特開2015-221643(P2015-221643A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000003
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000004
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000005
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000006
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000007
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000008
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000009
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000010
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000011
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000012
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000013
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000014
  • 特開2015221643-物体認識装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-221643(P2015-221643A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】物体認識装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/12 20060101AFI20151113BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20151113BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   B60T7/12 C
   G08G1/16 C
   B60R21/00 627
   B60R21/00 624B
   B60R21/00 624C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-107172(P2014-107172)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】栗山 廉士
(72)【発明者】
【氏名】浦井 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】笹渕 洋治
【テーマコード(参考)】
3D246
5H181
【Fターム(参考)】
3D246DA01
3D246EA18
3D246GB30
3D246HA13A
3D246HA15A
3D246HA64A
3D246HA81A
3D246HA86B
3D246HA94A
3D246HB11A
3D246HB25A
3D246HC01
3D246JB02
3D246JB05
3D246JB11
3D246JB12
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】検出された物体に対応する支援制御の抑制を適切に行なう。
【解決手段】物体認識装置10は、物体を検出するレーダ装置11および撮像装置12と、支援制御装置14とを備える。支援制御装置14は、車両が旋回状態であることが検出され、かつ物体に対する車両の相対速度が所定速度以上である場合に、支援制御を抑制する。支援制御装置14は、相対速度が所定速度以下である場合に制動回避限界距離が旋回回避限界距離未満になるようにして、所定速度を設定している。支援制御装置14は、車両のヨーレートが車両の直進状態に対応する値を有し、車両の舵角または操舵トルクが車両の直進状態に対応する値から変化した値を有する場合に、車両が旋回状態であると検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、物体を検出する検出装置と、
前記検出装置によって検出された物体に対する前記車両の相対速度を検出する相対速度検出手段と、
前記車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、
前記車両の旋回状態に応じて、前記検出装置によって検出された物体に対応する支援制御を行う支援制御装置と、
を備え、
前記支援制御装置は、前記旋回状態検出手段によって前記車両が旋回状態であることが検出され、かつ前記相対速度検出手段によって検出される前記相対速度が所定速度以上である場合に、前記支援制御を抑制する、
ことを特徴とする物体認識装置。
【請求項2】
前記支援制御装置は、
前記物体に対する前記車両の接触を前記車両の所定の旋回動作により回避するために必要な相対距離である旋回回避限界距離の情報を前記相対速度に応じて記憶しており、
前記物体に対する前記車両の接触を前記車両の所定の制動動作により回避するために必要な相対距離である制動回避限界距離の情報を前記相対速度に応じて記憶しており、
前記相対速度が前記所定速度未満である場合に前記制動回避限界距離が前記旋回回避限界距離未満になるようにして、前記所定速度を設定しており、
前記支援制御を制動支援とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項3】
前記旋回状態検出手段は、前記車両のヨーレートと、前記車両の舵角または操舵トルクと、を検出し、
前記車両のヨーレートが前記車両の直進状態に対応する値を有し、前記車両の舵角または操舵トルクが前記車両の直進状態に対応する値から変化した値を有する場合に、前記車両が旋回状態であると検出する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングの操舵角および横加速度などに応じて車両が進行方向に対して曲がる運転操作状態を検知し、運転者の旋回意志によって障害物との衝突が回避される場合に、警報および制動動作などの作動タイミングを遅らせる装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来、車線内の走行を維持するための修正操舵量が運転者の操舵特性の変化を示すことに基づき、道路曲率に対応する操舵角定常値の変化量に応じて道路曲率の変化状態を算出し、道路形状が曲線路であることを判定する装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−137126号公報
【特許文献2】特開平5−85221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る装置によれば、カーブの手前またはカーブ内において運転者の旋回意志を検知した場合に、警報および制動動作などの作動タイミングを遅らせる際に、車両の進行方向前方に設定する作動領域を車両に近い側に切り換えることが開示されている。しかしながら、単に、運転者の旋回意志を検知した場合に作動領域を車両に近い側に切り換えるだけでは、例えば操舵による衝突回避が困難になるタイミングなどに対して、警報および制動動作などの作動タイミングが最適にならない場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、検出された物体に対応する支援制御の抑制を適切に行なうことが可能な物体認識装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る物体認識装置は、車両に搭載され、物体を検出する検出装置(例えば、実施形態でのレーダ装置11、撮像装置12)と、前記検出装置によって検出された物体に対する前記車両の相対速度を検出する相対速度検出手段(例えば、実施形態での支援制御装置14)と、前記車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段(例えば、実施形態での車両状態センサ13、支援制御装置14)と、前記車両の旋回状態に応じて、前記検出装置によって検出された物体に対応する支援制御を行う支援制御装置(例えば、実施形態での支援制御装置14)と、を備え、前記支援制御装置は、前記旋回状態検出手段によって前記車両が旋回状態であることが検出され、かつ前記相対速度検出手段によって検出される前記相対速度が所定速度(例えば、実施形態での所定速度Va)以上である場合に、前記支援制御を抑制する。
【0007】
(2)上記(1)に記載の物体認識装置では、前記支援制御装置は、前記物体に対する前記車両の接触を前記車両の所定の旋回動作により回避するために必要な相対距離である旋回回避限界距離の情報を前記相対速度に応じて記憶しており、前記物体に対する前記車両の接触を前記車両の所定の制動動作により回避するために必要な相対距離である制動回避限界距離の情報を前記相対速度に応じて記憶しており、前記相対速度が前記所定速度以下である場合に前記制動回避限界距離が前記旋回回避限界距離未満になるようにして、前記所定速度を設定しており、前記支援制御を制動支援としてもよい。
【0008】
(3)上記(1)または(2)に記載の物体認識装置では、前記旋回状態検出手段は、前記車両のヨーレートと、前記車両の舵角または操舵トルクと、を検出し、前記車両のヨーレートが前記車両の直進状態に対応する値を有し、前記車両の舵角または操舵トルクが前記車両の直進状態に対応する値から変化した値を有する場合に、前記車両が旋回状態であると検出してもよい。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)に記載の態様に係る物体認識装置によれば、物体に対する車両の相対速度が所定速度以上であるか否かの各状況に応じて、支援制御および支援制御の抑制を適正に行なうことができる。支援制御装置は、物体に対する車両の相対速度が所定速度以上かつ運転者が旋回意志を有する場合であれば支援制御を抑制するので、過剰または不要な支援制御が運転者に煩わしさを与えることを防止することができる。支援制御装置は、物体に対する車両の相対速度が所定速度未満または運転者が旋回意志を有しない場合であれば接触回避に必要とされる適正な支援制御を行なうので、運転者に煩わしさを与えること無しに走行安全性を確保することができる。
【0010】
さらに、上記(2)の場合、支援制御装置は、制動回避限界距離が旋回回避限界距離未満になるか否かに対応して相対速度に対する所定速度を設定するので、相対速度が所定速度以上であるか否かの各状況に応じて、制動制御および制動制御の抑制を適正に行なうことができる。支援制御装置は、制動回避限界距離が旋回回避限界距離以上になる速度域かつ運転者が旋回意志を有する場合であれば制動制御を抑制するので、過剰または不要な制動制御が運転者に煩わしさを与えることを防止することができる。支援制御装置は、制動回避限界距離が旋回回避限界距離未満になる速度域または運転者が旋回意志を有しない場合であれば接触回避に必要とされる適正な制動制御を行なうので、運転者に煩わしさを与えること無しに走行安全性を確保することができる。
【0011】
さらに、上記(3)の場合、車両のヨーレートのように実際の車両挙動に旋回している状態が現れていない状況であっても、運転者が旋回意志を有することに起因する車両の旋回状態を認識することができる。これにより支援制御装置は、支援制御の実行および支援制御の抑制に運転者の運転意思を適切に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る物体認識装置の構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る物体認識装置のレーダ装置により第1所定距離以内で下方物が検出開始され、撮像装置により第1所定距離よりも遠くで先行車両が誤って検出開始される場合の一例を示す図。
図3】本発明の実施形態に係る物体認識装置のレーダ装置により第4所定距離以上で上方物が検出開始され、撮像装置により第3所定距離以下で歩行者が誤って検出開始される場合の一例を示す図。
図4】本発明の実施形態に係る物体認識装置のレーダ装置および撮像装置により走行路の前方におけるカーブの外に存在する物体が検出される場合の一例を示す図。
図5】本発明の実施形態に係る物体認識装置のレーダ装置および撮像装置によりカーブの走行路の外に存在する物体が検出される場合の一例を示す図。
図6】本発明の実施形態に係る物体認識装置のレーダ装置の検出範囲および撮像装置の撮像範囲がカーブの走行路を走行する車両の移動に伴って過渡的に変化する場合の一例を示す図。
図7】本発明の実施形態に係る物体認識装置のレーダ装置により検出される車両の前方車両が走行路から逸脱または逸脱し始める場合の一例を示す図。
図8】本発明の実施形態に係る物体認識装置の撮像装置の撮像範囲において距離に応じて検出精度および検出安定性が変化する領域の一例を示す図。
図9】本発明の実施形態に係る物体認識装置の動作を示すフローチャート。
図10】本発明の実施形態に係る物体認識装置の動作を示すフローチャート。
図11】本発明の実施形態に係る物体認識装置の第1〜第6フラグのフラグ値に応じた作動許可閾値および確証時間の一例を示す図。
図12】本発明の実施形態に係る物体認識装置の第1〜第6フラグに応じた作動許可閾値の相対速度に対する依存性の一例を示す図。
図13】本発明の実施形態に係る物体認識装置の第1〜第6フラグに応じた確証時間の相対速度に対する依存性の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る物体認識装置について添付図面を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態による物体認識装置10は、図1に示すように、レーダ装置11と、撮像装置12と、車両状態センサ13と、支援制御装置14とを備えている。物体認識装置10は、例えば、全体が車両1に搭載されてもよいし、一部が車両1に搭載されて一部以外が車両1の外部(例えば、路側機などの公共設備、他車両など)に設けられてもよい。例えば、車両1の外部の路側機などに設けられたレーダ装置11および撮像装置12と、車両1に搭載された車両状態センサ13と、車両1または車両1の外部の施設などに設けられた支援制御装置14とによって物体認識装置10が構成されてもよい。
以下に説明する実施形態では、物体認識装置10は車両1に搭載されている。
【0015】
レーダ装置11は、車両1の外界に設定された検出範囲11aを複数の角度領域に分割し、各角度領域を走査するようにして、電磁波の発信信号を発信する。レーダ装置11は、各発信信号が車両1の外部の物体(例えば、歩行者、他車両、および路面上または路面上方の各種の静止物など)によって反射されることで生じた反射波の反射信号を受信する。レーダ装置11は、発信信号および反射信号に応じた検知信号、例えば、レーダ装置11から物体までの距離、物体の位置(少なくとも方位角および高低角など)、および車両1に対する物体の相対速度などに係る検知信号を生成し、これらの検知信号を出力する。
【0016】
撮像装置12は、車両1の外界に設定された撮像範囲12aを撮像する。撮像装置12は、撮像によって得られた画像に適宜の画像処理を行なうことによって画像データを生成し、この画像データを出力する。
【0017】
レーダ装置11は、撮像装置12に比べて、物体を検出する縦方向の検出精度が高くなっている。撮像装置12は、レーダ装置11に比べて、物体を検出する横方向の検出精度が高くなっている。
【0018】
車両状態センサ13は、車両1の各種の車両情報を検知し、検知した車両情報の信号を出力する。車両状態センサ13は、例えば、車速センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、ヨーレートセンサ、操舵角センサ、および操舵トルクセンサなどを備えている。車速センサは、車両1の駆動輪の回転速度(車輪速)を検出し、この車輪速に基づいて車体の速度(車速)を検知する。加速度センサは、車体に作用する加速度を検知する。ジャイロセンサは、車体の姿勢や進行方向を検知する。ヨーレートセンサは、車体のヨーレート(車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)を検知する。操舵角センサは、ステアリングホイールの操舵角度(舵角)の方向および大きさを検知する。操舵トルクセンサは、ステアリングホイールに入力される操舵トルクの方向および大きさを検出する。車両状態センサ13は、人工衛星を利用して車両1の位置を測定するための測位システム(例えば、Global Positioning System:GPSまたはGlobal Navigation Satellite System:GNSSなど)の測位信号を受信する受信機を備えている。車両状態センサ13は、測位信号に基づいて車両1の現在位置を検出する。車両状態センサ13は、測位信号に加えて、車両1の車速およびヨーレートなどを用いた自律航法の演算処理を併用して、車両1の現在位置を検出してもよい。
【0019】
支援制御装置14は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)などの各種の記憶媒体と、タイマーとなどの電子回路により構成されている。支援制御装置14は、レーダ装置11から出力される検知信号と、撮像装置12から出力される画像データとを用いて、車両1の周辺に存在する物体を検知する。支援制御装置14は、撮像装置12から出力される画像データに所定の認識処理を行なうことによって、画像データ上の物体を認識する。支援制御装置14は、物体の属性を認識し、車両1の周辺の物体として、例えば、歩行者、他車両、構造物、および落下物などを識別する。支援制御装置14は、認識した物体の撮像装置12に対する相対的な位置、速度、および加速度などを算出する。
【0020】
支援制御装置14は、レーダ装置11および撮像装置12の少なくとも何れかで検出された物体に対応して、車両1の運転を支援する各種の支援制御を実行する。支援制御装置14は、例えば静止した物体については、レーダ装置11および撮像装置12の両方で検出された場合に、各種の支援制御の制御対象とする。支援制御装置14は、例えば移動する物体については、少なくともレーダ装置11で検出された場合に、各種の支援制御の制御対象とする。また、支援制御装置14は、例えば静止した物体であっても、近距離であれば、少なくともレーダ装置11で検出された場合に、各種の支援制御の制御対象としてもよい。
支援制御装置14は、各種の支援制御として、例えば、先行車両に追従する追従走行制御と、外部の物体に対する接触回避および接触時の衝撃軽減などを行なう接触回避制御となどを実行する。支援制御装置14は、各種の運転支援制御の実行において、例えば、報知装置による報知動作、ブレーキ装置による制動動作、および操舵装置による操舵動作などを制御する制御信号を出力する。
報知装置は、シートベルトによる締め付けおよびステアリングの振動などによって触覚的に報知するシートベルト装置および操舵装置などを備えている。報知装置は、表示および点灯などによって視覚的に報知する表示装置および灯体などを備えている。報知装置は、電子音および音声などによって聴覚的に報知するスピーカなどを備えている。
【0021】
支援制御装置14は、レーダ装置11により物体が検出開始されたときの物体までの距離および撮像装置12により物体が検出開始されたときの物体までの距離に応じて支援制御を抑制する。支援制御装置14は、例えば、支援の大きさの変更、または支援開始もしくは支援終了に係る物体までの距離およびタイミングに関する閾値の変更などによって、支援制御を抑制する。支援制御装置14は、例えば接触回避制御において、報知動作または制動動作の作動を許可する相対距離、または衝突余裕時間(Time To Collision:TTC=相対距離/相対速度)を、通常制御時よりも短くすることによって支援制御を抑制する。支援制御装置14は、例えば追従走行制御において、発進のタイミング、発進時の速度および加速度、並びに停止の保持時間などを変更することによる発進の抑制または停止の保持によって、支援制御を抑制する。
支援制御装置14は、支援制御を抑制するために、撮像装置12により検出される物体の信頼性を判断し、撮像装置12により検出される物体の信頼性を必要に応じて低下させる。支援制御装置14は、例えば、撮像装置12による物体の検出を確証するのに要する確証時間の変更、または撮像装置12により検出された物体の除外有無などによって、信頼性を低下させる。支援制御装置14は、例えば接触回避制御において、確証時間を通常制御時よりも長くする、または撮像装置12により検出された物体を制御対象から除外する。
【0022】
支援制御装置14は、レーダ装置11により第1所定距離L1以内で物体が検出開始され、撮像装置12により第1所定距離L1よりも遠くで物体が検出開始された場合に、後述する第4フラグF4のフラグ値に「1」を設定して、支援制御を抑制する。支援制御装置14は、図2に示すように、レーダ装置11により第1所定距離L1以内で下方物Q1が検出開始されることに先立ち、撮像装置12により第2所定距離L2(>L1)以上で先行車両Pが検出開始される場合、撮像装置12の検出信頼性が低いと判断する。
支援制御装置14は、例えば車両1の走行路上の落下物、輪止め、および道路鋲などの下方物Q1は、他車両などに比べて電磁波の反射強度が低いので、遠方に存在する状態ではレーダ装置11により検出され難いと判断する。支援制御装置14は、第2所定距離L2以上でレーダ装置11によって物体が検出されず、撮像装置12のみによって先行車両Pなどの物体が検出され、第1所定距離L1以内でレーダ装置11によって物体が検出されると、この物体は下方物Q1であると判断する。これにより支援制御装置14は、撮像装置12による遠距離の物体の検出信頼性を低下させ、撮像装置12による遠距離の物体の検出結果を誤りであるとみなすとともに、レーダ装置11によって検出された近距離の物体に対応した支援制御を抑制する。
【0023】
なお、例えば図2に示す場合において、支援制御装置14は、第1所定距離L1以内でレーダ装置11によって物体が検出開始された後に、より近距離でレーダ装置11によって物体が先行車両Pであると検出される場合、撮像装置12の検出結果を正しいと判断し直す。これにより支援制御装置14は、撮像装置12による遠距離の物体に対する検出信頼性の低下を解除するとともに、レーダ装置11によって検出された近距離の物体に対応した支援制御の抑制を解除する。
【0024】
支援制御装置14は、レーダ装置11により第4所定距離L4(>L3)以上で物体が検出開始された後に、撮像装置12により第3所定距離L3以下で物体が検出開始された場合に、物体の種別に応じて、後述する第5フラグF5のフラグ値に「1」を設定して、支援制御を抑制する。支援制御装置14は、図3に示すように、撮像装置12により第3所定距離L3以内で歩行者Rが検出開始されることに先立ち、レーダ装置11により第4所定距離L4(>L3)以上で上方物Q2が検出開始される場合、撮像装置12の検出信頼性が低いと判断する。
支援制御装置14は、例えば車両1の走行路上方のゲート、および案内板などの上方物Q2に比べて、歩行者は電磁波の反射強度が低いので、遠方に存在する状態ではレーダ装置11により検出され難いと判断する。支援制御装置14は、第4所定距離L4以上でレーダ装置11によって物体が検出されると、この物体は上方物Q2であると判断し、第3所定距離L3以内で撮像装置12によって歩行者Rなどの物体が検出されると、この検出結果を誤りであるとみなす。これにより支援制御装置14は、撮像装置12による近距離の物体の検出信頼性を低下させ、撮像装置12による近距離の物体の検出結果を誤りであるとみなすとともに、レーダ装置11によって検出された遠距離の物体に対応した支援制御を抑制する。
【0025】
支援制御装置14は、車両状態センサ13から出力される車両情報の信号に基づき、車両1を直進走行状態から非直進走行状態へと遷移させる運転者の意思を検知した場合に、後述する第2フラグF2のフラグ値に「1」を設定して、支援制御を抑制する。支援制御装置14は、実際に車両1にヨーレートが発生するより前のタイミングにおいて、カーブへの進入、旋回開始、または車線変更開始などの運転者による運転意思を、操舵角度または操舵トルクの変化に基づいて検知する。支援制御装置14は、例えば、車両1の直進走行状態での運転者の運転操作に応じた操舵角度および操舵トルクの変化(例えば、修正舵の履歴など)を予め記憶している。支援制御装置14は、予め記憶している操舵角度および操舵トルクの変化とは異なる変化(例えば、より大きな変化など)を検知した場合に非直進走行の運転意思ありと判断する。支援制御装置14は、車両1が直進走行状態から非直進走行状態へと遷移する可能性がある場合には、直進走行状態で検出される物体が非直進走行状態で制御対象にならない可能性があると判断して、支援制御を抑制する。
【0026】
図4に示すように、支援制御装置14は、車両1の走行路Sの進行方向前方に存在するカーブの入口位置CSよりも所定距離La以上手前の領域A1では、操舵角度および操舵トルクの変化が予め記憶している変化の範囲内であるので、直進走行の運転意思ありと判断する。支援制御装置14は、カーブの入口位置CSよりも所定距離La未満手前の領域A2では、操舵角度および操舵トルクの変化が予め記憶している変化の範囲を超えるので、非直進走行(つまりカーブへの進入)の運転意思ありと判断する。これにより支援制御装置14は、領域A2およびカーブ進入後の領域A3において、レーダ装置11および撮像装置12による物体の検出信頼性を低下させる。支援制御装置14は、レーダ装置11または撮像装置12により実際に検出される物体(例えば、カーブの外に存在する道路標示および路側構造物などの物体Q3)に対応した支援制御を抑制する。
【0027】
支援制御装置14は、車両状態センサ13から出力される車両情報の信号に基づき、車両1が非直進走行状態であることを検知した場合に、後述する第2フラグF2のフラグ値に「1」を設定して、支援制御を抑制する。支援制御装置14は、車両1のヨーレート、操舵角、および操舵トルクの少なくとも何れかが所定以上である場合に非直進走行状態であると判断する。支援制御装置14は、車両1が非直進走行状態である場合には、制御対象にならない物体を検出する可能性があるとともに、物体の検出が不安定になる可能性があると判断して、支援制御を抑制する。
【0028】
例えば、図5に示すように、支援制御装置14は、車両1が走行路Sのカーブを走行する場合には、制御対象とすべき物体(例えば、先行車両Pなど)を検出できずに、制御対象にならない物体(例えば、走行路S外の物体Q3)を検出する可能性があると判断する。これにより支援制御装置14は、走行路Sのカーブを走行する状態で、レーダ装置11および撮像装置12による物体の検出信頼性を低下させ、実際に検出される物体(例えば、カーブ外の道路標識および路側構造物などの物体Q3)に対応した支援制御を抑制する。
例えば、図6に示すように、支援制御装置14は、車両1が走行路Sのカーブを走行する場合には、レーダ装置11の検出範囲11aおよび撮像装置12の撮像範囲12aが車両1の移動に伴って過渡的に変化し、物体の検出が不安定になる可能性があると判断する。これにより支援制御装置14は、走行路Sのカーブを走行する状態で、レーダ装置11および撮像装置12による物体の検出信頼性を低下させ、実際に検出される物体に対応した支援制御を抑制する。
【0029】
支援制御装置14は、少なくとも車両1が停止状態またはほぼ停止状態であることを検知した場合に、後述する第3フラグF3のフラグ値に「1」を設定して、支援制御を抑制するために、撮像装置12により検出される物体の信頼性を判断する。支援制御装置14は、例えば、車両状態センサ13から出力される車両情報の信号に基づき、車両1が停止状態またはほぼ停止状態であるか否かを検知する。支援制御装置14は、例えば、車両1の車速が所定速度未満である場合、車両1の発進中もしくは停止直前、または発進後の所定時間以内などにおいて、車両1がほぼ停止状態であると判断する。支援制御装置14は、例えば、レーダ装置11から出力される検知信号から得られる物体の位置の変化などに基づき、撮像装置12により検出される物体が停止状態またはほぼ停止状態であるか否かを検知する。支援制御装置14は、例えば、車両1と撮像装置12により検出される物体との両方が停止状態またはほぼ停止状態であることを検知した場合に、撮像装置12から出力される時系列の画像データにおいて物体の認識精度が低下する可能性があると判断する。これにより支援制御装置14は、撮像装置12の検出信頼性を低下させる、または撮像装置12から出力される画像データを用いた物体の検出を停止させ、撮像装置12により検出される物体に対応した支援制御を抑制する。
なお、支援制御装置14は、車両1が停止状態またはほぼ停止状態であり、撮像装置12により検出される物体がレーダ装置11の検知信号に基づいて移動状態であることを検知した場合には、支援制御の抑制を解除または支援制御の抑制量を低下させてもよい。
【0030】
支援制御装置14は、車両1の進行方向前方の前方車両が、例えば追従対象を設定するためなどの所定の位置範囲から相対的に逸脱または逸脱し始めることを検知した場合に、後述する第1フラグF1のフラグ値に「1」を設定して、支援制御を抑制する。図7に示すように、支援制御装置14は、追従走行制御の実行時などにおいて、少なくともレーダ装置11から出力される検知信号に基づき、車両1が走行路Sにて先行車両Pに追従していることを検知する。さらに、支援制御装置14は、車両1が追従している先行車両Pが走行路Sの外に移動すること、または追従対象である先行車両Pに対して車両1が走行路Sの外に移動することなどを検知する。支援制御装置14は、例えば、車両1と先行車両Pとの相対速度がほぼゼロに近い状態で車両1と先行車両Pとの相対位置が横方向に移動することを検知した場合に、先行車両Pが相対的に逸脱または逸脱し始めると判断する。支援制御装置14は、先行車両Pが相対的に逸脱または逸脱し始めることを検知した場合に、撮像装置12から出力される画像データが過渡的に変化し、物体の検出が不安定になる可能性があると判断する。これにより支援制御装置14は先行車両Pの相対的な逸脱または逸脱し始めから所定時間に亘って、撮像装置12による物体の検出信頼性を低下させ、実際に検出される物体に対応した支援制御を抑制する。
【0031】
支援制御装置14は、撮像装置12により第3所定距離L3以内で物体が検出開始された場合に、後述する第6フラグF6のフラグ値に「1」を設定して、支援制御を抑制する。図8に示すように、支援制御装置14は、撮像装置12により第3所定距離L3よりも遠くの領域B3で物体が検出開始される場合には、所定の認識処理に対するノイズが少ないので、誤検知が発生する可能性が小さいと判断する。支援制御装置14は、撮像装置12から出力される画像データにおいて、領域B3の道路標示、わだち、および路上の凹み、およびタイヤ痕などの高さが小さい物体は、対応する縦ピクセル数が少ないので、歩行者または他車両などの物体に誤検知される可能性が小さいと判断する。
支援制御装置14は、撮像装置12により第5所定距離L5以内かつ第6所定距離L6(<L5)よりも遠くの領域B2で物体が検出開始される場合には、所定の認識処理に対するノイズが多いので、認識処理が不安定であり、誤検知が発生する可能性が大きいと判断する。
支援制御装置14は、撮像装置12により第6所定距離L6以内かつ所定距離L0(<L6)よりも遠くの領域B1で物体が検出開始される場合には、画像データにおいて物体に対応するピクセル数が多いので、誤検知の可能性が小さいと判断する。
支援制御装置14は、撮像装置12により所定距離L0以内で物体が検出開始される場合には、物体が撮像範囲12aからはみ出るので、検知精度が低下すると判断する。
【0032】
本実施の形態による物体認識装置10は上記構成を備えており、次に、この物体認識装置10の動作について説明する。
【0033】
以下に、支援制御装置14が実行する接触回避制御、つまり外部の物体に対する接触回避および接触時の衝撃軽減などを行なう制御について説明する。
先ず、支援制御装置14は、図9に示すように、レーダ装置11から出力される検知信号を用いて、車両1の周辺に存在する物体の位置、速度、および加速度などを検出する(ステップS01)。
次に、支援制御装置14は、撮像装置12から出力される画像データに所定の認識処理を行なうことによって、車両1の周辺に存在する歩行者および他車両などの物体を検出し、歩行者および物体の位置、速度、および加速度などを検出する(ステップS02)。
次に、支援制御装置14は、レーダ装置11により検出された物体と、撮像装置12により検出された物体とのマッチング行ない、制御対象の物体を選別する(ステップS03)。
【0034】
次に、支援制御装置14は、車両1の進行方向前方の前方車両が所定の位置範囲から相対的に逸脱または逸脱し始めることを検知したか否かを判定する(ステップS04)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS05に進める(ステップS04のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS06に進める(ステップS04のNO側)。
そして、支援制御装置14は、第1フラグF1のフラグ値に「1」を設定する(ステップS05)。
【0035】
次に、支援制御装置14は、車両1が直進走行状態から非直進走行状態へと遷移する直前(例えば、カーブ進入直前など)または非直進走行状態(例えば、カーブ走行中など)であることを検知したか否かを判定する(ステップS06)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS07に進める(ステップS06のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS08に進める(ステップS06のNO側)。
そして、支援制御装置14は、第2フラグF2のフラグ値に「1」を設定する(ステップS07)。
【0036】
次に、支援制御装置14は、車両1が停止状態またはほぼ停止状態(例えば、発進中もしくは停止直前、または発進後の所定時間以内など)であることを検知したか否かを判定する(ステップS08)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS09に進める(ステップS08のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS10に進める(ステップS08のNO側)。
そして、支援制御装置14は、第3フラグF3のフラグ値に「1」を設定する(ステップS09)。
【0037】
次に、支援制御装置14は、撮像装置12により歩行者が検出されたか否かを判定する(ステップS10)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS13に進める(ステップS10のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS11に進める(ステップS10のNO側)。
【0038】
次に、支援制御装置14は、レーダ装置11により第1所定距離L1以内で物体が検出開始されたか否かを判定する(ステップS11)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS12に進める(ステップS11のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS15に進める(ステップS11のNO側)。
そして、支援制御装置14は、第4フラグF4のフラグ値に「1」を設定する(ステップS12)。
【0039】
次に、支援制御装置14は、レーダ装置11により第4所定距離L4(>L3)以上で物体が検出開始されたか否かを判定する(ステップS13)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS14に進める(ステップS13のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS15に進める(ステップS13のNO側)。
そして、支援制御装置14は、第5フラグF5のフラグ値に「1」を設定する(ステップS14)。
【0040】
次に、支援制御装置14は、撮像装置12により第5所定距離L5以内で物体が検出開始されたか否かを判定する(ステップS15)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS16に進める(ステップS15のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS17に進める(ステップS15のNO側)。
そして、支援制御装置14は、第6フラグF6のフラグ値に「1」を設定する(ステップS16)。
【0041】
次に、支援制御装置14は、図10に示すように、第1フラグF1のフラグ値に「1」が設定されているか否かを判定する(ステップS17)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS18に進める(ステップS17のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS19に進める(ステップS17のNO側)。
そして、支援制御装置14は、接触回避および接触時の衝撃軽減としてのブレーキ装置による制動動作の作動を不許可とする(ステップS18)。そして、一連の処理を終了させる。
【0042】
また、支援制御装置14は、第1〜第6フラグF1〜F6のフラグ値に応じて、支援制御の抑制有無に関する各種のパラメータを設定する(ステップS19)。支援制御装置14は、図11に示すように、第1〜第6フラグF1〜F6のフラグ値に応じて、制動動作の作動を許可する相対距離または衝突余裕時間に対する作動許可閾値と、レーダ装置11および撮像装置12による物体の検出に対する確証時間とを設定する。支援制御装置14は、第1〜第6フラグF1〜F6のフラグ値が「0」である場合には、作動許可閾値TH0および確証時間T0を設定する。支援制御装置14は、第2〜第6フラグF2〜F6の各フラグ値が「1」である場合には、作動許可閾値TH2〜TH6および確証時間T2〜T6を設定する。支援制御装置14は、図12および図13に示すように、例えば第1フラグF1のフラグ値が「1」である場合の所定の作動許可閾値TH1および確証時間T1を採用するとともに、第2〜第6フラグF2〜F6では同様にそれぞれ相対速度に依存する作動許可閾値TH2〜TH6および確証時間T2〜T6を設定する。
【0043】
支援制御装置14は、例えば図12および図13において、第1〜第6フラグF1〜F6のフラグ値が「0」である場合を通常の支援制御を行なう状態とし、作動許可閾値TH0および確証時間T0を基準とする。
支援制御装置14は、第2および第4〜第6フラグF2、F4〜F6のフラグ値が「1」である場合に、通常時よりも撮像装置12による物体の検出信頼性を低下させ、作動許可閾値TH2、TH4〜TH6を、作動許可閾値TH0よりも小さくする。支援制御装置14は、第3フラグF3のフラグ値が「1」である場合に、作動許可閾値TH3を、作動許可閾値TH2、TH4〜TH6よりも小さくする。支援制御装置14は、第1フラグF1のフラグ値が「1」である場合に、作動許可閾値TH1を最も小さくする。
支援制御装置14は、第3〜第6フラグF3〜F6のフラグ値が「1」である場合に、通常時よりも撮像装置12による物体の検出信頼性を低下させ、確証時間T3〜T6を、確証時間T0よりも長くする。支援制御装置14は、第2フラグF2のフラグ値が「1」である場合に、確証時間T2を、確証時間T3〜T6よりも長くする。支援制御装置14は、第1フラグF1のフラグ値が「1」である場合に、確証時間T1を最も長くする。
【0044】
支援制御装置14は、例えば図12に示すように、レーダ装置11または撮像装置12により検出される物体に対する車両1の相対速度が所定速度Va以上である場合に、作動許可閾値TH2を作動許可閾値TH0よりも小さくする。つまり、支援制御装置14は、車両1を直進走行状態から非直進走行状態へと遷移させる運転者の意思を検知し、かつ相対速度が所定速度Va以上である場合に、相対距離または衝突余裕時間に対する作動許可閾値を小さくすることによって、支援制御を抑制する。
支援制御装置14は、物体に対する車両1の接触を車両1の所定の旋回動作により回避するために必要な相対距離である旋回回避限界距離の情報を相対速度に応じて記憶している。支援制御装置14は、物体に対する車両1の接触を車両1の所定の制動動作により回避するために必要な相対距離である制動回避限界距離の情報を相対速度に応じて記憶している。支援制御装置14は、相対速度が所定速度未満である場合に制動回避限界距離が旋回回避限界距離未満になるようにして、所定速度を設定している。これにより支援制御装置14は、支援制御として制動支援を行なう際に、制動回避限界距離が旋回回避限界距離以上になる速度域かつ運転者が非直進走行状態への遷移意志を有する場合であれば制動制御を抑制する。支援制御装置14は、支援制御として制動支援を行なう際に、制動回避限界距離が旋回回避限界距離未満になる速度域または運転者が非直進走行状態への遷移意志を有しない場合であれば接触回避に必要とされる適正な制動制御を行なう。
【0045】
なお、支援制御装置14は、支援制御を抑制する際に相対距離または衝突余裕時間に対する作動許可閾値を小さくするとしたが、このように作動タイミングを遅らせることに限定されない。支援制御装置14は、例えば、作動タイミングは不変のまま、支援制御の出力を低下させることによって支援制御を抑制してもよい。例えば制動支援であれば、制動支援の作動タイミングを遅らせる代わりに、制動出力を低下させてもよいし、制動支援の作動タイミングを遅らせつつ制動出力を低下させてもよい。
また、支援制御装置14は、例えば図13に示すように、相対速度が所定速度Va以上である場合に、確証時間T2を確証時間T0よりも大きくする。つまり、支援制御装置14は、車両1を直進走行状態から非直進走行状態へと遷移させる運転者の意思を検知し、かつ相対速度が所定速度Va以上である場合に、レーダ装置11および撮像装置12による物体の検出に対する確証時間を大きくすることによって、支援制御を抑制する。
なお、支援制御装置14は、物体が静止物であれば、物体に対する車両1の相対速度を車両1の速度とする。つまり、支援制御装置14は、物体が静止物であれば、物体の速度と車両1の速度とから相対速度の算出をせずに、車両1の速度のみを用いて相対速度を設定してもよい。
【0046】
支援制御装置14は、第1〜第6フラグF1〜F6のフラグ値に応じて、複数の作動許可閾値および確証時間が設定される場合には、複数の作動許可閾値および確証時間のうちから支援制御を最も抑制する作動許可閾値および確証時間を選択する。
【0047】
次に、支援制御装置14は、図10に示すように、レーダ装置11および撮像装置12による物体の検出が連続する時間(同時検出連続時間)が、上述したステップS19で設定した確証時間未満であるか否かを判定する(ステップS20)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS18に進める(ステップS20のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS21に進める(ステップS20のNO側)。
次に、支援制御装置14は、レーダ装置11および撮像装置12により検出された物体の車両1に対する相対距離(または衝突余裕時間)が、上述したステップS19で設定した作動許可閾値未満であるか否かを判定する(ステップS21)。
この判定結果が「YES」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS23に進める(ステップS21のYES側)。
一方、この判定結果が「NO」の場合、支援制御装置14は、処理をステップS22に進める(ステップS21のNO側)。
【0048】
そして、支援制御装置14は、接触回避および接触時の衝撃軽減としてのブレーキ装置による制動動作を非作動とする(ステップS22)。そして、一連の処理を終了させる。
また、支援制御装置14は、接触回避および接触時の衝撃軽減としてのブレーキ装置による制動動作を作動させる(ステップS23)。そして、一連の処理を終了させる。
【0049】
上述したように、本実施形態による物体認識装置10によれば、物体に対する車両1の相対速度が所定速度Va以上であるか否かの各状況に応じて、支援制御および支援制御の抑制を適正に行なうことができる。支援制御装置14は、物体に対する車両1の相対速度が所定速度Va以上かつ運転者が非直進走行状態への遷移意志を有する場合であれば支援制御を抑制するので、過剰または不要な支援制御が運転者に煩わしさを与えることを防止することができる。支援制御装置14は、物体に対する車両1の相対速度が所定速度Va未満または運転者が非直進走行状態への遷移意志を有しない場合であれば接触回避に必要とされる適正な支援制御を行なうので、運転者に煩わしさを与えること無しに走行安全性を確保することができる。
さらに、支援制御装置14は、制動回避限界距離が旋回回避限界距離未満になるか否かに対応して相対速度に対する所定速度Vaを設定するので、相対速度が所定速度Va以上であるか否かの各状況に応じて、制動制御および制動制御の抑制を適正に行なうことができる。支援制御装置14は、制動回避限界距離が旋回回避限界距離以上になる速度域かつ運転者が非直進走行状態への遷移意志を有する場合であれば制動制御を抑制するので、過剰または不要な制動制御が運転者に煩わしさを与えることを防止することができる。支援制御装置14は、制動回避限界距離が旋回回避限界距離未満になる速度域または運転者が非直進走行状態への遷移意志を有しない場合であれば接触回避に必要とされる適正な制動制御を行なうので、運転者に煩わしさを与えること無しに走行安全性を確保することができる。
【0050】
さらに、車両1のヨーレートのように実際の車両挙動に旋回している状態が現れていない状況であっても、運転者が非直進走行状態への遷移意志を有することに起因する車両1の旋回状態を、操舵角度または操舵トルクの変化から認識することができる。これにより支援制御装置14は、支援制御の実行および支援制御の抑制に運転者の運転意思を適切に反映させることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態において物体認識装置10は、車両1に搭載されるとしたが、これに限定されない。レーダ装置11および撮像装置12の少なくとも何れかは、車両1以外の他の移動体、例えば歩行者が携帯する携帯端末などに搭載されてもよい。
【0052】
なお、上述した実施形態において支援制御装置14は、第1〜第6フラグF1〜F6のフラグ値に応じて、作動許可閾値TH2〜TH6および確証時間T2〜T6を設定するとしたが、これに限定されない。例えば、支援制御装置14は、さらに物体の種別(例えば、歩行者、先行車両、横移動する他車両など)に応じて細分化して作動許可閾値および確証時間を詳細に設定してもよい。
また、上述した実施形態において支援制御装置14は、第1〜第6フラグF1〜F6の全てに対して判定を行なうとしたが、これに限定されず、第1〜第6フラグF1〜F6の少なくとも何れか1つに対して判定を行ってもよい。
【0053】
なお、上述した実施形態において支援制御装置14は、第1所定距離L1を第3所定距離L3と同一としてもよいし、異ならせてもよい。また、上述した実施形態において支援制御装置14は、第2所定距離L2を第4所定距離L4と同一としてもよいし、異ならせてもよい。
【0054】
上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述の実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
10…物体認識装置、11…レーダ装置(検出装置)、12…撮像装置(検出装置)、13…車両状態センサ(旋回状態検出手段)、14…支援制御装置(相対速度検出手段、旋回状態検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13