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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-218989(P2015-218989A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20151110BHJP
   F24F 6/02 20060101ALI20151110BHJP
【FI】
   F24F6/00 H
   F24F6/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-104736(P2014-104736)
(22)【出願日】2014年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】594017695
【氏名又は名称】ウエットマスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】野村 浩
(72)【発明者】
【氏名】越沼 貴文
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕子
(72)【発明者】
【氏名】青木 敏和
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BC01
3L055CA04
3L055DA01
3L055DA04
(57)【要約】
【課題】加湿量の低下を防ぎ、加湿性能に優れ、信頼性の高い加湿装置及び加湿システムを提供する。
【解決手段】加湿装置1は、複数の加熱タンク2A,2Bを備える。それぞれの加熱タンク2A,2Bには、加熱体21、給水タンク3、排水管13が設けられている。加熱体21は加熱タンク2A,2Bに貯留されている水を加熱して蒸気を発生させる。給水タンク3は、加熱タンク2A,2Bの水位が一定となるように水を供給する。排水管13は、蒸気の発生によって不純物が濃縮した水の少なくとも一部を加熱タンク2A,2Bから排出する。加湿装置1は更に、加熱タンク2Bの排水開始タイミングを、加熱タンクAの排水開始タイミングと異ならせるように排水管13の排水弁4を制御する排水制御部7を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する複数の貯留部と、
前記複数の貯留部のそれぞれに設けられ、前記水を加熱して蒸気を発生させる加熱部と、
前記複数の貯留部における水位が一定となるように、前記複数の貯留部に水を供給する給水部と、
前記蒸気の発生によって不純物が濃縮した水の少なくとも一部を前記複数の貯留部から排出する排水部と、
少なくとも1つの貯留部からの排水開始タイミングを、その他の貯留部の排水開始タイミングと異ならせるように前記排水部を制御する排水制御部と、を備えることを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記排水制御部は、全ての貯留部の排水開始タイミングを互いに異ならせるように、前記排水部を制御することを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記排水制御部は、全ての貯留部の排水開始から排水終了までの排水時間が重複しないように前記排水部を制御することを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項4】
複数の加湿装置が通信可能に接続された加湿システムであって、
個々の加湿装置はそれぞれ、
水を貯留する貯留部と、
前記貯留部に設けられ、前記水を加熱して蒸気を発生させる加熱部と、
前記貯留部における水位が一定となるように、前記貯留部に水を供給する給水部と、
前記蒸気の発生によって不純物が濃縮した水の少なくとも一部を前記貯留部から排出する排水部と、
前記排水部の排水動作を制御する制御部と、を備え、
いずれか1つの加湿装置の制御部は、排水制御部として、少なくとも1つの加湿装置の排水開始タイミングを、その他の加湿装置の排水開始タイミングと異ならせるように、排水タイミングを決定して各加湿装置の制御部に送信することを特徴とする加湿システム。
【請求項5】
前記排水制御部は、全ての加湿装置の排水開始タイミングを互いに異ならせるように各加湿装置の排水開始タイミングを決定することを特徴とする請求項4記載の加湿システム。
【請求項6】
前記排水制御部は、全ての加湿装置の排水開始から排水終了までの排水時間が重複しないように各加湿装置の排水開始及び排水終了のタイミングを制御することを特徴とする請求項4記載の加湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱して蒸気を発生させて加湿を行う加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加湿装置には、気化式、超音波式、蒸気式等の様々な種類がある。蒸気式の加湿装置は、水を加熱して蒸気を発生させ、その蒸気を対象空間に供給することで加湿を行うものである。
【0003】
蒸気式の加湿装置としては、水を貯留する加熱タンクの中にヒータ等の加熱源を直接配置するタイプや、ボイラ等の外部機器により発生した一次蒸気を加熱コイル等を介して加熱タンク内に導入し、その熱によりタンク内の水を加熱して二次蒸気を発生させる間接式のタイプがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
工場、病院及び商業施設等の大規模な施設では、大容量の加湿装置が必要とされることがある。そのような場合には、1つの加湿装置のなかに複数の加熱タンクを備えたタイプの加湿装置を使用する。あるいは、1つの加熱タンクを備えた加湿装置を複数用意し、いずれか1つを親機、残りを子機として通信可能に接続し、それぞれの加湿量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−141269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような蒸気式の加湿装置では、稼動にともなって水が蒸発し、加熱タンク内の水位が徐々に下がるため、その水位低下を検知して水を補給する給水タンクが設けられる。この給水タンクが、加熱タンク内の水位を一定に維持するため、加熱タンク内では継続的に蒸気を発生することができる。
【0007】
ただし、加熱タンク内では水の蒸発は進むが、水に含まれるカルシウムなどの不純物は蒸発しない。そのため、蒸発した分の水量をそのまま補充すると、水に含まれる不純物が濃縮して、スケールが析出することとなる。析出したスケールは、加熱タンクの内壁や加熱源に付着し、加湿性能の低下や加湿装置自体の故障の原因となる。そこで、このような蒸気式加湿装置では、加熱タンク内の水を定期的に排出することでタンク内の水の不純物濃度を一定に保つように制御が行われている。
【0008】
複数の加熱タンクを備えた加湿装置、あるいは複数の加湿装置を備えた加湿システムにおいては、それぞれの排水開始を同じタイミングで制御していた。ところが、排水した分の水の給水を行うと、加熱タンクの水温が一時的に下がり、同時に発生蒸気量も低下することとなる。ここで、複数の加熱タンクで一斉に排水すると発生蒸気量の低下も大きく、加湿性能に影響を及ぼしてしまうことがあった。
【0009】
本発明は、上述した問題を鑑み、複数の加熱タンクを有する加湿装置又は加湿システムにおいて、個々のタンクの排水タイミングを制御することで、排水後の給水による一時的な蒸気発生量の低下を防ぎ、加湿性能と信頼性に優れた加湿装置及び加湿システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る加湿装置は、水を貯留する複数の貯留部と、前記複数の貯留部のそれぞれに設けられ、前記水を加熱して蒸気を発生させる加熱部と、前記複数の貯留部における水位が一定となるように、前記複数の貯留部に水を供給する給水部と、前記蒸気の発生によって不純物が濃縮した水の少なくとも一部を前記複数の貯留部から排出する排水部と、少なくとも1つの貯留部からの排水開始タイミングを、その他の貯留部の排水開始タイミングと異ならせるように前記排水部を制御する排水制御部と、を備える。
【0011】
本発明の一態様として、前記排水制御部は、全ての貯留部の排水開始タイミングを互いに異ならせるように前記排水部を制御するようにしても良い。
【0012】
本発明の別の一態様として、前記排水制御部は、全ての貯留部の排水開始から排水終了までの排水時間が重複しないように前記排水部を制御しても良い。
【0013】
本発明に係る加湿システムは、複数の加湿装置が通信可能に接続されたものであって、 個々の加湿装置はそれぞれ、水を貯留する貯留部と、前記貯留部に設けられ、前記水を加熱して蒸気を発生させる加熱部と、前記貯留部における水位が一定となるように、前記貯留部に水を供給する給水部と、前記蒸気の発生によって不純物が濃縮した水の少なくとも一部を前記貯留部から排出する排水部と、前記排水部の排水動作を制御する制御部と、を備え、いずれか1つの加湿装置の制御部は、排水制御部として、少なくとも1つの加湿装置の排水開始タイミングを、その他の加湿装置の排水開始タイミングと異ならせるように、排水タイミングを決定して各加湿装置の制御部に送信する。
【0014】
本発明の一態様として、前記排水制御部は、全ての加湿装置の排水開始タイミングを互いに異ならせるように各加湿装置の排水開始タイミングを決定しても良い。
【0015】
本発明の別の一態様として、前記排水制御部は、全ての加湿装置の排水開始から排水終了までの排水時間が重複しないように各加湿装置の排水開始及び排水終了のタイミングを制御しても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の加熱タンクを有する加湿装置又は加湿システムにおいて、少なくとも1つの加熱タンクからの排水タイミングを他と異ならせることで、一斉排水による加湿量の低下を防ぐことができ、加湿性能に優れ、信頼性の高い加湿装置及び加湿システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る加湿装置の概略構成を示す模式図である。
図2】第1の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る排水処理を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態における排水処理の動作例を説明するための図である。
図5】第1の実施形態における排水処理の動作例を説明するための図である。
図6】第2の実施形態に係る加湿システムの概略構成を示す模式図である。
図7】第2の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施形態に係る排水処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る加湿装置及び加湿システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
[1.構成]
第1の実施形態は、複数の加熱タンクを備えた加湿装置に関する。図1に示すように、加湿装置1は、複数の加熱タンク2A,2Bを備える。加熱タンクの数は、2以上であれば特に制限は無く、設置スペース等を考慮して定めることができるが、本実施形態では2つの加熱タンク2A,2Bを備える場合を説明する。
【0020】
加湿装置1は、例えば、病院や工場等の施設内部が加湿対象空間である場合には、施設の空調を管理する空調室に配置することができる。加湿対象空間には、ヒューミディスタット等の湿度検出装置9が設置されている。加湿装置1は、この湿度検出装置9から加湿対象空間の湿度情報を取得して、加湿対象空間の湿度に応じた加湿を行う。
【0021】
加湿装置1は、貯留部としての加熱タンク2A,2Bを有し、それぞれの加熱タンク2A,2Bに、加熱部としての加熱体21、給水部としての給水タンク3、排水部としての排水管13を備えている。加湿装置1は、さらに各部の動作を制御する制御部5を備えている。
【0022】
加熱タンク2A,2Bは、両端有底の筒状容器であり、その内部に水を貯留する。加熱タンク2A,2Bは同じ構成となっているため、ここでは、加熱タンク2Aの構成についてのみを説明し、加熱タンク2Bの説明は省略する。加熱タンク2Aには、タンク内の水を加熱する加熱体21が配設される。この加熱体21から水に熱エネルギーが供給され、水が気化することによりタンク内に蒸気が発生する。加熱タンク2の天井面には、タンク内で発生した蒸気を加熱タンク2A外へ放出するための蒸気孔22と、この蒸気を空調対象の室内や、他の空調機器に導入するためのホース23が設けられている。
【0023】
加熱体21には不図示の熱量調整機構が備えられており、発熱量が調整可能となっている。加熱体21の熱量調整機構は、加熱タンク2Aの外部に配置された制御部5と接続され、制御部5からの指令によって発熱量を調整する。加熱体21は、加熱タンク2A内の水中に配置されている。加熱体21としては、例えば、シーズヒータ、加熱コイル、水に電力を与えて直接加熱する電極棒などを使用することができる。
【0024】
加熱タンク2Aの天井面には蒸気孔22が設けられている。蒸気孔22はホース23に連結し、タンク内で発生した二次蒸気は蒸気孔22及びホース23を介して加湿対象空間に導入されるようになっている。
【0025】
加熱タンク2Aは、補給水管11と均圧管12の、2系統の管によって給水タンク3と連通している。給水タンク3は、加熱タンク2Aに供給する水を貯留する容器である。
【0026】
補給水管11は、一端が給水タンク3の底面に接続されるとともに他端は加熱タンク2Aの側面下部に接続され、給水タンク3から加熱タンク2Aに水が流入可能となっている。均圧管12は、一端が給水タンク3の天井に接続され、他端は加熱タンク2Aの側面上部に接続されている。この均圧管12により、加熱タンク2A内と給水タンク3内の空気圧は均等に分配されることになり、加熱タンク2Aと給水タンク3内の水位は等しくなる。
【0027】
給水タンク3の内部には、給水タンク3内の水位を一定に維持するように、外部からの給水量を規制する自動給水栓31が設けられている。この自動給水栓31は、例えば、水位に応じて上下する浮き子の動作に連動して弁の開度が調整されるボールタップ給水方式の給水栓である。給水タンク3は、加熱タンク2Aの水位が低下すると、両タンクの水位を一致させるように補給水管11を介して加熱タンク2Aへ水を流入させるため、給水タンク3の水位が低下する。自動給水栓31は、この水位低下を検出し、給水タンク3内の水位を所定の水位に戻すように外部から水を取り込む。このようにして、給水タンク3は加熱タンク2A内を一定水位に維持する。
【0028】
排水管13は、一端が加熱タンク2Aの下部に接続され、他端は加湿装置1の外部へと引き出されている。この排水管13には加熱タンク2A内の水の排出を規制する排水弁4が設けられている。排水弁4は、制御部5によって開閉操作若しくは開度調整が行われる。この排水弁4としては、例えば、電磁弁を使用することができる。加熱体21の加熱により、加熱タンク2A内で水の蒸発が進んで水量が減ると、給水タンク3から水が供給される。一方、水に含まれるカルシウムなどの不純物は蒸発しないため、不純物が濃縮している。そのため、定期的に排水弁4を開いて、加熱タンク2A内の水を排水管13から排出し、タンク内の水の不純物濃度を一定に保つ。排水弁4の開閉制御は、後述する制御部5が行う。
【0029】
制御部5は、例えば、専用の電子回路若しくは所定のプログラムで動作するマイクロコントローラ(MCU)から構成する。制御部5は、また、通信装置8を備えている。通信装置8は、加湿対象空間に設置された湿度検出装置9から、加湿対象空間の湿度情報Hを定期的に受信する。湿度情報Hには、湿度検出装置9が検出した加湿対象空間の湿度と、必要加湿量の情報が含まれる。
【0030】
図2に示すように、制御部5は、加熱体21の加熱制御を行う加熱制御部6と、加熱タンク2A,2Bの排水制御を行う排水制御部7を備える。
【0031】
加熱制御部6は、必要加湿量に応じて加熱体21の発熱量を操作する処理部である。加熱制御部6は、湿度検出装置9から送信された湿度情報Hに含まれる必要加湿量から、各加熱タンク2A,2Bの必要蒸気発生量を算出する。例えば、加熱タンク2A,2Bの水貯蔵量が均等な場合は、必要加湿量を単純に2分して必要蒸気発生量を算出しても良い。また、例えば、各加熱タンク2A,2Bの水の貯蔵量が異なる場合等は、貯蔵量に応じて必要加湿量を割り振り、それぞれに異なる必要蒸気発生量を算出しても良い。また、例えば、加熱タンクBを予備用のタンクとして備えている場合等は、必要加湿量が所定値未満の場合は、その必要加湿量を全て加熱タンク2Aの必要蒸気発生量として、所定値以上になった場合は、所定値を超える部分の加湿量を、加熱タンク2Bの必定蒸気発生量としても良い。
【0032】
加熱制御部6は、さらに各加熱タンク2A,2Bに割り振られた必要蒸気発生量から、各加熱タンク2A,2Bの加熱体21の発熱量Qを算出し、その発熱量Qは、各加熱タンク2A,2Bの加熱体21の熱量調整機構に入力され、発熱量が調整される。この求められた発熱量Qは、加熱制御部6から排水制御部7にも入力される。
【0033】
排水制御部7は、蒸気が発生している加熱タンクについて、排水制御を行う処理部である。上述したように、排水制御部7は、加熱制御部6から各加熱タンク2A,2Bの発熱量Qの入力を受ける。発熱量Qの入力があった加熱タンクについては、蒸気が発生していると判断して、排水制御を行う。発熱量Qの入力がない加熱タンクについては、蒸気の発生が無いと判断して、排水制御を停止する。上述した、加熱タンク2Bを予備タンクとして用いるような場合には、必要加湿量が所定値未満の場合は加熱タンク2Aのみで蒸気が発生するため、排水制御も加熱タンク2Aのみを対象に行うことになる。
【0034】
加熱タンク2Aのみを対象に排水制御を行う場合は、排水制御部7は、単純に所定の排水周期ごとに所定量の排水を行う。一方、両方の加熱タンク2A,2Bから発熱量Qの入力があり、蒸気が発生していると判断した場合には、それぞれの加熱タンク2A,2Bについて、排水開始タイミングに時間差が生じるように排水制御を行う。
【0035】
そのために、排水制御部7は、排水タイミング決定部71、出力部72、計時部76及び記憶部75を備えている。計時部76は時刻を計測するものであり、例えば、タイマーやリアルタイムクロックで構成することができる。
【0036】
記憶部75は、複数の加熱タンク2A,2Bの排水制御を行う為に必要な各種データを格納している。本実施形態では、各加熱タンクの排水順序情報O、排水周期T、排水時間T及び排水時間差Tdifのデータを記憶している。
【0037】
排水順序情報Oは、加湿装置1に設置されている複数の加熱タンクの排水順序がn番目(nは1≦n≦Nを満たす自然数であり、Nは加熱タンクの総数)であることを示すデータである。本実施形態では、2つの加熱タンク2A,2Bが設置されており、例えば、加熱タンク2Aの排水を先に行うように設定する場合は、排水順序情報Oには、加熱タンク2Aが1番目であり、加熱タンク2Bが2番目であるというデータが記録されている。
【0038】
排水周期Tの1サイクルは、加湿装置1を最大稼動した場合に、運転開始から上限蒸気発生量に至るまでの時間か、それより短い時間に設定する。「最大稼動」とは、加熱体21の発熱量が最大設定値となり、加湿装置1の単位時間当たりの蒸気発生量が最大となるときを意味する。なお、加熱体21の発熱量の最大設定値は、安全面等を考慮して適宜決定する。上限蒸気発生量とは、排水を行わずに蒸気を発生させ続けると加湿性能の低下を招く可能性がある量を意味する。この上限蒸気発生量は、加熱タンク2A,2Bの水の貯蔵量、給水タンク3からの給水量、給水水質、不純物の許容濃度等を考慮して決定するができる。排水周期Tをこのように設定することで、加熱タンク2A,2B内の水に含まれる不純物の濃縮を防ぎ、スケールの析出を予防することができる。
【0039】
排水時間Tは、上限蒸気発生量に対して必要な排水量分の水を排水管13から排出するのに必要な排水弁4の開放時間である。この開放時間は、排水量と排水弁4の排水速度から定められる。上限蒸気発生量に対して必要な排水量とは、不純物の濃縮を防いで濃度を一定に保つために必要な排水量を意味する。この排水量は、給水量に対する排水量の割合、すなわちブロー率を考慮して決定することができる。
【0040】
排水時間差Tdifは、複数の加熱タンク2A,2Bの排水開始タイミングの間に設ける時間である。排水時間差Tdifは、加湿装置1に設置される加熱タンク2A,2Bの数や、排水後の給水によって水温が低下してからの温度回復までにかかる時間を考慮して、加湿装置1全体としての蒸気発生量が大きく低下しないように、各加熱タンク2A,2Bの排水開始の間に設けるべき時間を予め定めておく。例えば、温度回復までにかかる時間が比較的長い場合には、加熱タンク2A,2Bで排水時間が全く重複しないように、排水時間差Tdifを設定すると良い。その場合、次の式(1)の通り、排水時間差Tdifは、排水時間Tと同じ時間か、またはそれよりも長い時間であって、かつ排水周期Tの1サイクルよりは短い時間とする(T>Tdif≧T)。
【0041】
また、例えば、温度回復までにかかる時間が比較的短く、排水開始タイミングさえずらせば、加湿性能の大きな低下を招かない場合には、排水時間が一部重複するようにしても良い。その場合、排水時間差Tdifは、排水時間Tよりも短い時間とする。
【0042】
排水タイミング決定部71は、計時部76の計測時刻と、記憶部75の各データを参照して、発熱量Qの入力があった加熱タンク、すなわち蒸気が発生している加熱タンクについて、排水開始時刻と排水終了時刻を決定する。
【0043】
いずれか一方のタンク、例えば加熱タンク2Aのみで蒸気が発生している場合には、単純に加熱タンク2Aについて、排水周期Tで排水が行われるように排水タイミングを決定する。具体的には、計時部76の計測時刻を参照して、排水周期Tの1サイクルと同じ時間T経過後の時刻を排水開始時刻t1startとし、排水開始時刻から排水時間T経過後の時刻を排水終了時刻t1endとする。
【0044】
両方のタンクで蒸気が発生している場合には、排水タイミング決定部71は、排水順序情報Oを参照して、排水順序が先の加熱タンク、ここでは加熱タンク2Aから排水タイミングを決定する。排水順序が次の加熱タンク2Bについては、排水時間差Tdifを設けて排水タイミングを決定する。すなわち、加熱タンク2Aの排水開始時刻t1startと排水終了時刻t1endは、加熱タンク2Aのみで蒸気が発生している場合と同様に決定し、一方、加熱タンク2Aの排水開始時刻t1startから排水時間差Tdif経過後の時刻を、加熱タンク2Bの排水開始時刻t2startとする。排水時間T経過後の時刻を排水終了時刻t2endとする。
【0045】
決定した排水タイミングは、記憶部75に一時的に記憶される。加湿装置1の運転が継続すれば、排水も継続する。すなわち、発熱量Qの入力が有る間は、排水タイミングの決定を続ける。具体的には、排水タイミングの排水順序が最も遅い加熱タンク2Bの排水タイミングを決定すると、再び最も若い排水順序の排水タイミング決定に戻る。
【0046】
出力部72は、排水タイミング決定部71で決定された排水タイミングで、各加熱タンク2A,2Bの排水管13から水が排出されるように、排水弁4の開閉制御信号S1を生成して出力する。開閉制御信号S1には、排水開始時刻、排水終了時刻及び排水時間が指令値として含まれている。
【0047】
[2.動作]
次に、上述の構成を有する加湿装置1の排水制御の動作例を、図3のフローチャートを参照して説明する。ここでは、2つの加熱タンク2A,2Bの両方で蒸気が発生し、時間差を設けた排水制御を行う場合の動作を説明する。
【0048】
まず、加熱制御部6から加熱タンク2A,2Bそれぞれの加熱体21の発熱量Qの入力がある(ステップS01)と、排水制御部7において排水順序を示す変数nを1とする初期化処理を行う(ステップS02)。排水タイミング決定部71は、発熱量Qの入力時刻を、蒸気発生の開始時刻tとして定める。
【0049】
排水タイミング決定部71は、記憶部75に記憶されている排水順序情報Oを参照する(ステップS03)。初期化処理後は、排水順序が1番目の加熱タンク2Aの排水タイミングを決定するため(ステップS04:No)、ステップS05に進む。排水タイミング決定部71は、次の式(1)の通り、蒸気発生の開始時刻tから、排水周期Tの一サイクルと同じ時間T経過後の時刻を排水開始時刻tnstartとして決定する(ステップS05)。
nstart=t+T … (1)
【0050】
また、次の式(2)の通り、排水開始時刻tnstartから排水時間T経過後の時刻を、排水終了時刻tnendとして決定する(ステップS06)。
nend=tnstart+T …(2)
【0051】
排水タイミング決定部71は、決定した加熱タンク2Aの排水開始時刻tnstartと排水終了時刻tnendを、記憶部75に一時的に記憶させる。
【0052】
排水タイミング決定部71は、n=n+1の加算処理を行い(ステップS07)、ステップS03に戻って、排水順序情報Oを参照して、排水順序が2番目の加熱タンク2Bの排水タイミングを決定する。
【0053】
2番目以降(ステップS04:Yes)の加熱タンクについては、順序が一つ前の加熱タンクの排水タイミングに排水時間差Tdifを設けた排水タイミングを決定する。
【0054】
具体的には、排水タイミング決定部71は、次の式(3)の通り、前の排水順序の加熱タンク2Aの排水開始時間t(n−1)startから排水時間差Tdif経過後の時刻を、加熱タンク2Bの排水開始時刻tnstartとする(ステップS08)。
nstart=t(n−1)start+Tdif … (3)
【0055】
また、次の式(4)の通り、加熱タンク2Bの排水開始時刻tnstartから排水時間T経過後の時刻を、排水終了時刻tnendとして決定する(ステップS09)。
nend=tnstart+T …(4)
【0056】
排水タイミング決定部71は、決定した加熱タンク2Bの排水開始時刻tnstartと排水終了時刻tnendを、記憶部75に一時的に記憶させる。
【0057】
排水タイミング決定部71は、排水タイミングを決定した加熱タンクの排水順序が総数Nに至っていない場合は(ステップS10:No)、n=n+1の加算処理を行い(ステップS11)、ステップS03に戻り、さらに次の排水順序の加熱タンクの排水タイミングも順次決定していく。本実施形態では、加熱タンクの総数Nは2で次の排水順序の加熱タンクは無いので(ステップS10:Yes)、加熱タンク2Bの排水タイミングを決定したところで、出力部72が、決定した各加熱タンク2A,2Bの排水開始及び排水終了の時刻を含む開閉制御信号S1を、それぞれの排水弁4に出力する(ステップS12)。
【0058】
加熱制御部6から発熱量Qの入力がある間は、加湿装置1の排水処理は続行される。排水周期Tの2サイクル目以降は、1サイクル目で算出した加熱タンク2A,2Bのそれぞれの排水タイミングに排水周期Tの1サイクルと同じ時間Tを順次加算していくことで、排水タイミングを決定する。
【0059】
上述した加湿装置1の動作の、さらなる具体例を図4及び図5に示す。図4の具体例は、加熱タンク2Aと加熱タンク2Bの排水時間が重複しないように制御したものである。すなわち、排水時間差Tdifを、排水時間Tよりも長くなるように設定している。加熱タンク2Aは、時刻t1startで排水を開始し、時刻t1endで排水を終了する。加熱タンク2Aの貯蔵量は減少するが、排水した分の水量が給水タンク3から供給され、給水時間T経過後に元の貯蔵量に戻る。給水によって、加熱タンク2Aの水温は低下し、給水時間T終了時点が、水温の最下降点Lとなる。給水が終了すると、加熱体21によって加熱されるため、水温は回復する。
【0060】
加熱タンク2Bは、時刻t1startから排水時間差Tdif経過後の時刻t2startに排水を開始し、時刻t2endで排水を完了する。加熱タンク2Bも同様に、減少した貯蔵量の分の水量が給水タンク3から供給され元の貯蔵量に戻る。給水によって加熱タンク2Bの水温は低下し、給水時間T終了時点が、水温の最下降点L’となる。
【0061】
図4からわかるように、複数の加熱タンク2A,2Bの排水時間が重複しないように制御することによって、排水後の給水に伴う水温の低下する時間がずれることになる。そのため、2つの加熱タンク2A,2Bの蒸気発生量が同時に大きく低下することが無く、加湿装置1全体の加湿性能の大きな低下を防ぐことができる。
【0062】
図5の具体例は、加熱タンク2Aと加熱タンク2Bの排水開始タイミングは異ならせているが、排水時間差Tdifを比較的短く設定しているため、排水時間が一部重複している場合を示している。この場合、水温の低下する時間帯は増えるが、水温の最下降点L、L’は一致しない。そのため、やはり、2つの加熱タンク2A,2Bの蒸気発生量が同時に大きく低下することが無く、加湿装置1全体の加湿性能の大きな低下を防ぐことができる。
【0063】
[3.効果]
(1)本実施形態の加湿装置1は、複数の加熱タンク2A,2Bを備える。それぞれの加熱タンク2A,2Bには、加熱体21、給水タンク3、排水管13が設けられている。加熱体21は加熱タンク2A,2Bに貯留されている水を加熱して蒸気を発生させる。給水タンク3は、加熱タンク2A,2Bの水位が一定となるように水を供給する。排水管13は、蒸気の発生によって不純物が濃縮した水の少なくとも一部を加熱タンク2A,2Bから排出する。加湿装置1は更に、加熱タンク2Bの排水開始タイミングを、加熱タンクAの排水開始タイミングと異ならせるように排水管13の排水弁4を制御する排水制御部7を備える。
【0064】
複数の加熱タンク2A,2Bを備えた加湿装置1において、加熱タンク2Aの排水開始タイミングを他の加熱タンク2Bと異ならせることで、それぞれの加熱タンク2A,2Bの水温の最下降点L,L’をずらすことができる。このため、一斉排水による加湿量の大きな低下を防ぐことができ、加湿性能に優れ、信頼性の高い加湿装置を提供することができる。
【0065】
(2)排水制御部7は、加湿装置1が3以上の加熱タンクを備える場合に、全ての加熱タンクの排水開始タイミングを互いに異ならせるように排水弁4を制御しても良い。これによって、排水後の給水による水温低下によって加湿量が低下する時間帯をより効率良く分散させることができ、加湿性能を向上させることができる。
【0066】
(3)排水制御部7は、加熱タンク2A,2Bの排水開始から排水終了までの排水時間Tが重複しないように排水弁4を制御しても良い。これによって、排水後の給水による水温低下によって加湿量が低下する時間帯をより効率良く分散させることができ、加湿性能を向上させることができる。
【0067】
[第2の実施形態]
[1.構成]
本発明の第2の実施形態に係る加湿システムを、図6及び図7を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明し、第1の実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
第1の実施形態では、1つの加湿装置1に備えられた複数の加熱タンクの排水タイミングの制御について説明したが、第2の実施形態では複数の加湿装置100A,100Bから構成される加湿システム1において、それぞれの加湿装置100A,100Bが備える複数の加熱タンク20A,20Bの排水タイミングの制御について説明する。
【0069】
加湿システムを構成する加湿装置の数は、2以上であれば特に制限は無いが、ここでは一例として、2つの加湿装置から構成される加湿システムを説明する。また、各加湿装置が備える加熱タンクの数も特に制限は無く、また加湿装置毎に異なる数の加熱タンクを備えていても良いが、ここでは、一例として、それぞれ1つの加熱タンクを備える加湿装置を説明する。
【0070】
図6に示すように、加湿システム200は、2つの加湿装置100A,100Bを備えており、これらの加湿装置100A,100Bは有線又は無線により、相互に通信可能に接続されている。
【0071】
各加湿装置100A,100Bは、個々の加熱タンクが1つである以外は、第1の実施形態の加湿装置1と同じ構成である。加湿装置100A,100Bの制御部50A,50Bは、第1の実施形態の制御部5と同様の構成をしており、それぞれに独立して各加湿装置の制御を行うことも可能であるが、加湿システム200においては、いずれかの加湿装置の制御部が親機の役割を果たす。すなわち、親機の加湿装置の制御部が、加湿対象空間に設置された湿度検出装置9からの湿度情報Hを受信して各加湿装置で必要な発熱量や排水タイミングを決定し、その指令を子機となる加湿装置に送信する。
【0072】
本実施形態では、一例として、加湿装置100Aが親機で、加湿装置100Bは子機の場合を説明する。すなわち、加湿装置100Aの制御部50Aが加湿対象空間に設置された湿度検出装置9からの湿度情報Hを受信して各加湿装置で必要な発熱量や排水タイミングを決定し、その指令を加湿装置100Bの制御部50Bに送信する。
【0073】
具体的には、図7に示すように、加湿装置100Aの制御部50Aにおいて、加熱制御部60Aが、湿度検出装置9から送信された湿度情報Hに含まれる必要加湿量から、各加湿装置100A,100Bの加熱タンク20A,20Bの必要蒸気発生量を算出し、さらに各加熱体21の発熱量Qを算出する。加熱タンク20A,20Bの蒸気発生量は均等にしても良く、あるいは、貯蔵量等に応じて異なる量を割り振っても良い。また、例えば、加湿装置100Bは予備用の加湿装置としても良く、必要加湿量が所定値未満の場合は、その必要加湿量を全て加熱タンク20Aの必要蒸気発生量として、所定値以上になった場合は、所定値を超える部分の加湿量を、加熱タンク20Bの必定蒸気発生量としても良い。
【0074】
加熱制御部60Aは、算出した加熱タンク20Aの発熱量Qを加熱タンク20Aの加熱体21に入力する。一方、加熱タンク20Bの発熱量Qは、加湿装置100Bに送信する。加湿装置100Bの加熱制御部60Bは、受信した発熱量Qをそのまま加熱タンク20Bの加熱体21に入力する。
【0075】
各加熱タンク20A,20Bの発熱量Qは、加湿装置100Aの排水制御部70Aにも入力する。加湿装置100Aの排水制御部70Aの記憶部75は、加湿装置100A,100Bの加熱タンク20A,20Bの排水制御を行う為に必要な各種データを格納している。本実施形態では、加熱タンク20A,20Bの排水順序情報O、排水周期T、排水時間T及び排水時間差Tdifのデータを記憶している。
【0076】
各データは、第1の実施形態と同様に決定することができる。本実施形態では、例えば、親機の加湿装置100Aの加熱タンク20Aの排水を先に行うように設定する場合は、排水順序情報Oには、加湿装置100Aの加熱タンク20Aが1番目であり、子機の加湿装置100Bの加熱タンク20Bが2番目であるというデータを記録する。排水時間差Tdifについては、各加湿装置100A,100Bの加熱タンク20A,20Bの排水開始タイミングの間に設ける時間として決定する。
【0077】
排水制御部70Aの排水タイミング決定部71は、計時部76の計測時刻と、記憶部75の各データを参照して、第1の実施形態と同様に、加熱制御部60Aから発熱量Qの入力があった加熱タンク20A,20B、すなわち蒸気が発生している加熱タンクについて、排水開始時刻と排水終了時刻を決定する。
【0078】
出力部72は、排水タイミング決定部71で決定した排水タイミングから、それぞれの加熱タンク20A,20Bの排水弁4の開閉制御信号S1を生成する。加熱タンク20Aの開閉制御信号S1は、そのまま排水弁4に入力される。加熱タンク20Bの開閉制御信号S1は、加湿装置100Bに送信する。加湿装置100Bの排水制御部70Bは、受信した開閉制御信号S1をそのまま加熱タンク20Bの排水弁4に入力する。
【0079】
[2.動作]
第2の実施形態に係る加湿装置1の動作例を、図8のフローチャートを参照して説明する。ここでは、2つの加湿装置100A,100Bの両方を稼働させて、それぞれの加熱タンク20A,20Bで時間差を設けた排水制御を行う場合の動作を説明する。
【0080】
加湿装置100Aの加熱制御部60Aから加熱タンク20A,20Bそれぞれの発熱量Qの入力がある(ステップS01)と、排水制御部70Aにおいて排水順序を示す変数nを1とする初期化処理を行う(ステップS02)。排水タイミング決定部71は、発熱量Qの入力時刻を、蒸気発生の開始時刻tとして定める。
【0081】
排水タイミング決定部71は、記憶部75に記憶されている排水順序情報Oを参照する(ステップS03)。初期化処理後は、排水順序が1番目の加熱タンク20Aの排水タイミングを決定するため(ステップS04:No)、ステップS05に進む。排水タイミング決定部71は、次の式(1)の通り、蒸気発生の開始時刻tから、排水周期Tの一サイクルと同じ時間T経過後の時刻を排水開始時刻tnstartとして決定する(ステップS05)。
nstart=t+T … (1)
【0082】
また、次の式(2)の通り、排水開始時刻tnstartから排水時間T経過後の時刻を、排水終了時刻tnendとして決定する(ステップS06)。
nend=tnstart+T …(2)
【0083】
排水タイミング決定部71は、決定した加熱タンク20Aの排水開始時刻tnstartと排水終了時刻tnendを、制御部50Aの記憶部75に一時的に記憶させる。
【0084】
排水タイミング決定部71は、n=n+1の加算処理を行い(ステップS07)、ステップS03に戻って、排水順序情報Oを参照して、排水順序が2番目の加熱タンク20Bの排水タイミングを決定する。
【0085】
2番目以降(ステップS04:Yes)の加熱タンクについては、順序が一つ前の加熱タンクの排水タイミングに排水時間差Tdifを設けた排水タイミングを決定する。
【0086】
具体的には、排水タイミング決定部71は、次の式(3)の通り、前の排水順序の加熱タンク20Aの排水開始時間t(n−1)startから排水時間差Tdif経過後の時刻を、加熱タンク20Bの排水開始時刻tnstartとする(ステップS08)。
nstart=t(n−1)start+Tdif … (3)
【0087】
また、次の式(4)の通り、加熱タンク20Bの排水開始時刻tnstartから排水時間T経過後の時刻を、排水終了時刻tnendとして決定する(ステップS09)。
nend=tnstart+T …(4)
【0088】
排水タイミング決定部71は、決定した加熱タンク20Bの排水開始時刻tnstartと排水終了時刻tnendを、記憶部75に一時的に記憶させる。
【0089】
排水タイミング決定部71は、図8に示す通り、排水タイミングを決定した加熱タンクの排水順序が総数Nに至っていない場合は(ステップS10:No)、n=n+1の加算処理を行い(ステップS11)、ステップS03に戻り、さらに次の排水順序の加熱タンクの排水タイミングも順次決定していく。本実施形態では、加熱タンクの総数Nは2で次の排水順序の加熱タンクは無いので(ステップS10:Yes)、加熱タンク20Bの排水タイミングを決定したところで、出力部72が、決定した各加熱タンクの排水開始及び排水終了の時刻を含む開閉制御信号S1を生成する。加熱タンク20Aに対する開閉制御信号S1は、加熱タンク20Aの排水弁4に出力する(ステップS12)。
【0090】
また、決定した各加熱タンク20Bの排水開始及び排水終了の時刻を含む開閉制御信号S1を、加湿装置100Bに送信する(ステップS13)。加湿装置100Bの排水制御部70Bは、受信した開閉制御信号S1をそのまま加熱タンク20Bの排水弁4に入力する。
【0091】
加熱制御部60Aから発熱量Qの入力がある間は、加湿システム200の排水処理は続行される。排水周期Tの2サイクル目以降は、1サイクル目で算出した加熱タンク20A,20Bのそれぞれの排水タイミングに排水周期Tの1サイクルと同じ時間Tを順次加算していくことで、排水タイミングを決定する。
【0092】
[3.効果]
(1)本実施形態の加湿システム200は、複数の加湿装置100A,100Bが通信可能に接続されている。個々の加湿装置100A,100Bは、それぞれ加熱タンク20A,20Bを備え、各加熱タンク20A,20Bには、加熱体21、給水タンク3、排水管13が設けられている。加湿装置100Aの制御部50Aが、加湿装置100A,100B双方の排水制御部として作用する。すなわち、制御部50Aの排水制御部50Aが、加湿装置100Aの排水開始タイミングを、加湿装置100Bの排水開始タイミングと異なるように排水タイミングを決定し、加湿装置100Bの制御部50Bにも送信する。
【0093】
複数の加湿装置から加湿システム200を構成することで、大容量の加湿を可能にすることができる。しかしながら、複数の加湿装置において同時に排水が行われてしまうと、加湿性能が一時的に大きく低下する可能性もあった。しかしながら、本実施形態のように、1つの加湿装置100Aの排水開始タイミングを、その他の加湿装置100Bの排水開始タイミングと異なることで、それぞれの加熱タンク20A,20Bの水温の最下降点をずらすことができる。このため、一斉排水による加湿量の大きな低下を防ぐことができ、加湿性能に優れ、信頼性の高い加湿装置を提供することができる。
【0094】
(2)排水制御部7は、加湿システム1が3以上の加湿装置を備える場合は、個々の加湿装置に2以上の加熱タンクを備える場合に、全ての加熱タンクの排水開始タイミングを互いに異ならせるように排水弁4を制御しても良い。これによって、排水後の給水による水温低下によって加湿量が低下する時間帯をより効率良く分散させることができ、加湿性能を向上させることができる。
【0095】
(3)排水制御部7は、各加湿装置が備える加熱タンク20A,20Bの排水開始から排水終了までの排水時間Tが重複しないように排水弁4を制御しても良い。これによって、排水後の給水による水温低下によって加湿量が低下する時間帯をより効率良く分散させることができ、加湿性能を向上させることができる。
【0096】
[その他の実施形態]
本発明は上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を適宜変形することができる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。例えば、上述の実施形態に示される構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0097】
加湿装置1あるいは加湿システム200に備えられている複数の加熱タンクの排水タイミングは、全てを異ならせる必要は無く、例えば、多数の加熱タンクを有する場合等には、一定数ごとにグループ分けして、同じグループ内の加熱タンク又は加湿装置は同じ排水開始タイミングで制御しても良い。
【0098】
上述の実施形態は、ヒータ等の加熱体を加熱タンク内に設置し、その加熱体が発熱して水を加熱するものを使用したが、間接式の加湿装置を用いても良い。間接式の加湿装置は、加熱タンク内部に内部中空の加熱コイルを配設して、外部機器のボイラ等で発生した蒸気を加熱コイル内部に導入し、この蒸気により水を加熱する。この場合は、供給される蒸気量により加湿装置の蒸気発生量が定まるため、制御部5の加熱制御部6は省いても良い。
【0099】
上述の実施形態では、湿度検出装置9が送信する湿度情報Hに必要加湿量の指令値が含まれている場合を説明したが、湿度情報Hには必要加湿量は含めずに、加湿装置1の制御部5が、湿度検出装置9が検出した湿度から必要加湿量の算出を行うようにしても良い。
【0100】
上述の実施形態では、排水時間Tは上限蒸気発生量に対応する必要排水量を排水するのに必要な時間の一定値としたが、必要加湿量に応じて排水時間を可変としても良い。例えば、加湿対象空間の湿度が比較的高く、加湿装置1を最大稼動時の半分の蒸気発生量で運転するような場合には、排水時間も半分としても良い。あるいは、排水時間、すなわち排水弁4の開放時間は一定として、代わりに排水弁4の開度を調節して排水速度(L/s)を変更し、排水量を制御するようにしても良い。
【0101】
加湿装置1の各構成は、上述の実施形態で説明したものに限られない。例えば、加熱タンク2の形状は、筒状に限られず、箱状や球状等、内部に水を貯留することができ、加熱体21を配設できるものであれば、どのような形のものでもよい。
【0102】
給水タンク3の水位制御には、ボールタップの給水栓を用いる例を説明したが、これに限られない。例えば、フロートスイッチでも良い。
【符号の説明】
【0103】
1,100A,100B 加湿装置
200 加湿システム
2A,2B 加熱タンク
3 給水タンク
4 排水弁
5,50A,50B 制御部
6,60A,60B 加熱制御部
7,70A,70B 排水制御部
8 通信装置
9 湿度検出装置
11 補給水管
12 均圧管
13 排水管
21 加熱体
22 蒸気孔
23 ホース
3 給水タンク
31 自動給水栓
71 排水タイミング決定部
72 出力部
75 記憶部
76 計時部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8