【解決手段】このコネクタは、電線取出開口21を有し、ハウジングに取り付けられるワイヤカバー20を備えている。このワイヤカバー20には、支持突起23と、一対のアーム部24と、一対の係止アーム25と、一対の突起26とを備えている。このワイヤカバー20をハウジングに取り付けるにあたっては、支持突起23をハウジングの一端に、このワイヤカバー20を傾けて軸支させその一端を回転中心にして係止アーム25側をハウジングに近づけるように回転させる。突起26は、ハウジングの溝内に入り込みアーム部24の撓みを抑える。このため、係止アーム25がハウジングに確実に係止される。
略長方形状を有し、周縁に縁部が形成され内側に台部が形成されるように該縁部と該台部との間に形成された溝と、該縁部の、該略長方形状の長手方向一方の端部に設けられたハウジング側支持部と、該長手方向他方の端部において互いの間に幅方向に間を空けて設けられた一対のハウジング側係止部と、該台部に配列された複数の電線引出口とが形成された電線引出面を有するハウジングと、
前記電線引出面との間に空間を持って該電線引出面を覆い、前記複数の電線引出口から引き出された複数本の電線を前記電線引出面との間に挟み、該複数本の電線を前記他方の端部寄りから取り出す電線取出開口が形成されたワイヤカバーとを備え、
前記ワイヤカバーが、前記ハウジングの前記一方の端部に対応する該ワイヤカバーの一方の端部に設けられて前記ハウジング側支持部に軸支されるカバー側支持部と、前記電線取出開口を間に置いて前記他方の端部に向かって延在し互いに接離する向きに撓むアーム部と、該アーム部から前記溝内に入り込む向きに延び前記一対のハウジング側係止部にそれぞれ係止する係止アームと、該係止アームとの間に間隙を持って該アーム部から該溝内に入り込む向きに突き出て前記台部の縁に干渉可能な突起とを備えたことを特徴とするコネクタ。
前記突起が、前記台部の縁と干渉する部分に、前記ワイヤカバーの前記ハウジングへの取付け時に該突起を該台部の側面に導く斜面を有することを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
前記ワイヤカバーが、前記ハウジングへの取付けにあたり、前記カバー側支持部を前記ハウジング側支持部に、該ワイヤカバーを前記電線引出面に対し傾けて軸支させ、軸支された前記一方の端部を回転中心にして回転させることにより前記カバー側係止部を前記ハウジング側係止部に係止させることで前記ハウジングに取り付けられるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
略長方形状を有し、周縁に縁部が形成され内側に台部が形成されるように該縁部と該台部との間に形成された溝と、該縁部の、該略長方形状の長手方向一方の端部に設けられたハウジング側支持部と、該長手方向他方の端部であって互いの間に幅方向に間を空けて設けられた一対のハウジング側係止部と、該台部に配列された複数の電線引出口とが形成された電線引出面を有するハウジングの該電線引出面との間に空間を持って該電線引出面を覆い、前記複数の電線引出口から引き出された複数本の電線を該電線引出面との間に挟み、該複数本の電線を前記他方の端部寄りから取り出す電線取出開口が形成されたワイヤカバーであって、
前記ハウジングの前記一方の端部に対応する該ワイヤカバーの一方の端部に設けられて前記ハウジング側支持部に軸支されるカバー側支持部と、前記電線取出開口を間に置いて前記他方の端部に向かって延在して互いに接離する向きに撓むアーム部と、該アーム部から前記溝内に入り込む向きに延び前記一対のハウジング側係止部にそれぞれ係止する係止アームと、該係止アームとの間に間隙を持って該アーム部から該溝内に入り込む向き突き出て前記台部の縁に干渉可能な突起とを備えたことを特徴とするワイヤカバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構造のコネクタにおいて、様々な要求がある中の1つとして、このコネクタを使って従来よりも太い電線を接続したハーネスを作製することの要求がある。この要求に応えるためには、ワイヤカバーに設けられている電線取出開口を広げる必要がある。ただし、その場合、ワイヤカバーの上記他端側に設けられている係止部まで片持ち梁形状の長いアームを延ばす必要があるので、ワイヤカバーが撓み易くなり、係止が外れ易くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記目的に鑑み、ハウジングに確実に係止されるワイヤカバーを備えたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のコネクタは、
略長方形状を有し、周縁に縁部が形成され内側に台部が形成されるように縁部と台部との間に形成された溝と、縁部の、略長方形状の長手方向一方の端部に設けられたハウジング側支持部と、長手方向他方の端部において互いの間に幅方向に間を空けて設けられた一対のハウジング側係止部と、台部に配列された複数の電線引出口とが形成された電線引出面を有するハウジングと、
上記の電線引出面との間に空間を持って電線引出面を覆い、複数の電線引出口から引き出された複数本の電線を電線引出面との間に挟み、それら複数本の電線を上記他方の端部寄りから取り出す電線取出開口が形成されたワイヤカバーとを備え、
ワイヤカバーが、ハウジングの上記一方の端部に対応するワイヤカバーの一方の端部に設けられてハウジング側支持部に軸支されるカバー側支持部と、電線取出開口を間に置いて上記他方の端部に向かって延在し互いに接離する向きに撓むアーム部と、アーム部から上記の溝内に入り込む向きに延び一対のハウジング側係止部にそれぞれ係止する係止アームと、係止アームとの間に間隙を持ってアーム部から上記溝内に入り込む向きに突き出て台部の縁に干渉可能な突起とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明のコネクタは、そのコネクタを構成するワイヤカバーに上記の突起が設けられているため、広い電線取出開口を設けることによって上記アーム部が延びて撓み易くなってもワイヤカバーがハウジングに確実に係止される。
【0009】
ここで、上記本発明のコネクタにおいて、上記突起が、台部の縁と干渉する部分に、ワイヤカバーのハウジングへの取付け時に突起を台部の側面に導く斜面を有することが好ましい。
【0010】
この斜面が設けられていると、ワイヤカバーのハウジングへの取付けが一層円滑に行われる。
【0011】
また、上記本発明のコネクタにおいて、ワイヤカバーが、ハウジングへの取付けにあたり、カバー側支持部をハウジング側支持部に、ワイヤカバーを電線引出面に対し傾けて軸支させ、軸支された上記一方の端部を回転中心にして回転させることによりカバー側係止部をハウジング側係止部に係止させることで、ハウジングに取り付けられるものであることが好ましい。
【0012】
このようにワイヤカバーの一端と他端をハウジングに順次に取り付ける取付方法を採用することにより、ワイヤカバーがハウジングに円滑に取り付け可能となる。
【0013】
また、上記目的を達成する本発明のワイヤカバーは、略長方形状を有し、周縁に縁部が形成され内側に台部が形成されるように縁部と台部との間に形成された溝と、縁部の、略長方形状の長手方向一方の端部に設けられたハウジング側支持部と、長手方向他方の端部であって互いの間に幅方向に間を空けて設けられた一対のハウジング側係止部と、台部に配列された複数の電線引出口とが形成された電線引出面を有するハウジングの電線引出面との間に空間を持って電線引出面を覆い、複数の電線引出口から引き出された複数本の電線を電線引出面との間に挟み、それら複数本の電線を上記他方の端部寄りから取り出す電線取出開口が形成されたワイヤカバーであって、
ハウジングの上記一方の端部に対応するワイヤカバーの一方の端部に設けられてハウジング側支持部に軸支されるカバー側支持部と、電線取出開口を間に置いて上記他方の端部に向かって延在して互いに接離する向きに撓むアーム部と、アーム部先端から上記溝内に入り込む向きに延び一対のハウジング側係止部にそれぞれ係止する係止アームと、係止アームとの間に間隙を持ってアーム部から上記溝内に入り込む向き突き出て台部の縁に干渉可能な突起とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、ワイヤカバーがハウジングに確実に取り付けられる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態としてのコネクタ(A)と、そのコネクタと組み合う相手コネクタ(B)とを示した斜視図である。ここでは、本実施形態のコネクタ(
図1(A))を相手コネクタ(
図1(B))と区別するために「本コネクタ」と称することがある。
【0018】
また、
図2は、
図1に示した本コネクタと相手コネクタとが組み合った状態を示した斜視図である。
【0019】
コネクタ1は、ハウジング10と、ワイヤカバー20と、操作レバー30と、2本のカム部材40とを備えている。
【0020】
ハウジング10の電線引出面11には、台部112が形成されており、その台部112には2次元的に配列された複数の電線引出口112aが設けられている。これら複数の電線引出口112aのそれぞれから1本ずつ、合計複数本の電線(不図示)が引き出される。
【0021】
ワイヤカバー20は、その電線引出面11との間に空間を持ってその電線引出面11を部分的に覆っている。このワイヤカバー20には電線取出開口21が形成されている。複数の電線引出口112aからの複数本の電線は、この電線取出開口21から、纏まるようにして外に取り出される。
【0022】
相手コネクタ2には、その外面に上下に突き出たカムピン2aが形成されている。これに対応して、本コネクタ1の2本のカム部材40の、互いを向いた内側の面にカム溝(不図示)が形成されている。これら2本のカム部材40は、ハウジング10に対し、
図1(A)に示す突き出た位置と、
図2に示すハウジング10内に入り込んだ位置との間でスライド自在となっている。これら2本のカム部材40にはラック41(
図3参照)が形成されている。さらに、これに対応して操作レバー30の根元の、ハウジング10に設けられた開口12からハウジング10内に入り込んだ部分には、そのラック41と噛み合うピニオンギア31(
図3参照)が形成されている。さらに、この操作レバー30は、ハウジング10の開口12からハウジング10内に入り込んだ部分よりも少し上の部分で、ワイヤカバー20に設けられた突起22に回転自在に軸支されている。このため、この操作レバー30を回転操作することにより、2本のカム部材40が、
図1(A)に示すハウジング10から突き出た位置と
図2に示すハウジング10内に入り込んだ位置との間でスライドする。
【0023】
ここで、
図1(A)に示すように2本のカム部材40がハウジング10から突き出た状態で本コネクタ1を相手コネクタ2に押し当てる。すると、相手コネクタ2のカムピン2aが、カム部材40に設けられている不図示のカム溝に入り込む。その後、操作レバー30を
図2に示す姿勢まで回転操作する。すると、このカム機構により、本コネクタ1が相手コネクタ2に小さな力で正規の位置まで嵌め合わされる。
【0024】
図1,
図2には、相手コネクタ2と一体に備えられたもう1つの相手コネクタ3が示されている。この相手コネクタ3は、本コネクタ1と組み合う相手コネクタ2よりも長手方向の寸法が短いコネクタである。すなわち、このコネクタ3と組み合う、本コネクタ1側のコネクタとして、
図1,
図2に示す本コネクタよりも長手方向の寸法が短いもう1種類のコネクタが用意されている。ただし、そのコネクタは、
図1,
図2に示す本コネクタ1と比べ長手方向の寸法が短い点と、本コネクタ1とは異なる向きに組み合わされる点が異なるだけである。異なる向きとは、本コネクタ1のカム部材40に相当するカム部材が、
図1に示す本コネクタ1のカム部材40とは逆向きにハウジングから突き出る向きである。この向きが異なることにより、カム部材40に相当するカム部材に形成されているカム溝も、カム部材40とは逆向きの動きにより嵌め合わされるように変更されている。ただし、この相手コネクタ3と組み合うコネクタの特徴部分は、ここに示した本コネクタ1の特徴部分と同一である。したがって、相手コネクタ3と組み合う本コネクタ1側のコネクタについての図示およびこれ以上の説明は省略する。
【0025】
本コネクタ1では、複数本の電線に終端するコンタクト(図示せず)をハウジング10の電線引出口112内に挿入した後にワイヤカバー20が取り付けられる。そこで、以下では、ハウジング10の構造およびワイヤカバー20の構造について説明し、さらに、ハウジング10へのワイヤカバー20の取り付け方について説明する。
【0026】
図3は、ハウジングと、そのハウジングへの取付け途中の状態のワイヤカバーを示した斜視図である。
【0027】
また、
図4は、
図3に示す円R11,円R12の部分の拡大図である。
【0028】
図3に示すようにハウジング10は、上述の電線引出面11を有する。この電線引出面11は略長方形状である。この電線引出面11には、その周縁に縁部111が形成され、内側に前述の台部112が形成されている。そして、これら縁部111と台部112とを形成するように、それらの縁部111と台部112との間に溝113が形成されている。
【0029】
電線引出面11の略長方形状の、ワイヤカバー20の電線取出開口21が形成された側に対応する端部には、互いの間に幅方向に間を空けて、一対の係止穴111aが設けられている。
【0030】
また、このハウジング10の電線引出面11の縁部111の、略長方形状の反対側の端部にも、この
図3に示した係止穴111aと同様な形状の一対の支持穴(不図示)が形成されている。この支持穴は、本発明にいうハウジング側支持部の一例である。係止穴111aおよび支持穴に関しては、ワイヤカバー20との関係でさらに後で言及する。
【0031】
このハウジング10には、一対のカム部材40(
図1参照)がスライド自在に支持されており、ハウジング10の縁部111に設けられている開口12から、そのカム部材40に形成されたラック41が露出している。このラック41は、上述の通り、操作レバー30に形成されたピニオンギア31と噛み合い、操作レバー30を回転操作することによりカム部材40がスライドする。
【0032】
図5は、ワイヤカバーの斜視図である。ここで、
図5(A)は、ワイヤカバーを、上方斜めから描いた斜視図である。また、
図5(B)は、ワイヤカバーを上下逆向きにして下面側を描いた斜視図である。
【0033】
このワイヤカバー20は、ハウジング10の電線引出面11(
図3参照)から離れる向きに大きく膨らんでいて、その電線引出面11との間に複数本の電線を受け入れる空間20aが形成されている。
【0034】
このワイヤカバー20における、ハウジング10の、
図3に示す奥側の端部に対応する側の端部(
図5(A)における右端)には、一対の支持突起23が設けられている。これらの支持突起23は、本発明にいうカバー側支持部の一例に相当する。これらの支持突起23は、ワイヤカバー20をハウジング10に取り付けるに際し、ハウジング10の、
図3に示す奥側に端部に設けられた一対の支持穴(不図示)に嵌められる。このワイヤカバー20は、その支持突起23がハウジング10の支持穴に嵌められることによって、ハウジング10に接離する向きに回転可能に軸支される。
【0035】
また、このワイヤカバー20には、一対のアーム部24が設けられている。これらのアーム部24は、電線取出開口21を間に置いて、支持突起23が設けられた端部とは逆側の端部に向かって延びている。これらのアーム部24は、それぞれ薄板形状を有し、互いに接離する向きに容易に撓むことができる。
【0036】
また、このワイヤカバー20には、各アーム部24の先端に各係止アーム25が設けられている。これらの係止アーム25は、アーム部24から、ワイヤカバー20がハウジング10に取り付けられる際にハウジングの溝113(
図3参照)の中に入り込む向きに延びている。そして、それらの係止アーム25の先端部には、フック251が設けられている。このフック251は、前方に突き出た部分251aと、側方に突き出た部分251bとを有する。このフック251の前方に突き出た部分251aは、ハウジングの係止穴111a(
図3参照)に入り込むことにより係止される。また、ハウジング10にはその縁部111に係止溝111c(
図10参照)が形成されていて、フック251の側方に突き出た部分251bは、その係止溝111cに係止される。係止アーム25がこのようにしてハウジング10に係止されると、支持突起23がハウジングの支持穴に入り込んでいることと合わせて、ワイヤカバー20がハウジング10に固定される。これらアーム部24および係止アーム25は、本発明にいう、それぞれアーム部および係止アームの各一例に相当する。また、ハウジング10に設けられている係止穴111aおよび係止溝111cは、本発明にいうハウジング側係止部の一例に相当する。
【0037】
さらに、このワイヤカバー20には、突起26が設けられている。この突起26は、係止アーム25との間に間隙を持ってハウジング10の溝113内に入り込む向きにアーム部24から突き出ている。そして、この突起26は、一対のアーム部24が互いに近づく方向に反っている場合、ワイヤカバー20をハウジング10に取り付ける際にハウジング10の台部112の縁112a(
図3、
図4参照)に干渉する。この突起26には、台部112の縁112aと干渉する部分に、斜面261が形成されている。この斜面261は、ワイヤカバー20のハウジング10への取付け時に、その突起26を台部112の側面112bに導く役割を担っている。
【0038】
さらに、この突起26には、外向きの面(電線引出面11の縁部111側を向いた面)にも斜面262が形成されている。この斜面262は、一対のアーム部24が規定の寸法のよりも仮に互いに広がっていたときに電線引出面11の縁部111に干渉し、アーム部24を内向きに撓ませる役割を担っている。
【0039】
このワイヤカバー20は、一対のアーム部24を有し、このため、この一対のアーム部24は、成形時に互いに近づく向きに撓んだ形状となりがちである。また、アーム部24は、ハウジング10への取付け後において、僅かな衝撃等によっても内向きに撓みがちとなる。このため、このワイヤカバー20に仮に突起26が形成されていないと、フック251がハウジング10に安定的に係止された状態が保たれずに、係止が外れがちとなる。
【0040】
本実施形態のコネクタ1の場合、ワイヤカバー20に突起26が設けられている。そして、ワイヤカバー20をハウジング10に取り付けると、その突起26がハウジング10の電線引出面11の台部112の側面112bに当接する。これによって、アーム部24が押し広げられる。このため、係止アーム25のフック251がハウジング10に係止された後は、係止アーム25は、アーム部24の突起26との間の僅かな長さ部分と係止アーム25自身のみでしか撓むことができない。これにより、係止アーム25は、ハウジング10に安定的に係止される。
【0041】
また、このワイヤカバー20には、その側面に、片面につき4つの突起22,27a,27b,28が設けられている。これら4つの突起のうちの1つの突起22は、前述の通り、操作レバー30を軸支するための突起である。
【0042】
また、突起27aは、操作レバー30が
図1(A)の姿勢にあるときに操作レバー30の過度の回転を防止するための突起である。
【0043】
また、突起28は、操作レバー30が
図1(A)に示す姿勢にあるときに、操作レバー30のワイヤカバー20側の面に形成された窪み(不図示)に入り込む(操作レバー30の仮係止状態)。そして、その突起28は、操作レバー30をその姿勢にロック(仮係止)する。ワイヤカバー20の電線取出口21には複数の電線が通っている。このため、操作レバー30が
図1(A)に示す姿勢にあるときは、操作レバー30に当接する電線から、操作レバー30は突起28から係合解除される向きの力を受ける。突起28による操作レバー30のロックは、電線からの力に抗して操作レバー30の姿勢を安定化させるためのものである。
【0044】
さらに、もう1つの突起27bは、操作レバー30が
図2に示す姿勢にあるときの操作レバー30の回転止めの突起である。このワイヤカバー20の、突起27b側には、片持ち梁形状に形成されたロック部29が設けられている。操作レバー30を突起27bに突き当てる向きに回転操作すると、操作レバー30がロック部29の先端部に当たってロック部29を弾性変形させる。そして、操作レバー30は、そのロック部29を乗り越えて突起27bに突き当たり、
図2に示す姿勢となる。このロック部29は逆向きには変形し難く、操作レバー30は、突起27bとロック部29とに挟まれた状態にロック(本係止)される。ロック部29を押し下げると、操作アーム30がそのロック部29を通過することができる状態となる。
【0045】
ワイヤカバー20をハウジング10に取り付けるにあったては、ワイヤカバー20の一端に形成された支持突起23(
図5参照)を、ハウジング10の一端に設けられている支持穴(不図示)に、ワイヤカバー20をハウジング10の電線引出面11に対し、
図3に示すように斜めに傾けて軸支させる。ワイヤカバー20は、
図3では、図の斜め右上の部分が軸支され、図の斜め左下の部分が持ち上がった姿勢となっている。
【0046】
次に、この軸支された一方の端部(
図3の右上の端部)を回転中心にして、ワイヤカバー20の、
図3における左下の、係止アーム25側を、ハウジング10に近づける向きに回転させる。
【0047】
図6は、ワイヤカバーを
図3に示した姿勢から回転させて、係止アーム側の端部をハウジング10に近づけた状態を示した斜視図である。
【0048】
また、
図7は、
図6の、円R21の部分(A)および円R22の部分(B)の拡大図である。
【0049】
ハウジング10の電線引出面11の縁部111には、
図7(B)に示すように、係止アーム25の先端のフック251を撓ませる斜面111d(
図4(A),(B)、
図10(B)を合わせて参照)が形成されている。また、係止アーム25に隣接して設けられている干渉突起26の斜面261は、電線引出面11の台部112の縁112の真上にある。
【0050】
図8は、ワイヤカバーがハウジングに完全に取り付けられた状態の斜視図である。
【0051】
また
図9は、
図8の円R31の部分(A)および円R32の部分(B)の拡大図である。
【0052】
さらに、
図10は、
図8に示す矢印A−Aおよび矢印B−Bで示す部分の断面図である。ただし、
図10では、操作レバー30は図示省略されており、ハウジング10はワイヤカバー20寄りの部分のみ図示されている。
【0053】
図10(A)は、
図8に示す矢印A−Aで示す部分の断面図であって、ここには突起26の断面があらわれている。
【0054】
また、
図10(B)は、
図8に示す矢印B−Bで示す部分の断面図であって、ここには係止アーム25の断面があらわれている。
【0055】
ワイヤカバー20をハウジング10に取り付けると、
図10(A)に示すように、ワイヤカバー20の突起26が台部112の側面112bに隣接する。これにより、アーム部24が互いに近づく向きに撓むのが防止されている。また、本実施形態の突起26は、縁部111の側面111bにも当たるか極めて近接し、アーム部24の外向きへの撓みも抑えられている。
【0056】
このように、突起26によりアーム部24の撓みが制限されているため、
図10(B)に示すように、係止アーム25のフック251の側方に突き出た部分251bは、縁部111に設けられている係止溝111cに確実に係止される。また、フック251の前方に突き出た部分251aは、
図8,
図9に示すように縁部111に設けられている係止穴111aに入り込み、係止の一助となっている。
【0057】
係止アーム25のフック251が係止穴111aおよび係止溝111cに係止されるにあたっては、ワイヤカバー20を取り付ける途中過程において、係止アーム25が多少撓んでその後その撓みが解消されることで係止されることになる。これを可能にするために、係止穴111aは、
図8,
図9に示すように、フック251の前方に突き出た部分251aの幅よりも幅広に形成されている。このため、仮に突起26が設けられていないと、アーム部24が容易に内向きに撓み、係止が外れ易くなってしまう。本実施形態では、突起26によりアーム部24の撓みが規制されているため、確実な係止が行なわれる。
【0058】
また、本実施形態では、係止アーム25の方が突起26よりも先にハウジング10の溝113に入り込む構造となっている。これにより、ワイヤカバー20の取付けの際は係止アーム25が容易に撓み、取付け易くなっている。ただし、本実施形態とは逆に、係止アーム25よりも突起26の方が先に溝113に入り込む構造としてもよい。その場合、係止アーム25が溝113に入り込むよりも前に突起26の台部112側を向いた斜面261が台部112の縁に当ってアーム部24が押し広げられることになる。すなわち、成形されたワイヤカバー20が、係止アーム25が台部112に突き当たって溝113に入らないほどアーム部24が撓んだ形状であったとしても、製品として使用することができ、製造の歩留りを上げることができる。