【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のいくつかの態様がここで開示される。これらの態様は、互いに重複するかもしれないし、あるいは重複しないかもしれないことを理解されたい。すなわち、1つの態様の一部は別の態様の範囲内となるかもしれないし、
逆もまた同様である。
【0009】
各態様は多くの実施形態によって示され、これがさらに、1以上の具体的な実施形態を含むことがある。これらの実施形態は、互いに重複するかもしれないし、あるいは重複しないかもしれないことを理解されたい。すなわち、1つの実施形態の一部またはその具体的な実施形態は、別の実施形態またはその具体的な実施形態の範囲内となるかもしれないし、範囲内とならないかもしれないし、
逆もまた同様である。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、シートを分割するプロセスが提供され、このプロセスは、
(I)細長いレーザビームを提供するステップであって、この細長いレーザビームが、シートの表面に遮られる位置で幅W(LB)および長さL(LB)を有し、さらにこの細長いレーザビームの、幅に沿ったエネルギー分布がSモード、かつ長さに沿ったエネルギー分布がフラットトップモードのプロファイルである、該ステップ、
(II)シートの罫書き線に沿ってこのシートの表面の一部をレーザビームに露出し、この露出された領域の温度を上昇させるステップであって、露出領域全体の、幅がW(EA)、長さがL(EA)であって、W(EA)≒W(LB)(特定の実施形態においては、W(EA)/W(LB)≦1.4;特定の他の実施形態ではW(EA)/W(LB)≦1.3、特定の他の実施形態ではW(EA)/W(LB)≦1.2、特定の他の実施形態ではW(EA)/W(LB)≦1.1、特定の他の実施形態ではW(EA)/W(LB)≦1.05)であり、さらにこの罫書き線が、露出領域内にありかつL(LB)に本質的に平行である、該ステップ、および、
(III)シートを、罫書き線に沿って実質的に直線的に分割するステップ、
を含む。
【0011】
本発明の第1の態様によるプロセスの第1の実施形態において、ステップ(I)で提供されるレーザビームは、約10.6μmの波長で動作するCO
2レーザなどの、IRレーザビームである。LCDガラス基板用のアルミノケイ酸塩ガラス材料など、多くの無機ガラス材料はCO
2レーザを吸収することができる。
【0012】
本発明の第1の態様によるプロセスの第2の実施形態において、ステップ(II)は、
(II−1)レーザビームを、シートの表面上の露出領域内の罫書き線に沿って、L(LB)に本質的に平行な方向に移動させるステップ、
を含む。
【0013】
上に概略を記述した本発明の第1の態様によるプロセスの第2の実施形態における、特定の具体的な実施形態において、ステップ(II−1)でのレーザビームの移動速度は、少なくとも300mm/秒である。特定の他の実施形態において、ステップ(II−1)でのレーザビームの移動速度は、少なくとも750mm/秒である。
【0014】
本発明の第1の態様によるプロセスの第3の実施形態において、ステップ(I)において提供されたレーザビームのアスペクト比は少なくとも30であり、特定の他の実施形態では少なくとも40、特定の他の実施形態では少なくとも50、特定の他の実施形態では少なくとも80、特定の他の実施形態では少なくとも100、特定の実施形態では少なくとも200、特定の実施形態では最大で400、特定の他の実施形態では最大で300である。
【0015】
本発明の第1の態様によるプロセスの第4の実施形態において、ステップ(I)において提供されたレーザビームの幅は、0.5mmから3mmまでの範囲内である。
【0016】
本発明の第1の態様によるプロセスの第5の実施形態において、シートは本質的に、無機ガラス材料、ガラスセラミック材料、またはセラミック材料から成るものである。第5の実施形態における特定の具体的な実施形態において、シートは本質的に無機ガラス材料から成るものである。第5の実施形態における特定の具体的な実施形態において、分割されたガラスシートの罫書き線沿いのエッジの、全体のうねりは、50μm以下である。
【0017】
本発明の第1の態様によるプロセスの第7の実施形態において、L(EA)≧2000mm、特定の具体的な実施形態ではL(EA)≧2400mm、特定の具体的な実施形態ではL(EA)≧2800mm、特定の他の具体的な実施形態ではL(EA)≧3000mmである。
【0018】
本発明の第1の態様によるプロセスの第8の実施形態において、このプロセスは、ステップ(II)とステップ(III)の間に、
(IIa)少なくとも露出領域の一部を、露出直後に、流体により冷却するステップ、
をさらに含む。
【0019】
上に概略を記述した本発明の第1の態様によるプロセスの第8の実施形態における、特定の具体的な実施形態において、ステップ(IIa)は、露出領域全体の一部がレーザビームに露出されている間に実行される。
【0020】
本発明の第1の態様によるプロセスの第9の実施形態において、このプロセスは、ステップ(II)とステップ(III)の間に、
(IIb)ガラスシートを罫書き線に沿って曲げるステップ、
をさらに含む。
【0021】
本発明の第1の態様によるプロセスの第10の実施形態において、ステップ(I)は、
(I−1)円形レーザビームを提供するステップであって、この円形レーザビームが直径D(CLB)を有し、かつこのビームの任意の直径に沿ったエネルギー分布がSモードである、該ステップ、および、
(I−2)円形レーザビームを光学アセンブリに通過させることによって、円形レーザビームから細長いレーザビームへと変形させるステップであって、この光学アセンブリが、W(LB)に沿ったSモードのエネルギー強度分布を維持しながらL(LB)に沿ったエネルギー強度分布をSモードからフラットトップモードのプロファイルに変換させるよう適合されたものである、該ステップ、
を含む。
【0022】
本発明の第1の態様によるプロセスの第10の実施形態における特定の具体的な実施形態において、ステップ(I−2)での光学アセンブリは、W(LB)<D(CLB)となるように選択され、特定の実施形態ではW(LB)≦0.8D(CLB)、特定の実施形態ではW(LB)≦0.6D(CLB)、特定の実施形態ではW(LB)≦0.5D(CLB)、特定の実施形態ではW(LB)≦0.4D(CLB)、特定の実施形態ではW(LB)≦0.3D(CLB)、特定の実施形態ではW(LB)≦0.2D(CLB)、特定の他の実施形態ではW(LB)≦0.1D(CLB)、特定の他の実施形態ではW(LB)≦0.05D(CLB)、特定の他の実施形態ではW(LB)≦0.03D(CLB)となるように選択される。
【0023】
本発明の第1の態様によるプロセスの第10の実施形態における特定の具体的な実施形態において、ステップ(I−2)での光学アセンブリは、円形レーザビームの寸法をW(LB)方向において減少させるよう動作する第1レンズ(集中性のシリンドリカルレンズなど)、および、(a)ビームの寸法をL(LB)方向において増加させかつ(b)L(LB)方向におけるエネルギー分布のプロファイルをSモードからフラットトップモードに変換させるよう動作する第2レンズ(発散性の変形シリンドリカルレンズなど)、を含む。
【0024】
本発明の第1の態様によるプロセスの第10の実施形態における特定の具体的な実施形態において、ステップ(I−2)での光学アセンブリは単一のレンズを含み、このレンズは、(i)円形レーザビームの寸法をW(LB)方向において減少させ、かつ(ii)円形レーザビームの寸法をL(LB)方向において増加させるとともにこのビームのL(LB)方向におけるエネルギー分布をSモードからフラットトップモードに変換させるよう動作する。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、ガラスシートをこのガラスシート表面内の本質的に直線状の罫書き線に沿って分割するための装置が提供され、この装置は、
(A)円形レーザビームを生成するよう適合されたレーザ発生器であって、この円形レーザビームが直径D(CLB)を有するものであり、かつこのビームの任意の直径に沿ったエネルギー分布がSモードである、レーザ発生器、および、
(B)円形レーザビームを細長いレーザビームへと変形させるよう適合された光学アセンブリであって、この細長いレーザビームが、ガラスシートの表面に遮られる位置で幅W(LB)および長さL(LB)を有するものであり、さらにこの細長いレーザビームの、W(LB)方向に沿ったエネルギー分布がSモードであり、かつL(LB)方向に沿ったエネルギー分布がフラットトップモードである、光学アセンブリ、
を含む。
【0026】
本発明の第2の態様による装置の第1の実施形態において、この装置は、
(C)シート表面の細長いレーザビームに露出される領域に、冷却流体流を送出するよう適合されたノズル、
をさらに含む。
【0027】
本発明の第2の態様による装置の第2の実施形態において、この装置は、
(D)ガラスシートを罫書き線に沿って屈曲させ、かつ分割する機器、
をさらに含む。
【0028】
本発明の第2の態様による装置の第3の実施形態において、光学アセンブリ(B)は、円形レーザビームの寸法をW(LB)方向において減少させるよう適合された第1レンズ、および、(a)ビームの寸法をL(LB)方向において増加させかつ(b)L(LB)方向におけるエネルギー分布のプロファイルをSモードからフラットトップモードに変換させるよう適合された第2レンズ、を含む。
【0029】
本発明の第2の態様による装置の第3の実施形態における特定の具体的な実施形態において、第1レンズは集中性のシリンドリカルレンズであり、かつ第2レンズは発散性の変形シリンドリカルレンズである。
【0030】
本発明の第2の態様による装置の第4の実施形態において、光学アセンブリ(B)は単一のレンズを含み、このレンズは、(i)円形レーザビームの寸法をW(LB)方向において減少させ、かつ(ii)このレーザビームの寸法をL(LB)方向において増加させるとともにこのレーザビームのL(LB)方向におけるエネルギー分布をSモードからフラットトップモードに変換させるよう適合されたものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の1以上の態様の1以上の実施形態は、以下のような利点を有している。
第1に、レーザビームの幅W(LB)に沿ったそのエネルギー分布のプロファイルにより、非常に精密な罫書きを達成することができる。
第2に、切断幅が少なくとも2000mmであるような大型のガラスシートであっても、または2800mm超などの2400mm以上のもの、あるいは3000mmを超えるものでさえも、精密なレベルを実現することができる。
第3に、本発明を使用すると、例えばフュージョンダウンドローガラス製造プロセスの延伸領域の下部などで、罫書き方向に垂直な方向へとガラスが地面に対して相対的に動いている間に、少なくとも750mm/秒での高速切断を達成することができる。
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の詳細な説明の中で明らかにされ、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは書かれた説明およびその請求項の他、添付の図面の中で説明されたように本発明を実施することにより認識されるであろう。
【0033】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単に本発明の例示であり、請求される本発明の本質および特徴を理解するための概要または構想を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0034】
添付の図面は本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本書に組み込まれその一部を構成する。
【0035】
添付の図面は以下の通りである。