本発明に係る飲料サーバは、飲料を冷却させる冷却水Wを収容する水槽11と、冷却水W内に配置されて飲料が通るビールコイル12と、冷却水Wを撹拌するプロペラ22と、冷却水Wから氷を生成する冷媒管50と、を備え、ビールコイル12は、平面視において環状となっており、冷媒管50の少なくとも一部は、平面視においてビールコイル12の内側に位置しており、プロペラ22は、冷媒管50の上方に位置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した飲料用ディスペンサでは、伝熱冷却体の周囲に一体の大きな壁状の氷が形成される。このように一体の大きな壁状の氷が形成される場合には、飲料パイプと冷却水との熱交換に対して、氷と冷却水との熱交換が不十分となることがある。すなわち、飲料の連続注出時に、一体の大きな氷が形成されているにもかかわらず冷却水が十分に冷やされなくなるという事態が起こり得る。よって、氷と冷却水との熱交換が不十分である場合には、飲料の連続注出時に飲料が十分に冷えなくなり、安定して連続的に低温の飲料を提供することができないという問題を生じさせる。
【0006】
そこで、本発明は、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる飲料サーバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料サーバは、飲料を冷却させる冷却液を収容する冷却液槽と、冷却液槽内に配置されて飲料が通る飲料管と、冷却液を撹拌する撹拌部材と、冷却液から氷を生成する製氷部材と、を備え、飲料管は、平面視において環状となっており、製氷部材の少なくとも一部は、平面視において飲料管の内側に位置しており、撹拌部材は、製氷部材の上方又は下方に位置する。
【0008】
本発明に係る飲料サーバによれば、製氷部材の少なくとも一部が、平面視において環状となっている飲料管の内側に配置されているので、飲料管の内側に位置する冷却液を一層冷却させることが可能となる。よって、飲料管の内側における氷と冷却液との熱交換の効率を高めることが可能となる。また、飲料管の内側に位置する製氷部材の上方又は下方には、冷却液を撹拌する撹拌部材が設けられている。よって、製氷部材により製氷された氷によって十分に冷やされた冷却液を撹拌部材によって飲料管の外側に送り出すことも可能となる。従って、飲料の連続注出時であっても飲料管の内外に位置する冷却液を十分に冷却させ続けることができ、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる。更に、飲料管の内側であって且つ撹拌部材の上方又は下方に位置する冷却液槽の内部のスペースを、製氷部材を配置するスペースとして有効活用することができる。
【0009】
また、撹拌部材は、製氷部材の上方に設けられてもよい。この場合、製氷部材は撹拌部材の下方に位置することとなるので、撹拌部材による冷却液の撹拌で下方に移動した冷却液を製氷部材によって十分に冷却し、製氷部材によって十分に冷却された冷却液を飲料管の周りに循環させることが可能となる。従って、飲料管を通る飲料を十分に冷却させることができる。
【0010】
また、製氷部材によって生成された氷は、飲料管の内側に頂部を備えた錐体状となっていてもよい。この場合、撹拌部材によって撹拌されて飲料管の内側を通る冷却液を錐体状の氷の頂部に向かって流し込むことによって、頂部で冷却液が流れる方向を分散させることが可能となる。従って、冷却液槽の内部において冷却液を満遍なく流し込むことによって、飲料管を通る飲料を一層十分に冷却させることが可能となる。
【0011】
また、上記氷の頂部は、撹拌部材の近傍に配置されてもよい。この場合、撹拌部材で撹拌された冷却液が、撹拌部材の近傍に位置する頂部に向かって流し込まれることとなるので、頂部における冷却液の分散を促進させることができる。従って、冷却液を一層満遍なく流し込むことが可能となる。
【0012】
また、飲料管の内側と製氷部材によって生成された氷の外側とは近接しており、飲料管の内側と氷の外側との間に冷却液が通る流路が形成されてもよい。この場合、飲料管の内側が氷に近接しているので、飲料の冷却を促進させることが可能となる。また、飲料管の内側と氷の外側との間に冷却液が通る流路が形成されるので、この流路に氷で冷却された冷却液を流し込むことによって、冷却液槽内の冷却液を十分に冷却させ続けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る飲料サーバ及びその制御方法の実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一の符号を付すこととする。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の飲料サーバ(サーバ10)を備えた飲料提供装置1の全体構成を示している。飲料提供装置1は、例えば、飲食店に設けられる装置であり顧客の注文等に応じてカラン9からビールを注出する装置である。まずは、飲料提供装置1の全体構成について説明する。飲料提供装置1は、カラン9の他、炭酸ガスボンベ2と、減圧弁3と、炭酸ガスホース4と、ビール樽5と、ヘッド6と、ビールホース7と、サーバ10とを備えている。
【0017】
炭酸ガスボンベ2は、炭酸ガスが高圧で充填された略円柱状の容器である。炭酸ガスボンベ2は、ビール樽5の内部のビール液をサーバ10に押し出す機能を有すると共に、ビール樽5の内部のビール液に含まれる炭酸ガスの量を適正な量に保つ機能を有する。炭酸ガスボンベ2の内部において、炭酸ガスは、液体の状態で充填されており、例えば6〜8MPa程度の圧力で充填されている。
【0018】
炭酸ガスボンベ2は、炭酸ガスボンベ2内部の炭酸ガスの量を表示する残量表示計2aを備えている。残量表示計2aとしては、例えば、針状のものを用いることができ、この場合、当該針が上方を指しているときには炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスの量が比較的多いことを示し、当該針が下方を指しているときには炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスの量が少なくなってきたことを示す。このように、炭酸ガスボンベ2は、残量表示計2aを備えることにより、炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスの量を視認可能となっている。また、炭酸ガスボンベ2は、炭酸ガスボンベ2の上部に使用者が回転可能な開閉ハンドル(不図示)を備えており、この開閉ハンドルの回転により炭酸ガスボンベ2から減圧弁3への炭酸ガスの流路を開閉可能となっている。
【0019】
減圧弁3は、ビール樽5の内部のビール液にかかる炭酸ガスによる圧力(以下、ガス圧と称する)を調整するための装置である。減圧弁3は、炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスの残圧を表示する残圧表示計3aと、ガス圧を調整するための回転式の操作部3bとを備えている。使用者は、例えば、操作部3bを時計回り方向に回転させることによりガス圧を上げて、操作部3bを反時計回り方向に回転させることによりガス圧を下げることができる。ここで、炭酸ガスが液体に溶け込む量は、液体の温度が高いほど少なく、液体の温度が低いほど多くなっている。よって、ビール樽5の内部におけるビール液の温度に合わせて減圧弁3でガス圧を適切な値とすることにより、高温時にビール液から炭酸ガスが抜けるガス分離や、低温時にビール液が炭酸ガスを過大に吸収する過飽和を防止することができる。
【0020】
ビール樽5は、ビール液が詰められた容器である。ビール樽5は、内部が密閉されているので、雑菌等がビール樽5の内部に入り込まないようになっている。また、ビール樽5の表面には、例えばカード状の液温検出部5aを貼り付けることが可能となっており、この液温検出部5aによってビール樽5内のビールの温度を検出することができる。液温検出部5aには、ビール樽5内のビールの温度のほか、検出したビールの温度に対応したガス圧の最適値が表示されるようになっている。
【0021】
よって、使用者は、減圧弁3の操作部3bを操作しながらガス圧を液温検出部5aに表示された値にすることによって、ビール樽5内のガス圧を最適な値にできるようになっている。また、ビール樽5は、内部にビールが流通するチューブ5bと口金(フィッティングバルブとも称される)5cとを備えている。ビール樽5のチューブ5bは、ビール樽5の内部で上下に延在しており、チューブ5bの上端に上記口金5cが設けられている。
【0022】
ヘッド6は、炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスを減圧弁3及び炭酸ガスホース4を介してビール樽5内に送り込むと共に、ビール樽5内のビール液をサーバ10に送り出す機能を有する。ヘッド6は、上下に移動させることにより炭酸ガスとビール液の流路を開閉可能な操作ハンドル6aと、炭酸ガスホース4と接続されるガス継手6bと、ビールホース7と接続されるビール継手6cとを備えている。
【0023】
ヘッド6の下部はビール樽5の口金5cに接続されており、ヘッド6の下部を口金5cに接続させた状態でヘッド6の操作ハンドル6aを下げることにより炭酸ガスホース4及びビールホース7の流路が開き、ヘッド6の操作ハンドル6aを上げることにより炭酸ガスホース4及びビールホース7の流路が閉塞される。なお、ガス継手6b及びビール継手6cは、ヘッド6の中央部で上下に延在する本体部6dに対して脱着自在となっており、ガス継手6b、ビール継手6c及び本体部6dが分解可能となっていることにより、ヘッド6を洗浄しやすい構造となっている。
【0024】
サーバ10は、ビールホース7を介してヘッド6と接続されており、ビール樽5からヘッド6及びビールホース7を介して送り出されたビール液を冷却する機能を有する。サーバ10は、いわゆる電気冷却式の瞬間冷却式サーバである。サーバ10は直方体状となっており、サーバ10の側面の上端にビールホース7が入り込んでいる。サーバ10は、ビールホース7から供給されたビール液を冷却し、サーバ10によって冷却されたビール液は、例えばカラン9が手前に引かれたときにカラン9から注出される。
【0025】
図1及び
図2に示されるように、サーバ10は、冷却水(冷却液)Wを収容する直方体状の水槽(冷却液槽)11と、ビールホース7に接続されて水槽11の冷却水Wの内部で螺旋状に形成されたビールコイル(飲料管)12と、冷却水Wを冷却させる冷凍サイクル装置15とを備えている。ビールコイル12は、ビールホース7との接続部分から下方に伸び、その下端から軸線L周りに螺旋状に伸び、螺旋状に伸びる上端部分で冷却水Wから上方に引き出された箇所でカラン9に接続されている。軸線Lは、例えば、平面視における水槽11の中央部分で鉛直方向に延在する基準線である。尚、ビールコイル12は、螺旋状に限られず、平面視において環状であればよく、例えば、上方に延びる四角環状であってもよい。このようにビールコイル12が螺旋状となっていることによって冷却水W内におけるビール液の流路を長く確保しているので、ビールコイル12内部のビール液はサーバ10の内部でより好適に瞬間冷却される。
【0026】
図2〜
図4に示されるように、冷凍サイクル装置15は、冷却水W内におけるビールコイル12の外側でビールコイル12を囲むように螺旋状に伸びる冷媒管16を備えている。また、冷凍サイクル装置15は、上記の冷媒管16とコンプレッサ17と凝縮器18とファン19と脱水器20とキャピラリーチューブ21とを備えており、冷凍サイクル装置15では、冷媒管16、コンプレッサ17、凝縮器18、脱水器20及びキャピラリーチューブ21を順次接続する冷凍サイクルが構成されている。
【0027】
コンプレッサ17は冷媒管16の下端に接続されており、コンプレッサ17には、冷媒管16から冷媒が流入される。コンプレッサ17は、この冷媒を圧縮して例えば70℃の高温冷媒ガスを生成し、この高温冷媒ガスから凝縮器18が熱を放出させることにより、凝縮器18は、例えば40℃の高温冷媒液を生成する。ファン19は、凝縮器18に空気を送り込み、凝縮器18における熱交換を効率よく行わせる機能を有する。また、凝縮器18によって生成された高温冷媒液は脱水器20を介してキャピラリーチューブ21に送られる。キャピラリーチューブ21は、冷媒管16の上端に接続されており、脱水器20を介して送られた高温冷媒液に対して減圧と流量制御とを行って例えば−8℃の液状冷媒を生成し、この液状冷媒を冷媒管16に供給する。
【0028】
また、サーバ10は、プロペラ22とモータ23とを備えている。プロペラ22は、水槽11内の冷却水Wを撹拌し冷却水Wに流れを形成することによって、冷却水Wとビールコイル12との熱交換、及び冷却水Wと冷媒管16との熱交換を促進させる。モータ23はビールコイル12の上方に配置されており、モータ23に取り付けられたプロペラ22の軸22aがビールコイル12の内側に入り込んでいる。よって、ビールコイル12の内側に位置する冷却水Wは、プロペラ22の回転によって下方に移動し、水槽11の底面11aにおいて水槽11の外側に移動する流れを形成する。
【0029】
また、上述したように冷媒管16にはキャピラリーチューブ21から液体冷媒が供給されるので、この液体冷媒によって冷媒管16の周囲に位置する冷却水Wが冷却され、冷媒管16の周囲に氷K1が生成される。氷K1が生成されるまでには水槽11内に冷却水Wを入れた状態でサーバ10の電源をオンにしてから数時間(例えば7,8時間)程度かかる。よって、例えば、飲食店における夜間の営業終業時にサーバ10の電源をオンにすれば、夜間で冷媒管16の周囲に氷が形成され、次の日の営業開始時までには氷K1が生成された状態とすることができる。
【0030】
ここで、
図5(a)に示されるように、プロペラ22の下方に位置する氷K2(後に詳述)とビールコイル12との間には冷却水Wの流路が形成される。よって、プロペラ22の回転によって下方に移動した冷却水Wは、氷K2に向かって流れ、氷K2の脇を通って水槽11の底面11aに向かって移動する。また、ビールコイル12と冷媒管16による氷K1との間に冷却水Wの流路が形成されるので、底面11aに向かって移動する冷却水Wは、底面11aで水槽11の外側に移動し、氷K1とビールコイル12との間で上方に移動する。このように氷K1の内側で上方に移動する冷却水Wは、氷K1の上方でビールコイル12側に流し込まれる。
【0031】
図5(b)及び
図6に示されるように、サーバ10は、冷媒管16に形成される氷K1の厚さを制御する制御部30を備えており、この制御部30は、氷K1の厚さを検出するセンサ31を有する。センサ31は、水槽11の内側面11bから水槽11の内側に突出するように設けられている。センサ31は、2個の棒状の電極32,33を備えており、これらの電極32,33の長さは互いに異なっている。センサ31は、電極32と電極33との導通又は非導通を検出することによって氷K1の厚さを検出する。具体的には、電極32の先端32aと電極33の先端33aとが冷却水Wに接触し導通しているときには氷K1の厚さが薄いことを検出し、電極32の先端32aが氷K1に埋もれて先端32aと先端33aとが非導通であるときには、氷K1の厚さが厚いことを検出する。
【0032】
制御部30は、センサ31によって氷K1の厚さが薄いことが検出されたときは冷凍サイクル装置15で冷媒管16に液状冷媒を供給し、冷媒管16を冷却させることによって、氷K1を厚くさせる制御を行う。一方、制御部30は、センサ31によって氷K1の厚さが厚いことが検出されたときは冷凍サイクル装置15による冷媒管16への液状冷媒の供給を止めて、氷K1がこれ以上厚くならないように制御する。このセンサ31では、2つの電極32,33の位置を調整することによって、冷媒管16の周囲に生成される氷の厚さを制御することが可能となる。
【0033】
図7(a)に示されるように、サーバ10は、冷却水W内におけるビールコイル12の内側でビールコイル12に囲まれた螺旋状の冷媒管(製氷部材)50を備えている。冷媒管50は平面視で円環状となっており、冷媒管50の上側の一部がビールコイル12の内側に入り込んでいる。冷媒管50は、冷媒管16と同一の冷凍サイクル装置15を構成していてもよいし、冷媒管16とは別の冷凍サイクル装置を構成していてもよい。
【0034】
冷媒管50には、冷媒管16と同様の液状冷媒が供給される。よって、この液状冷媒によって冷媒管50の周囲に位置する冷却水Wが冷却され、冷媒管50の周囲には円柱状の氷K2が生成される。また、冷媒管50の上方にはプロペラ22が設けられているので、プロペラ22の回転によって下方に移動する冷却水Wは、冷媒管50によって生成された氷K2に向かって流れる。氷K2に向かって流れる冷却水Wは、氷K2の脇を通って水槽11の底面11aに移動することとなる。
【0035】
このように、サーバ10では、冷媒管50の一部(上側)が、平面視において環状となっているビールコイル12の内側に配置されているので、ビールコイル12の内側に位置する冷却水Wを一層冷却させることが可能となる。よって、ビールコイル12の内側における氷K2と冷却水Wとの熱交換の効率を高めることが可能となる。
【0036】
また、ビールコイル12の内側に位置する冷媒管50の上方には、冷却水Wを撹拌するプロペラ22が設けられている。よって、冷媒管50によって十分に冷やされた冷却水Wをプロペラ22によってビールコイル12の外側に送り出すことも可能となる。従って、ビールの連続注出時であってもビールコイル12の内外に位置する冷却水Wを十分に冷却させ続けることができ、安定して連続的に低温のビールを提供することができる。更に、ビールコイル12の内側であって且つプロペラ22の下方に位置する水槽11内のスペースを、冷媒管50を配置するスペースとして有効活用することができる。
【0037】
また、プロペラ22は、ビールコイル12の内側に位置する冷媒管50の上方に位置しており、冷媒管50はプロペラ22の下方に位置することとなる。よって、プロペラ22による冷却水Wの撹拌で下方に移動した冷却水Wを冷媒管50によって十分に冷却し、冷媒管50によって十分に冷却された冷却水Wをビールコイル12の周りに循環させることが可能となる。従って、ビールコイル12を通るビールを十分に冷却させることができる。
【0038】
また、第1実施形態のサーバ10において、ビールコイル12の内側と、冷媒管50によって生成された氷K2の外側とが近接しており、ビールコイル12の内側と氷K2の外側との間に冷却水Wが通る流路が形成されることが好ましい。ここで、ビールコイル12の内側と氷K2の外側とが近接しているとは、平面視における氷K2と平面視におけるビールコイル12との間に水流が形成される程度の隙間が設けられる状態を示しており、このとき、ビールコイル12の内側と氷K2の外側との間の流路が細くなっている。この場合、ビールコイル12の内側が氷K2に近接しているので、ビールの冷却を促進させることが可能となる。また、ビールコイル12の内側と氷K2の外側との間からビールコイル12の外側と氷K1の内側との間に向かう方向に冷却水Wが通る流路が形成される。従って、この流路に氷K2で冷却された冷却水Wを流し込むことによって、水槽11内の冷却水Wを十分に冷却させ続けることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図7(b)に示されるように、第2実施形態の飲料サーバは、平面視において環状となる冷媒管55を備えている。冷媒管55の一部(下側の部分)は、ビールコイル12の内側に入り込んでいる。冷媒管55は、冷媒管16と同一の冷凍サイクル装置15を構成していてもよいし、冷媒管16とは別の冷凍サイクル装置を構成していてもよい。また、第2実施形態の飲料サーバは、ビールコイル12の下方に配置されるモータ53と、モータ53から上方に伸びビールコイル12に下から入り込む軸52aを備えたプロペラ52とを有する。ビールコイル12の内側に位置する冷却水Wは、プロペラ52の回転によって上方に移動する。
【0040】
また、平面視で円環状となる冷媒管55の周囲には円柱状の氷K5が生成されるので、この氷K5とビールコイル12との間には冷却水Wの流路が形成される。よって、プロペラ52の回転によって上方に移動した冷却水Wは、氷K5に向かって流れ、氷K5の脇を通って水槽11の上面に向かって移動する。水槽の上面に向かって移動する冷却水Wは、水槽11の上面で水槽11の外側方向に移動し、氷K1とビールコイル12との間で下方に移動する。そして、氷K1の内側で下方に移動する冷却水Wは、氷K1の下方でビールコイル12側に流し込まれる。
【0041】
このように、第2実施形態の飲料サーバは、第1実施形態のサーバ10と同様、冷媒管55の一部がビールコイル12の内側に配置されることによって、ビールコイル12の内側に位置する冷却水Wを一層冷却することが可能となる。そして、冷媒管55の下方に設けられたプロペラ52によって、冷媒管55の氷K5で十分に冷やされた冷却水Wをビールコイル12の外側に送り出すことも可能となる。従って、第1実施形態と同様、安定して連続的に低温のビールを提供することができると共に、ビールコイル12の内側であって且つプロペラ52の上方に位置する水槽11内のスペースを、冷媒管55を配置するスペースとして有効活用することができる。なお、第2実施形態の飲料サーバにおいて、冷媒管55の周囲に生成された氷K5は円柱状となっていたが、冷媒管55の形状及び大きさを変えることによって氷K5の形状及び大きさを適宜変えることが可能である。
【0042】
(第3実施形態)
図8(a)に示されるように、第3実施形態の飲料サーバでは、軸線L付近で螺旋状となる冷媒管60を備えている。冷媒管60は、平面視で円環状となっており、冷媒管60の上側の一部がビールコイル12の内側に入り込んでいる。冷媒管60は、冷媒管16と同一の冷凍サイクル装置15を構成していていもよいし、冷媒管16とは別の冷凍サイクル装置を構成していてもよい。また、第3実施形態の飲料サーバは、冷媒管60の周囲に形成される氷K3の形状を制御する氷形成部材61を備えている。氷形成部材61は、例えば金属等の熱伝導率が高い材料によって構成されており、冷媒管60に固定されている。また、氷形成部材61は冷媒管60を囲む平面視円環状となっており下側に向かうほど氷形成部材61の外径が大きくなっている。冷媒管60に液状冷媒が供給されると、冷媒管60及び氷形成部材61の周囲に位置する冷却水Wが冷却され、冷媒管60及び氷形成部材61の周囲に氷K3が生成される。氷K3は、ビールコイル12の内側に頂部Tを備えた円錐状となる。
【0043】
以上、第3実施形態に係る飲料サーバでは、冷媒管60によって生成された氷K3が、ビールコイル12の内側に頂部Tを備えた円錐状となっているので、プロペラ22によって撹拌されてビールコイル12の内側を通る冷却水Wは円錐状の氷K3の頂部Tに向かって流し込まれる。よって、頂部Tで冷却水Wが流れる方向を分散させることが可能となるので、水槽11内において冷却水Wを満遍なく流し込むことができ、ビールコイル12を通るビールを一層十分に冷却させることが可能となる。なお、第3実施形態において、氷K3は円錐状であったが、角錐状等、異なる錐体状であってもよく、この場合でも上記と同様の効果が得られる。
【0044】
また、第3実施形態の飲料サーバにおいて、氷K3の頂部Tは、プロペラ22の近傍に配置されることが好ましい。ここで氷K3の頂部Tがプロペラ22の近傍に配置されるとは、頂部Tがプロペラ22に接触せず且つ頂部Tがプロペラ22の直下に位置する状態を示している。このように氷K3の頂部Tをプロペラ22の近傍に配置することによって、プロペラ22で撹拌された冷却水Wは、プロペラ22の近傍に位置する頂部Tに向かって流し込まれることとなる。従って、頂部Tにおける冷却水Wの分散を促進させることができ、冷却水Wを一層満遍なく流し込むことが可能となる。
【0045】
なお、円柱状の氷K2のようにプロペラ22に対向する面が平坦である氷の場合もプロペラ22の近傍に氷が配置されることが好ましい。ただし、プロペラ22と氷との距離は、プロペラ22によって下方に移動した冷却水Wが氷の脇を通る程度に離れていることがより好ましい。また、上記同様、第2実施形態の氷K5もプロペラ52の近傍に配置されることが好ましい。
【0046】
(第4実施形態)
図8(b)に示されるように、第4実施形態の飲料サーバは、第1実施形態の冷媒管16と水槽71の下部の空間Sで繋がっている冷媒管70を備えている。水槽71は、
図8(a)に示される第1実施形態の水槽11と同様、冷却水Wを収容している。水槽71は、下部に底板72を有し、この底板72の下部に空間Sが形成されている点が水槽11と異なっている。
【0047】
冷媒管16の下端は底板72に入り込んでおり、底板72下方の空間Sで内側に湾曲している。そして、冷媒管70は、平面視におけるビールコイル12の内側で底板72から上方に突出する螺旋状となっている。このような第4実施形態の飲料サーバでも、プロペラ22の下方且つビールコイル12の内側に、第1実施形態の氷K2と同様の氷K4が形成される。よって、第1実施形態のサーバ10と同様の効果が得られる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の形態を採用することができる。
【0049】
例えば、上記実施形態では、水槽11内に冷却水Wが収容されていたが、飲料を冷却させる冷却液としては水以外のもの(例えば不凍液等)を用いることも可能である。例えば、冷却水Wを収容する水槽11に代えて、不凍液を収容する冷却液槽を用いることも可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、冷却水Wを撹拌する撹拌部材としてプロペラ22を例示したが、このプロペラの形状等は適宜変更することが可能である。また、冷却水Wを撹拌する撹拌部材は、プロペラに限定されず、プロペラ以外のものを用いて冷却水Wを撹拌させてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、冷媒管50,60は平面視で円環状となっていたが、この冷媒管の形状は適宜変更可能である。更に、上記実施形態では、氷を生成する製氷部材として冷媒管を例示したが、冷媒管以外の製氷部材を用いることも可能である。例えば、冷媒管50に代えて、冷却水Wから氷を生成するペルチェ素子を製氷部材として用いることも可能である。
【0052】
また、上記実施形態では、2本の電極32,33を有するセンサ31によって氷K1の厚さを検出したが、氷K2、氷K3又は氷K4の厚さを検出するセンサを別途設けてもよい。また、上述したセンサ31以外のセンサを用いることも可能である。例えば、センサ31に代えて、冷媒管16の周囲の温度を検出する温度センサを用いてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、サーバ10が飲料提供装置1に設置されている例について説明したが、飲料提供装置の構成は上記実施形態に限定されることなく適宜変更可能である。また、冷凍サイクル装置の構成を適宜変更することも可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、飲料サーバ(サーバ10)がビールを提供する飲料提供装置1に設置されている例について説明したが、本発明の飲料サーバは、ビール以外の飲料を提供する飲料提供装置にも適用することができる。