【解決手段】マウント装置40の第2取付具42に一端が連結される脚部21,31は、他端側に連成される取付座部24,34が車体側部材に取り付けられる。取付座部24,34は、脚部21,31の延設方向に対し車両上下方向(矢印U−D方向)視において交差する方向へ屈曲されるので、取付座部24,34が屈曲されないブラケットと比較して、車両上下方向の剛性を高めることができる。よって、取付座部24,34を屈曲させるという簡易な構成で、機械的強度を確保しつつ車両上下方向の一次の固有振動数を高周波化できる。
互いに離隔して配置される第1取付具および第2取付具と、前記第1取付具と前記第2取付具との間に介設されると共にゴム状弾性体から構成される防振基体とを備え、車体側への振動源の振動の伝達を抑制するマウント装置の前記第1取付具または前記第2取付具に一端が連結されて他端側が所定の方向に延設される脚部と、
前記脚部の他端側に連成されると共に振動源側部材または車体側部材に取り付けられる取付座部とを備え、
前記取付座部は、前記脚部の延設方向に対し車両上下方向視において交差する方向へ屈曲されることを特徴とするブラケット。
前記脚部は、延設方向に沿う両側の縁端にそれぞれ立設されると共に、前記脚部の延設方向に沿って連続して形成される一対の第1リブを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラケット。
前記取付座部は、前記一対の第1リブにそれぞれ連成されると共に屈曲方向に沿って両側の縁端にそれぞれ立設される一対の第2リブを備えていることを特徴とする請求項3記載のブラケット。
前記一対の第1リブ及び第2リブは、前記脚部および前記取付座部の屈曲外側に位置する一方の前記第1リブ及び前記第2リブの車両上下方向視における長さが、屈曲内側に位置する他方の前記第1リブ及び前記第2リブの車両上下方向視における長さより大きく設定されていることを特徴とする請求項4記載のブラケット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態におけるブラケット10が取り付けられたマウント装置10(防振装置1)の平面図であり、
図2は
図1のII−II線における防振装置1の軸方向断面図であり、
図3はブラケット10の正面図である。なお、
図1から
図3の矢印U−D,L−R,F−Bは、防振装置1が搭載される車両の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。また、
図2ではマウント装置10に所定の分担荷重が作用した状態が図示されている。
【0013】
図1に示すように防振装置1は、自動車のパワーユニット等(エンジン等)の振動源(図示せず)を支持固定しつつ、その振動源が発する振動を車体(車体側部材M、
図2参照)へ伝達させないようにするための装置であり、車体側部材Mに取着されるブラケット10と、ブラケット10に連結されるマウント装置40と、マウント装置40に連結されると共にパワーユニット側の振動源側部材(図示せず)に取着される振動源側ブラケット50とを備えている。
【0014】
図2に示すようにマウント装置40は、下方に向けて先細の円錐状に形成されるアルミニウム合金等の金属製の第1取付具41と、その第1取付具41に対して間隔を隔てつつ同軸状に配置される第2取付具42と、第2取付具42と第1取付具41とを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体43とを備えている。
【0015】
第1取付具41は、振動源側ブラケット50の取り付け面となる上面(
図2上側面)が平端面として形成され、外周面および下面に防振基体43が加硫接着されている。第1取付具41の上面中央には、軸心に沿って延びるめねじ部が形成されており、このめねじ部に螺着されるボルトBにより、振動源側ブラケット50が第1取付具41に締結固定される。
【0016】
第2取付具42は、鉄鋼材料等の金属製の筒状の部材であり内周面に防振基体43が加硫接着される。第2取付具42は、ブラケット10の固定部11(後述する)に固定される。第2取付具42の下端開口部には、ダイヤフラム44が取着されることで、ダイヤフラム44と防振基体43との間にエチレングリコール等の液体が封入される液封入室が形成される。液封入室は、仕切体45によって防振基体43側の第1液室46とダイヤフラム44側の第2液室47とに仕切られると共に、第1液室46及び第2液室47は、仕切体45の外周に沿って形成されたオリフィス48によって互いに連通される。
【0017】
振動側ブラケット50は、マウント装置40の第1取付具41をパワーユニット側の振動源側部材(図示せず)に連結するためのアルミニウム合金等の金属製の連結部材である。振動側ブラケット50は、マウント装置40の第1取付具41の上面(
図2上側面)に先端側がボルトBにより締結固定される。
【0018】
振動源側ブラケット50の先端側の上面(
図1紙面手前側面および
図2上側面)には、平面視円形のボルト固定部51が下面へ向けて凹設され、ボルト固定部51の底面中央には、ボルトBの軸部が挿通される平面視円形のボルト挿通孔52が同心に穿設される。ボルト固定部51の底面はボルトBの頭部の座面となる。ボルト固定部51が凹設される分だけ、振動源側ブラケット50を軽量化できる。
【0019】
振動源側ブラケット50の根元部53は、複数の取り付け孔54が穿設される。パワーユニット側から突出されるボルトを取り付け孔54に挿通し、これらボルトをナットで締結することで、根本部53がパワーユニット側(振動源側部材)に取り付けられる。これによりマウント装置40は、パワーユニットによる主たる振動の入力方向が車両上下方向(矢印U−D方向)に設定される。
【0020】
ストッパ部材60は、振動源側ブラケット50とは別体にゴム状弾性体から加硫成形される有底の筒状体であり、その筒状体内へ振動源側ブラケット50が先端側から挿入されることで、振動源側ブラケット50の外面を被覆する。これにより、ブラケット10の変位規制部12(後述する)によって振動源側ブラケット50の変位が規制されるときの衝撃が緩和される。
【0021】
ブラケット10は、マウント装置40に連結されると共に車体側部材Mに取着される金属製の部材であり、マウント装置40の第2取付具42に外嵌される固定部11と、固定部11の上方(矢印U方向)へ向かって延設される門型状の変位規制部12と、固定部11を挟んで略対称な位置に配置されると共に車体側部材Mに取着される第1取着部20及び第2取着部30とを備えている。固定部11は、第2取付具42が内周側に嵌合される円筒状の部位である。
【0022】
変位規制部12は、振動源側ブラケット50の変位を規制するための車両左右方向(
図2紙面垂直方向)視が略C型の部材であり、固定部11の外周の対称位置に両端が固着される。変位規制部12は、側方(
図2紙面垂直方向、矢印L−R方向)に開口部12aが開口形成されており、その開口部12aから挿通された振動側ブラケット50の外面を覆うように形成される。
【0023】
即ち、変位規制部12の内面は、振動側ブラケット50の上面(
図2上側面)と両側面(
図2左右面)との間に間隔を隔てつつこれら各面を取り囲む。本実施の形態では、変位規制部12は、振動側ブラケット50の車両上方(矢印U方向)、車両前後方向(矢印F−B方向)に配置される。よって、パワーユニットから防振装置1に大振幅の振動が入力された場合には、ブラケット10の変位規制部12に取り囲まれた部分が、変位規制部12の内面に当接されることで、第2取付具42に対する振動側ブラケット50の相対変位が規制される。
【0024】
変位規制部12は、幅方向(矢印L−R方向)両側の縁端部に一対の補強リブ13が立設されている。補強リブ13は、変位規制部12に一体成形され、長手方向に連続して延びている。変位規制部12の上面には、ボルトBの頭部が挿通可能な内径を有する円形の開口部14が開口形成されている。
【0025】
図3に示すように、変位規制部12の開口部12aには、固定部11の上端と振動側ブラケット50(
図2参照)との対向間に位置するバウンド規制部材15が固着されている。バウンド規制部材15により振動側ブラケット50の下方(矢印D方向)への変位が規制される。
【0026】
第1取着部20及び第2取着部30は、固定部11及び変位規制部12に一端が連結される一方、他端側が車体側部材Mに取着される部材である。本実施の形態では、第1取着部20は、固定部11及び変位規制部12の車両後方側の部位に一端が連結され、他端側が車両後方(矢印B方向)に延設される。第2取着部30は、固定部11及び変位規制部12の車両前方側の部位に一端が連結され、他端側が車両前方(矢印F方向)に延設される。
【0027】
図2に戻って説明する。第1取着部20は、固定部11を介して第2取付具42に一端22aが連結される脚部21と、脚部21の他端側に連成されると共に車体側部材Mに取り付けられる取付座部24とを備えている。取付座部24(
図1参照)は、脚部21の延設方向(矢印B方向)に対し車両上下方向(矢印U−D方向)視において交差する車両右側(矢印R方向)へ屈曲される。本実施の形態では、第1取着部20は、熱間圧延鋼板や冷間圧延鋼板等の板状部材のプレス成形により一体成形されている。
【0028】
脚部21は、車両の前進加速時にブラケット10が車両後方(矢印B方向)へ傾倒しないようにするための部位であり、マウント装置40側に位置する基端部22と、基端部22の車両後方側に位置し車体側部材Mに接触する接触部23とを備えている。基端部22は一端22aが固定部11の外周面に突き当てられ、他端側が屈曲されて車体側部材Mに次第に近接するように下降傾斜される。接触部23は取付座部24に連成される部位であり、下面が取付座部24と共に車体側部材Mに接触する。取付座部24は、車体側部材Mに固定される部位であり、ボルト等の軸状部材(図示せず)が挿通される挿通孔24aが貫通形成される。
【0029】
図4及び
図6(b)を参照して第1取着部20の説明を続ける。
図4は
図3の矢印IV方向視におけるブラケット10の側面図であり、
図6(b)は
図3の矢印VIb方向視におけるブラケット10(第1取着部20)の平面図である。
図4及び
図6(b)に示すように、基端部22は車両後方(矢印B方向)へ向かう直線状に形成されており、
図6(b)に示すように、接触部23及び取付座部24は、車両上下方向視(
図6(b)紙面垂直方向視)において、基端部22に対して交差する車両右側(
図6(b)上側)へ屈曲される(
図1参照)。
【0030】
図4に示すように第1取着部20は、脚部21及び取付座部24の延設方向(
図4紙面手前側)に沿う両側の縁端に、それぞれ第1リブ25a,25b及び第2リブ26a,26bが立設され、それらが脚部21及び取付座部24の延設方向に沿って連続して形成されている。これにより、軽量の板状部材で脚部21及び取付座部24を形成できると共に、脚部21及び取付座部24の曲げ剛性を確保できる。
【0031】
屈曲外側(矢印L側)の取付座部24の端縁に沿って立設される第2リブ26aに連成される第1リブ25aは、屈曲内側(矢印R側)の取付座部24の端縁に沿って立設される第2リブ26bに連成される第1リブ25bより、車両上下方向(矢印U−D方向)高さが大きく設定されている。これにより、第1リブ25bが立設された車両左側(矢印L側)の脚部21の剛性を、車両右側(矢印R側)の脚部21の剛性より大きくできる。
【0032】
また、屈曲内側(矢印R側)の取付座部24の端縁に沿って立設される第2リブ26bは、屈曲外側(矢印L側)の取付座部24の端縁に沿って立設される第2リブ26aより、車両上下方向(矢印U−D方向)高さが大きく設定されている。これにより、取付座部24及び接触部23の屈曲内側(矢印R側)の剛性を、屈曲外側(矢印L側)の剛性より大きくできる。取付座部24及び接触部23の屈曲内側(矢印R側)は、屈曲外側(矢印L側)と比較して大きな曲げ応力が作用し易いが、第2リブ26bによって曲げ剛性を確保できるので変形を防止できる。
【0033】
図6(b)に示すように第1リブ25a,25b及び第2リブ26a,26bは、第1取着部20の屈曲外側に位置する第1リブ25a及び第2リブ26aの車両上下方向視(
図6(b)紙面垂直方向視)における長さが、屈曲内側に位置する第1リブ25b及び第2リブ26bの車両上下方向視における長さより大きく設定されている。これにより、第1リブ25a及び第2リブ26aによって、脚部21及び取付座部24の屈曲外側に位置する縁端側の剛性が低下することを抑制できる。
【0034】
なお、脚部21に対する取付座部24の車両上下方向視における屈曲角度は、屈曲されていない場合の屈曲角度を0°とすると、10〜60°の範囲で設定されるのが好適である。屈曲角度が10°より小さくなるか60°より大きくなると、脚部21及び取付座部24の車両上下方向の剛性を高める効果が低下するからである。
【0035】
図2に戻って説明する。第2取着部30は、固定部11を介して第2取付具42に一端32aが連結される脚部31と、脚部31の他端側に連成されると共に車体側部材Mに取り付けられる取付座部34とを備えている。取付座部34(
図1参照)は、脚部31の延設方向(矢印F方向)に対し車両上下方向(矢印U−D方向)視において交差する車両右側(矢印R方向)へ屈曲される。本実施の形態では、第2取着部30は、熱間圧延鋼板や冷間圧延鋼板等の板状部材のプレス成形により一体成形されている。
【0036】
脚部31は、車両の前進加速時にブラケット10が車両後方(矢印B方向)へ傾倒しないようにすると共に、車両の前進減速時にブラケット10を車両前方(矢印F方向)へ移動させないための部位であり、マウント装置40側に位置する基端部32と、基端部32の車両前方側に位置し車体側部材Mに接触する接触部33とを備えている。基端部32は一端32aが固定部11の外周面に添設され、他端側が車両下側(矢印D方向)へ向けて延設される。接触部33は取付座部34に連成される部位であり、基端部32に対して略90°折曲され、車両前方(矢印F方向)へ向けて延設される。接触部33は、下面が取付座部34と共に車体側部材Mに接触する。取付座部34は、車体側部材Mに固定される部位であり、ボルト等の軸状部材(図示せず)が挿通される挿通孔34aが貫通形成される。
【0037】
図5及び
図6(a)を参照して第2取着部30の説明を続ける。
図5は
図3の矢印V方向視におけるブラケット10の側面図であり、
図6(a)は
図3の矢印VIa方向視におけるブラケット10(第2取着部30)の平面図である。
図5及び
図6(a)に示すように、基端部32は車両前方(矢印F方向)へ向かう直線状に形成されており、
図6(a)に示すように、取付座部34は、車両上下方向視(
図6(a)紙面垂直方向視)において、接触部33の基端部32側の部位に対して交差する車両右側(
図6(a)上側)へ屈曲される(
図1参照)。
【0038】
図5に示すように第2取着部30は、脚部31及び取付座部34の延設方向(
図5紙面手前側)に沿う両側の縁端に、それぞれ第1リブ35a,35b及び第2リブ36a,36bが立設され、それらが脚部31及び取付座部34の延設方向に沿って連続して形成されている。これにより、軽量の板状部材で脚部31及び取付座部34を形成できると共に、脚部31及び取付座部34の曲げ剛性を確保できる。
【0039】
屈曲外側(矢印L側)の取付座部34の端縁に沿って立設される第2リブ36aに連成される第1リブ35aは、屈曲内側(矢印R側)の取付座部34の端縁に沿って立設される第2リブ36bに連成される第1リブ35bより、車両上下方向(矢印U−D方向)高さが大きく設定されている。これにより、第1リブ35bが立設された車両左側(矢印L側)の脚部31の剛性を、車両右側(矢印R側)の脚部31の剛性より大きくできる。
【0040】
また、屈曲内側(矢印R側)の取付座部34の端縁に沿って立設される第2リブ36bは、屈曲外側(矢印L側)の取付座部34の端縁に沿って立設される第2リブ36aより、車両上下方向(矢印U−D方向)高さが大きく設定されている。これにより、取付座部34及び接触部33の屈曲内側(矢印R側)の剛性を、屈曲外側(矢印L側)の剛性より大きくできる。取付座部34及び接触部33の屈曲内側(矢印R側)は、屈曲外側(矢印L側)と比較して大きな曲げ応力が作用し易いが、第2リブ36bによって曲げ剛性を確保できるので変形を防止できる。
【0041】
図6(a)に示すように第1リブ35a,35b及び第2リブ36a,36bは、第2取着部30の屈曲外側に位置する第1リブ35a及び第2リブ36aの車両上下方向視(
図6(a)紙面垂直方向視)における長さが、屈曲内側に位置する第1リブ35b及び第2リブ36bの車両上下方向視における長さより大きく設定されている。これにより、第1リブ35a及び第2リブ36aによって、脚部31及び取付座部34の屈曲外側に位置する縁端側の剛性が低下することを抑制できる。
【0042】
なお、脚部31に対する取付座部34の車両上下方向視における屈曲角度は、屈曲されていない場合の屈曲角度を0°とすると、10〜60°の範囲で設定されるのが好適である。屈曲角度が10°より小さくなるか60°より大きくなると、脚部31及び取付座部34の車両上下方向の剛性を高める効果が低下するからである。
【0043】
このブラケット10によれば、取付座部24,34は、脚部21,31の延設方向(車両前後方向、矢印F−B方向)に対し車両上下方向(矢印U−D方向)視において交差する方向へ屈曲されるので、取付座部が屈曲されない従来のブラケットと比較して、脚部21,31及び取付座部24,34の車両上下方向の剛性を高めることができる。よって、取付座部24,34を屈曲させるという簡易な構成で、第1取着部20及び第2取着部30の機械的強度を確保しつつ車両上下方向の一次の固有振動数を高周波化できる。
【0044】
また、固定部11に一端22a,32aが固着される脚部21,31は、他端側に位置する接触部23,32が車体側部材Mに接しており、取付座部24,34は、接触部23,33と共に車体側部材Mに接している。接触部23,33の他端側(マウント装置40から離隔される側)が、車両上下方向視において交差する方向へ屈曲されつつ取付座部24,34に連成される。その結果、接触部が屈曲されない従来のブラケットと比較して、車両上下方向(矢印U−D方向)の剛性をさらに高めることができると共に、脚部21,31の振幅を小さくできる。脚部21,31の振幅が増大すると、それに起因して新たな振動等の問題が生じるおそれがあるところ、これを防止できるので、マウント装置40の制振性能の悪化を抑制できる。
【0045】
次に
図7を参照してブラケット10(
図3参照)の効果を確認した実験結果について説明する。この実験は、ブラケット10(マウント装置40を保持しないもの)の取付座部24,34を加振台(図示せず)に取り付け、取付座部24,34に加えられる上下方向(矢印U−D方向)の加振力をF、補強リブ13(
図3の点P)に生じる加速度をAとし、剛体共振の振動レベル(イナータンスA/F)を測定したものである。
【0046】
図7は周波数とイナータンスとの関係を示す図である。横軸は周波数、縦軸はイナータンスであり、軸の右側または上側へ向かうにつれて周波数またはイナータンスが高くなることを示している。なお、比較のため、脚部21,31及び取付座部24,34の延設方向(車両前後方向、矢印F−B方向)が同一のブラケット(取付座部24,34が屈曲されてない以外はブラケット10(実施例)と同一のもの(比較例))の剛体共振の振動レベル(イナータンス)も測定した。
【0047】
図7に示すように実施例(実線)は、比較例(破線)と比べて、イナータンス(振動レベル)の最大ピークを示す周波数が高周波側に現れることがわかった。この実験から、実施例におけるブラケットは、車両上下方向視において交差する方向へ取付座部24,34を屈曲させるという簡易な構成で、機械的強度を確保しつつ車両上下方向の一次の固有振動数を高周波化できることが明らかになった。
【0048】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0049】
上記実施の形態では、車体側部材Mに取り付けられるブラケット10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。パワーユニット等の振動源側に取り付けられるブラケット(振動源側ブラケット50)に適用することは当然可能である。その場合、パワーユニット等の振動源側部材(図示せず)に取り付けられる取付座部が、脚部の延設方向に対し車両上下方向視において交差する方向へ屈曲される。
【0050】
上記実施の形態では、一例として液封入式防振装置をマウント装置40とする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば液封部を省略したマウント装置を採用することは当然可能である。この場合、マウント装置は筒状やブロック状等の適宜形状からなる弾性部材とすることが可能である。
【0051】
上記実施の形態では、ブラケット10の脚部21,31が、車両前後方向(矢印F−B方向)に延設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両左右方向(矢印L−R方向)等、大変位が入力される方向に応じ、任意の方向に脚部21,31の延設方向を設定することは当然可能である。
【0052】
上記実施の形態では、ブラケット10の取付座部24,34が、脚部21,31の延設方向(車両前後方向、矢印F−B方向)に対し交差する同一方向(車両右側、矢印R方向)に屈曲される場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、取付座部24,34の一方を車両右側(矢印R方向)へ屈曲させ、他方を車両左側(矢印L方向)へ屈曲させることは当然可能である。また、上記実施の形態における屈曲方向とは反対に、取付座部24,34をいずれも車両左側(矢印L方向)へ屈曲させることは当然可能である。
【0053】
上記実施の形態では、ブラケット10の脚部21,31が、基端部22,32から接触部23,33にかけて、車体側部材Mへ向かってS字状やL字状に車両上下方向に屈曲される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。基端部22,32が第2取付具42に固着される一端22a,32aの高さまで車体側部材Mの一部の高さを上げ、車体側部材Mの高くした部分に接触部23,33を沿わせることで、基端部22,32から接触部23,33にかけて、脚部21,31を屈曲する必要はない。
【0054】
上記実施の形態では、自動車のエンジンを弾性支持する防振装置のブラケットについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ボディマウント、デフマウント等、種々の防振装置のブラケットに適用することは当然可能である。