【解決手段】複数の蓄電池1,2と、各蓄電池と負荷7,11との間に介在される電源ボックス3と、電源ボックス内に設けられ、各蓄電池から負荷に電力を供給するか否かを選択するスイッチ手段18a,18bと、各蓄電池の出力電圧を検知して、負荷に電力を供給する蓄電池を選択するようにスイッチ手段を開閉制御するスイッチ制御部19とを備えた自動車の電源装置において、スイッチ制御部19は、負荷7,11の駆動時に負荷制御部24から出力される制御信号に基づいて、スイッチ手段18a,18bによる蓄電池選択動作を可能とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された電源装置では、バッテリーが失陥した場合には、バックアップ電源を充電することができないため、負荷に安定して電力を供給することができない。
また、冗長経路にダイオードが介在されるため、負荷に大電流を供給するとき、ダイオードにより電圧損失が生じるとともに、発熱する。従って、電流容量の大きい負荷に電力を供給する電源装置として使用することができない。
【0006】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は負荷に対し安定して電力を供給し得る自動車の電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する自動車の電源装置は、複数の蓄電池と、前記各蓄電池と負荷との間に介在される電源ボックスと、前記電源ボックス内に設けられ、前記各蓄電池から前記負荷に電力を供給するか否かを選択するスイッチ手段と、前記各蓄電池の出力電圧を検知して、前記負荷に電力を供給する蓄電池を選択するように前記スイッチ手段を開閉制御するスイッチ制御部とを備えた自動車の電源装置において、前記スイッチ制御部は、前記負荷の駆動時に負荷制御部から出力される制御信号に基づいて、前記スイッチ手段による蓄電池選択動作を可能とすることを特徴とする。
【0008】
この構成により、負荷制御部から制御信号が入力されると、スイッチ手段で選択された蓄電池から負荷に電力が供給される。
また、上記の自動車の電源装置において、前記スイッチ制御部は、前記各蓄電池の出力電圧を比較する比較器と、前記制御信号に基づいて、前記比較器の比較結果に対応して前記スイッチ手段を開閉制御する論理回路とを備えることが好ましい。
【0009】
この構成により、各蓄電池の出力電圧に基づいて負荷に電力を供給する蓄電池が選択され、制御信号の入力に基づいて、選択された蓄電池から負荷に電力が供給される。
また、上記の自動車の電源装置において、前記スイッチ制御部は、前記各蓄電池の出力電圧に基づいて、あらかじめ設定されたプログラムに基づいて前記蓄電池を選択する電源監視部と、前記制御信号に基づいて、前記電源監視部で選択された蓄電池から負荷に電力を供給するように前記スイッチ手段を制御する駆動部を備えることが好ましい。
【0010】
この構成により、各蓄電池の出力電圧に基づいて負荷に電力を供給する蓄電池が予め設定されたプログラムに基づいて選択され、制御信号の入力に基づいて、選択された蓄電池から負荷に電力が供給される。
【0011】
また、上記の自動車の電源装置において、前記各蓄電池の出力電圧に基づいて、あらかじめ設定されたプログラムに基づいて前記蓄電池を選択し、前記制御信号に基づいて、選択された蓄電池から負荷に電力を供給するように前記スイッチ手段を制御する電源監視ECUを備えることが好ましい。
【0012】
この構成により、電源監視ECUにより各蓄電池の出力電圧に基づいて負荷に電力を供給する蓄電池が予め設定されたプログラムに基づいて選択され、制御信号の入力に基づいて、選択された蓄電池から負荷に電力が供給される。
【0013】
また、上記の自動車の電源装置において、前記スイッチ手段は、前記スイッチ制御部により開閉制御されるリレーとすることが好ましい。
この構成により、蓄電池からリレーを介して負荷に電力が供給される。
【0014】
また、上記の自動車の電源装置において、前記スイッチ手段は、前記スイッチ制御部により開閉制御されるパワーMOSFETとすることが好ましい。
この構成により、蓄電池からパワーMOSFETを介して負荷に電力が供給される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の自動車の電源装置によれば、負荷に対し安定して電力を供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一の実施形態)
以下、自動車の電源装置の第一の実施形態を
図1〜
図3に従って説明する。メインバッテリー1及びサブバッテリー2は、電源ボックス3に接続される。メインバッテリー1及びサブバッテリー2は、例えば回生動作時にオルタネータ(図示しない)から電力が供給されて充電される。
【0018】
前記電源ボックス3内には、電流容量の大きい負荷やその他の負荷群に対し、メインバッテリー1及びサブバッテリー2の少なくともいずれかから電力を供給可能とする冗長機能が備えられている。
【0019】
具体的には、前記メインバッテリー1は電源ボックス3内に設けられるヒューズ4とリレー5の接点t1及び電源ボックス3外へ延設される電源配線6を介してワイパーモータ等の負荷7に接続されている。従って、リレー5の接点t1が導通状態となると、メインバッテリー1からヒューズ4及び接点t1を介して負荷7に電力が供給される。
【0020】
また、前記メインバッテリー1は電源ボックス3内に設けられるヒューズ8とリレー9の接点t3及び電源ボックス3外へ延設される電源配線10を介してヘッドランプ等の負荷11に接続されている。従って、リレー9の接点t3が導通状態となると、メインバッテリー1からヒューズ8及び接点t3を介して負荷11に電力が供給される。
【0021】
前記サブバッテリー2は、電源ボックス3内に設けられるヒューズ12とリレー13の接点t2及び電源ボックス3外へ延設される電源配線14を介して前記負荷7に接続されている。従って、リレー13の接点t2が導通状態となると、サブバッテリー2からヒューズ12及び接点t2を介して負荷7に電力が供給される。
【0022】
また、前記サブバッテリー2は、電源ボックス3内に設けられるヒューズ15とリレー16の接点t4及び電源ボックス3外へ延設される電源配線17を介して前記負荷11に接続されている。従って、リレー16の接点t4が導通状態となると、サブバッテリー2からヒューズ15及び接点t4を介して負荷11に電力が供給される。
【0023】
このような構成により、負荷7はリレー5,13で構成されるスイッチ手段18aを介してメインバッテリー1及びサブバッテリー2のいずれかから電力が供給される。また、負荷11はリレー9,16で構成されるスイッチ手段18bを介してメインバッテリー1及びサブバッテリーのいずれかから電力が供給される。ワイパーモータやランプ以外の他の負荷25に対しても、同様なスイッチ手段18cを介して電力が供給される。
【0024】
前記各スイッチ手段18a〜18cは、それぞれスイッチ制御部19により開閉制御される。スイッチ手段18aを開閉制御するスイッチ制御部19を
図2に従って説明する。
スイッチ制御部19は、比較器20,21とNAND回路22,23を備えている。比較器20,21には、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svがそれぞれ入力されている。
【0025】
比較器20はメインバッテリー1とサブバッテリー2の出力電圧mv,svを比較し、メインバッテリー1の出力電圧mvがサブバッテリー2の出力電圧svより低いとき、Hレベルの出力信号をNAND回路22の一方の入力端子に出力する。また、メインバッテリー1の出力電圧mvがサブバッテリー2の出力電圧svより高いとき、Lレベルの出力信号をNAND回路22の一方の入力端子に出力する。
【0026】
NAND回路22の他方の入力端子には、負荷7の動作を制御するワイパーECU24から出力される制御信号wcが入力される。制御信号wcは、負荷7を駆動する場合にHレベルとなる信号である。
【0027】
従って、メインバッテリー1の出力電圧mvがサブバッテリー2の出力電圧svより高くなり、且つ制御信号wcがHレベルとなると、NAND回路22の出力信号がLレベルとなる。すると、メインバッテリー1からリレー5のコイルに励磁電流が流れ、接点t1が導通状態となって、メインバッテリー1から負荷7に電力を供給可能となる。
【0028】
また、メインバッテリー1の出力電圧mvがサブバッテリー2の出力電圧svより低くなると、比較器20の出力信号がLレベルとなる。すると、制御信号wcに関わらず、NAND回路22の出力信号がHレベルとなり、リレー5のコイルに励磁電流が流れなくなる。この結果、リレー5の接点t1が不導通状態となり、メインバッテリー1から負荷7への電力の供給が遮断される。
【0029】
比較器21はメインバッテリー1とサブバッテリー2の出力電圧mv,svを比較し、サブバッテリー2の出力電圧svがメインバッテリー1の出力電圧mvより高いとき、Hレベルの出力信号をNAND回路23の一方の入力端子に出力する。また、サブバッテリー2の出力電圧svがメインバッテリー1の出力電圧mvより低いとき、Lレベルの出力信号をNAND回路23の一方の入力端子に出力する。
【0030】
NAND回路23の他方の入力端子には、前記制御信号wcが入力される。従って、サブバッテリー2の出力電圧svがメインバッテリー1の出力電圧mvより高くなり、且つ制御信号wcがHレベルとなると、NAND回路22の出力信号がLレベルとなる。すると、サブバッテリー2からリレー13のコイルに励磁電流が流れ、接点t2が導通状態となって、サブバッテリー2から負荷7に電力を供給可能となる。
【0031】
また、サブバッテリー2の出力電圧svがメインバッテリー1の出力電圧mvより低くなると、比較器20の出力信号がLレベルとなる。すると、制御信号wcに関わらず、NAND回路23の出力信号がHレベルとなり、リレー13のコイルに励磁電流が流れなくなる。この結果、リレー13の接点t2が不導通状態となり、サブバッテリー2から負荷7への電力の供給が遮断される。
【0032】
このような構成により、スイッチ手段18aではワイパーECU24からHレベルの制御信号wcが出力されるとき、メインバッテリー1とサブバッテリー2のいずれかから負荷7に電力を供給するように動作する。
【0033】
また、負荷7の不使用時にはワイパーECU24からLレベルの制御信号wcが出力される。すると、リレー5,13の接点t1,t2はともに不導通状態となり、負荷7には電力が供給されない。
【0034】
スイッチ手段18bを制御するスイッチ制御部19は、ランプ制御用のECU26から制御信号が入力される点を除いてスイッチ手段18aを制御するスイッチ制御部19と同様な構成である。
【0035】
次に、上記のように構成された電源装置の作用を説明する。
負荷7すなわちワイパーの不使用時には、ワイパーECU24からLレベルの制御信号wcが出力される。すると、NAND回路22,23の出力信号はともにHレベルとなり、接点t1,t2はともに不導通状態となって、負荷7への電力供給が遮断される。
【0036】
メインバッテリー1及びサブバッテリー2が正常に充電されてほぼ同電圧を出力している状態で、Hレベルの制御信号wcが入力されると、比較器20,21の出力信号に基づいて、リレー5,13の接点t1,t2のいずれか一方が導通状態となる。
【0037】
すると、負荷7にはメインバッテリー1及びサブバッテリー2のいずれかから電力が供給される。
図3に示すように、メインバッテリー1の出力電圧mvが低下し、あるいは失陥した場合には、比較器20の出力信号がLレベルとなってNAND回路22の出力信号がHレベルとなる。この結果、リレー5の接点t1が不導通となり、リレー13の接点t2が導通状態となって、負荷7にはサブバッテリー2から電力が供給される。
【0038】
また、サブバッテリー2の電圧が低下し、あるいは失陥した場合には、比較器21の出力信号がLレベルとなってNAND回路23の出力信号がHレベルとなる。この結果、リレー13の接点t2が不導通となり、負荷7にはメインバッテリー1から電力が供給される。スイッチ手段18b,18cにおいても、同様に動作する。
【0039】
上記のような自動車の電源装置では、次に示す効果を得ることができる。
(1)メインバッテリー1とサブバッテリー2のいずれか一方の出力電圧が低下し、あるいは失陥した場合、他方のバッテリーから負荷7,11に電力を供給することができる。従って、電源の冗長化を図り、負荷7,11に所要の電力を安定して供給することができる。
(2)負荷7,11へ電力を供給するか否かを制御する負荷リレーの機能を、電源ボックス内のリレー5,9,13,16に共用して備えることができる。従って、電源ボックス3と各負荷7,11との間に、負荷リレーを別途設ける必要はないので、部品点数を削減して、電源装置のコストを低減することができる。
(第二の実施形態)
図4〜
図9は、第二の実施形態を示す。この実施形態は、第一の実施形態のスイッチ制御部19に代えて、あらかじめ設定されたプログラムに基づいてスイッチ手段18aの動作を制御するスイッチ制御部を備えたものである。負荷7への電力の供給を開閉制御するスイッチ手段18aを制御するスイッチ制御部について説明し、第一の実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
図4に示すように、電源ボックス31内にはマイコン32がスイッチ制御部として備えられ、そのマイコン32には電源監視部33とリレー制御部(駆動部)34が設けられている。
【0041】
電源監視部33には、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svが入力される。そして、電源監視部33は各出力電圧mv,svに基づいてリレー制御部34を駆動して、リレー5,13のコイルに励磁電流を供給し、各リレー5,13の接点t1,t2のいずれかあるいは両方が導通状態となるように制御する。
【0042】
前記電源監視部33には、リレー5,13を開閉制御するプログラムが複数備えられ、いずれかのプログラムを選択してリレー5,13の開閉動作を制御することが可能である。
【0043】
また、リレー制御部34にはワイパーECU24から出力される制御信号wcが入力される。制御信号wcは、負荷7を駆動する場合にHレベルとなる信号である。そして、リレー制御部34は制御信号wcがHレベルとなったとき、電源監視部33の出力信号に基づいてリレー5,13の接点t1,t2の少なくともいずれかを導通状態とする。
【0044】
制御信号wcがLレベルとなる場合は、リレー5,13の接点t1,t2がともに不導通状態となり、負荷7への電力供給が遮断される。
以下に、制御信号wcがHレベルとなった場合における各プログラムに基づく開閉制御動作について説明する。
【0045】
[第一の開閉制御]
図7に示すように、電源監視部33はメインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svを監視しながら、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svとを比較する(ステップ1,2)。
【0046】
そして、ステップ2において、メインバッテリー1の出力電圧mvがサブバッテリー2の出力電圧svより高い電圧であると、リレー5の接点t1を導通状態とし、リレー13の接点t2を不導通とする(ステップ3,4)。この状態では、メインバッテリー1から負荷7に電力を供給可能である。
【0047】
また、ステップ2において、サブバッテリー2の出力電圧svがメインバッテリー1の出力電圧mvより高い電圧であると、リレー5の接点t1を不導通状態とし、リレー13の接点t2を導通状態とする(ステップ5,6)。この状態では、サブバッテリー2から負荷7に電力を供給可能である。このような開閉制御動作は、第二の実施形態と同様である。
【0048】
[第二の開閉制御]
図8に示すように、電源監視部33はメインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svを監視しながら、メインバッテリー1の出力電圧mvとあらかじめ設定されたしきい値電圧vtとを比較する(ステップ11,12)。
【0049】
しきい値電圧vtは、メインバッテリー1及びサブバッテリー2の出力電圧mv,svが正常であると判定するための下限電圧である。
図5に示すように、ステップ12で、メインバッテリー1の出力電圧mvがしきい値電圧vtより低いと、メインバッテリー1が正常に動作していないと判定して、リレー5の接点t1を不導通状態とする(ステップ13)。
【0050】
また、メインバッテリー1の出力電圧mvがしきい値電圧vtより高ければ、メインバッテリー1が正常に動作していると判定して、リレー5の接点t1を導通状態とする(ステップ14)。
【0051】
次いで、サブバッテリー1の出力電圧svとあらかじめ設定されたしきい値電圧vtとを比較する(ステップ15)。
ステップ15で、サブバッテリー2の出力電圧svがしきい値電圧vtより低いと、サブバッテリー2が正常に動作していないと判定して、リレー13の接点t2を不導通状態として(ステップ16)、開閉制御動作を終了する。
【0052】
また、サブバッテリー2の出力電圧svがしきい値電圧vtより高ければ、サブバッテリー2が正常に動作していると判定して、リレー13の接点t2を導通状態として(ステップ17)、開閉制御動作を終了する。
【0053】
このような開閉制御動作では、メインバッテリー1及びサブバッテリー2の出力電圧mv,svがともにしきい値電圧vtより高ければ、リレー12,13の接点t1,t2はともに導通状態となる。従って、負荷7にはメインバッテリー1及びサブバッテリー2から電力が供給される。
【0054】
また、メインバッテリー1及びサブバッテリー2の出力電圧mv,svのいずれか一方がしきい値電圧vtより低くなると、出力電圧が正常に維持されているバッテリーから電力が供給される。
【0055】
メインバッテリー1及びサブバッテリー2の出力電圧mv,svがいずれもしきい値電圧vtより低い場合には、リレー5,13の接点t1,t2はともに不導通状態となり、負荷への電力供給が遮断される。
【0056】
[第三の開閉制御]
図9に示すように、電源監視部33はメインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svを監視しながら、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svの電位差vdを算出する(ステップ21,22)。
【0057】
次いで、算出された電位差vdが予め設定されたしきい値vdt以下であるか否かを判定する(ステップ23)。しきい値vdtは、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリーの出力電圧svの電位差vdの上限を設定するものであり、電位差vdがしきい値vdtを超えるときには、メインバッテリー1とサブバッテリー2のいずれかの出力電圧が大きく低下している場合である。
【0058】
図6に示すように、ステップ23で電位差vdがしきい値vdt以下である場合には、リレー5,13の接点t1,t2を、ともに導通状態とする(ステップ24,25)。
ステップ23で、電位差vdがしきい値vdtより大きい場合には、ステップ26に移行して、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svを比較する。
【0059】
そして、メインバッテリー1の出力電圧mvがサブバッテリー2の出力電圧svより高い場合には、サブバッテリー2の出力電圧svが異常であると判定して、リレー5の接点t1を導通状態とし、リレー13の接点t2を不導通とする。すると、負荷7にはメインバッテリー1から電力を供給可能となる。
【0060】
ステップ26で、サブバッテリー2の出力電圧svがメインバッテリー1の出力電圧mvより高い場合には、メインバッテリー1の出力電圧mvが異常であると判定して、リレー13の接点t2を導通状態とし、リレー5の接点t1を不導通とする。すると、負荷7にはサブバッテリー2から電力を供給可能となる。
【0061】
上記のような自動車の電源装置では、第一の実施形態で得られた効果に加えて、次に示す効果を得ることができる。
(1)メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svがともにしきい値電圧vtより高ければ、接点t1,t2を、ともに導通状態として、メインバッテリー1及びサブバッテリー2から負荷7に電力を供給することができる。
(2)第三の開閉制御では、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svの電位差vdに基づいてリレー5,13の接点t1,t2を開閉制御する。従って、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svがともに低下しても、その電位差vdがしきい値vdtを超えなければ、メインバッテリー1及びサブバッテリー2から負荷7に電力を供給することができる。また、メインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svがともに低下し、かつ電位差vdがしきい値vdtを超えた場合にも、出力電圧の高い一方のバッテリーから負荷7に電力を供給することができる。
(第三の実施形態)
図10〜
図12は、第三の実施形態を示す。この実施形態は、電源ボックス外に備えられた電源監視ECU(スイッチ制御部)により電源ボックス内のリレー(スイッチ手段)を開閉制御する構成としたものである。負荷7への電力の供給を開閉制御するスイッチ手段18aを開閉制御する電源監視ECUについて説明し、第三の実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0062】
メインバッテリー1及びサブバッテリー2には、当該バッテリーの出力電圧mv,svを検出するバッテリーセンサ42,43が接続され、各センサ42,43の検出信号が電源ボックス41の外部に配設される電源監視ECU44に入力される。
【0063】
また、メインバッテリー1から電力が供給されるスタータモータ45は、その始動時にスタータ始動信号stを電源監視ECU44に出力する。
電源監視ECU44は、前記バッテリーセンサ42,43から出力される検出信号と、スタータ始動信号st及びあらかじめ設定されているプログラムに基づいて、電源ボックス41内のリレー12,13を開閉制御する。
【0064】
前記電源監視ECU44には前記ワイパーECU24から制御信号wcが入力される。制御信号wcは、負荷7を駆動する場合にHレベルとなる信号である。そして、電源監視ECU44は制御信号wcがHレベルとなったとき、各センサ42,43の検出信号及びスタータ始動信号stに基づいてリレー5,13の接点t1,t2を開閉制御する。
【0065】
制御信号wcがLレベルとなる場合は、リレー5,13の接点t1,t2がともに不導通状態となり、負荷7への電力供給が遮断される。
次に、電源監視ECU44の作用を
図11及び
図12に従って説明する。
【0066】
図12に示すように、電源監視ECU44はバッテリーセンサ42,43から出力される検出信号に基づいてメインバッテリー1の出力電圧mvとサブバッテリー2の出力電圧svを監視している(ステップ31,32)。
【0067】
ステップ32で、メインバッテリー1の出力電圧mvの低下が検出されると、電源監視ECU44はリレー5の接点t1を不導通状態とし(ステップ33)、ステップ35に移行する。
【0068】
また、ステップ32で、メインバッテリー1の出力電圧mvの低下が検出されないと、電源監視ECU44はリレー5の接点t1を導通状態とし(ステップ34)、ステップ35に移行する。
【0069】
ステップ35で、サブバッテリー2の出力電圧svの低下が検出されると、電源監視ECU44はリレー13の接点t2を不導通状態とし(ステップ36)、ステップ38に移行する。
【0070】
また、ステップ35で、サブバッテリー2の出力電圧mvの低下が検出されないと、電源監視ECU44はリレー13の接点t2を導通状態とし(ステップ37)、ステップ38に移行する。
【0071】
次いで、ステップ38ではスタータ始動信号stの入力を監視している。
図11に示すように、スタータ始動信号stが入力されると(ステップ39)、サブバッテリー2の出力電圧svが正常であるか否かを判定し(ステップ40)、正常である場合には、リレー5の接点t1を不導通状態とする(ステップ41)。
【0072】
この状態で、スタータモータ45が作動すると、
図11に示すように、メインバッテリー1の出力電圧mvが一時的に低下する電源ノイズNが発生するが、接点t1が不導通状態であるので、この電源ノイズNは負荷に影響を及ぼすことはない。そして、スタータモータ45の作動の終了後は、接点t1は導通状態に復帰する。
【0073】
ステップ39で、スタータ始動信号stが入力されない場合は、接点t1を導通状態に維持する(ステップ42)。また、ステップ40でサブバッテリー2の出力電圧svが正常ではない場合には、ステップ42に移行して、接点t1を導通状態に維持する。
【0074】
従って、スタータ始動時にサブバッテリー2が正常に電力供給できないときには、メインバッテリー1から負荷7に電力を供給することにより、負荷7への電力供給が継続可能となる。
【0075】
上記のような自動車の電源装置では、電源監視ECU44に第二の実施形態の電源監視部と同様な機能を持たせることにより、第二の実施形態と同様な効果を得ることができるとともに、次に示す効果を得ることができる。
(1)メインバッテリー1から電力が供給されるスタータモータ45の始動に先立って、リレー5の接点t1を不動通状態とすることができる。従って、スタータモータ45の動作によりメインバッテリー1の出力電圧mvに発生する電源ノイズNを負荷に伝達しないようにすることができる。負荷として電源ノイズの影響を受けやすい電子機器を接続する場合に有用である。
(2)サブバッテリー2が正常に電力を供給できない場合には、スタータモータ45の始動時にも、リレー5の接点t1を導通状態に維持することができる。従って、スタータモータ45の始動時に負荷への電力供給が遮断されないようにすることができる。
【0076】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第一の実施形態において、各接点t1〜t4が導通状態及び不導通状態であるとき、各負荷7,11に供給される電源電圧を検出する検出手段を備え、その検出結果に基づいて各リレー5,9,13,16の接点t1〜t4を開閉制御するようにしてもよい。このような構成により、ヒューズ4,8,12,15の溶断、各接点t1〜t4の溶着、電源配線6,10,14,17の断線等を検出することができる。このような構成により、正常に動作する電源経路でメインバッテリー1あるいはサブバッテリー2から負荷7,11に電力を供給することができる。
・第一〜第三の実施形態において、リレー5,9,13,16に代えて、
図13に示すパワーMOSFET46を使用してもよい。