(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-221623(P2015-221623A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】自動車用燃料タンク
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20151113BHJP
B60K 15/077 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
B60K15/03 B
B60K15/077 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-106712(P2014-106712)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】梅村 仁志
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA01
3D038CB01
3D038CC10
(57)【要約】
【課題】燃料の搖動を防止して、流動音の発生を防止する自動車用燃料タンクのバッフルを提供する。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂で形成されたタンク外壁7を有する自動車用燃料タンクにおいて、タンク外壁7から燃料タンク1の内側に突出して一体的に形成されるバッフル10を設ける。バッフル10は、バッフル中空部15を有し、燃料タンクの幅方向に長く形成されたバッフル第1壁11と、バッフル中空部を隔ててバッフル第2壁12を形成する。バッフル第1壁11とバッフル第2壁12は、両側の側端がバッフル側壁14で連結されるとともに、バッフル第1壁11とバッフル第2壁12の先端がバッフル底壁13で連結して形成され、バッフル第1壁11とバッフル第2壁12の少なくとも一方の壁面が燃料タンク1の長手方向に凸になるように湾曲して形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂で形成されたタンク外壁を有する自動車用燃料タンクにおいて、
上記タンク外壁から上記燃料タンクの内側に突出して一体的に形成されるバッフルを設け、
該バッフルは、内部が中空状のバッフル中空部を有し、上記燃料タンクの幅方向に長く形成されたバッフル第1壁と、上記バッフル中空部を隔ててバッフル第2壁を形成し、上記バッフル第1壁と上記バッフル第2壁は、両側の側端がバッフル側壁で連結されるとともに、上記バッフル第1壁と上記バッフル第2壁の先端がバッフル底壁で連結して形成され、
上記バッフル第1壁と上記バッフル第2壁の少なくとも一方の壁面が上記燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成されたことを特徴とする自動車用燃料タンク。
【請求項2】
上記バッフルは、上記タンク外壁から複数個形成され、自動車の制動時に上記燃料タンク内の燃料が最初に当たる上記バッフル第1壁又は上記バッフル第2壁の壁面が、上記燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成された請求項1に記載の自動車用燃料タンク。
【請求項3】
上記バッフルは、上記タンク外壁から複数個形成され、自動車の制動時に上記燃料タンク内の燃料が最初に当たる上記バッフルは、最初に当たる上記バッフル第1壁又は上記バッフル第2壁の壁面が、上記燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成されるとともに、上記燃料タンク内の燃料が上記タンク外壁の内面に当たり反射して、反射後に上記燃料タンク内の燃料が当たる上記バッフルは、反射後の燃料が当たる上記バッフル第1壁又は上記バッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された請求項2に記載の自動車用燃料タンク。
【請求項4】
上記バッフル第1壁又は上記バッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された壁面は、円弧状に湾曲して凸に形成された請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された自動車用燃料タンク。
【請求項5】
上記バッフル第1壁又は上記バッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された壁面は、三角形状に凸に形成された請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された自動車用燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性合成樹脂で形成された外壁を有する自動車用燃料タンクの内部に燃料の波うちを制御するバッフルを形成する自動車用燃料タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用等の燃料タンクの構造としては、金属製のものが用いられていたが、近年、車両の軽量化や、錆が発生しないこと、所望の形状に成形しやすいことなどによって熱可塑性合成樹脂製のものが用いられるようになってきた。
熱可塑性合成樹脂製の自動車用燃料タンクの製造は、中空体を成形することの容易性からブロー成形方法が多く用いられてきた。ブロー成形方法では、溶融した熱可塑性合成樹脂部材のパリソンを円筒状にして上から押出して、そのパリソンを金型で挟みパリソン中に空気を吹き込み、自動車用燃料タンクを製造していた。
【0003】
燃料タンク101において、停止時に燃料タンク内部の燃料の流動音が生じるため、その抑制が求められている。
この場合に、
図7に示すように、燃料タンク101の外壁107の上面と下面に外壁107から一体的に形成されるバッフル110を設け、このバッフル110で燃料の搖動を減少させることも考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図8及び
図9に示すように、このバッフル110は、燃料タンク101の幅方向に長く伸びるように形成されている。そして、バッフル110は、先端に行くにつれてバッフル第1壁111とバッフル第2壁112の間隔が狭くなるように形成されるとともに、バッフル第1壁111とバッフル第2壁112の外面は、燃料タンク101の幅方向に平面的に、平行に形成されている。
【0005】
このため、
図10に示すように、自動車が停止するときや、速度を落とすとき等において、燃料タンク101内の燃料が前後方向に搖動しているが、このとき燃料はバッフル110に当たり、燃料の搖動を止めている。しかし、燃料タンク101の容量が大きく、且つ縦長である場合には、バッフル110のバッフル第2壁112が平面状であるため、搖動した燃料がバッフル第1壁111に垂直に当たり、燃料の流れが悪く、燃料の搖動を受け止めたバッフル110が振動したり、流動音が発生したりすることとなる。
図10における矢印は、燃料の流れを示すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−224113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、本発明は、熱可塑性合成樹脂で形成された外壁を有する自動車用燃料タンクの内部にバッフルを取付ける自動車用燃料タンクにおいて、燃料の搖動を防止して、流動音の発生を防止する自動車用燃料タンクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、熱可塑性合成樹脂で形成されたタンク外壁を有する自動車用燃料タンクにおいて、
タンク外壁から燃料タンクの内側に突出して一体的に形成されるバッフルを設け、
バッフルは、内部が中空状のバッフル中空部を有し、燃料タンクの幅方向に長く形成されたバッフル第1壁と、バッフル中空部を隔ててバッフル第2壁を形成し、バッフル第1壁とバッフル第2壁は、両側の側端がバッフル側壁で連結されるとともに、バッフル第1壁とバッフル第2壁の先端がバッフル底壁で連結して形成され、
バッフル第1壁とバッフル第2壁の少なくとも一方の壁面が燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成されたことを特徴とする自動車用燃料タンクである。
【0009】
請求項1の本発明では、熱可塑性合成樹脂で形成されたタンク外壁を有する自動車用燃料タンクにおいて、タンク外壁から燃料タンクの内側に突出して一体的に形成されるバッフルを設けている。このため、燃料タンクを成形するときに、タンク外壁とバッフルを同時に成形することができ、効率的であり、バッフルとタンク外壁との間に隙間がなく、燃料タンクの気密性を保持することができる。
【0010】
バッフルは、内部が中空状のバッフル中空部を有し、燃料タンクの幅方向に長く形成されたバッフル第1壁と、バッフル中空部を隔ててバッフル第2壁を形成する。このため、バッフル第1壁とバッフル第2壁で、燃料タンクの長手方向を搖動する燃料の動きを止めることができる。
【0011】
バッフル第1壁とバッフル第2壁は、両側の側端がバッフル側壁で連結されるとともに、バッフル第1壁とバッフル第2壁の先端がバッフル底壁で連結して形成される。このため、バッフル第1壁、バッフル第2壁、バッフル側壁及びバッフル底壁がバッフル中空部を取り囲んで一体的に形成され、燃料タンクの気密性を保持しつつ、バッフルの剛性を大きくすることができる。
【0012】
バッフル第1壁とバッフル第2壁の少なくとも一方の壁面が燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成された。このため、燃料タンクの長手方向を搖動する燃料が、壁面が燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成されたバッフル第1壁又はバッフル第2壁に当たるときに、湾曲した壁面に沿って燃料が流れて、湾曲した壁面が搖動する燃料の勢いを減少させて、バッフルの振動や流動音を減少、または防ぐことができる。
【0013】
請求項2の本発明は、バッフルは、タンク外壁から複数個形成され、自動車の制動時に燃料タンク内の燃料が最初に当たるバッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が、燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成された自動車用燃料タンクである。
【0014】
請求項2の本発明では、バッフルは、タンク外壁から複数個形成され、自動車の制動時に燃料タンク内の燃料が最初に当たるバッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が、燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成された。このため、自動車の制動時に燃料タンク内の燃料を素早く確実に燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成されたバッフル第1壁又はバッフル第2壁に当てて、搖動する燃料の勢いを減少させて、バッフルの振動や流動音を減少、または防ぐことができる。
【0015】
請求項3の本発明は、バッフルは、タンク外壁から複数個形成され、自動車の制動時に燃料タンク内の燃料が最初に当たるバッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が、燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成されるとともに、燃料タンク内の燃料がタンク外壁の内面に当たり反射して、反射後に燃料タンク内の燃料が当たるバッフルは、反射後の燃料が当たるバッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された自動車用燃料タンクである。
【0016】
請求項3の本発明では、バッフルは、タンク外壁から複数個形成され、自動車の制動時に燃料タンク内の燃料が最初に当たるバッフルは、最初に当たるバッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が、燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成されるとともに、燃料タンク内の燃料がタンク外壁の内面に当たり反射して、反射後に燃料タンク内の燃料が当たるバッフルは、反射後の燃料が当たるバッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された。このため、燃料タンク内の燃料がタンク外壁の内面に当たり反射して、反射後に当たる燃料タンク内のバッフルにおいても、長手方向に凸になるように湾曲して形成されたバッフル第1壁又はバッフル第2壁が、搖動する燃料の勢いを減少させて、バッフルの振動や流動音を減少,または防ぐことができる。
【0017】
請求項4の本発明は、バッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された壁面は、円弧状に湾曲して凸に形成された自動車用燃料タンクである。
【0018】
請求項4の本発明では、バッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された壁面は、円弧状に湾曲して凸に形成された。このため、円弧状に湾曲して凸に形成されたバッフル第1壁又はバッフル第2壁が、搖動する燃料を、円弧状に湾曲した壁面に沿ってスムーズにバッフル第1壁又はバッフル第2壁の両側部に導くことができ、搖動する燃料の勢いを減少させて、バッフルの振動や流動音を減少,または防ぐことができる。
【0019】
請求項5の本発明は、バッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された壁面は、三角形状に凸に形成された自動車用燃料タンクである。
【0020】
請求項5の本発明では、バッフル第1壁又はバッフル第2壁の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された壁面は、三角形状に凸に形成された。このため、三角形状に凸に形成されたバッフル第1壁又はバッフル第2壁が、搖動する燃料を三角形状に凸に形成されたバッフル第1壁又はバッフル第2壁の両側部に確実に導くことができ、搖動する燃料の勢いを減少させて、バッフルの振動や流動音を減少,または防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
バッフル第1壁とバッフル第2壁の少なくとも一方の壁面が燃料タンクの長手方向に凸になるように湾曲して形成されたため、燃料タンクの長手方向を搖動する燃料が、湾曲した壁面に沿ってスムーズに流れて、搖動する燃料の勢いを減少させて、バッフルの振動や流動音を減少,または防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態である燃料タンクの斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態である燃料タンクの部分平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態である燃料タンクの部分断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態である燃料タンクのバッフルの断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態である燃料タンクのバッフルの底面図である。
【
図6】本発明の実施の形態である燃料タンクのバッフルに燃料が搖動した状態を示す底面図である。
【
図8】従来の燃料タンクのバッフルの断面図である。
【
図9】従来の燃料タンクのバッフルの底面図である。
【
図10】従来の燃料タンクのバッフルに燃料が搖動した状態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態である自動車用の燃料タンク1のバッフル10について、
図1〜
図6に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態の燃料タンク1の斜視図である。熱可塑性合成樹脂製の燃料タンク1のタンク外壁7は単層又は多層構造の構成を有することができる。燃料タンク1は、ブロー成形で形成され、タンク外壁7の上壁と下壁は、一体的に形成される。
【0024】
本発明の実施の形態で製造される燃料タンク1は、
図1に示すように、その燃料タンク1に燃料ポンプ(図示せず)等を出し入れするためにポンプユニット取付孔4が上面に形成されている。また、燃料タンク1の側面又は上面には、インレットパイプ(図示せず)から燃料を注入する燃料注入孔5が形成されている。
【0025】
また、例えば、燃料タンク1の周囲には外周リブ2が全周に亘り形成されており、外周リブ2のコーナー部等の所定箇所には、数箇所に亘り取付用孔3が形成され、取付用孔3と車体をボルト締めすることにより、燃料タンク1を車体に取付けている。
さらに、燃料タンク1の上面には、内部の燃料蒸気を回収するホース等を接続する各所の取付孔6が形成されている。
【0026】
そして、
図2と
図3に示すように、燃料タンク1のタンク外壁7には、タンク外壁上壁7aとタンク外壁下壁7bからそれぞれ複数のバッフル10が一体的に形成されている。
本実施の形態では、タンク外壁上壁7aからは、3個のバッフル10が形成され、タンク外壁下壁7bからは、2個のバッフル10が形成されている。
【0027】
タンク外壁上壁7aに形成されたバッフル10は、ポンプユニット取付孔4に近い部分から順に、即ち、燃料タンク1に中央に近い順に、第1バッフル10a、第2バッフル10bと第3バッフル10cが形成されている。タンク外壁下壁7bに形成されたバッフル10は、ポンプユニット取付孔4に近い部分から順に、即ち、燃料タンク1に中央に近い順に、第4バッフル10dと第5バッフル10eが形成されている。
第1バッフル10aと第4バッフル10d、及び第2バッフル10bと第5バッフル10eは、それぞれ対応する位置に形成されている。このため、燃料タンク1内の燃料の搖動を効果的に防止することができる。
【0028】
次に、バッフル10の形状について説明する。本実施の形態のバッフル10を、
図3におけるタンク外壁上壁7aのポンプユニット取付孔4に近い部分に形成された第1バッフル10aを例にとり説明する。タンク外壁上壁7aとタンク外壁下壁7bに形成された他のバッフル10も同様の形状を有する。
【0029】
第1バッフル10aは、タンク外壁7と一体的に形成され、燃料タンク1の幅方向に長く、即ち、燃料タンク1の長手方向とは直角に形成されて、先端に行くにつれて幅が狭くなるように形成されている。第1バッフル10aは、タンク外壁7が凹んで形成された、内部が中空状のバッフル中空部15を有し、幅方向に長く形成されたバッフル第1壁と、バッフル中空部15を隔てて幅方向に長くバッフル第2壁12を有する。このため、燃料タンク1の長手方向が車両の進行方向と同じ方法に取付けられると、バッフル第1壁11又はバッフル第2壁12で、燃料タンク1の長手方向を搖動する燃料の動きを止めることができる。
【0030】
更に、
図4と
図5に示すように、バッフル第1壁11とバッフル第2壁12は、両側の側端がそれぞれバッフル側壁14で連結されて一体となるとともに、バッフル第1壁11とバッフル第2壁12の先端がバッフル底壁13で連結して形成される。これにより、バッフル第1壁11、バッフル第2壁12、バッフル側壁14及びバッフル底壁13が全体として一体となり、バッフル中空部15を隙間なく取り囲んで一体的に形成される。このため、第1バッフル10aが気密性を有するとともに、その剛性を大きくすることができる。
【0031】
バッフル第1壁11とバッフル第2壁12の少なくとも一方の壁面が燃料タンク1の長手方向に凸になるように湾曲して形成されている。本実施の形態では、燃料タンク1の長手方向の中央に最も近くに形成された第1バッフル10a、即ち、タンク外壁上壁7aのポンプユニット取付孔4に近くに形成された第1バッフル10aでは、バッフル第1壁11が燃料タンク1の長手方向に凸になるように湾曲して形成されて、バッフル第2壁12は、平板状に形成されている。バッフル第2壁12は平板状に形成されているため、バッフル中空部15の体積を大きくすることなく、燃料タンク1の容量の減少を防ぐことができる。
【0032】
このため、
図6に示すように、自動車の制動時には、燃料タンク1内の燃料は、燃料タンク1の長手方向に搖動する燃料が、まず最初に、壁面が燃料タンク1の長手方向に凸になるように湾曲して形成されたバッフル第1壁11に当たる。このとき、湾曲した壁面に沿って燃料が流れて、搖動する燃料の勢いを減少させて、第1バッフル10aの振動や流動音を減少,または防ぐことができる。
燃料タンク1内の燃料の搖動方向によっては、バッフル第2壁12の壁面を燃料タンク1の長手方向に凸になるように湾曲して形成し、バッフル第1壁11の壁面を平板状に形成することができる。
【0033】
バッフル第1壁11の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された壁面は、円弧状に湾曲して凸に形成することが好ましい。この場合には、
図6に示すように、円弧状に湾曲して凸に形成されたバッフル第1壁11に当たった燃料タンク1内を搖動する燃料を、凸に形成されたバッフル第1壁11がスムーズにバッフル第1壁11の両側部に導くことができる。このため、燃料タンク1内の搖動する燃料の勢いを減少させて、第1バッフル10aの振動や流動音を減少、または防ぐことができる。
図6に示す矢印は、燃料の流れを示すものである。
なお、上述のように、バッフル第2壁12の壁面を円弧状に湾曲して凸に形成する場合も同様である。
【0034】
また、バッフル第1壁11の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成された壁面は、三角形状に凸に形成することができる。この場合には、三角形状に凸に形成されたバッフル第1壁11に当たった燃料タンク1内を搖動する燃料を、三角形状に凸に形成されたバッフル第1壁11が、三角形の頂点を境に、バッフル第1壁11の両側部に導くことができる。このため、燃料タンク1内の搖動する燃料の勢いを減少させて、第1バッフル10aの振動や流動音を減少,または防ぐことができる。
【0035】
更に、
図2に示すように、バッフル10は、タンク外壁7から複数個形成され、本実施の形態では、タンク外壁上壁7aでは、3個形成され、タンク外壁下壁7bでは、2個形成されている。
自動車の制動時に燃料タンク1内の燃料が最初に当たる第1バッフル10a、即ち燃料タンク1の中心に近い第1バッフル10aのバッフル第1壁11の壁面が、燃料タンク1の長手方向の中心方向に凸になるように湾曲して形成されている。
【0036】
燃料タンク1内の燃料がタンク外壁7の内面に当たり反射して、反射後に燃料タンク1内の燃料が当たる第3バッフル10c、及び第2バッフル10b、即ち、燃料タンク1の先端に近いバッフル10は、反射後の燃料が当たるバッフル第1壁11の壁面が長手方向に凸になるように湾曲して形成されている。この場合は、バッフル10は、燃料タンク1の先端側がバッフル第1壁11となり、燃料タンク1の中心側がバッフル第2壁12となる。
【0037】
このため、燃料タンク1内の燃料がタンク外壁7の内面に当たり反射して、反射後に当たる燃料タンク1内の第2バッフル10bと第3バッフル10cにおいても、長手方向に凸になるように湾曲して形成されたバッフル第1壁11が、搖動する燃料の勢いを減少させて、第2バッフル10bと第3バッフル10cの振動や流動音を減少,または防ぐことができる。
【0038】
なお、タンク外壁下壁7bに形成された第4バッフル10dと第5バッフル10eもタンク外壁上壁7aに形成された第1バッフル10a、第2バッフル10bと同様である。第4バッフル10dのバッフル第1壁11は、燃料タンク1の中央側に形成され、バッフル第2壁12は、燃料タンク1の先端側に形成される。第5バッフル10eのバッフル第1壁11は燃料タンク1の先端側に形成され、バッフル第2壁12は、燃料タンク1の中央側に形成される。
【0039】
第1バッフル10aと第4バッフル10dは、対向する位置に形成されるため、燃料タンク1の中央側から搖動してきた燃料を第1バッフル10aと第4バッフル10dで効果的に止めることができる。
更に、第2バッフル10bと第5バッフル10eも、対向する位置に形成されるため、燃料タンク1の先端のタンク外壁7から反射してきた燃料を第2バッフル10bと第5バッフル10eで効果的に止めることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 燃料タンク
7 タンク外壁
10 バッフル
11 バッフル第1壁
12 バッフル第2壁
15 バッフル中空部