【解決手段】 互いに対向して配置された複数のローラーで記録媒体(用紙200)を挟持して回転することで該記録媒体を搬送可能に構成された搬送ローラー(100)と、前記記録媒体にインクを吐出可能なノズル(123)、及び前記記録媒体の状態を光学的に検知可能な光学センサ(122)を含んで構成されるプリントヘッド(120)と、前記光学センサによる検知結果に基づいて前記記録媒体がインクの吐出方向に傾斜している搬送異常(
参照)を検出したら(S420、S460)、前記ノズルからのインクの吐出を停止する(S430、S470)よう制御可能に構成された制御部(130)と、を備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
前記制御部は、前記光学センサによる検知結果に基づいて前記記録媒体が走査方向に対して傾いている搬送異常を検出したら、前記ノズルからのインクの吐出を停止するよう制御可能に構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の記録装置では、搬送異常が発生してからユーザに通知していたため、用紙詰まりなどに対するユーザによる後処理が煩雑であった。また、特許文献1に記載の技術では、用紙の斜行を検出できるだけで、用紙詰まりには対応できていなかった。また、特許文献2に記載の技術では、プリントヘッドとは別にセンサを設ける必要があり、コストアップの原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の手段1は、
互いに対向して配置された複数のローラーで記録媒体(用紙200)を挟持して回転することで該記録媒体を搬送可能に構成された搬送ローラー(100)と、
前記記録媒体にインクを吐出可能なノズル(123)、及び前記記録媒体の状態を光学的に検知可能な光学センサ(122)を含んで構成されるプリントヘッド(120)と、
前記光学センサによる検知結果に基づいて前記記録媒体がインクの吐出方向に傾斜している搬送異常(
図3及び
図4参照)を検出したら(S420、S460)、前記ノズルからのインクの吐出を停止する(S430、S470)よう制御可能に構成された制御部(130)と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
また、本発明の手段5は、
互いに対向して配置された複数のローラーで記録媒体(用紙200)を挟持して回転することで、該記録媒体を搬送する第1ステップ(S410、S450)と、
前記記録媒体にインクを吐出可能なノズル(123)と共にプリントヘッド(120)に配置された光学センサ(122)によって、前記記録媒体の状態を光学的に検知する第2ステップ(S460)と、
前記光学センサによる検知結果に基づいて、前記記録媒体がインクの吐出方向に傾斜している搬送異常を検出したら(S460)、前記ノズルからのインクの吐出を停止するよう制御する第3ステップ(S470)と、
を含むことを特徴とする画像形成方法である。
【0008】
上記構成の画像形成装置によれば、記録媒体(用紙200)に用紙詰まりなどの搬送異常が発生したことを早期に検出して対応可能な構成とすることができる。また、プリントヘッド(120)に光学センサ(122)が配置されているため、この光学センサ(122)をアライメントセンサと共用することが可能となり、製品コストを下げることができる。また、上記の方法を採用することでも同様の効果が得られる。
【0009】
また、本発明の手段2は、
前記制御部(130)は、前記光学センサ(122)による検知結果に基づいて前記記録媒体(用紙200)が走査方向に対して傾いている搬送異常(
図8参照)を検出したら(S421)、前記ノズル(123)からのインクの吐出を停止する(S431)よう制御可能に構成された
ことを特徴とする手段1の画像形成装置である。
【0010】
上記構成の画像形成装置によれば、用紙詰まりなどの記録媒体のインクの吐出方向の傾斜のみならず、記録媒体の斜行などの記録媒体の走査方向の傾きにも早期に対応可能な構成とすることができる。
【0011】
本発明の手段3は、
前記制御部(130)が前記光学センサ(122)による検知結果に基づいて前記記録媒体(用紙200)の搬送異常を検出したとき、ユーザに対して該搬送異常を通知可能な通知部(140)をさらに備える
ことを特徴とする手段1または手段2の画像形成装置である。
【0012】
上記構成の画像形成装置によれば、記録媒体の搬送異常について早期にユーザに通知可能な構成とすることができる。
【0013】
本発明の手段4は、
互いに対向して配置された複数のローラーで記録媒体(用紙200)を挟持して回転することで該記録媒体を搬送可能に構成された搬送ローラー(100)と、
前記記録媒体にインクを吐出可能なノズル(123)、及び前記記録媒体の状態を光学的に検知可能な光学センサ(122)を含んで構成されるプリントヘッド(120)と、
前記光学センサによる検知結果に基づいて前記記録媒体の搬送異常を検出したら、前記ノズルからのインクの吐出を停止するよう制御可能に構成された制御部(130)と、を備え、
前記制御部は、前記ノズルから前記記録媒体に吐出したインクによる記録状態を、前記搬送ローラーによる前記記録媒体の搬送の前後で前記光学センサにより検知することで、前記記録媒体の搬送異常を判定する(S580)
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
上記構成の画像形成装置によれば、記録媒体が搬送できない状態であることを検知して搬送異常と判定可能であるため、記録媒体の搬送異常について早期にユーザに通知可能な構成とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態1
(1)画像形成装置の構成例
(2)画像形成装置の動作例
2.実施形態2
3.実施形態3
4.補足事項
5.本発明の特徴
【0017】
<1.実施形態1>
まず、本発明の実施形態1について、
図1乃至
図7を参照しながら説明する。
【0018】
<(1)画像形成装置の構成例>
図1は、本実施形態の画像形成装置(プリンタ)の構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置は、搬送ローラー100、排出ローラー110、プリントヘッド120、制御部130、及び通知部140を含んで構成される。本実施形態の画像形成装置は、用紙200に対して画像(文字及び記号などを含む)を形成(「記録」または「印刷」ともいう)可能に構成される。なお、用紙200は紙以外の記録媒体に置き換えてもよい。
【0019】
<搬送ローラー100>
搬送ローラー100は、互いに対向して配置された2のローラーで用紙200を挟持して回転し、これによって用紙200を搬送方向に搬送可能に構成される。搬送ローラー100は、用紙200に対して画像(文字及び記号などを含む)を形成する際に、用紙200を、プリントヘッド120がインクを吐出する箇所に送り込むよう機能する。搬送ローラー100は、一対の円柱状の回転体(ドラム、またはローラーともいう)から構成される。搬送ローラー100は、その一方または双方が回転することで、用紙200を搬送方向に搬送可能である。
【0020】
<排出ローラー110>
排出ローラー110は、搬送ローラー100よりも用紙200の搬送方向の先(後方)の位置に配置される。排出ローラー110は、搬送ローラー100と同様に、互いに対向して配置された2のローラーで用紙200を挟持して回転し、これによって用紙200を搬送方向に搬送可能に構成される。排出ローラー110は、プリントヘッド120によってインクを塗布された用紙200を排出口(図示せず)に向けて搬送する。排出ローラー110は、搬送ローラー100と同様に、一対の円柱状の回転体から構成される。排出ローラー110は、用紙200を挟持し、その一方または双方が回転することで用紙200を搬送方向に搬送可能である。
【0021】
<制御部130>
制御部130は、プリントヘッド120が備える光学センサ122による検知結果に基づいて用紙200の搬送異常を検出し、この搬送異常の検出結果を通知部140に出力可能に構成される。具体的には、制御部130は、光学センサによる用紙200の状態の検知結果に基づいて、(1)用紙200がインクの吐出方向に対して傾斜しているかどうか、すなわち、用紙200に反りやたわみなどの搬送異常が発生していないか、(2)用紙200が走査方向または搬送方向に対して傾いていないか、すなわち、用紙200が斜行していないか、及び(3)用紙200が搬送できない搬送不能状態になっていないか、を検出可能に構成される。また、制御部130は、用紙200の搬送異常を検出したら、インクの吐出を停止可能に構成される。
【0022】
また、制御部130は、搬送ローラー100及び排出ローラー110を制御して回転させることで、用紙200を搬送方向、または搬送方向とは逆方向に移動させることができるよう構成される。また、制御部130は、搬送ローラー100及び排出ローラー110の回転数を検知することで、用紙200の搬送量を検出可能に構成される。
【0023】
また、制御部130は、ユーザから入力された印刷データに基づいて、プリントヘッド120のノズル123から所定のタイミングで用紙200に対してインクを吐出して用紙200上にインクによる画像の形成(印刷)を実行可能に構成される。すなわち、制御部130は、ユーザからの印刷データに基づいて搬送ローラー100、及び排出ローラー110を制御して用紙200を搬送し、プリントヘッド120を制御して走査方向に移動させ、ノズル123を制御してインクを吐出させることで、用紙200上にインクによる画像を形成する。
【0024】
<通知部140>
通知部140は、制御部130から搬送異常の検出結果の入力を受け取ったら、ユーザに対して搬送異常が発生したことを通知可能に構成される。通知部140は、例えばユーザが視認可能なLCDなどの表示部を含んで構成される。また、通知部140は、画像形成装置が備える表示部を含む構成ではなく、PC(コンピュータ)などの表示部を介してユーザに対して警告のためのポップアップを表示するための通信部を含む構成であってもよい。
【0025】
<プリントヘッド120>
図2は、プリントヘッド120及び用紙200の拡大図を示している。
図2に示すように、プリントヘッド120は、光源121、光学センサ122、及びノズル123を含んで構成される。プリントヘッド120は、用紙200に対して搬送方向に垂直な走査方向に移動可能に構成される。
【0026】
<光源121>
光源121は、LEDなどの電圧の印加によって発行可能な素子で構成されており、用紙200に光310Aを照射可能に構成される。なお、光源121は必ずしもLEDである必要はなく、蛍光灯などの他の発光装置または発光素子であってもよい。
【0027】
<光学センサ122>
光学センサ122は、光源121が用紙200に対して照射した光の反射光320Aを光学的に検知し、用紙200の状態を検知可能に構成される。光学センサ122は、この反射光の検知結果を制御部130に出力可能に構成される。なお、光学センサ122は、レンズとCMOSイメージセンサなどで構成される。また、光学センサ122は、一般に知られるアライメントセンサのためのセンサとしても機能するよう構成される。
【0028】
<ノズル123>
ノズル123は、制御部130からの指示に基づいて、所定のタイミングで用紙200に対してインクを吐出可能に構成される。また、ノズル123は、制御部130からの指示で、このインクの吐出を停止可能である。
【0029】
ここで、プリントヘッド120による用紙200の状態検知について、
図2乃至
図6を参照しながら説明する。
【0030】
図2は、用紙200に搬送異常が発生していない正常状態のプリントヘッド120と用紙200との関係を示している。
図2に示されるように、光源121から照射された光310Aは用紙200で反射され(反射光320A)、光学センサ122で受光される。用紙200は、
図2に示すように図の右側の搬送方向に搬送される。ノズル123から吐出されたインクが用紙200に接すると、用紙200にインクによる像が形成される。
【0031】
図3は、用紙200に搬送異常として反りが発生している状態のプリントヘッド120と用紙200との関係を示している。
図3に示されるように、光源121から照射された光310Bは用紙200で反射される(反射光320B)。ただし、ここでは用紙200に反りが発生しているため、用紙200からの反射光320Bは、
図2に示す正常状態での反射方向とは異なる方向に反射される。その結果、ここでの光学センサ122では、
図2に示す正常状態と比較して、その受光量が小さくなる。この受光量の差に基づいて、光学センサ122による反射光の検知結果を受け取った制御部130は、用紙200の搬送異常を判定する。
【0032】
図4は、用紙200に搬送異常としてたわみが発生している状態のプリントヘッド120と用紙200との関係を示している。
図4に示されるように、光源121から照射された光310Cは用紙200で反射される。ただし、ここでは用紙200にたわみが発生しているため、
図3の例と同様に、用紙200からの反射光320Cは、
図2に示す正常状態での反射方向とは異なる方向に反射する。その結果、ここでの光学センサ122は、
図2に示す正常状態と比較して、その受光量が小さくなる。この受光量の差に基づいて、光学センサ122による反射光の検知結果を受け取った制御部130は、用紙200の搬送異常を判定する。
【0033】
図5は、用紙200上の印字(形成された画像)と、光学センサ122による検知結果との関係の一例を示す図である。光学センサ122による検知結果は、用紙200上に黒の印字があるときには反射光の量が少ないため低い値を示し、用紙200上に印字がないときには反射光の量が多いため高い値を示している。
【0034】
図6は、用紙200の断面と、光学センサ122による検知結果との関係の一例を示す図である。なお、光学センサ122は、この
図6の用紙200の上方向に配置されている。光学センサ122による検知結果は、用紙200に反りがある部分では反射光の量が少なくなるため低い値を示し、用紙200がない場所では反射光が検知されないため最も低い値を示す。
【0035】
<(2)画像形成装置の動作例>
ここで、
図7を参照しながら、実施形態1における画像形成装置の動作例について説明する。
図7は、画像形成装置における印刷処理を示すフローチャートである。
【0036】
<S400〜S420>
まず、ユーザからの指示で印刷が開始されると(S400)、制御部130は印刷データに基づいて、搬送ローラー100、排出ローラー110、及びプリントヘッド120に、用紙200に所定の画像を形成するための指示を行う。制御部130は、搬送ローラー100を回転させ、用紙200を搬送方向に搬送する(S410)。用紙200が光源121及び光学センサ122の位置まで搬送されると、光源121は用紙200に光を照射し、光学センサ122は用紙200からの反射光を検知して検知結果を制御部130に出力する。制御部130は、ここで入力された光学センサ122の検知結果に基づいて、用紙200に反りが発生しているか否かを検出する(S420)。
【0037】
<S430>
用紙200に反りが発生していたら(S420でY)、制御部130は、用紙200に反りが発生していることを通知するよう、通知部140に指示する。通知部140は、ユーザに対して用紙に反り(搬送異常)が発生していることを通知する(S430)。このとき、制御部130は、プリントヘッド120に対して印刷を停止するよう指示し、搬送ローラー100に対して、用紙200を搬送方向と逆方向に搬送するよう指示する。これにより、用紙200に対する印刷(画像の形成)は停止される。
【0038】
<S440>
用紙200に反りが発生していなければ(S420でN)、制御部130は、用紙200への印刷を継続する。ここで、プリントヘッド120は、走査方向に移動しながら、ノズル123からインクを用紙200に吐出する(S440)。
【0039】
<S450>
プリントヘッド120が、ノズル123からのインクの吐出を、一の走査ラインについて実行したら、搬送ローラー100及び排出ローラー110は、用紙200を搬送方向に搬送する(S450)。
【0040】
<S460>
次に、用紙200が搬送されると、光源121は用紙200に光を照射し、光学センサ122は用紙200からの反射光を検知して検知結果を制御部130に出力する。制御部130は、ここで入力された光学センサ122の検知結果に基づいて、用紙200にたわみが発生しているか否かを検出する(S460)。
【0041】
<S470>
用紙200にたわみが発生していたら(S460でY)、制御部130は、用紙200にたわみが発生していることを通知するよう、通知部140に指示する。通知部140は、ユーザに対して用紙にたわみ(搬送異常)が発生していることを通知する(S470)。このとき、制御部130は、プリントヘッド120に対して印刷を停止するよう指示し、搬送ローラー100に対して、用紙200を搬送方向と逆方向に搬送するよう指示する。これにより、用紙200に対する印刷は停止される。
【0042】
<S480〜S490>
印刷データに基づく、用紙200に対するインクの吐出が終了したら(S480でY)、画像形成装置は用紙200への印刷を終了する(S490)。用紙200に対するインクの吐出が未完了であれば(S480でN)、画像形成装置はS440以降の処理を、インクの吐出が完了するまで繰り返す。
【0043】
上記処理によって、画像形成装置では、用紙200に発生した反りまたはたわみといった搬送異常を検出しつつ、用紙200に対するインクの吐出を完了し、印刷処理が実行される。
【0044】
<2.実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1と比較して、検出する用紙の搬送異常の内容として、用紙の走査方向(または搬送方向)への傾き検出が追加されている。以下の説明では、実施形態1との相違点についてのみ具体的に説明し、実施形態1と同様の構成や機能についてはその説明を省略する。
【0045】
図8は、用紙200とプリントヘッド120とを上方から見た図である。
図8に示す例では、用紙200は走査方向(または搬送方向)に対して傾斜して搬送されており(すなわち斜行しており)、搬送異常が発生している。プリントヘッド120は、120Aの位置から120Bの位置に、走査方向に移動しながら、光学センサ122による状態検出を行う。このような搬送異常の検出について、
図9に示す印刷処理と共に説明する。
【0046】
図9は、画像形成装置における印刷処理を示すフローチャートである。上記のとおり、本実施形態の印刷処理では、検出する用紙200の搬送異常として用紙の傾き検出が追加されており、そのため、S420の処理の後にS421及びS431の処理が追加されている。
【0047】
<S421>
用紙200に反りが発生していなければ(S420でN)、制御部130は次に、光学センサ122の検知結果に基づいて、用紙200に走査方向に対する傾き(搬送方向に対する傾きと同義)が発生しているか否かを検出する(S420)。
【0048】
<S431>
用紙200に走査方向の傾きが発生していたら(S421でY)、制御部130は、用紙200に走査方向の傾きが発生していることを通知するよう、通知部140に指示する。通知部140は、ユーザに対して用紙に走査方向の傾き(搬送異常)が発生していることを通知する(S431)。このとき、制御部130は、プリントヘッド120に対して印刷を停止するよう指示し、搬送ローラー100に対して、用紙200を搬送方向と逆方向に搬送するよう指示する。これにより、用紙200に対する印刷(画像の形成)は停止される。
【0049】
用紙200に走査方向の傾きが発生していなければ(S421でN)、S440処理に移行する。
【0050】
上記処理によって、画像形成装置では、用紙200に発生した反り及びたわみに加え、走査方向の傾きを検出しつつ、用紙200に対するインクの吐出を完了し、印刷処理が実行される。
【0051】
<3.実施形態3>
次に、本発明の実施形態3について、
図10及び
図11を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1と比較して、検出する用紙の搬送異常の内容が異なっている。具体的には、本実施形態の画像形成装置における印刷処理では、用紙が搬送されない搬送不能状態になっていることを主に検知するような処理が行われる。画像形成装置が備える構成自体は、実施形態1と同様である。以下の説明では、実施形態1との相違点についてのみ具体的に説明し、実施形態1と同様の構成や機能についてはその説明を省略する。
【0052】
図10は、用紙200とプリントヘッド120とを上方から見た図である。
図10に示す例では、用紙200上には「印刷」という文字がインクによって形成されているところである。
【0053】
ここでは、用紙200は、搬送方向に搬送されない搬送不能状態になっている。このため、プリントヘッド120が図中に矢印で示す走査方向に移動しつつノズル123からインクを吐出した後、搬送ローラー100と排出ローラー110との少なくとも一方が用紙200を搬送方向に搬送しようとしても、用紙200は移動しない。ここで、プリントヘッド120の光源121及び光学センサ122は、用紙200上にインクで形成された文字の一部について、用紙200の搬送前後で状態変化を検出する。用紙200の搬送前にインクが塗布された用紙200上の位置において光学センサ122による状態の検知を行うと、搬送後の用紙200上の検知位置は白紙であるため、検知した反射光の状態から、搬送異常のひとつである搬送不能状態が発生していることを判定可能である。以下、印刷処理における、この搬送不能状態の検出について説明する。
【0054】
図11は、本実施形態の画像形成装置における印刷処理を示すフローチャートである。
【0055】
<S500〜S520>
まず、ユーザからの指示で印刷が開始されると(S500)、制御部130は印刷データに基づいて、搬送ローラー100、排出ローラー110、及びプリントヘッド120に、用紙200に所定の画像を形成するための指示を行う。制御部130は、搬送ローラー100を回転させ、用紙200を搬送方向に搬送する(S510)。用紙200が所定の印刷位置まで搬送されると、プリントヘッド120のノズル123からインクが吐出され、用紙200への画像の形成が開始される(S520)。
【0056】
<S530>
ここで、制御部130は、ユーザからの印刷指示が、搬送不能状態の高精度判定を要求しているか否かを確認する(S530)。なお、ユーザにより搬送不能状態の高精度判定が要求されている場合には、用紙200が搬送方向に搬送される都度、搬送不能状態を判定する。一方で、ユーザにより搬送不能状態の高精度判定が要求されていない場合には、用紙200が搬送方向に搬送されるときに、プリントヘッド120が判定可能な位置に停止していた場合に限り、搬送不能状態を判定する。
【0057】
なお、搬送不能状態の高精度判定を行う場合は、高精度判定を行わない場合と比較して、プリントヘッド120の移動が多く行われるため、用紙200への画像の形成(印刷)により長い時間を要する。
【0058】
<S550>
ユーザからの印刷指示が、搬送不能状態の高精度判定を要求していた場合(S530でY)、プリントヘッド120を、搬送不能状態を判定可能な走査方向の位置に移動させる。搬送不能状態を判定可能な走査方向の位置とは、用紙200の搬送によって光学センサ122による検知結果が変化する(例えば黒の検出結果から白の検出結果に変化する)位置を指す。その後、S570の処理に移行する。
【0059】
<S540>
ユーザからの印刷指示が、搬送不能状態の高精度判定を要求していなかった場合(S530でN)、プリントヘッド120が搬送不能状態の判定可能位置で停止しているか否かを各印する(S540)。なお、搬送不能状態の判定可能位置でプリントヘッド120が停止している状態とは、用紙200の搬送によって光学センサ122による検知結果が変化する(例えば黒の検出結果から白の検出結果に変化する)位置で、プリントヘッド120の走査方向への移動が完了した場合に発生する状態を指す。
【0060】
<S560>
プリントヘッド120が搬送不能状態の判定可能位置で停止していなかった場合(S540でN)、画像形成装置は搬送不能状態の検出ことを行うことなく用紙200を搬送し(S560)、S600の処理に移行する。
【0061】
<S570〜S580>
プリントヘッド120が搬送不能状態の判定可能位置で停止していた場合(S540でY)、またはプリントヘッド120を搬送不能状態の判定可能位置に移動させた場合(S550の処理の後)、制御部130は、搬送ローラー100及び排出ローラー110を制御して、用紙200を搬送する(S570)。そして、光学センサ122は、この用紙200の搬送前後での用紙200上のインクによる記録状態に基づいて得られる検知結果を、制御部130に出力する。制御部130は、この検知結果を印刷データと一致比較し(S580)、用紙200の搬送不能状態が発生していないかを確認する。
【0062】
<S590>
印刷データと、光学センサ122による検知結果とが一致していなかった場合(S580でN)、制御部130は搬送不能状態が発生していると判定し、用紙200に搬送不能状態が発生していることをユーザに通知するよう通知部140に指示する。通知部140は、ユーザに対して用紙に搬送不能状態(搬送異常)が発生していることを通知する(S590)。このとき、制御部130は、プリントヘッド120に対して印刷を停止するよう指示し、搬送ローラー100に対して、用紙200を搬送方向と逆方向に搬送するよう指示する。これにより、用紙200に対する印刷は停止される。
【0063】
<S600〜S610>
印刷データと光学センサ122による検知結果とが一致していた場合(S580でY)、またはS560の処理の後、用紙200に対するインクの吐出が終了していたら(S600でY)、画像形成装置は用紙200への印刷を終了する(S610)。用紙200に対するインクの吐出が未完了であれば(S600でN)、画像形成装置はS520以降の処理を、インクの吐出が完了するまで繰り返す。
【0064】
上記処理によって、画像形成装置では、用紙200に発生した搬送不能状態を検出しつつ、用紙200に対するインクの吐出を完了し、印刷処理が実行される。
【0065】
<4.補足事項>
以上、本発明の各実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0066】
上記実施形態はそれぞれ組み合わせて実行することができる。例えば、実施形態1による用紙の反り及びたわみの検出と、実施形態3による用紙の搬送不能状態の検出とを同時に実行可能な画像形成装置を構成することができる。
【0067】
また、各実施形態では、搬送異常が検出されたときに、ユーザに通知するのみならず、自動的に印刷を停止するよう処理していたが、必ずしも自動的に印刷を停止する必要はなく、ユーザの判断によって印刷の停止または継続を判断してもよい。また、連続して搬送異常が検出されたときにのみ、ユーザに通知するようにしてもよい。ただし、搬送異常が検出されたらすぐにユーザに通知するようにする処理のほうが、ユーザによる搬送異常への対応処理が容易になるため好ましい。
【0068】
また、用紙200に代えて別の記録媒体を用いてもよい。
【0069】
また、用紙200の搬送は、常に搬送ローラー100と排出ローラー110との双方によって行われるのではなく、いずれか一方によって行われてもよい。
【0070】
<5.本発明の特徴>
以上、説明したような構成の記録装置は以下のような特徴を持つ。
【0071】
本発明の画像形成装置は、互いに対向して配置された複数のローラーで記録媒体(用紙200)を挟持して回転することで該記録媒体を搬送可能に構成された搬送ローラー100と、記録媒体(用紙200)にインクを吐出可能なノズル123、及び記録媒体(用紙200)の状態を光学的に検知可能な光学センサ122を含んで構成されるプリントヘッド120と、光学センサ122による検知結果に基づいて記録媒体(用紙200)がインクの吐出方向に傾斜している搬送異常(
図3及び
図4参照)を検出したら(S420、S460)、前記ノズルからのインクの吐出を停止する(S430、S470)よう制御可能に構成された制御部130と、を備えることを特徴とする。
【0072】
また、本発明の画像形成方法は、互いに対向して配置された複数のローラーで記録媒体(用紙200)を挟持して回転することで、該記録媒体(用紙200)を搬送する第1ステップ(S410、S450)と、記録媒体(用紙200)にインクを吐出可能なノズル123と共にプリントヘッド120に配置された光学センサ122によって、記録媒体(用紙200)の状態を光学的に検知する第2ステップ(S460)と、光学センサ122による検知結果に基づいて、記録媒体(用紙200)がインクの吐出方向に傾斜している搬送異常を検出したら(S460)、ノズル123からのインクの吐出を停止するよう制御する第3ステップ(S470)と、を含むことを特徴とする。
【0073】
上記構成の画像形成装置によれば、記録媒体(用紙200)に用紙詰まりなどの搬送異常が発生したことを早期に検出して対応可能な構成とすることができる。また、プリントヘッド120に光学センサ122が配置されているため、この光学センサ122をアライメントセンサと共用することが可能となり、製品コストを下げることができる。また、上記の方法を採用することでも同様の効果が得られる。
【0074】
また、本発明の画像形成装置はさらに、制御部130が、光学センサ122による検知結果に基づいて記録媒体(用紙200)が走査方向に対して傾いている搬送異常(
図8参照)を検出したら(S421)、ノズル123からのインクの吐出を停止する(S431)よう制御可能に構成されたことを特徴とする。
【0075】
上記構成の画像形成装置によれば、用紙詰まりなどの記録媒体のインクの吐出方向の傾斜のみならず、記録媒体の斜行などの記録媒体の走査方向の傾きにも早期に対応可能な構成とすることができる。
【0076】
また、本発明の画像形成装置はさらに、制御部130が光学センサ122による検知結果に基づいて前記記録媒体(用紙200)の搬送異常を検出したとき、ユーザに対して該搬送異常を通知可能な通知部140をさらに備えることを特徴とする。
【0077】
上記構成の画像形成装置によれば、記録媒体の搬送異常について早期にユーザに通知可能な構成とすることができる。
【0078】
また、本発明の画像形成装置は、互いに対向して配置された複数のローラーで記録媒体(用紙200)を挟持して回転することで該記録媒体(用紙200)を搬送可能に構成された搬送ローラー100と、記録媒体(用紙200)にインクを吐出可能なノズル123、及び記録媒体(用紙200)の状態を光学的に検知可能な光学センサ122を含んで構成されるプリントヘッド120と、光学センサ122による検知結果に基づいて記録媒体(用紙200)の搬送異常を検出したら、ノズル123からのインクの吐出を停止するよう制御可能に構成された制御部130と、を備え、制御部130は、ノズル123から記録媒体(用紙200)に吐出したインクによる記録状態を、搬送ローラー100による記録媒体(用紙200)の搬送の前後で光学センサ122により検知することで、記録媒体(用紙200)の搬送異常を判定する(S580)ことを特徴とする。
【0079】
上記構成の画像形成装置によれば、記録媒体が搬送できない状態であることを検知して搬送異常と判定可能であるため、記録媒体の搬送異常について早期にユーザに通知可能な構成とすることができる。