特開2015-218949(P2015-218949A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-218949(P2015-218949A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】バーナおよびボイラシステム
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/00 20060101AFI20151110BHJP
   F23C 5/08 20060101ALI20151110BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20151110BHJP
【FI】
   F23N5/00 R
   F23C5/08
   F23N1/00 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-102611(P2014-102611)
(22)【出願日】2014年5月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】新藤 貴志
【テーマコード(参考)】
3K003
3K068
3K091
【Fターム(参考)】
3K003EA07
3K003FB02
3K003FB04
3K003FC01
3K003GA04
3K068FA03
3K068FB01
3K068FC02
3K068FC06
3K068FD04
3K068HA02
3K068JA06
3K091EC04
(57)【要約】
【課題】製造コストを低減でき、その上、目標の燃焼量への変更を容易に行えるバーナを提供する。
【解決手段】バーナ2は、第1燃料噴射量で燃料を噴射する第1ノズルと21と、第2燃料噴射量で燃料を噴射する第2ノズル22と、第3燃料噴射量で燃料を噴射する第3ノズル23とを備えている。上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のうちの少なくとも2つは、互いに異なる。これにより、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23のそれぞれの燃料噴射のオンオフを切り替えるだけで、燃焼量を変更できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気ボイラに供給された水を蒸発させるためのバーナであって、
第1燃料噴射量で燃料を噴射する第1ノズルと、
第2燃料噴射量で燃料を噴射する第2ノズルと、
第3燃料噴射量で燃料を噴射する第3ノズルと
を備え、
上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のうちの少なくとも2つは、互いに異なることを特徴とするバーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のバーナにおいて、
上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のそれぞれは、上記蒸気ボイラの定格蒸気発生量の100%以外のパーセンテージに対応することを特徴とするバーナ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバーナにおいて、
上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量の組み合わせにより、間隔が均等で互いに異なる複数の燃料噴射量が得られることを特徴とするバーナ。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のバーナと、
上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのうちの少なくとも1つからの燃料が燃焼する燃焼室と、
上記燃焼室に空気を供給する送風機と、
上記燃焼室に供給される空気の量を調整するダンパと、
上記燃焼室で燃焼する燃料の量に応じた量の空気が上記燃焼室に供給されるように、上記ダンパの開度を制御するダンパ開度制御部と
を備えることを特徴とするボイラシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のボイラシステムにおいて、
上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのうち、使用頻度が最も高いノズルが、上記燃焼室の中心軸に近くなるように配置されていることを特徴とするボイラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バーナおよびボイラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーナとしては、特開2012−193930号公報(特許文献1)に開示されているように、リターンフローノズルを備えたものがある。このリターンフローノズルには、燃料往きラインの一端が接続されると共に、燃料戻りラインの一端が接続されている。
【0003】
より詳しくは、上記リターンフローノズルに燃料往きラインを介して燃料を供給し、その燃料の一部が燃料戻りラインを介して回収される。この燃料戻りラインには燃料調整弁が設けられており、燃料戻りラインを介して回収される燃料の量が燃料調整弁で調整される。これにより、上記リターンフローノズルの燃料の噴霧量が変化して、燃焼量の段階的な変更ができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−193930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のバーナには、リターンフローノズルが高価であるため、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
また、上記燃料戻りライン内の燃料の流量を燃料調整弁の開度で調整するが、この調整は困難である。したがって、上記従来のバーナには、目標の燃焼量に容易に変更できないという問題もあった。
【0007】
そこで、この発明の課題は、製造コストを低減でき、その上、目標の燃焼量への変更を容易に行えるバーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明のバーナは、
蒸気ボイラに供給された水を蒸発させるためのバーナであって、
第1燃料噴射量で燃料を噴射する第1ノズルと、
第2燃料噴射量で燃料を噴射する第2ノズルと、
第3燃料噴射量で燃料を噴射する第3ノズルと
を備え、
上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のうちの少なくとも2つは、互いに異なることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、上記第1燃料噴射量で燃料を噴射する第1ノズルと、第2燃料噴射量で燃料を噴射する第2ノズルと、第3燃料噴射量で燃料を噴射する第3ノズルとがある。これにより、上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのそれぞれの燃料噴射のオンオフを切り替えるだけで、燃焼量を変更できる。したがって、上記バーナは、リターンフローノズルを備えていなくてもよいので、製造コストを低減できる。
【0010】
また、上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのそれぞれの燃料噴射のオンオフの切り替えによる燃焼量の変更は、従来(特開2012−193930号公報)の燃料調整弁の開度の調整による燃焼量の変更に比べて容易である。したがって、上記バーナは、目標の燃焼量に容易に変更できる。
【0011】
また、上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のうちの少なくとも2つが、互いに異なるので、燃焼量の段階数を増やすことができる。すなわち、燃焼位置数を増やすことができる。
【0012】
また、上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのそれぞれの燃料噴射のオンオフを切り替えると、燃焼量が瞬間的に変化する。したがって、上記バーナはいわゆる高速多位置制御を行える。
【0013】
一実施形態のバーナでは、
上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のそれぞれは、上記蒸気ボイラの定格蒸気発生量の100%以外のパーセンテージに対応する。
【0014】
上記実施形態によれば、上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のそれぞれは、蒸気ボイラの定格蒸気発生量の100%以外のパーセンテージに対応するので、燃焼位置数を確実に相当に多くすることができる。
【0015】
一実施形態のバーナでは、
上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量の組み合わせにより、間隔が均等で互いに異なる複数の燃料噴射量が得られる。
【0016】
上記実施形態によれば、上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量の組み合わせにより、間隔が均等で互いに異なる複数の燃料噴射量が得られるので、発生蒸気圧を安定させ易い。
【0017】
この発明のボイラシステムは、
この発明または一実施形態のバーナと、
上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのうちの少なくとも1つからの燃料が燃焼する燃焼室と、
上記燃焼室に空気を供給する送風機と、
上記燃焼室に供給される空気の量を調整するダンパと、
上記燃焼室で燃焼する燃料の量に応じた量の空気が上記燃焼室に供給されるように、上記ダンパの開度を制御するダンパ開度制御部と
を備えることを特徴としている。
【0018】
上記実施形態によれば、上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのそれぞれの燃料噴射をオンオフさせた場合、燃焼量が瞬間的に変化する。このとき、上記燃焼室で燃焼する燃料の量に応じた量の空気が燃焼室に供給されるように、ダンパ開度制御部がダンパの開度を制御することにより、燃焼量の瞬間的に変化に対応することができる。したがって、上記燃焼室に供給される空気が過剰になったり、過少になったりするのを防ぐことができる。
【0019】
一実施形態のボイラシステムでは、
上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのうち、使用頻度が最も高いノズルが、上記燃焼室の中心軸に近くなるように配置されている。
【0020】
上記実施形態によれば、上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのうち、使用頻度が最も高いノズルが、燃焼室の中心軸に近くなるように配置されているので、燃焼室の温度分布のムラを低減できる。
【発明の効果】
【0021】
この発明のバーナは、第1燃料噴射量で燃料を噴射する第1ノズルと、第2燃料噴射量で燃料を噴射する第2ノズルと、第3燃料噴射量で燃料を噴射する第3ノズルとを備えるので、リターンフローノズルを備えずに済み、製造コストを低減できる。
【0022】
また、上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのそれぞれの燃料噴射のオンオフの切り替えにより、目標の燃焼量に容易に変更できる。
【0023】
また、上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のうちの少なくとも2つが、互いに異なるので、燃焼位置数を増やすことができる。
【0024】
また、上記第1ノズル、第2ノズルおよび第3ノズルのそれぞれの燃料噴射のオンオフを切り替えることによって、燃焼量を瞬間的に変化させることができるので、いわゆる高速多位置制御を行える。
【0025】
この発明のボイラシステムは、燃焼室で燃焼する燃料の量に応じた量の空気が燃焼室に供給されるように、ダンパの開度を制御するダンパ開度制御部を備えるので、燃焼室に供給される空気が過剰になったり、過少になったりするのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1はこの発明の一実施形態のボイラシステムの主要部の模式図である。
図2図2は上記ボイラシステムの制御ブロック図である。
図3図3はこの発明の一実施形態の第1ノズル、第2ノズル、第3ノズルおよびその周辺部を上方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明のバーナおよびボイラシステムを図示の実施形態により詳細に説明する。
【0028】
図1は、この発明の一実施形態のバーナ2を備えたボイラシステムの主要部の構成を示す模式図である。なお、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23は、水平方向に一列に並んでいないが、図1では、見易くするため、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23は、水平方向に一列に並んでいるように示している。また、以下の説明において、「ライン」とは、流路、経路、管路などの総称である。
【0029】
上記ボイラシステムは、燃焼室1aが内部に設けられた貫流式蒸気ボイラ1と、この貫流式蒸気ボイラ1に供給された水を蒸発させるためのバーナ2と、燃焼室1aに空気を供給する第1,第2送風機3,4とを備えている。なお、貫流式蒸気ボイラ1は蒸気ボイラの一例である。また、第1,第2送風機3,4は送風機の一例である。
【0030】
上記貫流式蒸気ボイラ1は、給水ラインL1を介して給水タンク(図示せず)に接続されている。この給水ラインL1には、上記給水タンク側から順に、給水ポンプ5と逆止弁6が設けられている。給水ポンプ5が駆動することにより、上記給水タンク内の水が、給水ラインL1を介して貫流式蒸気ボイラ1に供給される。また、貫流式蒸気ボイラ1にはブローラインL2の一端が接続されている。このブローラインL2には濃縮ブロー弁7が設けられており、濃縮ブロー弁7が開放されると、貫流式蒸気ボイラ1内の水がブローラインL2を介して外部に排水される。
【0031】
また、上記貫流式蒸気ボイラ1は蒸気取り出しラインL3を介して気水分離器8に接続されている。この気水分離器8には蒸気供給ラインL4の一端が接続されている。これにより、貫流式蒸気ボイラ1で発生した蒸気は、蒸気取り出しラインL3、気水分離器8および蒸気供給ラインL4を介して、負荷装置(図示せず)に供給される。この負荷装置への蒸気の供給は、蒸気供給ラインL4に設けられた蒸気弁9の開閉で制御される。
【0032】
また、上記貫流式蒸気ボイラ1と濃縮ブロー弁7の間のブローラインL2は、降水ラインL5を介して気水分離器8に接続されている。これにより、気水分離器8で生じた凝縮水は、降水ラインL5によってブローラインL2に案内される。また、降水ラインL5内の凝縮水は、水質測定部10によって水質を測定できるようになっている。
【0033】
また、上記ボイラシステムは、貫流式蒸気ボイラ1内の圧力を検出する圧力センサ11も備えている。
【0034】
上記第1送風機3は、第1空気供給ラインL6を介して、貫流式蒸気ボイラ1に接続されている。この第1空気供給ラインL6には第1空気量調整ダンパ12が設けられ、第1送風機3から燃焼室1aに供給される空気の量が第1空気量調整ダンパ12で調整可能になっている。また、第1空気量調整ダンパ12と貫流式蒸気ボイラ1の間の第1空気供給ラインL6は、第2空気供給ラインL7を介して第2送風機4に接続されている。この第2空気供給ラインL7には第2空気量調整ダンパ13が設けられ、第2送風機4から燃焼室1aに供給される空気の量が第2空気量調整ダンパ13で調整可能になっている。なお、第1,第2空気量調整ダンパ12,13はダンパの一例である。
【0035】
上記バーナ2は、貫流式蒸気ボイラ1に供給された水を蒸発させるためのバーナであって、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23を備えている。この第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23のうちの少なくとも1つから噴射された燃料が、燃焼室1aで燃焼する。また、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23は、貫流式蒸気ボイラ1の上部に設けられた開口1b(図3に示す)に挿通されている。
【0036】
上記第1ノズル21は、第1燃料供給ラインL8を介して、油(例えば、灯油、A重油など)を貯留するオイルタンク14に接続されている。この第1燃料供給ラインL8には、オイルタンク14側から順に、燃料ポンプ15と第1燃料供給弁16が設けられている。この第1燃料供給弁16が開放されると、第1ノズル21は第1燃料噴射量で燃料を噴射する。この第1燃料噴射量は貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の20%に対応する。
【0037】
上記第2ノズル22には、第2燃料供給ラインL9の一端が接続されている。この第2燃料供給ラインL9の他端は、燃料ポンプ15と第1燃料供給弁16の間の第1燃料供給ラインL8に接続されている。すなわち、燃料ポンプ15から第1燃料供給弁16に向かって流れる燃料の一部が、第2燃料供給ラインL9に流入できるようになっている。そして、第2燃料供給ラインL9には第2燃料供給弁17が設けられている。この第2燃料供給弁17が開放されると、第2ノズル22は第2燃料噴射量で燃料を噴射する。この第2燃料噴射量は貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の40%に対応する。このため、第2ノズル22の噴射口の開口面積は、第1ノズル21の噴射口の開口面積より大きくなるように設定されている。
【0038】
上記第3ノズル23には、第3燃料供給ラインL10の一端が接続されている。この第3燃料供給ラインL10の他端は、第2燃料供給ラインL9の一部を介して、燃料ポンプ15と第1燃料供給弁16の間の第1燃料供給ラインL8に接続されている。すなわち、燃料ポンプ15から第1燃料供給弁16に向かって流れる燃料の一部が、第3燃料供給ラインL10に流入できるようになっている。そして、第3燃料供給ラインL10には第3燃料供給弁18が設けられている。この第3燃料供給弁18が開放されると、第3ノズル23は第3燃料噴射量で燃料を噴射する。この第3燃料噴射量は貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の60%に対応する。このため、第3ノズル23の噴射口の開口面積は、第2ノズル22の噴射口の開口面積より大きくなるように設定されている。
【0039】
また、下表1に示すように、上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量の組み合わせにより、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の0%,20%,40%,60%,80%,100%に対応する燃料噴射量が得られる。なお、下表1において、「○」は、同一行に記載のノズルが燃料を噴射している状態を意味する一方、「×」は、同一行に記載のノズルが燃料を噴射していない状態を意味する。
【0040】
【表1】
【0041】
例えば、上記貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の40%に対応する燃料噴射量を得る場合、第2燃料供給弁17を開放し、かつ、第1,第3燃料供給弁16,18を閉鎖して、第2ノズル22だけに燃料を噴射させる。また、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の80%に対応する燃料噴射量を得る場合、第1,第3燃料供給弁16,18を開放し、かつ、第2燃料供給弁17を閉鎖して、第1,第3ノズル21,23だけに燃料を噴射させる。このように、第1燃料供給弁16,第2燃料供給弁17および第3燃料供給弁18の開閉を制御することにより、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の0%,20%,40%,60%,80%,100%に対応する燃料噴射量が得られる。すなわち、間隔が均等で互いに異なる複数の燃料噴射量が得られる。
【0042】
また、図示しないが、バーナ2は、第1ノズル21、第2ノズル22または第3ノズル23が噴射した燃料に火を付ける点火装置(図示せず)も備えている。
【0043】
図2は上記ボイラシステムの制御ブロック図である。
【0044】
上記ボイラシステムは、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置100を備えている。また、制御装置100は、圧力センサ11,水質測定部10などの信号を受けて、第1燃料供給弁16,第2燃料供給弁17,第3燃料供給弁18,燃料ポンプ15,給水ポンプ5,濃縮ブロー弁7,第1送風機3,第2送風機4,第1空気量調整ダンパ12,第2空気量調整ダンパ13などを制御する。
【0045】
また、上記制御装置100は、燃焼室1aで燃焼する燃料の量に応じた量の空気が燃焼室1aに供給されるように、第1,第2空気量調整ダンパ12,13の開度を制御するダンパ開度制御部100aを有している。このダンパ開度制御部100aはソフトウェアで構成されている。
【0046】
図3は、上記第1ノズル21、第2ノズル22、第3ノズル23およびその周辺部を上方から見た模式図である。
【0047】
上記第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23は、三角形を描くように配置されている。より詳しくは、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23のうち、使用頻度が最も高い第1ノズル21が、燃焼室1aの中心軸50に近くなるように配置されている。
【0048】
上記構成のボイラシステムによれば、制御装置100が第1燃料供給弁16,第2燃料供給弁17および第3燃料供給弁18の開閉を制御して、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23のそれぞれの燃料噴射のオンオフを切り替える。これにより、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の0%,20%,40%,60%,80%,100%に対応する燃料噴射量が得られる。したがって、バーナ2は、互いに異なる複数の燃料噴射量を得るためにリターンフローノズルを備えずに済むので、製造コストを低減できる。
【0049】
また、上記第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23のそれぞれの燃料噴射のオンオフの切り替えによる燃焼量の変更は、従来(特開2012−193930号公報)の燃料調整弁の開度の調整による燃焼量の変更に比べて容易である。したがって、バーナ2は、目標の燃焼量に容易に変更できる。
【0050】
また、上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量が互いに異なるので、燃焼位置数を増やすことができる。
【0051】
また、上記第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23のそれぞれの燃料噴射のオンオフを切り替えると、燃焼量が瞬間的に変化する。したがって、バーナ2はいわゆる高速多位置制御を行える。
【0052】
また、上記第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のそれぞれは、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の100%以外のパーセンテージ(20%,40%,60%)に対応するので、燃焼位置数を確実に相当に多くすることができる。
【0053】
仮に、上記第1,第2,第3燃料噴射量を貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の20%,40%,100%に対応させたなら、この実施形態の燃焼位置数よりも少なくなってしまう。
【0054】
また、上記貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の0%,20%,40%,60%,80%,100%に対応する燃料噴射量が得られるので、発生蒸気圧を安定させ易い。
【0055】
また、上記第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23のそれぞれの燃料噴射のオンオフを切り替えた場合、燃焼量が瞬間的に変化する。このとき、燃焼室1aで燃焼する燃料の量に応じた量の空気が燃焼室1aに供給されるように、ダンパ開度制御部100aがダンパの開度を制御することにより、燃焼量の瞬間的に変化に対応することができる。したがって、燃焼室1aに供給される空気が過剰になったり、過少になったりするのを防ぐことができる。
【0056】
また、上記第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23のうち、使用頻度が最も高い第1ノズル21が、燃焼室1aの中心軸50に近くなるように配置されているので、燃焼室1aの温度分布のムラを低減できる。
【0057】
上記実施形態では、第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量は、互いに異なっていたが、第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量のうちの2つだけが、互いに異なるようにしてもよい。例えば、第1燃料噴射量は貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の20%に、第2燃料噴射量は貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の40%に、第3燃料噴射量は貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の40%に対応させてもよい。このようにする場合も、下表2に示すように、第1燃料噴射量、第2燃料噴射量および第3燃料噴射量の組み合わせにより、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の0%,20%,40%,60%,80%,100%に対応する燃料噴射量が得られる。なお、下表2の「○」,「×」の意味は、上記表1の「○」,「×」の意味と同じである。
【0058】
【表2】
【0059】
例えば、上記貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の40%に対応する燃料噴射量を得る場合、上記実施形態と同様に、第2燃料供給弁17を開放し、かつ、第1,第3燃料供給弁16,18を閉鎖して、第2ノズル22だけに燃料を噴射させる。また、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の80%に対応する燃料噴射量を得る場合、第2,第3燃料供給弁17,18を開放し、かつ、第1燃料供給弁16を閉鎖して、第2,第3ノズル22,23だけに燃料を噴射させる。
【0060】
上記実施形態では、バーナ2は、3本のノズルを備えていたが、4本以上のノズルを備えてもよい。例えば、バーナ2が4本のノズルを備える場合、4本のノズルの1つの燃料噴射量は、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の10%に対応する量とする。また、4本のノズルの他の1つの燃料噴射量は、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の20%に対応する量とする。また、4本のノズルの他の1つの燃料噴射量は、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の30%に対応する量とする。また、4本のノズルの他の1つの燃料噴射量は、貫流式蒸気ボイラ1の定格蒸気発生量の40%に対応する量とする。このようにしても、上記実施形態と同様の作用効果がえられる。
【0061】
上記実施形態では、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23は、油を燃焼室1aに噴射していたが、例えば天然ガスを燃焼室1aに噴射してもよい。
【0062】
上記実施形態では、ダンパ開度制御部100aはソフトウェアで構成されていたが、ダンパ開度制御部100aはハードウェアで構成されてもよい。
【0063】
上記実施形態では、第1ノズル21、第2ノズル22および第3ノズル23は、水平方向に一列に並んでいなかったが、水平方向に一列に並ぶようにしてもよい。
【0064】
上記実施形態では、この発明を貫流式蒸気ボイラ1に用いていたが、水管式蒸気ボイラー、炉筒煙管式蒸気ボイラなどの蒸気ボイラに用いてもよい。
【0065】
この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態に記載の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 貫流式蒸気ボイラ
1a 燃焼室
3 第1送風機
4 第2送風機
21 第1ノズル
22 第2ノズル
23 第3ノズル
50 中心軸
100 制御装置
100a ダンパ開度制御部
図1
図2
図3