特開2015-221419(P2015-221419A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱日立パワーシステムズ株式会社の特許一覧
特開2015-221419吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン
<>
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000003
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000004
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000005
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000006
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000007
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000008
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000009
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000010
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000011
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000012
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000013
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000014
  • 特開2015221419-吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-221419(P2015-221419A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20060101AFI20151113BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20151113BHJP
   F02C 7/052 20060101ALI20151113BHJP
   F02C 7/055 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   B01D46/00 C
   F02C7/00 D
   F02C7/052
   F02C7/055
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-107160(P2014-107160)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】青田 豊誠
(72)【発明者】
【氏名】内藤 英司
(72)【発明者】
【氏名】片山 博幸
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA01
4D058KB02
4D058KB11
4D058KC52
4D058KC81
4D058QA03
4D058QA19
4D058SA07
(57)【要約】
【課題】ガスタービンの運転中であってもフィルタ材の交換を行える。
【解決手段】ガスタービンの吸気経路上に、フィルタ材(10)を配置して構成される吸気フィルタ装置(1)であって、フィルタ材(10)が吸気経路における流体の流通する方向の上流側から挿入されて、フィルタ材(10)を支持する枠体(30)と、該枠体(30)の下流側に取り付けられて、フィルタ材(10)の下流側を閉塞する閉止板を係止するための閉止板用係止部(60)と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの吸気経路上に、フィルタ材を配置してなる吸気フィルタ装置であって、
前記フィルタ材が前記吸気経路における流体の流通する方向の上流側から挿入されて、該フィルタ材を支持する枠体と、
該枠体の下流側に取り付けられて、前記フィルタ材の下流側を閉塞する閉止板を係止するための閉止板用係止部と、
を有する吸気フィルタ装置。
【請求項2】
前記係止部が、前記閉止板を前記吸気経路における流体の流通する方向と交差する方向に移動可能に支持する案内部材を含む請求項1に記載の吸気フィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタ材を間に挟んで両側に配置された一組の案内部材を備え、前記一組の案内部材には、それぞれ前記閉止板を受入れ可能な溝部が形成され、該溝部の開口が互いに対面するように形成された請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記吸気フィルタ装置は、前記係止部を介して前記枠体に取付けられた閉止板を備える請求項1に記載の吸気フィルタ装置。
【請求項5】
前記枠体は、板状の管板を含み、前記フィルタ材は前記管板に支持される請求項1に記載の吸気フィルタ装置。
【請求項6】
前記案内部材を介して前記閉止板を前記枠体に脱着可能に固定する固定具を有する請求項2又は3のいずれか1項に記載の吸気フィルタ装置。
【請求項7】
前記枠体の下方で、かつ前記枠体の下流側から前記流体の流通する方向に向かって延在するデッキ部をさらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載の吸気フィルタ装置。
【請求項8】
前記吸気経路上で前記フィルタ材の下流側に間隔をあけて設けられる網目状のフェンスを有する請求項1から7のいずれか一項に記載の吸気フィルタ装置。
【請求項9】
複数のフィルタ材を有し、
前記複数のフィルタ材は、前記吸気経路における流体の流通する方向に直列に配置され、前記閉止板は、前記複数のフィルタ材のうち、前記流体の流通する方向で最も下流側のフィルタ材の下流側に配置される請求項1から8のいずれか一項に記載の吸気フィルタ装置。
【請求項10】
前記案内部材は上下方向に沿って複数配置され、互いに隣接する前記案内部材の前記流体の流通する方向における寸法が互いに異なる請求項2から9のいずれか一項に記載の吸気フィルタ装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載された吸気フィルタ装置を備えるガスタービン。
【請求項12】
ガスタービンの吸気経路上に、フィルタ材を配置してなる吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法であって、
枠体内に配置された交換対象フィルタ材の下流側の表面を閉塞する閉止板を配置する閉止板配置工程と、
前記閉止板が配置された前記交換対象フィルタ材を、前記枠体から前記吸気経路における上流側に向かって取り外す取外し工程と、
前記取外し工程によって前記交換対象フィルタ材が取り外された前記枠体に対して、前記吸気経路における上流側から交換用フィルタ材を取り付ける取付け工程と、
前記取付け工程によって前記交換用フィルタ材が取り付けられた前記枠体から前記閉止板を除去する閉止板除去工程と、
を含む吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法。
【請求項13】
前記閉止板配置工程では、前記交換対象フィルタ材の下流側で前記吸気経路における流体の流通する方向と交差する方向に、前記閉止板をスライドさせて前記フィルタ材の下流側の表面を閉塞させる請求項12に記載の吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法。
【請求項14】
前記吸気フィルタ装置は、複数のフィルタ材を有しており、前記複数のフィルタ材は、前記吸気経路における流体の流通する方向に直列に配置されており、前記閉止板配置工程では、前記複数のフィルタ材のうち、前記流体の流通する方向で最も下流側のフィルタの下流側に前記閉止板を配置する請求項12又は13に記載の吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及び該吸気フィルタ装置を備えるガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を吸気して圧縮する圧縮機と、圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、高温・高圧の燃焼ガスで駆動するタービンと、を備えている。
ここで、吸気された空気に塵埃が含まれると、この塵埃がタービン圧縮機の動静翼に付着するなどし、これにより流体抵抗が増大することで出力ロスが増大し、結果としてガスタービン出力が低下してしまう可能性がある。
このため、ガスタービンは、大気に含まれる塵埃を除去するための吸気フィルタ装置を備えている。このような吸気フィルタ装置は、単一、または、複数のフィルタ材を組み合わせることで構成されている。
ガスタービンの運転に際しては、このようなフィルタ材が目詰まり等を起こすと吸気性能が劣化するため、定期的な洗浄作業や、交換作業を行うことが肝要である。
【0003】
運転中にフィルタ材の交換を円滑に行うための構造として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載された技術では、フィルタ装置の下流側に空気遮蔽板を設け、天井クレーン等を用いて空気遮蔽板を上下方向に開閉させる移動手段を設けた例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−60528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、装置が大掛かりとなってしまう。また空気遮蔽板のシール構造が問題となるが、具体的な構造が開示されていない。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、ガスタービンの運転中であってもフィルタ材の交換を簡便に行うことが可能な吸気フィルタ装置、吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法、及びガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置は、ガスタービンの吸気経路上に、フィルタ材を配置してなる吸気フィルタ装置であって、前記フィルタ材が前記吸気経路における流体の流通する方向の上流側から挿入されて、該フィルタ材を支持する枠体と、該枠体の下流側に取り付けられて、前記フィルタ材の下流側を閉塞する閉止板を係止するための閉止板用係止部と、を有する。
【0008】
このような構成によれば、ガスタービンの運転中にフィルタ材の交換を行った場合であっても、異物が圧縮機に流入することを抑制することができる。
【0009】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置の係止部は、前記閉止板を前記吸気経路における流体の流通する方向と交差する方向に移動可能に支持する案内部材を有する構成であってもよい。
【0010】
このような構成によれば、ガスタービンの運転中であっても、案内部材によって閉止板を安定的に保持することができる。加えて、閉止板を配置する際に、流体の流れる方向と交差する方向に向かって閉止板を移動させればよい。言い換えると、流体が吸気経路上を流通している状態であっても、大きな力を必要とすることなく閉止板を配置することができる。
【0011】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置の案内部材は、前記フィルタ材を間に挟んで両側に配置された一組の案内部材で形成され、該案内部材には、前記閉止板を受入れ可能な溝部が形成され、該溝部の開口が互いに対面するように形成された構成であってもよい。
【0012】
このような構成によれば、閉止板を案内部材に挿通することが容易である。
【0013】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置は、前記係止部を介して前記枠体に取付けられた閉止板を備える構成であってもよい。
【0014】
このような構成によれば、閉止板によって流体の流通を閉塞することができるため、交換対象のフィルタ材に対して作用する差圧(圧力差)を低減することができる。
したがって、ガスタービンの運転中であっても、フィルタ材を交換することができる。
【0015】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置の枠体は、板状の管板を含み、前記フィルタ材は前記管板に支持される構成であってもよい。
【0016】
このような構成によれば、ガスタービンの運転中であっても、フィルタ材を簡単に交換できる。
【0017】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置は、前記案内部材を介して前記閉止板を前記枠体に脱着可能に固定する固定具を有する構成であってもよい。
【0018】
このような構成であれば、固定具は閉止板を枠体に対して強固に固定することができるとともに、閉止板が、枠体の下流側の面をおおむね密閉する。よって流体の流通をより効果的に閉塞することができ、交換対象のフィルタ材に対して作用する圧力差(差圧)をさらに低減することができる。
【0019】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置は、前記枠体の下方で、かつ前記枠体の下流側から前記流体の流通する方向に向かって延在するデッキ部をさらに備える構成であってもよい。
【0020】
このような構成であれば、作業者は上述の閉止板を枠体の下流側に配置する等の保守作業を容易に行うことができる。
【0021】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置は、前記吸気経路上で前記フィルタ材の下流側に間隔をあけて設けられる網目状のフェンスを有する構成であってもよい。
【0022】
このような構成であれば、作業過程で発生する異物等が、吸気経路の下流側に流されてガスタービン機体に流入することをフェンスによって抑制することができる。
【0023】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置は、複数のフィルタ材を有し、前記複数のフィルタ材は、前記吸気経路における流体の流通する方向に直列に配置され、前記閉止板は、前記複数のフィルタ材のうち、前記流体の流通する方向で最も下流側のフィルタ材の下流側に配置される構成であってもよい。
【0024】
このような構成であれば、最も下流側のフィルタ材に閉止板を設けるのみで、フィルタ材の交換作業を行うことができる。
【0025】
さらに、本発明の一の態様に係る吸気フィルタ装置では、前記案内部材は上下方向に沿って複数配置され、互いに隣接する前記案内部材の前記流体の流通する方向における寸法が互いに異なる構成であってもよい。
【0026】
このような構成であれば、互いに隣接する案内部材同士の、流体の流通する方向における寸法が互いに異なる。したがって、これら案内部材に挿入される閉止板同士が干渉しない。これにより、隣接するフィルタ材の閉止板が、容易に着脱できる。
【0027】
さらに、本発明の他の態様に係るガスタービンは、上述の各態様に記載された吸気フィルタ装置を備える。
【0028】
このような構成によれば、運転中であってもフィルタ材を交換することができるガスタービンを提供することができる。
【0029】
さらに、本発明の他の態様に係る吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法は、ガスタービンの吸気経路上に、フィルタ材を配置してなる吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法であって、枠体内に配置された交換対象フィルタ材の下流側の表面を閉塞する閉止板を配置する閉止板配置工程と、前記閉止板が配置された前記交換対象フィルタ材を、前記枠体から前記吸気経路における上流側に向かって取り外す取外し工程と、前記取外し工程によって前記交換対象フィルタ材が取り外された前記枠体に対して、前記吸気経路における上流側から交換用フィルタ材を取り付ける取付け工程と、前記取付け工程によって前記交換用フィルタ材が取り付けられた前記枠体から前記閉止板を除去する閉止板除去工程と、を含む。
【0030】
このような方法によれば、吸気経路上を流体が流通している状態であっても、閉止板によって該流体の流れを止め、より容易にフィルタ材を交換することができる。
【0031】
さらに、本発明の他の態様に係る吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法において、前記閉止板配置工程では、前記交換対象フィルタ材の下流側で前記吸気経路における流体の流通する方向と交差する方向に、前記閉止板をスライドさせて前記フィルタ材の下流側の表面を閉塞させてもよい。
【0032】
このような方法によれば、閉止板を配置する際に、流体の流れる方向と反対の方向に向かって閉止板を移動させる必要がなくなる。言い換えると、流体が吸気経路上を流通している状態であっても、大きな力を必要とすることなく閉止板を配置することができる。
【0033】
さらに、本発明の他の態様に係る吸気フィルタ装置のフィルタ交換方法では、前記吸気フィルタ装置は、複数のフィルタ材を有しており、前記複数のフィルタ材は、前記吸気経路における流体の流通する方向に直列に配置されており、前記閉止板配置工程では、前記複数のフィルタ材のうち、前記流体の流通する方向で最も下流側のフィルタの下流側に前記閉止板を配置してもよい。
【0034】
このような方法によれば、複数のフィルタ材を備える吸気フィルタ装置に対しても、閉止板を配置して保守作業を行うことができる。したがって、閉止板によって流体の流通をより効果的に閉塞することができるため、交換対象のフィルタ材に対して作用する圧力差(差圧)をさらに低減することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ガスタービンの運転中であっても、交換中のフィルタ材を収容した空間から空気の漏れを生じることなく、簡便にフィルタ材の交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施形態に係る吸気フィルタ装置を備えるガスタービンの側面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るフィルタ装置の平面断面図(図1のII−II線)である。
図3】本発明の第一実施形態に係るフィルタ装置の側面断面図(図2のIII−III線)である。
図4】本発明の第一実施形態に係る吸気フィルタ装置の要部展開斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るフィルタ材の取付断面図(図4のIV−IV線)である。
図6】本発明の第一実施形態に係る閉止板を配置する工程を示す説明図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る閉止板を固定する工程を示す説明図である。
図8】本発明の第二実施態様に係るフィルタ装置の側面断面図である。
図9】本発明の第二実施態様に係るフィルタ材の斜視図である。
図10】本発明の第二実施態様に係る幅方向のフィルタ材廻りの構造図(図9のV−V線)である。
図11】本発明の第二実施態様に係るフィルタ構造図(図10のB部詳細)である。
図12】本発明の第二実施態様に係るフィルタ材の閉止板を下流側から見た平面図(図10のVI−VI線)である。
図13】本発明の第二実施態様に係る上下方向のフィルタ構造図(図12のVII−VII線)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態に係る吸気フィルタ装置90、及び吸気フィルタ装置90のフィルタ交換方法について説明する。
図1に示すように、ガスタービン70は、空気を吸気して圧縮する圧縮機71と、圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器72と、高温・高圧の燃焼ガスで駆動するタービン73と、を備える。ガスタービン70は、さらに吸気フィルタ装置90を備える。吸気フィルタ装置90は、作動流体としての空気から異物を除去して圧縮器71に供給する。
【0038】
吸気フィルタ装置90は、図1に示すように、吸気流路を形成する建屋枠92と、建屋枠92を地表面から上方に離間した位置に支持する支持構造物91と、複数のフィルタアッセンブリ1を備えている。また、建屋枠92は、作業者の出入りや、物品の搬出入を行うための階段や入口等を外部、及び内部に備えている。
【0039】
本実施形態において、建屋枠92は、3階建ての建造物として構成されている。すなわち、支持構造物91の直上に1階部分が設けられ、その上に順次2階部分、3階部分が設けられる。なお、建屋枠92の3階建ての構造物は一例であって、吸気フィルタ装置90を地上置きとしてもよく、何階建てでもよい。
【0040】
建屋枠92の各階の内部には、フィルタアッセンブリ1が設けられている。吸気フィルタ装置90と圧縮機71とは、吸気ダクト80によって互いに接続されている。これにより、建屋枠92内に設置されたフィルタアッセンブリ1を流通した空気は、吸気ダクト80内を流通して、ガスタービン70に供給される。
【0041】
図2は、図1における吸気フィルタ装置90のII−II断面を示す概略断面図である。また、図2中における矢印は、フィルタアッセンブリ1における流体の流通する方向を表す。以下の説明では、流体の流れてくる側を上流側と呼び、流体の流れていく方向を下流側と呼ぶ。また、流体の流通する方向に沿った方向を上下流方向と呼ぶ。
さらに、フィルタアッセンブリ1の上下流にわたっては、ガスタービン70に流体を供給するための吸気経路とされている。
【0042】
図2及び図3に示すように、各階ごとに設けられたフィルタアッセンブリ1は、吸気された流体から異物を濾過する複数のフィルタ材10と、作業時にフィルタ材10の下流側に設けられてフィルタ材10の上下流における流体の流通を閉塞する閉止板20と、これらフィルタ材10、及び閉止板20とを支持するための枠体30と、フィルタ材10を枠体30に取付けるための固定部材33と、閉止板20を枠体30に対して固定するための案内部材60(閉止板用係止部)と、を有する。
【0043】
フィルタ材10としては、上流側に設けられるとともに、吸気された流体から粒径の大きな塵埃をろ過するためのプレフィルタ材10Aと、プレフィルタ材10Aの下流側の面に接するように設けられて、粒径の比較的小さな塵埃をろ過するメインフィルタ材10Bとを有する。フィルタ材10は、細い線径からなる不織布等で形成され、パネルフィルタとも呼ばれる。フィルタ材10は、プレフィルタ材10Aとメインフィルタ材10Bをシリーズに繋げて形成され、上流側及び下流側を除くフィルタ外表面は、フィルタケーシング11で囲われている。
【0044】
プレフィルタ材10Aは、図4に示すように、波板状に形成された部材が主に用いられる。プレフィルタ材10Aの上流側の面、及び下流側の面は、流体が流通するように互いに連通し、塵埃を捕捉可能な不織布等から形成される濾材12が配されている。
【0045】
メインフィルタ材10Bは、プレフィルタ材10Aの下流側の面に固定されるフィルタ材である。メインフィルタ材10Bにおいては、プレフィルタ材10Aと同様に、上流側の面、及び下流側の面は、流体が流通するように互いに連通されている。さらに、メインフィルタ材10Bの内部には濾材12が配されている。メインフィルタ材10Bの上下流方向における寸法は、プレフィルタ材10Aよりも大きく形成されている。また、メインフィルタ材10Bは、プレフィルタ材10Aで捕捉し得なかった、粒径の比較的小さな塵埃等を捕捉するための部材である。したがって、メインフィルタ材10Bが有する濾材12は、プレフィルタ材10Aが有する濾材12よりも、細い線径を有する粒子捕集効率の高い不織布等が用いられている。
【0046】
また、メインフィルタ材10Bとしては、いわゆるHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Filter)や、準HEPAフィルタを用いることが好適である。
【0047】
図2図3及び図4に示すように、閉止板20は、矩形板状部材であって、吸気フィルタ装置90の保守作業時に、メインフィルタ材10Bの下流側の面を閉塞して、流体の上下流方向における流通を停止させるために設けられる。閉止板20の下流側の面には、作業者Wが手で把持して運搬、設置等を行うための把持部21が設けられている。
【0048】
枠体30は、図2及び図4に示すように、建屋枠92内の各フロア単位で、上下方向(鉛直方向)に沿ってそれぞれ配置される。枠体30の最上部及び最下部が各フロアごとの天井部及び床面に固定され、フィルタ材10は枠体30を介して建屋枠92に支持されている。また、枠体30は、上下方向に延在する複数の縦桁31と、幅方向に延在する複数の横桁32と、該縦桁31とに固定され、フィルタ部材を抱えて、床面に落下するのを防止する固定部材33と、を有している。
【0049】
縦桁31と横桁32とは互いに直交するように配置される。幅方向における一対の縦桁31と、上下方向における一対の横桁32との内側に形成される領域は、上述のフィルタ材10を1つ収容するためのフィルタ収容部40とされている。
【0050】
フィルタ材10は、フィルタ収容部40に対して、上流側から挿入される。さらに、フィルタ収容部40に収容されたフィルタ材10は、一対ずつの縦桁31と横桁32とにより、上下方向、及び幅方向で、脱落不能に支持される。
また、枠体30は、図2、及び図3に示すように、上下方向、及び上下方向と交差する方向である幅方向において、ともに4つずつのフィルタ材10を保持するように構成されている。なお、上述のフィルタ材10の取付個数は一例であって、この数に限定されるものではない。
【0051】
固定部材33は、フィルタ材10の周縁部に当接して、フィルタ材10がフィルタ収容部40から上流側に脱落することを防ぐ。すなわち、図4及び図5に示すように、固定部材33は、縦桁31に固定される仕切板33Aと、仕切板33Aに固定される固定具33Bとから構成される。仕切板33Aは、幅方向に隣接するフィルタ材の間を仕切る部材である。固定具33Bは、略L字状の長形部材であり、一方が仕切板に着脱自在に取り付けられ、他方は上流側に延伸して、フィルタ材10を抱えるように保持する部材である。
【0052】
図5に示すように、フィルタ材10は、仕切板33A及び固定具33Bを介して縦桁31に支持され、フィルタ材10の下流側端部と縦桁31及び横桁32の上流側に向く外表面との間には、シール材37が設けられている。シール材37は、フィルタケーシング11の下流側の端面(下流側フィルタ面41)の全外周に設けられ、フィルタ装置内を流れる空気が、フィルタ材10をバイパスして、フィルタケーシング11と枠体30(縦桁31、横桁32)の間の隙間から下流側デッキ部50に流出するのを防止している。
【0053】
次に、枠体30の下流側の構成について、図6、及び図7を参照して説明する。図6に示すように、枠体30の下流側の面は、上述のフィルタ材10の下流側の面が露出する下流側フィルタ面41をなしている。なお、前述の閉止板20の寸法は、後述の枠体30における下流側フィルタ面41の寸法より若干大きくなるように設定されている。
さらに、下流側フィルタ面41の上下方向におけるそれぞれの縁部の近傍には、閉止板を上下方向から支持するための案内部材60が設けられている。案内部材60は、第一支持体34と第二支持体35とにより構成される。第一支持体34は、下流側フィルタ面41の上側に設けられ、第二支持体35は下流側フィルタ面41の下側に設けられる。
【0054】
すなわち、第一支持体34及び第二支持体35からなる一組の案内部材60は、取付け面(枠体30)に対して断面が逆L字状になるように取付けられ、フィルタ収容部40(フィルタ材10)を間に挟んで、上下流方向に直交する方向で、幅方向に延在する一組の部材として配置される。案内部材60と取付け面(枠体30)との間には、閉止板20の端縁を受入れ可能な溝部34D、35Dが形成され、一組の案内部材を構成する第一支持体34及び第二支持体35は、各溝部34D、35Dが対面するように配置される。
【0055】
第一支持体34は、延在方向と直交する方向における断面形状が略逆L字状をなしている。さらに、第一支持体34は下流側フィルタ面41の幅方向における寸法より若干大きい延在寸法を有する。第一支持体34を逆L字状に構成する2つの板状部のうち、上下流方向に延在する一方の板状部は、支持面34Aをなす。支持面34Aの下流側の端部から、下方向に延在する他方の板状部は、係止面34Bをなす。
係止面34Bの幅方向における両端部の近傍には、後述する蝶ねじ36(固定具)が挿通されるねじ穴34Cがそれぞれ形成されている。ねじ穴34Cの内周面には雌ねじ様の螺旋溝が形成されており、該螺旋溝は後述の蝶ねじ36と螺合する。
第二支持体35は、第一支持体34と、上下方向で線対称な形状を有している。すなわち、第二支持体35は、上下流方向に延在する支持面35Aと、支持面35Aの下流側の端部から、上方向に延在する係止面35Bとを有している。加えて、係止面35Bの幅方向における両端部の近傍には、蝶ねじ36が挿通されるねじ穴35Cがそれぞれ形成されている。なお、係止面34B、35Bと取付け面(枠体30)の間に溝部34D、35Dが形成され、支持面34A、35Aは、溝部34D、35Dの底面を形成する。
このように形成された第一支持体34、及び第二支持体35と、によって、閉止板20は枠体30に対して固定される。
【0056】
フィルタ交換を伴わないガスタービンの通常運転中の吸気フィルタ装置90は、閉止板20を取りはずした状態で運転される。一方、ガスタービンの運転中にフィルタ交換を行う場合は、閉止板20は第一支持体34及び第二支持体35を介して枠体30(縦桁31、横桁32)に取付けられる。すなわち、ガスタービンの運転中にフィルタ材10を交換する際、第一支持体34及び第二支持体35からなる一組の案内部材60は、閉止板20を枠体30に取付けるための閉止板用係止部となる。
【0057】
さらに、図3に示すように、フィルタアッセンブリ1の下流側で、かつフィルタアッセンブリ1から所定の距離だけ離間した位置には、フェンスFが設けられている。フェンスFは、表面に上下流方向に連通された複数の開孔を網目状に有するように構成された部材である。
さらに、フィルタアッセンブリ1とフェンスFとの間であって、フィルタアッセンブリ1の下方には、作業者Wが通行したり、保守作業を行ったりするための下流側デッキ部50が設けられている。なお、ここで言う所定の距離とは、該下流側デッキ部50上で作業者Wが作業等を行うスペースを十分に確保できるだけの距離であって、設計に応じて適宜選択される寸法である。
加えて、フィルタアッセンブリ1の上流側には、下流側デッキ部50と高さ方向で同じ平面上に設けられた上流側デッキ部51が設けられている。
【0058】
次に、本実施形態に係るフィルタアッセンブリ1におけるフィルタ材10の交換方法について、図3から図7を参照して説明する。以下の例においては、図3に示すように、フィルタ材10の交換作業は、フィルタアッセンブリ1の上流側でフィルタ材10の交換を行う第一作業者W1と、下流側で閉止板20の設置、除去等を行う第二作業者W2とによって行われることとする。また、交換作業の全体にわたって、ガスタービン70は運転状態にあるものとする。すなわち、フィルタアッセンブリ1の上下流にかけては、流体が上流から下流に向かって流通している状態である。
【0059】
まず、第一作業者W1は上流側デッキ部51上にて、第二作業者W2は下流側デッキ部50上にて作業の準備を行う。
【0060】
続けて、以下のようにして閉止板配置工程を進める。
図3及び図6に示すように、まず、下流側デッキ部50において第二作業者W2は、第一支持体34と第二支持体35の両端部の一方から、閉止板20の幅方向におけるいずれかの端縁を溝部34D、35Dに沿って挿通する。より詳細には、第一支持体34の係止面34Bと下流側フィルタ面41、及び第二支持体35の係止面35Bと下流側フィルタ面41との間にそれぞれ形成される間隙(溝部34D、35D)に、閉止板20の端縁をすべり込ませるようにして挿通する。続いて、閉止板20が下流側フィルタ面41の前面を覆うまで、閉止板20を挿通する。この状態において、閉止板20は、流体の流通する方向と交差する方向に移動可能なように、第一支持体34(案内部材60)と、第二支持体35(案内部材60)とによって支持されている。
続けて、図7の左図に示すように、第一支持体34、第二支持体35のそれぞれのねじ穴34C,35Cに、蝶ねじ36をねじ込む。この状態においては、図に示すように、閉止板20は、下流側フィルタ面41との間にわずかな間隙を有している。
さらに、図7の右図に示すように、閉止板20が下流側フィルタ面41に隙間なく当接するまで、上述の蝶ねじ36をさらにねじ込む。以上により、閉止板配置工程が完了する。
【0061】
次に、図3に示す上流側デッキ部51において、第一作業者W1は、交換対象となるフィルタ材10、すなわち上述の閉止板配置工程において閉止板20が配置されたフィルタ材10を枠体30から取り外す。より詳細には、第一作業者W1は、交換対象とされるフィルタ材10を、前述の吸気経路の上流側に向かって、枠体30から滑らせるようにして取り外す。
70が運転状態にあり、フィルタアッセンブリ1の上流側から下流側に向かって流体が流通し続けている状態で、閉止板20が設けられていない場合を仮定すると、以下のようにフィルタ材10の取外しに際して困難を生じる。すなわち、フィルタ材10に対しては、第一作業者W1の側から見て、自身から離間する方向(すなわち下流側に向かう方向)に向かって、圧力差(差圧)が作用している。したがって、フィルタ材10を上流側に向かって取り外すに当たっては、この圧力差(差圧)を上回る力をフィルタ材10に作用させなければならない。
しかしながら、本実施形態においては、フィルタ材10の下流側フィルタ面41を閉止板20によって閉塞しているため、吸気経路中の流体はフィルタ材10を流通しない。したがって、第一作業者W1から見て、上述のような圧力差(差圧)による力はフィルタ材10に作用せず、これを上流側に向かって容易に取り外すことができる。
以上により、フィルタ材10を取り外すための取外し工程が完了する。
【0062】
続いて、上述の取外し工程によって交換対象のフィルタ材10が取り外された後の枠体30(フィルタ収容部40)に、交換用の新しいフィルタ材10を取り付ける。交換用のフィルタ材10を取り付けるに際しては、フィルタアッセンブリ1の上流側から滑り込ませるようにして、フィルタ収容部40にフィルタ材10を挿通する。
以上により、交換用のフィルタ材を取り付けるための取付け工程が完了する。
【0063】
さらに、上述の取付け工程が完了した当該フィルタ収容部40の下流側フィルタ面41から、第二作業者W2が、閉止板20を除去する。閉止板20の除去に際しては、前述の閉止板配置工程と反対の手順を実施する。
まず、閉止板20を枠体30に対して固定している蝶ねじ36を緩める。これにより、閉止板20が下流側フィルタ面41からわずかに離間して、幅方向に動かせるようになる。続けて、第二作業者W2は、閉止板20を幅方向のいずれか一方にスライドさせて、第一支持体34、ならびに第二支持体35から、閉止板20を除去する。閉止板20を幅方向におけるいずれの方向から除去するかは、当該フィルタ収容部40と周囲構造物との位置関係や、作業者の便宜によって決定されるものであって、本工程において特定の一方向に限定されるものではない。
以上により、閉止板除去工程が完了し、これをもって本実施形態に係る吸気フィルタ装置90におけるフィルタ材10の交換(交換方法)が完了する。
【0064】
上述のように、本実施形態に係る吸気フィルタ装置90は、閉止板20によって流体の流通を閉塞することができるため、フィルタ材10の交換中であっても、異物が下流側の圧縮機71等に流入することを抑制することができる。また、交換対象のフィルタ材10に対する圧力差(差圧)の作用を低減することができる。
したがって、ガスタービン70を運転した状態であっても、フィルタ材10の交換作業を行うことができる。
さらに、フィルタ材10の交換を、ガスタービン70の運転中であっても行うことができることによる経済的な利点も得られる。すなわち、フィルタ材10を交換するに当たって、ガスタービン70を停止させていた場合は、フィルタ材10がまだ十分な性能を有する状態であっても、定期検査時等に予防的に交換する必要がある。換言すると、フィルタ材10の耐用期間満了を待たずに、これを新しいフィルタ材10と交換する必要がある。
しかしながら、上述の実施形態によれば、ガスタービン70の運転中にフィルタ材10を交換することができるため、フィルタ材10を、その耐用年数が満了する直前まで使用した上で、逐次新しいフィルタ材10と交換することができる。
【0065】
加えて、本実施形態に係る吸気フィルタ装置90においては、閉止板20は案内部材60によって、吸気経路上を流体が流通する方向と交差する方向に移動することができるように支持されている。
このような構成によれば、閉止板20を枠体30に近接させる際に、流体が流通する方向と交差する方向に移動させればよい。したがって、流体が吸気経路上を流通している状態であっても、大きな力を必要とすることなく閉止板を配置することができる。これにより、ガスタービン70を運転した状態であっても、フィルタ材10の交換作業を行うことができる。
【0066】
さらに、本実施形態に係る吸気フィルタ装置90は、案内部材60を介して閉止板20を枠体30に脱着可能に固定する固定具(蝶ねじ36)を有している。したがって、蝶ねじ36が閉止板20を枠体30に対して強固に固定することができる。これにより、閉止板20は、枠体30の下流側フィルタ面41をおおむね密閉する。よって流体の流通をより効果的に閉塞することができ、交換対象のフィルタ材10に対して作用する圧力差(差圧)をさらに低減することができる。
加えて、閉止板20を枠体30に近接させる方向における移動は、蝶ねじ36を締め込むことのみによって行われる。したがって、閉止板20を枠体30に配置するに際して必要とされる力が軽減される。
【0067】
さらに、本実施形態に係る吸気フィルタ装置90は、フィルタ材10の下流側に下流側デッキ部50を有している。このような構成によれば、作業者Wはフィルタ材10の下流側に容易に到達することができる。よって、作業者Wは、閉止板20を枠体30の下流側に配置する等の保守作業を容易に行うことができる。
【0068】
さらに、本実施形態に係る吸気フィルタ装置90は、フィルタ材10の下流側に設けられたフェンスFを有する。このような構成によれば、作業過程で発生するねじ等の異物が、吸気経路の下流側に流されて圧縮機71に流入することをフェンスFによって抑制することができる。
【0069】
本発明の実施形態に係る吸気フィルタ装置90は、流体の流通する方向に沿って直列に配置された複数のフィルタ材10を有し、閉止板20が設けられるフィルタ材10は、該流体の流通する方向で最も下流側に配置されている。このような構成によれば、上下流で最も大きな差圧の発生する最下流のフィルタ材10に対して閉止板20を設けることで、交換対象のフィルタ材10に対して作用する圧力差(差圧)をより効果的に低減することができる。言い換えると、上流側に位置するフィルタ材10に対して閉止板20を配置する場合に比べて、より効果的に圧力差(差圧)の作用を低減することができる。
【0070】
さらに、本発明の実施形態に係る吸気フィルタ装置90におけるフィルタ交換方法によれば、吸気経路上を流体が流通している状態であっても、閉止板20によって該流体の流れを止め、より容易にフィルタ材10を交換することができる。
加えて、閉止板20を配置する際に、流体の流れる方向と反対の方向に向かって閉止板20を移動させる必要がなくなる。言い換えると、流体が吸気経路上を流通している状態であっても、大きな力を必要とすることなく閉止板20を配置することができる。
さらに、加えて、このような方法によれば、複数のフィルタ材を備えるフィルタアッセンブリ1に対しても、閉止板20を配置して保守作業を行うことができる。したがって、閉止板20によって流体の流通をより効果的に閉塞することができるため、交換対象のフィルタ材10に対して作用する圧力差(差圧)をさらに低減することができる。
【0071】
なお、図3に示すように、下流側デッキ部50の下流端に設けたフェンスFに隣接させて、下流側に安全手摺SGを設けてもよい。安全手摺SGを設けることにより、作業者W2が下流側デッキ部50から落下することを防止できる。
【0072】
なお、上述の実施形態においては、プレフィルタ10Aとメインフィルタ10Bとが互いに当接して設けられた例を説明した。しかしながら、フィルタ材10の構成はこれに限定されず、プレフィルタ10Aとメインフィルタ10Bとが、流体の流通する方向に沿って離間して配置されていてもよい。
【0073】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係る吸気フィルタ装置90及び吸気フィルタ装置90のフィルタ材の交換方法について説明する。上述の第一実施形態は、パネルフィルタを用いた吸気フィルタ装置90に関する実施形態であるが、第二実施形態は、パネルフィルタに変えて、パルスフィルタに関する実施形態である。フィルタ材100の交換に必要な装置及び方法の基本的な考え方は、第一実施形態とは変わらない。以下では、第一実施形態とは異なる構造及び方法について説明し、同じ構造又は方法の部分は同一の符号、名称を用い、詳細な説明を省略する。なお、パルスフィルタとは、圧縮空気を瞬間的にパルス状にフィルタ内部に噴射して、フィルタ外面に付着した粉塵を払い落とす逆洗機能を備えたフィルタを意味する。
【0074】
図8は、パルスフィルタを用いた吸気フィルタ装置の概略側面図を示す。吸気フィルタ装置90が、3階建ての建屋枠92内に収容され、支持構造物91で支持されている点は、第一実施形態と同じである。図8に示す例は、3階建ての建屋枠92とした例であるが、この例に限られない。また、第一実施形態と同様に、枠体130が、建屋枠92内のフロアごとにそれぞれ配置されている。枠体130の最上部及び最下部が各フロアの天井部及び床面に固定され、フィルタ材100は枠体130を介して建屋枠92に支持されている。
【0075】
図9は、第二実施形態の一実施態様に係る吸気フィルタ装置90の一部を示す斜視図である。フィルタ材100を配置するフィルタ収容部140は、枠体130を構成する上下方向(鉛直方向)に延在する複数の縦桁31と、幅方向に延在する複数の横桁32と、フィルタ材100を支持する管板131と、により形成される。すなわち、上下方向に延在する縦桁31と、幅方向に延在する横桁32に挟まれた矩形状の空間を形成するフィルタ収容部140内に、上下流方向に空いた開口を塞ぐように板状の管板131が張り付けられる。縦桁31及び横桁32は、平板な板材でもよく、H型鋼やL型鋼のような形鋼でもよい。管板131と縦桁31及び横桁32は、溶接等により固定され、上流側デッキ部51側から下流側デッキ部50側に空気の漏れが生じないような構造を有する。
【0076】
図9に示すように、多数の筒状体のフィルタ材100を上下流方向に沿って配置して、管板131に固定される。フィルタ材100が取り付けられる管板131には、フィルタ材100に対して上下流方向に、同芯状の開口139が穿設されている。
【0077】
図10を用いて、第二実施形態に係るフィルタ材100の構造を説明する。フィルタ材100は、筒状の形状で、上流側に配置された内側多孔板100Aと、内側多孔板100Aを覆うように内側多孔板100Aの下流側に配置された外側多孔板100Bと、内側多孔板100Aと外側多孔板100Bの間の空間に充填された濾材112と、により形成されている。内側多孔板100A及び外側多孔板100Bは、表面に多数の貫通孔101が設けられた多孔板を円筒状に成形した部材であり、空気が流通可能である。濾材112は、波板状で、円筒状に成形された不織布等から形成され、空気中の粉塵やごみ等が濾材112で捕捉される。
なお、内側多孔板100A及び外側多孔板100B並びに濾材112からなるフィルタ材100は、一組のフィルタエレメントとして一体的に形成され、一体として取付け又は取外しがされる。
【0078】
図10に示すように、フィルタ材100は、固定部材133により管板131に取付けられている。固定部材133は、フィルタ材100の内側からフィルタ材100を保持する心棒133Aと、フィルタ材100を心棒133Aを介して管板131に固定する締結具133Bと、心棒133Aの上流端に設けられた蓋材133Cと、から構成されている。心棒133Aは、複数本の棒状部材を束ねた形状を備え、上流側末端は束ねられて一本化され、他端は下流側に向かってそれぞれの棒状部材が互いに離間する方向に広がり、端部にフランジ部133AFを有する。図11に示すように、フランジ部133AFを有する心棒133Aは、上流側から開口139に挿入され、開口139の内周縁近傍でフランジ部133AFが管板131に溶接等で固定される。例えば、図12に示す例は、心棒133Aが3本の棒状部材で形成された場合である。上下流方向からフィルタ材100を見た場合、3本の心棒133Aは、フィルタ材100の外周を略120℃の間隔を空けて、配置されている。心棒133Aは、内側多孔板100Aが径方向の内側に凹まないよう、フィルタ材100の補強材として機能している。心棒133Aは、少なくとも3本以上の棒状部材で形成されていればよい。
【0079】
図11に示すように、心棒133Aは末端のフランジ部133AFで管板131に溶接等で固定される。また、フィルタ材100と管板131の間には、シール材137が挿入される。フィルタ材100と管板131の接触面の全周に渡り、シール材137が配置されるので、心棒133Aの上流端に取付けられた締結具133Bを締め込むことにより、シール材137が上下流方向に圧縮される。その結果、シール材137のシール性が保持され、フィルタ装置90に供給された空気は、フィルタ材100をバイパスせずに、外側多孔板100Bの内部に流入する。
すなわち、フィルタ装置90に流入した空気は、外側多孔板100Bに設けられた多数の貫通孔101からフィルタ材100の内部に入る。濾材112で粉塵やごみ等が除去された空気は、内側多孔板100Bに設けられた貫通孔101からフィルタ材100の内部空間に抜けて、更に下流側に移動して、開口139から下流側デッキ部50側に排出される。
【0080】
図10に示すように、管板131に取り付けられたフィルタ材100は、上流側が円筒状で、中間から下流側に向かって円錐状に広がる全体として筒状の形状を有する。フィルタ材100が管板131に取付けられた状態では、下流側末端の内側多孔板100Aの内径は、管板131に形成された開口139の口径と略一致する。
【0081】
また、図10に示すように、フィルタ材100の下流側で、デッキ部50には、フィルタ逆洗用の洗浄ノズル145が設置されている。洗浄ノズル145は、それぞれのフィルタ材100の開口139の穴中心と同じ上下方向及び幅方向の位置で、閉止板120の着脱作業に支障が生じないよう、フィルタ材100から下流側方向の所定の距離を保って配置される。洗浄ノズル145に供給される圧縮空気は、空気供給配管146を介して供給される。
【0082】
次に、フィルタ材100の下流側の構成について説明する。第一実施形態と同様に、ガスタービンの運転中にフィルタ材100を交換するためには、閉止板120を事前にフィルタ材100に取り付ける必要がある。すなわち、図10及び図12に示すように、フィルタ材100(下流側フィルタ面141)を間に挟んで幅方向両側の縁部近傍に、閉止板120をガイドする案内部材160が配置されている。案内部材160は、フィルタ材100を間に挟んで、それぞれ幅方向における両側に位置する第一支持体134及び第二支持体135により構成される。蝶ねじ等からなる固定具136により枠体130(管板131)に固定される点は、第一実施形態と同様の構成である。
【0083】
具体的には、一組の案内部材160(第一支持体134、第二支持体135)を配置し、取付け面(管板131)に対して、断面が逆L字状になるように取付け、流体の流れ方向に直交する方で、案内部材16の長手方向に延在する部材として配置される。案内部材160と取付け面(管板131)との間には、閉止板120の端縁を受入れ可能な溝部134D、135Dが形成される。一組の案内部材160は、各溝部134D、135Dがフィルタ材100を間に挟んで対面するように配置される。このため、閉止板120の案内部材160への取付けが容易である。なお、閉止板120を管板131に取付ける際、管板131との間にパッキン等の充填材142を配置する。これは、閉止板120を管板131に取付ける際、固定部材133のフランジ部133AFが干渉して、閉止板120を管板131に密着させることが出来ず、閉止板120と管板131との間に隙間が空いてしまう。この隙間から下流側へ空気が漏れ、フィルタ材の交換作業が出来ない事態を回避するため、閉止板120と管板131の間の閉止板131の裏側外周に、パッキン等の充填材142を配置する。固定具136を締め込むことにより、閉止板120を充填材142を介して管板131に取付けることが出来る。充填材142は、閉止板120の裏側に張り付けてもよい。
【0084】
次に、図12に示す上下方向(鉛直方向)に配置されたフィルタ部材100に閉止板120を取り付ける場合の案内部材160を説明する。図12に示す幅方向(左右方向)に配置された隣接するフィルタ材100同士の場合、案内部材160を構成する第一保持体134及び第二保持体135は、フィルタ材100を間に挟んで幅方向(左右方向)に配置され、管板131の表面から同じ高さ(溝部134D、135Dの溝幅が同じ)に配置されている。一方、図12において、上下方向に配置された隣接するフィルタ材100同士の場合には、第一保持体134及び第二保持体135を同じ高さ(溝部134D、135Dの溝幅が同じ)で設置すると、閉止板120を第一保持体134の溝部134D又は第二保持体135の溝部135Dに挿入する場合、隣接するフィルタ材100の第一保持体134又は第二保持体135と干渉して、閉止板120を挿入できない。
【0085】
そのため、図13に示すように、上下方向に配置されたフィルタ材100の場合は、第一保持体134及び第二保持体135の溝部134D、135Dの溝幅(管板131の表面からの高さに相当)を、上下方向に隣接する第一保持体134及び第二保持体135の場合は、互いに異なる溝幅になるように設置する。このような配置とすれば、実線で示した閉止板120のように、矢印で示す斜め方向から第一支持体134の溝部134D又は第二支持体135の溝部135Dに挿入できる。
【0086】
次に、第二実施形態に係るフィルタ材100の交換方法について、図8図10を用いて説明する。第一実施形態と異なる方法についてのみ説明するものとし、同じ方法が適用できる場合は説明を省略する。本実施例のフィルタ材100の枠板130(管板131)への取付け構造が、第一実施形態とは異なっている。つまり、フィルタ材100の取外し工程及び取付け工程が異なる点を除き、閉止板配置工程及び閉止板除去工程等の手順は、第一実施形態とほぼ同じ手順である。例えば、下流側デッキ部50において、第二作業者W2が、閉止板120を枠板130(管板131)に固定された案内部材160(第一支持体134、第二支持体135)に取付ける閉止板配置工程や、閉止板120を案内部材160から取り外す閉止板除去工程は第一実施形態と変わらない。
【0087】
第二実施形態に係るフィルタ材100の取外し工程及び取付け工程について、以下に説明する。図10図12に示すように、閉止板120の枠板130(管板131)への取付けが終わったことを確認後、心棒133Aの上流端に取付けられた締結具133Bを取外す。締結具133Bを取り外すことのより、心棒133Aから内側多孔板100A、外側多孔板100B及び濾材112から形成された一組のフィルタ材100を、一体として上流側に引き出して、取り外すことが出来る。この作業により、フィルタ材100の取外し工程が完了する。
【0088】
次に、交換用の内側多孔板100A、外側多孔板100B及び濾材112からなる新しいフィルタ材100を、上流側から心棒133Aに挿入して、締結具133Bで締め込む。この作業により、フィルタ材100が管板131へ取付けられ、フィルタ材100の取付け工程が完了する、その他の交換方法の手順は、第一実施形態とほぼ同様である。
【0089】
フィルタ材100は、管板131に溶接固定された固定部材133(心棒133A)の締結具133Bの着脱で、簡単に取外し及び取付けが出来るので、フィルタ材100の交換が容易である。
【0090】
上述の第二実施形態に係る実施態様は、フィルタ材100を水平方向に取付けた態様で説明したが、フィルタ材100を鉛直方向に取付けてもよい。すなわち、水平面に設置された管板131に対して、フィルタ材100を鉛直方向の下方から取付ける構造であってもよい。
【0091】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、上述の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0092】
例えば、上述の実施形態では、閉止板20を案内部材60に固定するための固定具36として、蝶ねじを用いた例を説明したが、固定具36はこれに限定されず、設計や便宜に応じて種々の手段を採ることが可能である。
【0093】
なお、上述の実施形態では、ガスタービン70の運転状態においてフィルタ材10、100の交換を行う例について説明した。しかしながら、ガスタービン70を停止した状態でフィルタ材10、100の交換を行ってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 フィルタアッセンブリ
10、100 フィルタ材
10A プレフィルタ材
10B メインフィルタ材
11 フィルタケーシング
12、112 濾材
20、120 閉止板
21、121 把持部
30、130 枠体
31 縦桁
32 横桁
33、133 固定部材
34、134 第一支持体
35、135 第二支持体
34A,35A、134A、135A 支持面
34B,35B、134B、135B 係止面
34C,35C、134C、135C ねじ穴
34D、35D,134D、135D 溝部
36、136 固定具(蝶ねじ)
37、137 シール材
40、140 フィルタ収容部
41、141 下流側フィルタ面
50 下流側デッキ部
51 上流側デッキ部
60、160 案内部材
70 ガスタービン
71 圧縮機
72 燃焼器
73 タービン
80 吸気ダクト
91 支持構造物
90 吸気フィルタ装置
92 建屋枠
100A 内側多孔板
100B 外側多孔板
101 貫通孔
131 管板
133A 心棒
133AF フランジ部
133B 締結具
133C 蓋材
139 開口
142 充填材
145 洗浄ノズル
146 空気供給配管
F フェンス
W 作業者
W1 第一作業者
W2 第二作業者
T 安全手摺
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13