特開2015-218847(P2015-218847A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-218847(P2015-218847A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】油圧シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/18 20060101AFI20151110BHJP
   F15B 1/26 20060101ALI20151110BHJP
【FI】
   F15B15/18
   F15B1/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-104155(P2014-104155)
(22)【出願日】2014年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000102452
【氏名又は名称】エスアールエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】垣渕 貴美
【テーマコード(参考)】
3H081
3H086
【Fターム(参考)】
3H081AA03
3H081BB02
3H081CC23
3H081CC28
3H081CC29
3H081FF28
3H086AA18
3H086AA25
3H086AA30
3H086AB03
3H086AB04
3H086AB11
3H086AB14
3H086AE03
3H086AE42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モジュール化された油圧シリンダを空気圧シリンダと同等の簡単な構成で制御する。
【解決手段】油圧シリンダ2に油タンク22が取り付けられ、油タンク22に取り付けた油空圧ポンプ24が油タンク22内の油を出力するように、空気圧によって駆動される。油空圧ポンプ24と油圧シリンダ2の2つの部屋と油排出路との間に空気圧切換弁36が配置されている。これら空気圧切換弁36は、油空圧ポンプ24から出力された油を、2つの部屋の一方に供給し、2つの部屋の他方から、その部屋内の油を油排出路に流出させる状態と、2つの部屋の他方に油空圧ポンプ24から出力された油を供給し、2つの部屋の一方から、その部屋内の油を油排出路に排出させる状態とのいずれかに、切り換えるように空気圧によって駆動される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧シリンダと、
この油圧シリンダに取り付けられた油タンクと、
前記油タンクに取り付けられ、前記油タンク内の油を出力するように、空気圧によって駆動される油空圧ポンプと、
前記油空圧ポンプから出力された油を、前記油圧シリンダに給排するように、空気圧によって駆動される油圧切換弁とを、
有する油圧シリンダ装置。
【請求項2】
請求項1記載の油圧シリンダ装置において、前記油圧シリンダは、その本体内が、ロッドを有するピストンによって2つの部屋に仕切られ、
前記油圧切換弁は、前記油空圧ポンプから出力された油を、前記2つの部屋の一方に供給し、前記2つの部屋の他方から、その部屋内の油を油排出路に流出させる状態と、前記2つの部屋の他方に前記油空圧ポンプから出力された油を供給し、前記2つの部屋の一方から、その部屋内の油を前記油排出路に排出させる状態とのいずれかに切り換える
油圧シリンダ装置。
【請求項3】
請求項1記載の油圧シリンダ装置において、前記油タンクが密封されている油圧シリンダ装置。
【請求項4】
請求項1記載の油圧シリンダ装置において、前記油圧シリンダに油が供給されているとき、前記油タンクが空気によって加圧される油圧シリンダ装置。
【請求項5】
請求項2記載の油圧シリンダ装置において、前記油圧シリンダの前記2つの部屋のうち前記油が供給されたときに前記ロッドが前記油圧シリンダの本体から突出するものに、前記油が供給されるとき、前記油タンクが空気によって加圧される油圧シリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧シリンダ装置に関し、特に、パッケージ化されたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッケージ化された油圧シリンダ装置としては、例えば特許文献1に開示されたようなものがある。特許文献1に開示された技術では、油圧シリンダのチューブに油圧ポンプを取り付け、この油圧ポンプを油圧タンクに結合し、油圧ポンプに電動機を結合して、油圧ポンプを電動機によって駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−116010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、電動機によって油圧ポンプを駆動しているので、その制御には電気回路が必要で、制御の構成が複雑になっていた。また、電動機を使用しているので、油圧シリンダを押し続ける場合、油圧の圧力降下を防止するため、電動機によって結油圧ポンプを駆動し続ける必要があり、エネルギー消費が多くなっていた。
【0005】
本発明は、制御の構成が、エアシリンダと殆ど同程度に簡単であり、エネルギーを消費しなくても油圧ポンプを押し続けることができ、かつ防爆環境下でも使用可能なパッケージ化された油圧シリンダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の油圧シリンダ装置は、油圧シリンダを有している。油圧シリンダとしては、公知の種々のものを使用することができ、例えば単動型のものや複動型のものを使用することができる。また油圧シリンダは、片側ロッド式または両ロッド式のものとすることができる。この油圧シリンダに油タンクが取り付けられている。この油タンクに油空圧ポンプが取り付けられている。この油空圧ポンプは、前記油タンク内の油を出力するように、空気圧によって駆動される。前記油空圧ポンプから出力された油を、前記油圧シリンダに給排するように、油圧切換弁が空気圧によって駆動される。
【0007】
例えば、前記油圧シリンダを複動型とした場合、その本体内が、ピストンによって2つの部屋に仕切られ、ピストンは、本体の外部に突出したロッドを有している。油圧切換弁は、前記油空圧ポンプと前記油圧シリンダの前記2つの部屋と油排出路との間に配置される。この油圧切換弁は、2つの状態のいずれかに空気圧によって切り換えられ、1つの状態は、前記油空圧ポンプから出力された油を、前記2つの部屋の一方に供給し、前記2つの部屋の他方から、その部屋内の油を前記油排出路に流出させるものであり、他の状態は、前記2つの部屋の他方に前記油空圧ポンプから出力された油を供給し、前記2つの部屋の一方から、その部屋内の油を前記油排出路に排出させるものである。
【0008】
この油圧シリンダ装置では、油圧シリンダに油タンクを設け、この油タンクに油空圧ポンプを設けているので、装置全体がパッケージ化されている。しかも、油タンクから油圧シリンダへの油の供給は、空気圧駆動される油空圧ポンプによって行われ、油空圧ポンプからの油圧シリンダへの油の給排も、空気圧によって切り換えられる油圧切換弁によって行われているので、その制御は、エアシリンダと同等の制御で行える。また、油空圧ポンプは空圧によって駆動されているので、油圧シリンダを押し続ける場合に油圧の圧力降下を防止するため、油空圧ポンプで油圧シリンダに油圧をかけ続けても、空圧を油圧ポンプにかけるだけであり、エネルギー消費が少ない。しかも、油空圧ポンプを使用しているので、電動機が不要で、防爆環境下でも自由に、このシリンダ装置を使用できる。
【0009】
上記の態様では、前記油タンクを密封型のものとすることができる。このようにすると、油タンクの取り付け方向に制限が無く、どの方向にでも使用可能となる。
【0010】
前記油タンクは、前記油圧シリンダに油が供給されているとき、空気によって加圧されるものとすることができる。例えば上述した複動型の油圧シリンダの場合、前記油圧シリンダの前記2つの部屋のうち前記油が供給されたときに前記ロッドが前記油圧シリンダの本体から突出するものに、前記油が供給されるとき、前記油タンクが空気によって加圧されるものとすることができる。油タンクを加圧することによって、油圧シリンダを早送りすることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明による油圧シリンダ装置によれば、パッケージ化されている上に、油圧シリンダ用のポンプや油圧シリンダ制御用の油圧切換弁を空気圧によって制御することができるので、空気圧シリンダと同等の簡単な構成で油圧シリンダを制御することができる。しかも、電気を使用しないで制御できるので、防爆環境下でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態の油圧シリンダ装置の正面図である。
図2図1の油圧シリンダ装置の平面図である。
図3図1の油圧シリンダ装置の左及び右側面図である。
図4図1の油圧シリンダ装置の油空圧回路図である。
図5】本発明の第2の実施形態の油圧シリンダ装置の油空圧回路図である。
図6】本発明の第3の実施形態の油圧シリンダ装置の油空圧回路図である。
図7】本発明の第4の実施形態の油圧シリンダ装置の油空圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施形態の油圧シリンダ装置は、図1乃至図3に示すように、油圧シリンダ2を有している。油圧シリンダ2は、本体、例えば円筒状のシリンダチューブ4を有している。シリンダチューブ4の両端部に蓋部材6、7が配置され、これら蓋部材6、7は、これらの4隅に設けたタイボルト8によってシリンダチューブ4に締め付けられている。シリンダチューブ4内部には、図4に概略的に示すように、シリンダチューブ4内をその長さ方向に沿って摺動可能にピストン10が設けられている。このピストン10によってシリンダチューブ4内は、蓋部材6側と蓋部材8側との2つの部屋12、14に仕切られている。ピストン10には、ロッド16が結合され、ロッド16は、その長さ方向がシリンダチューブ4の長さ方向に一致するように配置され、その端部が蓋部材6側からシリンダチューブ4の外部に突出している。このように油圧シリンダ2は、片側ロッド式の複動型のものである。
【0014】
図1及び図3(b)に示すように、2本のタイボルト8に挿通されて、側面形状が概略凹字状の取付部18が設けられている。この取付部18上に平板状の支持台20が、シリンダチューブ4の長さ方向に沿って配置され、その一端部が蓋部材7に接近して位置し、他端部がシリンダチューブ4の長さ方向の中途に位置している。この支持台20上に、油タンク22が取り付けられている。この実施形態では、油タンク22は、シリンダチューブ4の長さ方向に沿って配置されている。この油タンク22は密封型のもので、これと一体に油空圧ポンプ24が蓋部材6側に位置するように取り付けられている。油空圧ポンプ24のピストン(図示せず)が油圧タンク22内に内蔵され、このピストンが空気圧によって進退させられ、油タンク22から油を流出させる。この油空圧ポンプ24は、バランス停止形のもので、油圧が設定圧になると動作停止して、空気の無駄な消費を抑えている。
【0015】
図4に示すように、油空圧ポンプ24の油流入側と流出側とには、それぞれチェック弁26、28が設けられ、チェック弁28と油タンク22との間には油空圧ポンプの空気抜き30が設けられている。油空圧ポンプ24には、図1に示す空気供給口32から空気が供給される。また、油タンク22には給油口34から油が供給されている。
【0016】
油空圧ポンプ24によって油タンク22から流出させられた油は、空気圧によって駆動される油圧切換弁(以下、空気圧駆動油圧切換弁と称する。)36、38に供給される。これら空気圧駆動油圧切換弁36、38は、図1乃至図3に示すように油タンク22の両側に、これらと一体に設けられている。これら空気圧駆動油圧切換弁36、38は、ノーマルオープンのもので、空気圧が与えられていない状態では、供給された油を出力側に送出し、空気圧が与えられた状態では、供給された油を出力側に供給せず、出力側から油を油排出路を介して油タンク22に排出するものである。
【0017】
空気圧駆動油圧切換弁36の出力側は、外部パイロット形チェック弁42を介して油圧シリンダ2の部屋14に接続されている。また、空気圧駆動油圧切換弁38の出力側は、外部パイロット形チェック弁44を介して油圧シリンダ2の部屋12に接続されている。外部パイロット形チェック弁42の外部パイロット圧は、空気圧駆動油圧切換弁38の出力側から与えられ、外部パイロット形チェック弁44の外部パイロット圧は、空気圧駆動油圧切換弁36の出力側から与えられている。これら外部パイロット形チェック弁42、44は、外部パイロット圧が設定されたパイロット圧以上となると、開放される。
【0018】
また、外部パイロット形チェック弁42の出力側と油タンク22との間には、内部パイロット側のリリーフ弁46が設けられている。また、外部パイロット形チェック弁44の出力側と油タンク22との間には、内部パイロット側のリリーフ弁48が設けられている。内部パイロット形リリーフ弁44、48は、その入力側の圧力が予め設定されたリリーフ圧力以上になると、開くものである。
【0019】
外部パイロット形チェック弁42とリリーフ弁46とは一体に形成され、図1図3に示すように油タンク22と空気圧駆動油圧切換弁36との間に設けられ、同様に外部パイロット形チェック弁44とリリーフ弁48も一体に形成され、図1図3に示すように油タンク22と空気圧駆動油圧切換弁38との間に設けられている。なお、図1に示すように、外部パイロット形チェック弁42の出力側と部屋14との接続は配管50によって行われ、外部パイロット形チェック弁44の出力側と部屋12との接続は、配管52によって行われている。
【0020】
この油圧シリンダ装置では、油空圧ポンプ24、空気圧駆動油圧切換弁36、38が空気圧によって駆動されるので、図4に示すように、油空圧ポンプ24用の空気ポート54と、空気圧駆動油圧切換弁38用のポート56と、空気圧駆動油圧切換弁36用のポート58とを、有している。これらポート54、56、58は、図1乃至図3には示していないが、支持台20内に設けた配管を介して油空圧ポンプ24、空気圧駆動油圧切換弁38、36に接続されている。なお、油タンク22には、油と混じることがないように空気が供給可能に構成され、この空気はポート56から供給可能とされており、空気が供給されたとき、油タンク22の油が加圧される。
【0021】
油タンク22は、上述したように密封されているため、温度上昇や、油圧シリンダ2が受ける外力等により、油タンク22内の圧力が、異常に上昇する可能性がある。これを回避するため、チェック弁53を油タンク22に設け、片側を大気解放している。油タンク22は、加圧されるので、チェック弁53のクラッキング圧を、加圧するときの空気圧以上にしてある。ただし、最大でもクラッキング圧は、1MPa以下に設定してある。
【0022】
ポート54を介して油空圧ポンプ24に空気圧調整器60から空気が供給されている。空気圧調整器60は、空気圧源(図示せず)から供給された空気の空気圧を調整するものである。ポート56、58のうち一方には、3位置電磁切換弁62によって空気圧調整器60の入口側から空気が供給される。即ち、3位置電磁切換弁62が中立位置にあるときには、いずれの空気圧駆動油圧切換弁36、38にも空気は供給されず、共に開状態となり、油空圧ポンプ24が油タンク22から出力した油が外部パイロット形チェック弁42、44を介して部屋14、12に供給される。一方の位置に3位置電磁切換弁62が切り換えられると、空気圧調整器60からの空気が空気圧駆動油圧切換弁36に供給され、空気圧駆動油圧切換弁36は閉状態となり、空気圧駆動油圧切換弁38を介して外部パイロット形チェック弁44側に空気は供給されるが、空気圧駆動油圧切換弁36を介して外部パイロット形チェック弁42側には空気は供給されない。3位置電磁切換弁62が他方の位置に切り換えられると、空気圧駆動油圧切換弁38に空気が供給され、3位置電磁切換弁62が空気圧駆動油圧切換弁38は閉状態になり、油タンク22から油空圧ポンプ24が出力した油が空気圧駆動油圧切換弁36を介して外部パイロット形チェック弁42側に供給されるが、空気圧駆動油圧切換弁38を介して外部パイロット形チェック弁44側には空気は供給されない。このとき、油タンク22に対して空気が供給され、油タンク22が加圧される。
【0023】
このように構成された油圧シリンダ装置において、ロッド16が前進しており、3位置電磁切換弁62が中立位置にあり、空気圧駆動油圧切換弁36、38は開状態にあるとする。この状態において、3位置電磁切換弁62を一方の位置に切り換えると、空気圧駆動油圧切換弁36が閉状態になり、空気圧駆動油圧切換弁38は開状態を維持する。その結果、油タンク22からの油が空気圧駆動油圧切換弁38、外部パイロット形チェック弁44を介して油圧シリンダ2の部屋12への供給は継続されるが、部屋14には油の供給は停止される。やがて、外部パイロット形チェック弁42に対するパイロット圧力である空気圧駆動油圧切換弁38の出力側の圧力が予め定めた圧力以上となると、外部パイロット形チェック弁42が開き、部屋14の油は空気圧駆動油圧切換弁36を介して油タンク22に排出され、ピストン10が後退する。空気圧駆動油圧切換弁36の出力側の圧力が予め定めたパイロット圧力よりも低くなると、外部パイロット形チェック弁42が閉じ、ピストン10の後退は停止する。外部パイロット形チェック弁42に対するパイロット圧力の設定によって、ピストン10の後退を任意の位置に停止することができる。
【0024】
この状態から、3位置電磁切換弁62を他方の位置に切り換えると、空気圧駆動油圧切換弁38が閉状態に、空気圧駆動油圧切換弁36が開状態になり、油タンク22からの油が空気圧駆動油圧切換弁36、外部パイロット形チェック弁42を介して部屋14に供給され、部屋12には油の供給は停止される。やがて、外部パイロット形チェック弁44に対するパイロット圧力である空気圧駆動油圧切換弁36の出力側の圧力が予め定めた圧力以上となると、外部パイロット形チェック弁44が開き、部屋12の油は空気圧駆動油圧切換弁38を介して油タンク22に排出され、ピストン10が前進する。空気圧駆動油圧切換弁38の出力側の圧力が予め定めたパイロット圧力よりも低くなると、外部パイロット形チェック弁44が閉じ、ピストン10の前進は停止する。外部パイロット形チェック弁42に対するパイロット圧力の設定によって、ピストン10の前進を任意の位置で停止することができる。
【0025】
このとき、油空圧ポンプ24が油タンク22内の油を吸引して、空気圧駆動油圧切換弁38側に供給しているが、このとき、油空圧ポンプ24が発生する負圧だけでは、油空圧ポンプ24のピストンが動作しにくく、油タンク22内に空気が混入する可能性があるので、空気で加圧して、油空圧ポンプ24のピストンの動作を援助し、早送りをしている。
【0026】
なお、なんらかの理由で部屋12の圧力が予め定めたリリーフ圧力以上になると、リリーフ弁48が開く。同様に部屋14の圧力が予め定めたリリーフ圧力以上になると、リリーフ弁46が開く。従って、部屋12、14の圧力上昇を抑制できる。
【0027】
第2の実施形態の油圧シリンダ装置の油空圧回路図を図5に示す。この実施形態の油圧シリンダ装置では、第1の実施形態の油圧シリンダ装置から外部パイロット形チェック弁42、44、リリーフ弁46、48を除去したものである。他の構成は、第1の実施形態の油圧シリンダ装置と同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0028】
この実施形態では、3位置電磁切換弁62を中立位置から一方の位置に切り換えると、空気圧駆動油圧切換弁36が閉状態になり、空気圧駆動油圧切換弁38が開状態となり、空気圧調整器60からの空気が空気圧駆動油圧切換弁38に供給され、空気は油圧シリンダ2の部屋12に供給され、部屋14の油は空気圧駆動油圧切換弁36を介して油タンク22に排出される状態となる。その結果、ピストン10が後退する。3位置電磁切換弁62を他方の位置に切り換えると、空気圧駆動油圧切換弁36が開状態になり、空気圧駆動油圧切換弁38が閉状態となり、空気圧調整器60からの空気が空気圧駆動油圧切換弁36に供給され、空気は油圧シリンダ2の部屋14に供給され、部屋12の油は空気圧駆動油圧切換弁38を介して油タンク22に排出される状態となる。その結果、ピストン10が前進する。なお、この状態では、油タンク22への加圧も行われている。
【0029】
図6に第3の実施形態の油圧シリンダ装置の油空圧回路図を示す。この実施形態では、3位置電磁切換弁62に代えて2位置電磁切換弁62aを使用した以外、第1の実施形態の油圧シリンダ装置と同様に構成されている。同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。この2位置電磁切換弁62aは、ダブルソレノイド型式のものである。なお、シングルソレノイド型式のものを使用することもできる。
【0030】
図7に第4の実施形態の油圧シリンダ装置の油空圧回路図を示す。この実施形態では、3位置電磁切換弁62に代えて2位置電磁切換弁62aを使用した以外、第2の実施形態の油圧シリンダ装置と同様に構成されている。同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。この2位置電磁切換弁62aも、第3の実施形態の2位置電磁切換弁62aと同様に、ダブルソレノイド型式のものである。なお、シングルソレノイド型式のものを使用することもできる。
【0031】
これら各実施形態の油圧シリンダ装置では、空気圧によって駆動される油空圧ポンプ24によって油タンク22からの油をシリンダ2に供給し、このシリンダ2の部屋12、14の油の供給を切り換える切換弁も空気圧駆動油圧切換弁36、38を使用しているので、エアシリンダと同等の制御で、これら油圧シリンダ装置を駆動することができる上に、エアシリンダと同様な制御でありながら、油圧シリンダの大出力が得られる。もし、同様な大出力をエアシリンダで得ようとすると、大型のエアシリンダが必要となり、コンパクト化の障害となる。しかも、エア駆動であるので、防爆の環境下でも使用可能である。また、油空圧ポンプ24は、空気圧駆動のバランス停止形のものを使用しているので、空気の無駄な消費が無く、省エネルギー効果がある。さらに、油タンク22は密封してあるので、それの取り付け方向に制限が無く、どの方向にでも使用可能である。また、ロッド16が前進するとき、油タンク22を加圧しているので、早送りが可能である。また、第1の実施形態や第3の実施形態では、リリーフ弁46、48を設けてあるので、圧力上昇を抑制でき、また外部パイロット形チェック弁42、44を設けてあるので、シリンダ2の中間停止が可能である。油タンク22と油空圧ポンプ24と油圧シリンダ2とを一体化しているので、別途油圧源を設ける必要が無く、油用の配管も不要である。
【0032】
上記の各実施形態では、油圧シリンダ2には、片側ロッド式の複動型のものを使用したが、他の型式、例えば両側ロッド式の複動型のものとすることもできるし、片側ロッド式の単動型のものとすることもできる。単動型の場合、空気圧駆動油圧切換弁36、38のうち一方のみを設ければよい。この場合、油圧シリンダ2が駆動されているとき、油タンク22を加圧することが望ましい。上記の各実施形態では、空気圧駆動油圧切換弁36、38はノーマルオープンのものを使用したがノーマルクローズのものを使用することができる。その場合、第1及び第2の実施形態では、3位置電磁切換弁62が中立位置にあるとき、空気圧を空気圧駆動油圧切換弁36、38に供給して、これらを開状態として、一方の位置に切り換えられたとき、空気圧駆動油圧切換弁38が開状態で、空気圧駆動油圧切換弁36が閉状態となるように、他方の位置に切り換えられたとき、空気圧駆動油圧切換弁36が開状態で、空気圧駆動油圧切換弁36が開状態となるように、空気圧を空気圧駆動油圧切換弁36、38に供給されるように、3位置電磁切換弁62を構成する。同様に、第3及び第4の実施形態では、2位置電磁切換弁62aが一方の位置に切り換えられたとき、空気圧駆動油圧切換弁38が開状態で、空気圧駆動油圧切換弁36が閉状態となるように、他方の位置に切り換えられたとき、空気圧駆動油圧切換弁36が開状態で、空気圧駆動油圧切換弁36が開状態となるように、空気圧を空気圧駆動油圧切換弁36、38に供給されるように、2位置電磁切換弁62aを構成する。
【0033】
上記の各実施形態では、空気圧駆動油圧切換弁36、38を介して外部パイロット形チェック弁42、44からの油を油タンク22に排出するように構成したが、油タンク22とは別のタンクに排出するように構成することもできる。上記の各実施形態では、3位置電磁切換弁62または2位置電磁切換弁62aには、空気圧調整器60の入口側から空気を供給したが、空気圧調整器60の出口側から空気を供給することもできる。
【符号の説明】
【0034】
2 油圧シリンダ
4 シリンダチューブ(本体部)
22 油タンク
24 油空圧ポンプ
36 38 空気圧駆動油圧切換弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2015年6月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧シリンダと、
この油圧シリンダに取り付けられた油タンクと、
前記油タンクに取り付けられ、前記油タンク内の油を出力するように、空気圧源からの空気圧によって駆動される油空圧ポンプと、
前記油空圧ポンプから出力された油を、前記油圧シリンダに給排するように、前記空気圧源からの空気圧によって駆動される油圧切換弁とを、
有し、
前記油タンクは、前記油と非混合で前記空気圧源から空気圧が供給可能に構成され、
前記油圧切換弁によって前記油圧タンクから前記油空圧ポンプを介して前記油圧シリンダに前記油が供給されているとき、前記油タンクに前記空気圧源から空気圧が供給可能である
油圧シリンダ装置。
【請求項2】
請求項1記載の油圧シリンダ装置において、前記油圧シリンダは、その本体内が、ロッドを有するピストンによって2つの部屋に仕切られ、
前記油圧切換弁は、前記油空圧ポンプから出力された油を、前記2つの部屋の一方に供給し、前記2つの部屋の他方から、その部屋内の油を油排出路に流出させる状態と、前記2つの部屋の他方に前記油空圧ポンプから出力された油を供給し、前記2つの部屋の一方から、その部屋内の油を前記油排出路に排出させる状態とのいずれかに切り換える
油圧シリンダ装置。
【請求項3】
請求項2記載の油圧シリンダ装置において、前記油圧シリンダの前記2つの部屋のうち前記油が供給されたときに前記ロッドが前記油圧シリンダの本体から突出するものに、前記油が供給されるとき、前記油タンクが前記空気圧源からの空気によって加圧される油圧シリンダ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様の油圧シリンダ装置は、油圧シリンダを有している。油圧シリンダとしては、公知の種々のものを使用することができ、例えば単動型のものや複動型のものを使用することができる。また油圧シリンダは、片側ロッド式または両ロッド式のものとすることができる。この油圧シリンダに油タンクが取り付けられている。この油タンクに油空圧ポンプが取り付けられている。この油空圧ポンプは、前記油タンク内の油を出力するように、空気圧源からの空気によって駆動される。前記油空圧ポンプから出力された油を、前記油圧シリンダに給排するように、油圧切換弁が空気圧源からの空気によって駆動される。油タンクは、前記油と非混合で前記空気圧源から空気が供給可能に構成されている。油圧切換弁によって油圧タンクから油空圧ポンプを介して油圧シリンダに油が供給されているとき、油タンクに空気圧源から空気が供給可能である。上記の態様では、油タンクは、前記油と非混合で前記空気圧源から空気を供給可能に構成されているので、前記油タンクは密封型のものである。このように密封形とすると、油タンクの取り付け方向に制限が無く、どの方向にでも使用可能となる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
例えば上述した複動型の油圧シリンダの場合、前記油圧シリンダの前記2つの部屋のうち前記油が供給されたときに前記ロッドが前記油圧シリンダの本体から突出するものに、前記油が供給されるとき、前記油タンクが空気によって加圧されるものとすることができる。油タンクを加圧することによって、油圧シリンダを早送りすることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
このとき、油空圧ポンプ24が油タンク22内の油を吸引して、空気圧駆動油圧切換弁36側に供給しているが、このとき、油空圧ポンプ24が発生する負圧だけでは、油空圧ポンプ24のピストンが動作しにくく、油タンク22内に空気が混入する可能性があるので、空気で加圧して、油空圧ポンプ24のピストンの動作を援助し、早送りをしている。