特開2015-221985(P2015-221985A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-221985(P2015-221985A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】異物除去装置及び異物回収装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20151113BHJP
【FI】
   E02B5/08 101A
   E02B5/08 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-106763(P2014-106763)
(22)【出願日】2014年5月23日
(11)【特許番号】特許第5586806号(P5586806)
(45)【特許公報発行日】2014年9月10日
(71)【出願人】
【識別番号】304037876
【氏名又は名称】村井 清俊
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】村井 清俊
(57)【要約】
【課題】異物除去の負担を抑え、スクリーンに目詰りが生じにくく、且つ自然環境保護にも貢献できる異物除去装置及び異物回収装置を提供する。
【解決手段】本発明の異物除去装置1は、水平方向にのびる複数のプレート11を上下方向に第1間隔L1で支持した状態で流路の一方の壁面に固定される第1スクリーン10と、前記複数のプレートを上下方向に前記第1間隔よりも狭い第2間隔L2で支持すると共に、前記第1スクリーンよりも下流側であって前記第1スクリーンと同じ壁面に固定される第2スクリーン20を備える。そして、前記プレートは前記壁面から流路の中央に向かって下流側に傾斜している。各スクリーンを流路の横幅全体に設けないことで、従来のように異物を積極的に回収するのではなく、流路の一方の壁面から遠ざけることにした。したがって、異物除去装置の下流側に設けた取水口付近の異物の量を減らすことができ、異物除去の負担を抑えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に第1間隔で支持した状態で流路の一方の壁面に固定される第1スクリーンと、
前記複数のプレートを上下方向に前記第1間隔よりも狭い第2間隔で支持すると共に、前記第1スクリーンよりも下流側であって前記第1スクリーンと同じ壁面に固定される第2スクリーンを備えており、
前記プレートが前記壁面から流路の中央に向かって下流側に傾斜していることを特徴とする異物除去装置。
【請求項2】
水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に第1間隔で支持した状態で流路の一方の壁面に固定される第1スクリーンと、
水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に前記第1間隔で支持した状態で前記流路の他方の壁面であって前記第1スクリーンよりも下流側に固定される第1対向スクリーンを備えており、
前記第1スクリーンのプレートが前記一方の壁面から流路の中央に向かって下流側に傾斜しており、
前記第1対向スクリーンのプレートが前記他方の壁面から流路の中央に向かって上流側に傾斜しており、
前記第1対向スクリーンの基部の上流側に異物回収口を備えることを特徴とする異物回収装置。
【請求項3】
水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に前記第1間隔よりも狭い第2間隔で支持した状態で流路の一方の壁面であって、前記第1対向スクリーンよりも下流側に固定される第2スクリーンと、
水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に前記第2間隔で支持した状態で前記流路の他方の壁面であって前記第2スクリーンよりも下流側に固定される第2対向スクリーンを備えており、
前記第2スクリーンのプレートが前記一方の壁面から流路の中央に向かって下流側に傾斜しており、
前記第2対向スクリーンのプレートが前記他方の壁面から流路の中央に向かって上流側に傾斜しており、
前記第2対向スクリーンの基部の上流側に異物回収口を備えることを特徴とする請求項2に記載の異物回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川や海等の取水口付近に設けることで、異物を除去して水を取り込むことを可能にする異物除去装置及び異物回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、河川や海等から水を取り込むための取水口は、その開口部をスクリーンで覆うことでゴミや流木等の塵芥、浮遊油、氷雪等の異物の侵入を防いでいる。しかし、時間の経過と共にスクリーンの周囲に異物が堆積していき、取水量が低下するため、定期的に異物を除去しなければならない。
また、取水口の上流側に、流路の横幅全体に亘ってスクリーンを設けて流路内の異物を可能な限り除去することで、取水口の周囲に異物を堆積させないようにすることもある。
例えば特許文献1には取水口の上流側に、流路の横幅全体に亘って設けたバースクリーンと、バースクリーンで堰き止めた塵芥を流路の側壁内に設けた塵芥取り入れ口に排出する塵芥排出機構とを備えた装置が開示されている。バースクリーンは海水を塵芥取り入れ口に導くべく傾斜しており、塵芥取り入れ口内の塵芥を濾し取り器で除去する仕組みになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−363950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では以下のような問題がある。
すなわち、スクリーンを流路の横幅全体に亘って設けると、スクリーンを構成する各バーの間隔(スリット間隔)よりも大きい異物が全てスクリーンに引っ掛かってしまう。したがって、異物を回収する負担が大きくなるという問題がある。また、河川においては魚の上流・下流への移動がスクリーンで遮られてしまい、自然環境保護の観点から好ましくないという問題もある。
また、スクリーンを一つだけ設ける場合、スクリーンに引っ掛かった大き目の異物同士の隙間に小さめの異物が入り込むことで大小の異物が隙間なく堆積していく。したがって、本来であればスクリーンを通過するはずのスリット間隔よりも小さい異物もスクリーンに引っ掛かり、目詰まりが生じるため、スクリーンを通過する水の量が少なくなり、取水口での取水量が短期間で低下してしまうという問題もある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、異物除去の負担を抑え、スクリーンに目詰りが生じにくく、且つ自然環境保護にも貢献できる異物除去装置及び異物回収装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の異物除去装置は、水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に第1間隔で支持した状態で流路の一方の壁面に固定される第1スクリーンと、前記複数のプレートを上下方向に前記第1間隔よりも狭い第2間隔で支持すると共に、前記第1スクリーンよりも下流側であって前記第1スクリーンと同じ壁面に固定される第2スクリーンを備えており、前記プレートが前記壁面から流路の中央に向かって下流側に傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明の異物回収装置は、水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に第1間隔で支持した状態で流路の一方の壁面に固定される第1スクリーンと、水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に前記第1間隔で支持した状態で前記流路の他方の壁面であって前記第1スクリーンよりも下流側に固定される第1対向スクリーンを備えており、前記第1スクリーンのプレートが前記一方の壁面から流路の中央に向かって下流側に傾斜しており、前記第1対向スクリーンのプレートが前記他方の壁面から流路の中央に向かって上流側に傾斜しており、前記第1対向スクリーンの基部の上流側に異物回収口を備えることを特徴とする。
また、水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に前記第1間隔よりも狭い第2間隔で支持した状態で流路の一方の壁面であって、前記第1対向スクリーンよりも下流側に固定される第2スクリーンと、水平方向にのびる複数のプレートを上下方向に前記第2間隔で支持した状態で前記流路の他方の壁面であって前記第2スクリーンよりも下流側に固定される第2対向スクリーンを備えており、前記第2スクリーンのプレートが前記一方の壁面から流路の中央に向かって下流側に傾斜しており、前記第2対向スクリーンのプレートが前記他方の壁面から流路の中央に向かって上流側に傾斜しており、前記第2対向スクリーンの基部の上流側に異物回収口を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の異物除去装置は、流路の壁面から中央に向かって下流側に傾斜するプレートのスリット間隔が下流側のスクリーンになるにつれて次第に狭くなるように、すなわち第1間隔よりも第2間隔の方が狭くなるように設定している。
したがって、大・小の各サイズの異物が流路内を流れてきた際に、まず第1スクリーンにおいて、第1間隔よりも大きい大サイズの異物だけが第1スクリーンを通過できず、この大サイズの異物は下流側に傾斜する第1スクリーンのプレートに沿って流路の中央側に移動する。
一方、第1間隔よりも小さい小サイズの異物は第1スクリーンを通過して第2スクリーンに至る。
第2スクリーンでは、第2間隔よりも大きい小サイズの異物が第2スクリーンを通過できず、下流側に傾斜する第2スクリーンのプレートに沿って流路の中央側に移動する。
このように、本発明では各スクリーンを流路の横幅全体に設けないことで、従来のように異物を積極的に回収するのではなく、流路の一方の壁面から遠ざけることにした。したがって、異物除去装置の下流側であって当該一方の壁面に取水口を設けることにすれば、取水口付近の異物の量を減らすことができ、異物を回収する負担が無くなるという効果を得られる。
また、各スクリーンを流路の横幅全体に設けないことで、河川において魚の上流・下流への移動を各スクリーンが遮ることがないので、自然環境保護の観点から好ましい。
さらに、本発明では流路の壁面に設けた取水口よりも上流側で大・小サイズの異物を流路の中央側、すなわち取水口から離れた位置に段階的に移動させる。したがって、従来のようにスリット間隔が狭い一つのスクリーンだけを用いる場合には、スクリーンに引っ掛かった大サイズの異物同士の隙間に小サイズの異物が入り込んで目詰まりが生じていたが、本発明ではこのような事態の発生を未然に防止でき、長期にわたって安定した取水量を確保できる。
【0009】
本発明の異物回収装置は、第1スクリーンの下流側であって第1スクリーンとは反対側の壁面に第1対向スクリーンを配置し、第1対向スクリーンの基部の上流側に異物回収口を設ける。また、第1スクリーンと第1対向スクリーンのスリット間隔を等しく(共に第1間隔に)設定する。
したがって、流路内を流れてきた異物のうち、流路の一方の壁面から中央までの範囲内に位置する異物は第1スクリーンに引っ掛かり、そのプレートに沿って流路の中央側に移動する。そして、当該プレートの先端から下流側に移動した後、第1対向スクリーンに引っ掛かる。
また、流路内を流れてきた異物のうち、流路の他方の壁面から中央までの範囲内に位置する異物は直接第1対向スクリーンに引っ掛かる。
第1対向スクリーンに引っ掛かった異物は、そのプレートに沿って流路の他方の壁面側に移動していき、異物回収口の内部に至ることで回収される。
このように本発明では、異物回収口を第1対向スクリーンの基部に設けるので、異物を回収する際に流路側に身を乗り出す必要がなく、回収作業の安全性を確保できる。
また、河川において魚は第1スクリーンと第1対向スクリーンの間の隙間から上流・下流へ自在に移動できるので、自然環境保護の観点から好ましい。
【0010】
また、本発明の異物回収装置は第1スクリーン、第1対向スクリーン及び異物回収口を配置し、この下流側に第2スクリーン、第2対向スクリーン及び異物回収口を配置する。また、スリット間隔が下流側のスクリーンになるにつれて次第に狭くなるように、すなわち第1間隔よりも第2間隔の方が狭くなるように設定している。
したがって、流路内を流れてきた大・小サイズの各異物のうち、大サイズの異物は第1スクリーン及び第1対向スクリーンに引っ掛かり、異物回収口で回収される。
また、第1間隔よりも小さい小サイズの異物は第1スクリーン及び第1対向スクリーンを通過して第2スクリーン及び第2対向スクリーンに引っ掛かり、異物回収口で回収される。
このように本発明では大・小サイズの異物を分けて回収するので目詰まりの発生を抑制できる。
また、河川において魚は第1スクリーンと第1対向スクリーンの間の隙間及び第2スクリーンと第2対向スクリーンの間の隙間から上流・下流へ自在に移動できるので、自然環境保護の観点から好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】異物除去装置を流路に使用した状態を示す平面図
図2】異物除去装置を流路に使用した状態を示す斜視図
図3】第1の実施の形態における異物回収装置を流路に使用した状態を示す平面図
図4】第1の実施の形態のおける異物回収装置を流路に使用した状態を示す斜視図
図5】第2の実施の形態における異物回収装置を流路に使用した状態を示す平面図
図6】第2の実施の形態のおける異物回収装置を流路に使用した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の異物除去装置の実施の形態について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の異物除去装置1は第1、第2及び第3スクリーン10、20及び30によって構成されており、取水口2が設けられている側の壁面であって、取水口2よりも上流側に配置されている。
【0013】
第1スクリーン10は複数のプレート11を備えており、流路3の一方の壁面3aに固定される。図1中の矢印は流路3内の水の流れる方向を示している。
プレート11は水平方向にのびる金属製又は樹脂製の薄板部材であり、流路3の一方の壁面3aから中央に向かって下流側に傾斜している。各プレート11間は上下方向に所定のスリット間隔(第1間隔L1)が開くようにその基部12同士が接合されており、当該基部12が一体となって流路3の一方の壁面3aに固定される。
第2スクリーン20は第1スクリーン10と同様の複数のプレート21を備えており、流路3の一方の壁面3aであって第1スクリーン10よりも下流側に固定される。
各プレート21間は上下方向に第1間隔L1よりも狭い第2間隔L2が開くようにその基部22同士が接合されており、当該基部22が一体となって流路3の一方の壁面3aに固定される。
第3スクリーン30は第1及び第2スクリーン10及び20と同様の複数のプレート31を備えており、流路3の一方の壁面3aであって第2スクリーン20よりも下流側に固定される。
各プレート31間は上下方向に第2間隔L2よりも狭い第3間隔L3が開くようにその基部32同士が接合されており、当該基部32が一体となって流路3の一方の壁面3aに固定される。
【0014】
以上のとおり、本実施の形態の異物除去装置1は流路3の壁面3aから中央に向かって下流側に傾斜する各プレート11、21及び31のスリット間隔L1、L2及びL3が下流側になるにつれて次第に狭くなるように設定している。
したがって、大・中・小の各サイズの異物4a、4b、4cが流路3内を流れてきた際に、まず第1スクリーン10において、第1間隔L1よりも大きい大サイズの異物4aだけが通過できず、下流側に傾斜するプレート11に沿って流路3の中央側に移動する。
第1間隔L1よりも小さい中・小サイズの異物4b、4cは第1スクリーン10を通過して第2スクリーン20に至る。
第2スクリーン20では、第2間隔L2よりも大きい中サイズの異物4bだけが通過できず、下流側に傾斜するプレート21に沿って流路3の中央側に移動する。
第2間隔L2よりも小さい小サイズの異物4cは第2スクリーン20を通過して第3スクリーン30に至る。
第3スクリーン30では、第3間隔L3よりも大きい小サイズの異物4cは通過できず、下流側に傾斜するプレート31に沿って流路の中央側に移動する。
【0015】
このように本発明では各スクリーン10、20及び30を流路3の横幅全体に設けないことで、取水口2がある一方の壁面3aから遠ざけることにした。これによって異物4a、4b、4cを回収する負担が無くなるという効果を得られる。また、河川においては魚5が上流・下流へ自在に移動できる。
さらに、本発明では流路3の壁面3aに設けた取水口2よりも上流側で大・中・小サイズの異物4a、4b、4cを流路3の中央側、すなわち取水口2から離れた位置に各スクリーン10、20及び30で段階的に移動させるので、従来のように一つのスクリーンに引っ掛かった大き目の異物同士の隙間に小さめの異物が入り込むことで目詰まりが生じるという事態を防止でき、長期にわたって安定した取水量を確保できる。
なお、各スクリーン10、20及び30のスリット間隔(第1〜第3間隔L1〜L3)は、流路3を流れる異物4a、4b、4cのサイズや性質に応じて流路毎に適宜設定すればよい。また、異物除去装置1は少なくとも第1及び第2の2つのスクリーン10及び20で構成されていればよく、4つ以上のスクリーンを備えることにしてもよい。
【0016】
[第1の実施の形態]
次に、図面を参照して本発明の異物回収装置の第1の実施の形態について説明する。
図3及び図4に示すように、本実施の形態の異物回収装置6は第1スクリーン40、第1対向スクリーン41及び異物回収口42によって構成されている。また、図示は省略するが異物回収装置6よりも下流側に取水口を設けてもよい。
【0017】
第1スクリーン40は複数のプレート40aを備えており、流路3の一方の壁面3aに固定される。
プレート40aは水平方向にのびる金属製又は樹脂製の薄板部材であり、流路3の一方の壁面3aから中央に向かって下流側に傾斜している。各プレート40a間は上下方向に所定のスリット間隔(第1間隔L1)が開くようにその基部同士が接合されており、当該基部が一体となって流路の一方の壁面に固定される。
第1対向スクリーン41も複数のプレート41aを備えており、流路3の他方の壁面3bであって第1スクリーン40よりも下流側に固定される。
プレート41aは水平方向にのびる金属製又は樹脂製の薄板部材であり、流路3の他方の壁面3bから中央に向かって上流側に傾斜している。各プレート41a間は上下方向に第1間隔L1が開くようにその基部同士が接合されており、当該基部が一体となって流路3の他方の壁面3bに固定される。当然のことながら、第1スクリーン40のプレート40aの先端と第1対向スクリーン41のプレート41aの先端は繋がっておらず、隙間が開いている。
異物回収口42は第1対向スクリーン41の基部の上流側であって他方の壁面3bの内側に設けられる。
【0018】
流路3内を流れてきた異物4a、4b、4cのうち、流路3の一方の壁面3aから中央までの範囲内に位置する異物は第1スクリーン40に引っ掛かり、そのプレート40aに沿って流路3の中央側に移動した後、当該プレート40aの先端から下流側に移動し、第1対向スクリーン41に引っ掛かる。
また、流路3内を流れてきた異物4a、4b、4cのうち、流路3の他方の壁面3bから中央までの範囲内に位置する異物は直接第1対向スクリーン41に引っ掛かる。
このようにして第1対向スクリーン41に引っ掛かった異物は、そのプレート41aに沿って流路3の他方の壁面3b側に移動していき、異物回収口42の内部に至ることで回収される。
なお、第1スクリーン40及び第1対向スクリーン41のスリット間隔(第1間隔L1)は、流路3を流れる異物4a、4b、4cのサイズや性質に応じて流路毎に設定すればよく、例えば第1間隔L1を狭くすることで小さい異物も回収することにしてもよく、或いは第1間隔L1を広くすることで大きい異物だけを回収して、小さい異物は第1スクリーン40及び第1対向スクリーン41を通過させて下流に流すようにしてもよい。
【0019】
[第2の実施の形態]
次に、図面を参照して本発明の異物回収装置の第2の実施の形態について説明するが、上記第1の実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図5及び図6に示すように、本実施の形態の異物回収装置7は第1、第2及び第3スクリーン40、50及び60、第1、第2及び第3対向スクリーン41、51及び61及び大・中・小サイズ用の3つの異物回収口42、52及び62によって構成されている。
【0020】
第1スクリーン40、第1対向スクリーン41及び異物回収口42(本実施の形態では大サイズ用異物回収口42)は上記第1の実施の形態と同一の構成となるため説明を省略する。
第2スクリーン50は複数のプレート50aを備えており、流路3の一方の壁面3aであって第1対向スクリーン41よりも下流側に固定される。
プレート50aは流路3の一方の壁面3aから中央に向かって下流側に傾斜している。各プレート50a間は上下方向に第1間隔よりも狭い第2間隔L2が開くようにその基部同士が接合されており、当該基部が一体となって流路3の一方の壁面3aに固定される。
第2対向スクリーン51も複数のプレート51aを備えており、流路3の他方の壁面3bであって第2スクリーン50よりも下流側に固定される。
プレート51aは流路3の他方の壁面3bから中央に向かって上流側に傾斜している。各プレート51a間は上下方向に第2間隔L2が開くようにその基部同士が接合されており、当該基部が一体となって流路3の他方の壁面3bに固定される。
中サイズ用異物回収口52は第2対向スクリーン51の基部の上流側であって他方の壁面3bの内側に設けられる。
【0021】
第3スクリーン60は複数のプレート60aを備えており、流路3の一方の壁面3aであって第2対向スクリーン51よりも下流側に固定される。
プレート60aは流路3の一方の壁面3aから中央に向かって下流側に傾斜している。各プレート60a間は上下方向に第2間隔L2よりも狭い第3間隔L3が開くようにその基部同士が接合されており、当該基部が一体となって流路3の一方の壁面3aに固定される。
第3対向スクリーン61も複数のプレート61aを備えており、流路3の他方の壁面3bであって第3スクリーン60よりも下流側に固定される。
プレート61aは流路3の他方の壁面3bから中央に向かって上流側に傾斜している。各プレート61a間は上下方向に第2間隔L2が開くようにその基部同士が接合されており、当該基部が一体となって流路3の他方の壁面3bに固定される。
小サイズ用異物回収口62は第3対向スクリーン61の基部の上流側であって他方の壁面3bの内側に設けられる。
【0022】
以上のとおり、本実施の形態の異物回収装置7は第1スクリーン40の下流側であって第1スクリーン40とは反対側の壁面3bに第1対向スクリーン41を配置し、第1対向スクリーン41の基部の上流側に大サイズ用異物回収口42を設ける。また、第1スクリーン40と第1対向スクリーン41のスリット間隔を等しく(共に第1間隔L1に)設定している。
そして、これら第1スクリーン40、第1対向スクリーン41及び大サイズ用異物回収口42の下流側に第2スクリーン50、第2対向スクリーン51及び中サイズ用異物回収口52を配置し、更に第3スクリーン60、第3対向スクリーン61及び小サイズ用異物回収口62を配置する。
また、スリット間隔L1、L2及びL3が下流側のスクリーンになるにつれて次第に小さくなるように設定している。
したがって、流路3内を流れてきた大・中・小サイズの各異物4a、4b、4cのうち、大サイズの異物4aは上記第1の実施の形態と同様に第1スクリーン40及び第1対向スクリーン41に引っ掛かり、大サイズ用の異物回収口42で回収される。
第1間隔L2よりも小さい中・小サイズの異物4b、4cは第1スクリーン40及び第1対向スクリーン41を通過して第2スクリーン50及び第2対向スクリーン51に至り、第2間隔L2よりも大きい中サイズの異物4bだけが第2スクリーン及50び第2対向スクリーン51に引っ掛かり、中サイズ用の異物回収口52で回収される。
第2間隔L2よりも小さい小サイズの異物4cは第2スクリーン50及び第2対向スクリーン51を通過して第3スクリーン60及び第3対向スクリーン61に引っ掛かり、小サイズ用の異物回収口62で回収される。
本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様の効果の他、大・中・小サイズの異物4a、4b、4cを効率よく回収できるという効果も得られる。
なお、各スクリーンのスリット間隔(第1〜第3間隔L1〜L3)は、流路3を流れる異物4a、4b、4cのサイズや性質に応じて流路毎に設定すればよい。また、異物回収装置7は少なくとも第1及び第2の2つのスクリーン40及び50、及び対向スクリーン41及び51で構成されていればよく、4つ以上のスクリーン及び対向スクリーンを備えることにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、異物除去の負担を抑え、スクリーンに目詰りが生じにくく、且つ自然環境保護にも貢献できる異物除去装置及び異物回収装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0024】
L1 第1間隔
L2 第2間隔
L3 第3間隔
1 異物除去装置
2 取水口
3 流路
3a 一方の壁面
3b 他方の壁面
4a 異物
4b 異物
4c 異物
5 魚
6 異物回収装置
7 異物回収装置
10 第1スクリーン
11 プレート
12 基部
20 第2スクリーン
21 プレート
22 基部
30 第3スクリーン
31 プレート
32 基部
40 第1スクリーン
40a プレート
41 第1対向スクリーン
41a プレート
42 異物回収口
50 第2スクリーン
50a プレート
51 第2対向スクリーン
51a プレート
52 異物回収口
60 第3スクリーン
60a プレート
61 第3対向スクリーン
61a プレート
62 異物回収口
図1
図2
図3
図4
図5
図6