(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-218932(P2015-218932A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】貯湯タンクの断熱構造
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20060101AFI20151110BHJP
F24H 1/18 20060101ALI20151110BHJP
F24H 1/00 20060101ALN20151110BHJP
【FI】
F24H9/00 E
F24H1/18 302N
F24H1/00 611F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-101583(P2014-101583)
(22)【出願日】2014年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】中島 耕司
(72)【発明者】
【氏名】森田 誠
(72)【発明者】
【氏名】松尾 亮
【テーマコード(参考)】
3L036
3L122
【Fターム(参考)】
3L036AB14
3L036AB16
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA63
3L122AB22
3L122AB60
3L122AB63
3L122BA44
3L122BB03
3L122BB13
3L122BB14
3L122EA44
3L122EA46
3L122FA03
3L122GA01
3L122GA12
(57)【要約】
【課題】沸き増し運転の頻度を低減した貯湯タンクの断熱構造を提供する。
【解決手段】貯湯タンク7の周壁で高さ方向に設置され貯湯の温度を検する複数の貯湯温度センサ21a〜21eと、該貯湯温度センサ21bが検知した貯湯温度が沸き増し運転が必要な第1所定温度T1以下を検知すると、加熱手段2による沸き増し運転を開始させると共に、この貯湯温度センサ21bより低い位置に備えられた貯湯温度センサ21dが沸き増し運転を終了させる第1所定温度T1より高温の第2所定温度T2以上を検知すると、加熱手段2による沸き増し運転を終了させる制御を行う制御手段22とを備えたもので、前記貯湯タンク7の天部から前記沸き増し運転を開始させる貯湯温度センサ21bを含む貯湯タンク7上部外周を真空断熱材23で覆い、前記貯湯タンク7の底部から前記沸き増し運転を終了させる貯湯温度センサ21dを含む貯湯タンク7下部外周を発泡断熱材24で覆う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段で加熱された温水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンクの周壁で高さ方向に設置され貯湯の温度を検する複数の貯湯温度センサと、該貯湯温度センサが検知した貯湯温度が沸き増し運転が必要な第1所定温度以下を検知すると、加熱手段による沸き増し運転を開始させると共に、この貯湯温度センサより低い位置に備えられた貯湯温度センサが沸き増し運転を終了させる第1所定温度より高温の第2所定温度以上を検知すると、加熱手段による沸き増し運転を終了させる制御を行う制御手段とを備えたものに於いて、前記貯湯タンクの天部から前記沸き増し運転を開始させる貯湯温度センサを含む貯湯タンク上部外周を真空断熱材で覆い、前記貯湯タンクの底部から前記沸き増し運転を終了させる貯湯温度センサを含む貯湯タンク下部外周を発泡断熱材で覆った事を特徴とする貯湯タンクの断熱構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ式給湯機の貯湯タンクの保温、断熱を行う真空断熱材を備えた貯湯タンクの断熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、貯湯タンクと外装ケースとの間に、上中下に3分割した発泡の断熱材を凹凸の嵌合で連結し、貯湯タンク内の湯水を断熱材で長時間に渡り良好に断熱するものであった。(特許文献1参照。)
又薄くて断熱効果が高い真空断熱材を、貯湯タンクの中央円筒部を覆うようにして使用しているものもある。(特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3561239号公報
【特許文献2】特許第4254902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、昼間の割高な電気を使用する沸き増し運転については何ら考慮されておらず、即ち、沸き増し運転を開始させる貯湯タンク中央部分の湯温の温度低下を阻止することで、沸き増し回数を減らして消費電力量を低減して効率を良くしたり、又沸き増し運転終了の貯湯タンク内の湯温を検知する貯湯温度センサが備えられている該貯湯タンク下部まで高価な真空断熱材で断熱して器具全体が高価となる課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決するために、特にその構成を、加熱手段で加熱された温水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンクの周壁で高さ方向に設置され貯湯の温度を検する複数の貯湯温度センサと、該貯湯温度センサが検知した貯湯温度が沸き増し運転が必要な第1所定温度以下を検知すると、加熱手段による沸き増し運転を開始させると共に、この貯湯温度センサより低い位置に備えられた貯湯温度センサが沸き増し運転を終了させる第1所定温度より高温の第2所定温度以上を検知すると、加熱手段による沸き増し運転を終了させる制御を行う制御手段とを備えたものに於いて、前記貯湯タンクの天部から前記沸き増し運転を開始させる貯湯温度センサを含む貯湯タンク上部外周を真空断熱材で覆い、前記貯湯タンクの底部から前記沸き増し運転を終了させる貯湯温度センサを含む貯湯タンク下部外周を発泡断熱材で覆ったものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにこの発明によれば、沸き増し運転開始の条件である貯湯タンク内の中央部の湯温が第1所定温度以下かを検知する貯湯温度センサを含んで、貯湯タンクの天部から中央部分までを真空断熱材で覆い、沸き増し運転終了の条件である貯湯タンク内の下部の湯温が第1所定温度より高温の第2所定温度以上かを検知する貯湯温度センサを含んで、貯湯タンクの底部から下部を通常の発泡断熱材で覆ったことにより、貯湯タンクの中央部から天部までの貯湯温水の放熱が抑制され、貯湯温度が下がらないので沸き増し運転の頻度が減り、無駄な電力消費がなく経済的であり、又沸き増し運転の終了温度を検知する貯湯温度センサは通常の発泡断熱材で断熱されているので、終了温度の検知のみで良好な断熱を必要としない部分で高価な真空断熱材の使用がなく、全体として安価に提供することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の断熱構造が施される一実施形態を示す貯湯式給湯機の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は貯湯タンクユニットを構成する外装ケース、2はヒートポンプユニットよりなる加熱手段、3は給湯栓、4はリモートコントローラ、5は浴槽、6は電源である。
【0009】
前記外装ケース1内には、湯水を貯湯する貯湯タンク7と、貯湯タンク7の上部に接続された出湯管8と、貯湯タンク7の下部に接続された給水管9と、出湯管8からの高温水と給水管9から分岐されたバイパス管10からの低温水とを混合するミキシング弁11と、ミキシング弁11の下流に接続された給湯管12と、給湯管12に設けられた給湯温度センサ13と、給湯管11に設けられた給湯流量センサ14と、給水管9に設けられた給水温度センサ15と、給湯管12から分岐され浴槽5に接続された湯張り管16と、この湯張り管16の開閉を行う湯張り弁17と、湯張り管16を流れる流量を積算する湯張り流量センサ18と、出湯管8から分岐して接続された貯湯タンク7の過圧を逃す過圧逃し弁19と、給水管9に設けられた給水圧を減圧する減圧弁20とが備えられている。
【0010】
前記貯湯タンク7の周壁で高さ方向には所定の間隔を置いて該貯湯タンク7内の貯湯温度を検知する5個の貯湯温度センサ21a〜21eが上から順に備えられ、上から2番目の貯湯温度センサ21bが沸き増し開始温度である第1所定温度T1以下ここでは40℃以下を検知して加熱手段2による沸き増し運転を制御手段22が行わせ、そして下から2番目の貯湯温度センサ21dが沸き増し終了温度である第1所定温度T1より高温の第2所定温度T2以上ここでは80℃以上を検知することで制御手段22に沸き増し運転を終了させるものである。
【0011】
23は貯湯タンク7の天部から前記沸き増し運転を開始させる貯湯温度センサ21bを含む貯湯タンク7上部外周を覆った真空断熱材で、貯湯タンク7の中央部から天部までの貯湯温水の放熱を抑制して、貯湯温度が下がらないようにすることで沸き増し運転の頻度を減らして、無駄な電力消費をなくするようにしたものである。
【0012】
24は貯湯タンク7の底部から前記沸き増し運転を終了させる貯湯温度センサ21dを含む貯湯タンク7下部外周を覆った真空断熱材23より断熱能力が低い通常の発泡断熱材で、終了温度の検知のみで良好な断熱を必要としない部分で高価な真空断熱材23を使用せず、全体として安価に提供することが出来るものであり、更に真空断熱材23と発泡断熱材24との継ぎ目は、発泡断熱材24の上端内側に切り欠き25を形成し、この切り欠き25に真空断熱材23の下端を挿入させることで、継ぎ目が真空断熱材23と発泡断熱材24とがオーバーラップした形となって放熱を確実に防止することが出来るものである。
26は貯湯タンク7と加熱手段2とを接続して湯水を循環させるヒーポン往き管27とヒーポン戻り管28からなる加熱循環回路である。
【0013】
前記加熱手段2は、二酸化炭素冷媒を圧縮するコンプレッサー29と、凝縮器としての冷媒水熱交換器30と、減圧器31と、蒸発器としての空気熱交換器32よりなるヒートポンプ回路33と、空気熱交換器32に送風する送風機34と、加熱循環回路26途中に設けられた能力可変の循環ポンプ35と、加熱循環回路26の冷媒水熱交換器30入口側に設けられ、冷媒水熱交換器30に流入する湯水の温度を検出する熱交入口温度センサ36と、加熱循環回路26の冷媒水熱交換器30出口側に設けられ、冷媒水熱交換器30から流出する湯水の温度を検出する熱交出口温度センサ37と、この加熱手段2の制御を行うマイコンで構成される加熱制御部38とを備えて構成されている。
【0014】
ここで、前記電源6は時間帯別電灯であり、夜間(ここでは23時から翌7時まで)が割安な電力料金設定となっているもので、この割安な夜間電力を用いて夜間に一日に必要な貯湯熱量を沸かし上げて使用するものであり、又この時間帯別電灯では昼間(7時から23時まで)にも電力は供給され、残湯量が少なくなったときに追加の沸き増し運転が行われるものである。なお、前記電源6は制御手段22に接続され、この制御手段22からリモートコントローラ4および加熱制御部38に有線にて通信信号が重畳されて電力供給されるものである。
【0015】
そして、夜間時間帯になると前記制御手段22が翌日に必要な貯湯熱量を演算し、この目標となる貯湯熱量を夜間時間帯の終了時までに沸き上げるよう加熱制御部38に指示してヒートポンプ回路33を作動させ、加熱循環回路26の循環ポンプ35を駆動開始する。 この循環ポンプ35の駆動により貯湯タンク7下部から取り出された湯水がヒーポン往き管27を通り加熱手段2の冷媒水熱交換器30に流入して加熱され、ヒーポン戻り管28を介して貯湯タンク7の上部に戻されることにより高温の湯が貯湯される。
【0016】
更に貯湯タンク7の周壁にの最下部に設けられた貯湯温度センサ21eが所定温度の高温水が貯湯されたことを検出するか、又は、熱交入口温度センサ36が所定温度以上を検出すると、制御手段22が加熱制御部38へ加熱動作の停止を指令し、ヒートポンプ回路33と循環ポンプ35の作動が停止され、夜間時間帯の終了時までに貯湯動作を終了するものである。
【0017】
前記リモートコントローラ4には、給湯設定温度を設定する温度設定スイッチ39、浴槽5への湯張りを指示する湯張りスイッチ40、湯張り量を設定する湯張り量設定スイッチ41、及び給湯可能な残時間を表示させる残時間表示スイッチ42とを有した操作部43と、液晶画面からなる表示部44と、これら操作部43及び表示部44を制御すると共に、前記制御手段22と通信を行うマイコンで構成されたリモコン制御部45を備えており、通常運転時は前記表示部44に操作部43で設定された給湯設定温度や時刻情報及び貯湯温度センサ21a〜21eで検知する残り貯湯量等が表示されるものである。
【0018】
次に給湯栓3を開くと、給水管9からの給水圧により貯湯タンク7上部の高温水が出湯管8に押し出され、制御手段22により制御されるミキシング弁11にて、バイパス管10の低温水と給湯温度センサ13の検出する温度が、前記リモートコントローラ4の操作部43で設定された給湯設定温度になるように混合されて、給湯管12を介して給湯されるものである。
【0019】
もしも給湯の使用量が通常よりも多くなってしまい、昼間電力時間帯にて貯湯温度センサ21bが第1所定温度T1以下を検知すると制御手段22を介して沸き増し運転が開始されるが、この貯湯温度センサ21bを含む貯湯タンク7の天部から上部は真空断熱材23で覆われているので、断熱効果が大きく放熱が抑制されて高温状態が長時間維持されることとなり、沸き増し運転の頻度が減り無駄な電力消費を抑えることが出来るものであり、そして万一沸き増し運転が開始された場合、貯湯タンク7の下から2番目の貯湯温度センサ21dが第2所定温度以上を検知すると沸き増し運転を終了するが、この貯湯温度センサ21dを含む貯湯タンク7の底部から下部は真空断熱材23より断熱能力が低い通常の発泡断熱材24で覆われているので、終了温度の検知のみで良好な断熱を必要としない部分で高価な真空断熱材23を使用せず、全体として安価に提供することが出来るものである。
【符号の説明】
【0020】
2 加熱手段
7 貯湯タンク
21a〜21e 貯湯温度センサ
22 制御手段
23 真空断熱材
24 発泡断熱材