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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-217845(P2015-217845A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/30 20060101AFI20151110BHJP
【FI】
   B60N2/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-103512(P2014-103512)
(22)【出願日】2014年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中村 武
(72)【発明者】
【氏名】小田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】梅田 教平
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087BD03
3B087CA08
3B087CA14
(57)【要約】
【課題】見栄えの向上に寄与する。
【解決手段】車両用シート10では、フロアレッグ機構28及びリクライニング機構38のロックが解除されることにより、シート本体16が車体側部の側へ跳ね上げ可能とされる。このシート本体16の跳ね上げ状態で、ストラップ76の長手方向他端部が操作ノブ76を介して車体側部に連結されると、シート本体16が跳ね上げ状態に保持される。一方、シート本体16が跳ね上げられていないときには、フロアレッグ機構28及びリクライニング機構38とは別に設けられた引込機構58によって、ストラップ76をシートクッション20内に引き込むことができる。これにより、ストラップ76の不使用時におけるシートクッション20からのストラップ76の垂れ下がり量を少なくすることができるので、見栄えの向上に寄与する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションがフロアレッグ機構を介して車体床部に連結されると共に、シートバックがリクライニング機構を介して前記シートクッションに連結され、前記各機構のロックが解除されることにより車体側部の側へ跳ね上げ可能とされるシート本体と、
長尺状に形成され、前記シート本体内に位置する長手方向一端部が前記シート本体に係止され、前記シート本体外に位置する長手方向他端部が前記シート本体の跳ね上げ状態で車体側部に連結されることにより前記跳ね上げ状態を保持する長尺部材と、
前記各機構とは別に前記シート本体内に設けられ、前記長尺部材を付勢力によって前記シート本体内へ引き込む引込機構と、
を備えた車両用シート。
【請求項2】
前記引込機構は、前記長尺部材の長手方向他端部が引っ張られることにより前記シート本体に対して変位する変位部材を有しており、
前記フロアレッグ機構及び前記リクライニング機構のうちの少なくとも一方は、前記変位部材の変位によってロックを解除される請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記引込機構は、
前記長尺部材の長手方向中間部が巻き掛けられた巻掛部と、
前記長尺部材における前記シート本体への係止部と前記巻掛部との間の余長部が巻き掛けられると共に、前記シート本体に対して前記余長部の長さが増減する方向へ変位可能とされた変位部材と、
前記余長部の長さが増加する方向へ前記変位部材を付勢した付勢部材と、
を有する請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記変位部材は、前記シート本体に対して回転可能に取り付けられている請求項2又は請求項3に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部の側へ跳ね上げ可能とされたスペースアップシート等と称される車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された車両用シートでは、シートクッションの後端部に長尺帯状の操作部材(ストラップ)が設けられている。このストラップが引っ張られると、シートクッションを車体床部に連結する組付機構(フロアレッグ機構)のロックや、リクライニング機構のロックが解除される。これにより、シートクッション及びシートバックからなるシート構成部材(シート本体)が車体側部の側へ跳ね上げ可能とされる。そして、シート本体の跳ね上げ後に、上記ストラップの先端に取り付けられた取手部(操作ノブ)が車体側部の被連結部(フック)に連結されると、シート本体が跳ね上げられた位置に保持される。
【0003】
また、この車両用シートでは、フロアレッグ機構が備える付勢部材によって、ストラップをシートクッション内へ引き戻すことにより、シート本体を車体側部に安定性良く連結するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−46795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の如き車両用シートでは、上記のストラップが不使用時にシートクッションの後端部から垂れ下がった状態となる。このため、見栄えを向上させる観点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、見栄えの向上に寄与する車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る車両用シートは、シートクッションがフロアレッグ機構を介して車体床部に連結されると共に、シートバックがリクライニング機構を介して前記シートクッションに連結され、前記各機構のロックが解除されることにより車体側部の側へ跳ね上げ可能とされるシート本体と、長尺状に形成され、前記シート本体内に位置する長手方向一端部が前記シート本体に係止され、前記シート本体外に位置する長手方向他端部が前記シート本体の跳ね上げ状態で車体側部に連結されることにより前記跳ね上げ状態を保持する長尺部材と、前記各機構とは別に前記シート本体内に設けられ、前記長尺部材を付勢力によって前記シート本体内へ引き込む引込機構と、を備えている。
【0008】
なお、請求項1に記載の「別に」は、引込機構がフロアレッグ機構及びリクライニング機構に依存せずに長尺部材をシート本体内へ引き込み可能であることを意味している。
【0009】
請求項1に記載の車両用シートでは、フロアレッグ機構及びリクライニング機構のロックが解除されることにより、シート本体が車体側部の側へ跳ね上げ可能とされる。そして、この跳ね上げ状態で、長尺部材の長手方向他端部が車体側部に連結されると、シート本体が跳ね上げ状態に保持される。
【0010】
一方、シート本体が跳ね上げられておらず、長尺部材が使用されていないときには、フロアレッグ機構及びリクライニング機構とは別に設けられた引込機構の付勢力によって、長尺部材をシート本体内に引き込むことができる。このように、専用の引込機構を備えているので、シート本体内への長尺部材の引込量(格納量)を、フロアレッグ機構及びリクライニング機構とは関係なく設定することができる。それにより、長尺部材の不使用時におけるシート本体からの長尺部材の垂れ下がり量を少なくする(又はゼロにする)ことができるので、見栄えの向上に寄与することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記引込機構は、前記長尺部材の長手方向他端部が引っ張られることにより前記シート本体に対して変位する変位部材を有しており、前記フロアレッグ機構及び前記リクライニング機構のうちの少なくとも一方は、前記変位部材の変位によってロックを解除される。
【0012】
請求項2に記載の車両用シートでは、長尺部材の長手方向他端部が引っ張られると、引込機構に設けられた変位部材がシート本体に対して変位する。これにより、フロアレッグ機構及びリクライニング機構のうちの少なくとも一方のロックが解除されるので、ロック解除の操作を容易なものにすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記引込機構は、前記長尺部材の長手方向中間部が巻き掛けられた巻掛部と、前記長尺部材における前記シート本体への係止部と前記巻掛部との間の余長部が巻き掛けられると共に、前記シート本体に対して前記余長部の長さが増減する方向へ変位可能とされた変位部材と、前記余長部の長さが増加する方向へ前記変位部材を付勢した付勢部材と、を有している。
【0014】
請求項3に記載の車両用シートでは、長尺部材は、長手方向一端部がシート本体内でシート本体に係止され、長手方向他端部がシート本体外に位置しており、長手方向中間部がシート本体内で巻掛部に巻き掛けられている。さらに、この長尺部材は、シート本体への係止部と上記巻掛部との間の余長部がシート本体内で変位部材に巻き掛けられている。この変位部材は、シート本体に対して上記余長部の長さが増減する方向へ変位可能とされており、付勢部材によって上記余長部の長さが増加する方向へ付勢されている。これにより、長尺部材をシート本体内への引き込み方向に付勢することができるので、引込機構を簡単な構成にすることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明に係る車両用シートは、請求項2又は請求項3に記載の車両用シートにおいて、前記変位部材は、前記シート本体に対して回転可能に取り付けられている。
【0016】
請求項4に記載の車両用シートでは、変位部材がシート本体に対して回転可能に取り付けられるため、変位部材がシート本体に対してスライドされる場合等と比較して、変位部材の取付構造を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係る車両用シートでは、見栄えの向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る車両用シートを斜め後方側から見た斜視図である。
図2】同車両用シートのシート本体が車体側部の側に跳ね上げられた状態を示す斜視図である。
図3図1の一部を拡大すると共に図1に示されるヒンジカバーを取り外した状態を示す拡大斜視図である。
図4図3に示される構成の一部を分解して示す分解斜視図である。
図5A図3に示される構成の一部を車幅方向内側から見た側面図であり、ストラップが引っ張られた際の各部品の動きを経時的に説明するための第1図である。
図5B】同第2図である。
図5C】同第3図である。
図5D】同第4図である。
図5E】同第5図である。
図5F】同第6図である。
図5G】同第7図である。
図5H】同第8図である。
図6】引込機構の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図6を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方向を示し、矢印RHは車両右方向を示し、矢印UPは車両上方向を示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
【0020】
(構成)
図1に示される車両用シート10は、例えばミニバン等の車両の3列目シートであり、車室12内の車幅方向一側(ここでは右側)に配置されている。なお、車室12内の車幅方向他側(ここでは左側)には、車両用シート10と左右対称に構成された図示しない別の車両用シートが配置されている。
【0021】
車両用シート10は、所謂スペースアップシートであり、図2に示されるように、隣接する車体側部14の側(ここでは右側)へ跳ね上げ可能とされたシート本体16と、当該シート本体16の跳ね上げの際に操作される跳ね上げ操作部18とを備えている。以下、各構成要素について説明する。
【0022】
(シート本体16の構成)
シート本体16は、乗員が着座するシートクッション20と、乗員の背凭れとされるシートバック22とを備えている。シートクッション20の車幅方向外側(ここでは右側)で上記の車体側部14には、リヤホイールハウス24が設けられている。このリヤホイールハウス24の上面には、シートクッション20の車幅方向外側端部(ここでは右端部)が、ヒンジ26を介して連結されている。このヒンジ26は、車両前後方向に沿ったヒンジ軸を備えており、シートクッション20は、図1に示される通常使用位置と図2に示される跳ね上げ位置との間で回転可能に車体側部14に連結されている。
【0023】
シートクッション20の下面には、フロアレッグ機構28が設けられている。このフロアレッグ機構28は、通常使用位置に位置するシートクッション20を車体床部30に連結するための機構であり、シートクッション20の下面における車幅方向内側部分に連結された脚部32を備えている。
【0024】
この脚部32は、シートクッション20に対して図1に示される起立位置と図2に示される格納位置との間で車両前後方向に沿った軸線回りに回転可能とされている。この脚部32が起立位置に位置し且つシートクッション20が通常使用位置に位置する状態では、シートクッション20の車幅方向内側部分が脚部32を介して車体床部30に支持される。またこの状態では、脚部32の下端部に設けられたロック機構34が備える前後一対のラッチ(図示省略)が、車体床部30に設けられた前後一対のストライカ36と係合する。これにより、シートクッション20が通常使用位置に拘束される。
【0025】
なお、シートクッション20が通常使用位置に位置する状態では、車両用シート10の前後方向、左右方向(幅方向)及び上下方向が、車両の前後左右上下の方向と一致する。以下、車両用シート10に関して記載する方向は、特に断りのない限り、シートクッション20が通常使用位置に位置する状態での方向を示すものとする。
【0026】
シートクッション20の後端部には、リクライニング機構38を介してシートバック22の下端部が連結されている。このリクライニング機構38は、図4に示されるように、シートクッション20の骨格であるシートクッションフレーム40の後端部と、シートバック22の骨格であるシートバックフレーム42の下端部との間に介在している。
【0027】
このリクライニング機構38は、従来周知のものであり、シートクッション20の車幅方向外側の側部に設けられた図示しないロック解除レバーを備えている。このロック解除レバーは、図4に示されるコネクティングロッド46の図示しない車幅方向外側端部に連結されている。このロック解除レバーが操作されることにより、リクライニング機構38のロックが解除され、シートクッション20に対するシートバック22の相対角度(リクライニング角度)を多段階に調整可能となる。
【0028】
また、シートクッション20とシートバック22との間には、シートバック22を前傾方向へ付勢する図示しないリターンスプリングが掛け渡されている。このため、リクライニング機構38のロック解除状態でシートバック22に負荷を掛けない場合には、シートバック22がシートクッション20の上面に重なり合うまで前傾するようになっている。一方、リクライニング機構38のロック解除状態においてシートバック22に所定値以上の後ろ向き荷重を作用させると、シートバック22がシートクッション20に対して後傾するようになっている。そして、任意の傾斜角でロック解除レバーの操作力を解除すると、リクライニング機構38がロック状態に復帰し、シートバック22が傾倒不能に拘束される。
【0029】
(跳ね上げ操作部18の構成)
跳ね上げ操作部18は、シートクッション20の後端部における車幅方向内側端部に設けられている。この跳ね上げ操作部18は、ベースプレート48と、リクライニングロック解除ブラケット50と、フロアレッグロック解除ブラケット52と、長尺部材としてのストラップ76と、引っ掛けフック兼操作ノブ78と、引込機構58とによって構成されている。これらの構成部材は、シートクッション20の後端部における車幅方向内側端部に取り付けられたヒンジカバー60によって覆われている。以下、跳ね上げ操作部18の各構成要素について説明する。
【0030】
ベースプレート48は、例えば板金がプレス成形されることにより略矩形板状に形成されている。このベースプレート48は、シートクッションフレーム40の後端部の側面に当接した状態で配置されており、ボルト及びナット等の締結具を用いてシートクッションフレーム40に固定されている。
【0031】
リクライニングロック解除ブラケット50(以下、「リクラ解除ブラケット50」と称する)は、跳ね上げ操作部18の構成要素であると共に、リクライニング機構38の構成要素でもあり、第1ブラケット62及び第2ブラケット64を備えている。第1ブラケット62及び第2ブラケット64は、例えば板金によって長尺状に形成されている。第1ブラケット62の長手方向一端部は、コネクティングロッド46の車幅方向内側端部に相対回転不能に固定されている。
【0032】
この第1ブラケット62の長手方向他端部には、軸線方向が車幅方向に沿った連結軸68を介して第2ブラケット64の長手方向一端部が回転可能に連結されている。但し、第1ブラケット62の長手方向他端部および第2ブラケット64の長手方向一端部には、それぞれストッパ部62A、64Aが設けられている。これらのストッパ部62A、64Aが互いに当接することにより、第2ブラケット64は、第1ブラケット62に対する連結軸68回り一方(図4の矢印A方向)への相対回転を規制される構成になっている。この第2ブラケット64の長手方向他端部には、シート幅方向内側へ突出した突起部70が設けられている。
【0033】
また、第1ブラケット62及び第2ブラケット64は、連結軸68に巻装された捩りコイルスプリング71によって、両者のストッパ部62A、64Aが互いに当接する方向へ付勢されている。このため、第1ブラケット62及び第2ブラケット64は、通常時には、ストッパ部62A、64Aが互いに当接した状態に保持されている。これらの第1ブラケット62及び第2ブラケット64は、通常時には、コネクティングロッド46からシートクッション20の下方側へ延びるように配置されている。このリクラ解除ブラケット50が図4の矢印A方向に所定量回転されると、リクライニング機構38のロックが解除されるようになっている。
【0034】
一方、フロアレッグロック解除ブラケット52(以下、「レッグ解除ブラケット52」と称する)は、跳ね上げ操作部18の構成要素であると共に、フロアレッグ機構28の構成要素でもあり、リクラ解除ブラケット50に対してシートクッション20の下方側に配置されている。このレッグ解除ブラケット52は、例えば板金によって長尺状に形成されている。このレッグ解除ブラケット52の長手方向一端部は、軸線方向が車幅方向に沿った連結軸72を介してベースプレート48に回転可能に連結されている。
【0035】
このレッグ解除ブラケット52の長手方向他端部には、フロアレッグロック解除ケーブル74の長手方向一端部が連結されている。このフロアレッグロック解除ケーブル74の長手方向他端部は、前述した脚部32のロック機構34に連結されている。このロック機構34は、前後のラッチを連動させるケーブルを備えており、レッグ解除ブラケット52が図4の矢印B方向に所定量回転されると、前後のラッチが回転し、フロアレッグ機構28のロックが解除されるようになっている。
【0036】
ストラップ76は、可撓性を有する材料によって長尺帯状に形成されている。このストラップ76の長手方向一端部は、ベースプレート48の下端部に固定された円柱状の係止部80に係止されている。また、このストラップ76の長手方向他端部は、ヒンジカバー60の上端部に形成されたスリット状の開口82を通してヒンジカバー60の外側(シート本体16の外側)へ引き出されている。この開口82の付近でベースプレート48の上端部には、例えばワイヤが曲げ加工されて形成されたガイド部84が固定されており、当該ガイド部84によってストラップ76の長手方向他端側が摺動可能に支持されている。
【0037】
引っ掛けフック兼操作ノブ78(以下、「操作ノブ78」と称する)は、シート本体16の外側に位置するストラップ76の長手方向他端部に取り付けられている。この操作ノブ78には、乗員が当該操作ノブ78を把持する際に指を挿入するための指挿入穴86が形成されている。また、この操作ノブ78には、当該操作ノブ78を後述する連結フック98に引っ掛けるための引掛け穴88が形成されている。
【0038】
引込機構58は、巻掛部である第1巻掛部90及び第2巻掛部92と、変位部材である回転ブラケット94とを備えている。第1巻掛部90及び第2巻掛部92は、例えば板金がコの字状(略U字状)に曲げ加工されて形成された取付ブラケット90A、92Aと、該取付ブラケット90A、92Aに回転可能に支持された円柱状のローラー90B、92Bとを含んでいる。
【0039】
第1巻掛部90は、ローラー90Bの軸線方向がシート幅方向に沿い且つ取付ブラケット90Aがシート後方斜め下方へ向けて開口した姿勢でベースプレート48の上端部の前端部に固定されている。また、第2巻掛部92は、ローラー92Bの軸線方向がシート幅方向に沿い且つ取付ブラケット92Aがシート後方斜め上方へ向けて開口した姿勢でベースプレート48の下端部の前端部に固定されている。これらの第1巻掛部90及び第2巻掛部92は、ベースプレート48からシート幅方向外側へ突出しており、各巻掛部90、92のローラー90B、92Bには、ストラップ76の長手方向中間部が巻き掛けられている。
【0040】
回転ブラケット94は、例えば板金がプレス加工されることにより形成されたものであり、前述した連結軸72を介してベースプレート48に支持されている。この回転ブラケット94は、板厚方向がシート幅方向に沿う姿勢でレッグ解除ブラケット52とベースプレート48との間に配置されている。この回転ブラケット94は、ベースプレート48に対して図4の矢印B方向(以下、「引込方向」と称する)、及び図4の矢印C方向(以下、「引出方向」と称する)へ回転可能とされている。この回転ブラケット94は、連結軸72の半径方向に延びる第1腕部94A、第2腕部94B及び第3腕部94Cを備えている。
【0041】
この回転ブラケット94と連結軸72との間には、当該連結軸72に巻装された捩りコイルスプリング(付勢部材)96が掛け渡されている。この捩りコイルスプリング96は、回転ブラケット94を引込方向へ付勢している。これにより、回転ブラケット94は、通常時には、ベースプレート48の後端部の上端側に設けられたストッパ部48Aに第1腕部94Aが当接する状態に保持されている。この保持状態では、連結軸72からシートクッション20の上方斜め後方へ延びる第1腕部94Aが、リクラ解除ブラケット50の突起部70に対してシート後方側から間隙を隔てて対向している。
【0042】
第2腕部94Bは、上記保持状態において、連結軸72からシートクッション20の前方斜め下方へ延びるように設けられており、レッグ解除ブラケット52の長手方向中間部に設けられた当接部52Aに対してシート前方側から間隙を隔てて対向している。
【0043】
第3腕部94Cは、第1腕部94Aよりもシートクッション20の前方側に位置しており、上記保持状態において、シートクッション20の上方側へ延びるように設定されている。この第3腕部94Cの先端部には、円柱状のローラー94Dが回転可能に取り付けられている。このローラー94Dは、軸線方向がシート幅方向に沿い且つ第3腕部94Cの先端部からシート幅方向外側に突出する姿勢で配置されている。
【0044】
上記のローラー94Dには、ストラップ76における係止部80と第2巻掛部92との間の部位(以下、余長部76Aという)が巻き掛けられている。この余長部76Aは、シート幅方向から見て略逆U字状をなすように設定されており、この余長部76Aの分だけストラップ76が余計にシートクッション20内(ヒンジカバー60の内側)に引き込まれている。この余長部76Aの長さは、回転ブラケット94が連結軸72回りに回転することで増減するようになっており、図1図3及び図5Aに示される通常状態で最大になっている。
【0045】
この通常状態では、図1及び図3に示されるように、ストラップ76の長手方向他端部が僅かにシート本体16の外側へ延び出しており、ストラップ76の長手方向他端部に取り付けられた操作ノブ78がヒンジカバー60の上下方向中間部付近に位置している。この操作ノブ78は、ヒンジカバー60に設けられた図示しない係合部(突起等)に係脱自在に係合することにより、上記の位置に保持されるようになっている。
【0046】
上記構成の跳ね上げ操作部18では、シート本体16の跳ね上げを行う際には、先ずストラップ76が操作ノブ78を介して車両後方側へ引っ張られる(図5B図5Eに示される白抜きの矢印参照)。それにより、回転ブラケット94が、ストラップ76の引張力をローラー94Dに受けつつ、図5B図5Fに示されるように引出方向へ回転する。つまり、ストラップ76が上記のように引っ張られた際には、第2巻掛部92のローラー92Bが定滑車として機能する一方、回転ブラケット94のローラー94Dが動滑車として機能し、当該ローラー94Dの変位に伴って回転ブラケット94が回転する。それにより、余長部76Aの長さが減少し、その分だけストラップ76がシート本体16外へ引き出される。
【0047】
この際には、先ず回転ブラケット94が図5Bに示される位置まで回転することにより、第1腕部94Aがリクラ解除ブラケット50の突起部70に当接し、リクラ解除ブラケット50がロック解除方向へ回転し始める。それにより、リクライニング機構38のロック解除動作が開始される。次いで、回転ブラケット94が図5Cに示される位置まで回転することにより、第2腕部94Bがレッグ解除ブラケット52の当接部52Aに当接し、レッグ解除ブラケット52がロック解除方向へ回転し始める。それにより、フロアレッグ機構28のロック解除動作が開始される。
【0048】
次いで、各ブラケット94、50、52が図5Dに示される位置を通過して図5Eに示される位置に到達すると、リクライニング機構38のロック解除が完了する。それにより、シートバック22がリターンスプリングの付勢力によってシートクッション20の上面に重なり合うまで前傾する。次いで、回転ブラケット94が図5Eに示される位置から図5Fに示される位置まで回転する間に、リクラ解除ブラケット50の突起部70と第1腕部94Aとの当接状態が解除される。そして、回転ブラケット94及びレッグ解除ブラケット52が図5Fに示される位置に到達すると、フロアレッグ機構28のロック解除が完了する。それにより、シート本体16を車体側部14の側へ跳ね上げることが可能になる。
【0049】
また、図5Fに示される状態では、回転ブラケット94の第3腕部94Cが係止部80に当接することにより、引出方向への回転ブラケット94の回転が規制され、ストラップ76がそれ以上引き出せなくなる。
【0050】
ストラップ76に付与されている引張り力が解除されると、回転ブラケット94が捩りコイルスプリング96の付勢力によって引込方向へ回転し始める。この際には、動滑車として機能するローラー94Dの変位に伴って、ストラップ76の余長部76Aの長さが増加し、ストラップ76がシートクッション20内へ引き込まれる。
【0051】
またこの際には、回転ブラケット94が図5Gに示される位置まで回転(復帰)することにより、第1腕部94Aがリクラ解除ブラケット50の突起部70と当接し、第2ブラケット64が第1ブラケット62に対して図4の矢印D方向とは反対方向へ回転し始める。これにより、回転ブラケット94の引込方向への回転が許容される。
【0052】
そして、回転ブラケット94が、図5Hに示される位置よりも図5Aに示される位置側へ回転することにより、第1腕部94Aと突起部70との当接状態が解除される。それにより、第2ブラケット64が捩りコイルスプリング71の付勢力により第1ブラケット62に対して元の位置へ回転(復帰)する。そして、回転ブラケット94が図5Aに示される位置まで復帰すると、第1腕部94Aがベースプレート48のストッパ部48Aに当接することにより、回転ブラケット94の引込方向への回転が規制され、ストラップ76のシートクッション20内への引き込み(格納)が完了する。
【0053】
上記構成の車両用シート10では、シート本体16が車体側部14の側へ跳ね上げられた後で、再びストラップ76が操作ノブ78を介して車両後方側へ引っ張られる。そして、図2に示されるように、シート本体16の車両後方側で車体側部14から突設された連結フック98が操作ノブ78の引掛け穴88に挿入され、操作ノブ78が連結フック98に引っ掛けられる。これにより、ストラップ76の長手方向他端部が操作ノブ78を介して車体側部14に連結される。この状態では、図5Fに示されるように、回転ブラケット94の第3腕部94Cが係止部80に当接することにより、ストラップ76のそれ以上の引き出しが規制されるように設定されている。このため、ストラップ76が伸張することにより、シート本体16が跳ね上げ状態に保持される構成になっている。
【0054】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0055】
上記構成の車両用シート10では、シート本体16が跳ね上げられておらず、ストラップ76が使用されていないときには、フロアレッグ機構及びリクライニング機構とは別に設けられた引込機構58が、ストラップ76を付勢力でシートクッション20内に引き込んでいる。このように、専用の引込機構58を備えているので、シートクッション20内へのストラップ76の引込量(格納量)を、フロアレッグ機構及びリクライニング機構とは関係なく設定することができる。それにより、ストラップ76の不使用時におけるシートクッション20からのストラップ76の垂れ下がり量を少なくする(又はゼロにする)ことができるので、見栄えの向上に寄与することができる。
【0056】
つまり、背景技術の欄で説明した車両用シートのように、フロアレッグ機構が備える付勢部材によってストラップをシートクッション内に引き込む構成では、ストラップの引込長さを自由に設定することができない。このため、ストラップが不使用時にシートクッションから垂れ下がり、見栄えが悪くなってしまう。特に、ストラップが連結される車体側部の連結部(連結フック)とシート本体との間の距離が長い場合、ストラップの長さもそれに合わせて長くなるため、不使用時におけるストラップの垂れ下が量が長くなってしまう。
【0057】
この点、本実施形態では、専用の引込機構58によってストラップ76の引込長さ(格納長さ)を自由に設定することができるので、不使用時におけるストラップ76の垂れ下がり長さを十分に短くすることができる。それにより、車両用シート10の見栄えを良好にすることができる。
【0058】
しかも、本実施形態では、シート本体16の跳ね上げを行う際には、ストラップ76の長手方向他端部が操作ノブ78を介して引っ張られることにより、引込機構58が備える回転ブラケット94がシート本体16に対して回転する。これにより、フロアレッグ機構28及びリクライニング機構38のロックが解除されるので、ロック解除の操作を容易なものにすることができる。
【0059】
また、本実施形態では、ストラップ76は、長手方向一端部がシートクッション20内で係止部80に係止され、長手方向他端部がシート本体16外に位置しており、長手方向中間部がシートクッション20内で第1巻掛部90及び第2巻掛部92に巻き掛けられている。さらに、このストラップ76は、係止部80と第2巻掛部92との間の余長部76Aがシートクッション20内で回転ブラケット94に巻き掛けられている。この回転ブラケット94は、シートクッション20に対して余長部76Aの長さが増減する方向へ変位可能とされており、捩りコイルスプリング96によって余長部76Aの長さが増加する方向へ付勢されている。これにより、ストラップ76をシートクッション20内へ引き込む方向へ付勢することができるので、引込機構58を簡単な構成にすることができる。
【0060】
さらに、本実施形態では、引込機構58の変位部材である回転ブラケット94が、シート本体16に対して回転可能に取り付けられている。このため、変位部材がシート本体16に対してスライド可能に取り付けられる場合等と比較して、変位部材の取付構造を簡素化することができる。
【0061】
しかも、本実施形態では、回転ブラケット94のローラー94Dが動滑車として機能することにより、乗員が操作ノブ78を介してストラップ76を引っ張る際の操作力を二分の一に減少させることができる。それにより、操作性の向上に寄与することができる。
【0062】
なお、上記実施形態に係る引込機構58では、回転ブラケット94のローラー94Dが動滑車として機能する構成にしたが、本発明はこれに限らず、引込機構の構成は適宜変更可能である。例えば、図6に示される引込機構100のように構成してもよい。
【0063】
この引込機構100では、ストラップ76の長手方向一端部がスプール102に係止されている。このスプール102は、ベースプレート48(図6では図示省略)に回転可能に支持されており、ベースプレート48との間に掛け渡された図示しない捩りコイルスプリングによって軸線回り一方(ストラップ78を巻き取る方向)に付勢されている。
【0064】
このスプール102の軸線方向一端部には、歯車104が同軸的かつ一体的に固定されており、当該歯車104には、当該歯車104よりも大径な別の歯車106が噛み合っている。この歯車106は、図示しないブラケットを介してベースプレート48に回転可能に支持されている。この歯車106の軸線方向一端部には、回転ブラケット94’が固定されている。この回転ブラケット94’では、前記第1実施形態に係る第3腕部94C及びローラー94Dが省略されている。
【0065】
上記構成の引込機構100においても、ストラップ76をスプール102に巻き取ってシートクッション20内に引き込むことができる。また、ストラップ76が引き出される際のスプール102の回転に連動して回転ブラケット94’が回転するので、前記実施形態と同様に、フロアレッグ機構28及びリクライニング機構38のロックを解除することができる。従って、前記実施形態と基本的に同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、変位部材としての回転ブラケット94がシート本体16に対して回転可能に取り付けられた構成にしたが、本発明はこれに限らず、変位部材がシート本体に対してスライド可能に取り付けられる構成にしてもよい。その場合、例えばラックアンドピニオン機構を用いてスライド動作を回転動作に変換することにより、フロアレッグ機構28及びリクライニング機構38のロック解除を行う構成にすることもできる。
【0067】
また、上記実施形態では、引込機構58の構成要素がベースプレート48に取り付けられた構成にしたが、本発明はこれに限らず、ベースプレート48を省略し、引込機構58の構成要素をシートクッションフレーム40に直接取り付けても良い。
【0068】
さらに、上記実施形態では、ストラップ76が引き出される際の回転ブラケット94の回転(変位)によって、フロアレッグ機構28及びリクライニング機構38のロックが解除される構成にしたが、本発明はこれに限るものではない。つまり、フロアレッグ機構28及びリクライニング機構38のうちの少なくとも一方のロックを解除するための操作が、ストラップを引き出す操作とは別に設定される構成にしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、回転ブラケット94のローラー94Dが回転可能とされた構成にしたが、本発明はこれに限らず、ストラップ76(長尺部材)が回転ブラケット(変位部材)の一部に摺動可能に巻き掛けられる構成にしてもよい。
【0070】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
10 車両用シート
14 車体側部
16 シート本体
20 シートクッション
22 シートバック
28 フロアレッグ機構
30 車体床部
38 リクライニング機構
58 引込機構
76 ストラップ(長尺部材)
76A 余長部
90 第1巻掛部(巻掛部)
92 第2巻掛部(巻掛部)
94 回転ブラケット(変位部材)
96 捩りコイルスプリング(付勢部材)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6