(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-221539(P2015-221539A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】凹状成形体の集積方法、その装置、および、凹状成形体の集積体
(51)【国際特許分類】
B31B 43/00 20060101AFI20151113BHJP
B29C 51/26 20060101ALI20151113BHJP
B29C 51/30 20060101ALI20151113BHJP
B29C 51/32 20060101ALI20151113BHJP
B29C 51/44 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
B31B43/00 301
B29C51/26
B29C51/30
B29C51/32
B29C51/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-107175(P2014-107175)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 隆洋
(72)【発明者】
【氏名】行本 徹
【テーマコード(参考)】
3E075
4F202
4F208
【Fターム(参考)】
3E075AA05
3E075BA30
3E075CA01
3E075DA26
3E075DA35
3E075DB12
3E075DB16
3E075DC70
3E075FA33
3E075GA01
4F202AH58
4F202CA17
4F202CK89
4F202CM18
4F202CS10
4F208AH58
4F208MA10
4F208MW02
4F208MW23
(57)【要約】
【課題】スタック部を設けなくても安定して積み上げできる凹状成形体の集積方法を提供する。
【解決手段】繰り出されたシート5に、成形部41により2列2行で容器本体2を真空もしくは真空圧空成形した後、切断部42により容器本体2を打ち抜いて下方の移動部43へ切り出す。移動部43により、シート5の繰り出し方向Aに対して垂直な移動方向Bに移動させた後、移動先の積み上げ部44で容器本体2を順次積み上げる。容器本体2に生じた偏肉位置が、順次交互に異なる位置で積み上がる状態となり、首下スタック部を設けない構成でも真っ直ぐに安定して積み上げできる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り出されたシートから少なくとも2列以上の凹状成形体を有する賦形シートを成形する成形工程と、
前記賦形シートから前記凹状成形体を切り出す切断工程と、
前記切断工程で切断した凹状成形体を前記シートの繰り出し方向に対して垂直な方向に移動させる移動工程と、
前記移動された凹状成形体を積み上げる積み上げ工程と、を実施する
ことを特徴とする凹状成形体の集積方法。
【請求項2】
請求項1に記載の凹状成形体の集積方法において、
前記凹状成形体は、開口を有する凹部と、前記開口の縁から延設されたフランジ部とを有したものである
ことを特徴とする凹状成形体の集積方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の凹状成形体の集積方法において、
前記凹状成形体は、首下スタック部を有していない
ことを特徴とする凹状成形体の集積方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の凹状成形体の集積方法において、
前記切断工程は、前記賦形シートに対して厚さ方向で前記凹状成形体を切り出す
ことを特徴とする凹状成形体の集積方法。
【請求項5】
請求項4に記載の凹状成形体の集積方法において、
前記切断工程は、前記凹状成形体を打ち抜きにより切り出す
ことを特徴とする凹状成形体の集積方法。
【請求項6】
繰り出されたシートから少なくとも2列以上の凹状成形体を有する賦形シートを成形する成形部と、
前記賦形シートから前記凹状成形体を切り出す切断部と、
前記切断工程で切断した凹状成形体を前記シートの繰り出し方向に対して垂直な方向に移動させる移動部と、
前記移動された凹状成形体を積み上げる積み上げ部と、
を具備したことを特徴とする凹状成形体の集積装置。
【請求項7】
請求項6に記載の凹状成形体の集積装置において、
前記成形部は、開口を有する凹部と、前記開口の縁から延設されたフランジ部とを有した前記凹状成形体を成形する金型を備えた
ことを特徴とする凹状成形体の集積装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の凹状成形体の集積装置において、
前記成形部は、首下スタック部を有していない前記凹状成形体を成形する金型を備えた
ことを特徴とする凹状成形体の集積装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の凹状成形体の集積装置において、
前記切断部は、前記賦形シートと相対的に移動され、前記賦形シートに対して厚さ方向で前記凹状成形体を切り出す切断刃を有する
ことを特徴とする凹状成形体の集積装置。
【請求項10】
請求項9に記載の凹状成形体の集積装置において、
前記切断部は、前記切断刃を鉛直方向に沿って移動させて前記凹状成形体を打ち抜きにより下方へ切り出す
ことを特徴とする凹状成形体の集積装置。
【請求項11】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の凹状成形体の集積方法、または、請求項6から請求項10までのいずれか一項に記載の凹状成形体の集積装置により積層された前記凹状成形体の集合物である
ことを特徴とする凹状成形体の集積体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹状成形体の集積方法、その装置、および、凹状成形体の集積体に関する。
【背景技術】
【0002】
フランジ部を有するカップ状の容器として、複数個積み重ねた状態からそれぞれの容器が容易に切り離すことができるように、容器胴部に段差となるスタック部を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなスタック部を有する容器では、複数個積み重ねた状態では、容器が互いにスタック部で乗り上げる状態となっている。このため、仮に容器に偏肉が生じている場合でも、複数個積み上げた状態でも偏肉により次第に傾いて積み上げられてしまうことがない。よって、安定した積み上げ状態が得られ、複数個積み上げた状態でも安定して保存、搬送できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−280757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スタック部を設けた容器では、偏肉によらずに多くの容器でも安定した積み上げ状態が得られるものの、積み上げられた状態ではスタック部で乗り上げる状態となっていることから、容器間に隙間が多くなり、積み上げる高さが高くなってしまう。このため、保存、搬送に対応するため、積み上げる数量を少なくすることとなり、効率的な保存、搬送ができなくなるおそれがある。
一方、スタック部を設けずに容器を形成した場合、積み上げる高さを低くできることから、保存、搬送時に積み上げる数量を多くして効率化は図ることが可能となるものの、容器の偏肉により積み上げる数量が多くなるに従って、次第に傾いてしまい、安定した保存、搬送ができなくなるおそれがある。
本発明は、スタック部を設けなくても安定して積み上げできる凹状成形体の集積方法、その装置、および、凹状成形体の集積体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の凹状成形体の集積方法は、繰り出されたシートから少なくとも2列以上の凹状成形体を有する賦形シートを成形する成形工程と、前記賦形シートから前記凹状成形体を切り出す切断工程と、前記切断工程で切断した凹状成形体を前記シートの繰り出し方向に対して垂直な方向に移動させる移動工程と、前記移動された凹状成形体を積み上げる積み上げ工程と、を実施することを特徴とする。
【0006】
この発明では、繰り出されたシートに複数列で成形された後に切り出された凹状成形体を、シートの繰り出し方向に対して垂直な方向に移動させた後、移動先で凹状成形体を積み上げている。このことにより、異なる列で成形された凹状成形体が、例えば1列目、2列目、…n列目、1列目、…と順次交互に積み上げられる状態となる。このため、複数列で成形することで凹状成形体に偏肉が生じても、偏肉位置が順次交互に異なる位置で積層されるので、偏肉位置が重なって積層された状態が積み上げるに従って傾いてしまうという不都合を防止でき、スタック部などの特定の形状に形成しなくても安定して凹状成形体を積み上げることができる。したがって、凹状成形体が積み上げられた積層状態での安定した貯蔵や搬送ができる。
【0007】
ここで、凹状成形体とは、凹状の成型品全般をいい、深さは特に限定されない。具体的には、お盆、皿、トレー、コップ、これらの蓋体も対象に含まれる。
そして、シートの繰り出し方向とは、例えば巻き取られたシートが巻き戻されて繰り出される方向や、平坦なシートが凹状成形体を成形するための成形工程へ移動させる移動方向をいう。
また、少なくとも2列以上とは、シートの繰り出し方向に沿って順次成形される凹状成形体の列が2列以上ある状態をいい、シートの繰り出し方向に対して直行する幅方向で凹状成形体が並んだ状態でも並ばない状態でもよい。
さらに、賦形シートとは、シートに凹状成形体が成形された状態で凹状成形体を切り出す前のシート状の状態をいう。
また、切断工程における凹状成形体の切り出しは、シートの繰り出し方向に対して直行する幅方向で複数列の凹状成形体を一括して切断する場合、幅方向で順次切断する場合、シートの繰り出し方向に沿って所定位置で賦形シートを切断した後に幅方向に沿って切断して凹状成形体を切り出す場合、幅方向に沿って賦形シートを切断した後にシートの繰り出し方向に沿って切断して凹状成形体を切り出す場合など、賦形シートから凹状成形体を切り出し可能ないずれの切断方法が対象となる。
【0008】
そして、本発明では、前記凹状成形体は、開口を有する凹部と、前記開口の縁から延設されたフランジ部とを有したものであることが好ましい。
この発明では、凹部の開口の縁からフランジ部が延設された凹状成形体とすることで、例えばフランジ部の外周縁に治具や回転体を当接させることにより、隙間なく積層された状態からでも凹状成形体を1つずつ容易に取り出すことができる。
【0009】
また、本発明では、前記凹状成形体は、首下スタック部を有していないことが好ましい。
この発明では、首下スタック部を有していない凹状成形体とすることで、積み上げられた状態の凹状成形体間に隙間がなく、積層状態での容積を小さくでき、積層状態での貯蔵や搬送の効率を向上できる。
ここで、首下スタック部を有していない状態は、内面または外面へ突出する段差が設けられていない状態である。
【0010】
さらに、本発明では、前記切断工程は、前記賦形シートに対して厚さ方向で前記凹状成形体を切り出すことが好ましい。
この発明では、賦形シートを厚さ方向、すなわち繰り出される方向に対して交差する上下方向に凹状成形体を切り出すことにより、凹状成形体が賦形シートに対して高さが異なる位置で切り出されるので、切り出された凹状成形体を移動工程でシートの繰り出し方向に対して垂直な方向へ容易に移動させることができる。
【0011】
また、本発明では、前記切断工程は、前記凹状成形体を打ち抜きにより切り出すことが好ましい。
この発明では、凹状成形体を打ち抜きにより切り出すことにより、凹状成形体が賦形シートに対して下方に切り出されるので、打ち抜かれた凹状成形体を例えばコンベヤなどの簡易な構成でシートの繰り出し方向に対して垂直な方向へ容易に移動させることができる。
【0012】
本発明の凹状成形体の集積装置は、繰り出されたシートから少なくとも2列以上の凹状成形体を有する賦形シートを成形する成形部と、前記賦形シートから前記凹状成形体を切り出す切断部と、前記切断工程で切断した凹状成形体を前記シートの繰り出し方向に対して垂直な方向に移動させる移動部と、前記移動された凹状成形体を積み上げる積み上げ部と、を具備したことを特徴とする。
この発明では、繰り出されたシートに成形部により複数列で成形された後に切断部で切り出された凹状成形体を、シートの繰り出し方向に対して垂直な方向に移動部で移動させた後、移動先で積み上げ部により凹状成形体を積み上げている。このことにより、異なる列で成形された凹状成形体が、例えば1列目、2列目、…n列目、1列目、…と順次交互に積み上げられる状態となる。このため、複数列で成形することで凹状成形体に偏肉が生じても、偏肉位置が順次交互に異なる位置で積層されるので、偏肉位置が重なって積層された状態が積み上げるに従って傾いてしまうという不都合を防止でき、スタック部などの特定の形状に形成しなくても安定して凹状成形体を積み上げることができる。したがって、凹状成形体が積み上げられた積層状態での安定した貯蔵や搬送ができる。
【0013】
そして、本発明では、前記成形部は、開口を有する凹部と、前記開口の縁から延設されたフランジ部とを有した前記凹状成形体を成形する金型を備えたことが好ましい。
この発明では、凹部の開口の縁からフランジ部が延設された凹状成形体を成形する構成とすることで、例えばフランジ部の外周縁に治具や回転体を当接させることにより、隙間なく積層された状態からでも凹状成形体を1つずつ容易に取り出すことができる。
【0014】
また、本発明では、前記成形部は、首下スタック部を有していない前記凹状成形体を成形する金型を備えたことが好ましい。
この発明では、首下スタック部を有していない凹状成形体を成形する構成とすることで、積み上げられた状態の凹状成形体間に隙間がなく、積層状態での容積を小さくでき、積層状態での貯蔵や搬送の効率を向上できる。
【0015】
さらに、本発明では、前記切断部は、前記賦形シートと相対的に移動され、前記賦形シートに対して厚さ方向で前記凹状成形体を切り出す切断刃を有することが好ましい。
この発明では、賦形シートを厚さ方向、すなわち繰り出される方向に対して交差する上下方向に凹状成形体を切断刃により切り出すことにより、凹状成形体が賦形シートに対して高さが異なる位置で切り出されるので、切り出された凹状成形体を移動工程でシートの繰り出し方向に対して垂直な方向へ容易に移動させることができる。
【0016】
また、本発明では、前記切断部は、前記切断刃を鉛直方向に沿って移動させて前記凹状成形体を打ち抜きにより下方へ切り出すことが好ましい。
この発明では、凹状成形体を切断刃で打ち抜きにより切り出すことにより、凹状成形体が賦形シートに対して下方に切り出されるので、打ち抜かれた凹状成形体を例えばコンベヤなどの簡易な構成でシートの繰り出し方向に対して垂直な方向へ容易に移動させることができ、装置構成を簡略化できる。
【0017】
本発明の凹状成形体の集積体は、本発明の凹状成形体の集積方法、または、本発明の凹状成形体の集積装置により積層された前記凹状成形体の集合物であることを特徴とする。
この発明では、傾くことなく安定して複数の凹状成形体が積み上げられた状態で、安定した貯蔵や搬送ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る容器を示す図であって、蓋体を開封した状態を示す斜視図。
【
図2】前記容器の凹状成形体を集積する集積装置を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、本発明の凹状成形体を備えた容器を例示するが、この限りではない。
【0020】
(易開封性容器の構成)
図1および
図2において、易開封性容器1は、凹状成形体としての容器本体2とシート状の蓋体3とを備えている。
容器本体2は、所定の深さを有する略長方形のトレー形状の凹部23を有している。凹部23の略長方形状の開口24の周縁には、外側に張り出すようにフランジ部25が延設されている。凹部23は、底部23Aの周縁に連設する胴部23Bに、段差となる首下スタック部が設けられていない。
易開封性容器1は、フランジ部25と、開口24に対してフランジ部25に載置された蓋体3とがヒートシールされて環状のヒートシール部26が形成され、易開封性容器1の内部が密封状態とされる。さらに、容器本体2には、ヒートシール部26の内側に対して周状のノッチ27が切り込み形成されている。
【0021】
易開封性容器1を製造するにあって、例えば環状シール盤を備えたシール装置が用いられる。
容器本体2のフランジ部25と蓋体3とを融着して易開封性容器1を密封状態とするには、容器本体2のフランジ部25に蓋体3を重ね合わせ、この蓋体3の上面から、シール装置の加熱状態の環状シール盤を押圧することによりヒートシールが実施される。
【0022】
(容器本体の集積装置)
次に、容器本体を集積する集積装置について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、容器本体2を2列2行の4個を一動作で成形する構成を例示するが、この限りではない。
図2は、容器本体を集積する集積装置を示す概念図である。
【0023】
集積装置4は、
図2に示すように、シート5を水平方向に繰り出す図示しない繰出部と、繰り出されたシート5から複数の容器本体2を形成する成形部41と、容器本体2を切り出す切断部42と、切り出された容器本体2を移動させる移動部43と、移動された容器本体2を順次積み上げる積み上げ部44と、を備えている。
【0024】
成形部41は、図示しない下型および上型を有する金型を備え、繰り出されるシート5から当該シートの繰り出し方向Aに沿った2列、シートの繰り出し方向に対して直行する幅方向に沿った2行の4つの容器本体2を成形し、容器本体2が2列で形成された賦形シート5Aを得る。
なお、成形方法としては、予め加熱されたシートを金型にて冷却しつつ成形したり、加熱した金型にて加熱しつつ成形したりするなど、各種成形方法を適用できる。特に、真空あるいは真空圧空成形が、溶融したシート5が垂れ下がるいわゆるドローダウンが生じて偏肉の原因となるので、これらの方法に特に効果的である。
【0025】
切断部42は、容器本体2のフランジ部25の外周縁に対応する図示しない環状の切断刃を備え、2列の容器本体2を1行毎に切断、すなわち2個の容器本体2を一動作で打ち抜き、賦形シート5Aの厚さ方向の下方へ切り出す。
なお、成形部41と切断部42との間は、多少の距離があり、賦形シート5Aが弛んだ状態となっている。すなわち、成形部41で2列2行の4つの容器本体2を成形している間に、1行ずつである2つの容器本体2の打ち抜きを2回実施するタイミングで賦形シート5Aが成形部41から順次繰り出される。切断を2回実施している上流側では成形工程が実施されて、シート5の繰り出しは実施されないので、成形部41と切断部42との間で、賦形シート5Aが弛んだ状態となって、賦形シート5Aの繰り出しが調整されている。この賦形シート5Aの弛みは、自重によりそのまま弛ませておいても、ダンサーローラーなどにて繰り出しを調整するようにしてもよい。
そして、容器本体2が切り出された後の格子状シートは、別途巻き取られて処理される。
なお、切断する方法としては、切断刃にて切断する他、レーザー光や水圧などにより切断してもよい。また、1つの切断刃にて列ごとに1個ずつ切り出してもよい。さらに、切断刃としても、環状の刃に限らず、例えば十字状の刃や、シート5の繰出方向に沿って切断する刃と、幅方向で切断する刃との複数で構成された刃、回転刃など、各種の切断方法を適用できる。
【0026】
移動部43は、例えばベルトコンベヤなどで、切断部42にて打ち抜かれた容器本体2を受け止め、シート5の繰り出し方向Aに対して垂直な方向に沿った移動方向Bの移動先に配置された積み上げ部44まで移動させる。
この積み上げ部44への移動は、例えばベルトコンベヤを連続運転させて、切断部42から落下する容器本体2を連続的に移動させる他、容器本体2の落下を検出し、落下の検出に応じてベルトコンベヤを間欠運転させてもよい。さらに、成形部41にて2行成形される場合には、2行分を打ち抜き、1行の打ち抜きによりベルトコンベヤ上に落下した容器本体2に2行目で打ち抜いた容器本体2を重ね、繰り出し方向Aにおける偏肉を吸収した積み上げを実施させてから積み上げ部44へ移動させてさらに積み上げるようにしてもよい。
なお、移動部43は、ベルトコンベヤに限らず、吸引などにより吊り下げつつ移動させたり、シュートのように容器本体2の自重により滑らせて移動させたり、振動する起毛により移動させたり、各種移動方法を適用できる。
【0027】
積み上げ部44は、移動部43により1つずつ移動される容器本体2を順次受け止めて積み上げ、容器本体2を所定数積み重ねた集積体6とする図示しないガイドを備えている。
ガイドとしては、例えば移動部43のベルトコンベヤで移動されてベルトコンベヤから落下する容器本体2を所定の積み上げ位置にガイドする各種構成が利用できる。また、集積体6を収納する段ボール箱をガイドとして利用してもよい。
また、積み上げ部44は、所定数の容器本体2を積み重ねることを検出するセンサやカウンターなどを設け、所定数の容器本体2の集合物である集積体6を別途搬出する構成を設けておくと自動化が図れるので好ましい。また、所定数の積み上げが完了したことを検出した場合、一連の工程を一時停止して、その旨を報知してもよい。
【0028】
(容器本体の集積方法)
次に、上記集積装置4による容器本体2の集積方法を説明する。
巻き取られたシート5を繰出部により水平に繰り出し、熱風などにより加熱しつつ成形部41へ送る。そして、成形部41の金型により、シート5に2列2行の4つの容器本体2を、例えば真空あるいは真空圧空成形により成形し、賦形シート5Aを得る成形工程を実施する。
この成形により、4つの容器本体2がそれぞれ近接する中央の位置で最も肉厚となり、4つの容器本体2の周囲の部分が最も薄肉となる偏肉が生じる。
【0029】
この成形工程の後、賦形シート5Aは切断部42に繰り出され、図示しない切断刃にて成形された容器本体2を1行毎に打ち抜いて2個の容器本体2を切り出す切断工程を実施する。この切り出された容器本体2は、下方に位置する移動部43上に落下される。
そして、移動部43により、容器本体2を移動方向Bに沿って積み上げ部44へ移動させる移動工程が実施される。
この移動部43の移動工程により移動された容器本体2は、成形部41における異なる列で順次積み上げられる状態となる。具体的には、移動部43で移動される容器本体2は、1行目の1列目、1行目の2列目、2行目の1列目、2行目の2列目、…の順で積み上げられる状態となる。このことから、1つ目の容器本体2と2つ目の次に積み上げられる容器本体2との偏肉による厚肉部分と薄肉部分とは、同じ位置で重なり合わずに積み上げられる状態となる。このため、順次積み上げられる容器本体2は、偏肉が重なり合うことで次第に斜めに傾いて積み上げられることがなく、真っ直ぐに安定して積み上げられる。
【0030】
そして、所定数に容器本体2が積み上げられた後は、集積体6として1つの集合体として梱包され、順次保存、搬送される。
また、集積体6から容器本体2を1つずつ取り出す場合には、例えば治具や回転体などをフランジ部25の外周縁に引っ掛けるようにすることで、容易に1つずつ取り出すことができる。
【0031】
(実施形態の作用効果)
上述したように、上記実施形態では、繰り出されたシート5に2列で成形された後に切り出された容器本体2を、シート5の繰り出し方向Aに対して垂直な移動方向Bに移動させた後、移動先の積み上げ部44で積み上げている。
このことにより、異なる列で成形された容器本体2が、例えば1列目、2列目、1列目、2列目、…と順次交互に積み上げられる状態となる。このため、2列で成形することで容器本体2に偏肉が生じるが、偏肉位置が順次交互に異なる位置で積層されるので、偏肉位置が重なって積層された状態が積み上げるに従って傾いてしまうという不都合を防止できる。したがって、首下スタック部などの特定の形状に形成して偏肉を吸収して積み上げる構成としなくても、容器本体2を真っ直ぐに安定して積み上げることができる。よって、容器本体2が積み上げられた積層状態の集積体6を、安定して貯蔵、保管、搬送ができる。
【0032】
そして、上記実施形態では、凹部23の開口24の周縁からフランジ部25を延設した容器本体2を成形している。
このため、例えば治具や回転体などをフランジ部25の外周縁に引っ掛けるようにすることで、集積体6から容器本体2を1つずつ容易に取り出すことができる。
【0033】
また、上記実施形態では、首下スタック部を有しない容器本体2を成形している。
このため、積み上げられた状態の容器本体2間に隙間が生じることが抑制され、積み上げ高さをより低く抑えることができ、積層状態での容積が小さくなる。したがって、所定の高さでの積み上げ数量を増大したり、所定の数量での集積体6の全体寸法が小さくなるので、積層状態での貯蔵や保管、搬送の効率を向上できる。
【0034】
さらに、切断部42では、容器本体2を打ち抜きにより切り出している。
このため、容器本体2が賦形シート5Aに対して下方に切り出されるので、打ち抜かれた容器本体2を移動方向Bへ移動させる構成として、ベルトコンベヤなどの簡易な構成で移動でき、集積装置4の構成の簡略化が容易に図れる。
【0035】
(変形例)
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0036】
例えば、2列2行で成形し、1行ずつ打ち抜く構成を例示したが、偏肉が生じる2列以上の複数列で成形する構成であれば適用できる。また、2行毎に成形する場合に限らず、1行毎、もしくは3行以上の複数行で成形してもよい。そして、真空あるいは真空圧空成形に限らず、各種の成形方法に適用できる。
また、容器本体2としては、コップのようなフランジ部25が設けられていないものでも適用できる。
さらに、スタック部を有する成形体でも適用できる。
【0037】
また、切断工程として下方に打ち抜く場合に限らず、上方に打ち抜くようにして、上方から吸着などにより搬送するなどしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
2……凹状成形体としての容器本体
4……集積装置
5……シート
5A…賦形シート
6……集積体
23……凹部
24……開口
25……フランジ部
41……成形部
42……切断部
43……移動部
44……積み上げ部