用する。
【0029】
図7に、伸びオンロード動作の際の油圧回路図を示す。油圧回路100が伸びオンロード、即ちダンパ10のロッド側室10bが狭くなる過程で、ロッド側室10bより伸びアンロード流路R2を通過してヘッド側室10aに作動油が移動する段階である。この場合、アキュムレータ60からの圧力供給又はアキュムレータ60への蓄圧は行われない。油圧回路100は、このような作用を示す。
【0030】
本実施形態の制振制御構造120は上記構成であるので、以下に説明する作用及び効果を奏する。
【0031】
まず、制振制御構造120がフルアクティブアクチュエータとして運用が可能になる点が効果として挙げられる。本実施形態の制振制御構造120は、台車153と車体151との間に備えられるダンパ10と、ダンパ10のヘッド側室10aに接続されたリザーバタンク20と、を備える制振制御装置を有した鉄道車両用の制振制御構造120において、制振制御装置は、第1制振制御装置110Aと第2制振制御装置110Bとを含み、第1制振制御装置110Aは、第1ダンパ10Aと、第1ダンパ10Aに備えられるヘッド側室10aとアキュムレータ60とを接続する第1流路に相当する縮みオンロード流路R1と、第1ダンパ10Aに備えられるロッド側室10bと第1電磁比例弁70Aを介してヘッド側室10aとを接続する第2流路に相当する伸びオンロード流路R3と、を備える。
【0032】
また、第2制振制御装置110Bは、第2ダンパ10Bと、第2ダンパ10Bに備えられるヘッド側室10aとアキュムレータ60とを接続する第3流路に相当する縮みオンロード流路R1と、第2ダンパ10Bに備えられるロッド側室10bと第1電磁比例弁70Aを介してヘッド側室10aとを接続する第4流路に相当する伸びオンロード流路R3と、を備え、第1制振制御装置110Aの有する第1ダンパ10Aと、第2制振制御装置110Bの有する第2ダンパ10Bとは、向かい合う位置に配置される。
【0033】
また、第1の動作として、第1ダンパ10Aが作動することで、第1ダンパ10Aに接続するアキュムレータ60に蓄圧し、その際に第2ダンパ10Bはオンロード動作をし、第2の動作として、第2ダンパ10Bがアンロード動作をする際に、第1ダンパ10Aには、蓄圧された第1ダンパ10Aに接続されるアキュムレータ60から圧力供給を受ける。第3の動作として、第2ダンパ10Bが動作することで、第2ダンパ10Bに接続するアキュムレータ60に蓄圧し、その際に第1ダンパ10Aはオンロード動作をし、第4の動作として、第1ダンパ10Aがアンロード動作をする際に、第2ダンパ10Bには、蓄圧された第2ダンパ10Bに接続されるアキュムレータ60から圧力供給を受ける。そして、車体151の状態に応じて、この第1の動作乃至第4の動作を行うように第1電磁比例弁70Aまたは第2電磁比例弁70Bを切り替えること、が好ましい。
【0034】
具体的には、上記構成の制振制御構造120(第1制振制御構造120A及び第2制振制御構造120B)は次に説明するような動作を行う。
図8乃至
図11に、制振制御構造120の動作を表す説明図を示す。
図8には、第1の動作に相当する制振制御構造120の動作が示されている。
図9には、第2の動作に相当する制振制御構造120の動作が示されている。
図10には、第3の動作に相当する制振制御構造120の動作が示されている。
図10には、第4の動作に相当する制振制御構造120の動作が示されている。制振制御構造120は車体151の状態などに応じて、この制御を切り替えて運用される。
【0035】
先ず、第1の動作について説明を行う。第1の動作は、
図8に示される。まず、
図4に示すように、車体151に荷重F1がかかることで車体151がA側に移動する。このため、
図8に示すように第1ダンパ10Aと第3ダンパ10Cのヘッド側室10aは圧縮される方向に機能し、第2ダンパ10B及び第4ダンパ10Dのロッド側室10bは圧縮される方向に機能する。その結果、第1ダンパ10A及び第3ダンパ10Cに接続されるアキュムレータ60には、
図5に示すようにそれぞれ蓄圧される。
【0036】
一方の第2ダンパ10B及び第4ダンパ10Dは、アキュムレータ60に蓄圧されている場合には、
図6に示すようにヘッド側室10aに作動油が供給される。この場合は、制振制御構造120はフルアクティブアクチュエータとして機能する。
【0037】
第1ダンパ10Aと第2ダンパ10Bとが対向するよう配置した様子が
図8に示され、
図8の第1ダンパ10Aに接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令=0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令>0」に設定されている。一方、第2ダンパ10Bに接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令>0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令=0」に設定されている。
【0038】
この為、第1ダンパ10Aに接続される油圧回路100は、ヘッド側室10aより押し出された作動油が、第1フィルタ50A、第1開閉弁30Aを通過する縮みオンロード流路R1を通ってアキュムレータ60に蓄圧される。第3ダンパ10Cに接続される油圧回路100に関しても同様である。一方、第2ダンパ10Bに接続される油圧回路100は、ロッド側室10bより押し出された作動油が、第2フィルタ50B、第1電磁比例弁70A、第2開閉弁30B、第1フィルタ50Aを通過する伸びオンロード流路R3を通って、ヘッド側室10aに作動油が供給される。この場合、第1電磁比例弁70Aは「圧力指令>0」となっているので、低圧でヘッド側室10aに作動油が供給される結果となる。第4ダンパ10Dに接続される油圧回路100に関しても同様である。
【0039】
次に、第2の動作を説明する。
図9に示すように車体151に荷重F2がかかった場合には、車体151が
図4のB側に移動するため、第2ダンパ10B及び第4ダンパ10Dのヘッド側室10aは圧縮される方向に機能し、第1ダンパ10Aと第3ダンパ10Cのロッド側室10bは圧縮される方向に機能する。その結果、第1ダンパ10A及び第3ダンパ10Cには、
図6に示すように接続されるアキュムレータ60より圧力を供給される。一方の第2ダンパ10B及び第4ダンパ10Dは、ヘッド側室10aから作動油がリザーバタンク20に供給され、制振制御構造120はアクティブダンパとして機能する。
【0040】
図9の第1ダンパ10Aに接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令=0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令>0」に設定されている。一方、第2ダンパ10Bに接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令>0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令=0」に設定されている。
【0041】
この為、第1ダンパ10Aに接続される油圧回路100は、第1ダンパ10Aのヘッド側室10aに、アキュムレータ60に蓄圧された圧力を、第1開閉弁30A、及び第1フィルタ50Aを介して、つまり伸びアンロード流路R2を介して供給する。第3ダンパ10Cに接続される油圧回路100に関しても同様である。一方、第2ダンパ10Bに接続される油圧回路100は、ヘッド側室10aより押し出された低圧の作動油が、第1開閉弁30A、及び第2電磁比例弁70Bを通過して、すなわちリリース流路R4を通過してリザーバタンク20に供給される。第4ダンパ10Dに接続される油圧回路100に関しても同様である。
【0042】
次に、第3の動作を説明する。
図10に示すように車体151に荷重F2がかかった場合には、車体151が
図4のB側に移動するため、第2ダンパ10B及び第4ダンパ10Dのヘッド側室10aは圧縮される方向に機能し、第1ダンパ10Aと第3ダンパ10Cのロッド側室10bは圧縮される方向に機能する。その結果、第2ダンパ10B及び第4ダンパ10Dに接続されるアキュムレータ60には、
図5に示すようにそれぞれ蓄圧される。一方の第1ダンパ10A及び第3ダンパ10Cは、
図7に示すように、ロッド側室10bからの作動油が供給され、制振制御構造120はセミアクティブダンパとして機能する。
【0043】
図10の第1ダンパ10Aに接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令>0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令=0」に設定されている。一方、第2ダンパ10Bに接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令=0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令>0」に設定されている。
【0044】
この為、第1ダンパ10Aに接続される油圧回路100は、ロッド側室10bより押し出された作動油が、第2フィルタ50B、第1電磁比例弁70A、第2開閉弁30B、第1フィルタ50Aを通過する伸びオンロード流路R3を通って、ヘッド側室10aに作動油が供給される。第3ダンパ10Cに接続される油圧回路100に関しても同様である。一方、第2ダンパ10Bに接続される油圧回路100は、ヘッド側室10aより押し出された作動油が、第1フィルタ50A、第1開閉弁30Aを通過する縮みオンロード流路R1を通ってアキュムレータ60に蓄圧される。第3ダンパ10Cに接続される油圧回路100に関しても同様である。
【0045】
次に、第4の動作を説明する。
図11に示すように車体151に荷重F1がかかった場合には、車体151が
図4のA側に移動するため、第1ダンパ10A及び第3ダンパ10Cのヘッド側室10aは圧縮される方向に機能し、第2ダンパ10Bと第4ダンパ10Dのロッド側室10bは圧縮される方向に機能する。その結果、第2ダンパ10B及び第4ダンパ10Dには、
図6に示すように接続されるアキュムレータ60より圧力を供給される。一方の第1ダンパ10A及び第3ダンパ10Cは、ヘッド側室10aから作動油がリザーバタンク20に供給され、制振制御構造120はアクティブダンパとして機能する。
【0046】
図11の第1ダンパ10Aに接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令>0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令=0」に設定されている。一方、第2ダンパ10Bに接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令=0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令>0」に設定されている。
【0047】
この為、第1ダンパ10Aに接続される油圧回路100は、第1ダンパ10Aのヘッド側室10aより押し出された低圧の作動油が、第1開閉弁30A、及び第2電磁比例弁70Bを通過して、すなわちリリース流路R4を通過してリザーバタンク20に供給される。第3ダンパ10Cに接続される油圧回路100に関しても同様である。一方、第2ダンパ10Bに接続される油圧回路100は、第2ダンパ10Bのヘッド側室10aに、アキュムレータ60に蓄圧された圧力を、第1開閉弁30A、及び第1フィルタ50Aを介して、つまり伸びアンロード流路R2を介して供給する。第4ダンパ10Dに接続される油圧回路100に関しても同様である。
【0048】
図12に、縮みオンロード指令/伸びアンロード指令の制御動作図を示す。
図13に、縮みアンロード指令/伸びオンロード指令の制御動作図を示す。
図12のダンパ10に接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令=0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令>0」に設定されている。この結果、ダンパ10を含む油圧回路100は、縮みオンロード動作又は伸びアンロード動作、つまり、
図8及び
図9に示される第1ダンパ10A側の油圧回路100、
図10及び
図11に示される第2ダンパ10B側の油圧回路100と同様の設定となっている。
図12は
図8の第1ダンパ10A側の油圧回路100、
図10の第2ダンパ10B側の油圧回路100と同様の挙動を示している。
【0049】
一方、
図13のダンパ10に接続する第1電磁比例弁70Aは「圧力指令>0」に設定され、第2電磁比例弁70Bは「圧力指令=0」に設定されている。この結果、ダンパ10を含む油圧回路100は、縮みアンロード動作、及び伸びオンロード動作を行う。つまり、
図8又は
図9に示される第2ダンパ10B側の油圧回路100、
図10又は
図11に示される第1ダンパ10A側の油圧回路100と同様の設定となっている。ただし、
図12の状態から
図13の状態に切り替えた状態を説明しているので、アキュムレータ60からリザーバタンク20に作動油が流れる状態となり、ダンパ10はセミアクティブダンパとして機能する。なお、
図8乃至
図11の第2ダンパ10Bは配置の関係上、
図13とは反転して油圧回路100が描かれており、
図13とは条件が異なる。
【0050】
このように、制振制御構造120は、第1ダンパ10A乃至第4ダンパ10Dのそれぞれに備えられる油圧回路100の第1電磁比例弁70A及び第2電磁比例弁70Bの設定を適宜切り替えることで、縮みアンロード動作、伸びオンロード動作、縮みオンロード動作、又は伸びアンロード動作を適宜選択することができる。なお、第1開閉弁30A及び第2開閉弁30Bをそれぞれ閉にした場合は、ダンパ10はパッシブ動作をするのでパッシブダンパとして機能することになる。これらを適宜選択して制御することで、車体151の振動を積極的に抑制して鉄道車両150の乗り心地向上に寄与できる。
【0051】
そして、制振制御構造120は、第1制振制御構造120Aと第2制振制御構造120Bが交互にそれぞれのアキュムレータ60に蓄圧しながらフルアクティブアクチュエータとして機能するので、単体でセミアクティブダンパとして機能する期間が短く、フルアクティブアクチュエータとして機能する期間を長くすることが可能である。この結果、鉄道車両150の乗り心地の向上を図ることができる。また、フルアクティブアクチュエータを動作させるときに外部動力を必要としないので、油圧回路100の小型化が可能であり、油圧ポンプや電源などの大きな部品を使用せずにフルアクティブアクチュエータとして機能させることができるので低コスト化を図ることが可能となる。更に、油圧回路100の一部が故障したとしても、セミアクティブダンパとして機能するので、フェールセーフとなる。
【0052】
以上、本実施形態に則して発明を説明したが、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更することにより実施することもできる。例えば、油圧回路100の回路構成について、発明の要旨を変更しない範囲での変更を妨げない。