【解決手段】実施形態の巻上機油漏れ防止構造は、補助部材と、密着部材とを備える。補助部材は、巻上機の駆動軸を支持する軸受部と駆動軸の露出端部に設けられ回転速度を検出する検出器との間に配置される。密着部材は、前記補助部材と端部隔壁との間に介在して密着する。前記密着部材は、前記露出端部の外周面に沿って形成され鉛直方向下側に開口を有する。前記補助部材は、吸収部材保持部と、環状空間部とを有する。吸収部材保持部は、前記露出端部の外周面に接触して環状に設けられ前記露出端部に付着した油を吸収可能である吸収部材を保持する。環状空間部は、前記露出端部の外周面に沿った環状空間が形成されると共に前記環状空間の鉛直方向下側に当該環状空間と連通する開口が形成される。
エレベータの巻上機の駆動軸を回転自在に支持する軸受部と前記巻上機の端部隔壁を挟んで前記軸受部とは反対側に露出した前記駆動軸の露出端部に設けられ当該駆動軸の回転速度を検出する検出器との間に配置される補助部材と、
前記補助部材と前記端部隔壁との間に介在して密着する密着部材とを備え、
前記密着部材は、前記露出端部の外周面に沿って形成され鉛直方向下側に開口を有し、
前記補助部材は、前記露出端部の外周面に接触して環状に設けられ前記露出端部に付着した油を吸収可能である吸収部材を保持する吸収部材保持部と、前記露出端部の外周面に沿った環状空間が形成されると共に前記環状空間の鉛直方向下側に当該環状空間と連通する開口が形成される環状空間部とを有することを特徴とする、
巻上機油漏れ防止構造。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る油漏れ防止構造の概略構成を表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る油漏れ防止構造が適用された巻上機の部分断面図である。
図3は、実施形態に係る油漏れ防止構造を含む部分断面図(
図2中の囲み線A内の部分断面図)である。
図4は、実施形態に係る油漏れ防止構造が適用されるエレベータの概略構成例を示すブロック図である。
【0008】
図1、
図2、
図3に示す本実施形態に係る巻上機油漏れ防止構造としての油漏れ防止構造100は、
図4に示すようなエレベータ1の巻上機5に適用され、当該巻上機5の軸受部52等を潤滑する潤滑剤の油分等の漏れを防止するための機構である。
【0009】
ここで、油漏れ防止構造100が適用されるエレベータ1は、
図4に示すように、乗りかご2が昇降路7内を昇降することで任意の目的階の乗場6に移動することができるものである。エレベータ1は、乗りかご2、カウンタウェイト3、メインロープ4、巻上機5、制御装置(制御盤)10等を含んで構成される。エレベータ1は、乗りかご2とカウンタウェイト3とをメインロープ4で連結したいわゆるつるべ式のエレベータである。エレベータ1は、乗場6が設けられる。
【0010】
乗りかご2は、かご操作盤8等を含んで構成され、建物に設けられた昇降路7を昇降可能である。かご操作盤8は、利用者による操作入力に応じていわゆるかご呼び登録等を行う。メインロープ4は、巻上機5のメインシーブ5aやそらせシーブ5b等に掛けられる。メインロープ4は、一端に乗りかご2が接続され、他端にカウンタウェイト3が接続される。巻上機5は、例えば、動力を発生させる電動機(モータ)5cを有する。巻上機5は、電動機5cが駆動することで、この電動機5cに連結されたメインシーブ5aが回転駆動する。そして、巻上機5は、メインシーブ5aとメインロープ4との間に生じる摩擦力を利用してメインロープ4を電動で巻き上げる。乗場6は、乗りかご2が着床可能な各エレベータ停止階床に設けられる。各乗場6は、それぞれ乗場操作盤9等が設けられる。乗場操作盤9は、利用者による操作入力に応じていわゆる乗場呼び登録等を行う。
【0011】
制御装置10は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、ROM、RAM、バックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。ROM(Read Only Memory)は、所定の制御プログラム等を予め記憶している。RAM(Random Access Memory)は、CPUの演算結果を一時記憶する。バックアップRAMは予め用意されたマップデータ、エレベータ1の仕様等の情報を記憶する。制御装置10は、種々のセンサ、検出器やエレベータ1の各部と電気的に接続され、各部の動作を統括的に制御する。
【0012】
上記のように構成されるエレベータ1は、利用者によりかご操作盤8、乗場操作盤9等を介して乗りかご2の呼び操作が行われた場合、下記のように動作する。すなわち、エレベータ1は、かご操作盤8、乗場操作盤9等から制御装置10にこれに応じたかご呼び登録信号、乗場呼び登録信号が入力される。そして、エレベータ1は、制御装置10がこのかご呼び登録信号、乗場呼び登録信号に応じて乗りかご2のかご呼び登録、あるいは、乗場呼び登録を行う。そして、制御装置10は、かご呼び登録、乗場呼び登録、種々のセンサ、検出器からの出力、乗りかご2の現在の移動方向(昇降方向)等に基づいて、乗りかご2が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに応答するように乗りかご2の着床順序を定める。そして、制御装置10は、巻上機5を駆動制御し、乗りかご2を目的の階床へと移動させる。これにより、エレベータ1は、乗りかご2が昇降路7内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗場6に移動する。そして、エレベータ1は、乗りかご2が目的階の乗場6に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、扉が開放される。これにより、乗場6で待機している利用者は、乗りかご2内に乗り込むことが可能となり、また、乗りかご2内の利用者は乗場6に降りることが可能となる。
【0013】
ここで、上記のように構成されるエレベータ1は、
図1、
図2、
図3に示す巻上機5の駆動軸51の回転速度を検出するための検出器11を備えている。
【0014】
駆動軸51は、巻上機5において、メインロープ4を巻き上げる際の動力を発生させる電動機5cの出力ロータ軸であり、電動機5cが発生させた動力によってメインシーブ5aを回転駆動させるものである。駆動軸51は、水平方向に沿った回転軸線Xを回転中心として回転自在に軸受部52(
図2等参照)に支持されている。軸受部52は、例えば、ラジアルベアリング等によって構成され、巻上機5の筐体等に対して当該駆動軸51を回転自在に支持する。軸受部52に支持された駆動軸51は、一方の端部が電動機5cのロータに結合される一方、他方の端部が巻上機5の端部隔壁53を貫通し当該端部隔壁53から露出する露出端部51aを構成する。端部隔壁53は、巻上機5の筐体の一部を構成するものであり、円板状に形成され、軸受部52に隣接して鉛直方向に沿って立設される。駆動軸51の露出端部51aは、この端部隔壁53の中心部に形成された貫通孔53a(
図2、
図3等参照)に相対回転可能に挿入され、当該貫通孔53aを介して端部隔壁53の軸受部52とは反対側に露出する。本実施形態の検出器11は、駆動軸51の露出端部51aに設けられ当該駆動軸51の回転速度を検出する。本実施形態の検出器11は、例えば、駆動軸51の回転速度を光学的に検出するパルスジェネレータを用いる。
【0015】
また、上記のような巻上機5は、駆動軸51を支持する軸受部52において、当該軸受部52の摺動部分を潤滑するためにグリス等の潤滑剤が用いられる。そして、巻上機5は、端部隔壁53に余剰のグリス等の潤滑剤を排出するための排出通路53bが設けられている(
図2等参照)。排出通路53bは、端部隔壁53の内部に設けられる。排出通路53bは、軸受部52及び貫通孔53aの近傍から鉛直方向下側に向けて延在し、端部隔壁53の下端部に排出開口53c(
図1、
図2等参照)を有する。ここでは、排出開口53cは、端部隔壁53において露出端部51aが露出する側の端面に形成される。軸受部52の余剰のグリス等の潤滑剤は、
図2中に矢印L1で示すように、排出通路53b内を自重で落下し、排出開口53cを介して外部に排出される。
【0016】
ところで、上記のような検出器11は、軸受部52からグリス等の潤滑剤や当該潤滑剤の油分が駆動軸51の露出端部51aを伝って当該検出器11側に漏れ出て付着すると、駆動軸51の回転速度の検出精度が低下するおそれがある。本実施形態の検出器11のように駆動軸51の回転速度を光学的に検出するパルスジェネレータでは、油分等の付着による検出精度の低下がより顕著になる傾向にある。
【0017】
そこで、本実施形態の巻上機5は、油漏れ防止構造100が適用されることで、軸受部52からグリス等の潤滑剤や当該潤滑剤の油分が駆動軸51の露出端部51aを伝って当該検出器11側に漏れ出ることが抑制されている。これにより、検出器11は、駆動軸51の回転速度の検出精度の低下が抑制される。
【0018】
具体的には、油漏れ防止構造100は、
図1、
図2、
図3に示すように、補助部材としてのPG(パルスジェネレータ)サポート101と、密着部材としてのパッキン102とを備える。PGサポート101は、軸受部52と検出器11との間に配置される。パッキン102は、PGサポート101と端部隔壁53との間に介在して密着する。
【0019】
より詳細には、PGサポート101は、円環板状に形成される。PGサポート101は、例えば、鉄等の金属によって形成される。PGサポート101は、
図3等に示すように、貫通孔101aと、吸収部材保持部101bと、環状空間部101cと、板状規制部101dと、密着部材保持部101eとを有する。また、PGサポート101は、吸収部材103を含んで構成される。
【0020】
貫通孔101aは、PGサポート101の中心部に当該PGサポート101を貫通して形成されている。PGサポート101は、この貫通孔101aに駆動軸51の露出端部51aが相対回転可能に挿入されて露出端部51aに組み付けられる。
【0021】
吸収部材保持部101bは、吸収部材103を保持する部分である。吸収部材保持部101bは、PGサポート101において貫通孔101aを形成する内周面に形成される。吸収部材保持部101bは、PGサポート101において回転軸線Xに沿った軸方向(以下、単に「軸方向」という場合がある。)のほぼ中央部に形成される。吸収部材保持部101bは、PGサポート101の内周面において周方向に沿った円環状溝として形成される。つまり、吸収部材保持部101bは、内径が、PGサポート101において貫通孔101aを形成する内周面の内径よりも大きい円環状溝として形成される。吸収部材保持部101bは、当該円環状溝内に吸収部材103を保持する。吸収部材103は、吸収部材保持部101bに保持された状態で露出端部51aの外周面に接触して環状に設けられ露出端部51aに付着した油を吸収可能である。ここでは、吸収部材103は、例えば、円環状に形成されたフェルト等によって構成される。吸収部材103は、吸収部材保持部101bに保持された状態で、外周面が吸収部材保持部101bの内周面と接触し、内周面が露出端部51aの外周面と接触する。吸収部材103は、回転軸線Xを中心とした露出端部51aの相対回転に伴って内周面が露出端部51aの外周面と摺動可能に接触している。
【0022】
環状空間部101cは、露出端部51aの外周面に沿った環状空間101fが形成される部分である。環状空間部101cは、PGサポート101において貫通孔101aを形成する内周面に形成される。環状空間部101cは、PGサポート101において軸方向の検出器11側の端部に設けられる。つまり、環状空間部101cは、吸収部材保持部101bと検出器11との間に設けられる。環状空間部101cは、PGサポート101の内周面において周方向に沿った円環状溝として形成される。つまり、環状空間部101cは、内径が、PGサポート101において貫通孔101aを形成する内周面の内径よりも大きい円環状溝として形成される。ここではさらに、環状空間部101cは、内径が、PGサポート101において吸収部材保持部101bの内周面の内径よりも大きい円環状溝として形成される。そして、このPGサポート101は、このように円環状溝として形成される環状空間部101cによって区画される円環状の空間が環状空間101fとなる。そして、この環状空間部101cには、環状空間101fの鉛直方向下側に当該環状空間101fと連通する開口としての排出開口101gが形成される。排出開口101gは、PGサポート101が端部隔壁53等に組み付けられた状態で当該PGサポート101の鉛直方向下端部に形成され、鉛直方向に沿って環状空間101fと連通する。
【0023】
板状規制部101dは、環状空間部101cと検出器11との間に露出端部51aの外周面に沿って円環板状に形成される部分である。板状規制部101dは、外周面が環状空間部101cの内周面に接続されると共に、内周面側に露出端部51aが挿入される。
【0024】
密着部材保持部101eは、パッキン102を保持する部分である。密着部材保持部101eは、PGサポート101とパッキン102との密着面、すなわち軸方向の端部隔壁53側の端面から当該端部隔壁53側に向けて突出して形成される。密着部材保持部101eは、露出端部51aの外周面に沿った円弧状に形成されると共に、PGサポート101が端部隔壁53等に組み付けられた状態で鉛直方向下側に形成される排出開口101hを有している。密着部材保持部101eは、内周面側に露出端部51aが挿入される。
【0025】
パッキン102は、PGサポート101が端部隔壁53等に組み付けられた状態でPGサポート101と端部隔壁53との間に介在するものであり、例えば、ゴムや、樹脂等、剛性の低い可撓性の弾性体によって構成される。パッキン102は、露出端部51aの外周面に沿った円弧状に形成される。パッキン102は、外径がPGサポート101の外径よりも小さく、かつ、内径が密着部材保持部101eの外径とほぼ同等になるように形成される。パッキン102は、内周面側が密着部材保持部101eの外周面側と接触するように当該密着部材保持部101eに組み付けられることで、密着部材保持部101eに保持される。パッキン102は、密着部材保持部101eに保持され、PGサポート101が端部隔壁53等に組み付けられた状態で鉛直方向下側に形成される開口としての排出開口102a(
図1も参照)を有している。密着部材保持部101eの排出開口101hとパッキン102の排出開口102aとは、パッキン102が密着部材保持部101eに保持された状態で、鉛直方向に沿って互いに対向する位置に形成される。
【0026】
PGサポート101は、密着部材保持部101eにパッキン102を保持した状態で、貫通孔101aの内側に露出端部51aが挿入され、排出開口101gが鉛直方向下側に位置するような位置関係で端部隔壁53に形成された締結部53dに締結され固定される。つまり、PGサポート101は、端部隔壁53に固定された状態で、吸収部材保持部101b及びこれに保持された吸収部材103、環状空間部101c、板状規制部101d、密着部材保持部101e等の内周面側に露出端部51aが挿入された状態となる。この状態で、PGサポート101は、吸収部材103の内周面が露出端部51aの外周面と摺動可能に接触し、パッキン102は、PGサポート101と端部隔壁53との間に密着して介在する。なおここでは、PGサポート101は、検出器11と共に共締めされている。つまり、PGサポート101は、検出器11と端部隔壁53との間に介在するようにして締結部53dに締結されている。
【0027】
上記のように構成される油漏れ防止構造100は、軸方向に沿って軸受部52側から検出器11側に向かってパッキン102、吸収部材103、環状空間101fの順で配置され、これらが3重の油漏れ防止部として機能する。以下、油漏れ防止構造100による油漏れの防止について詳細に説明する。
【0028】
上述したように、軸受部52の余剰のグリス等の潤滑剤の大部分は、
図2中に矢印L1で示すように、排出通路53b内を自重で落下し、排出開口53cを介して外部に排出される。しかしながら、軸受部52の余剰のグリス等の潤滑剤の一部は、
図2中に矢印L2で示すように、排出通路53b内には落下せず、駆動軸51の露出端部51aを伝って貫通孔53aを通って検出器11側に移動するおそれがある。
【0029】
この場合、露出端部51aを伝って検出器11側に移動したグリス等の潤滑剤の大部分は、
図3中に矢印L3で示すように、端部隔壁53とPGサポート101との間のパッキン102の内側で自重や駆動軸51の回転に伴った遠心力等により落下する。パッキン102の内側で落下した潤滑剤等は、排出開口101h、102aを介して外部に排出される。そして、
図3中に矢印L4で示すように、パッキン102の内側で落下せず、露出端部51aを伝ってさらに検出器11側に移動したグリス等の潤滑剤や潤滑剤の油分は、吸収部材103に到達する。吸収部材103に到達したグリス等の潤滑剤や潤滑剤の油分は、この吸収部材103に吸収される。そしてさらに、吸収部材103に吸収されず、露出端部51aを伝ってさらに検出器11側に移動した潤滑剤の油分等は、環状空間101fに到達し、
図3中に矢印L5で示すように、自重や駆動軸51の回転に伴った遠心力等により落下する。環状空間101f内で落下した潤滑剤の油分等は、排出開口101gを介して外部に排出される。このとき、潤滑剤の油分等は、板状規制部101dによって検出器11側に飛散することが規制される。
【0030】
以上で説明した油漏れ防止構造100によれば、PGサポート101と、パッキン102とを備える。PGサポート101は、エレベータ1の巻上機5の駆動軸51を回転自在に支持する軸受部52と検出器11との間に配置される。ここで、検出器11は、巻上機5の端部隔壁53を挟んで軸受部52とは反対側に露出した駆動軸51の露出端部51aに設けられ当該駆動軸51の回転速度を検出する。パッキン102は、PGサポート101と端部隔壁53との間に介在して密着する。パッキン102は、露出端部51aの外周面に沿って形成され鉛直方向下側に排出開口102aを有する。PGサポート101は、吸収部材保持部101bと、環状空間部101cとを有する。吸収部材保持部101bは、露出端部51aの外周面に接触して環状に設けられ露出端部51aに付着した油を吸収可能である吸収部材103を保持する。環状空間部101cは、露出端部51aの外周面に沿った環状空間101fが形成されると共に環状空間101fの鉛直方向下側に当該環状空間101fと連通する排出開口101gが形成される。
【0031】
したがって、油漏れ防止構造100は、軸方向に沿って軸受部52側から検出器11側に向かってパッキン102、吸収部材103、環状空間101fの順にこれらが3重の油漏れ防止部として機能する。この結果、油漏れ防止構造100は、限られたスペースで、軸受部52からグリス等の潤滑剤や当該潤滑剤の油分が駆動軸51の露出端部51aを伝って検出器11側に漏れ出ることを確実に抑制することができる。したがって、油漏れ防止構造100は、確実に巻上機5からの油漏れを防止することができる。これにより、油漏れ防止構造100は、検出器11にグリス等の潤滑剤や当該潤滑剤の油分が付着することを抑制することができるので、検出器11による駆動軸51の回転速度の検出精度が低下することを抑制することができ、当該検出精度を向上することができる。
【0032】
さらに、以上で説明した油漏れ防止構造100によれば、環状空間部101cは、吸収部材保持部101bと検出器11との間に設けられる。PGサポート101は、環状空間部101cと検出器11との間に露出端部51aの外周面に沿って環状に形成され外周面が環状空間部101cの内周面に接続された板状規制部101dを有する。したがって、油漏れ防止構造100は、露出端部51aを伝って環状空間101fに到達した潤滑剤や当該潤滑剤の油分が自重や駆動軸51の回転に伴った遠心力等により落下する際に板状規制部101dによって検出器11側に飛散することを規制することができる。この結果、油漏れ防止構造100は、より確実に巻上機5からの油漏れを防止することができる。
【0033】
さらに、以上で説明した油漏れ防止構造100によれば、PGサポート101は、パッキン102との密着面から端部隔壁53側に向けて突出して形成され、パッキン102を保持する密着部材保持部101eを有する。密着部材保持部101eは、パッキン102の排出開口102aと対向する位置に排出開口101hを有する。したがって、油漏れ防止構造100は、密着部材保持部101eによってパッキン102をPGサポート101と端部隔壁53との間に保持することができる。そして、油漏れ防止構造100は、端部隔壁53とPGサポート101との間のパッキン102の内側で排出開口101h、102aを介して潤滑剤や当該潤滑剤の油分を確実に外部に排出することができる。この結果、油漏れ防止構造100は、より確実に巻上機5からの油漏れを防止することができる。
【0034】
なお、以上の説明では、検出器11は、パルスジェネレータを用いるものとして説明したが、これに限らず、例えば、レゾルバ等によって構成されてもよい。
【0035】
以上で説明した実施形態、変形例に係る巻上機油漏れ防止構造によれば、確実に巻上機からの油漏れを防止することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
エレベータの巻上機の駆動軸を回転自在に支持する軸受部と前記巻上機の端部隔壁を挟んで前記軸受部とは反対側に露出した前記駆動軸の露出端部に設けられ当該駆動軸の回転速度を検出する検出器との間に配置される補助部材と、
前記補助部材と前記端部隔壁との間に介在して密着する密着部材とを備え、
前記密着部材は、前記露出端部の外周面に沿って円弧状に形成され鉛直方向下側に前記外周面と外部とを連通させる開口を有し、
前記補助部材は、前記露出端部の外周面に接触して環状に設けられ前記露出端部に付着した油を吸収可能である吸収部材を保持する吸収部材保持部と、前記露出端部の外周面に沿った環状空間が形成されると共に前記環状空間の鉛直方向下側に当該環状空間と連通する開口が形成される環状空間部とを有することを特徴とする、
巻上機油漏れ防止構造。
実施形態の巻上機油漏れ防止構造は、補助部材と、密着部材とを備える。補助部材は、エレベータの巻上機の駆動軸を回転自在に支持する軸受部と前記巻上機の端部隔壁を挟んで前記軸受部とは反対側に露出した前記駆動軸の露出端部に設けられ当該駆動軸の回転速度を検出する検出器との間に配置される。密着部材は、前記補助部材と前記端部隔壁との間に介在して密着する。前記密着部材は、前記露出端部の外周面に沿って
開口を有する。前記補助部材は、吸収部材保持部と、環状空間部とを有する。吸収部材保持部は、前記露出端部の外周面に接触して環状に設けられ前記露出端部に付着した油を吸収可能である吸収部材を保持する。環状空間部は、前記露出端部の外周面に沿った環状空間が形成されると共に前記環状空間の鉛直方向下側に当該環状空間と連通する開口が形成される。