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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-219826(P2015-219826A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】紙幣処理機
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20151110BHJP
【FI】
   G07D9/00 403D
   G07D9/00 403B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-104545(P2014-104545)
(22)【出願日】2014年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】萩原 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】中司 康貴
【テーマコード(参考)】
3E040
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040AA08
3E040BA06
3E040DA05
3E040FA03
3E040FA10
(57)【要約】
【課題】いずれの処理において回収した硬貨であるかを特定可能な紙幣処理機の提供。
【解決手段】投入開口部19,59を介して投入された紙幣Sが端縁部を底部15に突き当てて載置される紙幣投入口11と、投入開口部19,59を開閉可能なシャッタ65と、を有し、底部15に設けられて紙幣Sの進入を規制しつつ硬貨Cの進入を許容する底部開口部41と、シャッタ65の閉作動の異常の有無を検知する閉作動異常検知手段と、を備え、底部開口部41に進入した硬貨Cがシャッタ65に当接してシャッタ65の閉作動を阻害する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入開口部を介して投入された紙幣が端縁部を底部に突き当てて載置される紙幣投入口と、
前記投入開口部を開閉可能なシャッタと、
を有する紙幣処理機であって、
前記底部に設けられて紙幣の進入を規制しつつ硬貨の進入を許容する底部開口部と、
前記シャッタの閉作動の異常の有無を検知する閉作動異常検知手段と、
を備え、
前記底部開口部に進入した硬貨が前記シャッタに当接して該シャッタの閉作動を阻害することを特徴とする紙幣処理機。
【請求項2】
前記シャッタは、開状態にあるとき前記紙幣投入口の下方に位置し、開状態から前記紙幣投入口を回り込み前記紙幣投入口の上側に移動して前記投入開口部を閉塞する閉状態となり、
前記シャッタには、開状態にあるとき立ち上がる立壁部が設けられており、
開状態にある前記シャッタの閉作動方向における前記立壁部よりも下流側に前記立壁部の進入を許容しつつ硬貨の進入を規制する規制壁部を設け、
前記底部開口部は進入した硬貨を開状態にある前記シャッタの前記立壁部と前記規制壁部との間に送り込むことを特徴とする請求項1記載の紙幣処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣処理機において、紙幣が投入される投入口から硬貨等の異物を落下させて回収するものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。このような紙幣処理機では、投入口から異物を排除できることから、投入口において生じるジャムを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−124939号公報
【特許文献2】特開2006−65435号公報
【特許文献3】特公平5−85072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の紙幣処理機では、投入口から排除した硬貨等の異物を容器に回収するようになっている。このように硬貨等の異物を容器に回収するものでは、回収された異物が硬貨であった場合に、いずれの処理において回収した硬貨であるかを特定できなくなってしまう可能性があった。
【0005】
したがって、本発明は、いずれの処理において回収した硬貨であるかを特定可能な紙幣処理機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、投入開口部を介して投入された紙幣が端縁部を底部に突き当てて載置される紙幣投入口と、前記投入開口部を開閉可能なシャッタと、を有する紙幣処理機であって、前記底部に設けられて紙幣の進入を規制しつつ硬貨の進入を許容する底部開口部と、前記シャッタの閉作動の異常の有無を検知する閉作動異常検知手段と、を備え、前記底部開口部に進入した硬貨が前記シャッタに当接して該シャッタの閉作動を阻害することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記シャッタは、開状態にあるとき前記紙幣投入口の下方に位置し、開状態から前記紙幣投入口を回り込み前記紙幣投入口の上側に移動して前記投入開口部を閉塞する閉状態となり、前記シャッタには、開状態にあるとき立ち上がる立壁部が設けられており、開状態にある前記シャッタの閉作動方向における前記立壁部よりも下流側に前記立壁部の進入を許容しつつ硬貨の進入を規制する規制壁部を設け、前記底部開口部は進入した硬貨を開状態にある前記シャッタの前記立壁部と前記規制壁部との間に送り込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、一の処理を行うためシャッタが開状態となっている投入開口部を介して紙幣投入口に紙幣が投入されると、この紙幣に硬貨が混入している場合には、紙幣投入口の底部に設けられた底部開口部に硬貨が進入することになる。そして、この一の処理においてシャッタを閉作動させると、この硬貨がシャッタに当接してその閉作動を阻害することになり、これにより生じるシャッタの閉作動の異常を、閉作動異常検知手段が検知することになる。よって、一の処理においてシャッタの閉作動に異常が生じ、その際にシャッタの閉作動を阻害している硬貨がある場合には、この硬貨をこの一の処理において混入した硬貨であると特定できる。したがって、いずれの処理において回収した硬貨であるかを特定可能となる。しかも、混入した硬貨がシャッタに当接してその閉作動を阻害することから、混入した硬貨があることを簡素な構造で検知することができる上、混入した硬貨を取り除かなければ一の処理ができなくなって硬貨の回収忘れを防止できる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、底部開口部が開状態にあるシャッタの立壁部と規制壁部との間に硬貨を送り込むと、シャッタの閉作動で立壁部が規制壁部側に移動して硬貨を規制壁部側に押圧することになり、規制壁部が硬貨の進入を規制することでシャッタの閉作動を阻害する。よって、混入した硬貨があることをより簡素な構造で検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の紙幣入金口周辺を示す側断面図であって、シャッタの開状態を示すものである。
図2】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の要部の制御系ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の紙幣入金口の底部を図1のA方向に見た図である。
図4】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の紙幣入金口周辺を示す側断面図であって、シャッタの閉状態を示すものである。
図5】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機のシャッタの立壁部と規制壁部とを図1のB方向に見た図である。
図6】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の紙幣入金口周辺を示す側断面図であって、硬貨混入時のシャッタの閉阻害状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る紙幣処理機を図面を参照して以下に説明する。なお、図1図4図6も同様)において矢印Xの方向が、操作を行う操作者側すなわち前方(機体正面側)を示す。また、以下において特に記載のない場合、「前」は操作者側、「後」は操作者に対し反対側であり、左右は、操作者側から見たときの左右である。
【0012】
本実施形態に係る紙幣処理機は、具体的には紙幣入出金機であり、紙幣の入金、収納、回収および出金等、紙幣に関する各処理を行うものである。図1は、本実施形態に係る紙幣処理機の紙幣投入口11を示している。紙幣投入口11は、機体の上部の前部位置に設けられるものであり、上方かつ前方に斜めに開口して設けられている。
【0013】
紙幣投入口11は、その奥側にあって水平面に対し後側を上側にするように傾斜して配置される底部15と、この底部15の左右両端縁部から鉛直に沿って上方かつ前方に斜めに延出する一対(図1において一方のみ図示)の側壁部16と、底部15の後端縁部近傍から底部15にほぼ垂直をなして上方かつ前方に斜めに延出する後壁部17と、底部15の前端縁部から底部15にほぼ垂直をなして上方かつ前方に斜めに延出する前壁部18とを有している。紙幣投入口11は、底部15とは反対側が一対の側壁部16と後壁部17と前壁部18とで囲まれた機外に開口可能な投入開口部19となっている。
【0014】
紙幣投入口11には、底部15の後端縁部と後壁部17との間すなわち紙幣投入口11の後端部に、紙幣Sを機内に取り込むための取込口20が形成されている。また、紙幣投入口11内には、後壁部17および前壁部18と平行をなしてこれらの間を底部15に沿って移動するビルプレス22が設けられている。ビルプレス22は、図2に示すビルプレス駆動モータ23で駆動されて後壁部17と前壁部18との間を往復移動することになり、図1に示すように前壁部18に近接する状態が待機状態となっている。
【0015】
紙幣投入口11は、主として入金処理時に、紙幣Sが操作者により機外から投入される部分である。紙幣Sは基本的には複数枚が集積状態で長手方向を左右方向にした後下がりの姿勢で投入開口部19を介して紙幣投入口11に投入される。後下がりの姿勢で紙幣投入口11に投入された紙幣Sは、後側かつ下側に位置する端縁部を底部15に突き当てて底部15およびビルプレス22に載置される。つまり、紙幣投入口11は、機外から投入された紙幣Sを底部15に突当状態で載置させる。紙幣投入口11には、底部15に突き当てられて底部15およびビルプレス22に載置された紙幣Sを検知する光学透過型の紙幣検知センサ24が設けられている。
【0016】
紙幣投入口11には、取込口20の近傍位置に、紙幣投入口11に投入されビルプレス22で後壁部17側すなわち取込口20側に寄せられた紙幣Sを取込口20から機内に取り込む取込機構26が設けられている。この取込機構26は、左右方向に軸線を配置した状態で、後壁部17から一部が下方に突出するように設けられた蹴出ローラ27と、左右方向に軸線を配置した状態で取込口20の上側に配置された取込ローラ28と、左右方向に軸線を配置した状態で取込口20の下側に取込ローラ28と接触可能に配置された分離ローラ29と、これら蹴出ローラ27、取込ローラ28および分離ローラ29を回転駆動する図2に示す取込駆動モータ30とを有している。
【0017】
ビルプレス22は、紙幣投入口11に投入された紙幣Sを蹴出ローラ27に押し付ける。蹴出ローラ27は、下部が後方に移動するように回転するもので、紙幣投入口11に投入された紙幣Sのうち最も上側の一枚に接触してこれを取込口20の方向に蹴り出すものである。取込ローラ28は、蹴出ローラ27と同じ方向に回転するもので、蹴出ローラ27で蹴り出された紙幣Sをその後側に設けられた入金側搬送路35に向け送り出すものである。分離ローラ29は、取込ローラ28と同じ方向に回転しまたは停止することにより、二枚以上の紙幣Sが取込ローラ28との間に取り込まれるのを防止し、その結果、紙幣Sを一枚ずつに分離する。このような取込機構26により、紙幣投入口11に投入された紙幣Sは、一枚ずつに分離されて後方の入金側搬送路35へと送り込まれる。つまり、取込機構26は、紙幣投入口11内の紙幣Sを紙幣投入口11の後端部に設けられた取込口20から機内に取り込むものである。
【0018】
底部15には、図3に示すように、紙幣投入口11に投入された状態の紙幣Sの左右方向の幅よりも狭い幅であって、最大径の硬貨C(500円硬貨)の直径よりも広い幅の底部開口部41が左右方向に並んで形成されている。その結果、底部15は隣り合う底部開口部41と底部開口部41との間に配置される紙幣支持部42が左右方向に複数並んで形成されている。底部開口部41は、紙幣投入口11の底部15に設けられて紙幣Sの進入を規制しつつ硬貨Cの進入を許容する。紙幣支持部42は、図示は略すが左右方向の中央の位置が両側よりも高くなるように山型形状をなしており、混入した硬貨Cが接触するとこれを底部開口部41に案内する。
【0019】
図1に示すように、紙幣投入口11の前側には、前壁部18の前端部から前壁部18の前側にて下方に延出するガイド壁部51と、ガイド壁部51の後端部から鉛直上方に延出する規制壁部52と、規制壁部52の上端縁部から後ろ上がりに延出する傾斜壁部53と、が設けられている。ガイド壁部51は後側に中心を有する円弧状をなしており、規制壁部52は左右方向に広がり、傾斜壁部53は、底部15と同一平面をなすように平坦な形状をなしている。
【0020】
ガイド壁部51の前側にはガイド壁部51を覆うカバー部材55が設けられている。カバー部材55は一対の側壁部16の底部15とは反対側の端縁部をも覆っている。カバー部材55は、投入開口部19の上端部よりも上側から一対の側壁部16およびガイド壁部51を覆う湾曲カバー部56と、傾斜壁部53および底部15の前部の下側を覆う水平に配置される水平カバー部57と、水平カバー部57の後端縁部から上方に延出する上方延出部58とを有している。カバー部材55には、投入開口部19の位置に投入開口部59が形成されている。
【0021】
投入開口部19と投入開口部59との間には、図1および図4に示すように、これらを開閉可能なシャッタ65が設けられている。このシャッタ65は、カバー部材55と一対の側壁部16およびガイド壁部51との間の空間に配置され、これらに案内されて摺動する。シャッタ65は、図1に示す開状態にあるとき紙幣投入口11の鉛直下方に位置し、この開状態から紙幣投入口11を前方に回り込み紙幣投入口11の上側に移動して図4に示すように投入開口部19および投入開口部59を閉塞する閉状態となる。シャッタ65は、合成樹脂製であり、投入開口部19,59を開閉する可撓性のあるシャッタ本体部66と、図1に示すようにシャッタ本体部66が投入開口部19,59を開く開状態にあるときにシャッタ本体部66の後端縁部から上方に立ち上がる立壁部67とを有している。立壁部67は左右方向に広がっている。
【0022】
シャッタ65は、投入開口部19,59を開く開状態にあるときには、立壁部67が上方延出部58の直前位置に位置しており、シャッタ本体部66の後部が水平カバー部57の上側で水平に配置されている。この開状態にあるシャッタ65の閉作動方向における立壁部67よりも下流側に規制壁部52が設けられており、このときの立壁部67と規制壁部52との間には、最大径の硬貨C(500円硬貨)の直径よりも広い隙間が形成されている。
【0023】
この開状態から図2に示すシャッタ駆動モータ71で駆動されると、シャッタ65は、シャッタ本体部66がカバー部材55とガイド壁部51との間を通り、続いてカバー部材55と一対の側壁部16との間を通って、図4に示すように投入開口部19,59を閉塞する。ここで、シャッタ65の立壁部67は、図5に示すように凹部68と凸部69とが左右方向に交互に並べられた櫛歯状をなしており、規制壁部52は、立壁部67が通過可能となるように、立壁部67の凸部69を入り込ませる凹部73と立壁部67の凹部68に入り込む凸部74とが、左右方向に交互に並べられた櫛歯状をなしている。図4に示すガイド壁部51にも各凹部73に続く溝部75が形成されており、溝部75を立壁部67の凸部69が通過する。規制壁部52は、このように立壁部67の進入を許容しつつ、図5に示すように硬貨Cの進入を規制する。
【0024】
図1に示すように、分離ローラ29の前側かつ底部15の下方には、分離ローラ29の前端部から鉛直下方に延出する下方延出部81と下方延出部81の下端縁部から前下がりに延出する傾斜延出部82とを有するガイド部材83が設けられている。傾斜延出部82の下端部は、開状態にあるシャッタ65の立壁部67の真上位置に位置している。ガイド部材83は、底部開口部41を通過した硬貨Cを、開状態にあるシャッタ65の立壁部67と規制壁部52との間のシャッタ本体部66上に案内する。言い換えれば、ガイド部材83が設けられていることにより、底部開口部41は、進入した硬貨Cを開状態にあるシャッタ65の立壁部67と規制壁部52との間に送り込む。底部開口部41に進入した硬貨Cは、シャッタ65の立壁部67と規制壁部52とに当接しこれらに挟まれることになってシャッタ65の閉作動を阻害する。
【0025】
機体の側部には、開閉可能な異物回収扉84が設けられており、異物回収扉84は、シャッタ65の立壁部67と規制壁部52との間のシャッタ本体部66上の硬貨Cを取り出す際に開放される。
【0026】
本実施形態に係る紙幣処理機は、シャッタ65が図4に示す閉状態にあるか否かを検知する図2に示す閉検知センサ85(閉作動異常検知手段)と、シャッタ65が図1に示す開状態にあるか否かを検知する図2に示す開検知センサ86(閉作動異常検知手段)と、これらおよび紙幣検知センサ24の検知結果に基づいてビルプレス駆動モータ23、取込駆動モータ30およびシャッタ駆動モータ71等の駆動を制御する制御部87(閉作動異常検知手段)と、操作者の操作入力を受け付ける操作部88と、操作者に向けて表示を行う表示部89とが設けられている。
【0027】
制御部87は、シャッタ65が開状態にあることが開検知センサ86により検知された状態からシャッタ駆動モータ71の閉方向の駆動を開始して所定時間経過してもシャッタ65が閉状態になったことが閉検知センサ85により検知されないと、シャッタ65の閉作動の異常有りを検知する。
【0028】
制御部87は、逆に、シャッタ65が開状態にあることが開検知センサ86により検知された状態からシャッタ駆動モータ71の閉方向の駆動を開始して所定時間経過する前にシャッタ65が閉状態になったことが閉検知センサ85により検知されると、シャッタ65の閉作動の異常無しを検知する。つまり、閉検知センサ85、開検知センサ86および制御部87が、シャッタ65の閉作動の異常の有無を検知する。
【0029】
ここで、シャッタ65の閉作動の異常の有無の検知は、上記以外であっても良い。例えば、シャッタ駆動モータ71の閉方向の駆動を開始してから、シャッタ65が閉状態になったことが閉検知センサ85により検知される前に、シャッタ駆動モータ71の駆動電流が所定値以上になると、制御部87がシャッタ65の閉作動の異常有りを検知し、シャッタ駆動モータ71の閉方向の駆動を開始してから、シャッタ65が閉状態になったことが閉検知センサ85により検知されるまで、シャッタ駆動モータ71の駆動電流が所定値以上になることがなければ、制御部87がシャッタ65の閉作動の異常無しを検知するようにしても良い。
【0030】
次に、本実施形態の紙幣処理機の作動について説明する。
【0031】
操作部88に例えば入金処理の選択操作が入力されると、制御部87は、図4に示すようにシャッタ65を閉じた待機状態から、図2に示すシャッタ駆動モータ71を駆動してシャッタ65を開作動させる。シャッタ65が開検知センサ86で検知されると、制御部87は、シャッタ駆動モータ71を停止させる。すると、シャッタ65は、図1に示すように、投入開口部19,59を開いた状態になる。この状態で、操作者は紙幣Sを投入開口部19,59を介して紙幣投入口11内へ投入する。このとき、投入された紙幣Sに硬貨Cが混入していると、混入している硬貨Cは自重により、底部開口部41を通過し、ガイド部材83で案内される等して開状態にあるシャッタ65の立壁部67と規制壁部52との間のシャッタ本体部66上に至る。
【0032】
上記のように紙幣Sが紙幣投入口11内へ投入されると、紙幣検知センサ24が紙幣Sを検知することになる。紙幣検知センサ24が紙幣Sを検知すると、制御部87は、入金処理の実行操作を待機する状態となり、入金処理の実行操作を促す表示を表示部89に表示させる。この状態で操作部88に入金処理の実行操作が入力されると、制御部87は、シャッタ駆動モータ71を駆動してシャッタ65の投入開口部19,59を閉じる閉作動を開始させる。
【0033】
このとき、図1に示すように、立壁部67と規制壁部52との間のシャッタ本体部66上に硬貨Cが存在していると、図6に示すように、立壁部67が硬貨Cを規制壁部52との間に挟んだ状態で停止することになる。よって、シャッタ65が開状態にあることが開検知センサ86により検知された状態からシャッタ駆動モータ71の閉方向の駆動を開始して所定時間経過してもシャッタ65が閉状態になったことが閉検知センサ85により検知されない状態が生じる。これにより、制御部87は、シャッタ65の閉作動の異常有りを検知する。すると、制御部87は、シャッタ駆動モータ71の開方向の駆動を開始して開検知センサ86でシャッタ65の開状態が検知されると、シャッタ駆動モータ71を停止させて、表示部89に異物除去を促す表示を表示させるとともに、入金処理の実行操作を待機する状態となる。
【0034】
この表示を見て、操作者は、機体の側部の異物回収扉84を開き、図1に示すようにシャッタ65の立壁部67と規制壁部52との間のシャッタ本体部66上にある硬貨Cを取り出す。そして、再度、操作部88に入金処理の実行操作が入力されると、制御部87は、シャッタ駆動モータ71を駆動してシャッタ65の投入開口部19,59を閉じる閉作動を開始させる。
【0035】
また、シャッタ駆動モータ71を駆動してシャッタ65の投入開口部19,59を閉じる閉作動を開始させた際に、立壁部67と規制壁部52との間のシャッタ本体部66上に硬貨Cが存在しなければ、立壁部67が規制壁部52を通過した後、図4に示すようにシャッタ本体部66が投入開口部19,59を閉じることになる。このときは、シャッタ65が開状態にあることが開検知センサ86により検知された状態からシャッタ駆動モータ71の閉方向の駆動を開始して所定時間経過する前にシャッタ65が閉状態になったことが閉検知センサ85により検知される。すると、制御部87は、シャッタ駆動モータ71を停止させるとともに、ビルプレス駆動モータ23を駆動して、ビルプレス22を後壁部17側に移動させて、紙幣Sを蹴出ローラ27に押し付ける。次に、制御部87は、取込駆動モータ30を駆動して、蹴出ローラ27により最も後側の紙幣Sから順に取込口20の方向に蹴り出させ、取込ローラ28と分離ローラ29とで紙幣Sを一枚ずつに分離して、後方の入金側搬送路35へと送り込み、入金側搬送路35が図示略の入金処理機構に紙幣Sを搬送し所定の入金処理を行わせることになる。
【0036】
以上により、紙幣Sとともに混入した硬貨Cがある場合には、この硬貨Cを取り除くまで紙幣Sの機内への取り込みが行われることはなく、よって、この硬貨Cが現在紙幣投入口11に投入されている紙幣Sとともに投入されたものであることが明らかになる。
【0037】
以上に述べた本実施形態に係る紙幣処理機によれば、一の処理を行うためシャッタ65が開状態となっている紙幣投入口11に紙幣Sが投入されると、図1に示すように、紙幣Sに硬貨Cが混入している場合には、底部15に設けられた底部開口部41に硬貨Cが進入することになる。そして、この一の処理においてシャッタ65を閉作動させると、この硬貨Cがシャッタ65に当接してその閉作動を阻害することになり、これにより生じるシャッタ65の閉作動の異常を、閉検知センサ85、開検知センサ86および制御部87が検知することになる。よって、一の処理においてシャッタ65の閉作動に異常が生じ、その際にシャッタ65の閉作動を阻害している硬貨Cがある場合には、この硬貨Cをこの一の処理において混入した硬貨Cであると特定できる。したがって、いずれの処理において回収した硬貨Cであるかを特定可能となる。しかも、混入した硬貨がシャッタ65に当接してその閉作動を阻害することから、混入した硬貨Cがあることを簡素な構造で検知することができる上、混入した硬貨Cを取り除かなければ一の処理ができなくなって硬貨Cの回収忘れを防止できる。
【0038】
また、底部開口部41が、開状態にあるシャッタ65の立壁部67と規制壁部52との間に硬貨Cを送り込むと、シャッタ65の閉作動で立壁部67が規制壁部52側に移動して硬貨Cを規制壁部52側に押圧することになり、規制壁部52が硬貨Cの進入を規制することでシャッタ65の閉作動を阻害する。よって、混入した硬貨Cがあることをより簡素な構造で検知することができる。
【0039】
以上の実施形態では、硬貨Cが紙幣Sに混入している場合を例にとり説明したが、硬貨C以外のクリップ等の異物が紙幣Sに混入している場合も、異物は同様に底部開口部41から開状態にあるシャッタ65の立壁部67と規制壁部52との間に落下することになる。よって、硬貨C以外の異物が紙幣Sに混入している場合も、硬貨Cの場合と同様に、異物がシャッタ65の閉作動を阻害することになる。
【符号の説明】
【0040】
11 紙幣投入口
15 底部
19 投入開口部
41 底部開口部
52 規制壁部
59 投入開口部
65 シャッタ
67 立壁部
85 閉検知センサ(閉作動異常検知手段)
86 開検知センサ(閉作動異常検知手段)
87 制御部(閉作動異常検知手段)
C 硬貨
S 紙幣
図1
図2
図3
図4
図5
図6