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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-220192(P2015-220192A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】透明導電膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/00 20060101AFI20151110BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20151110BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20151110BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20151110BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20151110BHJP
【FI】
   H01B13/00 503B
   C09D201/00
   C09D5/24
   C09D7/12
   B32B7/02 104
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-104936(P2014-104936)
(22)【出願日】2014年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】渡部 良
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 薫
(72)【発明者】
【氏名】林 賢児
【テーマコード(参考)】
4F100
4J038
5G323
【Fターム(参考)】
4F100AA17A
4F100AA17H
4F100AA28A
4F100AA28H
4F100AA33A
4F100AA33H
4F100AK01A
4F100AK25A
4F100AK42B
4F100AT00B
4F100BA02
4F100DE01A
4F100EH462
4F100EJ082
4F100EJ54
4F100GB41
4F100HB00
4F100HB312
4F100JG01A
4F100JG03
4F100JG04A
4F100JL10
4F100JN28
4F100YY00A
4J038FA111
4J038HA166
4J038KA03
4J038KA12
4J038KA20
4J038MA07
4J038MA10
4J038NA20
4J038PA17
5G323BA02
5G323BB01
5G323BB06
(57)【要約】
【課題】複雑な工程を要せず、薄膜でありながら、帯電防止効果を有し、且つ透明性に優れた透明導電膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】導電性金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを含む導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて、透明導電膜を形成する方法であって、前記透明導電膜の膜厚を30〜500nmとすると共に、前記導電性金属酸化物粒子が、下記の式(1)及び式(2)を満足するように透明導電膜を形成することを特徴とする透明導電膜の形成方法である。
5 ≦ D50 ≦ T/5 ・・・式(1)
15 ≦ D90 ≦ T/2 ・・・式(2)
(式中、D50は、前記導電性金属酸化物粒子の体積基準の粒度分布において、小粒子径側からの積算値が50%となるときの粒子径[nm]を示し、D90は、前記積算値が90%となるときの粒子径[nm]を示す。Tは透明導電膜の膜厚[nm]を示す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを含む導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて、透明導電膜を形成する方法であって、前記透明導電膜の膜厚を30〜500nmとすると共に、前記導電性金属酸化物粒子が、下記の式(1)及び式(2)を満足するように透明導電膜を形成することを特徴とする透明導電膜の形成方法。
5 ≦ D50 ≦ T/5 ・・・式(1)
15 ≦ D90 ≦ T/2 ・・・式(2)
(式中、D50は、前記導電性金属酸化物粒子の体積基準の粒度分布において、小粒子径側からの積算値が50%となるときの粒子径[nm]を示し、D90は、前記積算値が90%となるときの粒子径[nm]を示す。Tは透明導電膜の膜厚[nm]を示す。)
【請求項2】
導電性金属酸化物粒子及び非導電性粒子を混合した混合粒子と、バインダー樹脂とを含む導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて、透明導電膜を形成する方法であって、前記透明導電膜の膜厚を30〜500nmとすると共に、前記混合粒子が、下記の式(3)及び式(4)を満足するように透明導電膜を形成することを特徴とする透明導電膜の形成方法。
5 ≦ D50 ≦ T/5 ・・・式(3)
15 ≦ D90 ≦ T/2 ・・・式(4)
(式中、D50は、前記混合粒子の体積基準の粒度分布において、小粒子径側からの積算値が50%となるときの粒子径[nm]を示し、D90は、前記積算値が90%となるときの粒子径[nm]を示す。Tは透明導電膜の膜厚[nm]を示す。)
【請求項3】
前記導電性金属酸化物粒子100質量部当り、バインダー樹脂の含有量が10〜70質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電膜の形成方法。
【請求項4】
前記導電性金属酸化物粒子の比抵抗率が0.001〜1×106Ω・cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜の形成方法。
【請求項5】
前記導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、ATO及びPTOからなる群から選ばれる1種類以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電膜の形成方法。
【請求項6】
前記透明導電膜は、透過率が82%以上、ヘイズが2.0%以下、表面抵抗値が1×1011Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明導電膜の形成方法に関し、より詳しくは、多様な基材の表面に塗布又は、印刷し硬化させる事により、薄膜でありながら、帯電防止効果を有し、且つ透明性に優れた透明導電膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜は、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部材等の用途において、使用されている。この透明導電膜には高い透明性及び屈折率特性に加え、優れた帯電防止特性が求められる。
【0003】
従来、透明導電膜は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、銀、ニッケル、又は金等の導電材料をスパッタリング法、又は真空蒸着法により形成していた。しかし、スパッタリング法又は、真空蒸着法を用いた透明導電膜の製造は、製造コストや環境負荷の問題がある。一方で、上記導電材料を含む塗料を基材に塗布して透明導電膜を形成する製法は、比較的簡便である為、低コストで透明導電膜を作成できる。このような導電材料含有塗料は数多く開示されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−65966
【0005】
導電材料として界面活性剤又はイオン液体を含む透明導電膜は透明性の高い透明導電膜が得られるが、経時的に界面活性剤又はイオン液体がブリードアウトする問題があり、帯電防止性が低下するほか、帯電防止性が湿度に依存する等の問題もある。
【0006】
一方で、界面活性剤やイオン液体の代わりに、金属酸化物からなる導電性微粒子を用いた場合には、長期に安定した帯電防止性を有するが、金属酸化物の光透過スペクトルに依存して透過光に吸収が生じ、この透過光の吸収に起因して着色する問題があった。
【0007】
このような問題を解決する方法として、金属酸化物からなる導電性微粒子含有導電膜の膜厚を薄くする事で透過率を高める方法がある。この方法は、ITOのような比抵抗率が低い材料であれば有効な方法であるが、ATO、酸化錫のように比抵抗率がやや高い材料では、膜厚を薄くするに従い、導電特性が顕著に低下し、帯電防止レベルの導電性も満足できなくなる問題を発生させる。また、ITOは、非常に高価であり、ATOや酸化錫などの代替材料が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明者らは、導電性金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを含む導電性コーティング組成物を用いた透明導電膜の形成方法について検討を行った。
その結果、導電性金属酸化物粒子(或いは、導電性金属酸化物粒子及び非導電性粒子を混合した混合粒子)を特定の粒度分布を有するよう微粒化させて調製した導電性コーティング組成物を、所定の条件を満足するように塗装することにより、ATO、酸化錫のように比抵抗率がやや高い導電性金属酸化物粒子を用いた場合においても、30〜500nmの膜厚で安定な帯電防止性及び透明性を有する透明導電膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、導電性金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含む導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて、透明導電膜を形成する方法であって、前記透明導電膜の膜厚を30〜500nmとすると共に、前記導電性金属酸化物粒子が、下記の式(1)及び式(2)を満足するように透明導電膜を形成することを特徴とする透明導電膜の形成方法である。
5 ≦ D50 ≦ T/5 ・・・式(1)
15 ≦ D90 ≦ T/2 ・・・式(2)
(式中、D50は、前記導電性金属酸化物粒子の体積基準の粒度分布において、小粒子径側からの積算値が50%となるときの粒子径[nm]を示し、D90は、前記積算値が90%となるときの粒子径[nm]を示す。Tは透明導電膜の膜厚[nm]を示す。)
【0010】
また、本発明は、導電性金属酸化物粒子及び非導電性粒子を混合した混合粒子と、バインダー樹脂とを含む導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて、透明導電膜を形成する方法であって、前記透明導電膜の膜厚を30〜500nmとすると共に、前記混合粒子が、下記の式(3)及び式(4)を満足するように透明導電膜を形成することを特徴とする透明導電膜の形成方法である。
5 ≦ D50 ≦ T/5 ・・・式(3)
15 ≦ D90 ≦ T/2 ・・・式(4)
(式中、D50は、前記混合粒子の体積基準の粒度分布において、小粒子径側からの積算値が50%となるときの粒子径[nm]を示し、D90は、前記積算値が90%となるときの粒子径[nm]を示す。Tは透明導電膜の膜厚[nm]を示す。)
【0011】
また、より好ましい形態として、前記導電性金属酸化物粒子100質量部当り、バインダー樹脂の含有量が10〜70質量部であることを特徴とする。
【0012】
また、より好ましい形態として、前記導電性金属酸化物粒子の比抵抗率が0.001〜1×106Ω・cmであることを特徴とする。
【0013】
また、より好ましい形態として、前記導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)及びリンドープ酸化スズ(PTO)からなる群から選ばれる1種類以上の金属酸化物であることを特徴とする。
【0014】
また、より好ましい形態として、前記透明導電膜は、透過率が82%以上、ヘイズが2.0%以下、表面抵抗値が1×1011Ω/□以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の透明導電膜の形成方法によれば、複雑な工程を要せず、薄膜でありながら、帯電防止効果を有し、且つ透明性に優れた透明導電膜を形成することが可能である。従って、本発明で得られる透明導電膜は、例えば、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部材等の用途において、帯電防止膜、反射防止膜等の部材として適用する事が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の透明導電膜の形成方法は、導電性金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを含む導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて、透明導電膜を形成する方法であって、前記透明導電膜の膜厚(T)を30〜500nmとすると共に、前記導電性金属酸化物粒子が、下記の式(1)及び式(2)を満足するように透明導電膜を形成することを特徴とする透明導電膜の形成方法である。
5 ≦ D50 ≦ T/5 ・・・式(1)
15 ≦ D90 ≦ T/2 ・・・式(2)
(式中、D50は、前記導電性金属酸化物粒子の体積基準の粒度分布において、小粒子径側からの積算値が50%となるときの粒子径[nm]を示し、D90は、前記積算値が90%となるときの粒子径[nm]を示す。Tは透明導電膜の膜厚[nm]を示す。)
【0017】
また、本発明の透明導電膜の形成方法において、前記導電性コーティング組成物が、更に非導電性粒子を含む場合には、前記導電性金属酸化物粒子及び非導電性粒子を混合した混合粒子が、下記の式(3)及び式(4)を満足するように透明導電膜を形成することを特徴とする。
5 ≦ D50 ≦ T/5 ・・・式(3)
15 ≦ D90 ≦ T/2 ・・・式(4)
(式中、D50は、前記混合粒子の体積基準の粒度分布において、小粒子径側からの積算値が50%となるときの粒子径[nm]を示し、D90は、前記積算値が90%となるときの粒子径[nm]を示す。Tは透明導電膜の膜厚[nm]を示す。)
【0018】
<基材>
本発明の基材は特に限定されないが、基材の材質としては、例えば、プラスチック、金属、ガラス等が挙げられ、これらの中でも透明性の点から、プラスチック及びガラスが好ましく、プラスチックが更に好ましい。また、基材は、用途に応じて様々な形態で使用されるものであり、例えば、フィルム、シート、板の他、成形加工等により製造される様々な成形品も含まれる。
上記プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられ、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法等の公知の成形方法によってこれらを成形することで、基材を用意することができる。
プラスチック基材については、そのまま使用することができるし、プライマーが塗布されてもよい。プライマーを予め塗布することにより、透明導電膜と基材との付着性を向上させることができる。
【0019】
<導電性コーティング組成物>
本発明の透明導電膜の形成方法に用いられる導電性コーティング組成物は、導電性金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを含む。本発明では、比抵抗率がやや高い導電性金属酸化物粒子を用いた場合においても、30〜500nmの膜厚で安定な帯電防止性及び透明性を有する透明導電膜を形成できる効果を有するため、導電性金属酸化物粒子の比抵抗率が0.001〜1×106Ω・cmである場合には、本発明の効果がより顕著に認められる。このような導電性金属酸化物粒子の種類としては、例えば、ITO、酸化亜鉛、酸化錫、ATO、PTO、五酸化アンチモン等を挙げることが出来るが、材料のコスト面及び透明性の点から酸化錫、ATO、PTOがより好ましい。
また、一次粒子径が0.1μm以下の無機微粒子である事が好ましく、0.1μm以上を超過する場合には、膜が白く濁りやすい。より好ましくは、一次粒子径が5〜50nmである。
【0020】
また、本発明の透明導電膜の形成方法に用いられる導電性金属酸化物粒子は、導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて得られる透明導電膜の膜厚(T)との関係において、前述の式(1)及び式(2)を満足する必要がある。D50、D90が、それぞれ式(1)または式(2)の下限値を下回る場合には、粒子径が小さすぎて、十分な導電性が得られない。一方で、D50、D90が、それぞれ式(1)または式(2)の上限値を上回る場合には、平滑な膜が得られず、膜表面での光散乱が起きやすくなるため、透明導電膜のヘイズが高くなり、透明性が得られない。また、膜厚が30nm未満の場合には、透明導電膜に含まれる導電性金属酸化物粒子の数が少なくなり、十分な導電性を確保できない。好ましくは、D50が5〜50nm、D90が15〜100nmであることがよい。
【0021】
ここで、粒子径パラメーターD50やD90は、レーザー回折・散乱法または動的光散乱法による粒度分布測定から得られるパラメーターである。レーザー回折・散乱法または動的光散乱法を用いた粒度分布測定装置としては、例えば、日機装社製のマイクロトラックUPAや動的光散乱式ナノトラック粒度分析計が挙げられる。
D50は、メジアン径(メディアン径)とも呼ばれるものであり、粒度分布において、小粒子径側からの積算値が50%となるときの粒子径[nm]、すなわち、粒度分布をある粒子径から2つに分けたとき、粒子径が大きい側と小さい側が等量となる粒子径を示す。
D90は、前記積算値が90%となるときの粒子径[nm]、すなわち、粒度分布をある粒子径から2つに分けたとき、小粒子径側から数えて積算値が90%になるときの径を示す。
尚、本願でいうD50やD90は、体積基準(体積分布)で測定されるものを指す。
【0022】
本発明において、導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて得られる透明導電膜の膜厚(T)は、30〜500nmである。
【0023】
本発明で用いる導電性金属酸化物粒子については、透明導電膜の塗膜成分100質量部当り、40〜90質量部含むことが好ましく、55〜85質量部含むことがより好ましい。40質量部より低いと、導電性が得られにくく、90質量部より多いと、透明導電膜の透明性が低下する傾向がある。ここで、塗膜成分とは、塗膜を構成する成分を指し、測定により計算することが出来る。例えば、本願で使用されるコーティング組成物を150℃±5℃で30分加熱することにより、コーティング組成物の一部(溶剤など)が十分に揮発又は蒸発した後に残る成分を、塗膜成分として求めることが出来る。
【0024】
前記導電性コーティング組成物に用いられるバインダー樹脂の配合量は、導電性金属酸化物粒子100質量部当たり10〜70質量部である事が好ましい。10質量部より少ないと、基材との密着性が低下する傾向にあり、また、膜の透明性が低下する場合もある。一方、70質量部より多い場合には、導電性が著しく低下する傾向がある。
【0025】
本発明において、前記バインダー樹脂としては、一般的に塗料で用いられている任意のバインダー樹脂を、特に制限無く用いる事が出来る。好ましくは、活性エネルギー線硬化性バインダー樹脂である事がよい。
【0026】
上記バインダー樹脂としては、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フタル酸樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリルシリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、もしくは、これらを変性したバインダー樹脂等を1種単独で、もしくは2種類以上併用する事が出来る。
【0027】
更に、上記バインダー樹脂中には必要に応じて架橋剤を含有させても良く、例えば、アミノ基等の塩基性官能基、OH基等の中性官能基、カルボキシル基等の酸性官能基、又はイソシアネート基等の反応性官能基を、1分子中に2つ以上有する任意の架橋剤を用いる事が出来る。
【0028】
また、上記バインダー樹脂はラジカル重合性モノマーであっても良く、ラジカル重合性の不飽和基(α、β−エチレン性不飽和基)を有しているモノマーであれば、アミノ基等の塩基性官能基を有するもの、OH基等の中性官能基を有するもの、カルボキシル基等の酸性官能基を有するもの、或いは、このような官能基を有していないもの、の何れでも良い。
【0029】
また、前記活性エネルギー線硬化性バインダー樹脂として、例えばアクリレート又は、メタクリレート化合物を挙げる事が出来る。
【0030】
さらに、活性エネルギー線硬化性バインダー樹脂としては、上記のアクリレート又は、メタクリレート化合物の他に、ラジカル重合性モノマー、オリゴマーを挙げる事が出来る。ラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性不飽和基(α、β−エチレン性不飽和基)を有しているモノマーであれば、アミノ基等の塩基性官能基を有するもの、OH基等の中性官能基を有するもの、カルボキシル基等の酸性官能基を有するもの、或いは官能基を有していないもの、の何れでも良い。
【0031】
ラジカル重合モノマーの具体例としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、アリルアルコール等のアクリレート又はメタクリレート以外のラジカル重合性モノマーや、メチルアクリレート又は若しくはメチルメタクリレート、エチルアクリレート又はエチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート又はイソプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート又は2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート又はブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート又はテトラヒドロフルフリルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート又は2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート又はポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート又はメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート又はポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート又はポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート又はポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の単官能アクリレート又はメタクリレートや、エチレングリコールジアクリレート又はエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート又はジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート又はトリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート又はテトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート又はポリエチレンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート又はポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート又はネオペンチルグリコールジメタクリレート、アリルジアクリレート又はアリルジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート又はビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート又はエチレンオキサイド変性ビスフェノールメタクリレート、ポリエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート又はポリエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート又はエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールSジアクリレート又はビスフェノールSジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート又は1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート又は1,3−ブチレングリコールジメタクリレート等の二官能アクリレート又はメタクリレートや、トリメチロールプロパントリアクリレート又はトリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールトリアクリレート又はグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート又はペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エチレン変性トリメチロールプロパントリアクリレート又はエチレン変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又はジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等の三官能以上のアクリレート及びメタクリレートを挙げる事が出来る。
【0032】
ラジカル重合オリゴマーの具体例として、例えば、ポリエステルアクリレート又はポリエステルメタクリレート、ポリウレタンアクリレート又はポリウレタンメタクリレート、エポキシアクリレート又はエポキシメタクリレート、ポリエーテルアクリレート又はポリエーテルメタクリレート、オリゴアクリレート又はオリゴメタクリレート、アルキドアクリレート又はアルキドメタクリレート、ポリオールアクリレート又はポリオールメタクリレート、シリコーンアクリレート又はシリコーンメタクリレート等のアクリロイル基又はメタクリロイル基を少なくとも1個有するプレポリマーを挙げる事が出来る。特に好ましいラジカル重合オリゴマーは、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタンの各アクリレート又はメタクリレートである。
【0033】
本発明の導電性コーティング組成物は、必要に応じて、光重合開始剤を含むことができる。上記光重合開始剤としては、α−アミノケトン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物等が挙げられるが、硬化性の観点から、照射する活性エネルギー線の波長と光重合開始剤の吸収波長ができるだけ重複するものが好ましい。更に、光重合開始剤の開始反応を促進させるため、光増感剤等の助剤を併用することも可能である。光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性バインダー樹脂100質量部当り、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部である。
【0034】
上記光重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルーフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドが、塗料の硬化性の観点から好ましい。なお、これら光重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本発明の導電性コーティング組成物には適宜、分散媒を配合してもよい。分散媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、2−ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等を挙げることが出来る。それらの中でも、エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、2−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トルエンがより好ましい。本発明においては、分散媒として一種単独で用いることも、二種以上を併用することも出来る。分散媒の配合量は、導電性コーティング組成物の調製のしやすさや塗装作業性などを考慮した場合、導電性コーティング組成物100質量部に対して、塗膜成分が1〜60質量部になるように設定することが好ましい。
【0036】
導電性金属酸化物粒子の分散操作は、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、セントリミル等を用いて行なうことが出来る。分散操作の際に、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ等の分散メディアを用いることが好ましい。ビーズ径は特に限定されないが、通常0.05〜1.0mm程度であり、好ましくは0.05〜0.65mmであり、より好ましくは0.08〜0.65mmであり、特に好ましくは0.08〜0.5mmである。
【0037】
本発明の透明導電膜の形成方法に用いられる導電性コーティング組成物においては、導電性金属酸化物粒子の粒子径は、D50が5〜50nm、D90が15〜100nmであることが好ましい。
【0038】
本発明の導電性コーティング組成物には、更に、高屈折率、高硬度及び耐擦傷性を付与するための手段として、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上の非導電性粒子を添加しても良い。また、非導電性粒子については、一次粒子径が0.1μm以下である事が好ましく、0.1μmを超過する場合には、膜が白く濁りやすい。より好ましくは、一次粒子径が5〜50nmである。
【0039】
そして、非導電性粒子を含む導電性コーティング組成物においては、導電性金属酸化物粒子と非導電性粒子との質量比(導電性金属酸化物/非導電性粒子)が、通常、50/50以上100/0未満の範囲内であるのがよく、好ましくは65/35以上100/0未満の範囲内であるのがよく、更に好ましくは、80/20以上100/0未満の範囲内であるのがよい。導電性金属酸化物粒子と非導電性粒子との質量比(導電性金属酸化物粒子/非導電性粒子)が50/50より低いと形成される膜の導電性が低下する傾向がある。
【0040】
非導電性粒子を含む導電性コーティング組成物を本発明に適用させる場合、導電性金属酸化物粒子及び非導電性粒子を混合した混合粒子が、導電性コーティング組成物を基材に塗布又は印刷し硬化させて得られる透明導電膜の膜厚(T)との関係において、前述の式(3)及び式(4)を満足する必要がある。前記混合粒子のD50、D90が、それぞれ式(3)または式(4)の下限値を下回る場合には、粒子径が小さすぎて、十分な導電性が得られない。一方で、前記混合粒子のD50、D90が、それぞれ式(3)または式(4)の上限値を上回る場合には、平滑な膜が得られず、膜表面での光散乱が起きやすくなるため、透明導電膜のヘイズが高くなり、透明性が得られない。また、膜厚が30nm未満の場合には、透明導電膜に含まれる導電性金属酸化物粒子の数が少なくなり、十分な導電性を確保できない。好ましくは、D50が5〜50nm、D90が15〜100nmであることがよい。
【0041】
また、非導電性粒子を混合する場合、非導電性粒子の粒子径(D50、D90)は、導電性や透明性の点から、導電性金属酸化物粒子の前記粒子径(D50、D90)とほぼ同等であることが好ましい。非導電性粒子の添加方法としては、導電性金属酸化物粒子の分散液と非導電性粒子の分散液とを予め別々に調製して混合する方法や、導電性金属酸化物粒子と非導電性粒子とを同時に混合して微粒化する方法が挙げられる。
【0042】
本発明の導電性コーティング組成物には、更に金属錯体を配合してもよい。金属錯体は分散剤として機能するので、分散液の分散性及び保存安定性に優れる。金属錯体として、ジルコニウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、錫及び白金からなる群から選ばれる金属、好ましくは色味の少ない点でジルコニウム、チタン、アルミニウム、亜鉛、インジウム及び錫からなる群から選ばれる金属と、β−ジケトンからなる群から選ばれる配位子、好ましくはピバロイルトリフルオルアセトン、アセチルアセトン、トリフルオルアセチルアセトン及びヘキサフルオルアセチルアセトンからなる群から選ばれる配位子とからなる金属錯体を挙げることが出来る。本発明の導電性コーティング組成物においては、導電性金属酸化物粒子または前記混合粒子100質量部当り、金属錯体が2〜50質量部含まれることが好ましく、5〜20質量部含まれることがより好ましい。金属錯体の量がこの範囲である場合、導電性金属酸化物粒子または前記混合粒子の分散性が良好で、透明性の高いプライマー層が得られる。また、この場合には、基材や金属薄膜との付着性も良好である。一方で、金属錯体が2質量部より少ないと、導電性金属酸化物粒子または前記混合粒子の分散安定性が不良となり、50質量部より多いと、金属錯体が他の塗膜成分と相溶せずに析出する懸念がある。
【0043】
なお、金属錯体は分散剤として機能するので分散液の保存安定性に優れた導電性コーティング組成物を得る事が出来る。また、保存安定性をより向上させる目的で分散助剤として更に他の分散剤を添加してもよい。そのような分散助剤の種類は、特に限定されないが、そのような分散助剤として好ましくは、ポリオキシエチレンアルキル構造を有するリン酸エステル系ノニオン型分散剤を挙げることが出来る。
【0044】
更に、本発明の導電性コーティング組成物には、その目的を損なわない範囲内で、上記以外の慣用の各種添加剤を配合しても良い。このような添加剤として、重合禁止剤、硬化触媒、酸化防止剤、レベリング剤等を挙げる事が出来る。
【0045】
本発明の導電性コーティング組成物の基材への塗布又は印刷は、常法により、例えば、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷などの手法で行うことができる。その後、バインダー樹脂が活性エネルギー線硬化型でない場合は、必要により加熱して溶剤を蒸発させ、塗膜を乾燥させて硬化させる。また、バインダー樹脂が活性エネルギー線硬化型である場合には、必要により加熱して溶剤を蒸発させ、塗膜を乾燥させ、次いで活性エネルギー線(紫外線又は電子線)を照射する。活性エネルギー線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、色素レーザー等の紫外線源、並びに電子線加速装置を使用する事が出来る。活性エネルギー線の照射量は、紫外線の場合には50〜3000mJ/cm2、電子線の場合には0.2〜1000μC/cm2の範囲内が適当である。
【0046】
本発明で得られる透明導電膜については、透過率が82%以上、ヘイズが2.0%以下、表面抵抗値が1×1011Ω/□以下であることが好ましい。
【実施例】
【0047】
実施例及び比較例で使用した成分は以下の通りである。
<導電性金属酸化物粒子>
・ATO粉末(屈折率2.00、比抵抗値10Ω・cm、一次粒子径15nm)
・PTO粉末(屈折率2.00、比抵抗値100Ω・cm、一次粒子径20nm)
・SnO2粉末(屈折率1.90、比抵抗値100Ω・cm、一次粒子径15nm)
<非導電性粒子>
・ZrO2粉末(屈折率2.2、一次粒子径20nm)
・Al23粉末(屈折率1.76、一次粒子径20nm)
<金属錯体>
・ジルコニウムアセチルアセトナート
<バインダー>
・DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
<光重合開始剤>
・IC−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
<基材>
・PETフィルム(光透過率91%、ヘイズ0.5% 、フィルム厚75μm)
【0048】
<非導電性粒子の調製方法>
・ZrO2微粒子分散液
ZrO2粉末100部に対し、10部のジルコニウムアセチルアセトナート、250 部のメチルイソブチルケトン及び800部のφ0.5mmのガラスビーズとなる量で全 成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで8時間練合した。練合後、ガラスビーズを取 り除いて、分散液を得た。
【0049】
・Al23微粒子分散液
Al23粉末100部に対し、10部のジルコニウムアセチルアセトナート、25 0部のメチルイソブチルケトン及び800部のφ0.5mmのガラスビーズとなる量で 全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで8時間練合した。練合後、ガラスビーズを 取り除いて、分散液を得た。
【0050】
<ZrO2微粒子分散液、Al23微粒子分散液の粒度分布測定>
ZrO2微粒子分散液、Al23微粒子分散液について、各々の分散液をメチルイソブチルケトンで5wt%になるように希釈した後、日機装(株)製 Microtrac粒度分布計UPA-STを用いて粒度分布測定を行った。得られた体積基準の粒度分布より、D50、D90を求めた。
その結果、ZrO2微粒子のD50は23nmであり、D90は55nmであった。また、Al23微粒子のD50は26nmであり、D90は60nmであった。
【0051】
[実施例1]
SnO2粉末100部に対し、12部のジルコニウムアセチルアセトナート、180部のメチルイソブチルケトン及び800部のφ0.5mmのガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで8時間練合した。練合後、ガラスビーズを取り除いて、分散液を得た。この分散液に33部のDPHA、3部のIC−184を加えて導電性コーティング組成物を得た。ロールコーターを用いて、この導電性コーティング組成物をPETフィルム上に塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、膜厚200nmの透明導電膜を作製した。
【0052】
[実施例2]
SnO2粉末の代わりにPTO粉末を添加した以外は実施例1と同様の処理により、膜厚200nmの透明導電膜を作製した。
【0053】
[実施例3]
SnO2粉末の代わりにATO粉末を添加した以外は実施例1と同様の処理により、膜厚200nmの透明導電膜を作製した。
【0054】
[実施例4]
33部のDPHAの代わりに18部のDPHAを添加し、且つ膜厚を500nmに変更した以外は実施例3と同様の処理により、透明導電膜を作製した。
【0055】
[実施例5]
分散時間を8時間から12時間に変更し、且つ膜厚を50nmに変更した以外は実施例4と同様の処理により、透明導電膜を作製した。
【0056】
[実施例6]
ATO粉末100部に対し、10部のジルコニウムアセチルアセトナート、250部のメチルイソブチルケトン及び800部のφ0.5mmのガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで8時間練合した。練合後ガラスビーズを取り除いて分散液を得た。調製した分散液に、ZrO2分散液を260部、67部のDPHA、6部のIC−184を加えて導電性コーティング組成物を得た。ロールコーターを用いて、この導電性コーティング組成物をPETフィルム上に塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、膜厚200nmの透明導電膜を作製した。
【0057】
[実施例7]
ATO粉末100部に対し、10部のジルコニウムアセチルアセトナート、200部メチルイソブチルケトン及び800部のφ0.5mmのガラスビーズとなる量で全成分を容器に入れ、ペイントシェーカーで8時間練合した。練合後ガラスビーズを取り除いて分散液を得た。また、調製した分散液に、ZrO2分散液を52部、42部のDPHA、4部のIC−184を加えて導電性コーティング組成物を得た。ロールコーターを用いて、この導電性コーティング組成物をPETフィルム上に塗布し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の光を照射し、膜厚200nmの透明導電膜を作製した。
【0058】
[実施例8]
52部のZrO2微粒子分散液の代わりに52部のAl23微粒子分散液を添加した以外は実施例7と同様の処理により、膜厚200nmの透明導電膜を作製した。
【0059】
[比較例1]
分散メディアをφ0.5mmのガラスビーズからφ0.7mmのガラスビーズに変更した以外は実施例3と同様の処理により、膜厚200nmの透明導電膜を作製した。
【0060】
[比較例2]
分散時間を8時間から4時間に変更した以外は実施例3と同様の処理により、膜厚200nmの透明導電膜を作成した。
【0061】
[比較例3]
分散時間を8時間から1時間に変更した以外は実施例3と同様の処理により、膜厚200nmの透明導電膜を作成した。
【0062】
[比較例4]
膜厚を1000nmに変更した以外は、実施例4と同様の処理により、透明導電膜を作成した。
【0063】
[比較例5]
分散時間を4時間から10時間に変更し、且つ膜厚を50nmに変更した以外は、比較例2と同様の処理により、透明導電膜を作成した。
【0064】
[比較例6]
分散メディアをφ0.5mmのガラスビーズからφ0.3mmのガラスビーズに変更し、分散時間を10時間から3時間に変更した以外は、比較例5と同様の処理により、膜厚50nmの透明導電膜を作成した。
【0065】
[比較例7]
分散時間を10時間から6時間に変更した以外は、比較例5と同様の処理により、膜厚50nmの透明導電膜を作成した。
【0066】
[比較例8]
分散メディアをφ0.5mmのガラスビーズからφ1.0mmのガラスビーズに変更し、分散時間を4時間から10時間に変更し、且つ膜厚を500nmに変更した以外は、比較例2と同様の処理により、透明導電膜を作成した。
【0067】
[比較例9]
分散時間を8時間から4時間に変更し、且つ膜厚を500nmに変更した以外は、比較例1と同様の処理により、透明導電膜を作成した。
【0068】
[比較例10]
分散時間を10時間から8時間に変更した以外は、比較例8と同様の処理により、膜厚500nmの透明導電膜を作成した。
【0069】
<評価方法>
(1)導電性コーティング組成物の粒度分布測定(D50、D90)
実施例1〜8、比較例1〜10で得られた導電性コーティング組成物をメチルイソブチルケトンで5wt%になるように希釈した後、日機装(株)製 Microtrac粒度分布計UPA-STを用いて粒度分布測定を行った。得られた粒度分布より、D50、D90を求めた。
尚、実施例6〜8については、導電性金属酸化物粒子と非導電性粒子との粒度分布を重ね合わせた結果(混合粒子の粒度分布)が得られる。実施例6〜8で得られた粒度分布は、用いられたZrO2微粒子分散液、Al23微粒子分散液の粒度分布とほとんど差異が認められなかったことから、導電性金属酸化物粒子と非導電性粒子の粒度分布はほぼ同等であると推定できる。
【0070】
(2)透明導電膜の透過率、ヘイズ
実施例1〜8及び比較例1〜10で得られた透明導電膜について、透過率(%)及びヘイズ(%)をヘイズメーター(日本電色工業株式会社製NDH5000)で測定した。測定値は基材を含んだ測定値である。
【0071】
(3)透明導電膜の表面抵抗値
実施例1〜8及び比較例1〜10で得られた透明導電膜について、表面抵抗値(Ω/□)を抵抗率計(三菱化学株式会社製ハイレスタIP MCP−HT260)表面抵抗器で測定した。
【0072】
上記の各々の測定結果、評価結果を各々の導電性コーティング組成物の組成と共に、表1(実施例1〜8)、表2(比較例1〜10)にそれぞれに示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】