特開2015-221628(P2015-221628A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-221628(P2015-221628A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】車両用荷室構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20151113BHJP
【FI】
   B60R5/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-106823(P2014-106823)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 光祥
(72)【発明者】
【氏名】清野 祝
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA10
3D022BB03
3D022BC09
(57)【要約】
【課題】本発明は、荷物が衝突しても変形し難い立壁を備えた車両用荷室構造を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明に係る車両用荷室構造は、車両後部の開口部2と、開口部2の底辺2aよりも上方に配置されて着脱可能なトランクボード20と、トランクボード20の後部から立ち下がる立壁31と、を備える車両用荷室構造であって、立壁31は、前面部分38と後面部分40とからなる二重構造であり、手指を挿入することができるポケット部33を有していることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部の開口部と、
前記開口部の底辺よりも上方に配置されて着脱可能なトランクボードと、
前記トランクボードの後部から立ち下がる立壁と、
を備える車両用荷室構造であって、
前記立壁は、前面部分と後面部分とからなる二重構造であり、手指を挿入することができるポケット部を有している
ことを特徴とする車両用荷室構造。
【請求項2】
前記立壁の下方に配置されるパネルライニングを備え、
前記パネルライニングには、上方に突出して前記前面部分の下部を係止可能な突起が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用荷室構造。
【請求項3】
前記立壁の下方に配置されるパネルライニングと、
前記立壁の下部を前記パネルライニングに保持させる保持部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用荷室構造。
【請求項4】
前記パネルライニングには、下方に突出してボディパネルに挿入する突出部が設けられている
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用荷室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用荷室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の車両用荷室構造は、車両後部に開口部が設けられて、車両後方から車両後部の荷室に荷物を搬入することができる。
また、下記特許文献によれば、荷室がトランクボードにより上部空間と下部空間とに区分けされている。
さらに、下記特許文献によれば、荷室の下部空間よりも下方にIMA(Integrated Motor Assist)システムの電装部品が格納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−179899号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷室の下部空間の拡大化、電装部品の大型化などの設計の都合により、トランクボードが開口部の底辺よりも上方に設置される場合がある。また、このような場合において、トランクボードと開口部の底辺との間を閉塞する立壁がトランクボードに設けられることがある。
【0005】
ここで、立壁は、開口部の底辺よりも上方に立ち上がり、開口部から搬入される荷物が衝突し易い。このため、荷物が衝突しても変形し難い立壁が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、前記する背景に鑑みて創案された発明であって、荷物が衝突しても変形し難い立壁を備えた車両用荷室構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明に係る車両用荷室構造は、車両後部の開口部と、前記開口部の底辺よりも上方に配置されて着脱可能なトランクボードと、前記トランクボードの後部から立ち下がる立壁と、を備える車両用荷室構造であって、前記立壁は、前面部分と後面部分とからなる二重構造であり、手指を挿入することができるポケット部を有していることを特徴とする。
【0008】
前記する発明によれば、前面部分と後面部分とを有する立壁は、前後方向に二重構造になっており、開口部から搬入された荷物が衝突する前後方向の荷重に対し、高い剛性を備える。このため、搬入された荷物が立壁に衝突したとしても、立壁は変形し難い。
また、二重構造化により質量が増加したとしても、立壁にポケット部が設けられているため、トランクボードを容易に持ち上げることができる。
【0009】
また、前記立壁の下方に配置されるパネルライニングを備え、前記パネルライニングには、上方に突出して前記前面部分の下部を係止可能な突起が形成されていることが好ましい。
【0010】
前記する構成によれば、荷物が立壁に衝突した場合、前面部材の下部がパネルライニングの突起に係止し、衝突による荷重がパネルライニングに伝達される。よって、立壁が前方に向かう荷重を受けた場合、立壁は、パネルライニングに支持されて変形し難い。
【0011】
また、前記立壁の下方に配置されるパネルライニングと、前記立壁の下部を前記パネルライニングに保持させる保持部と、を備えることが好ましい。
【0012】
前記する構成によれば、保持部により立壁の下部がパネルライニングに保持されるため、車両の走行中に立壁が振動してリヤパネルライニングに接触する、という事態が抑制される。
また、保持部を介して立壁に入力された荷重がパネルライニングに伝達される。よって、立壁は、パネルライニングに支持されて変形し難い。
【0013】
また、前記パネルライニングには、下方に突出してボディパネルに挿入する突出部が設けられていることが好ましい。
【0014】
前記する構成によれば、ボディパネルの突出部を介して、パネルライニングに作用した荷重がボディパネルに伝達される。このため、立壁は、パネルライニングよりも剛性の高いボディパネルに支持されてさらに変形し難い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、荷物が衝突しても変形し難い立壁を備えた車両用荷室構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る車両を後方であって左側上方から視た斜視図である。
図2】車両の後部下側の断面図である。
図3図2の破線IIIに囲まれる範囲を拡大した断面図であり、詳細には、図4のIII―III線矢視端面図である。
図4図3の矢印IV方向から視た後壁部の一部である。
図5図4のV―V線矢視端面図である。
図6】(a)は、リヤパネルライニングの平面図であり、(b)は、リヤパネルライニングの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態では、IMAシステムを搭載するハイブリット車(以下、単に「車両」を称する。)を例に挙げて説明する。
【0018】
図1に示すように、車両100は、リヤシート1の後方の空間であって荷物を収容する荷室Tと、車両100の後方と荷室Tとを連通する開口部2と、を備えている。
開口部2は、後方から視て略矩形状を呈しており、開口部2の底辺2aには、リヤパネルライニング10が配置されている。
【0019】
リヤパネルライニング10は、開口部2の底辺2aに沿って車幅方向に延びる樹脂板であり、開口部2の底辺2aを装飾する。
図2に示すように、リヤパネルライニング10の前端には、下方に延びて開口部2の車内側を被覆する延在部10aが形成されている。
【0020】
図2に示すように、車両100の車内後部には、リヤシート1の下部側から後方に延びる仕切り板4と、仕切り板4よりも上方に配置された樹脂製のトランクボード20と、トランクボード20の後部から下方に延びる後壁部30と、が設けられている。
【0021】
仕切り板4は、車両100の後部に搭載されたIMAシステムのバッテリ3を覆い、上側の荷室Tと下側の電装部品格納室Sとを仕切るためのものである。
なお、電装部品格納室Sは、車体後部を構成するボディパネル5と仕切り板4とにより囲まれている。
【0022】
トランクボード20は、仕切り板4から上方に延びてリヤシート1の背面に沿う前壁部21と、前壁部21の上端から後方へ延びて水平な水平部22と、を備える。
そして、荷室Tが水平部22により上部空間T1と下部空間T2とに区分けされ、下部空間T2にテンパータイヤ6が収容されている。
【0023】
前壁部21は、下部空間T2の前壁をなしている。水平部22は、下部空間T2の天壁と上部空間T1の底壁とをなし、開口部2の底辺2aよりも上方に配置されている。
また、水平部22の前部には、肉薄に形成されて折り曲げ容易なヒンジ23が形成されている。このため、水平部22の後部を上方に持ち上げるように操作すると、ヒンジ23が折れ曲がって水平部22の後部が跳ね上がり(図2の矢印A参照)、下部空間T2が解放される。
【0024】
後壁部30は、下部空間T2の後壁をなしている。また、後壁部30は、トランクボード20の後端部に連結し、トランクボード20の跳ね上げに伴い後壁部30も跳ね上がる。図3に示すように、後壁部30は、トランクボード20の後部から立ち下がる立壁31と、立壁31とトランクボード20とを連結する連結部32と、を備える。
【0025】
立壁31は、開口部2の底辺2aに対して上方へ立ち上がっている。
図4に示すように、立壁31は、左右方向に延び、トランクボード20と開口部2の底辺2aとの間を閉塞している。
図5に示すように、立壁31の後面には、手指を挿入可能なポケット部33が設けられている。また、立壁31の下部には、ピン部材34が設けられている。
【0026】
図3図5に示すように、後壁部30は、前面部材35及び後面部材36の2つの部材から構成されている。
前面部材35と後面部材36とは、樹脂製であり、側面視で略逆L字状を呈している。
前面部材35は、トランクボード20の下面に当接する下側当接部37と、下側当接部37の後端縁から下方に延びる前面部分38と、を備えている。
後面部材36は、トランクボード20の上面に当接する上側当接部39と、上側当接部39の後端縁から下方に延びる後面部分40と、を備えている。
ここで、下側当接部37と上側当接部39とは、連結部32を構成する部位であり、前面部分38と後面部分40とは、立壁31を構成する部位である。
【0027】
図4に示すように、下側当接部37と上側当接部39は、左右方向に延びて、上下方向からトランクボード20を挟み込んでいる。
また、抜け止めが形成されたクリップC1が下側当接部37とトランクボード20とを貫通するとともに上側当接部39に突き刺さっており、下側当接部37とトランクボード20と上側当接部39とが一体になっている。
【0028】
前面部分38と後面部分40とは、下側当接部37又は上側当接部39から下方に延びて略平板状を呈している。
図3図5に示すように、前面部分38と後面部分40とが前後方向で対向し、立壁31が二重構造になっている。このため、立壁31は、開口部2から搬入された荷物が衝突する前後方向の荷重に対し、高い剛性を備える。
【0029】
また、前面部分38と後面部分40とは、前後方向に離間しながら下側当接部37又は上側当接部39から下方に延びている(図3の矢印Lを参照)。そして、前面部分38と後面部分40との下端同士が当接している。このため、立壁31は、前面部分38と後面部分40とにより囲まれる閉断面を有し、前面部分38と後面部分40とが密着している場合よりも高い剛性を備える。
【0030】
後面部分40の上下方向の中央部には、前方に延出して前面部分38に当接し、後面部分40に入力された荷重を前面部分38に伝達する伝達部41が設けられている。このため、後面部分40の上下方向の中央部に荷物が衝突しても、後面部分40の上下方向の中央部は、前面部分38に支持されて変形し難い。
また、伝達部41には、前面部分38を貫通するクリップC2が突き刺さっており、後面部分40と前面部分38との連結が強固になっている。
【0031】
図5に示すように、後面部分40には、前後方向に貫通するポケット部用孔42が形成されている。
また、前面部分38のポケット部用孔42に対応する位置に、後方に向って開口する有底筒状のポケット部用筒部43が形成されている。
このため、立壁31の後面には、ポケット部用孔42とポケット部用筒部43とにより構成されたポケット部33が設けられている。
なお、図1に示すように、ポケット部33は、立壁31の左部と右部に形成されている。
【0032】
図5に示すように、前面部分38の下端には、側面視U字状に形成されて前面部分38を前後方向から挟み込む取付部材44により、ピン部材34が固定されている。
なお、ピン部材34は、前面部分38と取付部材44との間に挟持される基部45と、基部45から下方に突出して取付部材44を貫通するピン46と、を備えている。
また、立壁31の下方には、リヤパネルライニング10が配置されている。
【0033】
図6に示すように、リヤパネルライニング10の中央部には、孔11が形成されている。この孔11は、リヤパネルライニング10を開口部2の底辺2aに取り付ける際に、ボディパネル5に固定されたストライカー12を貫通させるための孔である。これにより、ボディパネル5に固定されたストライカー12がリヤパネルライニング10の上方に露出するようになる(図1参照)。
【0034】
図6(a)に示すように、リヤパネルライニング10の左部と右部とには、ピン孔13、13が形成されている。
図5に示すように、ピン孔13は、トランクボード20が跳ね上がっていない場合(下部空間T2が閉塞されている場合)において、立壁31に設けられたピン46が挿入される孔である。
また、ピン孔13には、上端に径方向外側に延出する鍔部が形成された筒体14が設けられ、この筒体14にピン46が嵌合するようになっている(図6において「筒体」は不図示)。
そして、ピン46が筒体14に嵌合することで、立壁31の下部がリヤパネルライニング10に保持されるようになり、車両100の走行中に立壁31が振動してリヤパネルライニング10に接触する、という事態が抑制される。
また、ピン46が筒体14に嵌合することで、立壁31に対して水平方向(前後方向及び左右方向)の荷重が入力された場合、ピン46と筒体14とを介して立壁31に入力された荷重がリヤパネルライニング10へ伝達される。
なお、本実施形態における「ピン46」と「筒体14」とは、特許請求の範囲に記載される「保持部」を構成する要素である。
【0035】
図6(a)に示すように、リヤパネルライニング10のピン孔13の左右両側には、リヤパネルライニング10の表面10bから上方に突出する突起15が設けられている。
図3に示すように、突起15は、前面部分38よりも前方に配置されているとともに、前面部分38の下端よりも上方に延びている。このため、荷物が立壁31に衝突した場合、前面部材35の下部がリヤパネルライニング10の突起15に後側から係止し、衝突による荷重がリヤパネルライニング10に伝達される。
【0036】
図6(b)に示すように、リヤパネルライニング10の背面10cには、リヤパネルライニング10の変形を抑制するために、樹脂製の補強部材16、16が固着されている。
補強部材16、16は、ピン孔13及び突起15が形成されて立壁31からの荷重が伝達されるリヤパネルライニング10の左部と右部に設けられている。
【0037】
補強部材16の下面には、下方に突出してボディパネル5に挿入される突出部17が設けられている。このため、補強部材16を介して、リヤパネルライニング10に作用した荷重がボディパネル5に伝達される。
【0038】
補強部材16の下面には、リブ18が形成されており、補強部材16の剛性が高められている。
また、図5に示すように、補強部材16のリブ18が近接しているボディパネル5の一部には、不織布19が貼着されている。このため、リブ18がボディパネル5に接触し難く、接触音の発生が抑制されている。
【0039】
以上、実施形態に係る車両100の車両用荷室構造によれば、前面部分38と後面部分40を有する立壁31は、前後方向に二重構造になっており、荷物が衝突する前後方向の荷重に対して高い剛性を備える。このため、立壁31に荷物が衝突したとしても、立壁31は変形し難い。
【0040】
また、実施形態によれば、立壁31に荷物が後方から衝突したとしても、立壁31がパネルライニング10の突起15に係止してリヤパネルライニング10に支持されるため、立壁31は変形し難い。
【0041】
また、実施形態によれば、ピン46と筒体14とにより立壁31の下部がリヤパネルライニング10に保持される。そして、立壁31に水平方向からの荷重が入力した場合、その荷重がリヤパネルライニング10に伝達する。このため、立壁31が水平方向からの荷重を受けたとしてもリヤパネルライニング10に支持されるため、立壁31は変形し難い。
【0042】
また、実施形態によれば、補強部材16の突出部17を介して、リヤパネルライニング10よりも剛性の高いボディパネル5に立壁31が支持されているため、立壁31はさらに変形し難い。
【0043】
また、実施形態によれば、立壁31を二重構造とすることで質量が増加したとしても、立壁31の後面に手指を挿入することができるポケット部33が設けられているため、トランクボード20を容易に持ち上げることができる。
【0044】
また、実施形態によれば、ピン部材34は、リヤパネルライニング10ではなく、立壁31の方に設けられている。このため、ピン部材34がリヤパネルライニング10に設けられてピン46が開口部2の底辺2aよりも上方に突出し、荷室Tの下部空間T2に搬入される荷物がピン46に引っ掛かる、という事態を回避できる。
【0045】
以上、実施形態に係る車両用荷室構造について説明したが、本発明はこれに限定されない。
たとえば、実施形態に係る立壁31と連結部32は、前面部材35と後面部材36とにより構成されて一体になっているが、本発明は、たとえば、立壁31と連結部32とが別体で形成され、クリップにより一体になってもよい。
または、実施形態の立壁31は、別体の前面部分38と後面部分40とから構成されているが、前面部分38と後面部分40とが一体成形されたものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0046】
2 開口部
2a 底辺
5 ボディパネル
10 リヤパネルライニング
14 筒体
15 突起
16 補強部材
17 突出部
20 トランクボード
30 後壁部
31 立壁
33 ポケット部
38 前面部分
40 後面部分
41 伝達部
46 ピン
T(T1、T2) 荷室
100 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6