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特開2015-220991モジュール型マルチレベルコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-220991(P2015-220991A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】モジュール型マルチレベルコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/49 20070101AFI20151110BHJP
   H02M 7/797 20060101ALI20151110BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20151110BHJP
   H02J 3/36 20060101ALI20151110BHJP
【FI】
   H02M7/49
   H02M7/797
   H02M7/12 X
   H02M7/12 601A
   H02J3/36
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-97945(P2015-97945)
(22)【出願日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0057356
(32)【優先日】2014年5月13日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ソン ウォン ヒュプ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン ウ
【テーマコード(参考)】
5G066
5H006
5H770
【Fターム(参考)】
5G066CA04
5G066CA08
5H006AA05
5H006BB02
5H006CA01
5H006CA05
5H006CA07
5H006CB01
5H006CB09
5H006CC02
5H006CC03
5H006CC05
5H006DA04
5H006DB01
5H770AA17
5H770BA12
5H770CA02
5H770CA06
5H770CA08
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA23
5H770DA31
5H770DA41
5H770DA44
5H770GA19
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770KA01W
5H770KA01Y
(57)【要約】
【課題】多数のサブモジュールを効率的に制御するモジュール型マルチレベルコンバータを提供する。
【解決手段】実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータは、スイッチング素子を含む複数のサブモジュールと、複数のサブモジュールを区分するためのアドレスをそれぞれ割り当て、割り当てられたアドレスを基準に複数のサブモジュールのスイッチング素子を決定し、決定されたスイッチング動作条件に対応するスイッチング信号を出力する中央制御器と、を含み、中央制御器は、割り当てられたアドレスの順番通りに複数のサブモジュールに対するスイッチング順番を決定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を含む複数のサブモジュールと、
前記複数のサブモジュールを区分するためのアドレスをそれぞれ割り当て、前記割り当てられたアドレスを基準に前記複数のサブモジュールのスイッチング動作条件を決定し、前記決定されたスイッチング動作条件に対応するスイッチング信号を出力する中央制御器と、を含み、
前記中央制御器は、前記割り当てられたアドレスの順番通りに前記複数のサブモジュールに対するスイッチング順番を決定する、モジュール型マルチレベルコンバータ。
【請求項2】
前記中央制御器は、前記複数のサブモジュールが配置された順番に応じて前から順次に前記アドレスを割り当てる、請求項1に記載のモジュール型マルチレベルコンバータ。
【請求項3】
前記スイッチング動作条件は、充電動作条件、放電動作条件及びバイパス動作条件を含み、
前記中央制御器は、目標電圧及び前記複数のサブモジュールに充電されたそれぞれの充電電圧を基準に先の番号のアドレスを有するサブモジュールから順次に放電動作が行われるようにする、請求項1又は請求項2に記載のモジュール型マルチレベルコンバータ。
【請求項4】
前記放電動作をするサブモジュールに充電された充電電圧の合計は、前記目標電圧に相応し、
前記中央制御器は、先の番号のアドレスを有するサブモジュールから前記充電電圧を確認し、前記目標電圧に対応する出力電圧を発生するための各サブモジュールのスイッチング動作条件を決定する、請求項3に記載のモジュール型マルチレベルコンバータ。
【請求項5】
前記中央制御器は、前記放電動作条件で動作するサブモジュールが決定されれば、前記放電動作条件で動作するサブモジュールのうち最後の番号のアドレスを有するサブモジュールの情報を貯蔵する、請求項3又は請求項4に記載のモジュール型マルチレベルコンバータ。
【請求項6】
前記中央制御器は、
以前時点で放電動作を行った最後の番号のアドレスを有するサブモジュールを確認し、
前記確認したサブモジュールの次のアドレスを有するサブモジュールから順次に放電動作が行われるようにする、請求項4又は請求項5に記載のモジュール型マルチレベルコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール型マルチレベルコンバータに関するものであり、より詳しくは、複数のサブモジュールを効率的に制御するモジュール型マルチレベルコンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超高圧直流送電(HIGH VOLTAGE DIRECT CURRENT,HVDC)とは、送電所が発電所で生産される交流電力を直流に変換させて送電した後、受電所で交流に再変換して電力を供給する送電方式をいう。
【0003】
HVDCシステムは海底ケーブル送電、大容量長距離送電、交流系統間連携などに適用される。また、HVDCシステムは互いに異なる周波数系統連携及び非同期(asynchronism)連携を可能にする。
【0004】
送電所は交流電力を直流電力に変換する。即ち、交流電力を海底ケーブルなどを利用して伝送する情況は非常に危ないため、送電所は交流電量を直流電力に変換して受電所に伝送する。
【0005】
一方、HVDCシステムに利用される電圧型コンバータには多様な種類があり、最近モジュール型マルチレベル形態の電圧型コンバータが最も注目を浴びている。
【0006】
モジュール型マルチレベルコンバータ(Modular Multi−Level Converter,MMC)は多数のサブモジュール(Sub−Module)を利用して直流電力を交流電力に変換する装置であり、それぞれのサブモジュールを充電、放電、バイパス状態に制御して動作する。
【0007】
よって、モジュール型マルチレベルコンバータで多数のサブモジュールを制御することが電力変換動作で最も重要であり、多数のサブモジュールの制御動作が出力交流電力の形態及び品質を決定する。
【0008】
それによって、モジュール型マルチレベルコンバータの多数のサブモジュールを効率的に制御することができるモジュール型マルチレベルコンバータが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、モジュール型マルチレベルコンバータに含まれる多数のサブモジュールを効率的に制御することができるモジュール型マルチレベルコンバータを提供する。
【0010】
また、本発明はモジュール型マルチレベルコンバータに含まれる多数のサブモジュールのスイッチング順番を効率的に決定することができるモジュール型マルチレベルコンバータを提供する。
【0011】
また、本発明はモジュール型マルチレベルコンバータに含まれる多数のサブモジュールに対するスイッチング頻度の均衡性を維持することができるモジュール型マルチレベルコンバータを提供する。
【0012】
提案される実施例で成そうとする技術的課題は上述した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は以下の記載から提案される実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータは、スイッチング素子を含む複数のサブモジュールと、前記複数のサブモジュールを区分するためのアドレスをそれぞれ割り当て、前記割り当てら得たアドレスを基準に前記複数のサブモジュールのスイッチング動作条件を決定し、前記決定されたスイッチング動作条件に対応するスイッチング信号を出力する中央制御器と、を含み、前記中央制御器は前記割り当てられたアドレスの順番通りに前記複数のサブモジュールに対するスイッチング順番を決定する。
【0014】
また、前記中央制御器は前記複数のサブモジュールの配置された順番に応じて前から順次に前記アドレスを割り当てる。
【0015】
また、前記スイッチング動作条件は充電動作条件、放電動作条件及びバイパス動作条件を含み、前記中央制御器は目標電圧及び前記複数のサブモジュールに充電されたそれぞれの充電電圧を基準に先の番号のアドレスを有するサブモジュールから順次に放電動作が行われるようにする。
【0016】
また、前記放電動作を行うサブモジュールに充電された充電電圧の合計は前記目標電圧に相応し、前記中央制御器は先の番号のアドレスを有するサブモジュールから前記充電電圧を確認し、前記目標電圧に対応する出力電圧を発生するための各サブモジュールのスイッチング動作条件を決定する。
【0017】
また、前記中央制御器は前記放電動作条件で動作するサブモジュールが決定されると、前記放電操作条件で動作するサブモジュールのうち最後の番号のアドレスを有するサブモジュールの情報を貯蔵する。
【0018】
また、前記中央制御器は以前時点で放電動作を行った最後の番号のアドレスを有するサブモジュールを確認し、前記確認したサブモジュールの次のアドレスを有するサブモジュールから順次に放電動作が行われるようにする。
【0019】
本発明の実施例によると、多数のサブモジュールに対するスイッチング順番を割り当てられたアドレスに応じて決定することで、前記サブモジュールの動作条件を決定するのにかかる時間を短縮することができる。
【0020】
また、本発明の実施例によると、多数のサブモジュールをアドレスの順番通りにスイッチングして多数のサブモジュールのスイッチング頻度に対する均衡性を維持することで、特定サブモジュールのみが継続的にスイッチングする情況を事前に防止することができるだけでなく、前記特定サブモジュールの寿命が短縮する情況を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例による高電圧直流送電システムの構成を説明するための図である。
図2】本発明の一実施例によるモノポーラ方式の高電圧直流送電システムの構成を説明するための図である。
図3】本発明の一実施例によるバイポーラ方式の高電圧直流送電システムの構成を説明するための図である。
図4】本発明の実施例による変圧器と3相バルブブリッジの結線を説明するための図である。
図5】本発明の一実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータの構成ブロック図である。
図6】本発明の他の実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータの構成ブロック図である。
図7】本発明の一実施例による複数のサブモジュールの連結を示す図である。
図8】本発明の一実施例による他のサブモジュールの構成の例示図である。
図9】本発明の一実施例によるサブモジュールの等価モデルを示す図である。
図10】本発明の一実施例によるサブモジュールの動作を示す図である。
図11】本発明の一実施例によるサブモジュールの動作を示す図である。
図12】本発明の一実施例によるサブモジュールの動作を示す図である。
図13】本発明の一実施例によるサブモジュールの動作を示す図である。
図14】本発明の一実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータのスイッチング順番の決定動作を示す図である。
図15】本発明の一実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータのスイッチング順番の決定動作を示す図である。
図16】本発明の一実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータのスイッチング順番の決定動作を示す図である。
図17】本発明の一実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータのスイッチング順番の決定方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
図18】本発明の一実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータのスイッチング順番の決定方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の利点及びその特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付した図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるはずである。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限らず互いに異なる多様な形態に具現されてもよいが、但し、本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は請求項の範疇によって定義されるのみである。明細書全体にわたって、同じ参照符号は同じ構成要素を指す。
【0023】
本発明の実施例を説明するに当たって、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は本発明の実施例における機能を考慮して定義された用語であって、これはユーザ、運用者の意図又は慣例などによって異なり得る。よって、その定義は本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきである。
【0024】
添付した図面の各ブロックとフローチャートの各ステップの組み合わせはコンピュータプログラムインストラクションによって行われてもよい。これらのコンピュータプログラムインストラクションは汎用コンピュータ、特殊用コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセッシング装備のプロセッサに搭載可能であるため、コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセッシング装備のプロセッサを介して行われるそのインストラクションが図面の各ブロック又はフローチャートの各ステップで説明された機能を行う手段を生成するようになる。これらのコンピュータプログラムインストラクションは特定方式に機能を具現するためにコンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセッシング装備の指向するコンピュータで利用可能な又はコンピュータで判読可能なメモリに貯蔵されることもできるため、そのコンピュータで利用可能な又はコンピュータで判読可能なメモリに貯蔵されたインストラクションは図面の各ブロック又はフローチャートの各ステップで説明された機能を行うインストラクション手段を内包する製造品目を生産することもできる。コンピュータプログラムインストラクションはコンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセッシング装備上に搭載することもできるため、コンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセッシング装備上で一連の動作ステップが行われてコンピュータで実行されるプロセスを生成してコンピュータ又はその他のプログラム可能なデータプロセッシング装備を行うインストラクションは図面の各ブロック又はフローチャートの各ステップで説明された機能を行うためのステップを提供することもできる。
【0025】
また、各ブロック又は各ステップは特定の論理的機能を実行するための一つ以上の実行可能なインストラクションを含むモジュール、セグメント又はコードの一部を示す。また、いくつかの代替実施例ではブロック又はステップで言及した機能が順番を逸脱して発生することもできることに注目すべきである。例えば、引き続き図示されている2つのブロック又はステップは実は実質的に同時に行われてもよく、或いはそのブロック又はステップが時々当たる機能に応じて逆順に行われてもよい。
【0026】
図1は、本発明の実施例による高電圧直流送電システムを示す。
【0027】
図1に示したように、本発明の実施例によるHVDCシステム100は発電パート101、送電側交流パート110、送電側変電パート103、直流送電パート140、需要側変電パート105、需要側交流パート170、需要パート180及び制御パート190を含む。送電側変電パート103は送電側変圧器パート120、送電側交流−直流コンバータパート130を含む。需要側変電パート105は需要側直流−交流コンバータパート150、需要側変圧器パート160を含む。
【0028】
発電パート101は3相交流電力を生成する。発電パート101は複数の発電所を含む。
【0029】
送電側交流パート110は発電パート101が生成した3相交流電力を送電側変圧器パート120と送電側交流−直流コンバータパート130を含むDC変電所に伝達する。
【0030】
送電側変圧器パート120は送電側交流パート110を送電側交流−直流コンバータパート130及び直流送電パート140から隔離する(isolate)。
【0031】
送電側交流−直流コンバータパート130は送電側変圧器パート120の出力に当たる3相交流電力を直流電力に変換する。
【0032】
直流送電パート140は送電側の直流電力を需要側に伝達する。
【0033】
需要側直流−交流コンバータパート150は直流送電パート140によって伝達された直流電力を3相交流電力に変換する。
【0034】
需要側変圧器パート160は需要側交流パート170を需要側直流−交流コンバータパート150と直流送電パート140から隔離する。
【0035】
需要側交流パート170は需要側変圧器パート160の出力に当たる3相交流電力を需要パート180に提供する。
【0036】
制御パート190は発電パート101、送電側交流パート110、送電側変電パート103、直流送電パート140、需要側変電パート105、需要側交流パート170、需要パート180、制御パート190、送電側交流−直流コンバータパート130、需要側直流−交流コンバータパート150のうち少なくとも一つを制御する。特に、制御パート190は送電側交流−直流コンバータパート130と需要側直流−交流コンバータパート150内の複数のバルブのターンオン及びターンオフのタイミングを制御する。この際、バルブはサイリスタ又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar trasistor,IGBT)に当たる。
【0037】
図2は、本発明の実施例によるモノポーラ方式の高電圧直流送電システムを示す図である。
【0038】
特に、図2は単一極の直流電力を送電するシステムを示す。以下の説明では単一極は正極(positive pole)であると仮定して説明するが、それに限る必要はない。
【0039】
送電側交流パート110は交流送電ライン111と交流フィルタ113を含む。
【0040】
交流送電ライン111は発電パート101が生成した3相交流電力を送電側変電パート103に伝達する。
【0041】
交流フィルタ113は直流変電パート103が利用する周波数成分以外の残りの周波数成分を伝達された3相交流電力から除去する。
【0042】
送電側変圧器パート120は正極のために一つ以上の変圧器121を含む。正極のために送電側交流−直流コンバータパート130は正極直流電力を生成する交流−正極直流コンバータ131を含み、この交流−正極直流コンバータ131は一つ以上の変圧器121にそれぞれ対応する一つ以上の3相バルブブリッジ131aを含む。
【0043】
一つの3相バルブブリッジ131aが利用される場合、交流−正極直流コンバータ131は交流電力を利用して6つのパルスを有する正極直流電力を生成する。この際、その一つの変圧器121の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、Y−デルタ(Δ)形状の結線を有してもよい。
【0044】
2つの3相バルブブリッジ131aが利用される場合、交流−正極直流コンバータ131は交流電力を利用して12個のパルスを有する正極直流電力を生成する。この際、2つのうち一つの変圧器121の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、残りの一つの変圧器121の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Δ形状の結線を有してもよい。
【0045】
3つの3相バルブブリッジ131aが利用される場合、交流−正極直流コンバータ131は交流電力を利用して18個のパルスを有する正極直流電力を生成する。正極直流電力のパルスの数が多いほどフィルタの価格が下がる。
【0046】
直流送電パート140は送電側正極直流フィルタ141、正極直流送電ライン143、需要側正極直流フィルタ145を含む。
【0047】
送電側正極直流フィルタ141はインダクタL1とキャパシタC1を含み、交流−正極直流コンバータ131が出力する正極直流電力を直流フィルタリングする。
【0048】
正極直流送電ライン143は正極直流電力を伝送するための一つのDCラインを有し、電流の帰還通路としては大地を利用する。このDCラインの上には一つ以上のスイッチが配置される。
【0049】
需要側正極直流フィルタ145はインダクタL2とキャパシタC2を含み、正極直流送電ライン143を介して伝達された正極直流電力を直流フィルタリングする。
【0050】
需要側直流−交流コンバータパート150は正極直流−交流コンバータ151を含み、正極直流−交流コンバータ151は一つ以上の3相バルブブリッジ151aを含む。
【0051】
需要側変圧器パート160は正極のために一つ以上の3相バルブブリッジ151aにそれぞれ対応する一つ以上の変圧器161を含む。
【0052】
一つの3相バルブブリッジ151aが利用される場合、正極直流−交流コンバータ151は正極直流電力を利用して6つのパルスを有する交流電力を生成する。この際、その一つの変圧器161の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、Y−デルタ(Δ)形状の結線を有してもよい。
【0053】
2つの3相バルブブリッジ151aが利用される場合、正極直流−交流コンバータ151は正極直流電力を利用して12個のパルスを有する交流電力を生成する。この際、2つのうち一つの変圧器161の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、残りの一つの変圧器161の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Δ形状の結線を有してもよい。
【0054】
3つの3相バルブブリッジ151aが利用される場合、正極直流−交流コンバータ151は正極直流電力を利用して18個のパルスを有する交流電力を生成する。交流電力のパルスの数が多いほどフィルタの価格が下がる。
【0055】
需要側交流パート170は交流フィルタ171と交流送電ライン173を含む。
【0056】
交流フィルタ171は需要パート180が利用する周波数成分(例えば、60Hz)以外の残りの周波数成分を需要側変電パート105が生成する交流電力から除去する。
【0057】
交流送電ライン173はフィルタリングされた交流電力を需要パート180に伝達する。
【0058】
図3は、本発明の実施例によるバイポーラ方式の高電圧直流送電システムを示す図である。
【0059】
特に、図3は2つの極の直流電力を送電するシステムを示す。以下の説明では2つの極は正極と負極(negative pole)であると仮定して説明するが、それに限る必要はない。
【0060】
送電側交流パート110は交流送電ライン111と交流フィルタ113を含む。
【0061】
交流送電ライン111は発電パート101が生成した3相交流電力を送電側変電パート103に伝達する。
【0062】
交流フィルタ113は変電パート103が利用する周波数成分以外の残りの周波数成分を伝達された3相交流電力から除去する。
【0063】
送電側変圧器パート120は正極のための一つ以上の変圧器121を含み、負極のための一つ以上の変圧器122を含む。送電側交流−直流コンバータパート130は正極直流電力を生成する交流−正極直流コンバータ131と負極直流電力を生成する交流−負極直流コンバータ132を含み、交流−正極直流コンバータ131は正極のための一つ以上の変圧器121にそれぞれ対応する一つ以上の3相バルブブリッジ131aを含み、交流−負極直流コンバータ132は負極のための一つ以上の変圧器122にそれぞれ対応する一つ以上の3相バルブブリッジ132aを含む。
【0064】
正極のために一つの3相バルブブリッジ131aが利用される場合、交流−正極直流コンバータ131は交流電力を利用して6つのパルスを有する正極直流電力を生成する。この際、その一つの変圧器121の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、Y−デルタ(Δ)形状の結線を有してもよい。
【0065】
正極のために2つの3相バルブブリッジ131aが利用される場合、交流−正極直流コンバータ131は交流電力を利用して12個のパルスを有する正極直流電力を生成する。この際、2つのうち一つの変圧器121の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、残りの一つの変圧器121の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Δ形状の結線を有してもよい。
【0066】
正極のために3つの3相バルブブリッジ131aが利用される場合、交流−正極直流コンバータ131は交流電力を利用して18個のパルスを有する正極直流電力を生成する。正極直流電力のパルスの数が多いほどフィルタの価格が下がる。
【0067】
負極のために一つの3相バルブブリッジ132aが利用される場合、交流−負極直流コンバータ132は6つのパルスを有する負極直流電力を生成する。この際、その一つの変圧器122の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、Y−デルタ(Δ)形状の結線を有してもよい。
【0068】
負極のために2つの3相バルブブリッジ132aが利用される場合、交流−負極直流コンバータ132は12個のパルスを有する負極直流電力を生成する。この際、2つのうち一つの変圧器122の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、残りの一つの変圧器122の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Δ形状の結線を有してもよい。
【0069】
負極のために3つの3相バルブブリッジ132aが利用される場合、交流−負極直流コンバータ132は18個のパルスを有する負極直流電力を生成する。負極直流電力のパルスの数が多いほどフィルタの価格が下がる。
【0070】
直流送電パート140は送電側正極直流フィルタ141、送電側負極直流フィルタ142、正極直流送電ライン143、負極直流送電ライン144、需要側正極直流フィルタ145、需要側負極直流フィルタ146を含む。
【0071】
送電側正極直流フィルタ141はインダクタL1とキャパシタC1を含み、交流−正極直流コンバータ131が出力する正極直流電力を直流フィルタリングする。
【0072】
送電側負極直流フィルタ142はインダクタL3とキャパシタC3を含み、交流−負極直流コンバータ132が出力する負極直流電力を直流フィルタリングする。
【0073】
正極直流送電ライン143は正極直流電力を伝送するための一つのDCラインを有し、電流の帰還通路としては大地を利用する。このDCラインの上には一つ以上のスイッチが配置される。
【0074】
負極直流送電ライン144は負極直流電力を伝送するための一つのDCラインを有し、電流の帰還通路としては大地を利用する。このDCラインの上には一つ以上のスイッチが配置される。
【0075】
需要側正極直流フィルタ145はインダクタL2とキャパシタC2を含み、正極直流送電ライン143を介して伝達された正極直流電力を直流フィルタリングする。
【0076】
需要側負極直流フィルタ146はインダクタL4とキャパシタC4を含み、負極直流送電ライン144を介して伝達された負極直流電力を直流フィルタリングする。
【0077】
需要側直流−交流コンバータパート150は正極直流−交流コンバータ151と負極直流−交流コンバータ152を含み、正極直流−交流コンバータ151は一つ以上の3相バルブブリッジ151aを含み、負極直流−交流コンバータ152は一つ以上の3相バルブブリッジ152aを含む。
【0078】
需要側変圧器パート160は正極のために一つ以上の3相バルブブリッジ151aにそれぞれ対応する一つ以上の変圧器161を含み、負極のために一つ以上の3相バルブブリッジ152aにそれぞれ対応する一つ以上の変圧器162を含む。
【0079】
正極のために一つの3相バルブブリッジ151aが利用される場合、正極直流−交流コンバータ151は正極直流電力を利用して6つのパルスを有する交流電力を生成する。この際、その一つの変圧器161の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、Y−デルタ(Δ)形状の結線を有してもよい。
【0080】
正極のために2つの3相バルブブリッジ151aが利用される場合、正極直流−交流コンバータ151は正極直流電力を利用して12個のパルスを有する交流電力を生成する。この際、2つのうち一つの変圧器161の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、残りの一つの変圧器161の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Δ形状の結線を有してもよい。
【0081】
正極のために3つの3相バルブブリッジ151aが利用される場合、正極直流−交流コンバータ151は正極直流電力を利用して18個のパルスを有する交流電力を生成する。交流電力のパルスの数が多いほどフィルタの価格が下がる。
【0082】
負極のために一つの3相バルブブリッジ152aが利用される場合、負極直流−交流コンバータ152は負極直流電力を利用して6つのパルスを有する交流電力を生成する。この際、その一つの変圧器162の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、Y−デルタ(Δ)形状の結線を有してもよい。
【0083】
負極のために2つの3相バルブブリッジ152aが利用される場合、負極直流−交流コンバータ152は負極直流電力を利用して12個のパルスを有する交流電力を生成する。この際、2つのうち一つの変圧器162の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Y形状の結線を有してもよく、残りの一つの変圧器162の1次側のコイルと2次側のコイルはY−Δ形状の結線を有してもよい。
【0084】
負極のために3つの3相バルブブリッジ152aが利用される場合、負極直流−交流コンバータ152は負極直流電力を利用して18個のパルスを有する交流電力を生成する。交流電力のパルスの数が多いほどフィルタの価格が下がる。
【0085】
需要側交流パート170は交流フィルタ171と交流送電ライン173を含む。
【0086】
交流フィルタ171は需要パート180が利用する周波数成分(例えば、60Hz)以外の残りの周波数成分を需要側変電パート105が生成する交流電力から除去する。
【0087】
交流送電ライン173はフィルタリングされた交流電力を需要パート180に伝達する。
【0088】
図4は、本発明の実施例による変圧器と3相バルブブリッジの結線を示す図である。
【0089】
特に、図4は正極のための2つの変圧器121と正極のための2つの3相バルブブリッジ131aの結線を示す。負極のための2つの変圧器122と負極のための2つの3相バルブブリッジ132aの結線、正極のための2つの変圧器161と正極のための2つの3相バルブブリッジ151aの結線、負極のための2つの変圧器162と負極のための2つの3相バルブブリッジ152aの結線、正極のための1つの変圧器121と正極のための1つの3相バルブブリッジ131a、正極のための1つの変圧器161と正極のための1つの3相バルブブリッジ151aの結線などは図4の実施例から容易に導出されるため、その図面と説明は省略する。
【0090】
図4において、Y−Y形状の結線を有する変圧器121を上側変圧器、Y−Δ形状の結線を有する変圧器121を下側変圧器、上側変圧器に連結される3相バルブブリッジ131aを上側3相バルブブリッジ、下側変圧器に連結される3相バルブブリッジ131aを下側3相バルブブリッジと称する。
【0091】
上側3相バルブブリッジと下側3相バルブブリッジは直流電力を出力する2つの出力端である第1出力端OUT1と第2出力端OUT2を有する。
【0092】
上側3相バルブブリッジは6つのバルブD1−D6を含み、下側3相バルブブリッジは6つのバルブD7−D12を含む。
【0093】
バルブD1は第1出力端OUT1に連結されるカソードと上側変圧器の2次側コイルの第1端子に連結されるアノードを有する。
【0094】
バルブD2はバルブD5のアノードに連結されるカソードとバルブD6のアノードに連結されるアノードを有する。
【0095】
バルブD3は第1出力端OUT1に連結されるカソードと上側変圧器の2次側コイルの第2端子に連結されるアノードを有する。
【0096】
バルブD4はバルブD1のアノードに連結されるカソードとバルブD6のアノードに連結されるアノードを有する。
【0097】
バルブD5は第1出力端OUT1に連結されるカソードと上側変圧器の2次側コイルの第3端子に連結されるアノードを有する。
【0098】
バルブD6はバルブD3のアノードに連結されるカソードを有する。
【0099】
バルブD7はバルブD6のアノードに連結されるカソードと下側変圧器の2次側コイルの第1端子に連結されるアノードを有する。
【0100】
バルブD8はバルブD11のアノードに連結されるカソードと第2出力端OUT2に連結されるアノードを有する。
【0101】
バルブD9はバルブD6のアノードに連結されるカソードと下側変圧器の2次側コイルの第2端子に連結されるアノードを有する。
【0102】
バルブD10はバルブD7のアノードに連結されるカソードと第2出力端OUT2に連結されるアノードを有する。
【0103】
バルブD11はバルブD6のアノードに連結されるカソードと下側変圧器の2次側コイルの第3端子に連結されるアノードを有する。
【0104】
バルブD12はバルブD9のアノードに連結されるカソードと第2出力端OUT2に連結されるアノードを有する。
【0105】
一方、需要側直流−交流コンバータパート150はモジュール型マルチレベルコンバータ200で構成される。
【0106】
モジュール型マルチレベルコンバータ200は複数のサブモジュール210を利用して直流電力を交流電力に変換する。
【0107】
図5及び図6を参照してモジュール型マルチレベルコンバータ200の構成を説明する。
【0108】
図5及び図6は、モジュール型マルチレベルコンバータ200の構成ブロック図である。
【0109】
モジュール型マルチレベルコンバータ200は中央制御器250、複数のサブ制御器230、複数のサブモジュール210を含む。
【0110】
中央制御器250は複数のサブ制御器230を制御し、それぞれのサブ制御器230は自らと連結されたそれぞれのサブモジュール210を制御する。
【0111】
この際、図5でのように一つのサブ制御器230は一つのサブモジュール210と連結され、それによって中央制御器250を介して伝送される制御信号を基準に自らと連結された一つのサブモジュール210のスイッチング動作を制御する。
【0112】
また、それとは異なって図6でのように一つのサブ制御器230は複数のサブモジュール210と連結され、それによって中央制御器250を介して伝送される複数の制御信号を利用して自らと連結された複数のサブモジュール210に対するそれぞれの制御信号を確認し、確認した制御信号を基準に複数のサブモジュール210をそれぞれ制御する。
【0113】
中央制御器250は複数のサブモジュール210の動作条件を決定し、決定した動作条件に応じて複数のサブモジュール210の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0114】
動作条件は放電動作、充電動作及びバイパス動作を含む。
【0115】
この際、複数のサブモジュール210それぞれには互いに異なるアドレスが割り当てられている。
【0116】
好ましくは、複数のサブモジュール210それぞれには配置された順番通りに前から順次に増加するアドレスが割り当てられる。
【0117】
即ち、サブモジュール210は直流電力を入力されて充電、放電及びバイパス動作のうちいずれか一つの動作を行う。
【0118】
サブモジュール210はダイオードを含むスイッチング素子で構成され、それによってスイッチング動作とダイオードの整流動作でサブモジュール210の充電、放電及びバイパス動作のうちいずれか一つの動作を行う。
【0119】
サブ制御器230それぞれは中央制御器250を介して複数のサブモジュール210を制御するためのスイッチング信号を伝達され、伝達されたスイッチング信号に応じてサブモジュール210のスイッチング動作を制御する。
【0120】
即ち、中央制御器250はモジュール型マルチレベルコンバータ200の全般的な動作を制御する。
【0121】
中央制御器250は自らと連携された交流パート110,170及び直流送電パート140の電流、電圧を測定する。
【0122】
また、中央制御器250は全体制御値を算出する。
【0123】
ここで、全体制御値とはモジュール型マルチレベルコンバータ200の出力交流電力の電圧、電流、周波数の大きさに対する目標値であり得る。
【0124】
中央制御器250はモジュール型マルチレベルコンバータ200と連携された交流パート110,170の電流、電圧及び直流送電パート140の電流、電圧のうち一つ以上に基づいて全体制御値を算出する。
【0125】
一方、中央制御器250は通信装置(図示せず)を介して上位制御器(図示せず)から受信した基準有効電力、基準無効電力、基準電流、基準電圧のうち一つ以上に基づいてモジュール型マルチレベルコンバータ200の動作を制御してもよい。
【0126】
中央制御器250はサブ制御器230とデータを交換する。
【0127】
この際、本発明の中央制御器250は複数のサブモジュール210が配置された順番通りにアドレスを割り当て、割り当てられたアドレスを利用して複数のサブモジュール210のスイッチング順番を決定する。
【0128】
即ち、一般に複数のサブモジュール210は全て同じスイッチング条件内で動作するのではなく、現在必要な目標電圧に応じて特定サブモジュールは充電又はバイパス動作を行い、残りのサブモジュールは放電動作を行う。
【0129】
それによって、中央制御器250は放電動作を行うサブモジュールを優先的に決定すべきである。
【0130】
この際、放電動作を行うことによって複数のサブモジュール210が互いに均衡性のある頻度内で放電動作を行わなければ複数のサブモジュール210の寿命を増加させることはできない。
【0131】
言い換えると、特定サブモジュールの放電動作頻度が高ければ、特定サブモジュールの寿命は放電動作頻度が低い他のサブモジュールの寿命より低く示される。
【0132】
よって、複数のサブモジュール210のスイッチング頻度の均衡性を維持しながらより速い時間に複数のサブモジュール210のスイッチング条件を決定することは非常に重要な要素である。
【0133】
それによって、本発明では順次に割り当てられたアドレスの順番通りに複数のサブモジュール210のスイッチング順番を決定する。
【0134】
例えば、1番から5番までのアドレスがそれぞれ割り当てられたサブモジュールが存在する場合、中央制御器250は1番から放電動作が行われるようにする。この際、放電動作が行われるサブモジュールの数は複数のサブモジュールがそれぞれ充電した電圧値と目標値を基準に決定される。
【0135】
即ち、中央制御器250は複数のサブモジュールが有する充電電圧値の合計が目標値に到達するようにスイッチング条件を決定する。言い換えると、1番のアドレスが割り当てられたサブモジュールと2番のアドレスが割り当てられたサブモジュールのみが放電しても目標値に対応する電力を出力することができれば、中央制御器250は1番及び2番のアドレスが割り当てられたサブモジュールのみが放電動作を行うようにする。
【0136】
そして、中央制御器250は次のスイッチング条件を決定する際、以前時点で放電動作を行ったサブモジュールのうち最後のアドレスを有するサブモジュールの次のサブモジュールから放電動作を行うサブモジュールを決定する。
【0137】
それについては下記でより詳細に説明する。
【0138】
図7を参照してモジュール型マルチレベルコンバータ200に含まれる複数のサブモジュール210の連結を説明する。
【0139】
図7は、3相モジュール型マルチレベルコンバータ200に含まれる複数のサブモジュール210の連結を示す。
【0140】
図7を参照すると複数のサブモジュール210は直列に連結され、一つの相(Phase)の正極又は負極に連結された複数のサブモジュール210を一つのアーム(Arm)として構成する。
【0141】
3相モジュール型マルチレベルコンバータ200は一般的に6つのアームで構成され、A,B,Cの3相それぞれに対して正極と負極で構成されて6つのアームで構成される。
【0142】
それによって、3相モジュール型マルチレベルコンバータ200はA相正極に対する複数のサブモジュールで構成される第1アーム221、A相負極に対する複数のサブモジュール210で構成される第2アーム222、B相正極に対する複数のサブモジュールで構成される第3アーム223、B相負極に対する複数のサブモジュール210で構成される第4アーム224、C相正極に対する複数のサブモジュールで構成される第5アーム225、C相負極に対する複数のサブモジュール210で構成される第6アーム226で構成される。
【0143】
そして、一つの相に対する複数のサブモジュール210はレッグ(Leg)を構成する。
【0144】
それによって、3相モジュール型マルチレベルコンバータ200はA相に対する複数のサブモジュール210を含むA相レッグ227と、B相に対する複数のサブモジュール210を含むB相レッグ228と、C相に対する複数のサブモジュール210を含むC相レッグ229で構成される。
【0145】
よって、第1アーム221乃至第6アーム226はそれぞれA,B,C相レッグ227,228,220に含まれる。
【0146】
詳しくは、A相レッグ227にはA相の正極アームである第1アーム221と負極アームである第2アーム222が含まれ、B相レッグ228にはB相の正極アームである第3アーム223と負極アームである第4アーム224が含まれる。そして、C相レッグ229にはC相の正極アームである第5アーム225と負極アームである第6アーム226が含まれる。
【0147】
また、複数のサブモジュール210は極性に応じて正極アーム227と負極アーム228を構成する。
【0148】
詳しくは、図7を参照するとモジュール型マルチレベルコンバータ200に含まれる複数のサブモジュール210は中性線nを基準に正極に対応する複数のサブモジュール210と負極に対応する複数のサブモジュール210とで分類される。
【0149】
よって、モジュール型マルチレベルコンバータ200は正極に対応する複数のサブモジュール210で構成される正極アーム227、負極に対応する複数のサブモジュール210で構成される負極アーム228で構成される。
【0150】
よって、正極アーム227は第1アーム221、第3アーム223、第5アーム225で構成され、負極アーム228は第2アーム222、第4アーム224、第6アーム226で構成される。
【0151】
次に、図8を参照してサブモジュール210の構成を説明する。
【0152】
図8は、サブモジュール210の構成に関する例示図である。
【0153】
図8を参照すると、サブモジュール210は2つのスイッチ、2つのダイオード、キャパシタを含む。このようなサブモジュール210の形態をハーフブリッジ(half−bridge)形態又はハーフブリッジインバータ(half bridge inverter)とも称する。
【0154】
そして、スイッチング部217に含まれるスイッチは電力半導体を含む。
【0155】
ここで電力半導体とは電力装置用半導体素子をいい、電力の変換や制御用に最適化されている。そして、電力半導体はバルブ装置とも称する。
【0156】
それによってスイッチング部217に含まれるスイッチは電力半導体と構成されるが、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、GTO(Gate Turn−off Thyristor)、IGCT(Insulated Gate Commutated Transistor)などで構成される。
【0157】
貯蔵部219はキャパシタを含んでいるためエネルギーを充電又は放電する。一方、サブモジュール210の構成及び動作に基づいてサブモジュール210を等価モデルで示すことができる。
【0158】
図9はサブモジュール210の等価モデルを示すが、図9を参照するとサブモジュール210はスイッチとキャパシタで構成されたエネルギーの充電及び放電装置として示される。
【0159】
それによって、サブモジュール210は出力電圧がVsmであるエネルギーの充電及び放電装置と同じであることが分かる。
【0160】
次に、図10乃至図13を参照してサブモジュール210の動作を説明する。
【0161】
図10乃至図13のサブモジュール210のスイッチ部217は複数のスイッチT1,T2を含み、それぞれのスイッチはそれぞれのダイオードD1,D2に連結される。そして、サブモジュール210の貯蔵部219はキャパシタを含む。
【0162】
図10及び図11を参照してサブモジュール210の充電及び放電動作を説明する。
【0163】
図10及び図11は、サブモジュール210のキャパシタ電圧Vsmの形成を示す。
【0164】
図10及び図11を参照すると、スイッチ部217のスイッチT1はターンオン、スイッチT2はターンオフ状態を示す。それによってサブモジュール210はそれぞれのスイッチ動作に応じてキャパシタ電圧を形成する。
【0165】
詳しくは、図10を参照するとサブモジュール210に流入される電流はダイオードD1を経てキャパシタに伝達されてキャパシタ電圧を形成する。そして、形成されたキャパシタ電圧はキャパシタにエネルギーを充電する。
【0166】
そして、サブモジュール210は充電されたエネルギーを放出する放出動作を行う。
【0167】
詳しくは、図11を参照するとサブモジュール210に充電されたエネルギーであるキャパシタの貯蔵エネルギーはスイッチT1を経て出力される。よって、サブモジュール210は貯蔵されたエネルギーを放出する。
【0168】
図12及び図13を参照してサブモジュール210のバイパス(Bypass)動作を説明する。
【0169】
図12及び図13は、サブモジュール210の零電圧の形成を示す。
【0170】
図12及び図13を参照すると、スイッチ部217のスイッチT1はターンオフ、スイッチT2はターンオンされた状態を示す。それによってサブモジュール210のキャパシタに電流が流れなくなり、サブモジュール201は零電圧を形成する。
【0171】
詳しくは、図12を参照するとサブモジュール210に流入される電流はスイッチT2を介して出力されてサブモジュール210は零電圧を形成する。
【0172】
そして、図13を参照するとサブモジュール210に流入される電流はダイオードD2を介して出力されてサブモジュール210は零電圧を形成する。
【0173】
このようにサブモジュール210が零電圧を形成するため、流れる電流がサブモジュール210に流入されずに通過するバイパス動作を行うことができる。
【0174】
図14乃至図16は、本発明の一実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータのスイッチング順番の決定動作を示す図である。
【0175】
図14を参照すると、複数のサブモジュール210が第1サブモジュール、第2サブモジュール、第3サブモジュール、第4サブモジュール、第5サブモジュール、第6サブモジュール及び第7サブモジュールを含む場合、中央制御器250は第1サブモジュールから順次にアドレスを割り当てる。
【0176】
即ち、第1サブモジュールには1番のアドレスが割り当てられ、 第2サブモジュールには2番のアドレスが割り当てられ、 第3サブモジュールには3番のアドレスが割り当てられ、 第4サブモジュールには4番のアドレスが割り当てられ、 第5サブモジュールには5番のアドレスが割り当てられ、 第6サブモジュールには6番のアドレスが割り当てられ、 第7サブモジュールには7番のアドレスが割り当てられる。
【0177】
そして、中央制御器250は1番から順番にスイッチング順番を決定する。この際、スイッチング順番はそれぞれのサブモジュールが有する充電電圧と目標電圧を基準に決定される。
【0178】
図15を参照すると、目標電圧が60で第1サブモジュールから第7サブモジュールに20の電圧が同じく充電されている場合、中央制御器250は目標電圧に合わせるためのサブモジュールのスイッチング順番を決定する。
【0179】
この際、それぞれのサブモジュールには20の電圧が充電されているため、目標電圧に合わせるためには前から3つのサブモジュールのみが放電動作を行えばよい。
【0180】
それによって、中央制御器250はアドレスの順番通りに第1サブモジュール、第2サブモジュール及び第3サブモジュールのみが放電動作を行うようにし、残りの他のサブモジュールはバイパス動作又は充電動作を行うようにする。
【0181】
この際、中央制御器250は前記のようなスイッチング条件が決定された場合、放電動作を行うサブモジュールのうち最後のアドレスを有するサブモジュールを記憶する。
【0182】
そして、図16を参照すると次のスイッチング条件の決定時には記憶しているサブモジュールの次のアドレスからスイッチング順番を決定する。
【0183】
即ち、前記では第3サブモジュールまで放電動作が行われたため、次のスイッチング時には第4サブモジュールから放電動作が行われる。
【0184】
それによって、目標電圧が40であれば記憶しているサブモジュールの次のサブモジュールから2つのサブモジュールのみが放電動作を行うようにする。
【0185】
よって、中央制御器250は第4サブモジュール及び第5サブモジュールのみが放電動作を行うようにし、残りの他のサブモジュールはバイパス動作又は充電動作を行うようにする。そして、前記と同じく中央制御器は放電動作を行うサブモジュールのうち最後のアドレスが割り当てられた第5サブモジュールに関する情報を記憶し、それを後のスイッチング条件の決定時に適用する。
【0186】
本発明の実施例によると、多数のサブモジュールに対するスイッチング順番を割り当てられたアドレスに応じて決定することでサブモジュールの動作条件を決定するのにかかる時間を短縮することができる。
【0187】
また、本発明の実施例によると多数のサブモジュールをアドレスの順番通りにスイッチングして多数のサブモジュールのスイッチング頻度に対する均衡性を維持することで、特定サブモジュールのみが継続的にスイッチングする状況を事前に防止することができるだけでなく、特定のサブモジュールの寿命が短縮する状況を防止することができる。
【0188】
図17乃至図18は、本発明の一実施例によるモジュール型マルチレベルコンバータのスイッチング順番の決定方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
【0189】
まず、図17を参照すると、中央制御器250はサブモジュールの配置順にアドレスを割り当てるS100。即ち、サブモジュールのうち最前に配置されたサブモジュールには最低のアドレスが割り当てられ、最後に配置されたサブモジュールには最高のアドレスがあり当てられる。
【0190】
次に、中央制御器250は目標電圧及び複数のサブモジュールがそれぞれ充電している充電電圧を確認するS110。
【0191】
次に、中央制御器250は目標電圧及び充電電圧を基準に先の番号を有するサブモジュールから順次にスイッチング順番を決定するS120。
【0192】
即ち、充電電圧を基準に目標電圧を出力するように先の番号のアドレスを有するサブモジュールから順次に放電動作を行うS130。
【0193】
そして、順次に行われる放電動作を介して目標電圧に相応する出力電圧を発生するS130。
【0194】
この際、中央制御器250は目標電圧を出力するために放電動作を行うサブモジュールのうち最後の番号を有するサブモジュールに関する情報を記憶し、後にそれを活用してサブモジュールのスイッチング条件を決定する。
【0195】
即ち、図18を参照すると中央制御器250は目標電圧及びサブモジュールの充電電圧を確認するS200。
【0196】
そして、中央制御器250は以前時点で放電動作を行ったサブモジュールのうち最後の番号のアドレスを有するサブモジュールを確認するS210。
【0197】
次に、中央制御器250は確認したサブモジュールの次のアドレスを有するサブモジュールから目標電圧を出力するためのスイッチング順番を決定するS220。
【0198】
例えば、以前時点で3番のアドレスを有するサブモジュールまで放電が行われたのであれば、現時点では4番のアドレスを有するサブモジュールから放電が行われる。
【0199】
次に、決定されたスイッチング順番に応じてサブモジュールの放電が行われることで目標電圧に相応する出力電圧を発生するS230。
【0200】
本発明による実施例によると、多数のサブモジュールに対するスイッチング順番を割り当てられたアドレスに応じて決定することでサブモジュールの動作条件を決定するのにかかる時間を短縮することができる。
【0201】
また、本発明の実施例によると多数のサブモジュールをアドレスの順番通りにスイッチングして多数のサブモジュールのスイッチング頻度に対する均衡性を維持することで、特定サブモジュールのみが継続的にスイッチングする状況を事前に防止することができるだけでなく、特定サブモジュールの寿命が短縮する状況を防止することができる。
【0202】
また、前記では本発明の好ましい実施例について図示し説明したが、本発明が上述した特定の実施例に限ることはなく、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく該当発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることはもちろんである。また、このような変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
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