【解決手段】巻取装置1は、支持体3に回転可能に保持されるドラム4と、支持体3に揺動可能に保持される揺動部材48と、ケーブル2の案内部材50と、揺動部材48を付勢する引っ張りコイルバネ7とを備える。揺動部材48は、胴31の周方向に沿って配置され、胴31に対して略垂直となる初期位置に戻るよう付勢されている。ドラム4の回転により、揺動部材48が付勢力に対抗して初期位置から一方のフランジ32側へ移動されつつ、ケーブル2が胴31に一方のフランジ32まで整列巻きされる。その後、引っ張りコイルバネ7によって揺動部材48が初期位置の方向へ移動されつつ、ケーブル2が先に巻き取られたケーブル2上に整列巻きされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示されたリール装置では、ケーブルをリールの軸方向へ移動させる部材と、ハウジング内へのケーブルの入口との間の間隔が狭くなる。従って、ケーブルの移動中において、整列機構は、ケーブルから軸方向へ大きな負荷を受けることになり、正常に作動しない可能性がある。特に、ケーブルのように直径が太いものを巻き取る場合には、その可能性が高くなる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、コンパクトでありながら、整列巻きを確実に行うことができる巻取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、紐状の被巻取部材を巻取可能な巻取装置であって、胴の軸方向両端部にフランジを有し、前記胴の軸線まわりに回転可能に支持体に保持されるドラムと、このドラムを回転させる駆動源と、円弧状に形成されて前記胴の周方向に沿って配置され、前記胴の軸線と直交する軸線まわりに揺動可能に前記支持体に設けられる揺動部材と、この揺動部材に設けられ、前記被巻取部材を案内する案内部材と、前記揺動部材を初期位置方向へ付勢する付勢手段とを備え、前記揺動部材は、初期位置から前記付勢手段の付勢力に対抗して揺動可能とされ、前記初期位置の方向へ前記付勢手段によって付勢されており、前記駆動源によって前記ドラムを回転させることで、前記揺動部材が前記付勢手段に対抗して前記初期位置から一方の前記フランジ側へ移動されつつ、前記被巻取部材が前記案内部材を介して前記胴に一方の前記フランジに向かって整列して巻き取られ、前記付勢手段による付勢力が前記被巻取部材の整列巻きを持続させる力よりも大きくなった時に、前記揺動部材が前記初期位置の方向へ移動されつつ、前記被巻取部材が前記案内部材を介して先に巻き取られた前記被巻取部材上に整列して巻取可能とされることを特徴とする巻取装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記付勢手段は、引っ張りコイルバネまたはねじりコイルバネとされ、一端部が前記支持体に保持されると共に、他端部が前記揺動部材に保持されることを特徴とする請求項1に記載の巻取装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記支持体には、上下方向へ開口する筒状の保持部材の下端部が接続されており、前記被巻取部材は、前記保持部材内を通って、前記案内部材を介して前記胴に巻取可能とされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻取装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記支持体には、上下方向へ開口する筒状の保持部材の下端部が接続され、前記保持部材の上端部には、前記保持部材に沿う軸線まわりに回転可能に前記被巻取部材のガイド回転機構が設けられ、前記被巻取部材は、前記ガイド回転機構を介して前記保持部材内を通り、前記案内部材を介して前記胴に巻取可能とされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の巻取装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記支持体は、前記ドラム、前記揺動部材、前記案内部材および前記付勢手段が収容可能な水洗いできるケース状とされ、その内外を連通させる開口を有しており、前記保持部材の下端部が前記開口に接続され、前記支持体の内外が前記保持部材を介して連通され、前記支持体内へコンプレッサから圧縮空気が噴出され、前記支持体内および前記保持部材内が加圧可能とされることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の巻取装置である。
【0012】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記被巻取部材の張力を検出するセンサと、このセンサの検出信号に基づき、前記駆動源を制御する制御手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記センサにより検出された値が設定値以上の場合には、前記ドラムから前記被巻取部材が繰り出される方向へ前記ドラムを回転させて、前記被巻取部材を所望量繰り出させる一方、前記センサにより検出された値が前記設定値以下の場合には、前記ドラムへ前記被巻取部材が巻き取られる方向へ前記ドラムを回転させて、前記被巻取部材を巻き取ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻取装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、揺動部材は、円弧状に形成され、胴の周方向に沿って配置される。被巻取部材の案内部材は、揺動部材に設けられる。このような揺動部材は、胴の軸線と直交する軸線まわりに揺動可能に支持体に設けられ、付勢手段により初期位置に戻るよう付勢される。従って、ドラムを回転させることで、揺動部材が付勢力に対抗して初期位置から一方のフランジ側へ移動されつつ、被巻取部材が胴に一方のフランジに向かって整列巻きできる。そして、付勢手段による付勢力が被巻取部材の整列巻きを持続させる力よりも大きくなった場合に、揺動部材が初期位置の方向へ移動されつつ、被巻取部材が先に整列巻きされた被巻取部材の上に整列巻きできる。このような構成であるため、ドラムの近傍において、揺動部材を胴の周方向に沿って配置することができ、装置全体を容易にコンパクト化できる。また、被巻取部材の整列巻きを確実に行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、簡易な構成の引っ張りコイルバネまたはねじりコイルバネによって、揺動部材に付勢力を与えることができ、被巻取部材の整列巻きを確実に行うことができる。また、装置全体を簡易な構成とすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、被巻取部材は、上下方向へ沿って配置される保持部材内通る構成とされる。従って、巻取装置が移動可能とされた場合、巻取装置をその場で旋回させても、巻取装置に被巻取部材が絡みつくことを防止でき、スムーズに移動させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、被巻取部材は、ガイド回転機構を介して保持部材内を通る構成とされる。従って、巻取装置が移動可能とされた場合、巻取装置をその場で旋回させても、巻取装置に被巻取部材が絡みつくことをより確実に防止でき、よりスムーズに移動させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、ドラム、揺動部材、案内部材および付勢手段を水洗いできるケース状の支持体内に収容可能な構成とされる。従って、塵などが充満する場所で使用した場合、使用後に支持体ごと水洗いするだけで清掃することができ、メンテナンスを容易に行うことができる。また、コンプレッサからの圧縮空気によって、支持体内を加圧できる構成とされる。従って、被巻取部材を巻き取る際、保持部材やガイド回転機構を介して空気を外部へ噴出させつつ、被巻取部材を巻き取ることができる。つまり、被巻取部材を空気により清掃しつつ巻き取ることができる。
【0018】
さらに、請求項6に記載の発明によれば、被巻取部材の張力が設定値以上の場合には、被巻取部材が繰り出される方向へドラムを回転させることができる一方、被巻取部材の張力が設定値以下の場合には、被巻取部材が巻き取られる方向へドラムを回転させることができる。従って、被巻取部材の張力を一定に保つことができる。なお、設定値とは、上限値と下限値との間の範囲であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1から
図4は、本発明の巻取装置の一実施例を示す図であり、
図1は概略斜視図、
図2は主要部の概略斜視図、
図3は正面視概略縦断面図、
図4は側面視概略縦断面図である。本実施例の巻取装置1は、紐状のものを巻き取ることができる装置であって、ここでは、紐状の被巻取部材2としてケーブルが用いられる。本実施例の巻取装置1は、支持体3に回転可能に設けられるドラム4と、ドラム4を回転させる駆動源5と、支持体3に揺動可能に設けられる揺動部材48と、ケーブル2を案内する案内部材50と、揺動部材48を付勢する付勢手段7と、ケーブル2の張力を検出するセンサ8と、駆動源5を制御する制御手段9とを備える。
【0022】
本実施例の支持体3は、軸線が前後方向へ沿うよう配置される筒状の本体部10と、本体部10の前端部に設けられる前板11と、本体部10の後端部に設けられる後板12とを備える。本体部10は、前後方向へ開口する円筒状とされ、合成樹脂により形成される。本実施例では、本体部10は、内部が視認できるように全体が透明とされるが、これに限定されるものではない。本体部10には、後述する揺動部材48の保持具13が設けられる。
【0023】
保持具13は、金属製とされ、本体部10の上端部に設けられる第一材14と、本体部10の下端部に設けられる第二材15とを有している。第一材14は、略短円柱状に形成され、その中央部には上下方向へ沿って貫通穴16が形成される。第一材14は、その貫通穴16の軸線が上下方向へ沿うようにして、本体部10の上端部内面にネジ17で固定される。第二材15は、軸状に形成され、その軸線が上下方向へ沿うようにして、本体部10の下端部内面にネジ18で固定される。第一材14と第二材15とは、第一材14の貫通穴16の軸線と第二材15の軸線とが同一軸線上となるように、それぞれ本体部10に固定される。
【0024】
前板11および後板12は、金属製の円板状とされ、本体部10よりも直径が大きく形成される。前板11は、本体部10の前方開口部19を閉塞するようにして、本体部10の前面に当接される一方、後板12は、本体部10の後方開口部20を閉塞するようにして、本体部10の後面に当接される。この状態において、前板11の縁部と後板12の縁部とを貫通して、ネジ棒21が設けられる。このネジ棒21は、全ネジのスタッドボルトから形成される。そして、ネジ棒21の両端部にナット22を締め付けることで、本体部10、前板11および後板12が互いに固定される。図示例では、本体部10と前後両板11,12とは、上部の二箇所、および下部の二箇所で固定される。このようにして、本実施例の支持体3は、内部に中空部23を有する円柱状のケースとされる。なお、前後両板11,12と本体部10との当接部から内部へ液体が入り込まないように、支持体3の周囲には防水テープが巻かれる。
【0025】
支持体3の前板11には、コンプレッサ24が固定される。コンプレッサ24と支持体3内部とは、空気路25を介して連通される。コンプレッサ24を運転させることで、圧縮空気が空気路25を介して支持体3内へ噴出され、支持体3内を加圧することができる。
【0026】
支持体3の下端部には、金属製の一対の脚部26,26が設けられ、その各脚部26は、略L字状の板材とされる。一方の脚部26は、一片27が前板11に当接して固定され、他片28が前方へ延出される。他方の脚部26は、一片29が後板12に当接して固定され、他片30が後方へ延出される。なお、脚部26の支持体3への固定は、前述したネジ棒21およびナット22により固定される。すなわち、前板11および後板12に脚部26の一片27,29が当接した状態で、前後両板11,12および脚部26の一片27,29を貫通するようにネジ棒21を設け、そのネジ棒21にナット22を締め付ければよい。
【0027】
ケース状の支持体3内には、ドラム4、揺動部材48、案内部材50および付勢手段7などが収容される。ドラム4は、金属製とされ、胴31の軸方向両端部にフランジ32を有している。胴31は、前後方向へ開口する円筒状とされ、軸線が前後方向へ沿うようにして配置される。各フランジ32は、円板状とされ、胴31よりも直径が大きく形成される。前側のフランジ32は、胴31の前部開口33を塞ぐようにして胴31の前面にネジ34で固定される一方、後側のフランジ32は、胴31の後部開口35を塞ぐようにして胴31の後面にネジ36で固定される。この際、胴31と各フランジ32とは、同一軸線上に配置される。
【0028】
ドラム4を回転させる駆動源5として、本実施例では略円柱状のモータが用いられる。
図4に示されるように、モータ5は、前板11の中央部を貫通した状態で、前板11に金属製のカバー37を介して固定される。具体的には、モータ5の前板11からの前方への突出部にカバー37が被せられ、このカバー37とモータ5とがビス38で固定されると共に、カバー37が前板11にネジ39で固定される。モータ5の前板11からの後方への突出部は、ドラム4の前側のフランジ32の中央部を貫通して胴31内に挿通される。この際、軸受を介して、モータ5とドラム4とが接続される。モータ5の後端部には、モータ軸40が形成されており、このモータ軸40は、胴31内に一体形成された円板部41に固定される。
【0029】
支持体3の後板12の中央部には、その内面に円筒状の外筒部42が設けられる。外筒部42は、支持体3の後板12にネジ43で固定され、ドラム4と同一軸線上に配置される。胴31の後面には、円筒状の内筒部44が設けられる。この内筒部44の外径は、外筒部42の内径よりも小さく形成される。内筒部44は、後側のフランジ32を介して、胴31の後面にネジ止めされ、ドラム4と同一軸線上に配置される。この際、内筒部44は、外筒部42内に挿通され、軸受を介して外筒部42と接続される。このようにして、ドラム4は、支持体3に回転可能に保持されており、モータ5を駆動させることで、胴31の軸線まわりに回転させることができる。
【0030】
ところで、支持体3の後板12には、ロータリージョイント45が設けられる。ロータリージョイント45は、厚肉の円筒状に形成され、後板12に貫通した状態でネジ止めされる。この際、ロータリージョイント45の前端部は、後側のフランジ32を介して、胴31内に開口される。ロータリージョイント45の後板12からの後方への突出部には、ツバ部46を有する円筒状の金属製のカバー47が被せられる。このカバー47は、ツバ部46が後板12に重ね合わされた状態で、それらを貫通してネジ43が外筒部42にねじこまれることで、後板12に固定される。これにより、外筒部42は、前述したように、後板12にネジ43で固定される。
【0031】
揺動部材48は、一対の部材とされる。各揺動部材48は、金属製とされ、略円弧状の板材とされる。具体的には、左方へ開口する正面視略逆C字形状とされ、円周の長さが半円よりも若干長く形成される。一対の揺動部材48,48は、前後方向へ離隔して配置され、それらの間に、揺動部材48の支持体3への取付具49、およびケーブル2の案内部材50が保持される。
【0032】
取付具49は、揺動部材48の上端部に設けられる第一部材51と、揺動部材48の下端部に設けられる第二部材52とを有している。第一部材51は、軸状に形成され、軸線が上下方向へ沿うようにして配置される。第一部材51は、前側の揺動部材48にネジ53で固定されると共に、後側の揺動部材48にネジ53で固定される。第一部材51の中央部には、ケーブル2を通すための貫通穴54が上下方向へ沿って形成される。第二部材52は、略ブロック状に形成され、その中央部には上下方向へ沿って貫通穴55が形成される。第二部材52は、その貫通穴55の軸線が上下方向へ沿うようにして、前側の揺動部材48の下端部にネジ56で固定されると共に、後側の揺動部材48の下端部にネジ56で固定される。
【0033】
第一部材51と第二部材52とは、第一部材51の軸線と第二部材52の貫通穴55の軸線とが同一軸線上となるように、それぞれ揺動部材48に固定される。具体的には、
図3に示されるように、第二部材52は、揺動部材48の下端部であり、略円弧状の揺動部材48の一端部に配置され、第一部材51は、第二部材52から180°の位置に配置される。これにより、第一部材51は、揺動部材48の他端部から右方へ若干ずらして配置される。揺動部材48の他端部には、揺動部材48,48間を架け渡すようにして、全ネジのスタッドボルトから形成されるネジ棒57が設けられる。ネジ棒57の揺動部材48からの前後両突出部には、ナット58が締め付けられ、これにより、ネジ棒57が揺動部材48の他端部に固定される。
【0034】
図示例では、案内部材50は、プーリとされ、揺動部材48の上部において、互いに離隔して三箇所に設けられる。その内、下から一番目のプーリ50aと下から二番目のプーリ50bとは、揺動部材48,48間を架け渡すようにして設けられる軸部59a,59bに、回転自在に保持される。残りのプーリ50cは、揺動部材48に対して上下動可能かつ回転可能に設けられる。具体的には、このプーリ50cは、揺動部材48に上下動自在に保持される可動体60に、回転可能に設けられる。つまり、プーリ50cは、可動体60に前後方向へ沿って設けられる軸部59cに、回転自在に保持される。なお、
図3に示されるように、プーリ50cの下側に配置される部材は、ケーブル2が緩んだ際に、ケーブル2がプーリ50cから外れないようにするための突起である。
【0035】
可動体60には、板バネ61の一端部が固定される。この板バネ61の他端部は、揺動部材48,48間にネジ62で固定された支持部63に固定される。このように、可動体60、ひいては可動体60に保持されたプーリ50cは、板バネ61により常時下方へ付勢されており、この付勢力に対抗して上方へ移動可能とされる。
【0036】
このような構成の揺動部材48は、支持体3に揺動可能に設けられる。具体的には、第二部材52の貫通穴55に軸状の第二材15が挿通された状態で、第二材15に軸受を介して第二部材52が保持されると共に、第一材14の貫通穴16に軸状の第一部材51が挿通された状態で、第一材14に軸受を介して第一部材51が保持される。この際、揺動部材48が胴31の周方向に沿って配置される。また、揺動部材48は、その軸線が胴31の軸線と直交しており、平面視において軸線まわりに略円弧状に揺動可能とされる。
【0037】
図1および
図3に示されるように、支持体3の上端部において、本体部10の周側壁には、支持体3の内外を連通させる開口64が形成される。また、支持体3の上端部には、後述する保持部材65の支持具66が設けられる。支持具66は、金属製とされ、略短円柱状に形成される。支持具66の中央部には、上下方向へ沿ってネジ穴67が形成される。支持具66は、ネジ穴67が開口64と対応するようにして、支持体3の上端部にネジ17で固定される。なお、このネジ17は、前述した第一材14を固定するネジ17と共通している。すなわち、支持具66と第一材14とが本体部10を挟むようにして配置された状態で、支持具66および本体部10を介して、第一材14にネジ17がねじ込まれることで、支持具66および第一材14が支持体3に固定される。この際、第一材14の貫通穴16と支持体3の開口64は互いに対応しており、第一材14に設けられる第一部材51の貫通穴54と支持体3の開口64とは互いに対応している。
【0038】
保持部材65は、金属製とされ、上下方向へ開口する細長い円筒状に形成される。保持部材65の上端部には、それよりも下側の残りの部分よりも外径の小さい小径部68が形成される。小径部68には、ケーブル2のガイド回転機構69が設けられる。本実施例では、ガイド回転機構69は、筒状の取付部材70と、取付部材70に回転可能に設けられる筒状のシャフト部材71と、シャフト部材71に設けられる回転部材72とを有している。
【0039】
取付部材70は、円筒状に形成され、その内穴73が小径部68の外径に対応している。取付部材70は、その内穴73に小径部68が差し込まれ、保持部材65にビス74で固定される。シャフト部材71は、円筒状とされ、その外径が取付部材70の内穴73よりも小さく形成される。シャフト部材71は、その下部が取付部材70の内穴73に差し込まれた状態で、軸受を介して取付部材70に回転自在に保持される。回転部材72は、二割りの部材75,75から形成され、一方の部材75と他方の部材75とで形成される中空部76を有する。回転部材72の中空部76には、部材75,75間を架け渡すようにして設けられる軸部77に、回転自在にプーリ78が保持される。回転部材72の中空部76は、プーリ78と対応するようにして左方へ開口されると共に、下方へ開口される。回転部材72は、その下方への開口部79にシャフト部材71の上部が差し込まれた状態で、シャフト部材71にビス80で固定される。
【0040】
前述したように、ガイド回転機構69は、シャフト部材71が取付部材70に回転自在に保持される。すなわち、シャフト部材71の軸線まわりに回転自在とされる。従って、ガイド回転機構69は、保持部材65に沿う軸線まわりに回転可能とされる。また、ガイド回転機構69は、回転部材72の中空部76、シャフト部材71の内穴81および取付部材70の内穴73が互いに連通されており、その内部に一続きの通路82が形成される。この通路82と保持部材65の内穴83とは、互いに連通される。
【0041】
一方、保持部材65の下端部の外周面には、ネジ山84が形成される。従って、保持部材65は、その下端部が支持具66のネジ穴67にねじ込まれることで、支持体3に固定される。なお、保持部材65の下端部には、ロックナット85が進退可能に設けられる。これにより、保持部材65が支持具66にねじ込まれた状態において、ロックナット85を支持具66側へ締め付けることで、保持部材65の支持具66への固定をより確実なものとすることができる。この際、保持部材65の内穴83と支持体3内部とは、支持体3の開口64を介して、互いに連通されている。前述したように、ガイド回転機構69の通路82と保持部材65の内穴83とは互いに連通されており、それらを介して、支持体3の内外が連通される。このようにして、保持部材65は、支持体3の開口64から上方へ突出するようにして、支持体3に立設して接続される。
【0042】
図3に示されるように、ケーブル2は、ガイド回転機構69の回転部材72の左方への開口部86から、通路82、保持部材65の内穴83を順に通り、支持体3の開口64を介して支持体3内に挿入され、第一材14の貫通穴16および第一部材51の貫通穴54を通り、各プーリ50c,50b,50aに掛けまわされて、ドラム4に巻きつけられる。そして、ケーブル2は、ドラム4の胴31に形成された貫通穴31aを介して、胴31内に挿入され、ロータリージョイント45およびカバー47に形成された貫通穴47aを介して、外部へ延出される。これにより、ケーブル2が巻取装置1の無限回転によって断線するのを防止できる。なお、外部へ延出されたケーブル2の端部は、ケーブル2を用いる機器などに接続される。この際、ドラム4には、ケーブル2が下側から掛けまわされて、ケーブル2が巻きつけられる。これにより、
図3において、ドラム4を時計方向へ回転させることで、ケーブル2をドラム4に巻き取ることができる。逆に、ドラム4を反時計方向へ回転させることで、ドラム4からケーブル2を繰り出すことができる。また、可動体60のプーリ50cには、ケーブル2が下側から掛けまわされて、ケーブル2により可動体60を上方へ移動できるようにされている。
【0043】
揺動部材48には、ケーブル2の張力を検出するセンサ8が設けられる。本実施例では、センサ8は、板バネ61の近傍において、下方へ開口するコ字状材87を介して揺動部材48に固定される。
図3に示されるように、可動体60のプーリ50cには、ケーブル2が下側から掛けまわされているため、ケーブル2が巻き取られている最中、前述したプーリ50c付きの可動体60は、板バネ61の付勢力に対抗して上方へ移動できる。これにより、板バネ61は伸縮(歪む)ことになる。本実施例のセンサ8は、板バネ61の歪みを測定して、その歪みからケーブル2の張力を検出するものである。
【0044】
制御手段9は、それが把握する経過時間の他、センサ8からの検出信号などに基づき、モータ5を制御するものである。なお、制御手段9は、前述したコンプレッサ24と接続してもよい。この場合、コンプレッサ24のオンオフ制御を行うことができる。また、モータ5の回転速度を制御できるようにしてもよい。
【0045】
付勢手段7は、揺動可能な揺動部材48を初期位置に戻す方向へ付勢するものであって、本実施例では、引っ張りコイルバネとされる。引っ張りコイルバネ7の一端部は、支持体3に保持される。支持体3の前端部には、前後両板11,12間を架け渡すようにして、全ネジのスタッドボルトから形成されるネジ棒88が設けられる。ネジ棒88の前後各板11,12からの前後両突出部には、ナット89が締め付けられ、これにより、ネジ棒88が支持体3の前端部に固定される。このようにして固定されるネジ棒88に、引っ張りコイルバネ7の一端部が引っ掛けられ、その引っ掛け部を挟むようにしてナット90が締め付けられることで、引っ張りコイルバネ7の一端部がネジ棒88を介して支持体3に固定される。なお、付勢手段は、引っ張りコイルバネ7に限定されるものではなく、たとえば、ねじりコイルバネでもよい。
【0046】
一方、引っ張りコイルバネ7の他端部は、揺動部材48に保持される。具体的には、揺動部材48に固定されるネジ棒57に、引っ張りコイルバネ7の他端部が引っ掛けられ、その引っ掛け部を挟むようにしてナット91が締め付けられることで、引っ張りコイルバネ7の他端部がネジ棒57を介して揺動部材48に固定される。従って、引っ張りコイルバネ7は、揺動部材48を初期位置に戻る方向へ付勢することができる。
【0047】
次に、本実施例の巻取装置1の動作について説明する。
図5から
図7は、本実施例の巻取装置の動作を時系列に示す概略左側面図であり、一部を断面にして示している。具体的には、
図5は揺動部材が初期位置にある状態を示す図、
図6は揺動部材が一方のフランジ側へ移動している状態を示す図、
図7は揺動部材が初期位置へ戻る状態を示す図である。ここでは、ドラム4からケーブル2が全て繰り出された状態から、ケーブル2を巻き取る場合について説明する。
【0048】
本実施例の巻取装置1は、
図5に示されるように、ケーブル2が胴31に下側から掛けまわされる。巻取装置1は、ケーブル2の巻取開始前の状態では、揺動部材48が胴31の周方向に沿って配置されている。すなわち、揺動部材48は、胴31に対して略垂直に配置されている。これが揺動部材48の初期位置とされ、この初期位置から、前述したように
図3における時計方向へドラム4を回転させることで、ケーブル2をドラム4に巻き取ることができる。
【0049】
ドラム4を回転させることで、たとえば、
図6に示されるように、揺動部材48が、引っ張りコイルバネ7の付勢力に対抗して、後方に配置されるフランジ32側へ移動されつつ、ケーブル2が、後方に配置されるフランジ32側へ、ドラム4に整列して巻取可能とされる。そして、引っ張りコイルバネ7による付勢力がケーブル2の整列巻きを持続させる力よりも大きくなった時に、揺動部材48が初期位置の方向へ移動される。たとえば、ケーブル2が後方に配置されたフランジ32まで巻き取られると、フランジ32に最も近いケーブル2の上にケーブル2が巻き取られる。そして、
図7に示されるように、先とは逆に、揺動部材48が引っ張りコイルバネ7の付勢力によって初期位置の方向へ移動されつつ、ケーブル2が前方に配置されるフランジ32側へドラム4に整列して巻取可能とされる。この際、ケーブル2は、先に巻き取られたケーブル2の上に巻き取られていくことになる。
【0050】
揺動部材48が初期位置に戻ってきた後は、揺動部材48が、引っ張りコイルバネ7の付勢力に対抗して、前方に配置されるフランジ32側へ移動されつつ、ケーブル2が、前方に配置されるフランジ32側へ、ドラム4に整列して巻取可能とされる。そして、ケーブル2が前側のフランジ32まで巻き取られた後、揺動部材48が引っ張りコイルバネ7の付勢力によって初期位置の方向へ移動されつつ、ケーブル2が後方に配置されるフランジ32側へドラム4に整列して巻取可能とされる。このようにして、ドラム4に何重にもケーブル2を整列巻きすることができる。
【0051】
本実施例の巻取装置1は、前述したように、ケーブル2の張力を検出するセンサ8および制御手段9を備えている。従って、ケーブル2を巻取り中に、センサ8に基づくケーブル2の張力が、予め設定されていた設定値以上となると、一旦モータ5を停止して、ドラム4の回転を停止させる。そして、先とは逆方向にモータ5を回転させ、ドラム4も先とは逆方向(
図3における反時計方向)に回転させる。すなわち、ドラム4からケーブル2を繰り出す方向へ、ドラム4を回転させ、ケーブルが所望量繰り出される。ここで、ケーブルは、予め制御手段9に設定されていた経過時間だけドラム4を回転させたり、予め制御手段9に設定されていたドラム4の回転数だけドラム4を回転させたりするなどして、ケーブルが所望量繰り出される。一方、センサ8に基づくケーブル2の張力が、予め設定されていた設定値以下の場合には、ドラム4へケーブル2を巻き取る方向へ、ドラム4を回転させることができる。すなわち、ケーブル2が緩んでいる場合に、ケーブル2を巻き取ることができる。
【0052】
また、本実施例の巻取装置1は、コンプレッサ24からの圧縮空気によって、支持体3内や保持部材65内を加圧することができる。従って、ケーブル2を巻き取る際に、ガイド回転機構69の回転部材72の左方への開口部86から外部へ空気を噴出させつつ、ケーブル2をドラム4に巻き取ることができる。
【0053】
本実施例の巻取装置1によれば、ドラム4の胴31の周方向に沿って揺動部材48が配置され、その揺動部材48が引っ張りコイルバネ7によって初期位置へ戻るよう付勢されている。従って、ケーブル2をドラム4の胴31に確実に整列して巻き取ることができる。また、ドラム4と揺動部材48とを互いに近接して配置することができ、装置全体としてコンパクト化することができる。また、本実施例の場合、付勢手段が引っ張りコイルバネ7とされているため、装置の構成をより簡易なものとすることができる。
【0054】
また、本実施例の巻取装置1によれば、上下方向へ細長い保持部材65とガイド回転機構69とが設けられていることで、たとえば、支持体3の脚部26にキャスターが取り付けられて移動可能とされた場合、その場で旋回させてもケーブル2が巻取装置1に絡みつくことを防止でき、スムーズに移動させることができる。また、本実施例の場合、金属や合成樹脂からなるケース状の支持体3内に、ドラム4、揺動部材48、案内部材50および引っ張りコイルバネ7などが水密状態で収容されていることで、支持体3に水をかけて洗うことができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0055】
また、本実施例の巻取装置1によれば、ガイド回転機構69の回転部材72の左方への開口部86から空気を噴出させつつ、ケーブル2を巻き取ることができる。従って、巻き取るケーブル2を空気により清掃しながら、支持体3内のドラム4に巻き取ることができる。これにより、さらにメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0056】
さらに、本実施例の巻取装置1によれば、センサ8に基づくケーブル2の張力によって、ドラム4の回転方向を変更することができる。従って、ケーブル2の張力を一定に保つことができる。また、ケーブル2を巻き取る際に、ケーブル2のガイド回転機構69よりも外側部分が何かに引っ掛かった場合、一旦ケーブル2を繰り出すことができる。これにより、ケーブルを無理に巻き取ることを防止でき、装置の故障を防止することができる。
【0057】
本発明の巻取装置は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、付勢手段として引っ張りコイルバネ7やねじりコイルバネが用いられたが、これらに限定されるものではなく、揺動部材48に付勢力を与えることができるものであればよい。この場合、付勢手段7は、適宜の位置に取り付けられる。また、前記実施例では、センサ8は、揺動部材48に設けられたが、これに限定されるものではなく、適宜に変更可能とされる。この場合、ケーブル2の張力により伸縮する板バネ61の取付位置も、センサ8に合わせて適宜に変更可能とされる。また、保持部材65にガイド回転機構69を設けなくてもよい。この場合、保持部材65の上部開口からケーブル2が挿入される。この際、保持部材の上端部は、ケーブル2が滑りやすい素材であることが好ましい。また、ガイド回転機構69は、前記実施例の構成に限らず、適宜に変更可能である。
【0058】
さらに、前記実施例では、支持体3の脚部26にキャスターを取り付けて移動可能としたが、遠隔操作できる移動ロボットのケーブル巻取装置1としてもよい。この場合、移動ロボットを操作中に、ケーブル2が移動ロボットに絡みつくことを防止でき、ケーブル2が移動ロボットの障害となることを防止できる。また、移動ロボットを操作中に、ケーブル2が瓦礫などの障害物に引っ掛かった場合において、ケーブル2を繰り出すことができる。