【解決手段】電線Wの端末に雌端子20と共に固定され、雌端子20が雌ハウジング40のキャビティ44に後方から挿入されることに伴って拡径キャビティ45に嵌合されるゴム栓30を備えた雌コネクタ10であって、ゴム栓30は、電線Wに外嵌されるゴム栓本体31と、ゴム栓本体31の外周面に周設され、拡径キャビティ45の内周壁45Aに密着する外周リップ34と、ゴム栓本体31の外周面に突設された環状突出部36とを有しており、雌ハウジング40は、拡径キャビティ45の内周壁45Aに突設され、環状突出部36を押圧することで、ゴム栓本体31における環状突出部36が配された部分の弾性反発力を高める押圧リブ50を有しているところに特徴を有する。
電線の端末に端子金具と共に固定され、前記端子金具がハウジングに設けられたキャビティに後方から挿入されることに伴い同キャビティにおける前記端子金具の後方に嵌合されるゴム栓を備えた防水コネクタであって、
前記ゴム栓は、前記電線に外嵌されるゴム栓本体と、
前記ゴム栓本体の外周面に突出して周設され、前記キャビティの内周壁に弾性的に密着するリップと、
前記ゴム栓本体の外周面に突設され、前記リップに沿って配される突出部とを有しており、
前記ハウジングは、前記キャビティの内周壁に突設され、前記ゴム栓が前記キャビティの正規の位置に至った際に、前記突出部を押圧することで、前記ゴム栓本体における前記突出部が配された部分の弾性反発力を前記ゴム栓本体における前記リップが配された部分の弾性反発力よりも高くする押圧部を有している防水コネクタ。
前記ゴム栓において前記突出部が設けられた部分の外径寸法は、前記キャビティの内径寸法よりも小径に形成されている請求項1から請求項3の何れか一項に記載の防水コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このゴム栓は、低硬度と高硬度との2種類のゴム材によって二色成形して形成されているから、1種類のゴム材によって成形する場合に比べて、成形装置が高価になったり、作業工程が増加したりするなど、製造コストが高くなってしまう。
そうかといって、ゴム栓全体を高硬度のゴム材によって成形すると、シール性が低下してしまう。また、ゴム栓全体を低硬度のゴム材によって成形すると、電線からの振動によるゴム栓のキャビティ内でのがたつきを抑制することができず、振動が端子金具に伝わることで、端子金具が相手方端子と摺動し、接点部分が摩耗してしまう。
【0005】
本明細書では、キャビティ内におけるゴム栓および端子金具のがたつきを抑制しつつ、製造コストを低減する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、電線の端末に端子金具と共に固定され、前記端子金具がハウジングに設けられたキャビティに後方から挿入されることに伴い同キャビティにおける前記端子金具の後方に嵌合されるゴム栓を備えた防水コネクタであって、前記ゴム栓は、前記電線に外嵌されるゴム栓本体と、前記ゴム栓本体の外周面に突出して周設され、前記キャビティの内周壁に弾性的に密着するリップと、前記ゴム栓本体の外周面に突設され、前記リップに沿って配される突出部とを有しており、前記ハウジングは、前記キャビティの内周壁に突設され、前記ゴム栓が前記キャビティの正規の位置に至った際に、前記突出部を押圧することで、前記ゴム栓本体における前記突出部が配された部分の弾性反発力を、前記ゴム栓本体における前記リップが配された部分の弾性反発力よりも高くする押圧部を有しているところに特徴を有する。
【0007】
このような構成によると、押圧部によって突出部を押圧することで、ゴム栓本体における突出部が配された部分の弾性反発力が、リップが配された部分の弾性反発力よりも高くなって、突出部が配された部分のゴム栓本体がハウジングに対してしっかりと固定された状態になるから、電線からの振動によるゴム栓のがたつきを防ぐことができる。すなわち、1種類のゴム材によって形成されたゴム栓によって、リップのシール性を確保しつつ、端子金具が振動することを防ぐことができるから、製造コストを低減することができる。
【0008】
本明細書によって開示される技術の態様として、以下の構成が好ましい。
前記突出部は、前記リップよりも前記端子金具側に配されている構成としてもよい。
このような構成によると、端子金具の近くでゴム栓本体がハウジングに対して固定され、端子金具の近くで振動を抑制することができるから、例えば、突出部がリップよりも後方に配されている場合に比べて、端子金具が振動することをさらに抑制することができる。
【0009】
前記押圧部の後端部には、前方に向かうほど前記キャビティの軸心に向けて傾斜するガイド部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、ゴム栓がキャビティの正規の位置に至る際に、突出部がガイド部によって案内されて押圧部に乗り上げるから、例えば、ガイド部がないものに比べて、正規の位置までゴム栓を滑らかに挿入することができる。
【0010】
前記ゴム栓において前記突出部が設けられた部分の外径寸法は、前記キャビティの内径寸法よりも小径に形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、キャビティ内にゴム栓を嵌合させる際に、キャビティの内壁と突出部とが干渉することがないから、押圧部によって突出部が押圧される直前までのゴム栓の挿入抵抗を低減することができる。
【0011】
前記突出部は、前記ゴム栓本体の外周面に全周に亘って形成されており、前記押圧部は、前記キャビティに沿って延びるリブ状に形成され、前記キャビティの内周壁に周方向に複数配されている構成としてもよい。
このような構成によると、押圧部が突出部を押圧する領域が少なくなるから、ゴム栓がキャビティの正規の位置に至る際のゴム栓の挿入抵抗を低減することができる。
【0012】
前記突出部は、前記ゴム栓本体の外周面に全周に亘って形成されており、前記押圧部は、前記キャビティの内周壁に全周に亘って形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、押圧部が突出部を全周に亘って押圧するから、突出部が配された部分のゴム栓本体をハウジングに対して強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示される技術によれば、キャビティ内におけるゴム栓および端子金具のがたつきを抑制しつつ、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1について
図1から
図4を参照して説明する。
本実施形態は、雄コネクタ60に嵌合される防水タイプの雌コネクタ10を例示している。なお、以下の説明において、上下方向とは
図1における上下方向を基準とする。また、前後方向とは
図2における左右方向を基準とし、両コネクタ10,60の嵌合方向を基準として互いに嵌合する側を前側として説明する。
【0016】
雄コネクタ60は、
図1から
図3に示すように、図示しない機器と一体に形成されており、合成樹脂製の雄ハウジング61と、雄ハウジング61に保持される一対の雄端子62とを備えて構成されている。雄ハウジング61は、前方に開口するフード状に形成されており、雄ハウジング61の上面には、上方に突出するロック突部63が形成されている。各雄端子62は平板状をなし、雄ハウジング61の奥壁から前方に突出した形態で上下に一対並んで保持されている。
【0017】
雌コネクタ10は、
図1から
図3に示すように、電線Wの端末に接続される一対の雌端子20と、電線Wに外嵌されて各雌端子20と共に固定されるゴム栓と、
一対の雌端子20と共にゴム栓30を収容する合成樹脂製の雌ハウジング40とを備えて構成されている。
【0018】
雌ハウジング40は、雌端子20を収容する端子収容部41の前半部分の周りにフード部42が形成された構成とされており、端子収容部41とフード部42との間に雄コネクタ60の雄ハウジング61が嵌合可能とされている。フード部42内における端子収容部41の外周面には環状のゴムリングRが嵌着されており、雄ハウジング61と雌ハウジング40とが嵌合すると、
図3に示すように、ゴムリングRによって端子収容部41の外周面と雄ハウジング61の内周面との間がシールされるようになっている。
【0019】
端子収容部41の上面には、
図1から
図3に示すように、弾性変位可能なロックアーム43が形成されており、雄ハウジング61と雌ハウジング40とが嵌合した際に、ロックアーム43と雄ハウジング61のロック突部63とが前後方向に係止することで雌ハウジング40と雄ハウジング61とが嵌合状態に保持されるようになっている。
【0020】
端子収容部41内には、雌端子20と共にゴム栓30を後方から収容する一対のキャビティ44が上下に並んで形成されている。各キャビティ44の前後方向略中央部よりも後部は、キャビティ44の前部よりもやや拡径された拡径キャビティ45とされており、拡径キャビティ45の後部には、雌端子20の後端部およびゴム栓30が収容されるようになっている。
【0021】
また、キャビティ44の底面44Aには、前方に向けて片持ち状に延出されたランス46が形成されており、このランス46は、ランス46の下方に設けられた撓み空間Sに向けて弾性変位可能とされている。ランス46は、雌端子20をキャビティ44内に挿入する際に、雌端子20に後方から押圧されることで撓み空間Sに向けて弾性変位し、雌端子20がキャビティ44の正規の位置に至ると、弾性復帰することで後述する雌端子20の係止孔21Aに嵌まり込み、雌端子20を雌ハウジング40内に抜け止めする。
【0022】
端子収容部41の前端部には、
図1および
図2に示すように、フロントリテーナ47が装着可能とされている。フロントリテーナ47は、撓み空間Sに前方から進入する弾性阻止片48と、ゴムリングRの前方に配される抜け止め部49とを備えて構成されている。端子収容部41にフロントリテーナ47が装着されると、弾性阻止片48が撓み空間Sに前方から進入してランス46の下方への弾性変位が防がれると共に、抜け止め部49が端子収容部41に装着されたゴムリングRを前方から抜け止めする。
【0023】
各雌端子20は、
図1から
図3に示すように、導電性に優れた金属板をプレス加工することにより形成されている。雌端子20は、角筒状をなす端子接続部21の後方に電線Wに接続される電線接続部22が設けられた形態をなしている。
端子接続部21内には、端子接続部21の前端下縁から後方に折り返された弾性接触片(図示せず)が形成されており、雌ハウジング40と雄ハウジング61とが嵌合すると、端子接続部21内に雄コネクタ60の雄端子62が端子収容部41の前端開口を通して挿入され、雄端子62に対して弾性接触片が弾性的に接触することにより、雌端子20と雄端子62とが電気的に接続される。また、端子接続部21の底板には、ランス46が下方から嵌まり込む係止孔21Aが底板を板厚方向に貫通して形成されている。
【0024】
電線Wは、芯線W1の外周が絶縁被覆W2によって覆われた構造とされている。
電線接続部22は、ワイヤバレル23と、ワイヤバレル23の後方に設けられたインシュレーションバレル24とを備えて構成されている。
ワイヤバレル23は、電線Wの端末において絶縁被覆W2を皮剥ぎして露出された芯線W1にかしめ圧着されている。
インシュレーションバレル24は、電線Wの絶縁被覆W2の端末に外嵌されたゴム栓30に巻き付けてかしめ圧着されることで、電線Wの端末にゴム栓30を固定している。
【0025】
ゴム栓30は、含油シリコン等の素材からなり、
図1から
図3に示すように、前後方向に長い円筒状のゴム栓本体31を有している。ゴム栓本体31は、端子収容部41における拡径キャビティ45内に後方から嵌合可能とされており、ゴム栓本体31内に電線Wの絶縁被覆W2が前後に挿通されている。
【0026】
ゴム栓本体31の前方には、雌端子20のインシュレーションバレル24が圧着される円筒状の端子圧着部32が連設されており、
図1に示すように、インシュレーションバレル24が圧着された状態の端子圧着部32の外径寸法は、ゴム栓本体31の外径寸法よりも小さく設定されている。また、端子圧着部32の前端縁には、端子圧着部32にかしめ圧着されたインシュレーションバレル24を抜け止めするフランジ33が周設されている。
【0027】
ゴム栓本体31の前後方向略中央部における外周面には、
図2および
図3に示すように、端子収容部41の拡径キャビティ45の内周壁45Aに対して弾性的に密着する外周リップ34が突出した形態で周設されている。外周リップ34は、断面山形状をなして全周に亘る環形に形成されており、前後に間隔を開けて2重に形成されている。ゴム栓30が拡径キャビティ45内に嵌合されると、各外周リップ34の頂点部分が拡径キャビティ45の内周壁45Aによって押し潰されて密着し、電線Wの外周面と拡径キャビティ45の内周壁45Aとの間がゴム栓30によってシールされる。
【0028】
ゴム栓本体31の後端部は、拡径キャビティ45の後端部に緊密に嵌合する大径部35とされている。この大径部35は外周リップ34の後方において拡径キャビティ45に対して緊密に嵌合することにより、ゴム栓30から後方に導出された電線Wが屈曲される際に、拡径キャビティ45の内周壁45Aと外周リップ34との間に隙間ができることを防止している。
【0029】
さて、ゴム栓本体31の外周面における端子圧着部32と外周リップ34との間には、
図1から
図3に示すように、全周に亘って外周リップ34に沿って配された環状突出部36が周設されている。環状突出部36の外径は、インシュレーションバレル24が圧着された端子圧着部32の外径寸法よりも大きく、かつ、端子収容部41における拡径キャビティ45の内周壁45Aとの間に僅かなクリアランスを有する大きさに設定されている。したがって、拡径キャビティ45内にゴム栓30を嵌合させる際に環状突出部36は、拡径キャビティ45の内周壁45Aと干渉することなく、滑らかに嵌合されるようになっている。
【0030】
一方、雌ハウジング40の端子収容部41における拡径キャビティ45の内周壁45Aには、
図1から
図4に示すように、ゴム栓30が拡径キャビティ45の正規の位置に至った際に、ゴム栓30の環状突出部36を径方向外側からゴム栓30の軸心に向けて押圧する押圧リブ50が周方向に複数(本実施形態では4つ)突設されている。
【0031】
図4に示すように、複数の押圧リブ50のうち、2つの押圧リブ50が上下に対向した形態で拡径キャビティ45における内周壁45Aの上下に形成されており、複数の押圧リブ50のうち、もう2つの押圧リブ50が上下に形成された押圧リブ50から周方向に90°ずれた左右の位置において左右に対向した形態で形成されている。
【0032】
各押圧リブ50は、
図1から
図3に示すように、キャビティ44の前後方向略中央部からゴム栓30の外周リップ34の手前まで直線状に延びた形態とされており、各押圧リブ50の突出寸法は、拡径キャビティ45の内周壁45Aからゴム栓本体31の外周面までの距離とほぼ同じに設定されている。したがって、環状突出部36が押圧リブ50によって押圧されて径方向内側に向けて押し潰される寸法は、外周リップ34よりも多くなっている。
【0033】
言い換えると、ゴム栓30が拡径キャビティ45の正規の位置に至ると、ゴム栓30の環状突出部36が上下左右の4方向から各押圧リブ50によって押圧され、環状突出部36が配された部分のゴム栓本体31の弾性反発力が、外周リップ34が配された部分のゴム栓本体31の弾性反発力よりも高くなることで、環状突出部36が配された部分のゴム栓本体31が雌ハウジング40に対してしっかりと固定されるようになっている。
【0034】
また、各押圧リブ50の後端部には、
図1から
図3に示すように、前方に向かうほど拡径キャビティ45の軸心に向けて平坦に傾斜するガイド部51が設けられている。したがって、ゴム栓30が拡径キャビティ45の正規の位置に至る際に、環状突出部36がガイド部51によって拡径キャビティ45の軸心に向けて案内されて各押圧リブ50に乗り上げるから、例えば、ガイド部がないものに比べて、正規の位置までゴム栓30を滑らかに挿入することができるようになっている。
【0035】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、雌コネクタ10の組み立て手順を簡単に説明すると共に、雌コネクタ10の作用および効果について説明する。
まず、電線Wにゴム栓30を先通しする。次に、電線Wの端末において絶縁被覆W2を皮剥ぎして芯線W1を露出させ、雌端子20の電線接続部22におけるワイヤバレル23を芯線W1にかしめ圧着すると共に、インシュレーションバレル24をゴム栓30の端子圧着部32にかしめ圧着する。これにより、電線Wの端末に、雌端子20とゴム栓30とが前後に並んで固定される。
【0036】
電線Wの端末に雌端子20とゴム栓30とが固定されたところで、雌ハウジング40のキャビティ44に雌端子20およびゴム栓30を後方から挿入する。
雌端子20がキャビティ44の正規の位置に至ると、
図2に示すように、ランス46が雌端子20の端子接続部21における係止孔21Aに嵌まり込んで抜け止めされる。続いて、端子収容部41にフロントリテーナ47を前方から装着することで、弾性阻止片48によってランス46の弾性変位が防がれると共に、端子収容部41に外嵌されたゴムリングRが抜け止め部49によって前方から抜け止めされる。
【0037】
また、雌端子20が正規の位置まで挿入されたことに伴い、ゴム栓30が拡径キャビティ45内に嵌合される。
ここで、各外周リップ34は、拡径キャビティ45の内周壁45Aによって外周リップ34の山形状の頂点部分が押し潰されて密着することで、電線Wの外周面と拡径キャビティ45の内周壁45Aとの間をシールする。また、ゴム栓30の大径部35が拡径キャビティ45に対して緊密に嵌合することで、例えば、ゴム栓30から後方に導出された電線Wが屈曲される際に、拡径キャビティ45の内周壁45Aと外周リップ34との間に隙間が生じることが防止される。
【0038】
一方、環状突出部36は、ゴム栓30を拡径キャビティ45に挿入する過程において、押圧リブ50に至るまでは、拡径キャビティ45の内周壁45Aと干渉することなく滑らかに嵌合される。そして、環状突出部36が押圧リブ50の位置に至ると、環状突出部36が押圧リブ50のガイド部51によって拡径キャビティ45の軸心に向けて案内され、環状突出部36が各押圧リブ50に乗り上げる。このままさらに、ゴム栓30を拡径キャビティ45に挿入し、拡径キャビティ45内においてゴム栓30が正規の位置に至ると、環状突出部36が上下左右の4方向から各押圧リブ50によって径方向内側に向かって押圧される。これにより、環状突出部36が配された部分のゴム栓本体31の弾性反発力が、外周リップ34が配された部分のゴム栓本体31の弾性反発力よりも高くなり、環状突出部36が配された部分のゴム栓本体31が雌ハウジング40に対してしっかりと固定された状態になる。以上のようにして雌コネクタ10が完成する。
【0039】
次に、雌コネクタ10を雄コネクタ60に嵌合させる際には、
図2に示すように、雄コネクタ60に対して雌コネクタ10を向かい合わせに配置し、雄コネクタ60に対して雌コネクタ10を嵌合させる。両コネクタ10,60が正規に嵌合位置に至ると、
図3に示すように、雄コネクタ60の雄端子62が雌ハウジング40の端子収容部41の前端開口を通して雌端子20の端子接続部21内に進入し、雌端子20と雄端子62とが電気的に接続される。また、ゴムリングRによって端子収容部41の外周面と雄ハウジング61の内周面との間がシールされ、雄コネクタ60のロック突部63と雌コネクタ10のロックアーム43とが前後方向に係止することで、両コネクタ10,60が嵌合状態に保持される。
【0040】
この状態で、例えば、電線Wからの振動が両コネクタ10,60に伝わった場合、本実施形態によると、ゴム栓30の環状突出部36が上下左右の4方向から複数の押圧リブ50によって径方向内側に向かって押圧され、環状突出部36が配された部分のゴム栓本体31が雌ハウジング40に対してしっかりと固定された状態になっているから、外周リップ34によって電線Wと拡径キャビティ45の内周壁45Aとの間のシール性を確保しつつ、電線Wからの振動によってゴム栓30が拡径キャビティ45内においてがたつくことを防ぐことができる。
これにより、ゴム栓30共に固定された雌端子20が、電線Wからの振動によってキャビティ44内において振動することが防がれ、ひいては雌端子20と雄端子62との接続部分における摩耗を抑制することができる。すなわち、1種類のゴム材によって形成されたゴム栓30によって、外周リップ34のシール性を確保しつつ、雌ハウジング40内において雌端子20が振動することを防ぐことができるから、例えば、複数のゴム材によってゴム栓を構成する場合に比べて、製造コストを低減することができる。
【0041】
また、本実施形態によると、環状突出部36がゴム栓本体31において外周リップ34よりも雌端子20に近い位置に配されており、雌端子20の近くで振動を抑制しているから、例えば、環状突出部が外周リップの後方に配されている場合に比べて、雌端子20がキャビティ44内において振動することを抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態によると、環状突出部36の外径寸法が拡径キャビティ45の内径寸法よりも僅かに小さく設定されているから、環状突出部36を拡径キャビティ45内へ挿入する際のゴム栓30の挿入抵抗を低減することができる。また、押圧リブ50が拡径キャビティ45の内周壁45Aの上下左右の4箇所にのみ形成され、環状突出部36が押圧される部分が上下左右の4箇所となっているから、ゴム栓30の軸心と拡径キャビティ45の軸心とが同軸となるようにゴム栓30を支持しつつ、環状突出部36が押圧リブ50によって押圧される領域を低減させることができる。これにより、ゴム栓30が拡径キャビティ45の正規の位置に至る際のゴム栓30の挿入抵抗を低減することができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、実施形態2について
図5を参照して説明する。
実施形態2は、環状突出部36を押圧する領域が、実施形態1に比べて大きくなったものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
実施形態2の拡径キャビティ45の内周壁45Aには、実施形態1の押圧リブ50と異なり、全周に亘って押圧部150が形成されている。したがって、ゴム栓30が拡径キャビティ45内に嵌合されると、押圧部150が環状突出部36を全周に亘って押圧するようになっている。
【0044】
すなわち、本実施形態によると、ゴム栓30が拡径キャビティ45の正規の位置に至ると、ゴム栓30の環状突出部36が押圧部150によって全周に亘って押圧されるから、例えば、環状突出部36を部分的に押圧する場合に比べて、環状突出部36が配された部分のゴム栓本体31を雌ハウジング40に対して強固に固定することができる。これにより、外周リップ34におけるシール性を確保しつつ、電線Wからの振動に起因してゴム栓30が拡径キャビティ45内でがたつくことをより確実に防ぐことができる。
【0045】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、環状突出部36が端子圧着部32と外周リップ34との間に配された構成とした。しかしながら、これに限らず、環状突出部が外周リップの後方に配された構成にしてもよい。
(2)上記実施形態では、ゴム栓本体31の外周面に突出部を全周に亘って形成することにより環状突出部36を構成した。しかしながら、これに限らず、ゴム栓本体の外周面に突出部を等間隔に複数設けた構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、押圧リブ50および押圧部150の後端部を平坦に傾斜するガイド部51として構成した。しかしながら、これに限らず、押圧リブおよび押圧部の後端部を円弧状に傾斜するガイド部として構成してもよい。