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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-221160(P2015-221160A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】動作補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/70 20060101AFI20151113BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   A61F2/70
   B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-107256(P2014-107256)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒宮 康人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】中塚 睦
(72)【発明者】
【氏名】清水 英雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
【テーマコード(参考)】
3C707
4C097
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707HS27
3C707KS20
3C707KS33
3C707LU06
3C707XK06
3C707XK16
3C707XK45
4C097AA10
4C097BB03
4C097BB06
(57)【要約】
【課題】動作を補助する際に生じ得る利用者の違和感の軽減を図ることができる動作補助装置を提供する。
【解決手段】動作補助装置1は、第2フレーム14を介して利用者Pに上体の姿勢を制御する力を加えるアクチュエータと、利用者Pの上体の姿勢角度θを検知する姿勢推定センサと、基準姿勢角度θ0に対する姿勢角度θの偏差dθを小さくするようにアクチュエータを制御する制御部と、トリガーイベントの発生を検知するトリガーセンサとを備える。制御部は、トリガーイベント発生時の姿勢角度を基準姿勢角度θ0として設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の脚体に装着される第1装具と、
前記利用者の上体に装着される第2装具と、
前記第1装具に接続されている第1フレームと、
前記第2装具に接続されている第2フレームと、
前記第1フレーム又は第2フレームに駆動力を伝達することによって、前記第1装具及び前記第2装具を介して、力を前記利用者に作用させるアクチュエータと、
前記利用者の前後方向を垂線方向とする鉛直平面に対する前記上体の姿勢角度を検知する姿勢推定センサと、
基準姿勢角度に対する前記姿勢角度の偏差を小さくする力が前記利用者に作用するように、前記アクチュエータの駆動を制御する制御部と、
トリガーイベントの発生を検知するトリガーセンサと
を備え、
前記制御部は、前記トリガーセンサがトリガーイベントの発生を検知した際の前記姿勢推定センサの検知した姿勢角度を前記基準姿勢角度として設定することを特徴とする動作補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動作補助装置であって、
前記トリガーセンサは、前記アクチュエータが利用者の前後方向を垂線方向とする鉛直平面に対する前記上体の傾動を制御するために作用させる力の大きさを検知する力センサであり、
前記制御部は、基本姿勢の前記利用者に対して前記第2装具と前記利用者との間の空隙が減少するように前記アクチュエータを駆動して、前記力センサが検知した力が所定の値又は所定範囲内の値になった際に、前記姿勢推定センサが検知した前記姿勢角度を前記基準姿勢角度として設定することを特徴とする動作補助装置。
【請求項3】
請求項1に記載の動作補助装置であって、
前記トリガーセンサは、前記利用者が任意のタイミングで信号を入力する設定スイッチであり、
前記制御部は、前記設定スイッチから信号を検知した際の前記姿勢推定センサが検知した前記姿勢角度を前記基準姿勢角度として設定することを特徴とする動作補助装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の動作補助装置であって、
前記第2装具は、前記利用者側に、前記利用者と当接する当接部材を有し、
前記当接部材は、前記第2フレームに対して上下方向に固定位置を移動可能であることを特徴とする動作補助装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の動作補助装置であって、
前記第2装具は、前記利用者側に、前記利用者と当接する当接部材を有し、
前記当接部材は、前記利用者の側方から見て丸みを帯びた形状であることを特徴とする動作補助装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の動作補助装置であって、
前記第2装具の前記利用者との当接部分には、当接部材が設置され、
前記当接部材は、前記第2装具に対して、前記利用者の左右方向と平行な軸線を中心として回動可能であることを特徴とする動作補助装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の動作補助装置であって、
前記第2装具は、前記利用者の前方側に、前記利用者と当接する当接部材を有し、
前記当接部材の左右方向の大きさは、前記利用者の右側の第六肋骨と第六肋軟骨との接合部から左側の第六肋骨と第六肋軟骨との接合部までの範囲、及び、前記利用者の右側の第七肋骨と第七肋軟骨との接合部から左側の第七肋骨と第七肋軟骨との接合部までの範囲を覆う大きさであり、
前記当接部材の上下方向の大きさは、前記利用者の右側の第六肋骨と第六肋軟骨との接合部から右側の第七肋骨と第七肋軟骨との接合部までの範囲、及び、前記利用者の左側の第六肋骨と第六肋軟骨との接合部から左側の第七肋骨と第七肋軟骨との接合部までの範囲を覆う大きさであることを特徴とする動作補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上体が傾動した状態から基本姿勢に戻る動作、及び、傾動した姿勢を維持する動作を補助する動作補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の脚体に装着される大腿当て具と、利用者の上体に装着される胸当て具と、大腿当て具に接続されている大腿支持アームと、胸当て具に接続されている上体支持アームと、利用者の腰部に装着される腰当て具とを備えた動作補助装置が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
この動作補助装置は、大腿支持アームと腰当て具との接続に用いられているコイルバネの弾性力及び上体支持アーム自体が有する弾性力によって、上体が脚体に対して相対的に傾斜するほど大きくなる、大腿支持アームと上体支持アームとがなす角度を大きくする力を利用者に作用させる。その力によって、上体が傾動した状態から基本姿勢(上体と脚体との相対位置が利用者の通常の直立状態における位置になった際の姿勢)に戻る動作を補助している。
【0004】
また、この動作補助装置は、上体支持アームが腰当て具に対して上下方向に摺動可能に取り付けられており、上体支持アームに接続されている胸当て具の利用者に対する当接位置が上下方向に所定範囲で調節可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2736619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の動作補助装置は、予め設計された構成部材の弾性力によって、利用者に脚体に対する上体の傾動を抑制する力を作用させるものである。そのため、その動作補助装置では、利用者の体型によっては、動作を補助するために利用者に力を加えた際に、利用者に違和感を与えるおそれがあった。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、動作を補助する際において生じ得る利用者の違和感の軽減および、適切な姿勢で適切な力を加えることができる動作補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の動作補助装置は、利用者の脚体に装着される第1装具と、利用者の上体に装着される第2装具と、第1装具に接続されている第1フレームと、第2装具に接続されている第2フレームと、第1フレーム又は第2フレームに駆動力を伝達することによって、第1装具及び第2装具を介して、力を利用者に作用させるアクチュエータと、利用者の前後方向を垂線方向とする鉛直平面に対する上体の姿勢角度を検知する姿勢推定センサと、基準姿勢角度に対する姿勢角度の偏差を小さくする力が利用者に作用するように、アクチュエータの駆動を制御する制御部と、トリガーイベントの発生を検知するトリガーセンサとを備え、制御部は、トリガーセンサがトリガーイベントの発生を検知した際の姿勢推定センサの検知した姿勢角度を基準姿勢角度として設定することを特徴とする。
【0009】
このように、本発明の動作補助装置では、トリガーイベントの発生が検知された際に姿勢推定センサの検知した姿勢角度を、制御部が基準姿勢角度として設定する。そのため、利用者に作用する力の大きさや力の加わる位置を、利用者ごとに異なる基本姿勢(上体と脚体との相対位置が利用者の通常の直立状態における位置になった際の姿勢)に対応したものに調整することができる。
【0010】
また、本発明の動作補助装置の制御部は、設定された基準姿勢角度に基づいて、利用者に作用させる力が姿勢推定センサの検知した姿勢角度と基準姿勢角度との偏差を小さくする力となるように、アクチュエータを制御している。
【0011】
そのため、本発明の動作補助装置によれば、利用者ごとに異なる基本姿勢を基準として、利用者の上体の傾動に応じて適した力を利用者に加えることができる。したがって、本発明の動作補助装置によれば、動作を補助する際において生じ得る利用者の違和感の軽減を図ることができる。
【0012】
また、本発明の動作補助装置においては、トリガーセンサは、アクチュエータが利用者の前後方向を垂線方向とする鉛直平面に対する上体の傾動を制御するために作用させる力の大きさを検知する力センサであり、制御部は、基本姿勢の利用者に対して第2装具と利用者との間の空隙が減少するようにアクチュエータを駆動して、力センサが検知した力が所定の値又は所定範囲内の値になった際に、姿勢推定センサが検知した姿勢角度を基準姿勢角度として設定することが好ましい。
【0013】
このようにトリガーセンサとして力センサを用いる構成にすれば、自動的に基準姿勢角度を設定することができるので、さらに利用者に与える違和感の軽減を図り易くなる。
【0014】
また、本発明の動作補助装置においては、トリガーセンサは、利用者が任意のタイミングで信号を入力する設定スイッチであり、制御部は、設定スイッチから信号を検知した際の姿勢推定センサが検知した姿勢角度を基準姿勢角度として設定することが好ましい。
【0015】
このように利用者が任意の角度を基準姿勢角度とすることができる構成にすれば、容易に適切な基準姿勢角度を設定することができるので、さらに利用者に与える違和感の軽減を図り易くなる。
【0016】
また、本発明の動作補助装置においては、第2装具は、利用者側に、利用者と当接する当接部材を有し、当接部材は、第2フレームに対して上下方向に固定位置を移動可能であることが好ましい。
【0017】
利用者に違和感を与えずに姿勢を制御する力を加えることができる当接位置は、利用者の体型等によって異なる。そこで、利用者に直接力を加える当接部材の第2装具に対する固定位置を移動可能に構成すれば、利用者の体型に応じて力の加わる位置が変更できるので、さらに利用者に与える違和感の軽減を図り易くなる。
【0018】
また、本発明の動作補助装置においては、第2装具は、利用者側に、利用者と当接する当接部材を有し、当接部材は、利用者の側方から見て丸みを帯びた形状であることが好ましい。
【0019】
このように構成すれば、利用者の体型差に影響されずに、当接部材を適切な角度で当接させやすくなる。
【0020】
また、本発明の動作補助装置においては、第2装具の利用者との当接部分には、当接部材が設置され、当接部材は、第2装具に対して、利用者の左右方向と平行な軸線を中心として回動可能であることが好ましい。
【0021】
このように構成すれば、第2フレームに接続された第2装具の当接部材が第2装具に対して固定されているように構成した場合に比べ、利用者の体型差に影響されずに、当接部材を適切な角度で当接させやすくなる。
【0022】
また、本発明の動作補助装置においては、第2装具は、利用者の前方側に、利用者と当接する当接部材を有し、当接部材の左右方向の大きさは、利用者の右側の第六肋骨と第六肋軟骨との接合部から左側の第六肋骨と第六肋軟骨との接合部までの範囲、及び、利用者の右側の第七肋骨と第七肋軟骨との接合部から左側の第七肋骨と第七肋軟骨との接合部までの範囲を覆う大きさであり、当接部材の上下方向の大きさは、利用者の右側の第六肋骨と第六肋軟骨との接合部から右側の第七肋骨と第七肋軟骨との接合部までの範囲、及び、利用者の左側の第六肋骨と第六肋軟骨との接合部から左側の第七肋骨と第七肋軟骨との接合部までの範囲を覆う大きさであることが好ましい。
【0023】
当接部材の当接位置が第六肋骨よりも上方になると、胸部に当接されることになる。一方、当接位置が、第七肋骨よりも下方になると剣状突起(胸骨)等のある体表面へ当接することになる。そのため、当接部材の位置は、第六肋骨及び第七肋骨に動作を補助するための力が加わるように調整されることが多い。
【0024】
そこで、当接部材の大きさを、第六肋軟骨と第六肋骨との接合部及び第七肋軟骨と第七肋骨との接合部を覆う大きさにすれば、さらに利用者に与える違和感の軽減を図り易くなる。また、そのような大きさにすれば、利用者の腕部の動作を阻害することもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る動作補助装置の概略構成を示す斜視図。
図2図1動作補助装置の概略構成を示す側面図。
図3図1の動作補助装置の第2フレーム及び第2装具の概略構成を示す図であり、3Aは背面図、3Bは3AのI−I線断面図、3Cは3AのII−II線断面図。
図4図1の動作補助装置のパッドの大きさを示す図。
図5図1の動作補助装置の基準姿勢角度と姿勢角度との偏差に対して利用者に加わる力を表すグラフであり、5Aは偏差が所定値になるまで力が曲線的に増加し、偏差が所定値を超えると力が一定になる構成にした場合のグラフ、5Bは直線的に力が増加する構成にした場合のグラフ、5Cは曲線的に力が増加する構成にした場合のグラフ、5Dは段階的に力が増加する構成にした場合のグラフ。
図6図1の動作補助装置を装着した利用者が前傾した状態を示す側面図。
図7図1の動作補助装置のキャリブレーション時における経過時間に対して利用者に加わる力を表すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、図1図3を参照して、本実施形態の動作補助装置の構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、動作補助装置1は、利用者Pの腰部に装着される腰部ベルト10と、腰部ベルト10によって利用者Pに体形に合わせてある程度回転自由度を持たせた形で装着される第2フレーム14と、第2フレーム14の上端部に接続され、利用者Pの状態上体に装着される第2装具15とを備えている。第2フレーム14からアクチュエータを介して利用者Pの大腿部前方まで延びる左右一対の第1フレーム12と、第1フレーム12の各々の下端部に接続され、利用者Pの左右の脚体の各々に装着される第1装具13とを備えている。また、動作補助装置1は、第2フレーム14の上端部に接続され、利用者Pの上体(股関節の回転軸よりも上方の部位)に装着される第2装具15を備えている。
【0028】
第2フレーム14に内蔵されている姿勢推定センサは、利用者Pの前後方向を垂線方向とする鉛直平面と第2フレーム14とがなす角度(以下、「姿勢角度θ」という。図2参照)を検知する。
【0029】
本実施形態におけるこの姿勢角度θは、利用者Pの前後方向を垂線方向とする鉛直平面に対する利用者Pの上体の姿勢角度(利用者Pを側方から見た場合における上体(腹部及び胸部)の中心線と鉛直平面とがなす角度)の減少に伴って減少する角度である。
【0030】
本体フレーム11に内蔵されている角度センサは、第1フレーム12と第2フレーム14とがなす角度(以下、「傾斜角度φ」という。図2参照)を検知する。
【0031】
本実施形態におけるこの傾斜角度φは、利用者Pの脚体に対する上体の相対的な傾斜角度(利用者Pを側方から見た場合における上体(腹部及び胸部)の中心線と脚体(大腿部)の中心線とがなす角度)の増加に伴って増加する角度である。そのため、基本姿勢における傾斜角度(基本傾斜角度φ0)よりも傾斜角度φが小さい場合には、利用者Pは前傾姿勢(前屈状態)であると判定することができる。
【0032】
左右一対の第1フレーム12は、本体フレーム11を中心として、利用者Pの前後方向に独立して揺動可能に構成されている。第1フレーム12は、本体フレーム11に内蔵されているアクチュエータから伝達される駆動力によって揺動する。
【0033】
第1装具13は、脚部ベルト13aを有している。第1フレーム12及び第1装具13は、脚部ベルト13aを利用者Pの大腿部に装着することによって、利用者Pの脚体と一体的に動くように固定される。
【0034】
なお、第1フレーム12の長さ、第1装具13の固定位置、第1装具13の利用者Pの脚体に対する固定方法は上記のものに限定されるものではなく、第1フレーム12が利用者Pの脚体と一体的に揺動するように構成されていればよい。例えば、脚部ベルト13aを省略し、弾性部材等を用いて第1装具13を利用者Pの脚体に常にわずかに押し付けるように構成してもよい。また、利用者Pの大腿部ではなく、下腿部に固定するようにしてもよい。
【0035】
第2フレーム14は、本体フレーム11と一体的に構成されている。そのため、第2フレーム14は、第1フレーム12が利用者Pに力を加えた際に、その力の反作用によって、第1フレーム12との接続位置を中心として、利用者Pの前後方向に揺動する。また、第2フレーム14の本体フレーム11に対する固定角度は、利用者Pの体型に合わせて調整可能になっている。
【0036】
また,第1フレーム12は利用者の動きの制約を緩和するために脚左右方向に自由に搖動可能に構成されている。第2フレーム14内部に地面と第2フレームがなす姿勢角度である姿勢角度θ(図2参照)を検知する姿勢推定センサ(不図示),及び,アクチュエータの駆動を制御する制御部(不図示)が配置されている。
【0037】
第2装具15は、利用者P側に当接部材であるパッド15aを有している。また、第2装具15は、第2装具15から利用者Pの上体に加わる力を検知する力センサ(不図示)を有している。
【0038】
第2装具15のパッド15aは、上下方向の断面形状が利用者側に凸面を向けた半円状に形成されている。すなわち、パッド15aは、利用者Pの側方から見て丸みを帯びた形状に形成されている。そのため、パッド15aは、利用者Pの体型差に影響されずに、利用者Pに対して適切な角度で当接可能となっている。利用者Pの側方から見て丸みを帯びた形状としては、たとえば半球形状や半楕円形状等であってもよい。
【0039】
なお、パッド15aは、第2装具15の本体部15b(図3参照)に対して、利用者Pの左右方向と平行な軸線を中心として所定範囲で回動可能に構成してもよい。また、パッド15aを丸みを帯びた形状にしたうえで、回動可能に構成してもよい。
【0040】
図3Aに示すように、第2装具15は、本体部15bと、本体部15bを第2フレーム14とを連結するヒンジ部15cとを備えている。ヒンジ部15cを備えているので、本体部15bの第2フレーム14に対する固定角度は、利用者Pの前後方向に変更可能になっている。
【0041】
また、本体部15bは、背面部(利用者P側)に、パッド15aを固定するために上下方向に形成された一対のガイドレール溝15dと、一対のガイドレール溝15dの間に上下方向に形成された本体部側ラッチ部15eとを備えている。
【0042】
図3Bに示すように、第2装具15のパッド15aは、本体部15bに対して移動可能に接続されているパッドベース部15fと、パッドベース部15fの利用者P側の面に取り付けられ、ゴム等の弾力性のある部材によって形成されたパッド部15gとによって構成されている。
【0043】
また、パッド15aは、パッドベース部15fとパッド部15gとの間に、力センサ(不図示)が設置されている。力センサとしては、例えば、面圧センサや圧力センサ、多軸力センサを用いてもよい。
【0044】
パッドベース部15fは、本体部15b側に突起部15hが形成されている。この突起部15hは、本体部15bに形成されたガイドレール溝15dと係合しており、パッド15aを本体部15bに対して、上下方向に摺動可能に固定している。
【0045】
図3Cに示すように、パッドベース部15fは、下方に、パッドベース部側ラッチ部15iと、パッドベース部側ラッチ部15iの下端部に設けられた押圧部15jとを有している。
【0046】
パッドベース部側ラッチ部15iは、本体部側ラッチ部15eの凹凸に対応する凸状部が形成された板状の部材として形成されている。また、パッドベース部側ラッチ部15iは、弾性を有する材料で形成されており、押圧部15jを指で押圧することによって屈曲し、本体部側ラッチ部15eとの係合が解除されるようになっている。
【0047】
このように構成されている第2装具15では、パッド15aが本体部15bに対して(すなわち、第2フレーム14に対して)上下方向に固定位置を移動可能になっている。そのため、利用者Pの体型に応じて、力の加わる位置を容易に調整することができる。
【0048】
ところで、パッド15aが当接する位置が、利用者Pの第六肋骨よりも上方の場合には、胸部に当接され、利用者Pの第7肋骨よりも下方の場合には、剣状突起(胸骨)や内臓に当接することになる。そのため、パッド15aが当接する位置は、利用者Pの第六肋骨及び第七肋骨が存在する位置に調整されることが多い。
【0049】
そこで、図4に示すように、本実施形態の動作補助装置1では、パッド15aの左右方向の大きさは、一般的な体型の利用者Pの右側の第六肋骨CR61と第六肋軟骨CR62との接合部から左側の第六肋骨CL61と第六肋軟骨CL62との接合部までの範囲、及び、利用者Pの右側の第七肋骨CR71と第七肋軟骨CR72との接合部から左側の第七肋骨CL71と第七肋軟骨CL72との接合部までの範囲を覆う大きさになっている。
【0050】
また、パッド15aの上下方向の大きさは、利用者Pの右側の第六肋骨CR61と第六肋軟骨CR62との接合部から右側の第七肋骨CR71と第七肋軟骨CR72との接合部までの範囲、及び、利用者Pの左側の第六肋骨CL61と第六肋軟骨CL62との接合部から左側の第七肋骨CL71と第七肋軟骨CL72との接合部までの範囲を覆う大きさになっている。
【0051】
なお、パッド15aがこの大きさであれば、利用者Pの上体の横幅に対して大きくなりすぎることがないので、パッド15aが利用者Pの腕部の動作を阻害することもない。
【0052】
また、パッド15aは上方から見た場合(図3B参照)、二つの凸部を有する形状になっている。それらの凸部は、第六肋骨CR61と第六肋軟骨CR62との接合部、及び、第七肋骨CR71と第七肋軟骨CR72との接合部に当接する位置になる。
【0053】
次に、図5を参照して、動作補助装置1が、脚体に対する上体の前傾姿勢を制御するため、又は、姿勢を維持するために利用者Pに加える力について説明する。
【0054】
上記のように構成された動作補助装置1は、制御部が第2フレーム14と一体的に構成されている本体フレーム11に内蔵されたアクチュエータを駆動することによって、第1フレーム12に駆動力を伝達し、第1装具13及び第2装具15を介して、利用者Pに、脚体に対する上体の姿勢を制御する力を加える。
【0055】
この力は、基準姿勢角度θ0に対する姿勢角度θの偏差dθ(すなわち、dθ=θ0−θ)が大きくなるほど脚体に対する上体の傾動が強く抑制される力となるように制御されている。
【0056】
具体的には、本実施形態の動作補助装置1では、図5Aに示すように、偏差dθの値が所定値以下の場合には、偏差dθの増加に伴って制御する力Fが曲線的に増加し、偏差dθの値が所定値を超える場合には、力Fが一定になるように、制御部がアクチュエータを制御している。この力Fの大きさは、利用者Pが前傾姿勢をとった際に、腰部に加わる負荷を基準として定められる。
【0057】
なお、偏差dθに対する制御する力Fは、必ずしも上記のように変化するように構成する必要はない。例えば、図5Bに示すように、直線的に増加するようにしてもよいし、図5Cに示すように、曲線的に増加するように構成してもよいし、図5Dに示すように、段階的に増加するように構成してもよい。
【0058】
次に図2及び図6図7を参照して、利用者Pが脚体に対する上体の前傾姿勢を制御する際における動作補助装置1の使用方法について説明する。
【0059】
動作補助装置1に、脚体に対する上体が前傾した前傾姿勢(図6に示した姿勢)から基本姿勢(図2に示した姿勢(上体と脚体との相対位置が利用者の通常の直立状態における位置になった際の姿勢))になる動作、又は、前傾姿勢を維持する動作を補助させるために、まず、利用者Pは、動作補助装置1を装着した後に、姿勢を制御するために利用者Pに加わる力が作用する位置についてキャリブレーションを行う。
【0060】
具体的には、まず、利用者Pは、動作補助装置1を装着した後に、キャリブレーションボタン(不図示)を押す前に、パッド部15gが利用者Pの肋骨のある位置に当接するように、パッド15aの位置の調整を行う。
【0061】
このとき、利用者Pが基本姿勢をとると、パッド部15gは第2フレーム14等の接続されている構造物の自重により、利用者Pに対して離れた位置で安定する。その状態で、利用者Pは、本体フレーム11のキャリブレーションスイッチを押す。
【0062】
第2フレーム14に内蔵されている制御部(不図示)は、キャリブレーションスイッチからの信号を受信すると、アクチュエータ(不図示)から第1フレーム12に駆動力を伝達し、第1フレーム12に接続された第1装具13を介して、利用者Pの脚体に徐々に大きくなるように力を加え始める。その反作用として、本体フレーム11と一体的に構成されている第2フレーム14に接続された第2装具15が徐々に利用者Pの状態に近づいて当接し、当接後には利用者Pの上体にも徐々に大きくなるように力が加わり始める。
【0063】
このとき、図7に示すように、利用者Pに加えられる力Fcは、利用者Pに第2フレーム14が当接した時点(t=0の時点)から、時間tの増大とともに曲線的に大きくなっていく。
【0064】
そして、制御部は、第2装具15に内蔵されているトリガーセンサとしての力センサ(不図示)が所定の値Fc0(例えば、利用者Pに違和感を与えず、且つ、上体の傾動を制御し得る値)を検知した時点t0(トリガーイベントが生じた時点)における姿勢角度θを記憶し、その角度θを基準姿勢角度θ0として設定してキャリブレーションを終了する。
【0065】
この際の所定の値Fc0は、制御部に格納されたマップに基づいて決定される。そのマップは、例えば、利用者Pの身長、体重等の利用者Pの体型に基づいて予め定められたものである。
【0066】
なお、キャリブレーションにおいて設定する基準角度θ0は、必ずしも、力センサが検知した力が所定の値Fc0になった際の角度である必要はなく、検知した力が所定の値Fc0を中心とする所定範囲内の値になった時点の角度であるようにしてもよい。
【0067】
また、キャリブレーションの方法は、上記の方法に限定されるものではない。例えば、キャリブレーションスイッチ(設定スイッチ)をトリガーセンサとし、利用者Pがキャリブレーションスイッチを押すことをトリガーイベントとし、スイッチを押した際の姿勢角度θを基準姿勢角度θ0として設定するようにしてもよい。このように構成にすれば、利用者が任意の姿勢角度θを基準姿勢角度θ0とすることができる。
【0068】
上記のキャリブレーションを行うことによって、基準姿勢角度θ0は、初期状態として仮に設定されていた基準姿勢角度から、実際に使用する利用者Pの体型に適した(すなわち、利用者Pの基本姿勢に対応した)基準姿勢角度に変更される。
【0069】
キャリブレーションの終了後、角度センサが検知した傾斜角度φが基本姿勢の際の傾斜角度φ0よりも小さくなっている場合には、制御部は、利用者Pの上体が脚体に対して前傾している(前屈状態である(例えば、立位状態から椅子等に座っている状態である))と判定し、動作補助装置1は、脚体に対する上体の前傾姿勢を制御する力を利用者Pに作用させる。
【0070】
具体的には、利用者Pが図6に示すように、脚体に対する上体が前傾した前傾姿勢になり、角度センサが検知した傾斜角度φが基本姿勢の際の傾斜角度φ0よりも小さく、且つ、姿勢推定センサが検知する姿勢角度θが基準姿勢角度θ0よりも大きくなった場合に、制御部がアクチュエータを駆動し、第1フレーム12及び第2フレーム14に駆動力を伝達する。
【0071】
そして、第1フレーム12に接続されている第1装具13から、利用者Pの脚体に対して、本体フレーム11を中心として利用者Pの後方に回転するする力(図6において反時計回りの力)を作用させる。その反作用として、第2フレーム14に接続されている第2装具15から、利用者Pの上体に対して、本体フレーム11を中心として利用者Pの後方に回転する力(図6において時計回りの力)を作用させる。
【0072】
このとき、制御部は、角度センサが検知した角度θと基準角度θ0との偏差dθが大きくなるほど脚体に対する上体の傾動を抑制する力Fが大きくなるように(図5参照)、アクチュエータの駆動を制御する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の動作補助装置1では、第2装具15に内蔵されているトリガーセンサとしての力センサ(不図示)が、所定の値(例えば、利用者Pに違和感を与えず、且つ、上体の傾動を制御し得る値)を検知した際(トリガーイベントが生じた際)の発生が検知された際に姿勢推定センサの検知した姿勢角度θを、制御部が基準姿勢角度θ0として設定する。そのため、利用者Pに作用する力の大きさや力の加わる位置を、利用者ごとに異なる基本姿勢に対応したものに調整することができる。
【0074】
また、本実施形態の動作補助装置1の制御部は、設定された基準姿勢角度θ0に基づいて、利用者Pに作用させる力が姿勢推定センサの検知した姿勢角度θと基準姿勢角度θ0との偏差dθを小さくする力となるように、アクチュエータを制御している。
【0075】
また、本実施形態の動作補助装置1の制御部は、角度センサの検知した利用者Pの脚体に対する上体の相対的な傾斜角度φに基づいて利用者が前屈状態であるか否かを判定し、前屈状態である場合のみ、上記のアクチュエータの制御を行う。
【0076】
そのため、本実施形態の動作補助装置1によれば、利用者Pごとに異なる基本姿勢を基準として、利用者Pの上体の傾動に応じて適した力を利用者に加えることができる。
【0077】
したがって、本実施形態の動作補助装置1によれば、動作を補助する際において生じ得る利用者の違和感の軽減を図ることができる。着座する際であっても上体の傾動に対して作用する力を適切に調整することができる。
【0078】
また本発明の動作補助装置は、上体の脚体に対する相対的な傾斜角度を検知する角度センサを用いて、利用者の基本姿勢からの後屈を検知し、アクチュエータの出力を停止することができる。そのため、姿勢推定センサの失陥時に対しても、利用者の後屈方向への力の付加を防止することができる。
【0079】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られるものではない。
【0080】
例えば、上記実施形態においては、第2装具15は、利用者Pに対して前方から姿勢を制御する力を加えるように構成されている。しかし、本発明の動作補助装置はそのような構成に限定されるものではない。例えば、第2装具を利用者に対して前後から姿勢を制御する力を加えるように構成すれば、利用者の上体が脚体に対して後傾した際(例えば、物を顔の高さまで持ち上げた際)に前傾方向にも力を作用させることができるので、利用者の腰部の過度な伸展による負荷を軽減し、動作を補助することができるようになる。
【0081】
また、上記実施形態においては、本体フレーム11と第2フレーム14とが一体的に構成され、第1フレーム12が本体フレーム11に対して揺動可能に構成されている。しかし、本発明の動作補助装置はそのような構成に限定されるものではない。
【0082】
例えば、本体フレームと第1フレームとを一体的に構成し、第2フレームを本体フレーム対して揺動可能に構成してもよい。この場合には、第2フレームが、第1フレームから利用者に加わる力の反作用によって揺動することになる。
【符号の説明】
【0083】
1…動作補助装置、10…腰部ベルト、11…本体フレーム、12…第1フレーム、13…第1装具、13a…脚部ベルト、14…第2フレーム、15…第2装具、15a…パッド(当接部材)、15b…本体部、15c…ヒンジ部、15d…ガイドレール溝、15e…本体部側ラッチ部、15f…パッドベース部、15g…パッド部、15h…突起部、15i…パッドベース部側ラッチ部、15j…押圧部、P…利用者。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7