特開2015-222082(P2015-222082A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-222082(P2015-222082A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/14 20060101AFI20151113BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20151113BHJP
   F16H 59/74 20060101ALI20151113BHJP
   F16H 59/18 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   F16H61/14 602G
   F16H61/02
   F16H59/74
   F16H59/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-105860(P2014-105860)
(22)【出願日】2014年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】菅井 雄二
(72)【発明者】
【氏名】仲野 茂司
【テーマコード(参考)】
3J053
3J552
【Fターム(参考)】
3J053BA01
3J053DA02
3J053DA04
3J053DA15
3J053DA22
3J053DA24
3J552MA01
3J552MA06
3J552MA12
3J552MA26
3J552NA01
3J552NB01
3J552PA20
3J552QA08
3J552QA14
3J552RA20
3J552RC03
3J552SB05
3J552TB02
3J552TB03
3J552TB07
3J552UA01
3J552VA45W
3J552VA66Z
3J552VB01Z
3J552VC01Z
3J552VC03W
3J552VC07Z
3J552VD02W
3J552VD07W
(57)【要約】
【課題】トルクコンバータを備えた車両の制御装置において、車両発進時におけるエンジンの出力応答性を判断し、その判断結果に応じてトルクコンバータを適宜制御することによって車両の最大駆動力を向上できるようにした車両の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関と、前記内燃機関の出力を変速する変速機と、前記内燃機関と変速機の間に介挿されるトルクコンバータとを備えた車両の制御装置において、前記車両の運転者から既定値以上の駆動力を必要とする所定の発進指示がされたとき、前記内燃機関の出力応答性に応じて前記トルクコンバータの内圧を変更する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、前記内燃機関の出力を変速する変速機と、前記内燃機関と変速機の間に介挿されるトルクコンバータとを備えた車両の制御装置において、
前記車両の運転者から既定値以上の駆動力を必要とする所定の発進指示がされたか否か判定する発進指示判定手段と、
前記内燃機関の出力応答性を判断する出力応答性判断手段と、
前記トルクコンバータの内圧を制御する内圧制御手段とを備え、
前記内圧制御手段は、前記発進指示判定手段によって前記所定の発進指示がされたと判定されたとき、前記出力応答性判断手段による判断結果に応じて前記トルクコンバータの内圧を変更することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記内圧制御手段は、前記所定の発進指示がされたと判定されると共に、前記出力応答性判断手段によって前記出力応答性が低いと判断された場合、前記トルクコンバータの内圧を低減させる一方、
前記所定の発進指示がされたと判定されると共に、前記出力応答性判断手段によって前記出力応答性が高いと判断された場合、前記トルクコンバータの内圧を増大させることを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両の制御装置に関し、より具体的にはトルクコンバータを備える車両において、トルクコンバータを介して車両発進時の駆動力を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トルクコンバータを備える車両において、トルクコンバータを介して車両発進時の駆動力を制御する装置が知られている。例えば、特許文献1記載の技術にあっては、トルクコンバータにおけるトルク増幅領域においてエンジン回転数を制限することにより、コンバータ領域での駆動トルクの過剰な増大やそれに起因する急激な加速感を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3546302号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トルクコンバータに入力されるエンジントルクの大きさや応答性は、エンジン回転数のみならず吸気温などの影響も受ける。そのため、吸気温が高い場合など、エンジントルクの応答性が低下する場合に、特許文献1記載の技術の如くエンジン回転数を制限してしまうと、車両発進時における最大駆動力が必要以上に低下してしまうという課題がある。
【0005】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、トルクコンバータを備えた車両の制御装置において、車両発進時におけるエンジントルクの応答性を判断し、その判断結果に応じてトルクコンバータを適宜制御することによって車両の最大駆動力を向上できるようにした車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、内燃機関と、前記内燃機関の出力を変速する変速機と、前記内燃機関と変速機の間に介挿されるトルクコンバータとを備えた車両の制御装置において、前記車両の運転者から既定値以上の駆動力を必要とする所定の発進指示がされたか否か判定する発進指示判定手段と、前記内燃機関の出力応答性を判断する出力応答性判断手段と、前記トルクコンバータの内圧を制御する内圧制御手段とを備え、前記内圧制御手段は、前記発進指示判定手段によって前記所定の発進指示がされたと判定されたとき、前記出力応答性判断手段による判断結果に応じて前記トルクコンバータの内圧を変更する如く構成した。
【0007】
請求項2に係る車両の制御装置にあっては、前記内圧制御手段は、前記所定の発進指示がされたと判定されると共に、前記出力応答性判断手段によって前記出力応答性が低いと判断された場合、前記トルクコンバータの内圧を低減させる一方、前記所定の発進指示がされたと判定されると共に、前記出力応答性判断手段によって前記出力応答性が高いと判断された場合、前記トルクコンバータの内圧を増大させる如く構成した。
【発明の効果】
【0008】
請求項1にあっては、内燃機関と、変速機と、トルクコンバータとを備えた車両の制御装置において、運転者から既定値以上の駆動力を必要とする所定の発進指示がされたか否か判定し、内燃機関の出力応答性を判断すると共に、所定の発進指示がされたと判定されたとき、出力応答性の判断結果に応じてトルクコンバータの内圧を変更するように構成したので、内燃機関の応答性に応じてトルクコンバータの内圧を制御することができ、よって車両発進時の最大駆動力を向上させることができる。
【0009】
請求項2に係る車両の制御装置にあっては、所定の発進指示がされたと判定されると共に、出力応答性が低いと判断された場合、トルクコンバータの内圧を低減させる一方、所定の発進指示がされたと判定されると共に、出力応答性が高いと判断された場合、トルクコンバータの内圧を増大させるように構成したので、上記した効果に加え、内燃機関の応答性の高低に基づいてトルクコンバータの内圧を増減制御することができ、よって車両発進時の最大駆動力をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施例に係る車両の制御装置を概略的に示す全体図である。
図2図1に示す油圧供給機構の構成を示す油圧回路図である。
図3図1に示す車両の制御装置による処理を示すフロー・チャートである。
図4図3フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
図5】この発明の効果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に即してこの発明に係る車両の制御装置を実施するための形態について説明する。
【実施例】
【0012】
図1はこの発明の実施例に係る車両の制御装置を概略的に示す全体図である。
【0013】
図1において、符号10はエンジン(内燃機関)を示す。エンジン10は駆動輪12を備えた車両14に搭載される(車両14は駆動輪12などで部分的に示す)。
【0014】
エンジン10の吸気系に配置されたスロットルバルブ16は車両運転席床面に配置されるアクセルペダル18との機械的な接続が絶たれて電動モータなどのアクチュエータからなるDBW(Drive By Wire)機構20に接続され、DBW機構20で開閉される。
【0015】
スロットルバルブ16で調量された吸気はインテークマニホルド(図示せず)を通って流れ、各気筒の吸気ポート付近でインジェクタ(図示せず)から噴射された燃料と混合して混合気を形成し、吸気バルブ(図示せず)が開弁されたとき、当該気筒の燃焼室(図示せず)に流入する。燃焼室において混合気は点火されて燃焼し、ピストンを駆動してクランクシャフト(図示せず)を回転させた後、排気となってエンジン10の外部に放出される。
【0016】
クランクシャフトの回転は出力軸22およびトルクコンバータ24を介して自動変速機Tに入力される。自動変速機Tは無段変速機(Continuously Variable Transmission。以下「CVT」という)26を備える。
【0017】
即ち、出力軸22はトルクコンバータ24のポンプ・インペラ24aに接続される一方、それに対向配置されて流体(作動油)を収受するタービン・ランナ24bはメインシャフト(入力軸)MSに接続される。トルクコンバータ24はロックアップクラッチ24cを備える。
【0018】
CVT26はメインシャフトMS、より正確にはその外周側シャフトに配置されたドライブプーリ(入力側要素)26aと、メインシャフトMSに平行なカウンタシャフト(出力軸)CS、より正確にはその外周側シャフトに配置されたドリブンプーリ(出力側要素)26bと、その間に掛け回される動力伝達部材、例えば金属製のベルト(伝達要素)26cからなる。
【0019】
自動変速機TにおいてCVT26は前後進切換機構28を介してエンジン10に接続される。前後進切換機構28は、車両14の前進方向への走行を可能にする前進クラッチ28aと、後進方向への走行を可能にする後進ブレーキクラッチ28bと、その間に配置されるプラネタリギヤ機構28cからなる。
【0020】
カウンタシャフトCSの回転はギヤを介してセカンダリシャフト(中間軸)SSから駆動輪12に伝えられる。即ち、カウンタシャフトCSの回転はギヤ30a,30bを介してセカンダリシャフトSSに伝えられ、その回転はギヤ30cを介してディファレンシャル32から左右の駆動輪(右側のみ示す)12に伝えられる。
【0021】
駆動輪(前輪)12と従動輪(後輪。図示せず)の付近にはディスクブレーキ34が配置される。ディスクブレーキ34はキャリパ34aとディスク34bなどを備える。
【0022】
車両運転席床面にはブレーキペダル36が配置される。運転者がブレーキペダル36を踏み込むと、その踏み込み力はマスタバック38で増力されてマスタシリンダ40に伝えられる。マスタシリンダ40のピストン(図示せず)は増力された踏み込み力に相当する距離だけストロークし、ピストンのストロークによって生成された液圧は駆動輪12のディスクブレーキ34に送られ、ディスクブレーキ34を動作させ、車両14を制動(減速)させる。
【0023】
前後進切換機構28において前進クラッチ28aと後進ブレーキクラッチ28bの切換は、車両運転席に設けられたレンジセレクタ44を運転者が操作して例えばP,R,N,D,S,Lなどのレンジのいずれかを選択することで行われる。運転者のレンジセレクタ44の操作によるレンジ選択は油圧供給機構46(後述)のマニュアルバルブに伝えられ、車両14を前進あるいは後進走行させる。
【0024】
なお、この明細書において自動変速機Tはトルクコンバータ24とCVT26と前後進切換機構28(より具体的にはその前進クラッチ28a(あるいは後進ブレーキクラッチ28b))からなる。
【0025】
図2は油圧供給機構46の油圧回路図である。
【0026】
図示の如く、油圧供給機構46には油圧ポンプ(送油ポンプ)46aが設けられる。油圧ポンプ46aはギヤポンプからなり、エンジン(E)10によって駆動され、リザーバ46bに貯留された作動油を汲み上げてメインレギュレータバルブ(REG VLV)46cに圧送する。
【0027】
メインレギュレータバルブ46cの出力(ライン圧。高圧制御油圧)は、一方では油路46dから第1、第2のレギュレータバルブ(DR REG VLV, DN REG VLV)46e,46fを介してCVT26のドライブプーリ(図2で「DR」と示す)26aとドリブンプーリ(図2で「DN」と示す)26b(より正確には、その油圧アクチュエータのピストン室)に接続されると共に、他方では油路46gを介してCRバルブ(CR VLV)46hに接続される。
【0028】
CRバルブ46hはライン圧を減圧してCR圧(低圧制御油圧)を生成し、油路46iから第1、第2、第3の(電磁)リニアソレノイドバルブ46j,46k,46l(LS-DR, LS-DN, LS-CPC)に供給する。
【0029】
第1、第2のリニアソレノイドバルブ46j,46kはそのソレノイドの励磁に応じて決定される出力圧を第1、第2のレギュレータバルブ46e,46fに作用させ、よって油路46dから送られるライン圧の作動油をCVT26のベルト26cを狭圧するプーリ油圧(狭圧油圧)として供給する。
【0030】
これにより、ドライブプーリ26aとドリブンプーリ26bのプーリ幅が変化し、ベルト26cの巻掛け半径が変化する。このように、プーリの側圧を調整することで、エンジン10の出力を駆動輪12に伝達するレシオ(変速比)を無段階に変化させることができる。
【0031】
CRバルブ46hの出力(CR圧)は第3のリニアソレノイドバルブ46lのソレノイドの励磁に応じて調圧され、油路46mを介して前記したマニュアルバルブ(MAN VLV)46oに送られ、そこから前後進切換機構28の前進クラッチ(図2で「FWD」と示す)28aと後進ブレーキクラッチ(図2で「RVS」と示す)28b(より正確には、そのピストン室)に接続される。
【0032】
マニュアルバルブ46oは、前記した如く、運転者によって操作(選択)されたレンジセレクタ44の位置に応じて第3のリニアソレノイドバルブ46lで調圧された出力を前進クラッチ28aと後進ブレーキクラッチ28bのいずれかに接続する。
【0033】
また、メインレギュレータバルブ46cの出力は、油路46pを介してトルクコンバータ26の内圧を調整するTCレギュレータバルブ(TC REG VLV)46qに送られ、TCレギュレータバルブ46qの出力はLCコントロールバルブ(LC CTL VLV)46rを介してLCシフトバルブ(LC SFT VLV)46sに接続される。
【0034】
LCシフトバルブ46sの出力は、一方ではトルクコンバータ24のロックアップクラッチ24cのピストン室24c1に接続されると共に、他方ではその背面側の室24c2に接続される。
【0035】
LCシフトバルブ46sを介して作動油がピストン室24c1に供給される一方、背面側の室24c2から排出されると、ロックアップクラッチ24cが係合(オン)される。また、作動油が背面側の室24c2に供給される一方、ピストン室24c1から排出されると、ロックアップクラッチ24cが解放(オフ)される。ロックアップクラッチ24cのスリップ量は、ピストン室24c1と背面側の室24c2に供給される作動油の量によって決定される。
【0036】
油路46tには第4のリニアソレノイドバルブ(LS-LC)46uが介挿される。ロックアップクラッチ24cのスリップ量は、第4のリニアソレノイドバルブ46uのソレノイドの励磁・非励磁によって調整(制御)される。
【0037】
図1の説明に戻ると、エンジン10のカム軸(図示せず)付近などの適宜位置にはクランク角センサ50が設けられ、ピストンの所定クランク角度位置ごとにエンジン回転数NEを示す信号を出力する。吸気系においてスロットルバルブ16の下流の適宜位置には絶対圧センサ52および吸気温度センサ54が設けられ、吸気管内絶対圧(エンジン負荷)PBA、吸気温度T1を示す信号をそれぞれ出力する。
【0038】
DBW機構20のアクチュエータにはスロットル開度センサ56が設けられ、アクチュエータの回転量を通じてスロットルバルブ16の開度THに比例した信号を出力する。
【0039】
また前記したアクセルペダル18の付近にはアクセル開度センサ58が設けられて運転者のアクセルペダル操作量に相当するアクセル開度APを示す信号を出力する。ブレーキペダル36の付近にはブレーキスイッチ60が設けられ、運転者によってブレーキペダル36が操作されたときオン信号を出力する。上記したクランク角センサ50などの出力は、エンジンコントローラ66に送られる。
【0040】
エンジンコントローラ66は上記したセンサ出力に基づいて目標スロットル開度を決定してDBW機構20の動作を制御すると共に、燃料噴射量や点火時期を決定してインジェクタあるいは点火プラグなど(図示せず)の点火装置の動作を制御する。
【0041】
またメインシャフトMSにはNTセンサ(回転数センサ)70が設けられ、タービン・ランナ24bの回転数、具体的にはメインシャフトMSの回転数NT、即ち前進クラッチ28aの入力軸回転数を示すパルス信号を出力する。
【0042】
CVT26のドライブプーリ26aの付近の適宜位置にはNDRセンサ(回転数センサ)72が設けられてドライブプーリ26aの回転数NDR、換言すれば前進クラッチ28aの出力軸回転数に応じたパルス信号を出力する。
【0043】
ドリブンプーリ26bの付近の適宜位置にはNDNセンサ(回転数センサ)74が設けられてドリブンプーリ26bの回転数NDN(カウンタシャフトCSの回転数)を示すパルス信号を出力すると共に、セカンダリシャフトSSのギヤ30bの付近には車速センサ(回転数センサ)76が設けられてセカンダリシャフトSSの回転を通じて車速Vを示すパルス信号を出力する。
【0044】
前記したレンジセレクタ44の付近にはレンジセレクタスイッチ80が設けられ、運転者によって選択されたP,R,N,D,S,Lなどのレンジに応じた信号を出力する。
【0045】
図2に示す如く、油圧供給機構46においてCVT26のドリブンプーリ26bに通じる油路には圧力センサ82aが配置されてドリブンプーリ26bの油圧アクチュエータ26b3のピストン室26b31に供給される油圧に応じた信号を出力する。
【0046】
また、前進クラッチ28a(のピストン室)とマニュアルバルブ46oの間の油路には第2の圧力センサ82bが配置されて前進クラッチ28aのピストン室28a1に供給される油圧に応じた信号を出力すると共に、トルクコンバータ24のロックアップクラッチ24cに通じる油路には第3の圧力センサ82cが配置されてロックアップクラッチ24cのピストン室24c1に供給される油圧に応じた信号を出力する。
【0047】
これら第1、第2、第3の圧力センサ82a,82b,82cを圧力センサ82と総称する。さらに、リザーバ46bには油温センサ84が配置されて油温(作動油ATFの温度TATF)に応じた信号を出力する。
【0048】
上記したNTセンサ70などの出力は、図示しないその他のセンサの出力も含め、シフトコントローラ90に送られる。エンジンコントローラ66とシフトコントローラ90はCPU,ROM,RAM,I/Oなどで構成されるマイクロコンピュータを備えると共に、相互に通信自在に構成される。
【0049】
また、シフトコントローラ90は、上記したセンサ出力に基づき、油圧供給機構46の第1から第4のリニアソレノイドバルブ46jなどを励磁・消磁して前後進切換機構28とCVT26の動作を制御すると共に、以下に述べるようにトルクコンバータ24の内圧を制御する。
【0050】
図3はその処理を示すフロー・チャートである。
【0051】
以下説明すると、S10において車両14の運転者からの指示および車両14の状態を判断するために必要なデータを取得(サンプリング)する。具体的には、クランク角センサ50、吸気温度センサ54、アクセル開度センサ58、車速センサ76、レンジセレクタスイッチ80などの出力から、エンジン回転数NE、吸気温度T1、アクセル開度AP、車速V、レンジなどのデータを取得すると共に、アクセル開度APの単位時間当たりの変化量ΔAP、自動変速機Tの変速比の算出などを行う。なお、図3において、Sはシフトコントローラ90によって実行される処理ステップを意味する。
【0052】
次いでプログラムはS12に進み、S10で取得したデータに基づき、運転者から既定値以上の駆動力を必要とする所定の発進指示が出されているか否か判定する。既定値は、最大駆動力あるいはそれに近い駆動力に相当する値に設定される。従って、S12では、最大駆動力あるいはそれに近い駆動力を必要とする発進が運転者から指示されているか否かを判定する。具体的には、例えば、アクセル開度APが所定開度以上、アクセル開度変化量ΔAPが所定量以上、車速が所定速度以下、シフトポジションが前進走行レンジD,S,Lなどのいずれかにあること、などの種々の条件を満たしている場合、運転者から既定値以上の駆動力を必要とする発進指示が出されていると判定する。
【0053】
S12で否定される場合、即ち既定値以上の駆動力を必要とするような発進指示は出されていないと判定できる場合、後述するような制御を実行する必要はないため、S14に進み、トルクコンバータの内圧制御は実行しない。換言すれば、従来通りの発進制御を実行する。
【0054】
一方、S12で肯定される場合はS16に進み、エンジン10のトルク応答性(出力応答性)を判断する。具体的には、S10で取得された吸気温度T1が所定温度以上、エンジン回転数NEが所定回転数以下であること、点火リタード制御が実行されているか否か、などの種々の条件を満たしているか否かに基づき、エンジン10のトルク応答性を判断する。なお、上記した所定の発進指示判定やエンジントルク応答性判断については公知の技術を用いることができるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0055】
S16においてエンジン10のトルク応答性が通常通りであると判断された場合、後述するトルクコンバータ24の内圧を制御する必要はないため、S14に進む。また、S16においてエンジン10のトルク応答性が低いと判断された場合、プログラムはS18に進み、TCレギュレータバルブ46qを介してトルクコンバータ24の内圧を低減、換言すればトルクコンバータ24のトルク容量を低下させる。
【0056】
即ち、エンジン10のトルク応答性が低い場合、トルクコンバータ24におけるトルク増幅制御に遅れが生じ、運転者が意図するような最大駆動力を得られない虞がある。そこで、この発明の実施例にあっては、エンジン10のトルク応答性が低いと判断される場合はトルクコンバータ24の内圧(トルク容量)を意図的に低減させ、車両14の発進時における最大駆動力を向上させるようにした。
【0057】
また、S16においてエンジントルクの応答性が高いと判断された場合、プログラムはS20に進み、TCレギュレータバルブ46qを介してトルクコンバータ24の内圧を増大、換言すればトルクコンバータ24のトルク容量を増加させる。
【0058】
即ち、エンジン10のトルク応答性が高い場合、トルクコンバータ24においてエンジントルクを十分に増幅させることができず、運転者が意図するような最大駆動力を得られない虞がある。そこで、この発明の実施例にあっては、エンジン10のトルク応答性が高いと判断される場合はトルクコンバータ24の内圧(トルク容量)を意図的に増大させ、車両14の発進時における最大駆動力を向上させるようにした。
【0059】
なお、トルクコンバータ24の内圧の変化量は、エンジン10のトルク応答性の程度に応じて変化させても良いし、トルク応答性の程度にかかわらず、一定割合(例えば、20%程度)だけ増大/低減させるようにしても良い。
【0060】
図4は、図3フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。図4では、エンジン10のトルク応答性が高いと判断される場合を破線で、トルク応答性が低いと判断される場合を一点鎖線で、トルク応答性が通常通りであると判断される場合を実線でそれぞれ示す。
【0061】
図4に示す如く、時刻t1において車両14の運転者から所定の発進指示があったと判定されたときに、エンジン10のトルク応答性が高いと判断されると、シフトコントローラ90は、TCレギュレータバルブ46qを介してトルクコンバータ24の内圧を増大させる。
【0062】
その後、時刻t2においてトルクコンバータ24の内圧が目標値まで増大し、時刻t3において所定の発進指示がなくなる、換言すれば、車両14の発進動作が終了したと判定されると、シフトコントローラ90は時刻t4に向けてトルクコンバータ24の内圧を徐々に通常値に戻す。なお、説明は省略するが、エンジン10のトルク応答性が低いと判断されるときの処理も同様に実行される。
【0063】
図5図3フロー・チャートの処理によるこの発明の効果を示す説明図である。図5では、従来制御、即ち図3フロー・チャートに示す処理を実行しない場合を破線で、図3フロー・チャートに示す処理を実行した場合を実線で示す。
【0064】
図5に示す如く、この発明の実施例に係る処理を実行した場合、当該処理を実行しない場合に比して、発進加速度の最大値、即ち車両14の発進時における最大駆動力が向上していることが見て取れる。
【0065】
上記した如く、この発明の実施例にあっては、内燃機関(エンジン)10と、前記エンジン10の出力を変速する変速機(自動変速機)Tと、前記エンジン10と変速機Tの間に介挿されるトルクコンバータ24とを備えた車両14の制御装置において、前記車両14の運転者から既定値以上の駆動力を必要とする所定の発進指示がされたか否か判定する発進指示判定手段(シフトコントローラ90。S12)と、前記エンジン10の出力応答性を判断する出力応答性判断手段(シフトコントローラ90。S16)と、前記トルクコンバータ24の内圧を制御する内圧制御手段(シフトコントローラ90,TCレギュレータバルブ46q)とを備え、前記内圧制御手段は、前記発進指示判定手段によって前記所定の発進指示がされたと判定されたとき、前記出力応答性判断手段による判断結果に応じて前記トルクコンバータ24の内圧を変更する(S18,S20)ように構成した。従って、エンジン10の(トルク)応答性に応じてトルクコンバータ24の内圧を制御することができ、よって車両14の発進時における最大駆動力を向上させることができる。
【0066】
また、前記内圧制御手段は、前記所定の発進指示がされたと判定されると共に、前記出力応答性判断手段によって前記出力応答性が低いと判断された場合、前記トルクコンバータ14の内圧を低減させる(S16からS18)一方、前記所定の発進指示がされたと判定されると共に、前記出力応答性判断手段によって前記出力応答性が高いと判断された場合、前記トルクコンバータの内圧を増大させる(S16からS20)ように構成した。従って、上記した効果に加え、エンジン10のトルク応答性の高低に基づいてトルクコンバータ24の内圧を適宜増減制御することができ、よって車両14の発進時における最大駆動力をより一層向上させることができる。
【0067】
なお、上記した実施例において、図2などを示して油圧供給機構の油圧回路について説明したが、油圧供給機構の油圧回路はこれに限られるものではなく、トルクコンバータ24の内圧を制御できるものであればどのようなものであっても良い。
【符号の説明】
【0068】
10 エンジン(内燃機関)、14 車両、16 スロットルバルブ、18 アクセルペダル、20 DBW機構、24 トルクコンバータ、26 CVT(無段変速機)、46 油圧供給機構、50 クランク角センサ、54 吸気温度センサ、58 アクセル開度センサ、66 エンジンコントローラ、76 車速センサ、80 レンジセレクタスイッチ、90 シフトコントローラ、T 自動変速機
図1
図2
図3
図4
図5