【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の外壁パネルは、加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイド及び硬化触媒を含有する湿気硬化型接着剤100重量部に水0.5〜10重量部を添加する水添加工程と、上記水が添加された上記湿気硬化型接着剤を金属パネルに塗工し、上記金属パネル上に上記湿気硬化型接着剤を介してタイルを貼り合わせる貼合工程と、上記湿気硬化型接着剤を加熱、硬化させる硬化工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
湿気硬化型接着剤は、加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイドを含有する。ポリアルキレンオキサイドが有している加水分解性シリル基は、湿気などの水分によって加水分解してシラノール基を形成した後、硬化触媒の作用によりシラノール基同士が縮重合することによってシロキサン結合を形成することができる。これにより、ポリアルキレンオキサイドが架橋構造を形成して、湿気硬化型接着剤が硬化することにより、ゴム状の弾性体が得られる。なお、シラノール基とは、ケイ素原子に直接結合しているヒドロキシ基(≡Si−OH)を意味する。
【0012】
加水分解性シリル基とは、珪素原子に1〜3個の加水分解性基が結合してなる基である。加水分解性シリル基の加水分解性基としては、特に限定されず、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。
【0013】
なかでも、加水分解性シリル基としては、加水分解反応が穏やかであることから、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、及びトリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、及びジエトキシメチルシリル基などのジメトキシシリル基;並びに、メトキシジメトキシシリル基、及びエトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシシリル基が挙げられる。なかでも、ジアルコキシシリル基が好ましく、ジメトキシメチルシリル基がより好ましい。
【0014】
ポリアルキレンオキサイドへの加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、(1)分子中に不飽和基を修飾した重合体に、加水分解性シリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法、(2)分子中に不飽和基を修飾した重合体に、メルカプト基及び加水分解性シリル基を有する化合物を反応させる方法、(3)分子中に官能基を有する重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基と加水分解性シリル基とを有する化合物を反応させる方法などが挙げられ、具体的には、イソシアネート基と水酸基との反応、イソシアネート基とアミノ基との反応、イソシアネート基とメルカプト基との反応などを利用することができる。
【0015】
加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイドには、湿気硬化型接着剤が硬化し易くなり、硬度も発現し易くなるので、1分子中に数平均で2個以上の加水分解性シリル基を有していることが好ましい。加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイドにおいて、1分子中における加水分解性シリル基の数平均は、湿気硬化型接着剤を硬化させた硬化物の架橋密度が高くなりすぎるのを防止して優れた湿気透過性を維持して、湿気硬化型接着剤の優れた硬化速度を維持することができるので、2.0〜4.0個が好ましく、2.0〜3.0個がより好ましい。
【0016】
なお、本発明にて、加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイドにおいて、1分子中における加水分解性シリル基の数平均の測定方法としては、
1H−NMRにより求められるポリアルキレンオキサイド中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められるポリアルキレンオキサイドの数平均分子量に基づいて算出することができる。
【0017】
加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイドの主鎖骨格としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリプロピレンオキサイド−ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられる。
【0018】
加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイドの数平均分子量は、湿気硬化型接着剤の硬化物の硬度及び引張応力に優れ、湿気硬化型接着剤の作業性に優れているので、10000〜30000が好ましい。
【0019】
なお、本発明において、ポリアルキレンオキサイドの数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定において、GPCカラムとして、例えば、東ソー社製Shodex KF800Dを用いることができ、溶媒としてはメタノールを用いることができる。
【0020】
湿気硬化型接着剤は硬化触媒を含有している。硬化触媒は、上述した加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイドが含有する加水分解性シリル基が加水分解することによって形成されたシラノール基同士の縮合反応を促進するための触媒である。
【0021】
硬化触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、ジブチル錫オキシビスエトキシシリケート、及び1,1,3,3-テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサンなどの有機錫系化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、及びテトライソプロポキシチタネートなどの有機チタン系化合物などが挙げられ、湿気硬化型接着剤の接着性に優れているので、有機錫系化合物が好ましい。硬化触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0022】
湿気硬化型接着剤中における硬化触媒の含有量は、熱安定性に優れ且つ優れた硬化速度を有する湿気硬化型接着剤を得ることができるので、加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイド100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
【0023】
湿気硬化型接着剤はエポキシ樹脂をさらに含有していることが好ましい。エポキシ樹脂を含有していることによって、湿気硬化型接着剤の硬化物はさらに優れた弾性を有し、湿気硬化型接着剤はさらに優れた接着性を有する。
【0024】
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンとを反応させて得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、及び、これらの水添物、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの含窒素エポキシ樹脂、ポリブタジエン又はNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂などが挙げられ、湿気硬化型接着剤の硬化物が優れた弾性を有することから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0025】
湿気硬化型接着剤中におけるエポキシ樹脂の含有量は、湿気硬化型接着剤の硬化物が優れた弾性を有し、湿気硬化型接着剤が優れた接着性を有するので、加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイド100重量部に対して1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。
【0026】
湿気硬化型接着剤中には、加水分解性シリル基を含有する(メタ)アクリル系重合体が含有されていてもよい。加水分解性シリル基を含有する(メタ)アクリル系重合体が含有されていると、湿気硬化型接着剤の硬化物はさらに優れた耐候性を有し、湿気硬化型接着剤はさらに優れた接着性を有する。(メタ)アクリル系重合体は、1分子中に平均して、1〜2個の加水分解性シリル基を有しているのが好ましい。(メタ)アクリル系重合体は、1分子中に平均して、1〜1.8個の加水分解性シリル基を有しているのが好ましい。(メタ)アクリル系重合体における加水分解性シリル基の数が1個以上であると、湿気硬化型接着剤の硬化性が向上する。(メタ)アクリル系重合体における加水分解性シリル基の数が2個以下であると、湿気硬化型接着剤の硬化物の耐候性が向上する。また、(メタ)アクリル系重合体は、その分子鎖の両末端のうち少なくとも一方に加水分解性シリル基を有していることが好ましく、分子鎖の両末端に加水分解性シリル基を有していることが好ましい。
【0027】
なお、(メタ)アクリル系重合体中における、1分子当たりの加水分解性シリル基の平均個数は、
1H−NMRにより求められる(メタ)アクリル系重合体中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められる(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量に基づいて算出することができる。
【0028】
(メタ)アクリル系重合体の主鎖骨格としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
【0029】
(メタ)アクリル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリレート系モノマーとして、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−[アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、及び2−[アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0030】
(メタ)アクリル系重合体において、他のモノマーを共重合することも可能である。このようなモノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物などを挙げることができる。これらのモノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0031】
なかでも、(メタ)アクリル系重合体の主鎖骨格としては、ブチル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートの共重合体が好ましく、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートの共重合体がより好ましい。主鎖骨格が上記共重合体からなる(メタ)アクリル系重合体によれば、優れた耐候性を有する硬化物を形成することが可能な湿気硬化型接着剤が得られる。
【0032】
(メタ)アクリル系重合体の重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法などの各種重合法が挙げられる。
【0033】
(メタ)アクリル系重合体への加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、分子中に不飽和基を導入した(メタ)アクリル系重合体に、加水分解性シリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリレート系モノマーを含む(メタ)アクリレート系モノマーを重合する方法など、公知の方法を利用することができる。
【0034】
(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量は、5000〜30000が好ましく、6000〜25000がより好ましく、6000〜15000が特に好ましい。(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量が30000以下であると、湿気硬化型接着剤の塗工性が向上する。(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量が5000以上であると、湿気硬化型接着剤の硬化物の弾性及び耐候性が向上する。
【0035】
なお、本発明において、(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
【0036】
湿気硬化型接着剤中における(メタ)アクリル系重合体の含有量は、加水分解性シリル基含有ポリアルキレンオキサイド100重量部に対して20〜100重量部が好ましく、30〜100重量部がより好ましい。湿気硬化型接着剤中における(メタ)アクリル系重合体の含有量が20重量部以上であると、湿気硬化型接着剤の硬化物は長期間に亘って優れた弾性を維持する。湿気硬化型接着剤中における(メタ)アクリル系重合体の含有量が100重量部以下であると、湿気硬化型接着剤の塗工性が向上する。
【0037】
湿気硬化型接着剤の粘度は、湿気硬化型接着剤中に水を均一に混合分散させることができると共に、湿気硬化型接着剤を金属パネルに容易に塗工することができるので、5〜300Pa・sが好ましく、10〜100Pa・sがより好ましく、30〜70Pa・sが特に好ましい。なお、湿気硬化型接着剤の粘度(Pa・s)は、JIS Z8803に準拠してB型回転粘度計を用いて回転数10rpm、23℃の条件下にて測定された値をいう。
【0038】
湿気硬化型接着剤のチクソトロピー指数は、湿気硬化型接着剤の塗布の容易性と、金属パネル上に湿気硬化型接着剤を介して貼り合わせたタイルの位置ずれが生じない観点から、1.5〜7.0が好ましく、2.0〜6.0がより好ましく、4.0〜6.0が特に好ましい。なお、湿気硬化型接着剤のチクソトロピー指数は、JIS Z8803に準拠してB型回転粘度計を用いて回転数1rpm、23℃の条件下にて測定された粘度(1rpm粘度)と、JIS Z8803に準拠してB型回転粘度計を用いて回転数10rpm、23℃の条件下にて測定された粘度(10rpm粘度)との比(1rpm粘度/10rpm粘度)をいう。
【0039】
湿気硬化型接着剤中には、粘着付与剤、充填剤、チキソ性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、沈降防止剤、脱水剤、溶剤、アミノシランカップリング剤など他の添加剤を含んでいてもよい。
【0040】
水添加工程において、上記湿気硬化型接着剤に水を添加する。湿気硬化型接着剤を金属パネルに塗工する前に、湿気硬化型接着剤に水を予め添加しておくことによって、湿気硬化型接着剤を全体的に速やかに硬化させて効率良く外壁パネルを製造することができると共に、湿気硬化型接着剤の硬化物の表面性を向上させて、優れた外観を有するタイル目地部を有する外壁パネルを製造することができる。
【0041】
湿気硬化型接着剤への水の添加方法としては、特に限定されないが、湿気硬化型接着剤に水を添加した後、湿気硬化型接着剤を攪拌する方法が好ましい。湿気硬化型接着剤に水を添加した後に湿気硬化型接着剤を攪拌することによって、湿気硬化型接着剤中に水を均一に分散させることができ、湿気硬化型接着剤を全体的に内部まで均一に且つ短時間のうちに良好に硬化させて効率良く外壁パネルを製造することができる。
【0042】
湿気硬化型接着剤中への水の添加量は、湿気硬化型接着剤100重量部に対して0.5〜10重量部であり、1〜8重量部が好ましく、2〜7重量部がより好ましく、3〜5重量部が特に好ましい。湿気硬化型接着剤中への水の添加量は、0.5重量部以上とすることによって、湿気硬化型接着剤を全体的に均一に且つ短時間のうちに良好に硬化させることができる。湿気硬化型接着剤中への水の添加量は、10重量部以下とすることによって、湿気硬化型接着剤に添加した水が気泡となることなく、湿気硬化型接着剤を良好に硬化させることができ、外観に優れた外壁パネルを製造することができる。
【0043】
次に、水を添加した湿気硬化型接着剤を金属パネル上に塗工し、金属パネル上に塗工した湿気硬化型接着剤上にタイルを載置して、タイルを金属パネル上に貼り合わせて積層体を製造する(貼合工程)。
【0044】
金属パネルとしては、外壁パネルに用いられるパネルであれば、特に限定されず、例えば、鋼板、各種塗装を施した鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板などのメッキを施した鋼板、アルミニウム板、アルマイト処理板などが挙げられる。
【0045】
湿気硬化型接着剤に水を添加しているので、金属パネル上への湿気硬化型接着剤の塗工は速やかに行われることが好ましい。湿気硬化型接着剤に水を添加してから金属パネル上に湿気硬化型接着剤を塗工し、この湿気硬化型接着剤上にタイルを貼り合わせて積層体を製造するまでの時間は、30分以内が好ましく、25分以内がより好ましく、20分以内が特に好ましい。
【0046】
金属パネル上への湿気硬化型接着剤の塗工は汎用の方法が用いられる。金属パネル上に塗工した湿気硬化型接着剤上へのタイルの載置も汎用の方法が用いられる。
【0047】
続いて、貼合工程において製造された積層体を加熱することによって湿気硬化型接着剤を加熱、硬化させ、湿気硬化型接着剤の硬化物を介して金属パネル上にタイルを一体的に貼り合わせて外壁パネルを製造する(硬化工程)。積層体の加熱は汎用の要領で行わればよく、例えば、積層体を所望の加熱温度に維持した雰囲気中に放置する方法などが挙げられる。
【0048】
積層体の加熱温度は、湿気硬化型接着剤を全体的に均一に硬化させて、弾性及び引張強度に優れた硬化物を得ることができ、タイルを金属パネル上に強固に接着一体化させることができるので、30〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましく、50〜70℃が特に好ましい。
【0049】
積層体の加熱時間は、湿気硬化型接着剤を全体的に均一に十分に硬化させて、弾性及び引張強度に優れた硬化物を得ることができ、この硬化物を介してタイルを金属パネル上に強固に接着一体化させることができるので、30〜90分が好ましく、45〜60分がより好ましい。
【0050】
上述した外壁パネルの製造方法によれば、予め水が添加された湿気硬化型接着剤を用いて金属パネル上にタイルを一体的に貼り合わせて外壁パネルを製造していることから、表面平滑性に優れたタイル目地部を有する外壁パネルを容易に且つ効率良く製造することができる。