【解決手段】土壌ケース10は、土壌を収容する状態で回転自在に配され、この回転によって収容した土壌に対してふるいをかけるものである。土壌ケース10は、土壌を収容する土壌収容容器30と、ふるいをかけられた土壌を回収する土壌回収容器50と、土壌収容容器30及び土壌回収容器50の間に配された土壌ふるい40とを備える。土壌ふるい40は、土壌収容容器30及び土壌回収容器50の互いの内部空間を連通する貫通孔40AXを有する。土壌収容容器30の開口端部近傍の内壁は、土壌回収容器50に向かって拡開される、または、土壌収容空間30Kの開口端近傍の内壁と土壌ふるい40とがなす角の角度が90°未満である。
前記土壌回収容器の開口端近傍の内壁は、前記土壌収容容器の開口端近傍の内壁に比べて、前記土壌ケースの自転軸から遠ざかっていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の土壌ケース。
前記土壌収容容器及び前記土壌ふるいと別体となって前記土壌収容容器の内部空間に配され、前記収容された土壌を撹拌する棒状の撹拌体を備えることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項記載の土壌ケース。
請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の前記土壌ケースが着脱自在に搭載され、前記土壌ケースを自転及び公転させる回転装置と、を備えたことを特徴とする土壌ふるい器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の土壌ふるい器を用いた場合、次のような問題が発生する。
【0006】
まず、土壌が土壌ケースの内壁面に付着しやすい。係る場合には、ふるい工程後、付着した土壌を取り除くために、土壌ケース内の洗浄を行わなければならない。
【0007】
また、土壌ケース内に残った土壌が、ふるいがかけられていないもの、すなわちサンプリング土壌である場合、残った土壌は、廃棄するか、再度ふるい工程をかける必要がある。前者の場合には、同一量のサンプリング土壌から得られる抽出土壌の量が少なくなるため、抽出の効率が下がってしまう。後者の場合、再度ふるい工程を行った場合、ほとんどが、土壌ケースの内壁面に付着してしまうため、抽出土壌を得られることが期待できない。また、別のサンプリング土壌とともに残留した土壌を混合して、ふるい工程を行うことも可能な場合もあるが、常に、別のサンプリング土壌と残留した土壌との混合が許容されるとも限られない。
【0008】
一方、土壌ケース内に残った土壌が、ふるいがかけられたもの、すなわち抽出土壌である場合、廃棄する、又は、土壌ケースからかき出して、付着しなかった抽出土壌と一緒にすることが考えられる。前者の場合には土壌の抽出効率が下がってしまう。そして、後者の場合には、土壌ケースからかき出す結果、土壌の状態が変化してしまう。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、高い効率でふるい工程を行えるとともに、収容した土壌が内壁面に付着しにくい土壌ケース及び土壌ふるい器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者の鋭意研究によって、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0011】
土壌を収容する状態で回転自在に配され、前記回転によって前記収容した土壌に対してふるいをかける土壌ケースであって、前記土壌を収容する土壌収容容器と、前記ふるいをかけられた土壌を回収する土壌回収容器と、前記土壌収容容器及び前記土壌回収容器の間に配され、互いの内部空間同士を連通する貫通孔を有し、前記貫通孔の通過により前記収容された土壌にふるいをかける土壌ふるいと、を備え、前記土壌ふるいは前記土壌収容容器側にふるいエリアを有し、前記土壌収容容器の開口端部近傍の内壁が前記土壌回収容器に向かって拡開されたことを特徴とする。
【0012】
土壌を収容する状態で回転自在に配され、前記回転によって前記収容した土壌に対してふるいをかける土壌ケースであって、前記土壌を収容する土壌収容容器と、前記ふるいをかけられた土壌を回収する土壌回収容器と、前記土壌収容容器及び前記土壌回収容器の間に配され、互いの内部空間同士を連通する貫通孔を有し、前記貫通孔の通過により前記収容された土壌にふるいをかける土壌ふるいと、を備え、前記土壌ふるいは前記土壌収容容器側にふるいエリアを有し、前記土壌ふるいの前記ふるいエリアと前記土壌収容容器の開口端部近傍の内壁とがなす角の角度が90°未満であることを特徴とする。
【0013】
前記土壌収容容器及び前記土壌ふるいの間には、互いを着脱自在に結合する収容容器着脱機構を備え、前記土壌ふるいの前記ふるいエリアの周りには、前記土壌収容部の開口端が環状に当接し、前記収容容器着脱機構は、前記土壌収容容器の開口端に設けられた収容容器側係止部と、前記ふるいエリアの周りに設けられ、前記収容容器側係止部と係止自在である収容容器用ふるい側係止部と、を有することが好ましい。
【0014】
前記土壌回収容器の開口端近傍の内壁は、前記土壌収容容器の開口端近傍の内壁に比べて、前記土壌ケースの自転軸から遠ざかっていることが好ましい。
【0015】
前記土壌収容容器を収容する外カバーと、前記外カバーと前記土壌ふるいの間にて互いを着脱自在に結合する外カバー着脱機構と、を備え、前記外カバー着脱機構は、前記外カバーの開口端に設けられたカバー側係止部と、前記ふるいエリアの周りに設けられ、前記カバー側係止部と係止自在であるカバー用ふるい側係止部と、を有し、前記外カバーは前記土壌収容容器に係止するためのケース係止部を有し、前記カバー側係止部と前記カバー用ふるい側係止部とが係止された状態では、前記ケース係止部が前記土壌収容容器を前記土壌ふるい側に向けて押圧することが好ましい。
【0016】
前記土壌収容容器を収容する外カバーと、前記外カバーと前記土壌ふるいの間にて互いを着脱自在に結合する外カバー着脱機構と、を備え、前記外カバー着脱機構は、前記外カバーの開口端に設けられたカバー側係止部と、前記ふるいエリアの周りに設けられ、前記カバー側係止部と係止自在であるカバー用ふるい側係止部と、を有し、前記カバー側係止部及び前記カバー用ふるい側係止部のいずれか一方が螺旋溝であるとともに、他方が螺旋突起であり、前記土壌収容容器が前記土壌ふるいに結合された場合の前記土壌収容容器の締まり方向と、前記土壌ケースの自転方向とが逆方向であることが好ましい。
【0017】
前記土壌回収容器と前記土壌ふるいの間にて互いを着脱自在に結合する回収容器着脱機構と、を備え、前記回収容器着脱機は、前記土壌回収容器の開口端に設けられた回収容器側係止部と、前記土壌ふるいに設けられ、前記回収容器側係止部と係止自在である回収容器用ふるい側係止部と、を有し、前記回収容器側係止部及び前記回収容器用ふるい側係止部のいずれか一方が螺旋溝であるとともに、他方が螺旋突起であり、前記土壌回収容器が前記土壌ふるいに結合された場合の前記土壌回収容器の締まり方向と、前記土壌ケースの自転方向とが逆方向であることが好ましい。
【0018】
前記土壌収容容器及び前記土壌ふるいと別体となって前記土壌収容容器の内部空間に配され、前記収容された土壌を撹拌する棒状の撹拌体を備えることが好ましい。また、前記土壌ケースは、透光性を有する材料から形成されたことが好ましい。
【0019】
土壌ふるい器は、上記の土壌ケースが着脱自在に搭載され、前記土壌ケースを自転及び公転させる回転装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高い効率でふるい工程を行えるとともに、土壌ケース内における土壌の付着を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1には、本実施形態の土壌ふるい器1の全体構成が示されている。この土壌ふるい器1は、粒径領域が異なるとなる様々な大きさの土壌粒子が混在している土壌を、特定の粒径領域に応じて分離する。例えば、粒径領域の大きい砂利や根と、粒径領域の小さい土壌を分離する際に用いられるものである。
【0024】
図1、2に示すように、土壌ふるい器1は、粒径が異なる土壌粒子が混在している土壌から、特定の粒径の土壌を取り出すためのものであり、複数(ここでは2個)の土壌ケース10と、複数の土壌ケース10が着脱自在に搭載される回転装置20と、回転装置20の周囲を覆う筐体29を備える。
【0025】
回転装置20は、公転機構と、自転機構とを備える。公転機構は、垂直方向に延びる公転軸Kを中心に土壌ケース10を回転させるためのものであり、土壌ケース10が固定されるケース固定部21と、ケース固定部21を保持する公転体22と、公転軸Kを中心にして公転体22を回転させるモータ(駆動装置)23とを備える。なお、公転軸Kは、上下方向に延びるものであれば、垂直方向に対し斜めの方向であってもよい。
【0026】
ケース固定部21は、有底の円筒形状となっており、土壌ケース10の下側を収容することで土壌ケース10を保持する構造となっている。土壌ケース10は、ケース固定部21に対して着脱自在な状態で搭載される。ケース固定部21の内周面には、L字型の係止溝21Mが形成される。係止溝21Mは、外カバー60の周方向において所定のピッチ(例えば、90°ごと)に設けられる。係止溝21Mは、土壌ケース10に設けられたカバー係止突起60GT(
図3参照)との係合可能なものであり、ケース固定部21の軸方向(例えば、自転軸J方向)に延びる軸溝21MAと、軸溝21MAの下端からケース固定部21の周方向に延びる周溝21MBとを有する。カバー係止突起60GTが周溝21MBと係合した状態では、土壌ケース10は軸方向において係止される。また、軸溝21MAの下端を基準にして周溝21MBが延びる方向は、自転軸J回りの回転方向と逆の方向であることが好ましい。このような係止溝21Mにカバー係止突起60GTが係合することにより、土壌ケース10は、軸方向及び周方向において係止される、すなわち、ふるい工程中に土壌ケース10がケース固定部21から外れることを防ぐことができる。
【0027】
公転体22は、ケース固定部21の自転軸体21Aを回転自在に保持する軸受け22Aと、軸受け22Aの外輪を保持する軸受け固定部22Bと、複数の軸受け固定部22Bを同時に保持する公転プレート22Cと、公転プレート22Cの中心に配置される公転軸体22Dとを備える。
【0028】
軸受け固定部22Bは有底の円筒形状となっている。従って、軸受け固定部22Bは、ケース固定部21との間に隙間が形成されるようにして、ケース固定部21を覆う。軸受け22Aは、軸受け固定部22Bの底面の中央部に固定される。公転プレート22Cは、軸受け固定部22Bを収容するための開口22CAが形成されており、この開口22CAに軸受け固定部22Bの外周面が接合されている。
【0029】
自転機構は、ケース固定部21に固定された土壌ケース10を自転軸J回りに自転させるためのものであり、ケース固定部21の底面中心から下側に突出する自転軸体21Aと、ケース固定部21と同軸状態で連結される遊星傘歯車25と、遊星傘歯車25の公転半径内側に配置される太陽傘歯車26と、を備える。太陽傘歯車26は、公転軸Kと同軸状態で筐体29に固定配置されており、全ての遊星傘歯車25と同時に噛み合っている。なお、自転軸Jは、公転軸Kと平行でもよいし、公転軸Kと異なる方向でもよい。さらに、
【0030】
モータ23によって公転体22を回転させると、ケース固定部21及び土壌ケース10は、公転軸Kを中心にして一緒に公転する。そして、ケース固定部21に連結されている遊星傘歯車25が、固定側の太陽傘歯車26の周りを公転しようとする場合、両者は噛み合っているので、遊星傘歯車25に自転動力が作用する。遊星傘歯車25の自転によって、ケース固定部21及び土壌ケース10が自転軸Jを中心にして自転する。
【0031】
図3〜4に示すように、土壌ケース10は、土壌を収容する土壌収容容器30と、土壌収容容器30に収容された土壌をふるいにかける土壌ふるい40と、ふるいにかけられた土壌を回収する土壌回収容器50と、を備える。さらに、土壌ケース10は、土壌収容容器30を収容可能な外カバー60を備えていてもよい。
【0032】
加えて、土壌ケース10は、各部30〜60同士を着脱自在に装着する着脱機構70を備えていてもよい。着脱機構70は、例えば、土壌ふるい40と土壌収容容器30とを着脱自在に結合する収容容器着脱機構71と、土壌回収容器50と土壌ふるい40とを着結脱自在に結合する回収容器着脱機構72と、土壌ふるい40と外カバー60とを着脱自在に結合する外カバー着脱機構73と、を有する。
【0033】
土壌収容容器30は、有底の円柱状に形成され、土壌収容容器30の内部空間は、土壌を収容するための土壌収容空間30Kとなっている。土壌収容容器30は、土壌収容空間30Kの開口30KXが下方を向く姿勢で配される。土壌収容空間30Kは、下方の面(底面)側の直径が大きく、かつ上方の面(天井)側の直径が小さくなるような円錐台状となっている。土壌収容容器30の開口端30KEは、自身の径方向外側に膨らむようにして、他の部分よりも肉厚に形成される。例えば、土壌収容空間30Kの底面における直径は10〜13cmであり、土壌収容空間30Kの天面における直径は7〜8cmである。また、土壌収容空間30Kの底面から土壌収容空間30Kの天面までの高さは、例えば、10〜13cmである。
【0034】
図4〜5に示すように、土壌収容容器30の内周面30Nには、自転軸J方向に延びる峰形状の撹拌突起30NTが、周方向に等間隔で4箇所形成されている。さらに、土壌収容容器30の天井面30NUには、下側に突出する第2撹拌突起30UTが形成されている。天井面30NUにおける第2撹拌突起30UTの突出量は、径方向の外側から内側に向かって大きくなる、いわゆる傘形状となっている。
【0035】
土壌の撹拌効率の観点から、撹拌突起30NTの表面や、内周面30Nのうち撹拌突起30NTが設けられていない部分の表面は、粗面加工されていることが好ましい。
【0036】
図3〜4に示すように、土壌回収容器50は、有底の円柱状に形成され、土壌回収容器50の内部空間は、土壌を回収するための土壌回収空間50Kとなっている。土壌回収容器50は、土壌回収空間50Kの開口50KXが上方を向く姿勢で配される。土壌回収容器50の開口50KXの寸法は、土壌収容容器30の開口30KXに比べて大きい。例えば、土壌回収空間50Kの直径は12〜14cmであり、その高さは5〜10cmである。
【0037】
土壌ふるい40は、土壌収容容器30及び土壌回収容器50の間に配されるものであり、円板状に形成されたふるい円板40Aを有する。
図4、6に示すように、ふるい円板40Aには、土壌収容空間30K及び土壌回収空間50Kを連通する貫通孔40AXが複数設けられる。貫通孔40AXの大きさは、例えば、直径2mm以下である。貫通孔40AX同士の間隔は、例えば、4〜5mmである。
【0038】
以下、ふるい円板40Aのうち土壌収容容器30側に位置する面を土壌収容面40AAと称し、土壌収容面40AAと反対側の面、すなわち土壌回収容器50側に位置する面を土壌回収面40ABと称する。そして、土壌収容面40AAのうち、貫通孔40AXが形成される部分をふるいエリアA1と称する。
【0039】
ふるい円板40Aの土壌収容面40AAには、土壌収容容器30の開口端30KEが当接する。以下、土壌収容面40AAのうち、土壌収容容器30の開口端30KEと当接するエリアを収容容器当接エリアA3と称する。収容容器当接エリアA3は、ふるいエリアA1を囲むように環状に形成される。なお、収容容器当接エリアA3は、ふるいエリアA1の外側部分と重なっていてもよい(
図9参照)。こうして、土壌収容面40AAに開口端30KEが当接することにより、土壌回収容器50の開口50KXは、土壌ふるい40によって覆われる。このとき、土壌収容容器30の開口30KXと土壌回収容器50の開口50KXとは、自転軸Jに対して同心円状となることがこのましい。こうして、土壌収容容器30の土壌収容空間30Kに収容された土壌は、ふるい円板40Aの貫通孔40AXを通って、ふるいにかけられる。そして、ふるいにかけられた土壌は、土壌回収容器50の土壌回収空間50Kに回収される。
【0040】
内周面30Nのうち開口30KXを形成する部分は、土壌収容面40AAに向かって拡開される。また、ふるい円板40Aの土壌収容面40AAに土壌収容容器30の開口端30KEが当接する状態(
図3参照)において、土壌ふるい40の土壌収容面40AAと、内周面30Nのうち開口30KXを形成する部分とがなす角の角度θは、90°未満であることが好ましい。
【0041】
図3〜4に示すように、収容容器着脱機構71は、土壌ふるい40に土壌収容容器30を着脱自在に結合させるものであり、土壌収容容器30の開口端30KEに設けられた環状の嵌合溝71KMと、収容容器当接エリアA3に設けられた環状の嵌合突起71TAとを有する。嵌合突起71TAは、嵌合溝71KMと嵌合可能となっている。なお、土壌収容容器30の開口端30KEに嵌合突起を設け、この嵌合突起と嵌合可能な嵌合溝を収容容器当接エリアA3に設けてもよい。
【0042】
回収容器着脱機構72は、土壌ふるい40に土壌回収容器50を着脱自在に装着するものであり、ふるいエリアA1よりも外側の土壌回収面40ABに設けられ、土壌回収面40ABから突出する環状突出部72TAと、環状突出部72TAの外周面に形成された係合螺旋突起72RAと、土壌回収容器50のうち開口50KX側の内周面50Nに形成され、係合螺旋突起72RAと螺合可能な係合螺旋溝72RBと、を有する。
【0043】
外カバー60は、有底の円柱状に形成され、外カバー60の内部空間は、土壌収容容器30を収容するためのケース収容空間60Kとなっている。外カバー60は、ケース収容空間60Kの開口60KXが下方を向く姿勢で配される。外カバー着脱機構73は、土壌ふるい40に外カバー60を着脱自在に結合させるものであり、収容容器当接エリアA3の外側に位置し、土壌収容面40AAから突出する環状突出部73TAと、環状突出部73TAの外周面に形成された係合螺旋突起73RAと、開口60X側の内周面60Nに形成され、係合螺旋突起73RAと螺合可能な係合螺旋溝73RBと、を有する。
【0044】
さらに、外カバー60は、ケース収容空間60Kを形成する内面から突出する係止突起65を有する。係止突起65は、周方向において等間隔(例えば、90°ごとに4本)に設けられる。係止突起65は、外カバー60の天面60Uから突出する天面突出部65Uと、外カバー60の内周面60Nから突出する内周面突出部65Nと、を有する。天面突出部65Uの大きさや形状は、土壌ふるい40に外カバー60を装着した場合に、土壌収容容器30の外側の天面30GUに係止するものであれば、特に限定されない。同様に、内周面突出部65Nの大きさや形状は、土壌ふるい40に外カバー60を装着した場合に、土壌収容容器30の外側の周面30GMに係止するものであれば、特に限定されない。
【0045】
また、外カバー60は、開口60KX側の外周面60Gから突設するカバー係止突起60GTを有する。カバー係止突起60GTは、外カバー60の周方向において、係止溝21MAと同一のピッチ(例えば、90°ごと)で設けられる。カバー係止突起60GTは、
図2に示す係止溝21MAと嵌合可能である。なお、カバー係止突起60GTに代えて、係止溝21Mと係合可能な係止突起を、土壌ふるい40や土壌回収容器50に設けてもよい。
【0046】
次に、土壌ふるい器1の使用方法について説明する。
【0047】
まず、
図1において、土壌ケース10を土壌ふるい器1から取り外す。次に、外カバー60を土壌ふるい40から取り外した後、土壌収容容器30を土壌ふるい40から取り外し、土壌回収容器50を土壌ふるい40から取り外す(
図4参照)。その後、土壌収容容器30の土壌収容空間30Kに土壌を収容する。このとき、土壌回収容器50の土壌回収空間50Kは空にしておくことが望ましい。
【0048】
次に、土壌収容空間30Kに土壌が収容された土壌収容容器30に対して、土壌ふるい40を装着する。収容容器着脱機構71により、土壌収容容器30及び土壌ふるい40が密に装着される結果、土壌収容容器30の開口端30KEとふるい円板40Aとの間における密閉度が向上する。その後、土壌ふるい40に対して、土壌回収容器50を装着する。回収容器着脱機構72により、土壌ふるい40及び土壌回収容器50が密に装着される結果、土壌回収空間50Kの密閉度が向上する。そして、土壌ふるい40に対して、外カバー60を装着する。外カバー着脱機構73により、土壌収容容器30及び土壌ふるい40がより密に装着される結果、土壌収容容器30の開口端30KEとふるい円板40Aとの間における密閉度が向上する。
【0049】
このようにして、着脱機構70により、土壌収容容器30、土壌ふるい40、土壌回収容器50、外カバー60を互いに組み合わせて、密閉度の高い土壌ケース10を組み立てることができる(
図3参照)。
【0050】
次に、
図1に示すように、回転装置20におけるケース固定部21に対して、土壌ケース10の土壌回収容器50側を嵌め込む。したがって、ケース固定部21に嵌め込まれた土壌ケースは、ケース固定部21の公転に伴って公転するとともに、ケース固定部21の自転に伴って自転する。また、ケース固定部21の自転軸Jは、公転半径の内側方向に傾斜しているので、土壌ケース10も傾斜した状態となる。
【0051】
その後、モータ23の駆動により、土壌ケース10は自転及び公転運動を行う。主として自転運動によって土壌収容容器30内の土壌が撹拌される。更に、公転運動に伴って、遠心力Eの分力E1が、自転軸Jの下方向に作用する(
図7参照)。撹拌された土壌が、分力E
Jによって、土壌ふるい40の貫通孔40AXを通過する方向に付勢されるので、土壌の分離効率を高めることができる。貫通孔40AXを通過して粒径領域が揃った土壌は、土壌回収容器50内に堆積する。従って、ふるい工程が完了したら、土壌ケース10から土壌回収容器50のみを取り外すこと、ふるいをかけられた土壌を別の場所へ移動させることができる。
【0052】
図3に示すように、円錐台状の土壌収容空間30Kを有する土壌収容容器30によれば、傾斜した内周面30Nに沿って土壌が舞い上がり、かつ、飛散土壌が天井側で滞留することなく、積極的に底面側に戻るようになっている。即ち、矢印Fで示されるように土壌を土壌収容空間30K内で対流させることができ、撹拌効率を高めることができる。
【0053】
更に、土壌収容容器30の内周面30Nには、自転軸J方向に延びる峰形状の撹拌突起30NTが、周方向に等間隔で4箇所形成されている。撹拌突起30NTが、土壌収容容器30と共に回転することで、収容された土壌の撹拌が進む。撹拌突起30NTによって撹拌されて土壌収容空間30K内で飛散した土壌は、第2撹拌突起30UTに積極的に衝突することで分散されて自然落下する。
【0054】
本実施形態の土壌ふるい器1では、ケース固定部21を複数有するため、複数(2個)の土壌ケース10を同時に自転・公転させれば、土壌収容容器30内の土壌が、土壌ふるい40によって分離されて、土壌回収容器50に効率的に回収される。特に、土壌ケース10は回転装置20から着脱自在に搭載されるので、例えば10個の土壌ケース10を用意しておくことで、土壌ふるい器1によるふるい工程中に、次の土壌サンプルを、未使用の土壌ケース10に収容しておくことができる。従って、多数の土壌サンプルの連続的にふるいにかける際に、土壌ふるい器1を常に稼働させることができるので、作業効率を飛躍的に高めることができる。
【0055】
また、この土壌ふるい器1によれば、土壌ケース10の自転軸Jの上方が、公転半径の内側方向に傾斜している。従って、自転軸Jに対して垂直に配置される土壌ふるい30の通過方向(自転軸方向J)に対して、遠心力の分力を作用させることができる。従って、撹拌された土壌を、積極的に土壌ふるい30に押しつけることができるので、ふるいによる分離効率を高めることが可能となっている。
【0056】
更にこの土壌ケース10は、土壌収容容器30、土壌ふるい40及び土壌回収容器50が、相互に分離可能に構成される。従って、土壌を収容したり、ふるい工程後の土壌を回収したり、土壌ふるいの粗さを変更したりすることが容易となり、作業効率を高めることができる。また、各部品を簡単に洗浄できるので、異物混入を簡単に抑制することができる。また、土壌収容容器30における周面には、土壌を撹拌するための撹拌突起30NTが形成されているので、土壌の撹拌を促進することができ、短い時間で効率的にふるい作業を実現できる。
【0057】
ところで、土壌ふるい器1を用いた場合、土壌が土壌ケースの内壁面に付着しやすい。これは、自転及び公転によって発生する遠心力等により、土壌が土壌ケースの内壁面に衝突するためと考えられる。さらに、土壌の撹拌効率を向上するために、内周面30NAに粗面加工がなされた場合には、土壌の付着がさらに起こりやすくなる。
【0058】
ふるい工程における土壌ケース10の内部では、土壌収容容器30の内周面30Nに土壌が衝突する。ところが、特許文献1に記載の土壌ふるい器のように、内周面30Nのうち開口30KXを形成する部分が拡開していない形状である場合、当該部分に衝突した土壌は、下方へ落下せずに、当該部分に付着してしまう。そして、当該部分に土壌が付着したままでは、付着した土壌の上に新たな土壌が付着しやすくなる、すなわち土壌が堆積しやすくなる。したがって、土壌の付着を確実に抑えるためには、少なくとも土壌収容空間30Kのうち開口30KXを形成する部分が土壌ふるい40に向かうに従い自転軸Jから離れる、すなわち土壌収容空間30Kのうち開口30KXを形成する部分が土壌収容面40AAに向かって拡開する必要がある。より好ましくは、土壌収容空間30K全体が、土壌収容面40AAに向かって拡開することが好ましい。
【0059】
また、ふるい円板40Aの土壌収容面40AAに土壌収容容器30の開口端30KEが当接する状態(
図3参照)において、土壌ふるい40の土壌収容面40AAと、内周面30Nのうち開口30KXを形成する部分とがなす角の角度θが90°未満であるため、開口30KX周辺の内周面30NSに土壌が付着しにくくなる。
【0060】
なお、開口30KXを土壌収容面40AAに向けて拡開すること、角度θが90°未満であること、のいずれか一方を用いても、土壌の付着を抑制することができる。
【0061】
さらに、着脱機構70により、土壌ケース10の密閉度が向上する結果、土壌ケース10内の土壌が、外部へ漏れることを抑えることができる。さらに、土壌ふるい40に外カバー60を装着した場合、係止突起65が土壌収容容器30の天面周縁部30GEに係止する結果、土壌ふるい40に向けて土壌収容容器30を当接する。これにより、土壌収容容器30の密閉度を向上することができるため、土壌収容空間30Kに収容された土壌が、外部へ漏れることをより確実に抑えることができる。
【0062】
土壌ふるい40に、土壌収容容器30及び土壌回収容器50が装着された状態において、土壌回収容器50の内周面50Nは、土壌収容容器30の開口部の内周面30Nよりも自転軸Jから離れていることが好ましい。これにより、土壌ふるい40の貫通孔40AXを通過した土壌が、土壌回収容器50の内壁面50Nに付着しにくくなる。
【0063】
さらに、係合螺旋突起73RAと係合螺旋溝73RBの形成方向は、土壌ケース10を自転方向Aへ回転したときに、外カバー60が土壌ふるい40に装着される方向であることが好ましい。これにより、土壌ふるい器1の使用時において、土壌ケース10が自転した場合であっても、外カバー60は土壌ふるい40に装着する方向に回転するため、外カバー60が土壌ふるい40からはずれることなく、土壌収容容器30の密閉度が確実に向上する。なお、係合螺旋突起73RAと係合螺旋溝73RBの形成長さは、土壌ふるい40と外カバー60との相対的な回転角度が約90°の範囲で、土壌ふるい40と外カバー60とが着脱ができる程度のものであることが好ましい。
【0064】
同様に、係合螺旋突起72RAや螺合可能な係合螺旋溝72RBの形成方向は、土壌ケース10を自転方向Aへ回転したときに、土壌ふるい40が土壌回収容器50に装着される方向であることが好ましい。これにより、土壌ふるい器1の使用時において、土壌収容容器30や土壌回収容器50の密閉度を向上することができる。なお、係合螺旋突起72RAと係合螺旋溝72RBの形成長さは、土壌ふるい40と土壌回収容器50との相対的な回転角度が約90°の範囲で、土壌ふるい40と土壌回収容器50とが着脱ができる程度のものであることが好ましい。
【0065】
なお、土壌ケース10を構成する各部30〜60は、透光性を有する材料、すなわち透明または半透明の材料から形成されることが好ましい。これにより、ふるい工程において、土壌ケース10をケース固定部21から取り外すことなく、土壌ケース10内の土壌の様子を知ることができる。
【0066】
図8に示すように、土壌ケース10は、土壌収容容器30に収納される円柱状の撹拌部材80を備えてもよい。土壌とともに円柱状の撹拌部材80を土壌収容容器30の土壌収容空間30Kに収納した状態で、土壌ふるい器1を運転すると、土壌ケース10の公転・自転運動に伴い、撹拌部材80が土壌の中で動く結果、土壌の撹拌が効率よく進む。撹拌部材80の数は、1つでもよいが、2つ以上であることが好ましい。また、撹拌部材80による撹拌効率としては、球体のものよりも円柱体(例えば、直径18mm×長さ50mm)の方が好ましい。
【0067】
なお、環状突出部73TAと嵌合突起71TAとによって形成される空間71MMを、嵌合溝71KMが形成された土壌収容容器30の開口端30KEと嵌合可能な形状としてもよい。この場合、空間71MMは、収容容器着脱機構71として機能し、環状突出部73TAは、収容容器着脱機構71としても機能する。
【0068】
なお、本実施形態では、モータ23が公転体22を回転駆動する場合に限って示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、公転体22は自由回転できる状態で保持しておき、太陽傘歯車26をモータ23で駆動するようにしても、同様の作用が得られる。即ち、回転装置20では、公転体、遊星体、太陽体(又は外輪体)の少なくともいずれかに回転動力を付与する構造であればよい。
【0069】
更に本実施形態では、回転装置20の公転軸Kが鉛直方向に配置される場合を示したが、本発明はこれに限定されない。公転軸Kが傾斜した状態で、公転体22、遊星傘歯車25及び太陽傘歯車26による遊星機構の全体を傾斜配置することも好ましい。自転軸Jと公転軸Kを平行とすることが好ましい。更に、この全体の傾斜角度を変更できるように、角度調整機構を設けることも望ましい。
【0070】
また本実施形態では、回転装置20に対して、土壌ケース10が2個搭載される場合に限って示したが、勿論、3個以上でもよく、好ましくは4個以上搭載できるようにする。
【0071】
図9〜10に示すように、上記実施形態の土壌ケース10の変形例である土壌ケース110は、土壌を収容する土壌収容容器130と、土壌収容容器130に収容された土壌をふるいにかける土壌ふるい140と、ふるいにかけられた土壌を回収する土壌回収容器150と、を備える。さらに、土壌ケース110は、土壌収容容器130を収容可能な外カバー160を備えていてもよい。
【0072】
加えて、土壌ケース110は、各部130〜160同士を着脱自在に装着する着脱機構170を備えていてもよい。着脱機構170は、例えば、土壌ふるい140と土壌収容容器130とを着脱自在に結合する収容容器着脱機構171と、土壌回収容器150と土壌ふるい140とを着結脱自在に結合する回収容器着脱機構172と、土壌ふるい140と外カバー160とを着脱自在に結合する外カバー着脱機構173と、を有する。
【0073】
土壌収容容器130は、内周面130NTから突設する撹拌突起130NTが周方向に等間隔で3箇所形成されていること、そして、外周面130Gに係止突起65を有すること以外は、土壌収容容器30と同一の構造である。土壌ふるい140及び土壌回収容器150は、それぞれ土壌ふるい140及び土壌回収容器50と同一の構造である。外カバー160は、係止突起65が省略されたこと以外は、外カバー60と同一の構造である。
【0074】
収容容器着脱機構171は、土壌収容面140AAに設けられた環状の嵌合空間形成突起171Tを有する。嵌合空間形成突起171Tの形成により、土壌収容容器130の開口端130KEと嵌合可能な穴171Kが形成される。土壌収容容器130の開口端130KEを穴171Kに嵌合することにより、土壌収容容器130の密閉度が向上する。
【0075】
回収容器着脱機構172は、土壌回収面140ABから突設する環状突出部172TAと、環状突出部172TAよりも内側の土壌収容面140AAから突設する環状の嵌合空間形成突起172TBと、を有する。こうして、環状突出部172TA及び嵌合空間形成突起172TBの間には、土壌回収容器150の開口端150KEが収容可能な収容空間172MMが形成される。環状突出部172TAは嵌合空間形成突起171Tよりも径方向外側に位置することが好ましい。
【0076】
回収容器着脱機構172は、さらに、環状突出部172TAの内周面に形成された係合螺旋溝172RAと、土壌回収容器150の開口端150KEの外周面に係合螺旋溝突起172RBとを有する。そして、係合螺旋溝172RAは係合螺旋溝突起172RBと螺合可能である。こうして、土壌回収容器150の開口端150KEが収容空間172MMに収容されるように土壌ふるい140と土壌回収容器150とを装着した場合、土壌回収容器150の密閉度を向上させることができる。
【0077】
外カバー着脱機構173は、嵌合空間形成突起171Tの上端から上方へ延びる突端173Tと、外カバー60の開口端60KXに設けられ突端173Tを収容可能な収容溝173Mと、突端173Tの外周面に設けられた係合螺旋突起173RAと、収容溝173Mのうち外側の壁面に設けられた係合螺旋溝173RBと、を有する。係合螺旋突起173RAは係合螺旋溝173RBと螺合可能である。こうして、突端173Tが収容溝173Mに収容されるようにして、土壌ふるい140と外カバー160とを装着した場合、外カバー160の密閉度を向上させることができる。
【0078】
図11に示すように、さらに、外カバー160は、上側の外周面に凹部160Lを有することが好ましい。凹部160Lは、周方向に所定の間隔で並ぶ。所定の間隔で並ぶ凹部160Lは、外カバー160の着脱操作の際、滑り止め機構として機能する。
【0079】
同様にして、土壌収容容器150は、下側の外周面に凹部150Lを有することが好ましい。凹部150Lは、周方向に所定の間隔で並ぶ。所定の間隔で並ぶ凹部150Lは、土壌収容容器150の着脱操作の際、滑り止め機構として機能する。そして、環状突出部172TAの外周面にはナーリング加工により、ナーリング溝140Lが施されていることが好ましい。このナーリング溝140Lは、土壌ふるい140の着脱操作の際、滑り止め機構として機能する。
【0080】
なお、本発明の回転装置は、上記実施形態の回転装置20に限られず、
図12〜13に示す回転装置120でもよい。回転装置120は、公転軸Kの方向に設けられた公転軸体121と、公転軸K周りに公転軸体121を回転させるモータ122と、公転軸体121の上端側に取り付けられた太陽平歯車123と、公転軸Kと垂直な姿勢で配され公転軸体121の中途部分に固定された支持円板124と、支持円板124に設けられ自転軸J回りに回転自在な自転軸体125と、自転軸体125に設けられ太陽平歯車123と噛合可能な遊星平歯車126と、筐体29に設けられ遊星平歯車126と噛合可能な歯127と、を備えていてもよい。なお、歯127は、筐体29の上面に開口し公転機構を構成する部品121〜126を収容する収容穴29Kの内壁に設けることが好ましい。
【0081】
また、本発明の回転装置(例えば、前述の回転装置20や回転装置120)において、土壌ケースの公転方向DKと、土壌ケースの自転方向DJとは、逆方向であることが好ましい(
図12参照)。
【0082】
なお、土壌ケース10や土壌ケース110は、土壌回収容器50の開口50KXに装着可能な蓋185を備えることが好ましい(
図14参照)。
【0083】
蓋185は、内天面185Aから突設する環状突出部182TAと、環状突出部182TAよりも径方向内側の内天面185Aから突設する環状の嵌合空間形成突起182TBと、を有する。こうして、環状突出部182TA及び嵌合空間形成突起182TBの間には、土壌回収容器150の開口端150KEが収容可能な収容空間182MMが形成される。蓋185は、さらに、環状突出部182TAの内周面に形成された係合螺旋溝182RAを有する。そして、係合螺旋溝182RAは係合螺旋溝突起172RBと螺合可能である。こうして、ふるいにかけられた土壌が収容する土壌回収容器150に蓋185を装着することにより、ふるいにかけられた土壌を、こぼすことなく確実に搬送することができる。
【0084】
なお、本発明の土壌ふるい器は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。