【解決手段】巻線2wを巻回してなるコイル2と、コイル2の内外に配置されて磁路を形成する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との間に配置されて、両者を絶縁するボビン5と、コイル2と磁性コア3とボビン5とを備える組合体10を収納する金属ケース4とを備え、ボビン5は、巻線2wの一端部2ebと金属ケース4との間に介在される隔壁部53を一体に備える。
前記隔壁部は、前記金属ケースの内周面に沿って配置される内板部と、前記内板部から前記金属ケースの開口縁に延びて、前記開口縁の一部に支持される縁被覆部とを備える請求項1に記載のリアクトル。
前記巻線の一端部は、前記金属ケースの内周面に沿って前記金属ケースの開口縁に向かう方向に引き出されて、前記金属ケースから露出されている請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施の形態の説明]
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
(1) 本発明の一態様に係るリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、上記コイルの内外に配置されて磁路を形成する磁性コアと、上記コイルと上記磁性コアとの間に配置されて、両者を絶縁するボビンと、上記コイルと上記磁性コアと上記ボビンとを備える組合体を収納する金属ケースとを備え、上記ボビンが上記巻線の一端部と上記金属ケースとの間に介在される隔壁部を一体に備える。
【0014】
上記のリアクトルは、コイルを構成する巻線の端部と金属ケースとの間の絶縁性に優れる上に、小型で、製造性にも優れる。詳しくは、以下の通りである。
【0015】
(絶縁性に優れる点)
ボビンに一体の隔壁部が、コイルを構成する巻線の一端部と金属ケースとの間に介在されるため、巻線の一端部と金属ケースとの間の間隔が狭くても(例えば、3.5mm以下)、沿面距離を増大できる。また、隔壁部がボビンに一体であり、このボビンがコイルと磁性コアとに組み付けられた状態が維持されるため、金属ケースに対してコイルと磁性コアとが位置決めされると、金属ケースに対する隔壁部の位置も決められ、かつ、この隔壁部の位置が実質的にずれることが無い。即ち、金属ケースに対する隔壁部の位置が、所定の位置に正確に配置された状態が維持される。従って、上記のリアクトルは、上記巻線の一端部と金属ケースとの間の沿面放電を防止できる。
【0016】
(小型である点)
巻線の一端部が金属ケースの内周面に沿って開口縁に向かって上方に引き出されている、代表的には開口縁から突出している場合でも、巻線の一端部と金属ケースとの間の間隔を、隔壁部を収納可能な範囲で狭くできる。そのため、金属ケースを小さくできる。
【0017】
(製造性に優れる点)
上記のリアクトルは、隔壁部を一体に備える特定のボビンを構成部品とするため、上述の絶縁材が独立した部材である場合に比較して、部品点数及び工程数が少ない。また、ボビンが、コイル及び磁性コアに支持されて、ケースに対しても位置決めされることで、隔壁部自体も、コイル及び磁性コアに支持されると共に、金属ケースに対して位置決めされ、実質的に位置ずれしない。そのため、隔壁部をケースに固定するための上述の加工や固定部材が別途不要である。
【0018】
(2) 上記のリアクトルの一例として、上記隔壁部が上記金属ケースの内周面に沿って配置される内板部と、上記内板部から上記金属ケースの開口縁に延びて、上記開口縁の一部に支持される縁被覆部とを備える形態が挙げられる。
【0019】
上記形態は、縁被覆部が金属ケースの開口縁に支持されている、換言すれば、開口縁の一部が縁被覆部によって覆われている。そのため、上記形態は、巻線の一端部と金属ケースの開口縁との間の沿面距離を増大でき、沿面放電をより防止し易い。この縁被覆部を備える形態は、巻線の一端部が金属ケースの開口縁の近傍に配置される場合(開口縁から突出する場合を含む)に効果的である。また、組合体を金属ケースに収納する際に縁被覆部を金属ケースの開口縁への当たり止めとして利用でき、組合体を金属ケースに対して容易に位置決めできる。この点から、上記形態は、製造性により優れる。
【0020】
(3) 上記のリアクトルの一例として、上記巻線の一端部が上記金属ケースの内周面に沿って上記金属ケースの開口縁に向かう方向に引き出されて、上記金属ケースから露出されている形態が挙げられる。
【0021】
上記形態は、代表的には、巻線の一端部が金属ケースの内周面及び開口縁に近接配置されるといえる。この形態でも、隔壁部によって、巻線の一端部と金属ケースとの間の絶縁性に優れる。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るリアクトルを具体的に説明する。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
【0023】
[実施形態1]
図1〜
図9を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
(リアクトル)
・全体構成
リアクトル1は、巻線2wを螺旋状に巻回したコイル2と、コイル2の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との間に介在されるボビン5と、コイル2と磁性コア3とボビン5とを含む組合体10を収納する金属ケース4とを備える。ボビン5は、コイル2と磁性コア3との間を絶縁する部材である。リアクトル1は、このボビン5が特定の隔壁部53を一体に備える点を特徴の一つとする。以下、構成要素ごとに詳細に説明する。
【0024】
・コイル
コイル2は、
図1,
図7に示すように1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して形成された一対の筒状(ここでは角部を丸めた四角筒状)の巻回部2a,2bと、巻線2wの一部から形成されて両巻回部2a,2bを接続する連結部2rとを備える。各巻回部2a,2bは、各軸方向が平行するように横並び(並列)されている。この例では、巻線2wは、平角線の導体(銅など)と、この導体の外周を覆う絶縁被覆(ポリアミドイミドなど)とを備える被覆平角線(いわゆるエナメル線)であり、巻回部2a,2bはエッジワイズコイルである。
【0025】
巻線2wの両端部2ea,2ebはいずれも、巻回部2a,2bから適宜な方向に引き出されて、その先端(導体)に端子金具8,8(
図9)が接続される。コイル2は、端子金具8,8を介して電源などの外部装置(図示せず)に電気的に接続される。
【0026】
巻線2wの両端部2ea,2ebの引出方向は、巻線2wを適宜屈曲することで変更できる。この例では、巻線2wの両端部2ea,2ebはいずれも、
図7に示すように巻回部2a,2bの軸方向に直交方向(ここでは上下方向)に引き出されている。特に、両端部2ea,2ebは、途中で巻線2wを屈曲させることなく、巻回部2a,2bの巻回方向に沿ってそのまま引き出されている。そのため、両端部2ea,2ebはいずれも、巻回部2a,2bの外周面に沿って配置されている。かつ両端部2ea,2ebは、
図1に示すように金属ケース4に組合体10が収納された状態で、ケース4の開口縁43に向かう方向(上下方向の上方)に引き出されて、開口縁43から露出されるように、引出方向及び巻回部2a,2bからの引き出し長さが調整されている。一方の巻回部2bを構成する巻線2wの一端部2ebは、
図1に示すようにケース4の内周面4iに沿って配置されると共に、ケース4の開口縁43の近傍に配置されている。他端部2eaは、巻回部2a,2b間に配置され、ケース4の開口縁43から十分に離れている。
【0027】
・磁性コア
磁性コア3は、
図7に示すように複数の柱状のコア片31m,…と、一対のU字状のコア片32m,32mと、コア片間に介在されるギャップ材31g,…とを備える。コア片32m,32mは、U字の開口部が向かい合うように配置され、コア片31mとギャップ材31gとの積層物が、コア片32m,32m間に配置される。この配置によって、磁性コア3は環状に組み付けられ、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。磁性コア3におけるコア片31mとU字状のコア片32mの一部は、コイル2の巻回部2a,2b内に配置される部分(以下、収納部分と呼ぶことがある)を構成し、U字状のコア片32mの残部は、コイル2が配置されず、コイル2から突出した部分を構成する。
【0028】
コア片31m,32mは、軟磁性材料から構成される。コア片31m,32mは、鉄や鉄合金(Fe−Si合金、Fe−Ni合金など)といった軟磁性金属粉末や更に絶縁被覆を備える被覆粉末などを圧縮成形した圧粉成形体、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料などが利用できる。この例では、圧粉成形体としている。ギャップ材31gは、コア片31m,32mよりも比透磁率が小さい材料(例えば、アルミナなどの非磁性材)から構成される。
【0029】
この例では、コア片31mは、角部を丸めた直方体状であり、コア片32mは、コイル2が配置されない部分が角部を丸めた直方体状のブロックである。このブロックは、巻回部2a,2bの端面に対向する面(ここでは⊥状の平面。以下、内端面32eと呼ぶ)から巻回部2a,2b内に挿入されるように突出する部分を有する。この突出部分は、コイル2の巻回部2a,2b内に配置される部分を構成する。この突出部分は、コア片31mと同様に角部を丸めた直方体状である。
【0030】
また、この例では、U字状のコア片32mにおける上記ブロックは、その一面(ここでは下面)がコイル2と磁性コア3とを組み付けたときにコイル2の外周面(ここでは下面)と面一になるように設けられている。このようにコア片32mにおけるコイル2が配置されない部分が、巻回部2a,2b内に挿入される突出部分よりも下方に突出していることで、コイル2と磁性コア3とを組み付けたとき、両巻回部2a,2bの端面のうち、その周長の半分ぐらいが内端面32eに覆われる(
図2,
図8)。
【0031】
磁性コア3に備えるコア片及びギャップ材の個数、形状、大きさ、材質などは適宜変更できる。例えば、コア片32mを直方体状とし、上述の突出部分をコア片31mとすることができる。ギャップ材31gに代えて、エアギャップとすることができる。
【0032】
・金属ケース
金属ケース4は、組合体10を収納する容器であり、熱伝導性に優れる金属から構成される点を利用して、コイル2などの熱をコンバータケースといった設置対象(図示せず)に伝達する放熱経路として機能する。ケース4内には、代表的には、組合体10を封止する封止樹脂100(
図9)が充填され、ケース4への組合体10の固定、一体性の向上、熱伝達性の向上などが図られる。その他、ケース4は、組合体10に対する環境からの保護、機械的保護などを図る。ケース4を構成する金属は、熱伝導性に優れ、更には軽量であるアルミニウムやアルミニウム合金などが好適に利用できる。その他の金属として、マグネシウムやマグネシウム合金などが挙げられる。
【0033】
金属ケース4は、
図1などに示すように組合体10が載置される底部と、底部から立設され、組合体10の周囲を囲む側壁部41とを備え、底部に対向する側(ここでは上側)が開口した箱体である。この例では、ケース4は、組合体10の外周形状(ここでは直方体状、
図2,
図8)に対応して、直方体状である(
図1,
図6,
図8)。ケース4の形状は適宜選択できるが、この例に示すように組合体10の外周形状と相似状などとすると、小型にし易い。なお、この例では、直方体状のケース4の四つの角部が若干突出している。この突出部分は、後述の固定板90(
図9)をケース4に固定するボルト9(
図9)の固定箇所である。この突出部分を省略してもよい。
【0034】
金属ケース4の大きさ(容積、幅(コイル2の巻回部2a,2bの横並び方向に沿った大きさ)、長さ(コイル2の巻回部2a,2bの軸方向に沿った大きさ)、高さ(底部から開口縁43までの距離)、厚さなど)は小さいほど小型で好ましい。例えば、組合体10を収納した状態で組合体10の上方に設けられるデッドスペースが小さいほど、即ち、ケース4の高さが小さいほど、設置対象からの高さが小さく(嵩が低く)、小型になり易い。この例では、ケース4の底部から開口縁43に向かって開口部が広くなるように側壁部41の内周面が傾斜しており、底部から開口縁43に亘って側壁部41の厚さが順次薄くなっている。即ち、側壁部41の断面形状は台形状である。このため、ケース4は、開口部がより広くて組合体10を収納し易く、この点からリアクトル1の製造性に優れる。ケース4の厚さをその全体に亘って均一的にしてもよい。
【0035】
金属ケース4の幅は、組合体10を収納した状態で、巻線2wの一端部2ebとケース4の内周面4iとの間の距離d(
図6)が絶縁距離を確保可能な範囲でできるだけ小さく設けられていることが好ましい。距離dが小さいほどコイル2とケース4とが近接配置されている、即ち上記幅が狭いといえ、ケース4が小さいといえる。ケース4が小さいことでリアクトル1を小型にできる。距離dは、例えば、2mm以上3.5mm以下が挙げられ、この例では3.0mm程度である。
【0036】
・ボビン
・・概要
ボビン5は、
図7に示すようにコイル2の内周面と磁性コア3(ここでは主としてコア片31m及びU字状のコア片32mの突出部分)の外周面との間に介在されて、両者の絶縁を確保するコイル内部分と、コイル2の端面とコア片32mの内端面32eとの間に介在されて、両者の絶縁を確保するコイル外部分とを備える。この例では、コイル2の軸方向に分割される一対の分割ボビン50a,50bを組み合わせて、一つのボビン5を構成する。
【0037】
各分割ボビン50a,50bは、上記コイル内部分として複数の板片から構成される内側介在部51を備え、上記コイル外部分として、中央に二つの貫通孔52h,52hを有する平板状の枠部52を備え、両部51,52が一体成形されている。リアクトル1は、一方の分割ボビン50aに、枠部52に一体に支持される隔壁部53を更に備える。隔壁部53は、
図1に示すように主として金属ケース4の内周面4iに沿って配置されて内周面4iの一部を覆うことで、コイル2の巻線2wの一端部2ebとケース4(特に内周面4iの一部)との間の絶縁を確保する。即ち、ボビン5は、分割ボビン50a,50bによってコイル2と磁性コア3との間の絶縁の確保を行うことに加えて、分割ボビン50aによってコイル2とケース4との間の絶縁の確保をも行う。
【0038】
・・枠部
枠部52は、
図7に示すようにコイル2の巻回部2a,2bの端面に対向するコイル対向面522と、U字状のコア片32mの内端面32eに対向するコア対向面523とを有する平板材である。枠部52の中央部分には、磁性コア3における上述の収納部分(コア片32mの突出部分やコア片31mなど)がそれぞれ挿入される二つの貫通孔52h,52hを横並びに備える。この例では、貫通孔52h,52hは、上記収納部分の外形に沿った形状、即ち角部を丸めた長方形状である。枠部52の大きさは、巻回部2a,2bの端面に応じて調整するとよい。この例では、枠部52は、巻回部2a,2bの端面のうち、上側の領域を除く周長の3/4程度を覆う大きさである(
図2)。また、枠部52は、コイル対向面522とコア対向面523とを繋ぐ周縁520と巻回部2a,2bの外周面とが概ね面一となる大きさである(
図2)。そのため、枠部52は、コイル2の外周から実質的に突出しない(
図2,
図6)。
【0039】
・・内側介在部
内側介在部51を構成する複数の板片は、枠部52の各貫通孔52h,52hをつくる周縁からコイル2の巻回部2a,2b内にそれぞれ挿入されるように突出している。即ち、内側介在部51は、貫通孔52h,52hの軸方向に突出している。この例では、各内側介在部51は、断面L字状の板片であり、磁性コア3における上述の収納部分の外周面のうち四つの角部上にそれぞれ配置される。そのため、一つの貫通孔52hをつくる周縁に対して、四つの内側介在部51〜51を備える。内側介在部51の形状、個数、大きさなどは適宜変更できる。例えば、断面L字状の板片に代えて、上述の収納部分の周囲を囲む筒状体としたり、断面Π字状の部材とし、上記収納部分の一面又は対向する二面を覆ったりすることができる。内側介在部51は、巻回部2a,2bと上記収納部分との間に介在されて、両者の位置決めも行う。
【0040】
・・隔壁部
一方の分割ボビン50aに備える隔壁部53は、平板状の内板部530を主体とし、金属ケース4に組合体10が収納された状態で、巻線2wの一端部2ebとケース4との間に介在される(
図1)。隔壁部53は、
図2〜
図5に示すように枠部52の周縁520のうち、コイル2の一方の巻回部2bを構成する巻線2wの一端部2ebが近接される領域(ここでは上方領域)に、コア対向面523に直交するように、即ち、貫通孔52hの軸方向に平行に設けられている。この例では、隔壁部53は、枠部52に直交に支持される内板部530と、内板部530に連続し、内板部530から突出する縁被覆部533とを備える。
【0041】
・・・内板部
以下、主として、
図2〜
図6を参照して内板部530を説明する。内板部530は、金属ケース4に組合体10が収納された状態で、ケース4の内周面4iに沿って、平面状の内周面4iに平行に配置される部分である(
図1,
図6)。内板部530は、巻線2wの一端部2ebとケース4(
図1,
図6)との間に所定の沿面距離を確保可能な大きさ(面積、幅W
53、長さH
53、厚さなど)を有していれば、適宜な形状とすることができる。この例では、内板部530は、
図3,
図5に示すように長方形状の基部530bと、枠部52の周縁520に連結される三角形状の連結部530jとを備え、巻回部2b側からみて¬形状である(
図2)。
図2,
図3,
図5において、内板部530に付した二点鎖線は、基部530bと連結部530jとの仮想境界を示すが、両部530b,530jは連続した一体成形物である。基部530bが主として、沿面距離の増大領域として機能する。連結部530jは、基部530bと枠部52との間の連結領域として機能し、任意の形状をとり得る。基部530bを有していれば、連結部530jは省略してもよい。連結部530jを設けることで、基部530bを強固に支持できる。
【0042】
この例では、
図6に示すように、コイル2とボビン5とが組み付けられた状態で巻線2wの一端部2ebを中心として、その左右に概ね等しい沿面距離の確保領域(コイル2の軸方向に沿った領域)が設けられるように、基部530bは、連結部530jを介して枠部52に支持される。より具体的には、基部530bの中心に一端部2ebが配置された場合に、この一端部2ebを中心として、基部530bにおける一方の領域(
図6では下側領域)について金属ケース4の内周面4iに沿った大きさを幅W
531とし、他方の領域(
図6では上側領域)について同大きさを幅W
532とするとき、幅W
531と幅W
532とが実質的に等しくなるように、基部530bが設けられている。基部530bの形状は適宜変更できる。例えば、基部530bの少なくとも一面を凹凸形状とし、表面積を大きくすると沿面距離をより増大できる。この例に示すように長方形状とすると、幅W
531と幅W
532とが等しい絶縁領域を容易に確保できる。また、基部530bが長方形状であれば、単純な形状であるため成形し易く、ボビン5の製造性に優れる。更に、この例では、基部530b及び後述の縁被覆部533の周縁にR面取りがなされて丸められており、角張っていない。この点からも、成形性に優れる。
【0043】
内板部530(基部530b)の大きさは、コイル2の端部2ebからの沿面放電を防止するために、所定の沿面距離以上となるように、巻線2wの大きさ(ここでは厚さ)や通電電流値などを考慮して適宜設定するとよい。例えば、内板部530(基部530b)において、枠部52の貫通孔52hの軸方向に沿った大きさを幅W
53とすると、幅W
53(幅W
531,W
532)が大きいほど(長いほど)、沿面距離を増大できる。この例では、幅W
53は、30mm程度である。
【0044】
内板部530(基部530b)において、枠部52の周縁520の延長方向(
図3,
図4では上下方向)に沿った大きさを長さH
53とすると、長さH
53が大きいほど(長いほど)、沿面距離を増大できる。特に、金属ケース4に組合体10(
図6)が収納された状態で内板部530がケース4から突出するほどに長さH
53が長ければ、更にはケース4から突出する巻線2wの一端部2eb(
図6)よりも突出するほどに長さH
53が十分に長ければ、巻線2wの一端部2ebとケース4の開口縁43との間を内板部530によって隔絶できる。その結果、巻線2wの一端部2ebとケース4の開口縁43との間の沿面放電を防止できる。従って、内板部530(基部530b)の長さH
53として、ケース4に組合体10が収納された状態で、ケース4の開口縁43よりも突出する長さを有する形態が挙げられる。長さH
53が長過ぎると、ケース4から突出する内板部530によって、リアクトル1(
図6)を設置対象に設置したときに嵩が高くなり、大型化を招く。そのため、長さH
53は、コイル2の端部2ebからの沿面放電を防止できる範囲で、リアクトル1の嵩が小さくなるように設定することが好ましい。
【0045】
この例に示すように後述の縁被覆部533を備える場合、巻線2wの一端部2ebとケース4の開口縁43との間の沿面放電を縁被覆部533によって防止できる。従って、長さH
53は、ケース4に組合体10が収納された状態で、ケース4の開口縁43と実質的に面一になる大きさ(長さH
53の最小値)とすることができる。
【0046】
内板部530(基部530b)の厚さが厚いほど、沿面距離を増大できる。また、ボビン5を射出成形などで製造する場合、ある程度厚い方が成形し易く、製造性に優れる。但し、内板部530が厚過ぎると、隔壁部53を介在させる巻線2wの一端部2ebと金属ケース4の内周面4iとの間の間隔d(
図6)を大きくしなければならず、ケース4の大型化、ひいてはリアクトル1の大型化を招く。従って、内板部530の厚さは、強度を確保でき、巻線2wの一端部2ebとケース4の内周面4i間に挿入可能な範囲で選択することが好ましく、間隔d未満が挙げられる。
【0047】
・・・縁被覆部
縁被覆部533は、金属ケース4に組合体10が収納された状態で、ケース4の開口縁43に沿って配置されて、開口縁43の一部に支持される部分である。即ち、縁被覆部533は、内板部530から開口縁43に延びて、開口縁43の一部を覆うように配置される(
図1,
図6)。この配置によって、縁被覆部533は、コイル2の巻線2wの一端部2ebと開口縁43との間の沿面放電を防止できる。
【0048】
この例では、縁被覆部533は、
図2〜
図4に示すように内板部530に対して直角に連続する長方形状の板片であり、枠部52における貫通孔52h,52hの横並び方向外側(
図2〜
図4では左側)に延びている。端的に言うと、縁被覆部533は、横長の長方形状の内板部530について長辺側の領域(貫通孔52hの軸方向に平行な領域)を直角に折り曲げることで形成されたような横長の長方形状の部分である。そのため、縁被覆部533の長手方向は、貫通孔52hの軸方向に平行である。縁被覆部533の形状も適宜選択できる。この例に示すように長方形状の板片とすると、単純な形状であるため成形し易く、ボビン5の製造性に優れる上に、金属ケース4の開口縁43に容易に配置でき、リアクトル1の製造性にも優れる。その他の形状の具体例は、後述の変形例1−2で説明する。
【0049】
縁被覆部533の大きさは、内板部530(基部530b)と合わせて、所定の沿面距離以上となるように、巻線2wの大きさ(ここでは厚さ)や通電電流値などを考慮して適宜設定できる。
【0050】
例えば、縁被覆部533における枠部52の貫通孔52hの軸方向に沿った大きさを幅とすると、この幅は、内板部530の幅W
53と同等、又は同等以上とすることが好ましい。縁被覆部533の幅を幅W
53と同等とすれば、沿面距離を確保できる上に、内板部530と縁被覆部533とを一体に備える分割ボビン50aを成形し易い。一方、縁被覆部533の幅を幅W
53よりも大きくすれば、開口縁43の被覆領域が大きくなるため、巻線2wの一端部2ebと開口縁43との間の沿面放電を更に防止し易い。この例では、縁被覆部533の幅は、幅W
53と同等としている。
【0051】
例えば、縁被覆部533における枠部52の貫通孔52hの横並び方向に沿った大きさを内板部530からの突出長さL
53とすると、突出長さL
53は、金属ケース4に組合体10を収納した状態で、金属ケース4の開口縁43を被覆可能な大きさを有していればよい。この例に示すように上記突出長さL
53を、ケース4の外周面に実質的に面一となる大きさとすれば(
図6)、沿面距離を確保できる上に、ケース4の開口縁43から縁被覆部533が実質的に突出しない。そのため、縁被覆部533のケース4の外周面からの突出によるリアクトル1の大型化を防止できる。縁被覆部533の突出長さL
53をより大きくすれば、沿面距離を更に増大できる。
【0052】
縁被覆部533の厚さは、内板部530(基部530b)の厚さと異ならせることができるが、同等とすると、絶縁性に優れる上に、内板部530と縁被覆部533とを一体に備える分割ボビン50aを成形し易く、製造性に優れる。この例では、縁被覆部533の厚さと内板部530の厚さとは同等である。
【0053】
・・材質
ボビン5の構成材料は、絶縁性材料、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6、ナイロン66、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。上記の樹脂を射出成形などの公知の方法によって所定の形状に成形することで、複雑な立体であるボビン5であっても、容易に製造できる。
【0054】
・・その他の構成
この例のボビン5は、各分割ボビン50a,50bのそれぞれに庇部524、仕切り部527、リブ528を備える(
図6,
図7など)。
【0055】
庇部524は、
図3,
図7などに示すように長方形状の板片であり、枠部52のコア対向面523から貫通孔52hの軸方向に沿ってコイル2から離れる方向に突出している。即ち、庇部524は、枠部52に対して直交に設けられている(
図5も参照)。一方の分割ボビン50aの庇部524は、
図3,
図5に示すように内板部530に連結されて内板部530の支持部として機能する。即ち、この例では内板部530は、枠部52の周縁520と庇部524とでΓ字状につくられる支持部分によって支持されて、強固な支持構造となっている。他方の分割ボビン50bの庇部524は、
図6に示すようにコイル2の連結部2rと磁性コア3のコア片32mの上面との間に介在されて、両者を絶縁する。
【0056】
仕切り部527は、
図6,
図7に示すように枠部52のコイル対向面522からコイル2側に向かって突出する板片である。仕切り部527は、コイル2の巻回部2a,2b間に介在されて、巻回部2a,2b同士の絶縁を確保する。
【0057】
リブ528は、枠部52を補強する部分である。この例では、
図4,
図6に示すように枠部52のコア対向面523から、磁性コア3のコア片32m側に向かって突出する直方体状の突条であり、枠部52の両縁寄りにそれぞれリブ528,528を備える。リブ528の形状、個数は適宜変更できる。また、リブ528を設けることに代えて、枠部52に部分的に厚い部箇所などを設けて補強することができる。補強部分を設けずに、枠部52の厚さを概ね一様とすることもできる。
【0058】
(リアクトルの製造方法)
図7〜
図9を主に参照して、リアクトル1の製造方法の一例を説明する。
まず、
図7に示すようにコア片31mとギャップ材31gとの積層物を二つ作製する。各積層物をそれぞれコイル2の巻回部2a,2b内に挿入すると共に、一方の巻回部2aの内周と一方の積層物の外周との間、他方の巻回部2bの内周と他方の積層物の外周との間に分割ボビン50a,50bの内側介在部51…を挿入する。この挿入の際に、ボビン5の内側介在部51及び仕切り部527をガイドに利用でき、組付作業性に優れる。更に、一対の積層物の端面とU字状のコア片32mにおける上述の突出部分の端面とが接するように一対の積層物と一対のコア片32m,32mとを組み付けて、環状の磁性コア3を形成する。
【0059】
上記の工程により、コイル2と磁性コア3とボビン5とを備える組合体10が得られる(
図8)。各積層物はそれぞれ、ボビン5の内側介在部51によって巻回部2a,2b内における所定の位置に配置される。また、巻線2wの一端部2ebの幅方向の面が分割ボビン50aの枠部52のコイル対向面522(
図7)に対向し、一端部2ebの厚さ方向の面(側面)が隔壁部53の内板部530に覆われるように、コイル2とボビン5とが組み付けられる。巻線2wの他端部2eaは、その幅方向の面が分割ボビン50aの枠部52のコイル対向面522に対向し、側面が仕切り部527に覆われる(
図6)。分割ボビン50a,50bの枠部52のコア対向面523,523は、U字状のコア片32m,32mの内端面32e(
図7)に覆われる。
【0060】
図8に示すように、組合体10を金属ケース4に収納する。接合層7(後述)を設ける場合には、接合層7となる接着シートなどもケース4に収納する。このとき、ボビン5の分割ボビン50aに備える隔壁部53の内板部530をケース4の内周面4iに沿わせて組合体10をケース4に挿入し、縁被覆部533がケース4の開口縁43に接触するまで組合体10をケース4の底面4dに押し付ける。内板部530を側壁部41の内周面4iに沿わせることで、コイル2の巻線2wの一端部2ebと金属ケース4との間の間隔(距離d)が狭くても、組合体10を収納し易く、作業性に優れる。この工程により、コイル2と磁性コア3とボビン5とケース4とを備え、巻線2wの一端部2ebとケース4との間に隔壁部53が介在するリアクトル1が得られる(
図1,
図6)。この例では、上述のように、隔壁部53の内板部530がケース4の内周面4iに概ね沿って配置され、縁被覆部533がケース4の開口縁43の一部を覆う。
【0061】
図9に示すように、封止樹脂100を備えるリアクトル1とする場合には、組合体10を収納した金属ケース4内に封止樹脂100の構成樹脂(未硬化樹脂)を充填した後、適宜固化(硬化)するとよい。封止樹脂100には、エポキシ樹脂やウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などが利用できる。組合体10に対する封止樹脂100による被覆領域は適宜選択できる。
図9に示す例では、コイル2の外周面の一部(上面)を封止樹脂100から露出させた形態を示す。組合体10の全体を封止樹脂100に埋設させてもよい。また、
図9に示す例では、磁性コア3のコア片32mの上に帯状の固定板90を配置し、固定板90の両端をそれぞれボルト9,9によってケース4に固定している。こうすることで、組合体10をケース4により確実に固定できる。固定板90及びボルト9を省略してもよい。
【0062】
(作用効果)
実施形態1のリアクトル1は、ボビン5に一体に備える隔壁部53がコイル2の巻線2wの一端部2ebと金属ケース4との間に介在されるため、両者間の間隔(距離d)が狭くても、沿面距離を十分に確保できる。隔壁部53がボビン5に一体であるため、ケース4に対する組合体10の位置決めを行うことで、隔壁部53の位置決めも高精度に行える上に、その位置が実質的にずれることが無い。従って、リアクトル1は、巻線2wの一端部2ebとケース4との間の沿面放電を防止でき、絶縁性に優れる。特に、リアクトル1では、隔壁部53にケース4の内周面4iを覆う内板部530に加えて、開口縁43を覆う縁被覆部533をも備えるため、一端部2ebとケース4の開口縁43との間の沿面放電をより確実に防止できる。
【0063】
また、リアクトル1は、上記距離dを狭くできるため、金属ケース4を小さくできて、小型である。特に、リアクトル1は、ケース4の開口縁43と実質的に面一となるように内板部530の長さH
53を調整している。また、リアクトル1は、ケース4の外周面と実質的に面一となるように、縁被覆部533の突出長さL
53を調整している。これらの点から、リアクトル1は、ボビン5におけるケース4の開口縁43からの突出部分が実質的に存在せず、小型である。
【0064】
更に、リアクトル1は、隔壁部53がボビン5の一部であるため、部品点数及び組立工程数が少なく、製造性に優れる。特に、隔壁部53の位置決めを容易にかつ精度よく行えるため、位置決めのための時間が実質的に不要である上に、位置決めのための部材や位置を固定しておく部材なども不要である。また、隔壁部53がボビン5の一部であるため、上記距離dが狭いといった狭小領域に別途部材を挿入する場合に比較して、隔壁部53を容易に配置できる。更に、隔壁部53は、ボビン5がコイル2と磁性コア3とに支持されることに付随してコイル2及び磁性コア3に支持されるため、隔壁部53を金属ケース4に固定するための固定部材も不要である。これらの点からも、リアクトル1は、製造性に優れる。
【0065】
特に、リアクトル1では、1.ボビン5が内側介在部51と枠部52とを一体に備える一対の分割ボビン50a,50bの組物であるため、コイル2及び磁性コア3に組み付け易い点、2.ボビン5が縁被覆部533を備えることで、縁被覆部533を、金属ケース4に組合体10を収納するときの位置決めに利用できる点、3.コイル2をエッジワイズコイルとしているものの、巻線2wの巻回方向に沿って両端部2ea,2ebをそのまま引き出しているため、引き出し部分の形成が容易であり、コイル2の製造性に優れる点、からも製造性に優れる。
【0066】
[変形例1−1]
実施形態1のリアクトル1では、ボビン5が縁被覆部533を備える形態を説明した。絶被覆部を省略した形態とすることができる。この形態では、巻線2の一端部2ebと金属ケース4の開口縁43と間の絶縁性を高めるために、内板部530の長さH
53を大きくすること、具体的には、内板部530が、金属ケース4に組合体10が収納された状態で金属ケース4の開口縁43から上方に突出する延長領域を備えることが挙げられる。この延長領域は、金属ケース4の内周面4iの仮想延長面に沿って配置される。延長領域の大きさ(開口縁43からの突出長さ)は適宜選択でき、大きいほど沿面距離を増大できる。但し、突出長さが大き過ぎると、上述のように嵩が高くなるため、所定の沿面距離が確保できる範囲で突出長さを選択するとよい。例えば、ケース4に組合体10が収納された状態において、巻線の一端部2eb(端子金具8)の先端位置と延長領域の先端位置とが同等又は延長領域の方が若干高い程度とすることができる。
【0067】
変形例1−1の形態は、上記延長領域を備えることで、巻線2の一端部2ebと金属ケース4の開口縁43との間の沿面放電を防止でき、絶縁性に優れる。
【0068】
[変形例1−2]
実施形態1のリアクトル1では、ボビン5の縁被覆部533が平板状である形態を説明した。縁被覆部を、平板状の内板部530と合わせて断面П字状(逆U字状)になる形態とすることができる。具体的には、実施形態1の縁被覆部533の板片に、平板状の内板部530と平行する延長板片を有するように、縁被覆部を設ける。このような断面П字状の隔壁部は、金属ケース4に組合体10を収納した状態で、一部(内板部530)が内周面4iに沿って配置され、他部(縁被覆部の一部である板片)が開口縁43を覆い、更に他部(縁被覆部の他部である延長板片)がケース4の側壁部41の一部を覆うように配置される。
【0069】
変形例1−2の形態は、縁被覆部がより大きいことで、巻線2の一端部2ebと金属ケース4の開口縁43との間の沿面放電をより防止し易く、絶縁性により優れる。また、この断面П字状の隔壁部は、ケース4の開口縁43に掛止できるため、ケース4に対する位置ずれが生じ難い。更に、断面П字状の隔壁部をケース4の開口縁43に掛止させて、ケース4に隔壁部を密着させられることで、封止樹脂100の漏洩を防止できると期待される。詳しくは、ケース4内に封止樹脂100の構成樹脂(未硬化樹脂)を充填すると、内板部530におけるケース4との対向面とケース4の内周面4iとの間に生じ得る微小な隙間に毛管現象によって未硬化樹脂が侵入し得る。断面П字状の隔壁部であれば、縁被覆部の一部と開口縁43との間や上記延長板片と側壁部41の外周面との間に隙間を生じ難く、上記微小な隙間に未硬化樹脂が侵入した場合でも、内周面4iを経て開口縁43から漏れ出ることを防止し易い。
【0070】
・その他の構成部材
実施形態1のリアクトル1、変形例のリアクトルは、以下の部材を備えることができる。これらの部材の少なくとも一つを省略することもできる。
【0071】
・・接合層
組合体10の設置面(ここでは下面)のうち、少なくともコイル2の設置面(ここでは下面)に接合層7(
図8)を備えることができる。接合層7を備えることで、金属ケース4の底面4dにコイル2を強固に固定でき、コイル2の動きの規制、放熱性の向上、ケース4への固定の安定性などを図ることができる。接合層7の構成材料は、絶縁性樹脂、特にセラミックスフィラーなどを含有して放熱性に優れるもの(例えば、熱伝導率が0.1W/m・K以上、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上)が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。接合層7は、ケース4の底面4dに塗布してもよいが、シート状のものを用いると、配置し易く、リアクトルの製造性に優れる。
【0072】
・・放熱板
コイル2の外周面の任意の箇所に放熱板(図示せず)を備えることができる。例えば、コイル2の設置面(ここでは下面)に放熱板を備えると、コイル2の熱を、放熱板を介してケース4の底面4dに良好に伝えられて放熱性を高められる。放熱板の構成材料は、アルミニウムやその合金といった金属や、アルミナといった非金属などの熱伝導性に優れるものを利用できる。放熱板を組合体10の設置面(ここでは下面)全体に設けてもよい。放熱板は、例えば、上述の接合層7によってコイル2や組合体10に固定できる。
【0073】
・・端子台
端子金具8には、
図9に示す圧着接続を行う丸端子の他、銅などの平板を所定の形状に打ち抜いたり、適宜屈曲したりして成形したバスバが利用できる。バスバは、代表的には、その一部に巻線2wの各端部2ea,2ebが溶接や半田付けなどで接合される。他部は、端子台(図示せず)にボルトなどで固定されたり、端子台に埋設されたりする。端子台の構成材料は、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂が挙げられる。金属ケース4の一部(特に、巻線2wの両端部2ea,2ebに近い領域)に、この端子台を支持する支持台部(図示せず)を備えることができる。
【0074】
・・センサ
温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサなどのリアクトルの物理量を測定するセンサ(図示せず)を備えることができる。
【0075】
なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、巻回部が一つのみのコイルを備えるリアクトルとすることができる。