(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-217924(P2015-217924A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】乗物用キックプレート
(51)【国際特許分類】
B60R 3/00 20060101AFI20151110BHJP
B60N 3/06 20060101ALI20151110BHJP
B60N 3/04 20060101ALN20151110BHJP
【FI】
B60R3/00
B60N3/06
B60N3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-105517(P2014-105517)
(22)【出願日】2014年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】四方田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 修
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088JA01
3B088JA04
3B088JB01
3D022AA02
3D022AC03
3D022AC07
3D022AD01
3D022AE01
(57)【要約】
【課題】 キックプレートを配置したままで運転室内の効率的な清掃を可能とする。
【解決手段】 乗物用キックプレートは、プレート本体と、連絡路とを備える。プレート本体は、乗物の外側に向けて配置される第1の側面部と、第1の側面部とは異なる第2の側面部と、第1の側面部および第2の側面部と交差し、乗物への配置時に水平面をなす上面部とを含む。連絡路は、上面部よりも下側の位置で第2の側面部から第1の側面部に連絡し、乗物内の塵芥または洗浄水を乗物の外側に向けて通過させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の外側に向けて配置される第1の側面部と、前記第1の側面部とは異なる第2の側面部と、前記第1の側面部および前記第2の側面部と交差し、乗物への配置時に水平面をなす上面部とを含むプレート本体と、
前記上面部よりも下側の位置で前記第2の側面部から前記第1の側面部に連絡し、前記乗物内の塵芥または洗浄水を前記乗物の外側に向けて通過させる連絡路と、
を備えることを特徴とする乗物用キックプレート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用キックプレートにおいて、
前記連絡路は、乗物への配置時に前記第2の側面部の入口に対して前記第1の側面部の出口が下側に位置するように傾斜することを特徴とする乗物用キックプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用キックプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トラックを含む車両や作業用機械等(以下、乗物と称する)では、運転室の床面には汚れ受け用のフロアマットが敷設される。この種のフロアマットにおいて、運転室内に配置したままで水洗いによる洗浄を容易にするために、例えば、フロアマットの周縁に折曲部を形成するとともにフロアマットに傾斜を設けることも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−136546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、乗物の運転室において、乗員の乗降時のステップとして機能するキックプレートが乗降口側のフロアマット上面に配置されることもある。この場合、運転室からフロアマットを取り外して洗浄しようとすると、清掃時にキックプレートおよびフロアマットの取り外しを行い、かつ清掃後にキックプレートおよびフロアマットを再び取り付けなければならないため、清掃作業が煩雑となる。また、運転室からフロアマットを取り外さずにそのまま清掃しようとすると、乗降口側においてキックプレートによる段差の部分に塵芥や洗浄水が貯まってしまい、清掃を効率的に行うことが困難である。
【0005】
上記事情に鑑み、本件開示は、キックプレートを配置したままで運転室内の効率的な清掃を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の乗物用キックプレートの一例は、プレート本体と、連絡路とを備える。プレート本体は、乗物の外側に向けて配置される第1の側面部と、第1の側面部とは異なる第2の側面部と、第1の側面部および第2の側面部と交差し、乗物への配置時に水平面をなす上面部とを含む。連絡路は、上面部よりも下側の位置で第2の側面部から第1の側面部に連絡し、乗物内の塵芥または洗浄水を乗物の外側に向けて通過させる。
【発明の効果】
【0007】
本件開示の乗物用キックプレートの一例によれば、キックプレートを配置したままで運転室内の効率的な清掃が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一の実施形態におけるキックプレートの配置例を示す図
【
図3】一の実施形態でのキックプレートの構成例を示す図
【
図5】一の実施形態でのキックプレートの連絡路近傍の斜視図
【
図6】一の実施形態でのキックプレートの配置状態の断面図
【
図7】他の実施形態でのキックプレートの構成例を示す図
【
図8】他の実施形態でのキックプレートの連絡路近傍の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一の実施形態として、本件開示の乗物用キックプレートをトラックの運転室(キャブ)内に配置する例を説明する。
図1は、一の実施形態におけるキックプレートの配置例を示す図であり、
図2は、
図1の左側面図である。
【0010】
図1、
図2では、トラックのキャブ10内において乗員が着席するシート(不図示)よりも前方の箇所を部分的に示している。
図1に示すように、キャブ10の両側方(図中右側および左側)は乗員が乗降する乗降口11が設けられており、各乗降口11はドア12で開閉される。なお、
図1では、図中下側が車両前方であり、また図中左側の乗降口のみドア12を示す。そして、キャブ10の各乗降口11には、乗員の乗降時のステップとして機能するキックプレート20がそれぞれ配置されている。なお、キックプレート20は、ドア12よりもキャブ10の内側の位置で、路面に対して略水平となるように配置される。
【0011】
ここで、キックプレート20は、
図2に示すように、全体形状が平板状の部材であって、車両後方側の端部が上側に向けてわずかに反り返っている。キックプレート20は、例えば樹脂または金属で形成されており、フロアマット15を隔ててキャブ10の乗降口の床面に配置される。
【0012】
図3は、一の実施形態でのキックプレートの構成例を示す図である。
図4は、
図3のA−A断面図である。キックプレート20は、プレート本体と、塵芥または洗浄水を通過させるための連絡路21とを有している。
【0013】
プレート本体は、第1の側面部22と、第2の側面部23と、上面部24とを有している。第1の側面部22および第2の側面部23はそれぞれ立設され、第1の側面部22および第2の側面部23の上端は、上面部24の異なる端部と接続されている。例えば
図4に示すように、第1の側面部22、上面部24および第2の側面部23は側方からみて上向きに凸をなすように接続されており、上面部24は第1の側面部22および第2の側面部23と交差している。なお、プレート本体をキャブ10に配置するときには、第1の側面部22は乗降口11側(外側)に向けて配置され、第2の側面部23はトラックのキャブ10内に向けて配置される。
【0014】
プレート本体の上面部24は、キャブ10に配置した時に路面に対して水平面をなし、乗員の乗降時のステップとして機能する。また、上面部24には、滑り止めのための突起25が複数設けられている。
【0015】
また、一の実施形態のキックプレートでは、第1の側面部22と第2の側面部23とにそれぞれ矩形の開口(22a,23a)が形成されている。そして、第1の側面部の開口22aおよび第2の側面部の開口23aは、上面部24よりも下側の位置に形成されるトンネル状の連絡路21で連絡している。なお、
図5は、一の実施形態でのキックプレートの連絡路近傍の斜視図である。第2の側面部の開口23aは連絡路21の入口であり、第1の側面部の開口22aは連絡路21の出口である。連絡路21は、清掃時にキャブ10内の塵芥または洗浄水を乗降口から掃き出そうとするときに、キャブ10内の塵芥または洗浄水をキャブ10の外側に向けて通過させる。
【0016】
また、一の実施形態での連絡路21は、第2の側面部の入口(23a)に対して第1の側面部の出口(22a)が下側に位置し、連絡路21は入口から出口に向けて傾斜している。これにより、塵芥や洗浄水が入口から出口に向けて排出しやすくなる。なお、連絡路21は、傾斜を有するものに限定されず、例えば、キャブ10への配置時に連絡路21の入口と出口が水平になるものであってもよい。
【0017】
また、一の実施形態での連絡路21は、例えば、連絡路21の出口側が入口側より大きく設定される。しかし、連絡路21の入口と出口の大きさは適宜設定できる。例えば、連絡路21の入口側を出口側より大きくしてもよく、連絡路21の入口側と出口側をほぼ同じサイズにしてもよい。
【0018】
また、
図1から
図5の例では、プレート本体に1つの連絡路21が設けられている構成を示したが、連絡路21はプレート本体に複数設けられていてもよい。
【0019】
図6は、一の実施形態でのキックプレートの配置状態の断面図である。一の実施形態のキャブ10の乗降口には、ドア12を受けるとともにキャブ10への雨水等の浸入を防止するためのウェザーストラップ13が配置され、キャブ10の床面(フロアメタル14)にはフロアマット15が敷設される。そして、一の実施形態のキックプレート20は、ウェザーストラップ13の上に第1の側面部22の下端が配置され、フロアマット15の上に第2の側面部23の下端が配置される。
図6に示す状態において、キックプレート20の上面部24は路面に対して水平面をなし、キックプレート20の上面部24が乗員の乗降時のステップとして機能する。また、
図6に示す状態において、キックプレート20の第2の側面部23の下端はフロアマットに食い込んだ状態となる。これにより、フロアマット15はキックプレート20およびフロアメタル14に挟み込まれてキャブ10内に固定される。
【0020】
ところで、トラックのキャブ10は乗員が土足で使用するため、キャブ10内には砂利や泥等の塵芥による汚れが頻繁に生じる。このようなキャブ10内の汚れを落とすために、乗員がキャブ10内を水洗いすることもある。また、乗員がキャブ10内の清掃を行う場合には、キャブ10内の塵芥や洗浄水等を乗降口11に向けて掃き出すように清掃が行われることがある。
【0021】
ここで、本件開示の比較例として、連通路を有しない以外は一の実施形態と同様の構成のキックプレートの場合を考える。比較例の場合、キャブからフロアマットを取り外さずにそのまま清掃しようとすると、キックプレートによる段差の部分に塵芥や洗浄水が貯まってしまう。この場合には、塵芥や洗浄水をキックプレートの上面部を乗り越えるように乗降口側へ掃き出さなければならないため、清掃を効率的に行うことが困難である。また、キャブからフロアマットを取り外して洗浄しようとすると、清掃時にキックプレートの取り外しと再取り付けの作業も発生するため、清掃作業が煩雑となる。
【0022】
一方、一の実施形態のキックプレート20では、第2の側面部23から第1の側面部22に向けて連絡路21が設けられている。そのため、一の実施形態のキックプレート20の場合、清掃時にキャブ10内の塵芥や洗浄水を第2の側面部の入口23aから連絡路21を介して第1の側面部の出口22aに排出できる。なお、
図6では、上記の場合の塵芥や洗浄水の流れを矢印で示す。これにより、一の実施形態のキックプレート20では、キックプレート20による段差の部分に塵芥や洗浄水が貯まりにくくなり、塵芥や洗浄水をキックプレート20の上面部24を乗り越えるように乗降口11側へ掃き出す必要もなくなる。そのため、一の実施形態によれば、キックプレート20を配置したままでキャブ10内の効率的な清掃が可能となる。
【0023】
図7は、他の実施形態でのキックプレートの構成例を示す図であり、
図8は、他の実施形態でのキックプレートの連絡路近傍の斜視図である。
図7、
図8に示す他の実施形態では、一の実施形態と同一または同様の要素には共通の符号を付して重複説明を省略する。
【0024】
他の実施形態のキックプレート20aは一の実施形態の変形例であって、プレート本体の第2の側面部23から第1の側面部22にかけて、上面側が開放された溝状の連絡路21aが形成されている。
図7、
図8では溝状の連絡路21aが2本形成されている例を示すが、他の実施形態での連絡路21aの数は1本または3本以上であってもよい。この他の実施形態のキックプレート20aの構成によっても、一の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0025】
なお、上記の各実施形態では、キックプレート20、20aをトラックのキャブ10内に配置する例を説明したが、本件開示の乗物用キックプレートはトラック以外の乗物に配置されるものであってもよい。
【0026】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0027】
10…キャブ、11…乗降口、12…ドア、13…ウェザーストラップ、14…フロアメタル、15…フロアマット、20,20a…キックプレート、21,21a…連絡路、22…第1の側面部、23…第2の側面部、22a,23a…開口、24…上面部、25…突起