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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-221006(P2015-221006A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】苗植付装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20151113BHJP
【FI】
   A01C11/02 350F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-106403(P2014-106403)
(22)【出願日】2014年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田部 智也
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064AC01
2B064BB02
2B064BB05
(57)【要約】
【課題】苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図る。
【解決手段】苗のせ台12を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体が、支持部材68に左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、苗のせ台12の左右移動を許容するとともに支持部材68に対する苗のせ台12の浮き上がりを規制する規制部93が、苗のせ台12に複数の移動用回転体75の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、苗のせ台12と支持部材68とにわたって上下方向に延びて苗のせ台12の浮き上がりを規制する係止部材94にて構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記支持部材に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成され、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、前記苗のせ台の苗送り方向と交差する方向の沈み込みを規制する沈み込み規制用回転体が備えられ、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられ、この覆い部に前記係止部材が固定され、
前記苗のせ台における前記移動用回転体が接触する部分に、対摩耗性に優れたプレートが備えられている苗植付装置。
【請求項2】
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記支持部材に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成され、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、前記苗のせ台の苗送り方向と交差する方向の沈み込みを規制する沈み込み規制用回転体が備えられ、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられ、この覆い部に前記係止部材が固定されている苗植付装置。
【請求項3】
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記支持部材に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成され、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、前記苗のせ台の苗送り方向と交差する方向の沈み込みを規制する沈み込み規制用回転体が備えられ、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられている苗植付装置。
【請求項4】
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記支持部材に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成されている苗植付装置。
【請求項5】
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記苗のせ台に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記支持部材に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成されている苗植付装置。
【請求項6】
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成されている苗植付装置。
【請求項7】
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されている苗植付装置。
【請求項8】
植付け用苗を載置する苗のせ台が、複数の苗載置部を備える主苗のせ台と、その主苗のせ台の左右方向での横側端部に対して左右に分割自在な端部苗のせ台と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の横側端部に連結されて一連の苗載置面を構成する作業姿勢連結状態と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の表面側で重なるように支持された格納支持状態とに切換可能な連結支持装置とを備え、
前記連結支持装置は、前記主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部と、一端側が前記端部苗のせ台に連結され且つ他端側が前記スライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕とを備え、
前記支持腕は、前記スライド案内部に沿ってスライド移動する横移動腕部と、その横移動腕部の横外側端部に連結され且つ前記横移動腕部の延長方向に起伏揺動腕部が沿う伸展姿勢と、前記横移動腕部に対して起伏揺動腕部が前記主苗のせ台の表面側へ向けて起立した屈折姿勢とに姿勢変更可能な起伏揺動腕部と、前記伸展姿勢にある前記起伏揺動腕部の姿勢変動を規制する姿勢保持部とを備え、
前記起伏揺動腕部が、前記伸展姿勢と前記屈折姿勢とにわたり姿勢変更可能なように、前記横移動腕部に対して上下方向に沿う揺動軸心周りで揺動可能に支持され、
前記姿勢保持部は、前記伸展姿勢にある前記起伏揺動腕部が前記苗のせ台の裏面側に向けて姿勢変化するのを受け止め規制すべく、前記起伏揺動腕部と前記横移動腕部との隙間を埋める隙間埋め部材にて構成されている苗植付装置。
【請求項9】
植付け用苗を載置する苗のせ台が、複数の苗載置部を備える主苗のせ台と、その主苗のせ台の左右方向での横側端部に対して左右に分割自在な端部苗のせ台と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の横側端部に連結されて一連の苗載置面を構成する作業姿勢連結状態と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の表面側で重なるように支持された格納支持状態とに切換可能な連結支持装置とを備え、
前記連結支持装置は、前記主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部と、前記端部苗のせ台に一端側を連結され、他端側が前記スライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕とを備え、
前記支持枠における前記主苗のせ台の横内方側寄り箇所に左右方向に沿う案内溝が形成され、前記スライド案内部に、前記案内溝内を転動する左右一対の転動用ローラが、夫々、ローラ支軸にて回動自在に支持される状態で備えられ、
左右一対のローラ支軸は、一端部同士が連なり略U字状に一体的に形成された棒状体にて構成され、且つ、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出する状態で延長形成され、
前記支持腕は、前記スライド案内部に沿ってスライド移動する横移動腕部と、その横移動腕部の横外側端部に連結され且つ前記横移動腕部の延長方向に起伏揺動腕部が沿う伸展姿勢と、前記横移動腕部に対して起伏揺動腕部が前記主苗のせ台の表面側へ向けて起立した屈折姿勢とに姿勢変更可能な起伏揺動腕部とを備え、
前記横移動腕部における前記起伏揺動腕部との連結箇所よりも左右方向で前記主苗のせ台の横内方側寄り箇所に前記案内溝が形成されている苗植付装置。
【請求項10】
植付け用苗を載置する苗のせ台が、複数の苗載置部を備える主苗のせ台と、その主苗のせ台の左右方向での横側端部に対して左右に分割自在な端部苗のせ台と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の横側端部に連結されて一連の苗載置面を構成する作業姿勢連結状態と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の表面側で重なるように支持された格納支持状態とに切換可能な連結支持装置とを備え、
前記連結支持装置は、前記主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部と、前記端部苗のせ台に一端側を連結され、他端側が前記スライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕とを備え、
前記支持枠における前記主苗のせ台の横内方側寄り箇所に左右方向に沿う案内溝が形成され、前記スライド案内部に、前記案内溝内を転動する左右一対の転動用ローラが、夫々、ローラ支軸にて回動自在に支持される状態で備えられ、
左右一対のローラ支軸は、一端部同士が連なり略U字状に一体的に形成された棒状体にて構成され、且つ、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出する状態で延長形成されている苗植付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や歩行型田植機に装備される苗植付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の苗植付装置では、次のように構成されたものがあった。
すなわち、左右方向に沿って延設され且つ苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材に、複数の移動用回転体が適宜間隔をあけて備えられ、苗のせ台がこの移動用回転体により左右方向に移動可能に案内される。又、移動用回転体を支持部材に連結するためのブラケットに苗のせ台の浮き上がり防止用の規制部が備えられる。この規制部は、ブラケットに対して移動用回転体から横方向に位置をずらせて連結される支持アームに、苗縦送り方向と交差する方向に沿う軸芯周りで回転自在に規制用ローラが支持されて構成される。そして、苗のせ台の下端部に規制用ローラが入り込み係合する凹溝が形成された案内レールが備えられ、規制用ローラと案内レールとの接触により苗のせ台の浮き上がりを防止している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の苗植付装置では、苗のせ台が、複数の苗載置部を備える主苗のせ台と、その主苗のせ台の左右方向での横側端部に対して左右に分割自在な端部苗のせ台と、端部苗のせ台が主苗のせ台の横側端部に連結されて一連の苗載置面を構成する作業姿勢連結状態と、端部苗のせ台が主苗のせ台の表面側で重なるように支持された格納支持状態とに切換可能な連結支持装置とを備える。そして、連結支持装置を、主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部と、そのスライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕とを備えたもので構成し、かつ支持腕をスライド及び起立可能に構成されている。具体的には、スライド案内部に形成した長孔に対して、支持腕側の支軸を挿通した状態でスライド操作する構成となっており、スライド操作部が最も外方側にスライドした状態では、長孔と支軸との係合、及び、スライド案内部の端部と支持腕の端部との狭い領域での接当規制状態とで姿勢が保持される構成となっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
従来の苗植付装置では、苗のせ台が、複数の苗載置部を備える主苗のせ台と、その主苗のせ台の左右方向での横側端部に対して左右に分割自在な端部苗のせ台と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の横側端部に連結されて一連の苗載置面を構成する作業姿勢連結状態と、端部苗のせ台が主苗のせ台の表面側で重なるように支持された格納支持状態とに切換可能な連結支持装置とを備える。そして、連結支持装置が、主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部と、そのスライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕とを備えたもので構成し、かつ支持腕がスライド及び起立可能に構成されている。具体的には、スライド案内部に支持腕の上下両側に接当してスライド自在に案内するガイド面を備え、上下両側のガイド面が支持腕の上下両側に接当して、支持腕の水平姿勢を維持して下方への垂れ下がりを阻止しながらスライド自在に案内する構成となっており、スライド操作部が最も外方側にスライドして上側のガイド面による案内機能が無くなった状態で支持腕が回動可能となる構成となっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−208082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来構成では、苗のせ台の浮き上がり防止用の規制部において、規制用ローラと案内レールとが常に接触した状態となっているので、苗のせ台が左右方向に往復横送り駆動されるのに伴って、規制用ローラや案内レールが摩耗し易い状態となっており、耐久性が低下する不利があった。又、上記従来構成では、規制用ローラを支持する支軸に対して苗のせ台の荷重が片持ち状に掛かるので、支持構造を強固にする必要があり、又、摩耗し難い材料の規制用ローラを用いる必要があり、構造が複雑でコスト高になる不利もあった。
【0007】
そこで、苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図ることが望まれていた。
【0008】
上記従来構成では、苗のせ台が主苗のせ台と端部苗のせ台とに分割可能に設けられ、作業姿勢連結状態と格納支持状態とに切換可能な連結支持装置として、主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕を備え、その支持腕をスライド及び起立可能に構成されているが、この構成では、起伏揺動の支点となる支軸を主苗のせ台の横側外方へ大きく突出させる必要があることから、支持腕の揺動軸心よりも外側にまで延設される固定側のスライド案内部の端部も主苗のせ台の横側外方へ大きく突出する状態となり、端部苗のせ台を格納姿勢としたときの苗のせ台の横幅を十分にコンパクトにすることができない不利がある。
【0009】
又、従来構成では、スライド操作部が最も外方側にスライドした状態では、長孔と支軸との係合、及び、スライド案内部の端部と支持腕の端部との狭い領域での接当規制状態とで姿勢が保持される構成であるから、スライド操作部が最も外方側にスライドした状態において端部苗のせ台の荷重に起因して支持腕が裏面側へ倒れた状態となって姿勢保持が十分に行えないおそれがあった。
【0010】
そこで、苗のせ台が主苗のせ台と端部苗のせ台とに分割可能に設けられ、作業姿勢連結状態と格納支持状態とに切換可能な連結支持装置が備えられたものにおいて、端部苗のせ台を格納姿勢としたときの苗のせ台の横幅をできるだけコンパクトにするとともに、支持腕が横側外方へ突出した状態での姿勢維持を確実に行えるようにすることが望まれていた。
【0011】
又、上記従来構成では、上述したように、スライド案内部に形成した長孔に対して、支持腕側の支軸を挿通した状態でスライド操作するものであるから、支軸と長孔の内縁との間の摺動抵抗が大きく、摺動スライド操作が軽快に行い難く、また拗れが発生する虞がある。しかも、上下両側のガイド板が支持腕の上下両側に接当して、支持腕の水平姿勢を維持して姿勢変化を阻止しながらスライド自在に案内するものであるから、支持腕をスライドするときは、ガイド部における上下両側が摺接しながら移動するので、そのことによっても摺動抵抗が大きくなり、スライド操作が重く作業が行い難いものとなる不利があった。
【0012】
そこで、支持腕の水平姿勢を維持して姿勢変化を阻止しながらスライド操作を軽快に行えるようにしながらも、簡素な構成で且つ組み付け作業性の低下を招くおそれを少ないものにすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る苗植付装置の第1の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記支持部材に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成され、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、前記苗のせ台の苗送り方向と交差する方向の沈み込みを規制する沈み込み規制用回転体が備えられ、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられ、この覆い部に前記規制部材が固定され、
前記苗のせ台における前記移動用回転体が接触する部分に、対摩耗性に優れたプレートが備えられている点にある。
【0014】
本構成によれば、支持部材に備えられた複数の移動用回転体により、苗のせ台が円滑に左右方向に移動案内される。そして、苗のせ台において、複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられた規制部により苗のせ台の浮き上がりが規制される。
【0015】
このように規制部が複数の移動用回転体の左右方向の間に位置することにより、複数の移動用回転体とそれらが接触して転動案内される苗のせ台側の部材との間が離間して移動用回転体が脱輪する等の不利のない状態で良好に移動案内を継続して行える。
【0016】
規制部は、苗のせ台と支持部材とにわたって上下方向に延びて苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されるので、単に、苗のせ台と支持部材との上下方向の相対変位を規制するものであればよく、簡単な構造のもので対応できる。又、係止部材は、苗のせ台と支持部材との所定量以上の相対変位を規制すればよく、苗のせ台の横移動の際に常に摺動する必要はないので、摩耗するおそれも少なく耐久性のよいものになる。
【0017】
従って、苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図ることが可能となった。
【0018】
本構成によれば、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての移動用回転体が苗のせ台の下部側と支持部材との間に位置して苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するので、横移動する苗のせ台をガタツキなく安定的に支持することができる。さらに、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、規制部が複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するので、苗のせ台がどの位置にあっても有効に浮き上がりを規制することができる。
【0019】
本構成によれば、苗のせ台と支持部材のうちのいずれか一方に沈み込み規制用回転体が備えられるので、苗のせ台上に植え付け用苗が載置されて荷重がかかっても滑らかに転動しながら苗のせ台の苗送り方向と交差する方向への沈み込みを規制することができる。しかも、苗のせ台と支持部材のうちの他方に、沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられているから、苗植え付け作業に伴って泥土が飛散することがあっても、沈み込み規制用回転体に泥土が降りかかることを防止できる。
【0020】
そして、覆い部を利用して係止部材を固定するので、係止部材を固定するための専用固定具等を設けるなどの構成の複雑化を招くことなく、簡易な構成で係止部材を支持することができる。
【0021】
本構成によれば、苗のせ台における移動用回転体が接触する部分には対摩耗性に優れたプレートが備えられているから、苗のせ台の横移動が繰り返し行われても、移動用回転体が接触する部分が短期間で摩耗することを回避して、長期にわたり良好な苗植え付け作業を行うことができる。
【0022】
本発明に係る苗植付装置の第2の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記支持部材に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成され、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、前記苗のせ台の苗送り方向と交差する方向の沈み込みを規制する沈み込み規制用回転体が備えられ、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられ、この覆い部に前記規制部材が固定されている点にある。
【0023】
本構成によれば、支持部材に備えられた複数の移動用回転体により、苗のせ台が円滑に左右方向に移動案内される。そして、苗のせ台において、複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられた規制部により苗のせ台の浮き上がりが規制される。
【0024】
このように規制部が複数の移動用回転体の左右方向の間に位置することにより、複数の移動用回転体とそれらが接触して転動案内される苗のせ台側の部材との間が離間して移動用回転体が脱輪する等の不利のない状態で良好に移動案内を継続して行える。
【0025】
規制部は、苗のせ台と支持部材とにわたって上下方向に延びて苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されるので、単に、苗のせ台と支持部材との上下方向の相対変位を規制するものであればよく、簡単な構造のもので対応できる。又、係止部材は、苗のせ台と支持部材との所定量以上の相対変位を規制すればよく、苗のせ台の横移動の際に常に摺動する必要はないので、摩耗するおそれも少なく耐久性のよいものになる。
【0026】
従って、苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図ることが可能となった。
【0027】
本構成によれば、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての移動用回転体が苗のせ台の下部側と支持部材との間に位置して苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するので、横移動する苗のせ台をガタツキなく安定的に支持することができる。さらに、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、規制部が複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するので、苗のせ台がどの位置にあっても有効に浮き上がりを規制することができる。
【0028】
本構成によれば、苗のせ台と支持部材のうちのいずれか一方に沈み込み規制用回転体が備えられるので、苗のせ台上に植え付け用苗が載置されて荷重がかかっても滑らかに転動しながら苗のせ台の苗送り方向と交差する方向への沈み込みを規制することができる。しかも、苗のせ台と支持部材のうちの他方に、沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられているから、苗植え付け作業に伴って泥土が飛散することがあっても、沈み込み規制用回転体に泥土が降りかかることを防止できる。
【0029】
そして、覆い部を利用して係止部材を固定するので、係止部材を固定するための専用固定具等を設けるなどの構成の複雑化を招くことなく、簡易な構成で係止部材を支持することができる。
【0030】
本発明に係る苗植付装置の第3の特徴構成は、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記支持部材に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成され、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、前記苗のせ台の苗送り方向と交差する方向の沈み込みを規制する沈み込み規制用回転体が備えられ、
前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられている点にある。
【0031】
本構成によれば、支持部材に備えられた複数の移動用回転体により、苗のせ台が円滑に左右方向に移動案内される。そして、苗のせ台において、複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられた規制部により苗のせ台の浮き上がりが規制される。
【0032】
このように規制部が複数の移動用回転体の左右方向の間に位置することにより、複数の移動用回転体とそれらが接触して転動案内される苗のせ台側の部材との間が離間して移動用回転体が脱輪する等の不利のない状態で良好に移動案内を継続して行える。
【0033】
規制部は、苗のせ台と支持部材とにわたって上下方向に延びて苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されるので、単に、苗のせ台と支持部材との上下方向の相対変位を規制するものであればよく、簡単な構造のもので対応できる。又、係止部材は、苗のせ台と支持部材との所定量以上の相対変位を規制すればよく、苗のせ台の横移動の際に常に摺動する必要はないので、摩耗するおそれも少なく耐久性のよいものになる。
【0034】
従って、苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図ることが可能となった。
【0035】
本構成によれば、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての移動用回転体が苗のせ台の下部側と支持部材との間に位置して苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するので、横移動する苗のせ台をガタツキなく安定的に支持することができる。さらに、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、規制部が複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するので、苗のせ台がどの位置にあっても有効に浮き上がりを規制することができる。
【0036】
本構成によれば、苗のせ台と支持部材のうちのいずれか一方に沈み込み規制用回転体が備えられるので、苗のせ台上に植え付け用苗が載置されて荷重がかかっても滑らかに転動しながら苗のせ台の苗送り方向と交差する方向への沈み込みを規制することができる。しかも、苗のせ台と支持部材のうちの他方に、沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられているから、苗植え付け作業に伴って泥土が飛散することがあっても、沈み込み規制用回転体に泥土が降りかかることを防止できる。
【0037】
本発明に係る苗植付装置の第4の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記支持部材に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成されている点にある。
【0038】
本構成によれば、支持部材に備えられた複数の移動用回転体により、苗のせ台が円滑に左右方向に移動案内される。そして、苗のせ台において、複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられた規制部により苗のせ台の浮き上がりが規制される。
【0039】
このように規制部が複数の移動用回転体の左右方向の間に位置することにより、複数の移動用回転体とそれらが接触して転動案内される苗のせ台側の部材との間が離間して移動用回転体が脱輪する等の不利のない状態で良好に移動案内を継続して行える。
【0040】
規制部は、苗のせ台と支持部材とにわたって上下方向に延びて苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されるので、単に、苗のせ台と支持部材との上下方向の相対変位を規制するものであればよく、簡単な構造のもので対応できる。又、係止部材は、苗のせ台と支持部材との所定量以上の相対変位を規制すればよく、苗のせ台の横移動の際に常に摺動する必要はないので、摩耗するおそれも少なく耐久性のよいものになる。
【0041】
従って、苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図ることが可能となった。
【0042】
本構成によれば、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての移動用回転体が苗のせ台の下部側と支持部材との間に位置して苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するので、横移動する苗のせ台をガタツキなく安定的に支持することができる。さらに、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、規制部が複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するので、苗のせ台がどの位置にあっても有効に浮き上がりを規制することができる。
【0043】
本発明に係る苗植付装置の第5の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記苗のせ台に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記支持部材に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成されている点にある。
【0044】
本構成によれば、苗のせ台に備えられた複数の移動用回転体により、支持部材に対して苗のせ台が円滑に左右方向に移動案内される。そして、支持部材において、複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられた規制部により苗のせ台の浮き上がりが規制される。
【0045】
このように規制部が複数の移動用回転体の左右方向の間に位置することにより、複数の移動用回転体とそれらが接触して転動案内される支持部材側の部材との間が離間して移動用回転体が脱輪する等の不利のない状態で良好に移動案内を継続して行える。
【0046】
規制部は、苗のせ台と支持部材とにわたって上下方向に延びて苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されるので、単に、苗のせ台と支持部材との上下方向の相対変位を規制するものであればよく、簡単な構造のもので対応できる。又、係止部材は、苗のせ台と支持部材との所定量以上の相対変位を規制すればよく、苗のせ台の横移動の際に常に摺動する必要はないので、摩耗するおそれも少なく耐久性のよいものになる。
【0047】
従って、苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図ることが可能となった。
【0048】
本構成によれば、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての移動用回転体が苗のせ台の下部側と支持部材との間に位置して苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するので、横移動する苗のせ台をガタツキなく安定的に支持することができる。さらに、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、規制部が複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するので、苗のせ台がどの位置にあっても有効に浮き上がりを規制することができる。
【0049】
本発明に係る苗植付装置の第6の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成され、
前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての前記移動用回転体が前記苗のせ台の下部側と前記支持部材との間に位置して前記苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するとともに、前記苗のせ台が左右方向に往復移動する間、前記規制部が前記複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するように構成されている点にある。
【0050】
本構成によれば、苗のせ台と支持部材のうちのいずれか一方に備えられた複数の移動用回転体により、苗のせ台が円滑に左右方向に移動案内される。そして、苗のせ台と支持部材のうちの他方において、複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられた規制部により苗のせ台の浮き上がりが規制される。
【0051】
このように規制部が複数の移動用回転体の左右方向の間に位置することにより、複数の移動用回転体とそれらが接触して転動案内される相手側の部材との間が離間して移動用回転体が脱輪する等の不利のない状態で良好に移動案内を継続して行える。
【0052】
規制部は、苗のせ台と支持部材とにわたって上下方向に延びて苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されるので、単に、苗のせ台と支持部材との上下方向の相対変位を規制するものであればよく、簡単な構造のもので対応できる。又、係止部材は、苗のせ台と支持部材との所定量以上の相対変位を規制すればよく、苗のせ台の横移動の際に常に摺動する必要はないので、摩耗するおそれも少なく耐久性のよいものになる。
【0053】
従って、苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図ることが可能となった。
【0054】
本構成によれば、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、全ての移動用回転体が苗のせ台の下部側と支持部材との間に位置して苗のせ台の下部側を支持する状態を維持するので、横移動する苗のせ台をガタツキなく安定的に支持することができる。さらに、苗のせ台が左右方向に往復移動する間、規制部が複数の移動用回転体の間に位置する状態を維持するので、苗のせ台がどの位置にあっても有効に浮き上がりを規制することができる。
【0055】
本発明に係る苗植付装置の第7の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台と、
左右方向に沿って延設され且つ前記苗のせ台を下方から受け止め支持する支持部材と、
前記苗のせ台を左右方向に移動可能に案内する複数の移動用回転体と、
前記苗のせ台の左右移動を許容するとともに前記支持部材に対する前記苗のせ台の浮き上がりを規制する規制部とが備えられ、
前記複数の移動用回転体が、前記苗のせ台と前記支持部材のうちのいずれか一方に、左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で備えられ、
前記規制部が、前記苗のせ台と前記支持部材のうちの他方に、前記複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、前記苗のせ台と前記支持部材とにわたって上下方向に延びて前記苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されている点にある。
【0056】
本構成によれば、苗のせ台と支持部材のうちのいずれか一方に備えられた複数の移動用回転体により、苗のせ台が円滑に左右方向に移動案内される。そして、苗のせ台と支持部材のうちの他方において、複数の移動用回転体の左右方向の間に位置する状態で備えられた規制部により苗のせ台の浮き上がりが規制される。
【0057】
このように規制部が複数の移動用回転体の左右方向の間に位置することにより、複数の移動用回転体とそれらが接触して転動案内される相手側の部材との間が離間して移動用回転体が脱輪する等の不利のない状態で良好に移動案内を継続して行える。
【0058】
規制部は、苗のせ台と支持部材とにわたって上下方向に延びて苗のせ台の浮き上がりを規制する係止部材にて構成されるので、単に、苗のせ台と支持部材との上下方向の相対変位を規制するものであればよく、簡単な構造のもので対応できる。又、係止部材は、苗のせ台と支持部材との所定量以上の相対変位を規制すればよく、苗のせ台の横移動の際に常に摺動する必要はないので、摩耗するおそれも少なく耐久性のよいものになる。
【0059】
従って、苗のせ台の浮き上がりを防止するための構成について、耐久性の向上を図るとともに、構成の簡素化によりコスト低減を図ることが可能となった。
【0060】
本発明に係る苗植付装置の第8の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台が、複数の苗載置部を備える主苗のせ台と、その主苗のせ台の左右方向での横側端部に対して左右に分割自在な端部苗のせ台と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の横側端部に連結されて一連の苗載置面を構成する作業姿勢連結状態と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の表面側で重なるように支持された格納支持状態とに切換可能な連結支持装置とを備え、
前記連結支持装置は、前記主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部と、一端側が前記端部苗のせ台に連結され且つ他端側が前記スライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕とを備え、
前記支持腕は、前記スライド案内部に沿ってスライド移動する横移動腕部と、その横移動腕部の横外側端部に連結され且つ前記横移動腕部の延長方向に起伏揺動腕部が沿う伸展姿勢と、前記横移動腕部に対して起伏揺動腕部が前記主苗のせ台の表面側へ向けて起立した屈折姿勢とに姿勢変更可能な起伏揺動腕部と、前記伸展姿勢にある前記起伏揺動腕部の姿勢変動を規制する姿勢保持部とを備え、
前記起伏揺動腕部が、前記伸展姿勢と前記屈折姿勢とにわたり姿勢変更可能なように、前記横移動腕部に対して上下方向に沿う揺動軸心周りで揺動可能に支持され、
前記姿勢保持部は、前記伸展姿勢にある前記起伏揺動腕部が前記苗のせ台の裏面側に向けて姿勢変化するのを受け止め規制すべく、前記起伏揺動腕部と前記横移動腕部との隙間を埋める隙間埋め部材にて構成されている点にある。
【0061】
本構成によれば、支持腕が、スライド案内部に沿ってスライド移動する横移動腕部と、その横移動腕部の横外側端部に連結された起伏揺動腕部とを備えていて、横側外方に引き出された伸展姿勢と起立する屈折姿勢とに姿勢変更可能に構成されているので、支持腕の揺動軸心位置を、スライド案内部の横外側端部の位置によって規制されることなく、任意の位置に設定することができる。その結果、スライド案内部の横外側端部の位置を、支持腕の揺動軸心位置よりも横外側にまで延長する必要がなく、スライド案内部の横外方への突出量を短くして、端部苗のせ台を格納姿勢としたときの苗のせ台の横幅をできるだけコンパクトなものにすることが可能となる。
【0062】
そして、伸展姿勢にある起伏揺動腕部の姿勢変動を規制する姿勢保持部が、起伏揺動腕部と横移動腕部との隙間を埋める隙間埋め部材にて構成されているから、例えば、伸展姿勢にある起伏揺動腕部に対して横移動腕部から外方に長く延設される受止め部材を設ける場合のように、大型の部材になることがなく、起伏揺動腕部と横移動腕部との隙間に入る程度の小形の部材でよく簡素な構成で対応できる。このように簡素な構成により合理的に起伏揺動腕部の姿勢変化を規制することができる。
【0063】
従って、苗のせ台が主苗のせ台と端部苗のせ台とに分割可能に設けられ、作業姿勢連結状態と格納支持状態とに切換可能な連結支持装置が備えられたものにおいて、端部苗のせ台を格納姿勢としたときの苗のせ台の横幅をできるだけコンパクトにすることが可能であるとともに、簡素な構成により支持腕の横側外方へ突出した状態における姿勢維持を行えるようにすることが可能となった。
【0064】
本発明に係る苗植付装置の第9の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台が、複数の苗載置部を備える主苗のせ台と、その主苗のせ台の左右方向での横側端部に対して左右に分割自在な端部苗のせ台と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の横側端部に連結されて一連の苗載置面を構成する作業姿勢連結状態と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の表面側で重なるように支持された格納支持状態とに切換可能な連結支持装置とを備え、
前記連結支持装置は、前記主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部と、前記端部苗のせ台に一端側を連結され、他端側が前記スライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕とを備え、
前記支持腕における前記主苗のせ台の横内方側寄り箇所に左右方向に沿う案内溝が形成され、前記スライド案内部に、前記案内溝内を転動する左右一対の転動用ローラが、夫々、ローラ支軸にて回動自在に支持される状態で備えられ、
左右一対のローラ支軸は、一端部同士が連なり略U字状に一体的に形成された棒状体にて構成され、且つ、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出する状態で延長形成され、
前記支持腕は、前記スライド案内部に沿ってスライド移動する横移動腕部と、その横移動腕部の横外側端部に連結され且つ前記横移動腕部の延長方向に起伏揺動腕部が沿う伸展姿勢と、前記横移動腕部に対して起伏揺動腕部が前記主苗のせ台の表面側へ向けて起立した屈折姿勢とに姿勢変更可能な起伏揺動腕部とを備え、
前記横移動腕部における前記起伏揺動腕部との連結箇所よりも左右方向で前記主苗のせ台の横内方側寄り箇所に前記案内溝が形成されている点にある。
【0065】
本構成によれば、支持腕が、スライド案内部に沿ってスライド移動する横移動腕部と、その横移動腕部の横外側端部に連結された起伏揺動腕部とを備えていて、横側外方に引き出された伸展姿勢と起立する屈折姿勢とに姿勢変更可能に構成されているので、支持腕の揺動軸心位置を、スライド案内部の横外側端部の位置によって規制されることなく、任意の位置に設定することができる。
その結果、スライド案内部の横外側端部の位置を、支持腕の揺動軸心位置よりも横外側にまで延長する必要がなく、スライド案内部の横外方への突出量を短くして、端部苗のせ台を格納姿勢としたときの苗のせ台の横幅をできるだけコンパクトにすることが可能となる。
【0066】
本構成によれば、スライド案内部に備えられた位置固定状態の左右一対の転動用ローラに対して、支持腕に形成された案内溝が転動案内されて、支持腕は、位置固定状態の左右一対の転動用ローラによりスライド移動方向と交差する方向の姿勢変化を規制した状態でスライド移動することができる。しかも、転動用ローラと案内溝との転動案内にてスライドするので、拗れが生じることなく円滑にスライド操作することができる。
【0067】
そして、左右一対の転動用ローラを支持する左右一対のローラ支軸は、一端部同士が連なり略U字状に一体的に形成された棒状体にて構成され、且つ、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出する状態で延長形成されるから、一対の転動用ローラを簡単な構造の部材で支持することができるとともに、組付け作業を能率よく行える。
【0068】
説明を加えると、左右一対のローラ支軸が一体形成されて略U字状に形成された棒状体を、スライド案内部及び支持腕に組み付けるに際して、スライド案内部に形成された挿通孔、支持腕における横移動腕部に形成された案内溝、及び、転動用ローラの夫々を挿通させるように、それらの各部材を手で支持しながらローラ支軸を差し込み挿入する必要がある。このとき、一対のローラ支軸が同じ長さであれば、各ローラ支軸の先端を同時に差し込み挿入しなければならず、作業が行い難いものとなる不利がある。
そこで、本構成では、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出するので、一対の転動用ローラに対して棒状体を組み付けるときに、突出している一方のローラ支軸を先に差し込んでから、他のローラ支軸を差し込むことにより、能率よく組付け作業を行える。
【0069】
従って、苗のせ台が主苗のせ台と端部苗のせ台とに分割可能に設けられ、作業姿勢連結状態と格納支持状態とに切り換え可能な連結支持装置を備えたものにおいて、端部苗のせ台を格納支持姿勢にしたときの苗のせ台の横幅をできるだけコンパクトにすることが可能であるとともに、支持腕の水平姿勢を維持して姿勢変化を阻止しながらスライド操作を軽快に行えるようにしながらも、簡素な構成で且つ組み付け作業性の低下を招くおそれを少ないものにすることが可能となった。
【0070】
本発明に係る苗植付装置の第10の特徴構成は、
植付け用苗を載置する苗のせ台が、複数の苗載置部を備える主苗のせ台と、その主苗のせ台の左右方向での横側端部に対して左右に分割自在な端部苗のせ台と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の横側端部に連結されて一連の苗載置面を構成する作業姿勢連結状態と、前記端部苗のせ台が前記主苗のせ台の表面側で重なるように支持された格納支持状態とに切換可能な連結支持装置とを備え、
前記連結支持装置は、前記主苗のせ台の裏面側に設けられたスライド案内部と、前記端部苗のせ台に一端側を連結され、他端側が前記スライド案内部に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕とを備え、
前記支持枠における前記主苗のせ台の横内方側寄り箇所に左右方向に沿う案内溝が形成され、前記スライド案内部に、前記案内溝内を転動する左右一対の転動用ローラが、夫々、ローラ支軸にて回動自在に支持される状態で備えられ、
左右一対のローラ支軸は、一端部同士が連なり略U字状に一体的に形成された棒状体にて構成され、且つ、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出する状態で延長形成されている点にある。
【0071】
本構成によれば、スライド案内部に備えられた位置固定状態の左右一対の転動用ローラに対して、支持腕に形成された案内溝が転動案内されて、支持腕は、位置固定状態の左右一対の転動用ローラによりスライド移動方向と交差する方向の姿勢変化を規制した状態でスライド移動することができる。しかも、転動用ローラと案内溝との転動案内にてスライドするので、拗れが生じることなく円滑にスライド操作することができる。
【0072】
そして、左右一対の転動用ローラを支持する左右一対のローラ支軸は、一端部同士が連なり略U字状に一体的に形成された棒状体にて構成され、且つ、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出する状態で延長形成されるから、一対の転動用ローラを簡単な構造の部材で支持することができるとともに、組付け作業を能率よく行える。
【0073】
説明を加えると、左右一対のローラ支軸が一体形成されて略U字状に形成された棒状体を、スライド案内部及び支持腕に組み付けるに際して、スライド案内部に形成された挿通孔、支持腕における横移動腕部に形成された案内溝、及び、転動用ローラの夫々を挿通させるように、それらの各部材を手で支持しながらローラ支軸を差し込み挿入する必要がある。このとき、一対のローラ支軸が同じ長さであれば、各ローラ支軸の先端を同時に差し込み挿入しなければならず、作業が行い難いものとなる不利がある。
そこで、本構成では、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出するので、スライド案内部、支持腕及び転動用ローラの夫々に対して棒状体を組み付けるときに、突出している一方のローラ支軸を先に差し込んでから、他のローラ支軸を差し込むことにより、1本ずつ順次差し込むことができ、能率よく組付け作業を行える。
【0074】
従って、支持腕の水平姿勢を維持して姿勢変化を阻止しながらスライド操作を軽快に行えるようにしながらも、簡素な構成で且つ組み付け作業性の低下を招くおそれを少ないものにすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】乗用型田植機の全体側面図である。
図2】苗植付装置の平面図である。
図3】苗植付装置の側面図である。
図4】苗植付装置の背面図である。
図5】作業姿勢連結状態の苗のせ台の一部背面図である。
図6】分離した状態の苗のせ台の一部背面図である。
図7】格納支持状態の苗のせ台の側面図である。
図8】連結支持装置を示し、(a)は最収縮状態を示す正面図、(b)は最伸長状態を示す正面図である。
図9】連結支持装置を示し、(a)は図8(b)におけるIXa−IXa線断面図、(b)は図9(a)におけるIXb−IXb線断面図、(c)は図9(a)におけるIXc―IXc線断面図、(d)は図9(a)におけるIXd−IXd線断面図である。
図10】端部苗のせ台を格納した状態を示す要部の横断底面図である。
図11】苗植付装置の平面図である。
図12】支持部材及び支持ユニットを示す縦断側面図である。
図13】支持部材及び支持ユニットを示す縦断正面図である。
図14】支持部材及び支持ユニットを示す分解斜視図である。
図15】第1ローラと案内レールとの接触箇所を示す縦断側面図である。
図16】支持部材と係止部材とを示す縦断側面図である。
図17】係止部材の斜視図である。
図18】別実施形態の支持部材と係止部材とを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、本発明に係る苗植付装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0077】
(全体構成)
図1,2に本発明に係る苗植付装置5を備えた乗用型田植機が示されている。この田植機は、左右一対の前輪1及び左右一対の後輪2を備えた機体の後部に、油圧シリンダ4にて駆動昇降自在にリンク機構3を介して8条植え型式の苗植付装置5が備えられている。
【0078】
図3及び図11に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース6、フィードケース6に連結されて左右方向に延出された角筒状の主フレーム7、主フレーム7に左右方向に所定間隔を置いて連結されて後方に延出された4個の植付伝動ケース8、植付伝動ケース8の後部の左右両側部に回転自在に支持された回転式の植付機構9、田面上を整地する接地フロート10、及び、植付け用のマット状苗を載置する苗のせ台12等を備えている。
【0079】
図1及び図3に示すように、機体の前部に備えられたエンジン13の動力が、前後向き伝動軸14、フィードケース6、及び、横向き伝動軸15を介して植付伝動ケース8に伝達される。その動力により植付機構9が回転駆動され、又、横送り機構11によって苗のせ台12が左右方向に所定ストロークで往復横送り駆動される。苗のせ台12が横方向に移動しながら、苗のせ台12から植付機構9が交互に苗を取り出して田面に植え付ける構成となっている。苗のせ台12の複数の苗載置部には夫々、苗を植付機構9に向けて縦送りする縦送り機構16が備えられている。
【0080】
図11に示すように、縦送り機構16の下部に位置する状態で複数の縦送り機構16の夫々にわたって1本の駆動軸20が備えられており、入力アーム21が駆動軸20にワンウェイクラッチ(図示せず)を介して外嵌装着されている。フィードケース6から右の横外側に延出された縦送り軸22が、主フレーム7に連結されたブラケット23に支持され、フィードケース6に伝達された動力により縦送り軸22が回転駆動されている。縦送り軸22に左右に離間する2個の縦送りアーム22aが備えられており、左右一対の縦送りアーム22aの間に入力アーム21が位置している。
【0081】
苗のせ台12が往復横送り駆動されると、縦送り軸22の左右一対の縦送りアーム22aの間で入力アーム21が往復横送り駆動されるのであり、この間は縦送り機構16は停止している。苗のせ台12が往復横送り駆動のストロークエンドに達すると、入力アーム21が縦送り軸22の一方の縦送りアーム22aの位置に達して、縦送りアーム22aにより入力アーム21が所定角度だけ回転駆動されて元の位置に戻る。これにより、縦送り機構16が所定角度だけ回転駆動されて苗のせ台12の載置苗を所定量だけ下方に向けて縦送りする。
【0082】
〔苗のせ台の分割構造〕
図4に示すように、苗のせ台12は、苗載置面12aを7条分の苗載置部に区画形成した右側の主苗のせ台12Aと、苗載置面12aを1条分の苗載置部に区画形成した左側の端部苗のせ台12Bとの、左右に分割可能な2分割構造に構成されている。
【0083】
主苗のせ台12Aと端部苗のせ台12Bとは、端部苗のせ台12Bが主苗のせ台12Aの横側端部に連結されて一連の苗載置面12aを構成する作業姿勢連結状態と、端部苗のせ台12Bが主苗のせ台12Aの表面側で重なるように左右幅を狭くした格納支持状態とに、姿勢切換可能に連結支持装置24を介して連結されている。
【0084】
図8,9に示すように、連結支持装置24は、主苗のせ台12Aの裏面側に設けられたスライド案内部25と、端部苗のせ台12Bに一端側を連結され、他端側がスライド案内部25に対して左右方向で相対移動可能に案内支持された支持腕26とを備えている。支持腕26における主苗のせ台12Aの横内方側寄り箇所に左右方向に沿う案内溝27が形成されている。スライド案内部25に、案内溝27内を転動する左右一対の転動用ローラ28が、夫々、左右一対のローラ支軸29a,29bにて回動自在に支持される状態で備えられている。
【0085】
そして、支持腕26は、スライド案内部25に沿ってスライド移動する横移動腕部30と、その横移動腕部30の横外側端部に連結された起伏揺動腕部31と、起伏揺動腕部31の姿勢変動を規制する姿勢保持部32とを備えている。起伏揺動腕部31は、横移動腕部30の延長方向に沿う伸展姿勢と、横移動腕部30に対して主苗のせ台12Aの表面側へ向けて起立した屈折姿勢とに姿勢変更可能に支持されている。そして、姿勢保持部32は、伸展姿勢にある起伏揺動腕部31の姿勢変動を規制する。
【0086】
起伏揺動腕部31が、伸展姿勢と屈折姿勢とにわたり姿勢変更可能なように、横移動腕部30に対して上下方向に沿う揺動軸芯周りで揺動可能に支持されている。又、姿勢保持部32は、伸展姿勢にある起伏揺動腕部31が苗のせ台12の裏面側に向けて姿勢変化するのを受け止め規制すべく、起伏揺動腕部31と横移動腕部30との隙間を埋める隙間埋め部材33にて構成されている。
【0087】
説明を加えると、連結支持装置24におけるスライド案内部25は、左右向き姿勢で主苗のせ台12Aの背面側に固定されてチャンネル状の断面形状を有している。支持腕26は、スライド案内部25に対して左右方向で相対移動可能に支持されている。すなわち、支持腕26は、スライド案内部25のチャンネル状の断面の内側に内接する寸法及び形状のチャンネル状断面を有して、スライド案内部25の長手方向に沿って左右にスライド移動可能に配設された横移動腕部30と、その横移動腕部30の横外側端部に一端側が連結された角筒状の起伏揺動腕部31とを備えている。
【0088】
起伏揺動腕部31は、横移動腕部30のスライド移動方向に交差する方向で、かつ苗のせ台12の背面に沿う前傾姿勢の揺動軸心P1回りで起伏揺動可能に横移動腕部30に連結され、横移動腕部30に連結された側とは反対側の端部が、端部苗のせ台12Bの背面側に連結されている。
【0089】
従って、支持腕26は、横移動腕部30の延長方向に起伏揺動腕部31が沿う伸展姿勢と、横移動腕部30に対して、起伏揺動腕部31が主苗のせ台12Aの表面側へ向けて起立した屈折姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0090】
横移動腕部30における起伏揺動腕部31との連結箇所よりも主苗のせ台12Aの横内方側寄り箇所に左右方向に沿う案内溝27が形成されており、スライド案内部25には、案内溝27内を移動案内される左右一対の転動用ローラ28が、夫々、ローラ支軸29a,29bにて回動自在に支持される状態で備えられている。そして、左右一対のローラ支軸29a,29bは、一端部同士が連なり略U字状に一体的に形成された棒状体からなる門型金具34にて構成されている。
【0091】
図8,9に示すように、スライド案内部25は、チャンネル形に形成され、上下の壁部分25A,25Aを貫通するローラ支軸29a,29aを備えた門型金具34が一体に固定されている。一対のローラ支軸29a,29aは略円柱状に形成され、支持腕26のスライド方向と交差する方向の軸芯を備え、支持腕26のスライド方向に所定の間隔L1を隔てた状態で固定されている。この門型金具34にて形成される一対のローラ支軸29a,29aのそれぞれに転動用ローラ28が回転自在に挿嵌されている。
【0092】
図8に示すように、門型金具34において、一方のローラ支軸29aの遊端部が他方のローラ支軸29bの遊端部よりも突出する状態で延長形成されている。このように構成することで、組み付け作業において、門型金具34を装着するときに、突出している方のローラ支軸29aの遊端部を先に挿通させたのち、他のローラ支軸29bの遊端部を挿通させることで、差し込み作業が容易に行える利点がある。
【0093】
支持腕26の横移動腕部30には、スライド案内部25のチャンネル状の断面の内側に内接する寸法及び形状のチャンネル状断面を有したチャンネル状外壁30Aが備えられ、そのチャンネル状の開口側に縦向き平板状の板壁30Bが溶接固定されている。そして、チャンネル状外壁30Aの上下の側壁部分に、転動用ローラ28を挿通可能な長尺の長孔で構成された案内溝27が形成されている。この案内溝27は、門型金具34の一対のローラ支軸29a,29b同士の間隔L1よりも十分に長く形成されており、案内溝27の長さL2と門型金具34の一対のローラ支軸29a,29b同士の間隔L1との差分程度が支持腕26の左右方向でのスライド移動範囲となるように構成されている。
【0094】
案内溝27の溝幅W1は、転動用ローラ28が嵌り込んだ状態で回転可能であるように、転動用ローラ28の外径d1とほぼ同程度、もしくは僅かに大きく形成されている。したがって、案内溝27内で転動用ローラ28が接触して回転しながら横移動腕部30のスライド移動を案内する。
このとき、チャンネル状の開口側に設けられた平板状の板壁30Bは、案内溝27の一方の側縁27aとほぼ同じ位置に設けてあり、かつ、案内溝27の長さL2と同程度以上の長さ範囲にわたって設けられている。
【0095】
起伏揺動腕部31の基端側端部は、支軸30Cにより横移動腕部30のスライド移動方向に交差する方向でかつ苗のせ台12の背面に沿う前傾姿勢の揺動軸心P1回りで起伏揺動可能に、横移動腕部30に枢支連結されている。又、起伏揺動腕部31の他端部は、支軸31Cにより、端部苗のせ台12Bの左外側端近くに固定されたブラケット35に揺動軸心P1と平行な揺動軸心P2回りで回動自在に枢支連結されている。
【0096】
このように構成された連結支持装置24は、そのスライド案内部25に対する支持腕26の左右摺動によって端部苗のせ台12Bを左右方向にスライド変位させ、かつ、スライド案内部25に対する支持腕26の起伏揺動によって端部苗のせ台12Bを上下方向に揺動変位させるように構成している。そして、この構成から、苗のせ台12の格納支持状態では、端部苗のせ台12Bが主苗のせ台12Aと平行な姿勢で主苗のせ台12Aの苗載置面12aの上方に重なるように主苗のせ台12A側に寄せ上げられて所定の格納位置に位置する状態となり、これにより、作業姿勢連結状態よりも苗のせ台12の左右方向の全体幅をできるだけコンパクトにすることができる。
【0097】
そして、図8,9に示すように、起伏揺動腕部31が伸展姿勢にあるときに、起伏揺動腕部31における横移動腕部30との枢支連結箇所よりも少し先端側に寄った位置と、横移動腕部30におけるチャンネル状外壁30Aの縦向き壁部の内面との間に、それらの間の隙間を埋める隙間埋め部材33が備えられている。この隙間埋め部材33は、合成樹脂材にて一体的に形成され、チャンネル状外壁30Aの縦向き壁部に形成された挿通孔30Dに、係止軸部33aが差し込み挿入された状態で弾性的に係止して抜け止めされる構成となっている。
【0098】
このような隙間埋め部材33を設けることで、特に、主苗のせ台12Aと端部苗のせ台12Bとの連結を解除して分割させた状態で、起伏揺動腕部31を伸展姿勢のまま横側外方にスライドさせたとき(図10の仮想線で示す状態)に、起伏揺動腕部31の苗のせ台12の裏面側に向けて姿勢変化するのを受け止め規制することができる。すなわち、起伏揺動腕部31が伸展姿勢のまま外方にスライドした状態では、端部苗のせ台12Bの荷重が起伏揺動腕部31の枢支連結箇所に片持ち状に掛かるので、苗のせ台12の裏面側に向けて姿勢変化するおそれがあるが、隙間埋め部材33によって、そのような姿勢変化を防止しているのである。従って、隙間埋め部材33が伸展姿勢にある起伏揺動腕部31の姿勢変動を規制する姿勢保持部32を構成する。
【0099】
図3に示すように、主苗のせ台12Aにおける表面側(苗載置面12a側)の左端部には、端部苗のせ台12Bの上部側を所定の格納位置にて受け止め支持する上側支持フレーム36と、端部苗のせ台12Bの下部側を所定の格納位置にて受け止め支持する下側支持フレーム37とが立設されている。
【0100】
端部苗のせ台12Bを格納支持状態に切り換えるときは、連結支持装置24に連結されている端部苗のせ台12Bを左右方向に摺動変位させ、かつ、スライド案内部25に対する支持腕26の起伏揺動によって端部苗のせ台12Bを上下方向に揺動変位させる。
そうすると、図7に示すように、端部苗のせ台12Bが上側支持フレーム36と下側支持フレーム37とに載置され、主苗のせ台12Aと平行な姿勢で主苗のせ台12Aの苗載置面12aの上方に重なる状態で所定の位置に格納される。又、構成について詳述はしないが、下側支持フレーム37には、端部苗のせ台12Bを所定の格納位置にて固定保持するロック機構38が備えられ、端部苗のせ台12Bを位置保持できる。
【0101】
図5,6,7に示すように、主苗のせ台12Aの分割端には、その上部側に位置する第1接続部材41、上下中間部に位置する第2接続部材42、下部側の表面側に位置する第3接続部材43、及び、下部側の裏面側に位置する第4接続部材44を備えている。又、端部苗のせ台12Bの分割端には、その上部側に位置する第1接続部材45、上下中間部に位置する第2接続部材46、下部側の表面側に位置する第3接続部材47、及び、下部側の裏面側に位置する第4接続部材48を備えている。
【0102】
主苗のせ台12Aの第1接続部材41と第4接続部材44には、位置決め孔41a,41b,44aを形成している。端部苗のせ台12Bの第1接続部材45と第2接続部材46と第4接続部材48には、右方に突出する位置決めピン45a,46a,48aを備えている。そして、主苗のせ台12Aの各位置決め孔41a,41b,44aに端部苗のせ台12Bの対応する位置決めピン45a,46a,48aを挿通することにより、端部苗のせ台12Bを、主苗のせ台12Aと左右に連接する状態となる所定の作業位置に位置決めすることができる。
【0103】
苗のせ台12には、その作業姿勢連結状態において主苗のせ台12Aの第1接続部材41と端部苗のせ台12Bの第1接続部材45とを連結する第1ロック機構51、主苗のせ台12Aの第2接続部材42と端部苗のせ台12Bの第2接続部材46とを連結する第2ロック機構52、主苗のせ台12Aの第3接続部材43と端部苗のせ台12Bの第3接続部材47とを連結する第3ロック機構53、及び、主苗のせ台12Aの第4接続部材44と端部苗のせ台12Bの第4接続部材48とを連結する第4ロック機構54を備えている。
【0104】
第1ロック機構51は、主苗のせ台12Aの第1接続部材41に備えた溶接ナット55に、端部苗のせ台12Bの第1接続部材45に備えたハンドル付きの長尺ボルト56を螺合して、主苗のせ台12Aの第1接続部材41に端部苗のせ台12Bの第1接続部材45を接合保持した状態をロック状態とする螺合式に構成している。
【0105】
第2ロック機構52は、主苗のせ台12Aの第2接続部材42に備えた被挟持部位42Aと、端部苗のせ台12Bの第2接続部材46に備えた被挟持部位46Aとを、主苗のせ台12Aの第2接続部材42に上下揺動可能に備えた断面U字状の板バネからなるロック具57により挟持して、主苗のせ台12Aの第2接続部材42に端部苗のせ台12Bの第2接続部材46を接合保持した状態をロック状態とする挟持式に構成している。
【0106】
第3ロック機構53は、主苗のせ台12Aの第3接続部材43に備えた被挟持部位43Aと、端部苗のせ台12Bの第3接続部材47に備えた被挟持部位47Aとを、主苗のせ台12Aの第3接続部材43に上下揺動可能に備えた断面U字状の板バネからなるロック具58により挟持して、主苗のせ台12Aの第3接続部材43に端部苗のせ台12Bの第3接続部材47を接合保持した状態をロック状態とする挟持式に構成している。
【0107】
第4ロック機構54は、主苗のせ台12Aの第4接続部材44に備えた溶接ナット59に、端部苗のせ台12Bの第4接続部材48に備えたハンドル付きの長尺ボルト60を螺合して、主苗のせ台12Aの第4接続部材44に端部苗のせ台12Bの第4接続部材48を接合保持した状態をロック状態とする螺合式に構成している。
【0108】
〔苗のせ台の支持構造〕
苗のせ台12は、主フレーム7から固定立設される状態で正面視で門型の苗のせ台支持フレーム61、及び、主フレーム7から後方に固定延設される状態で4個の植付伝動ケース8により、横方向に往復移動自在に支持されている。
【0109】
すなわち、図3,4に示すように、苗のせ台支持フレーム61と苗のせ台12との間に、苗植え付け作業時に、苗載置面12aと交差する方向への苗のせ台12の変位を阻止した状態で、苗のせ台12を左右方向に移動案内する上側ガイド機構62が備えられている。
【0110】
上側ガイド機構62は、苗のせ台12の背面側における上部箇所で苗のせ台12の左右両端部にわたる左右向き姿勢で固定された上側ガイドレール63と、苗のせ台支持フレーム61の上端部で左右方向に所定間隔をあけた状態で支軸64にて回転可能に支持された6個の上側ガイドローラ65とを備えている。
【0111】
上側ガイドレール63は、図3に示すように断面形状が下向きU字状に形成されていて、左右両端にわたる状態で係合溝63aが形成されている。この係合溝63aに各上側ガイドローラ65が係入しており、各上側ガイドローラ65が上側ガイドレール63の左右方向への移動を許容する状態で支持するようになっている。又、係合溝63aの深さは上側ガイドローラ65の上下幅より大に形成され、上側ガイドローラ65の係合溝63aへの係入深さを変更して、後述するような苗の取り出し量の変更を行えるようにしている。
【0112】
4個の植付伝動ケース8と苗のせ台12との間には、苗載置面12aと交差する方向への苗のせ台12の変位を阻止した状態で、苗のせ台12の下部を左右方向に移動案内する下側ガイド機構66が備えられている。
【0113】
図3に示すように、下側ガイド機構66は、苗のせ台12の背面側における下部箇所で苗のせ台12の左右両端部にわたる左右向き姿勢で固定したアルミ押出材からなる案内レール67と、その案内レール67を下方から受け止め支持が可能な左右方向に沿って延びる支持部材68と、苗のせ台12を横方向に移動自在に支持する複数の支持ユニット69とを備えている。
【0114】
支持部材68は、4つの植付伝動ケース8に対して上下方向(具体的には苗の縦送り方向に沿う方向)に沿って位置変更自在に支持されている。簡単に説明すると、図11に示すように、4個の植付伝動ケース8に形成された軸受け部(図示せず)にわたって延びる状態で1本の操作軸71が回転自在に支持されている。操作軸71における植付伝動ケース8に近接した箇所に操作アーム71aが備えられている。又、操作軸71の中間部に苗取り出し量変更レバー72が連結されて斜め前方上方に延出されている。この苗取り出し量変更レバー72は、主フレーム7に連結されたレバーガイド73に係止保持可能に挿入されている。苗取り出し量変更レバー72を操作することで、支持部材68を苗載置面に沿って上下位置変更させることができる。支持部材68を位置変更すると、苗のせ台12全体が苗載置面に沿って上下位置変更して植付機構9による苗の取り出し量を変更することができる。
【0115】
図11に示すように、4つの植付伝動ケース8の横側部に位置して左右方向に所定間隔をあけて並ぶ状態で、4つの支持ユニット69が支持部材68に連結される状態で備えられている。
【0116】
図12図14に示すように、支持ユニット69は、支持ブラケット74と、支持ブラケット74に苗のせ台12の苗載置面12aと交差する方向に沿う軸芯P3周りで回転自在に支持される移動用回転体としての第1ローラ75と、苗載置面12aと平行な方向に沿う軸芯P4周りで回転自在に支持される沈み込み規制用回転体としての第2ローラ76とを備えている。
【0117】
支持ブラケット74は、第1ローラ75を支持するために平板状で縦向き姿勢の前壁部77及び後壁部78が備えられている。それら前壁部77と後壁部78とにわたって支持軸79が連結され、この支持軸79には、前壁部77と後壁部78との間に位置する状態で第1ローラ75が自由回転自在に外挿支持されている。従って、第1ローラ75は、支持軸79の軸芯、すなわち、苗の縦送り方向と交差する方向の軸芯P3周りで回転自在に支持される。
【0118】
前壁部77の上部及び後壁部78の上部には、それぞれ、第1ローラ75の左右両側に位置して横向きに折り曲げ形成されたフランジ部77a,78aが備えられている。そして、これら両者のフランジ部77a,78aを共締めする状態で後述するように支持部材68にボルト連結にて固定されている。
【0119】
前壁部77及び後壁部78に固定される状態で第2ローラ76を支持するための上壁部80が備えられている。上壁部80は、下部横向き部分、下部横向き部分の苗のせ台裏面側に連なる縦向き部分、縦向き部分に連なる上部横向き部分を備えて、側面視で略Z字形に形成されている。上壁部80の下部横向き部分には、第1ローラ75の左右両側に位置する状態で横向き姿勢のフランジ部80aが折り曲げ形成されており、このフランジ部80aが、前壁部77のフランジ部77aと後壁部78のフランジ部78aとに挟まれてボルト81で共締め固定されている。
【0120】
上壁部80の上部横向き部分には、第2ローラ76を支持するための横向き姿勢のフランジ部80bが形成されている。このフランジ部80bにブラケット82がボルト連結され、ブラケット82に苗の縦送り方向A1に沿う状態で支軸83が固定され、この支軸83における苗の縦送り方向A1に沿う第2軸芯P4周りに第2ローラ76が回転自在に支持されている。側面視で第1ローラ75の上側に第2ローラ76が位置しており、それらの回転軸芯P3及び軸芯P4が略直交する状態となっている。
【0121】
図13,14に示すように、支持部材68における4個の植付伝動ケース8それぞれの左横側部に対応する箇所に上下方向に貫通する開口部84が形成されており、開口部84の左右両側にブラインドナット85が取り付けられている。そして、第2ローラ76が支持部材68の上側に位置し、第1ローラ75が支持部材68の下側から開口部84に入り込むように、支持ユニット69が支持部材68の下面に配備されている。前壁部77、後壁部78、上壁部80それぞれのフランジ部77a,78a,80aを共締め状態でブラインドナット85にボルト81により連結することによって、支持ユニット69が支持部材68に連結されている。
【0122】
苗のせ台12の下部には、左右方向に亘って長く延びる案内レール67が備えられている。この案内レール67は、支持ユニット69における第1ローラ75及び第2ローラ76により案内される状態で横移動自在に支持されている。
【0123】
図12図14に示すように、案内レール67は、第1ローラ75が接当作用する第1レール部86と、第2ローラ76が接触する第2レール部87とを備えている。又、第2レール部87の上部に連なり且つ苗載置面12aと交差する方向に沿って延びる状態で第2ローラ76の上方を覆う覆い部88を備えている。このように覆い部88を形成することで第2ローラ76に対する泥土の降りかかりを抑制することができる。
【0124】
第1レール部86の断面形状は、苗の縦送り方向A1と交差する方向の平面部86a、平面部86aの苗のせ台12側の端部から下方向に延出された後壁部86b、平面部86aの苗のせ台12とは反対側の端部から後壁部86bと同じ下方向に延出された前壁部86cとを備えている。第1レール部86の後壁部86bから苗の縦送り方向A1に沿って上方に延びる状態で第2レール部87が一体的に延設されている。又、第2レール部87の上部から苗の縦送り方向A1と交差する方向に向けて覆い部88が一体的に延設されている。
【0125】
第1ローラ75が下方側から第1レール部86の前壁部86cと後壁部86bの間に入り込んで、第1レール部86の平面部86aと第1ローラ75とが、苗の縦送り方向A1に沿った方向で接触している。従って、第1レール部86には、第1ローラが入り込み係合する凹溝が形成されている。
又、第2ローラ76が第1レール部86の平面部86aと覆い部88との間に入り込んで、第2ローラ76と第2レール部87とが苗の縦送り方向A1と交差する方向に沿って接触している。
【0126】
以上の構造により、第1ローラ75及び第2ローラ76により案内レール67が支持されることにより、支持部材68に苗のせ台12が支持される構成となっている。そして、第1レール部86及び第2レール部87に沿って第1ローラ75及び第2ローラ76が転動しながら案内することにより、苗のせ台12が支持部材68の長手方向に沿って横移動自在に支持される。
【0127】
苗のせ台12の苗載置面12aに沿う方向の荷重が第1ローラ75により受止められ、案内レール67が第1ローラ75を転動しながら苗のせ台12が左右方向に移動することができる。又、苗のせ台12の苗載置面12aと交差する方向の荷重が第2ローラ76により受止められ、苗のせ台12の苗送り方向と交差する方向の沈み込みが規制される。
【0128】
図15に示すように、第1ローラ75の苗のせ台12側の横部分と第1レール部86の後壁部86bとが所定間隔B1を置いて位置するように、且つ、第1ローラ75の苗のせ台12とは反対側の横部分と第1レール部86の前壁部86cとが所定間隔B2を置いて位置するように、第1ローラ75の位置が設定されている。
【0129】
図12,15に示すように、第1レール部86の平面部86aにおける第1ローラ75が対向する部分に、ステンレス製の対摩耗性に優れたプレート89が支持部材68の長手方向に沿ってビス90により複数個取り付けられている。つまり、このプレート89は、第1ローラ75が転動作用する領域にだけ位置するように複数枚取り付けられている。プレート89が摩耗するとビス90を取り外して交換することができる。
【0130】
図12に示すように、第2レール部87における第2ローラ76が接触する部分に、ステンレス製の対摩耗性に優れたプレート91が、支持部材68の長手方向に沿ってビス92により複数個取り付けられている。つまり、このプレート91は、第2ローラ76が転動作用する領域にだけ位置するように複数枚取り付けられている。プレート91が摩耗するとビス92を取り外して交換することができる。
【0131】
次に、苗のせ台12の浮き上がりを抑える構造について説明する。
図11に示すように、下側ガイド機構66には、苗のせ台12の左右移動を許容するとともに支持部材68に対する苗のせ台12の浮き上がりを規制する規制部93が備えられている。そして、この規制部93が、苗のせ台12に、複数の第1ローラ75の左右方向の間に位置する状態で備えられ、且つ、苗のせ台12と支持部材68とにわたって上下方向に延びて苗のせ台12の浮き上がりを規制する係止部材94にて構成されている。
【0132】
又、苗のせ台12が左右方向に往復移動する間、全ての第1ローラ75が苗のせ台12の下部側と支持部材68との間に位置して苗のせ台12の下部側を支持する状態を維持するとともに、苗のせ台12が左右方向に往復移動する間、係止部材94(規制部93)が複数の第1ローラ75の間に位置する状態を維持するように構成されている。
【0133】
すなわち、図16,17に示すように、係止部材94は、ナット95が内装された取付部96と、取付部96から延出された爪部97とを備えて、合成樹脂により一体的に構成されている。係止部材94の取付部96を、案内レール67において、第1レール部86の平面部86aと、第2レール部87と、覆い部88とで囲まれた凹入部に入れ込んで、係止部材94の取付部96を第2レール部87及び覆い部88に当て付けるとともに、係止部材94の爪部97を支持部材68の下側に入れ込んで、覆い部88の上側からボルト98を取付部96のナット95に締め付けて固定している。
【0134】
苗のせ台12が往復横送り駆動されると、苗のせ台12と一緒に係止部材94が移動するが、係止部材94は操作軸71の操作アーム71aや支持ユニット69に接触しない範囲で横移動する。そして、係止部材94は、縦送り機構16により苗のせ台12の苗が下方に送られた際(苗の縦送り方向A1)、苗からの上向きの反力が苗のせ台12に掛かって苗のせ台12が浮き上がろうとしても、係止部材94の爪部97が支持部材68に係合して、苗のせ台12の浮き上がりが抑えられる。
苗のせ台12が往復横送り駆動される際に、振動等により苗のせ台12が浮き上がろうとしても、係止部材94の爪部97が支持部材68に係合して、苗のせ台12の浮き上がりが抑えられる。
【0135】
この場合、図16に示すように、第1ローラ75が第1レール部86の平面部96a(プレート89)に接触している状態において、係止部材94の爪部97の上面が支持部材68の下面から下方に所定間隔B3を置いて位置するように構成されており、係止部材94の爪部97が支持部材68に通常は接触することがないようにしている。
【0136】
苗のせ台12が支持部材68に沿って往復横移動して、支持部材68の長手方向において、苗のせ台12が左のストロ−クエンドに位置しても、右の最横外側の支持ユニット69は苗のせ台12から右横側に外れることはなく、苗のせ台12が右のストロ−クエンドに位置しても、左の最横外側の支持ユニット69は苗のせ台12から左横側に外れることがないように支持ユニット69の位置が設定されている。又、苗のせ台12が支持部材68に沿って往復横移動している間、係止部材94は、左右両側の支持ユニット69、すなわち、第1ローラ75の左右方向の間に位置する状態を支持するように設置位置が設定されている。
【0137】
図4に示すように、係止部材94は、左右方向に間隔をあけて複数備えられるが、左右方向両側端部に位置する係止部材94は、縦送り機構16の駆動軸20を支持するための支持ブラケット99と共締めする状態で案内レール67に連結固定されている。それ以外の係止部材は、図16に示すように、案内レールに単独で連結固定されている。
【0138】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、移動用回転体(第1ローラ75)が支持部材68に備えられ、規制部93(係止部材94)が苗のせ台に備えられる構成を示したが、この構成に代えて、図18に示すように、移動用回転体75が苗のせ台12に備えられ、規制部93(係止部材94)が支持部材68に備えられる構成としてもよい。
【0139】
(2)上記実施形態では、支持部材68に沈み込み規制用回転体(第2ローラ76)が備えられ、苗のせ台12に沈み込み規制用回転体(第2ローラ76)の上方を覆う覆い部88が備えられる構成としたが、このような構成に代えて、苗のせ台12に沈み込み規制用回転体(第2ローラ76)が備えられ、支持部材68に沈み込み規制用回転体の上方を覆う覆い部が備えられる構成としてもよい。
【0140】
(3)上記実施形態では、連結支持装置24における支持腕26が横移動腕部30と起伏揺動腕部31とを備える構成としたが、この構成に代えて、支持腕26が、一体的な部材で構成され、スライド案内部25に沿ってスライド移動自在で且つ伸展姿勢と屈折姿勢とに姿勢変更可能に構成されるものでもよい。
【0141】
(4)上記実施形態では、連結支持装置24における支持腕26に左右方向に沿う案内溝27が形成され、スライド案内部25に案内溝27内を転動する左右一対の転動用ローラ28が、ローラ支軸29a,29bにて回動自在に支持され、左右一対のローラ支軸29a,29bが略U字状に一体的に形成された棒状体にて構成され、且つ、一方のローラ支軸の遊端部が他方のローラ支軸の遊端部よりも突出する状態で延長形成されるものを示したが、このような構成に代えて、一対のローラ支軸夫々の遊端部が同じ位置に設けられるものでもよい。又、一対のローラ支軸が別体で各別に備えられるものでもよい。
【0142】
(5)上記実施形態では、苗のせ台12が、7条分の苗載置部に区画形成した右側の主苗のせ台12Aと、苗載置面15aを1条分の苗載置部に区画形成した左側の端部苗のせ台12Bとの、左右に分割可能な構成にしたが、これに限らず、端部苗のせ台12Bが2条分あるいはそれ以上の苗載置部に区画形成し、主苗のせ台12Aが6条分あるいはそれ以下の苗載置部に区画形成したものであってもよい。
【0143】
(6)上記実施形態では、苗のせ台12における移動用回転体(第1ローラ75)が接触する部分に、対摩耗性に優れたプレート89が備えられる構成としたが、このようなプレートを備えない構成としてもよい。
【0144】
(7)上記実施形態では、起伏揺動腕部31と横移動腕部30との隙間を埋める隙間埋め部材33が備えられる構成としたが、このような隙間埋め部材を備えない構成としてもよい。
【0145】
(8)上記実施形態では、8条植え形式の苗植付装置を示したが、本発明は、7条以下の植付条数を備えるもの、9条以上の植付条数を備えるもの等、種々の構成の苗植付装置に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は、乗用型田植機や歩行型田植機に装備される苗植付装置に適用できる。
【符号の説明】
【0147】
12 苗のせ台
12A 主苗のせ台
12B 端部苗のせ台
24 連結支持装置
25 スライド案内部
26 支持腕
27 案内溝
28 転動用ローラ
29a,29b ローラ支軸
30 横移動腕部
31 起伏揺動腕部
32 姿勢保持部
33 隙間埋め部材
68 支持部材
75 移動用回転体
76 沈み込み規制用回転体
88 覆い部
89 プレート
93 規制部
94 係止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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