【解決手段】絶縁基板23、及び絶縁基板23の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターン42、44を含む磁性体本体50と、コイル導体パターン42、44の端部と連結されるように磁性体本体50の両端部に形成される外部電極31、32と、を含む。磁性体本体50の長さ方向の断面において、コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42’の厚さは残りのコイル導体パターン42、44の厚さより薄い構成とする。コイル導体パターン42、44の位置別線幅及びめっき厚さを調節する。
前記コイル導体パターンのうち最内側コイル導体パターンの幅をWo1、最外側コイル導体パターンの幅をWo2、及び前記最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅をWiとすると、Wo1<Wi<Wo2を満たす、請求項1に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅は同一である、請求項1または2に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最内側コイル導体パターンはパターンめっき層で構成され、残りのコイル導体パターンはパターンめっき層、及び前記パターンめっき層上に形成された電解めっき層を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅は同一である、請求項5または6に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最内側コイル導体パターンの厚さは、残りのコイル導体パターンの厚さより薄い、請求項5から7のいずれか一項に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最内側コイル導体パターンはパターンめっき層で構成され、残りのコイル導体パターンはパターンめっき層、及び前記パターンめっき層上に形成された電解めっき層を含む、請求項5から8のいずれか一項に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅をWiとすると、Wo1<Wi<Wo2を満たす、請求項10に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅は同一である、請求項10または11に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最内側コイル導体パターンの厚さは、残りのコイル導体パターンの厚さより薄い、請求項10から12のいずれか一項に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最内側コイル導体パターンはパターンめっき層で構成され、残りのコイル導体パターンはパターンめっき層、及び前記パターンめっき層上に形成された電解めっき層を含む、請求項10から13のいずれか一項に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最内側コイル導体パターンの幅をWo1、最外側コイル導体パターンの幅をWo2、及び前記最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅をWiとすると、Wo1<Wi<Wo2を満たす、請求項15に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅は同一である、請求項15または16に記載のチップ電子部品。
前記コイル導体パターンのうち最内側コイル導体パターンの厚さは、残りのコイル導体パターンの厚さより薄い、請求項15から17のいずれか一項に記載のチップ電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0024】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0025】
〈チップ電子部品〉
以下では、本発明の一実施形態によるチップ電子部品を説明するにあたり、特に、薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、本発明はこれに制限されない。
【0026】
図1は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の内部コイル導体パターンが現れるように示した概略斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の上部平面図であり、
図3は
図1のI−I'線に沿った断面図であり、
図4は
図3のA部分を拡大して示した概略図である。
【0027】
図1から
図4を参照すると、チップ電子部品の一例として電源供給回路の電源ラインに用いられる薄膜型インダクタ100が示される。上記チップ電子部品は、チップビーズ(chip beads)、チップフィルター(chip filter)などに適切に応用されることができる。
【0028】
上記薄膜型インダクタ100は、磁性体本体50、絶縁基板23、コイル導体パターン42、44を含む。
【0029】
上記薄膜型インダクタ100は、絶縁基板23上にコイル導体パターン42、44を形成した後、外部に磁性体材料を充填することで製作することができる。
【0030】
また、上記薄膜型インダクタ100の重要な性質である直流抵抗(Rdc)を改善させるためにはめっきの面積が重要となる。このため、高い電流密度を加えてめっきがコイルの上方向のみに成長できる異方性めっき工法を適用している。
【0031】
具体的には、上記インダクタのコイルを形成する絶縁基板のめっき工程は、まず1次パターンめっき工程を行った後、コイルの特定部分にはんだレジスト(Solder Resist、SR)またはドライフィルムレジスト(Dry Film Resist、DFR)などのような絶縁材を塗布して2次めっきを行う。
【0032】
上記1次パターンめっき工程によってパターンめっき層が形成される。上記工程は、絶縁基板上に感光性樹脂(Photo−Resist)を塗布し、フォトマスク(Photo Mask)によってコイル導体パターンを露光、転写して現像処理すると、光が届かない部分のレジスト(Resist)が残るようになるが、この状態においてめっきを行い、残りのレジスト(Resist)を除去すると上記パターンめっき層が形成されるようになる。
【0033】
上記1次パターンめっき工程の後に、絶縁基板上に2次めっきを行ってめっき層を成長させることにより、上記コイル導体パターン42、44を絶縁基板23の上部及び下部に配置させることができる。
【0034】
一般に、薄膜型インダクタの場合、高いインダクタンス(Inductance、L)及び低い直流抵抗(Rdc)が求められ、特に周波数別インダクタンス値の偏差が少なければならない場合に主に用いられる。
【0035】
磁性体本体50は、薄膜型インダクタ100の外観をなし、磁気特性を示す材料であれば制限されないが、例えば、フェライトまたは金属系軟磁性材料が充填されて形成されることができる。
【0036】
上記フェライトとしては、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ba系フェライト、Li系フェライトなどを用いることができる。
【0037】
また、上記金属系軟磁性材料としては、Fe、Si、Cr、Al、及びNiからなる群より選択されたいずれか1つ以上を含む合金を用いることができる。例えば、Fe−Si−B−Cr系非晶質金属粒子を用いることができるが、これに制限されない。
【0038】
上記金属系軟磁性材料の粒径は0.1μm〜30μmであることができ、エポキシ(epoxy)樹脂またはポリイミド(polyimide)などの高分子上に分散した形態で含まれることができる。
【0039】
磁性体本体50は六面体形状であることができ、本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、
図1に示されるL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向、厚さ方向を示す。
【0040】
上記磁性体本体50の内部に形成される絶縁基板23は、薄膜で形成され、めっきでコイル導体パターン42、44を形成することができる材質であれば特に制限されず、例えば、PCB基板、フェライト基板、金属系軟磁性基板などで形成されることができる。
【0041】
上記絶縁基板23の中央部は貫通されて孔を形成し、上記孔はフェライトまたは金属系軟磁性材料などの磁性体で充填されてコア部を形成することができる。磁性体で充填されるコア部を形成することにより、インダクタンス(Inductance、L)を向上させることができる。
【0042】
上記絶縁基板23の一面にコイル形状のパターンを有するコイル導体パターン42が形成されることができ、上記絶縁基板23の反対面にもコイル形状のパターンを有するコイル導体パターン44が形成されることができる。
【0043】
上記コイル導体パターン42、44は、スパイラル(spiral)形状のコイルパターンを含むことができる。また、上記絶縁基板23の一面及び反対面に形成されるコイル導体パターン42、44は、上記絶縁基板23に形成されるビア電極46によって電気的に接続されることができる。
【0044】
上記コイル導体パターン42、44及びビア電極46は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0045】
一方、図面に示されていないが、上記コイル導体パターン42、44の表面に絶縁膜が形成されることができる。
【0046】
上記絶縁膜は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光、現像を通じた工程、スプレー(spray)塗布、ディッピング(dipping)工程などの公知の方法で形成されることができる。
【0047】
上記絶縁膜は、薄膜で形成されるものであれば特に制限されないが、例えば、フォトレジスト(PR)、エポキシ(epoxy)系樹脂などを含んで形成されることができる。
【0048】
上記絶縁基板23の一面に形成されるコイル導体パターン42の一端部は上記磁性体本体50の長さ方向の一側面に露出することができ、上記絶縁基板23の反対面に形成されるコイル導体パターン44の一端部は上記磁性体本体50の長さ方向の他側面に露出することができる。
【0049】
上記磁性体本体50の長さ方向の両側面に露出する上記コイル導体パターン42、44と接続されるように長さ方向の両側面には外部電極31、32が形成されることができる。
【0050】
上記外部電極31、32は、上記磁性体本体50の厚さ方向の両側面及び/または幅方向の両側面に延長して形成されることができる。
【0051】
また、上記外部電極31、32は、上記磁性体本体50の下面に形成されることができ、上記磁性体本体50の長さ方向の両側面に延長して形成されることができる。
【0052】
即ち、上記外部電極31、32は、特に制限されず、多様な形状で配置されることができる。
【0053】
上記外部電極31、32は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、すず(Sn)、銀(Ag)などを単独で、またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0054】
図1を参照すると、上記コイル導体パターン42、44が上記磁性体本体50の下面に水平な形態で配置されているが、これに限定されず、下面に垂直な形態で配置されることもできる。
【0055】
本発明の一実施形態によると、上記磁性体本体50の長さ方向の断面において、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さtoは残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''の厚さtiより薄くてもよい。
【0056】
一般に、1次パターンめっき工程後の2次引込線めっき工程では、最外側パターンめっき層及び最内側パターンめっき層の他に、内部パターンめっき層が両方向に隣接するめっき層によってほぼ類似しためっき幅及び厚さを有する。
【0057】
これに対し、上記最外側パターンめっき層及び最内側パターンめっき層は、一方向に隣接するめっき層がないため、2次引込線めっき時に上記一方向に過度なめっきが形成される可能性がある。その結果、最外側及び最内側コイル導体パターンは残りのコイル導体パターンに比べてめっき幅がさらに広いことが一般的である。
【0058】
一方、インダクタを構成するコイル導体パターンは、最外側コイル導体パターンから最内側コイル導体パターンの順に、即ち、磁性体本体の外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなり厚さが薄くなるのがインダクタ特性を改善させるための最適のコイル構造であることができる。
【0059】
上述のように、磁性体本体の外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなり厚さが薄くなるのがインダクタ特性を改善させるための最適のコイル構造であることができるが、従来のコイル導体パターンを形成する方法では上記のような最適のコイル構造を具現することができなかった。
【0060】
即ち、薄膜型インダクタが求める高いインダクタンスを具現するためには、コイルのターン数を増加させたり、線幅が狭いコイルを用いなければならないが、この場合、コイルの直流抵抗(Rdc)値が増加し、高周波におけるコイルの交流抵抗も増加してインダクタの品質係数が低下するという問題が発生した。
【0061】
これに対し、本発明の一実施形態によると、上記磁性体本体50の長さ方向の断面において、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さtoが残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''の厚さtiより薄くなるように調節することにより、最適のコイル構造を具現することができるため、チップインダクタの品質係数、即ち、Q特性を改善させることができ、直流抵抗(Rdc)特性の改善効果に優れる。
【0062】
上記最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さtoが残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''の厚さtiより薄くなるように調節することにより、高周波におけるコイルの交流抵抗の増加を抑制してチップインダクタの品質係数、即ち、Q特性を改善させることができる。
【0063】
また、上記最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さtoが残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''の厚さtiより薄くなるように調節することにより、磁性体の体積が増加してインダクタンスを向上させるとともに、直流抵抗(Rdc)を改善させるという効果を有することができる。
【0064】
図3には、上記最内側コイル導体パターン42'、44'が一つであるように示されているが、これに限定されず、上記最内側コイル導体パターン42'、44'は隣接する2つ以上のコイル導体パターンであってもよい。
【0065】
本発明の一実施形態によると、後述のように、上記最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成されることができ、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''はパターンめっき層、及びその上部に電解めっき層42b、44bをさらに含むことができる。このため、上記最内側コイル導体パターン42'、44''は、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''とは異なって厚さがさらに薄くてもよい。
【0066】
また、上記最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成され、その断面形状が四角形に近いことから、同一の空間に占める面積がさらに広いため直流抵抗(Rdc)が改善されることができる。
【0067】
上記のように、最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さtoが残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''の厚さtiより薄くなるように調節して、上記磁性体本体50の外部から内部に向かってコイルの厚さが薄くなる最適のコイル構造を具現する方法は、特に制限されないが、例えば、上記最内側コイル導体パターン42'、44'に2次引込線めっきを適用する場合、厚さ方向の成長を抑制する方法が挙げられる。
【0068】
具体的には、上記最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さ方向の成長を抑制する方法は、最内側コイル導体パターン42'、44'の側面及び上部にダム(Dam)を設置することで具現されることができる。
【0069】
即ち、最内側コイル導体パターン42'、44'の側面及び上部に所定の間隔を置いてダム(Dam)を設置することにより、最内側コイル導体パターン42'、44'に2次引込線めっきを適用しても厚さ方向の成長を抑制することができる。
【0070】
より具体的には、最内側コイル導体パターン42'、44'を形成するために、1次で形成したパターンめっき層42a、44aの側面及び上部にダム(Dam)を設置することにより、2次引込線めっきによる電解めっき層42b、44bが形成されないように調節することができる。これにより、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''に比べて厚さがさらに薄い形状を具現することができる。
【0071】
上記ダム(Dam)を用いて最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さ方向の成長を抑制する方法は、コイルとダム(Dam)との間に狭い空間を形成することにより、その空間に流入される銅イオン(Cu
2+)物質の移動及び拡散を抑制させて最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さ方向の成長を最小限にすることである。
【0072】
上記ダム(Dam)は、特に制限されないが、ドライフィルムレジスト(Dry Film Resist、DFR)またははんだレジスト(Solder Resist、SR)などの一般的な絶縁性材質であれば適用できる。また、その形状にも特に制限はなく、高さにも制限されないが、目標とするコイル導体パターンの高さ以上に設置することが好ましい。
【0073】
上記コイル導体パターンの形状を形成する工程は一つの実施例に過ぎず、これに限定されるわけではなく、多様な方法が適用されることができる。
【0074】
図3には、上記パターンめっき層42a、44aで構成される最内側コイル導体パターン42'、44'が一つであるように示されているが、これに限定されず、上記最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成される隣接する2つ以上のコイル導体パターンであってもよい。
【0075】
一方、本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の幅をWo1、最外側コイル導体パターン42'''、44'''の幅をWo2、及び上記最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターン42''、44''の幅をWiとすると、Wo1<Wi<Wo2を満たすことができる。
【0076】
インダクタを構成するコイル導体パターンは、上述のように、最外側コイル導体パターンから最内側コイル導体パターンの順に、即ち、磁性体本体の外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなるのがインダクタ特性を改善させるための最適のコイル構造であることができる。
【0077】
しかし、一般の基板めっき工程では、上記のような最適のコイル構造を具現することができないため、インダクタ特性の改善に限界があった。
【0078】
本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の幅Wo1、及び隣接する内部コイル導体パターン42''、44''の幅WiがWo1<Wiを満たすように調節することにより、外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなる最適のコイル構造を具現することができるため、チップインダクタの品質係数、即ち、Q特性を改善させることができる。
【0079】
上記コイル導体パターン42、44のうち最外側コイル導体パターン42'''、44'''の幅、最内側コイル導体パターン42'、44'の幅、及び内部コイル導体パターン42''、44''の幅とは、
図3及び
図4のように、上記磁性体本体50の長さ方向の断面における各コイル導体パターンの左側端面から右側端面までの距離と定義することができる。
【0080】
一般に、薄膜型インダクタの重要な性質である直流抵抗(Rdc)を改善させるためにはめっきの面積が重要となる。このため、高い電流密度を加えてめっきがコイルの上方向のみに成長できる異方性めっき工法を適用している。
【0081】
異方性めっき工法とは、低い無機物濃度において高い電流の密度を印加することにより、コイルの幅方向への成長を制御し、上方向のみに成長させてコイル導体パターンの高い横縦比(Aspect Ratio、A/R)を具現することにより、コア面積を確保して効率低下を発生させないとともに、直流抵抗(Rdc)を改善させる技術のことである。
【0082】
しかし、従来の異方性めっき工法を用いたチップインダクタのコイル形成技術は、最外側及び最内側コイルの場合、幅方向への成長もともに行われて均一ではない断面積を有するという問題があった。
【0083】
チップ電子部品の重要な特性の一つである直流抵抗(Rdc)は、コイルの断面積が大きいほど低い値を有し、同一体積のコイルである場合、断面積が均一である場合にさらに低い抵抗値を有するようになる。
【0084】
上記最外側及び最内側コイルの場合、幅方向への成長もともに行われて均一ではない断面積を有するようになると、チップインダクタの重要な性質の直流抵抗(Rdc)を改善できなくなるという問題がある。
【0085】
本発明の一実施形態によると、上記のように外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなる最適のコイル構造を具現することができるため、直流抵抗(Rdc)特性を改善させることができるようになる。
【0086】
上記のようにコイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の幅Wo1、及び隣接する内部コイル導体パターン42''、44''の幅WiがWo1<Wiを満たすように調節して、外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなる最適のコイル構造を具現する方法は、特に制限されないが、例えば、上記最内側コイル導体パターン42'、44'に2次引込線めっきを適用する場合、幅方向の成長を抑制する方法が挙げられる。
【0087】
具体的には、上記最内側コイル導体パターン42'、44'の幅方向の成長を抑制する方法は、上述のように、最内側コイル導体パターン42'、44'の側面及び上部にダム(Dam)を設置することで具現されることができる。
【0088】
即ち、最内側コイル導体パターン42'、44'の側面及び上部に所定の間隔を置いてダム(Dam)を設置することにより、最内側コイル導体パターン42'、44'に2次引込線めっきを適用しても幅方向の成長を抑制することができる。
【0089】
より具体的には、最内側コイル導体パターン42'、44'を形成するために、1次で形成したパターンめっき層42a、44aの側面及び上部にダム(Dam)を設置することにより、2次引込線めっきによる電解めっき層42b、44bが形成されないように調節することができる。これにより、内部コイル導体パターン42''、44''に比べて幅及び厚さがさらに薄い形状を具現することができる。
【0090】
本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44のうち最外側コイル導体パターン42'''、44'''の幅をWo2とすると、Wo2>Wiを満たすことができる。
【0091】
上述のように、上記最内側コイル導体パターン42'、44'に2次引込線めっきを適用すると幅方向の成長が抑制され、上記最外側コイル導体パターンの場合は一般の方法を用いてパターンめっき層上に2次引込線めっきを行うと一方向に幅方向の成長が促されて、最外側コイル導体パターン42'''、44'''の幅Wo2はWo2>Wiを満たすことができる。
【0092】
これにより、上記最外側コイル導体パターン42'''、44'''の幅Wo2、内部コイル導体パターン42''、44''の幅Wi、及び最内側コイル導体パターン42'、44'の幅Wo1は、Wo2>Wi>Wo1を満たすことができる。
【0093】
即ち、外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなる最適のコイル構造を具現することができるため、チップインダクタの品質係数、即ち、Q特性を改善させることができ、直流抵抗(Rdc)も改善させることができる。
【0094】
上記コイル導体パターン42、44のうち最外側コイル導体パターン42'''、44'''と最内側コイル導体パターン42'、44'との間の内部コイル導体パターン42''、44''の幅は同一であることができるが、本発明はこれに制限されない。
【0095】
上記内部コイル導体パターン42''、44''は、上記最外側コイル導体パターン42'''、44'''及び最内側コイル導体パターン42'、44'とは異なって、2次引込線めっき時に、両側面にコイル導体パターンが存在するため、類似する形状を有することができる。
【0096】
上記内部コイル導体パターン42''、44''の幅が同一であるとは、誤差なく完全に一致するのではなく、類似するという意味を含む。そのため、工程の偏差によって一定範囲の誤差が発生する可能性もある。
【0097】
一方、本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成され、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''はパターンめっき層42a、44a、及び上記パターンめっき層42a、44a上に形成された電解めっき層42b、44bを含むことができるが、本発明はこれに制限されない。
【0098】
本発明の一実施形態によると、上述のように、最内側コイル導体パターン42'、44'の幅及び厚さ方向の成長を抑制するために、側面及び上部にダムを形成するため、2次引込線めっき時に電解めっき層42b、44bが形成されない。
【0099】
これにより、上記最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成されることができ、残りのコイル導体パターンとは異なって幅及び厚さをさらに薄くすることができる。
【0100】
上記残りのコイル導体パターンは、特別の工程を用いる必要がなく、一般の方法で具現され、パターンめっき層42a、44a、及び上記パターンめっき層42a、44a上に形成された電解めっき層42b、44bを含むことができる。
【0101】
図1から
図4には示されていないが、上記電解めっき層42b、44b上に異方めっき層がさらに形成されることができる。しかし、本発明はこれに制限されない。
【0102】
図5は本発明の他の実施形態による
図3のA部分を拡大して示した概略図である。
【0103】
図5を参照すると、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品は、上記最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成されることができ、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''はパターンめっき層42a、44a、及び上記パターンめっき層42a、44a上に形成された電解めっき層42b、44bを含み、上記電解めっき層42b、44bは上記パターンめっき層42a、44aの厚さ方向のみに成長した形状を有することができる。
【0104】
即ち、上記電解めっき層42b、44bは、等方性めっき法ではなく異方性めっき法によって形成された異方めっき層であり、上記パターンめっき層42a、44aの幅方向の成長は抑制され、厚さ方向のみに成長して形成されることができる。
【0105】
これにより、上記コイル導体パターン42、44は、微細な線幅で具現されることができるため、高インダクタンス値を得ることができ、直流抵抗(Rdc)及び品質係数であるQ特性が改善されることができる。
【0106】
一方、本発明の他の実施形態によると、絶縁基板23、上記絶縁基板23の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターン42、44を含む磁性体本体50、及び上記コイル導体パターン42、44の端部と連結されるように上記磁性体本体50の両端部に形成される外部電極31、32と、を含み、上記磁性体本体50の長さ方向の断面において、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の幅をWo1、及び隣接する内部コイル導体パターン42''、44''の幅をWiとすると、Wo1<Wiを満たすことができる。
【0107】
本発明の他の実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44のうち最外側コイル導体パターン42'''、44'''の幅をWo2とすると、Wo2>Wiを満たすことができる。
【0108】
上述のように、上記最内側コイル導体パターン42'、44'に2次引込線めっきを適用すると幅方向の成長が抑制され、上記最外側コイル導体パターン42'''、44'''の場合は一般の方法を用いてパターンめっき層上に2次引込線めっきを行うと一方向に幅方向の成長が促されて、最外側コイル導体パターンの幅Wo2はWo2>Wiを満たすことができる。
【0109】
したがって、上記最外側コイル導体パターンの幅Wo2、内部コイル導体パターンの幅Wi、及び最内側コイル導体パターンの幅Wo1は、Wo2>Wi>Wo1を満たすことができる。
【0110】
即ち、外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなる最適のコイル構造を具現することができるため、チップインダクタの品質係数、即ち、Q特性を改善させることができ、直流抵抗(Rdc)特性も改善させることができる。
【0111】
上記コイル導体パターン42、44のうち最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅は同一であることができるが、これに制限されない。
【0112】
上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さは、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''の厚さより薄いことを特徴とする。
【0113】
即ち、上述のように、上記最内側コイル導体パターンの幅方向の成長を抑制するために、最内側コイル導体パターンの側面及び上部にダム(Dam)を設置するため、厚さ方向の成長もともに抑制することができる。
【0114】
上記のように、最内側コイル導体パターンの幅方向の成長を抑制して外部から内部に向かってコイルの幅が狭くなる最適のコイル構造を具現することができるとともに、最内側コイル導体パターンの厚さも残りのコイル導体パターンの厚さより薄く形成することにより、より最適化されたコイル構造を具現することができる。
【0115】
これにより、本発明の一実施形態によるチップインダクタの品質係数、即ち、Q特性及び直流抵抗(Rdc)特性の改善効果がより優れたものとなりうる。
【0116】
一方、本発明の他の実施形態によると、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成され、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''はパターンめっき層42a、44a、及び上記パターンめっき層42a、44a上に形成された電解めっき層42b、44bを含むことができるが、本発明はこれに制限されない。
【0117】
その他、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品における特徴のうち上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同一部分は重複を避けるために省略する。
【0118】
本発明の他の実施形態によるチップ電子部品は、絶縁基板23、及び上記絶縁基板23の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターン42、44を含む磁性体本体50と、上記コイル導体パターン42、44の端部と連結されるように上記磁性体本体50の両端部に形成される外部電極31、32と、を含み、上記磁性体本体50の長さ方向の断面において、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の幅をWo1、及び最外側コイル導体パターン42'''、44'''の幅をWo2とすると、Wo1<Wo2を満たすことができる。
【0119】
上記コイル導体パターン42、44のうち最外側コイル導体パターン42'''、44'''と最内側コイル導体パターン42'、44'との間の内部コイル導体パターン42''、44''の幅をWiとすると、Wo1<Wi<Wo2を満たすことができる。
【0120】
上記コイル導体パターン42、44のうち最外側コイル導体パターン42'''、44'''と最内側コイル導体パターン42'、44'との間の内部コイル導体パターン42''、44''の幅は同一であることができる。
【0121】
上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さは、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''の厚さより薄いことを特徴とする。
【0122】
上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成され、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''はパターンめっき層42a、44a、及び上記パターンめっき層上に形成された電解めっき層44a、44bを含むことができる。
【0123】
その他、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品における特徴のうち上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同一部分は重複を避けるために省略する。
【0124】
また、本発明の他の一実施形態によるチップ電子部品は、絶縁基板23、及び上記絶縁基板23の少なくとも一面に形成されるコイル導体パターン42、44を含む磁性体本体50と、上記コイル導体パターン42、44の端部と連結されるように上記磁性体本体50の両端部に形成される外部電極31、32と、を含み、上記磁性体本体50の長さ方向の断面において、上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'はパターンめっき層42a、44aで構成され、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''はパターンめっき層42a、44a、及び上記パターンめっき層42a、44a上に形成された電解めっき層42b、44bを含むことができる。
【0125】
上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の幅をWo1、最外側コイル導体パターン42'''、44'''の幅をWo2、及び上記最外側コイル導体パターン42'''、44'''と最内側コイル導体パターン42'、44'との間の内部コイル導体パターン42''、44''の幅をWiとすると、Wo1<Wi<Wo2を満たすことができる。
【0126】
上記コイル導体パターン42、44のうち最外側コイル導体パターンと最内側コイル導体パターンとの間の内部コイル導体パターンの幅は同一であることができる。
【0127】
上記コイル導体パターン42、44のうち最内側コイル導体パターン42'、44'の厚さは、残りのコイル導体パターン42''、42'''、44''、44'''の厚さより薄いことを特徴とする。
【0128】
その他、本発明の他の実施形態によるチップ電子部品における特徴のうち上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同一部分は重複を避けるために省略する。
【0129】
図6a及び
図6bは本発明の比較例によるチップ電子部品の周波数別インダクタンス及びQ特性を示したグラフであり、
図7a及び
図7bは本発明の実施例によるチップ電子部品の周波数別インダクタンス及びQ特性を示したグラフである。
【0130】
図6a、
図6b、
図7a、及び
図7bを参照すると、本発明の比較例によるチップ電子部品の周波数別インダクタンス及び本発明の実施例によるチップ電子部品の周波数別インダクタンスは類似することが分かる。
【0131】
これに対し、チップ電子部品の周波数別品質係数であるQ特性の場合、本発明の実施例が比較例に比べてより優れていることが分かる。
【0132】
以下では、本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造工程について説明する。
【0133】
まず、絶縁基板23にコイル導体パターン42、44を形成することができる。
【0134】
薄膜の絶縁基板23上に電気めっき方などでコイル導体パターン42、44を形成することができる。このとき、上記絶縁基板23は、特に制限されないが、例えば、PCB基板、フェライト基板、金属系軟磁性基板などを用いることができ、40〜100μmの厚さであることができる。
【0135】
上記コイル導体パターン42、44の形成方法としては、例えば、電気めっき法を挙げることができるが、これに制限されず、電気伝導性に優れた金属を含んで形成することができる。例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、またはこれらの合金などを用いることができる。
【0136】
上記絶縁基板23の一部に孔を形成し、伝導性物質を充填してビア電極46を形成することができ、上記ビア電極46を介して絶縁基板23の一面と反対面に形成されるコイル導体パターン42、44を電気的に接続させることができる。
【0137】
上記絶縁基板23の中央部には、ドリル、レーザー、サンドブラスト、パンチング加工などを行って絶縁基板23を貫通する孔を形成することができる。
【0138】
上記コイル導体パターン42、44の形成は、印刷工法で形成されたパターンめっき層上に2次引込線めっきを用いて電解めっき層を形成することで行われることができる。
【0139】
本発明の一実施形態によると、上記コイル導体パターンの形成工程時に印刷などの方法によって最内側コイル導体パターンになるパターンめっき層の側面及び上部にダム(Dam)を形成することにより、最内側コイル導体パターンのパターンめっき層が幅方向及び厚さ方向に成長することを抑制することができる。
【0140】
その後、上記コイル導体パターン42、44が形成された絶縁基板23の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体50を形成することができる。
【0141】
磁性体層を絶縁基板23の両面に積層し、ラミネート法または静水圧プレス法によって圧着することで磁性体本体50を形成することができる。このとき、上記孔を磁性体で充填することにより、コア部を形成することができる。
【0142】
続いて、上記磁性体本体50の端面に露出し、コイル導体パターン42、44と接続されるように外部電極31、32を形成することができる。
【0143】
上記外部電極31、32は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを用いることで形成されることができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、すず(Sn)、銀(Ag)などの単独またはこれらの合金などを含む伝導性ペーストであることができる。外部電極31、32を形成する方法は、外部電極31、32の形状に応じてプリンティング法やディッピング(dipping)法などを行うことで形成することができる。
【0144】
その他、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同一部分はその説明を省略する。
【0145】
〈チップ電子部品の実装基板〉
図8は
図1のチップ電子部品が印刷回路基板に実装された形状を示した斜視図である。
【0146】
図8を参照すると、本実施形態による薄膜型インダクタ100の実装基板200は、薄膜型インダクタ100が水平になるように実装される印刷回路基板210、及び印刷回路基板210の上面に離隔されるように形成された第1及び第2電極パッド221、222を含む。
【0147】
このとき、上記薄膜型インダクタ100は、第1及び第2外部電極31、32がそれぞれ第1及び第2電極パッド221、222上に接触されるように位置した状態において、はんだ230によって印刷回路基板210と電気的に連結されることができる。
【0148】
その他、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と重複される説明は省略する。
【0149】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。