【解決手段】 基板上(メイン基板100及び通信基板110の少なくとも一方)に形成された複数の第1導体(アンテナパターン200の一部)と、可撓性を有するケーブル群(FFC120)として平面状に並べて配置された複数の第2導体(アンテナパターン200の一部)と、を含んで構成され、前記第1導体と前記第2導体とによりループ状の導体(アンテナパターン200)が形成されていることを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成のアンテナ装置では、基板上に巻線状のアンテナパターンを形成していたため、基板上に一定以上の面積が必要であり、これによって基板が大きくなるという課題があった。また、近接無線通信を機能させるため、通信対象機器と通信を行う位置にアンテナパターンを配置する必要があり、装置内で基板の配置に制限が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の手段1は、
基板上(メイン基板100及び通信基板110の少なくとも一方)に形成された複数の第1導体(アンテナパターン200の一部)と、
可撓性を有するケーブル群(FFC120)として平面状に並べて配置された複数の第2導体(アンテナパターン200の一部)と、を含んで構成され、
前記第1導体と前記第2導体とによりループ状の導体(アンテナパターン200)が形成されている
ことを特徴とするアンテナ装置である。
【0007】
上記構成のアンテナ装置によれば、可撓性を有するケーブル群(FFC120)をその一部に利用しているため、基板上(メイン基板100及び通信基板110の少なくとも一方)に形成されるループ状の導体として形成されたアンテナパターン(200)の基板上の占有面積を小さくすることができる。また、一部が可撓性を有するアンテナ装置を形成することができる。
【0008】
また、本発明の手段2は、
前記ケーブル群(FFC120)には、アンテナとして機能する前記第1導体(アンテナパターン200の一部)とは異なる、信号線として機能する第3導体(信号線210及び220)が配置されている
ことを特徴とする手段1のアンテナ装置である。
【0009】
上記構成のアンテナ装置によれば、可撓性を有するケーブル群(FFC120)を、アンテナパターン(200)以外の信号線と共有することができる。ひいては、このアンテナ装置を含む機器のさらなる小型化を可能にすることができる。
【0010】
本発明の手段3は、
前記基板上(メイン基板100及び通信基板110の少なくとも一方)には、前記第1導体と前記第2導体とにより形成されるループ(アンテナパターン200)のターン数を変更可能なパッド(301乃至314)が設けられている
ことを特徴とする手段1または手段2のアンテナ装置である。
【0011】
上記構成のアンテナ装置によれば、用途によってターン数を変更可能なアンテナ装置を構成することができる。
【0012】
本発明の手段4は、
上記いずれかのアンテナ装置を含んで構成された電子機器であって、
前記可撓性を有するケーブル群(FFC120)は、その一部が通信対象機器に近接する位置(通信領域400)に配置されるよう曲げられて構成されている
ことを特徴とする電子機器である。
【0013】
上記構成の電子機器によれば、基板などの配置の自由度を高めた、アンテナ装置によって通信可能な電子機器を構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態1
2.実施形態2
3.実施形態3
4.補足事項
5.本発明の特徴
【0016】
<1.実施形態1>
まず、本発明の実施形態1について、
図1を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本実施形態のアンテナ装置を含む電子機器の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の電子機器は、メイン基板100、通信基板110、及びFFC120を含んで構成される。本実施形態におけるアンテナ装置は、これらのメイン基板100、通信基板110、及びFFC120におけるアンテナパターン200が形成された部分を指すものである。なお、FFCは一般的に知られるFlexible Flat Cableである。
【0018】
<メイン基板100>
メイン基板100は、このアンテナ装置を含む電子機器の中心となる基板である。メイン基板100上には、ASIC101、電源102、アンテナパターン200、並びに信号線210及び220が形成される。メイン基板100は、FFC120と、コネクタ(
図4の103及び113参照)を介して物理的に接続され、アンテナパターン200、並びに信号線210及び220によって電気的に接続される。
【0019】
<ASIC101>
ASIC101は、このアンテナ装置を含む電子機器によって実施される機能を実行可能な半導体装置である。ASIC101は、信号線210と電気的に接続されて構成される。
【0020】
<電源102>
電源102は、外部から入力される電源電圧から所定の電圧を生成し、このアンテナ装置を含む電子機器に供給可能に構成される。電源102は、信号線220と電気的に接続され、通信用IC111に電圧を供給するよう構成される。また、電源102は、ASIC101にも電圧を供給可能である。
【0021】
<通信基板110>
通信基板110上には、通信用IC111、アンテナパターン200、並びに信号線210及び220が形成される。通信基板110は、FFC120と、コネクタ(図示せず)を介して物理的に接続され、アンテナパターン200、並びに信号線210及び220によって電気的に接続される。
【0022】
<通信用IC111>
通信用IC111は、アンテナパターン200を介して、この電子機器が通信対象の外部機器と通信するための機能を実現可能に構成される。具体的には、アンテナパターン200に通信対象の外部機器が近接すると、この通信対象の外部機器を検出して、予め定められた情報の送受信を実行可能に構成される。
【0023】
<FFC120>
FFC(Flexible Flat Cable)120は、可撓性を有するケーブル群であって、アンテナパターン200、並びに信号線210及び220をケーブル群として含んで構成される。FFC120は、メイン基板100と通信基板110とを物理的及び電気的に接続するよう構成される。FFC120は、一般に市販されるストレートタイプの汎用品を使用可能である。
【0024】
<アンテナパターン200>
アンテナパターン200は、メイン基板100、通信基板110、及びFFC120に渡ってループ状に形成された導体によって構成される。アンテナパターン200は、そのループ状に形成された導体の入出力端が通信用IC111に接続されて構成される。アンテナパターン200は、通信基板110に形成された、図中に点線で示された部分が基板の裏側に形成され、それ以外の部分は基板の表面に形成される。
【0025】
<信号線210及び220>
信号線210は、メイン基板100に配置されたASIC101と、通信基板110に配置された通信用IC111とを接続するよう、導体(導電材料)で構成される。信号線220は、メイン基板100に配置された電源102と、通信基板110に配置された通信用IC111とを接続するよう、導体(導電材料)で構成される。
【0026】
<2.実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について、
図2乃至
図4を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1と比較して、アンテナパターン200のループのターン数が変更可能である点で相違する。以下の、本実施形態についての説明では、実施形態1との相違点についての説明を中心とし、実施形態1と同様の構成についてはその説明を省略する。
【0027】
図2は、本実施形態のアンテナ装置を含む電子機器の構成を示す図である。
図2に示されたアンテナ装置では、アンテナパターン200のループのターン数が4ターンとなっている。
【0028】
図2において、通信基板110には、パッド301乃至314が形成されている。それぞれのパッドに付された符号は、例えばパッド301は非導通状態、パッド301Aは導通状態となっており、「A」が付されているパッドが導通状態である。すなわち、
図2におけるパッドは、パッド301A乃至303A、及びパッド314Aが導通状態、パッド311乃至313が非導通状態になっている。このように、パッドを導通状態と非導通状態にすることで、アンテナパターン200のループのターン数が4ターンとなる。
【0029】
各パッド301乃至314は、それぞれ小型のチップ抵抗などによって導通させられるよう構成されている。アンテナ装置の各パッドの必要箇所には、製造工程において0Ωのチップ抵抗がはんだ付けされる。なお、チップ抵抗などの素子を利用せず、はんだまたはジャンパなどで直接接続されてもよい。
【0030】
また、
図3は、本実施形態のアンテナ装置を含む電子機器の別の構成を示す図である。
図3に示されたアンテナ装置では、アンテナパターン200のループのターン数が1ターンとなっている。
【0031】
図3におけるパッドは、パッド311Aが導通状態、それ以外のパッド301乃至303及び312乃至314が非導通状態になっている。このように、パッドを導通状態と非導通状態にすることで、アンテナパターン200のループのターン数が1ターンとなる。
【0032】
また、
図4は、本実施形態のアンテナ装置を含む電子機器の別の構成を示す図である。
図4に示されたアンテナ装置では、アンテナパターン200のループのターン数が2ターンとなっている。
【0033】
図4におけるパッドは、パッド301A及び312Aが導通状態、それ以外のパッド302、303、311、313、及び314が非導通状態になっている。このように、パッドを導通状態と非導通状態にすることで、アンテナパターン200のループのターン数が2ターンとなる。
【0034】
また、同様にパッド301乃至314の導通・非導通状態を変更することで、アンテナパターン200のループのターン数を3ターンに変更することも可能である。また、パッドの数を増加させることで、アンテナパターン200のループのターン数は任意の変更可能となる。
【0035】
<3.実施形態3>
次に、本発明の実施形態3について、
図5を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1と比較して、アンテナパターン200の一部が所定の位置に配置されている点で相違する。以下の、本実施形態についての説明では、実施形態1との相違点についての説明を中心とし、実施形態1と同様の構成についてはその説明を省略する。
【0036】
図5は、本実施形態のアンテナ装置を含む電子機器を、側方から見た図である。
図5に示すように、FFC120は折り曲げられて、通信領域400の部分が、メイン基板100及び通信基板110と比較して、図の上方に突出するよう配置されている。FFC120は、コネクタ103を介してメイン基板100に、コネクタ113を介して通信基板110に接続されている。
【0037】
本実施形態の電子機器が通信対象機器と通信する際には、電子機器のアンテナパターン200と通信対象機器が備えるアンテナパターン(図示せず)とは、
図5で示す通信領域400の位置で通信が実行される。このようにFFC120を
図5で示すように曲げて配置することで、
図5中におけるメイン基板100及び通信基板110の上方の、FFC120の周囲の空間、及びFFC120の下方の、メイン基板100と通信基板110によって挟まれた空間とに、所望の部品などを配置することが可能となる。
【0038】
<4.補足事項>
以上、本発明の各実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0039】
上記実施形態はそれぞれ組み合わせて実行することができる。例えば、実施形態2のようなターン数を可変なアンテナパターン200を、実施形態3のようなFFC120の配置とすることが可能である。
【0040】
また、上記実施形態では、メイン基板100と通信基板110との2枚の基板を含む構成について説明したが、基板の数はこれに限るものではなく、1枚の基板を含む構成でも良いし、3枚以上の基板を含む構成でも良い。ただし、1枚の基板を含む構成の場合には、この1枚の基板に種々の半導体装置や、必要に応じたパッドが搭載されることとなる。
【0041】
また、上記実施形態では、パッドははんだ付けによって導通・非導通の状態を変更する構成を説明したが、例えば、制御部として機能する制御ICによって導通・非導通の状態を制御可能なスイッチを、これらのパッドに置き換えてもよい。
【0042】
<5.本発明の特徴>
以上、説明したような構成のアンテナ装置及び電子機器は以下のような特徴を持つ。
【0043】
本発明のアンテナ装置は、基板上(メイン基板100及び通信基板110の少なくとも一方)に形成された複数の第1導体(アンテナパターン200の一部)と、可撓性を有するケーブル群(FFC120)として平面状に並べて配置された複数の第2導体(アンテナパターン200の一部)と、を含んで構成され、第1導体と第2導体とによりループ状の導体(アンテナパターン200)が形成されていることを特徴とする。
【0044】
上記構成のアンテナ装置によれば、可撓性を有するケーブル群(FFC120)をその一部に利用しているため、基板上に形成されるループ状の導体として形成されたアンテナパターン200の基板上の占有面積を小さくすることができる。また、一部が可撓性を有するアンテナ装置を形成することができる。
【0045】
また、本発明のアンテナ装置は、ケーブル群(FFC120)には、アンテナとして機能する第1導体とは異なる、信号線として機能する第3導体(信号線210及び220)が配置されていることを特徴とする。
【0046】
上記構成のアンテナ装置によれば、可撓性を有するケーブル群を、アンテナパターン(200)以外の信号線と共有することができる。ひいては、このアンテナ装置を含む機器のさらなる小型化を可能にすることができる。
【0047】
また、本発明のアンテナ装置は、基板上(メイン基板100及び通信基板110の少なくとも一方)には、第1導体と第2導体とにより形成されるループ(アンテナパターン200)のターン数を変更可能なパッド(301乃至314)が設けられていることを特徴とする。
【0048】
上記構成のアンテナ装置によれば、用途によってターン数を変更可能なアンテナ装置を構成することができる。
【0049】
また、本発明の電子機器は、上記いずれかのアンテナ装置を含んで構成された電子機器であって、可撓性を有するケーブル群(FFC120)は、その一部が通信対象機器に近接する位置(通信領域400)に配置されるよう曲げられて構成されていることを特徴とする。
【0050】
上記構成の電子機器によれば、基板などの配置の自由度を高めた、アンテナ装置によって通信可能な電子機器を構成することができる。